『ブロードキャスト』の続編。 今回は、懸賞で引き当てたドローンを使って、圭祐たち放送部はドキュメント作品を作ろうと奮闘する。 そのドローンが捉えた映像により、圭祐の親友の良太にある疑いがかかり、前作よりも少しミステリー性を帯びた学園青春小説となっている。 主人公たちとの同世代ばかりか我々高齢者にも楽しめる作品で、まだ続編がありそうで、刊行を待つとしよう。

湊かなえ氏の描く青春ミステリー小説。「イヤミス」という称号で語られることが多い著者だが、こういう爽やかでキャッチ―な文体でこうした清爽感のある物語も書き上げる才能の豊かさに驚かされる。 著者の十八番である登場人物各々の視点の違いを生かしながら、起こる事件は感情に基づいた、だけど利己的ではなく、青春小説ならではの乗り越えた成長もある。また、監視社会へのテーゼや（小説内では名言されていないが）新型コロナによる理不尽な出来事、ミステリーとしての二転三転のハラハラ感もしっかりあり、鳥瞰的視座の高さがあるのはさすが。作中のABC受賞作なんかは「高校生らしさとは何か？」の可視化が絶妙。 小説としてはある意味尖りや棘は弱めなので秀作ならぬ佳作になっている印象はあるが、読後感さわやかな良作。

青春小説が好き それは今も変わらないと思ってる でもこの本だからでは無くて、何か読んでいて違和感があるような…感じがした。 そうか…もう青春小説の舞台から離れて、長くなったから、イメージが掴めないと言うか、遠い世界のような感じがしているのかもしれない。 忘れたと言う表現とも違う、不思議な感覚 それらを文字にできる作家というのはやはりすごいな。俺より多分離れて長いはず、なのに文字が具体化してる。だからプロなのだろうけど… ・仕事前と昼休憩に少しずつ小説を読むようにしている。小学校や中学校でも読書習慣があるというし、自分も同じように 確かに仕事の時、うまく行く行かないは置いておいて、余計な思考は削ぎ落とせる気はする。思考とは泡みたいなものだと考えているから膨らんでははじけるを繰り返す、宇宙のようなものと思っているのだけれど、仕事するか本の中身を考えるかの2択になれる。そんな気がする。 泡だから他の思考が徐々に湧いてくるのだけれど…そして雑念の泡はなかなか弾けてくれない 主人公の親友に起こったトラブルで、主人公が自分のことのような感情で怒りを抱き、それを胸に抱えるシーンがあった。これって珍しい？よく読んでいた作家にこういう描写があまりなかったから？ 湊さんの細かい心理描写っていうのかな？高校生の男子が親友のことでここまで感情がピュアに動くものなのかな？そういう作品と言われると一言でケリはつくけど…女性作家ならではの丁寧な心理描写な気がした。終盤主人公はかなり思考で成長していくけど 主人公の良太くんへの愛がもう親友というかラブに近いのではとさえ感じた。すいません盛りました。ラブほどではないけど 良太が良太は良太にがすごい多い 性別でどうこうってこれもろに↑で書いてるけどどっちが優れてるとかじゃない 後半はとにかく次へ次へと読むのが止まらなくなった。やはり真相に近づく瞬間というのはたまらない。この次へ次への感覚のために小説って読んでいるのではなかろうか？とさえ思うぐらいに そして終盤、そりゃそうするよなって展開だった。ネタバレゼロでいくけど、落とし前っていうのかな、なんか一瞬納得いかないわって自分でなりかけて、いやいやそりゃそうよね納得納得 っていうなんかどの目線やねんっていう曖昧な感想で締めます。 これ二作目だったらしい、一作目も読もうと思う

書庫らでん 湊かなえの作品は 小説で読んだり、ドラマで見たりしてきたので 少しずつ読んでいる中で、この作品を読むのは初めてです。 他にも読みたい作品がたくさんある中でも 書庫らでんで紹介されると、読みたい優先度があがります。 この本って、シリーズの二冊目だったんだね 先に物語があった中でこの本につながっていく 色々と物語があるけど 終章がすごい コロナって書かないのに コロナをイメージさせられる書き方 具体的に書かれないのに 自分が経験している時間だからこそ 読みながら自分のことまで思い出す 今も無くなったわけではないし 今後もどうなっていくかわからない中で あったんだよねこんな時代が もう数年前なのに歴史を感じる もう数十年時代を経ると もっと歴史を感じるようになるんだろうね

湊かなえのミステリーではない、青春物語 共感できるところが少なくてちょっとうーん 最後の方の盛り上がりが、もっと序盤に来てほしかった というかこれシリーズの第二作目なの知らずに読んでた

「プライドがぽっきり折れる前に逃げてしまう。人生というスパンで長く挑むために、一度そこから離れて、自己改善を含めて練り直すの」 ちょっと間延び感。でも一生懸命な姿はまぶしくてかっこいい

あらすじに書いてある事件が起きるのが大分読んでからだったので、ちょっと物足りなく思っていましたが、こちらなんと続編だということで笑 前作は青春小説であるそうで、なんか何となく含み持たせた言い方するなぁとか思ってたらそういうことでした笑 前作から読んでいれば良かったのかも?

