
総合評価
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powered by ブクログ「灰色の五つ穴は、五個でひと組。仕立て屋ウェブスタ-に、代々伝わってきたボタンだよ。」仕立て屋のおばあさんはそう言った。 汝これを五星形につけ、我を訪れよ されば我、五度路をゆずり、 汝を我がもとへ呼びよせん 汝再びそろえ、我を訪れよ されば我、あまねく道をゆずり、 汝の前によみがえらん 我、ここより永遠に旅立つ 荒れたる丘より谷に降り、緑の森に憩うまで
0投稿日: 2024.02.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
全然知らない作家、知らない作品でしたが、とても面白くて、すごく得した気分です。 日本人作家の作品ですが、読んでいるとスーッとイギリスの児童文学の世界に入っていきます。 私は小さい頃から日本の児童文学より、海外のものの方が好きでした。 なぜかとつらつら考えるに、日本の作品に出てくる子どもって教科書的ないい子なんですよ。 私自身教科書的ないい子だったので、それってとてもつまらないと思っていました。 それに比べて外国の作品に出てくる子どもって、もちろんいい子もたくさんいますが、親と喧嘩したり、家出をしたり、大人と駆け引きをしたりと、なんともステキにたくましいではありませんか。 そしてこの作品も、引っ越してきたばかりの街で、不思議なことに出合うバートラムが主人公。 古着屋や古道具屋のあるゆびぬき小路の奥にある、偏屈な仕立屋のおばあさんと知りあったことから謎が始まります。 仕立屋はなぜ、ひとつだけ違うボタンをつけるのか。 ボタンはバートラムに何をさせたいのか。 残りページがあとわずかになっても、作者がどう決着をつけたいのかがわかりませんでした。 だからずっとドキドキ。 正直言って、結末は地味です。 大きく何かが変わるということはありません。 ”着心地ってものは、仕立てにゆとりがなけりゃだめなんだ。(中略)そして仕事というのは、自分にとっていちばん大切なものを使うことなんだとね。(中略)仕立てに使うわたしの時間と、仕立屋として生きてきた、すべての時間のことさ。大切なものほど、手放さなければならないんだよ、バートラム。” 機械化が進む世の中で、自分の技術で生きてきた仕立屋としての自負がバートラムに語られ、バートラムはそれに対して「仕立屋の時代はまだ終わっていないよ」と言います。 そういうことを理解できたとき、バートラムは一歩大人になったのだと思いました。 これからもゆびぬき小路は存在し、バートラムが訪れることもあるでしょう。 でもきっと、バートラムは学校の友だちを増やし、少しずつゆびぬき小路から離れていくのでは?とも思うのでした。
1投稿日: 2024.02.19
powered by ブクログ2023.11.14 あほがみえる笑 書いたひとは何が言いたいの? #タイムリープ #児童書 #中学時代の鬼門の本て聞いたよ
0投稿日: 2023.11.14
powered by ブクログサウスウッドの町に越してきたバートラム。 「最悪だ。転校生なんて」 バードラムは、地面から突然引っこ抜かれた、そのへんの草にでもなった気分だった。 そう言って部屋の片付けもほったらかして、外に出て言ってみると 市庁舎のむこうにはとても素敵な図書館。少し歩くと石畳の道、ゆびぬき小路へ。 母さんはこのゆびぬき小路の《マダム・ダンカルフの店》で、僕の制服をあつらえようとしている。そこで、とても不思議な仕立ての良い古着のコートを買ってもらう。 それは、ゆびぬき小路の古い建物、《仕立屋ロザムンド・ウェブスター》の変わり者だが、腕は一級の、おばあさんが仕立てたものだったのだ。 そのコートと、コートに付けられた不