最後にどんなどんでん返しがあるのかなと思って読み進めたがあれ？これで終わり？みたいな気持ちになった。主人公町田くんが陸上を辞める原因になった事故のことが詳細に書かれてなかったりして、そこに伏線があるのかと思いきや何もなし。それ以外にも奥歯に物が詰まったような表現があるのだが伏線ではなかった、というガッカリ感の残る一冊でした。

前作未読、もしくは読んでから間が空いている場合前作を読むことがおすすめ。 前作が面白かったので続きを読んだものの、私の場合間が空いていたため関係性などがボンヤリとしか残っておらず、なかなか入り込めなかった。 今作は雰囲気が少し違うものの、問題提起があり考えさせられる。

殺人事件が起きたりとかはないけど学校で起こりそうな事だなと思った 誰が？何のために？と中盤からは先が気になってあっという間に読み進めていた

陸上部を放送部が取り上げることで圭祐の気持ちが折り合いをつけていくのかと思いきや 事件が起きた 圭祐が気持ちを爆発させたことで 放送部の先輩の過去を知り自分と向き合っていく 青春だと思った

湊かなえの高校生部活青春物。続編である。前作は、ケガで選手生命を絶たれた元陸上長距離選手の男子高校生が放送部に入り、放送部の全国大会を目指すという物語だった。今作は、おなじみのメンバーで、次の年の全国大会を目指すべく新たな機材ドローンを得、ドキュメンタリーを制作しようとする話。そのなかで、報道について考えさせられるような物語展開がされる。… が、ちょっと中途半端だったかな。報道についての話としても、スポーツをあきらめる話としても、高校生の部活物としても。いまいち集中しきれないまま読了。妙なタイミングから始まる物語だな…とは思ったけど、意図した仕掛けだったということは、物語の最後に分かる。 ただ、放送部とその全国大会というニッチな世界を知ることができたことは良かった。最近は素人でも子供でも簡単に動画を取って編集して公開するようになっているので、案外人気の部活になり得るのでは、とか、実は昔に比べて今ははるかに高校生たちの腕前が熟練していて新しい表現なんかが生まれてきているのではないかなど考えながら読んでいた。 そういう視点でこの題材を描いていたら結構ワクワクする話になりそうだけど……主題はアスリート生命を絶たれた人の第二の人生でもあるだろうしな…など勝手にもんもんとしてしまった。設定がスパークしきれずに終わった感じかなぁ。

あなたは、”イヤミスの女王”というと誰を思い浮かべるでしょうか？ 人によって答えは変わってくるかもしれませんが、このレビュー執筆時に、Googleの検索欄に”イヤミスの女王”と入力した結果は次の通りです。 　“湊かなえは、ミステリー小説作家で「イヤミスの女王」とも呼ばれています”。 最近は検索結果の冒頭に”AIによる概要”というものが表示されるようになりましたが、そこには、湊かなえさんのお名前が登場しました。この回答に異論のある方はそうはいないと思います。代表作でもある「告白」、不穏な空気が終始漂う「豆の上で眠る」、そして数多の社会問題を凝縮した「未来」など”イヤミス”の醍醐味を味わえる作品は湊かなえさんには欠かせません。 しかし、湊かなえさんは必ずしも”イヤミス”な作品しか書かないわけではありません。神々しいまでに幸せな感情に包まれる「花の鎖」や、”山ガール”の登山を描く「山女日記」、「残照の頂 続・山女日記」など”イヤミス”と無縁な作品もあります。圧倒的な文章の上手さで酔わせてくださる湊かなえさんには、さまざまなジャンルの作品でもっともっと楽しませていただきたい、そんな思いも募ります。 さてここに、”イヤミスの女王”と言われる湊かなえさんが、”学園&青春物語”を描いた作品があります。傑作「ブロードキャスト」のその後を描くこの作品。『放送部』の活動に”青春”をかける高校生たちの姿を見るこの作品。そしてそれは、”放送部にかける情熱と、巻き起こる時間を描く青春エンタメ”な物語です。  『ちぃーっす！』と『いつも通りのテンションで』『三年生の先輩たち五人が引退した』静かな放送室へと入ってきた正也と久米を見るのは主人公の町田圭祐(まちだ けいすけ)。『いきなりだけどさ、圭祐って体育祭で走ってたよな』と『想定外の質問』をする正也に『借り物競走だけど』と返す圭祐。『高校入学前に交通事故に遭った』圭祐は、『歩くのにも少し不自由』していたものの、『短い距離なら早歩きと変わらないペースで走ることができるくらいに回復』してきています。『じゃあ、マラソンは？…』と手に持ったチラシに目を落とす正也に『勤労感謝の日の三崎ふれあいマラソン大会だよね』と答える圭祐。『圭祐も申込書もらったのか』と『テーブルの上に広げ』た正也は『チラシの下の方を指さし』『ノートパソコン、タブレット、ハンディビデオ…。どれも、放送部に必要なものばかりだろ』と続けます。『参加費三〇〇〇円も必要であるにも』関わらず『三〇〇人の定員はすぐに埋まってしまう』という大会は『完走した順にくじ引きができ、しかも『景品は参加者と同じ三〇〇個』ということから人気を集めています。『放送部全員で出たら、ほしいものをゲットできる確率が上がるじゃないか』という正也に『悪いけど、二〇キロちょいなんて、とてもじゃないけど無理だ』と答える圭祐。そんな圭祐に『無理しなくていいよ。圭祐はくじ運もなさそうだしな』と語ります。そんなところに『白井部長を先頭に、二年生の先輩たち全員が入ってくる』と、マラソン大会の話で盛り上がり『放送部』として出場することが決まりました。 場面は変わり、『快晴の空の下、三崎市民公園で開始の号砲を上げた』マラソン大会で撮影担当としてカメラを構える圭祐。そんなところに陸上部で『駅伝のレギュラー候補入りもした』山岸良太がやってきました。『注目の新人を撮ってこいっていう部長命令』を説明する圭祐に『まだ候補だし、三年生が強いからなあ…』と返す良太。そして始まったレースにおいて『久米さんは大健闘の五四位。女子では全体の六位』と『中学時代は陸上部だった』という強さを見せるなど全員が完走します。そして、白井部長が『五つ連なった箱ティッシュ』を手にするなど抽選が行われます。そんな中で『ドローンが当たりました』と久米が戸惑いながら報告します。『来年夏のJコンに向けて、強力なアイテムをゲットした』という『青海学院高等学校放送部』。 再度場面は変わり、『もう少し右、ああ、見切れた…』と『こんなに夢中になるとは、予想もしていなかった』とドローンの撮影に夢中になる放送部員たち。『免許なしでも使用していい』とわかり、『校内で他の生徒の邪魔にならないよう、常識の範囲内で使用するように』という職員会議の決定を受けて撮影の練習を繰り返します。そんなある日、夏に開催予定の『JBK杯全国高校放送コンテスト』、『Jコン』に向けた話し合いが行われます。『六つの部門で競われる』という『Jコン』に『学年ごとに部門を分けるのではなく、全部門を全員で協力して制作する』方針が白井部長から提案され、『二学年合わせて七人しかいない』面々は賛成します。『ドラマ部門のリーダーには正也が指名され、ドキュメント部門は白井部長が立候補したため、必然的に、正也を』圭祐と久米が、『白井部長を蒼先輩と黒田先輩が、それぞれサポートすることになり』ます。また、『アナウンス・朗読部門のリーダーは翠先輩に決まり、サポート役に』圭祐と久米が指名されました。『取り組んでいく順番だけど』と話しだした白井部長は『時間をかけてテーマを追っていく、テレビドキュメントから手を付けるのがいいと思うの』と続け皆が賛同します。『となれば、早速テーマを決めましょう』と『張りきった声を出す』白井部長に『あれ？白井が決めるんじゃないの？』と言う蒼先輩。それに、前回自分が決めたもので全国に行けなかったこともあり『みんなで話し合おうと思ったのよ』と説明する白井部長は、『来週の月曜日までに一人最低でも一つは、テーマ案を』出すように指示します。『Jコン』へ向けて準備をスタートさせた『放送部』の面々の活動の先に、まさかの事態が巻き起こる、高校生の青春を見る物語が描かれていきます。 “事故に遭って陸上競技をあきらめた圭祐は、ひょんなことから放送部に入部する。3年生の引退後、仲間たちとともにコンテストに挑むことになった。偶然手に入れたドローンを武器にテレビドキュメント部門の撮影を進めていたところ、煙草を持った陸上部の逸材・良太の姿が映り込む。真実を探っていくと、騒動の陰で糸を引く思わぬ人物にたどり着いてしまい…。部活にかける情熱と予測不能な事件を描く、学園青春エンタメ！”と内容紹介にうたわれるこの作品。2021年3月25日に単行本として刊行されたこの作品は実は続編ものとなります。その元となるのが、2018年8月23日に刊行された「ブロードキャスト」という作品です。”湊かなえが初めて挑む、学園青春小説！”と大きく宣伝もされた同作品は、直球ど真ん中の”学園&青春物語”であり、私にとって湊かなえさんの作品ベスト3に入る大傑作でもあります。 そんな作品の続編にあたるのがこの作品ということになりますが、本の帯には少し気になる記載がなされています。 　”学園青春 × ミステリ小説” 前者は前作同様の”学園&青春物語”を指しているわけですが、後者が気になります。前作執筆時に”自分の得意な方向は「告白」のようなものじゃないか、そういうものを求められているんじゃないか。でも、そうではないものも書いてみたい、よし挑戦しよう！”と意気込みを語られ、”これまで高校を舞台にした小説はありましたが、今回は真っ向から「青春」に挑戦しました”と「ブロードキャスト」を生み出された湊かなえさん。しかし、それ以前の作品を愛する読者には”ミステリ”の要素をどうしても期待してしまいます。そんな読者の欲求の両方をも満たすのがこの続編です。 では、そんな作品を見ていきたいと思いますが、前作からの続編となるこの作品における大前提からまず確認しておきましょう。主人公となる町田圭祐の設定です。 　● 「ドキュメント」の主人公・町田圭祐とは？ 　　・主人公の町田圭祐は『青海学院高等学校』の一年生 　　・出身の市立三崎中学では、陸上部に所属する長距離の選手だった 　　・同じ陸上部の山岸良太の”俺は高校に入っても、長距離を続ける。自分の力で全国大会にも出場する”という呼びかけに呼応し、二人揃って高校に進学 　　・”合格発表の帰り道、ものすごい勢いで自動車が右折してきて…僕の左足にはボルトが入っている”という展開の先に、陸上を諦める 　　・”町田の声は、俺の理想の声なんだ！”と三崎中学出身の宮本正也に声をかけられ『放送部』に入部 いかがでしょうか？おおよその前提がお分かりいただけたかと思います。なお、前作「ブロードキャスト」を未読という方もご安心ください。この前提は、「ブロードキャスト」においてもあくまで前提でありネタバレではありません。そういう意味では、この作品は「ブロードキャスト」の続編ではありますが、読む順番が逆になってもそこまで大きな影響がないようにも思います。 そんな物語の舞台となるのが『放送部』です。前作で登場した三年生は引退、物語は二年生と圭祐たち一年生が引き継いだところからスタートします。まずは『放送部』の面々を見ておきましょう。 　● 『青海学院高等学校放送部』の面々 　　・顧問: 秋山先生 　　・二年生: 白井律部長、蒼先輩、翠先輩、黒田先輩 　　・一年生: 町田圭祐、宮本正也、久米咲楽 部員は以上の七名のみという弱小『文化部』の典型とも言える陣容ですが、『文化部』に光が当たるというのがこの作品の一番の特徴だと思います。”学園もの”を描く場合、部活動と言えばどうしても”運動部”が主流です。必ずしも”スポ根”とならなくとも絵になるのはやはり”運動部”なのだと思います。 　『室内に籠っていそうな部活動、という項目でアンケートを取れば、間違いなく三位以内に入るであろう(まず、部活の一つとして認識されていれば、だけど)僕たち』 そんな風に自らを蔑む圭祐の言葉に表される通り、『文化部』はどうしても地味という印象が先立ちます。そんな『文化部』で小説に取り上げられることが比較的多いのは吹奏楽部でしょうか？こちらは、『室内に籠って』いても圧倒的に華やかな印象が先立ちます。また、”全国吹奏楽コンクール”という試合の場が用意されているということも大きいでしょう。実は、ここにこの『放送部』が絵になる理由があります。それこそが、『放送部』にも『Jコン』なるコンクールの場が用意されているところです。 　● 『JBK杯全国高校放送コンテスト』って何？ 　　・『テレビドラマ、ラジオドラマ、テレビドキュメント、ラジオドキュメント、アナウンス、朗読』の『六つの部門で競われる』 　　・『青海学院高等学校放送部』は『一〇年連続全国大会出場』している 　　・リアル世界の”NHK杯全国高校放送コンテスト”がモデル そんなコンテストへ向けての活動を行う『放送部』ですが、この続編では物語冒頭の〈序章〉において一つの動きがあります。 　『青海学院高等学校放送部は来年夏のJコンに向けて、強力なアイテムをゲットした…ことになるのだろうか』 これこそが、今の時代を代表する『ドローン』です。十数年前に登場し、今やさまざまな場面で大活躍する『ドローン』を知らない人はいらっしゃらないと思います。しかし、見たことはあっても操縦した人となるとまだまだ少数ではないでしょうか？かくいう私も未経験であり、なんとか試してみたくて仕方ありません。そして、そもそもそんな『ドローン』が小説の中に登場することは稀有だと思います。900冊以上の小説ばかり読んできた私ですが、記憶する限り初めての体験です。物語では、そんな『ドローン』を使って『Jコン』の準備を進める部員たちの姿が描かれていきます。この『Jコン』に向けて活動する彼らの姿を描く物語こそ、”学園&青春物語”そのものです。そこには、高校生ならではのさまざまな葛藤に苦しむ彼らの姿が描かれていきます。ただ前作ほどにはこのあたりの熱気が弱いような気はしました。 一方で、この作品にはもうひとつの魅力がうたわれています。”ミステリ小説”の部分です。とは言え、”ミステリ小説”の詳細をここに書くのはネタバレに直結しかねません。しかし、しかし、です。そんな禁がすでに内容紹介によって侵されているのです。 　“煙草を持った陸上部の逸材・良太の姿が映り込む。真実を探っていくと、騒動の陰で糸を引く思わぬ人物にたどり着いてしまい…” 上記で触れた通り山岸良太は、圭祐が中学時代に同じ陸上部員として切磋琢磨した間柄であり、ともに『青海学院高等学校』に進みました。交通事故で陸上を断念せざるを得なかった圭祐に対し、陸上部で『有望な子』として『レギュラー候補入りも』果たしたという良太。内容紹介にはそんな良太が”煙草”と結びついていくことが匂わされています。高校生の陸上選手の大会前の”煙草”疑惑発覚、これは大きな問題です。果たしてこの疑惑はどのように展開していくのか、これがこの作品の”ミステリ”の核心です。しかし、この作品の王道はどこまでいっても”学園&青春物語”を描く部分です。”ミステリ小説”という言葉を重視してこの作品を手に取ることはやめた方が良いと思います。その先には不満たらたらのレビューを書く他ない読後が待っていると思います。 そんなこの作品は、主人公・圭祐の高校生の日常を丁寧に描いていきます。上記した通り、良太と共に『陸上部』での活躍を夢見て高校に進学した圭祐ですが、交通事故によってそんな夢は潰えてしまいました。しかし、正也の誘いで入部した『放送部』で新たな目標に向かって高校生の”青春”を生きる圭祐。 　『中学校の三年間はあっという間だったように感じたけれど、高校での日々はそれよりもっと早く過ぎているような気がする』。 圭祐の充実した日々をこの言葉に強く感じもします。 　『陸上に対する未練が完全に消え去ったわけではない。だけど、自分も陸上部に入っていたらとか、事故に遭わなければ、と考えることはほとんどなくなった』。 『放送部』で新たな目標に向かって生きる中で、陸上を少しずつ冷静に見れるようにもなった圭祐。そんな物語がこの世に刊行されたのは上記の通り2021年3月25日のことです。この日付でピンと来られる方もいらっしゃると思いますが、この作品はあの忌々しき”コロナ禍”真っ只中に刊行されているのです。それは、物語自体に”コロナ禍”の描写が登場することを意味します。世の中には”コロナ禍”を描いた作品が数多あります。この作品の私のレビューには”コロナ禍を描く”というタグをつけさせていただいています。クリックして見ていただくと数多くの作品があることがお分かりいただけると思いますが、それらの作品に比較してこの作品が描く”コロナ禍”は極めて特殊です。”コロナ”、”ウイルス”、そして”マスク”といった”コロナ禍”の描写に必須の言葉がこの作品には一つも登場しないのです。それにも関わらずそこには、間違いなく”コロナ禍”が描かれていくのです。これは凄いです。 　『一年先がさらに想像できない世の中になっていたとしても、「希望」という選択肢が消えたわけじゃない』。 “コロナ禍”のこの先自分たちの未来はどうなってしまうのだろうという思いばかりが募る鬱屈とした日々は二度と経験したくはありません。湊かなえさんの圧倒的な筆の力をひしひしと感じさせてくれるこの作品。これから読まれる方には、是非”コロナ禍”な時代に『希望』を優しく描いていく物語にご期待いただきたいと思います。 　『人生を左右するのは、出会いなのかもしれない』。 『Jコン』への出場を目指して活動を続ける『放送部』の七人。この作品では、一年生の圭祐を主人公とした物語が描かれていました。あの湊かなえさんが、”学園&青春物語”を描くという希少性に魅せられるこの作品。そんな湊かなえさんの筆の力を改めて感じさせてくれるこの作品。 まだまだ続いていきそうな物語の可能性に、”学園&青春物語”のさらなる傑作誕生を期待してもしまう第二作な作品でした。

前作「ブロードキャスト」の続編です。前作はまさにTHE青春小説って感じでしたが、本作はそれに少しミステリー要素が加わった感じです。中盤から意外な展開になって、さらに終盤は何かやるせない気持ちにさせられました。ただのエンタメ小説かなと思って読み始めてみたら結構メッセージ性の強い作品だった、みたいな、良い意味での裏切りのある小説でした。

コンテストに向けて試行錯誤する姿や部員同士の衝突等青春要素が続くのかと思ったら、途中から急にミステリな雰囲気になった。作者は心の闇を描写する技術がすごいが、学生の青春ものとの相性はそんなに良くないと感じた。

私立高校の放送部。部員が、マラソン大会の景品でドローンを引き当て、ドローンを使った作品を考える。ドキュメントトとして運動部の様子をドローンで紹介しようとする中、陸上部の部室から火のついた煙草を持って出てくる部員をとらえてしまう。 報道するとは、どういうことなのか。プロの放送関係者でも自問自答する日々なのだと思うが、高校生という純な気持ちが、それぞれの思いとぶつかり、重なり合う。ミステリーというよりも、青春ドラマだ。 「ブロードキャスト」の続編ということだが、「ブロードキャスト」は、読んでいない。それでも、充分楽しめた。

高校部活小説の続編。放送部で全国大会を目指す生徒たちの奮闘が描かれているが、ミステリー的な展開になるのもお決まりのパターンか。全国大会が思わぬ結末になるのには驚いた。

３年前に読んだ「ブロードキャスト」の続編。３年生が引退して１,２年生だけになった放送部が舞台。 今回もまたＪコンを目指す中で、テレビドキュメント部門の作品では陸上部を取り上げることになり、事故によるケガで陸上を諦めざるを得なかった圭祐が中心となって進めていくことに。 キャラや筋立てはしっかり作り込まれていて破綻はないが、もっさりした進行であまりワクワク感もない。その中で圭祐の陸上に対する屈託や久米さんに接する態度など煮え切らなさや幼さが何回も繰り返されるのがなんとも…。 そうした圭祐の鬱屈が作品を作り込んでいく過程で晴らされていき、彼の成長を読めると良かったのだが、話の2/3を過ぎてから陸上部の煙草騒動になって、これまでの話が置いてきぼりになった感。 煙草の件のあまりに幼稚な顛末に萎える。最後はいい話風に収められたが、全体的には色々な話が中途半端に混ぜられて終わったような読後感。

湊かなえさん著「ブロードキャスト」の続編ですね。 舞台が高校生の放送部となっており、青春ドラマを期待していたんですが、後半から サスペンスドラマになってきたので、個人的には読むのが辛くなってきました。 高校の放送部員って、ほんとにこんな事まで考えて活動してるの？ とてもそんな風には思えないのであまり感情移入が出来ませんでした。 ただし、放送業界の人たちには、自分で取材し、それをどのように伝えるかという事に関しては今回の登場人物の様に初心に戻ってやってもらいたいなと思いました。 そんな事、基本の基本だと思われるかもしれないけど、今はニュース報道に対してかなりの批判が集まってるのも事実です。 やりたくてもやれないんだという意見も有るでしょうが、そこを何とか打破してもらいたいものです。 先日、選挙がありましたが、SNSの活用に話題が集まりました。 放送業界の人たち、それで良いんですか？

青春ドラマとミステリーが交わった贅沢な一冊でした。登場人物がどれも魅力的で、話し方等から雰囲気を容易にイメージできました。 事件が起きた理由も学生らしいものでリアル感があり、主人公の感情も本当に高校生ならではみたいな感情の揺れ動きが感じ取れました。 うまく言えないですが、真っ直ぐできれいな作品でした。

『ブロードキャスト』の続編。 佳祐は事故のため陸上を諦めざるをえなくなる。 そんな時に誘ってもらった放送部で、仲間とコンテストに挑む。 景品目当てのマラソン大会で、見事に当たったドローンも駆使して、撮影は順調に進むはずだったのに… ドローンの撮影中に思わぬ映像が映りこみ、騒動になる。 そこで、思わぬ人物が引き金になっているとわかり、衝撃… 部活にかける情熱と仲間との関係性が、胸に響く。 2024.10.28

前作に続いて…でした。シンプルにドキュメント制作をする、でも良かったのでは？と思わせられる話の展開でしたね。部員のあれこれを知ることが出来た巻でもありました、3年生バージョンまで続いていく気配ですね。

前作「ブロードキャスト」はザ青春！！な湊かなえとは思えない爽やかさ。今作「ドキュメント」はミステリー要素も入りつつ、この時期特有の人の危うさを感じた。前作よりも登場人物ひとりひとりの特徴が詳しくあったように感じて、放送部全体に感情移入できた。最後、肝心のコンクールは・・・だったので、続編でガッツリ作品づくりに向かう３人と新入部員(入るか？)に期待したい！！

学園青春ものからのミステリー。展開も早くて、楽しく読めました。 ドローンがでてくることからも示唆されているように、視点の違いに気づけるかみたいなところが面白かった。視野の広さ深さが尋常じゃないなぁ。

Nのためにと告白が衝撃作だった為、期待しすぎてしまった。 著者の新しい作風なのかなと思いつつ、何か物足りなさを感じた。 個人的にはイヤミスの作風の方が好き。

以前読んだブロードキャストの内容を忘れてしまったけれど、新鮮な気持ちで楽しめた。 解説の通りまた続きがあるとしたらとても楽しみ。

「ブロードキャスト」の続編の青春小説です。そちらを先に。と、思い出しながら読んでたら、前半は伏線で、後半、湊さんマジックが出てきて騙されて。自分の場合はどうだったかな、とか色々考えさせられました。

序章／ドローン／プロット／トークバック／CUEシート／ デジタイズ／リアクションショット／スタンバイ／終章 高校の放送部。新入部員は事故で陸上競技をあきらめた佳祐、彼を誘った正也、久米さんの3人。 悠々と高校生活を過ごせる子もいればいろいろな問題を抱えている子もいる。 部活動をしながらどんな事が起きるのだろう。

事故で陸上競技を諦めた生徒が放送部に入部。 その中で部活への情熱や事件があり、先が気になりあっという間に読了。 面白くてオススメです。 前作があったのは気づかなかったので、いつか読もうと思います。

ブロードキャストに引き続き高校生の危うい感情を思い起こさせる作品だった 読むうちに町田圭佑に入り込んでしまっている自分がいて、振り返ると自分本位に生きていることを改めて実感した

私の湊かなえさんのイメージになかった雰囲気の作品だった! 最初の思ってた感じから離れていって どんどん続きが気になったー!#読了

前作がとても好きだったので購入しました。 ラストの伏線回収は見事でした。物語の中盤からは結構どんよりした雰囲気でしたけど、最後は爽やかで放送部シリーズもやっぱり良いなと思いました。 ただ、物語の半分が暗めな感じな今作より三年生がドタバタしてくれた前作の方が気軽に読めたかなと思います。（それと前回は湊かなえさんの異色作に初めて触れた驚きもあったかも！）

事故で足をいためて陸上を諦めた主人公。放送部の仲間達とコンクール入賞を目指したドキュメントを作成する過程である事件が起きる。 前作の続編だという事もまったく知らず、なんとなく湊かなえさんのミステリーが読みたいなぁという気持ちで読み始めたら、おや？なんだか思っていたのと違うけど面白いぞ...！となった 全国を目指すとか、高いレベルで何かに打ち込んだことのない私にはもしかしたら共感しにくい部分もある話なのかな？と序盤思っていたけれど、心情の描写が丁寧で置いていかれることはなかった。 これからブロードキャストをエピソードゼロ的な気持ちで読めるのが楽しみだ。

☆4.5 前作の｢ブロードキャスト｣がとても面白かったので、すぐに続編である本作を読み始めました！ 読み始めてすぐの序章(三崎ふれあいマラソン大会の場面)から早速楽しく読ませて頂き、どのようにして放送部がドローンを手に入れるのか気になっていたのですが…全く予想していなかった入手方法に驚かされました！ 他にも前作では怖い印象が強かった2年生の先輩達ですが、本作では3年生が引退した後のお話なので、前作では詳しく語られていなかった2年生それぞれの姿を知る事が出来たのも良かったです。 解説でも語られておりますが、また続編が出るかもしれないとのことなので…期待しながら楽しみに待っていたいと思います❁⃘*.ﾟ

湊かなえ「ブロードキャスト」の続編となる学園エンタメ作。 3年生の引退した放送部が、新たな想いでコンテストに向かっていく様と、最中に起こるトラブルの顛末をミステリタッチで描いています。 前半の描写が丁寧過ぎてちょっと萎えましたが、急展開からクライマックスまで一気に！さすが湊かなえ(^_^;) あとは・・好き嫌いでしょうか？私的には中途半端に感じました。

青年たちの心の機微をうまく書いているなぁ。。。 うんうん、そんな気持ちなるよ、わかる。 と思いながら読んだ

湊かなえさんが描く高校の放送部で起こる青春エンタメ。解説を読んでこれが続編だったと気づく。生徒たちの、特に主人公の心理描写がわかりやすく、中盤あたりからストーリーも一気に進むためはまり込む。前作の「ブロードキャスト」も気になる。

全然ついていけず全く面白いと思いませんでした。 他の方のコメント読む限り、前作読まないと付いていけかも、と書かれてたので少し安心しました。 なんで、こんなに理解しにくいのだろう、ついていけないのだろうと考えながら読んでました。 前作があったなんて知らなかったので、少し残念です。 ちゃんと理解したいのですが、今直ぐ読む気になれず。 少しがっかり。

高校生たちの放送部。 スポーツドキュメントを作る過程で葛藤や生き方が浮かび上がる。主人公の男子高校生の怪我の原因となった交通事故が謎のまま残った。次作があるのか？

なぜかミステリだと思って購入していたので、1/3くらい読んだところでアレ？？となりましたが、登場人物たちが素敵過ぎて最後まで楽しく読めました。 1作目読んでいなかったので、回想回収というのも面白いだろうし次回読みたいと思います。

去年のコンクールの悔しさからのストーリー。 コンクール目指してテーマから話し合っていたところ、煙草をもっている良太がドローンで撮影されてしまう… 良太の不祥事を信じたくない圭祐、部員内でも気まずい雰囲気が漂うなか… 文章では具体的な表現はされてなかったけどコロナ禍でコンクールや大会が開催されてなくて悔しい思いを表現してたと思う ネットや新聞などのメディアの表現の仕方って書く側のいいようにかかれて当事者がどうかかれるか不安だし、言いたいことがうまく伝えきれてない部分もらあるよなって

待ちに待ったブロードキャストの続編 前作を読んでいないと 少し置いてけぼりになってしまうかも 放送部でドローンを手にして Jコンや卒業DVDに活かせると 盛り上がっている所で事件が… と言っても殺人事件とかではなく、 でも当事者達にとっては 高校生活（主に部活動）をゆるがす大事件 解決後も大円団とはならず、 本書の中では固有名詞を出していないが コロナ禍での部活動自粛で大会中止 こんな結末になるとは… でも、当時の悔しさも残すべきかな。

ブロードキャストの続編。1年生の時はラジオドラマだったが、2年生になった圭祐達が取り掛かるのはドキュメタリー。3部作になると思われるけど残るテーマは朗読とアナウンス。

続編とは知らずに購入。前作未読でも読めた。(もちろん続けて読んだ方が楽しめると思う) 最近リアルタイムで週刊誌などの報道が問題になってるから、そこの考え方を見直すきっかけになった。 もう一回高校生に戻って真剣に部活に取り組みたい。あの部活で苦しかった光景が蘇ってきた。 ただ、終章がイマイチ納得いかない。。予想の斜め上の展開で腑に落ちなかったし、これが何十年先に読まれたら読者は楽しめるのだろうか…。 (辛口ですみません。。)

私の知ってる限り湊かなえさん初のシリーズもの！ スポーツ強豪校に見事合格するも事故に遭い、陸上競技を諦めた主人公の圭佑は放送部に入り全国大会を目指し、嬉しい思いと悔しい思いをした前作！ 三年生が引退して新体制になった放送部は、次の年のＪコンを目指す事に！ 新しい武器のドローンを駆使して陸上部を取り上げたドキュメントをとる事になるが圭佑の親友　良太がまさかの・・・！！！ 圭佑の視点で語られる陸上と現状の葛藤・・・ 放送部員の知られざる過去・・・ 作者が持ってくる仕掛け・・・ この本を50年後の人が読んだら最終場面をどのように思うのだろうと思った。 風化されてみんなの記憶に残る者だろうか・・・ ドキュメントについて 一般的にはTVで見る物ですが『事実は小説よりも奇なり』とは言うけれどが果たして本当にそうなのでしょうか？ 名プロデューサーがいるからこそ、毎回面白いドキュメントが生まれるのではないのでしょうか？ そこには、きっとスジ書があり、誇張されるキャラクターや環境があるんだろうなぁと思ってしまいます。 手品は手品だから凄いと思います。 手品を魔法と言われたら胡散臭いと思います。 だから私はフィクションの方が好きです！ それと、作中で誰かが言ってましたがインターネットやSNSの情報は疑えという人はいても新聞記事を疑えという人はいない・・・ テレビ、新聞、インターネット どれも100%信じていい物ではない。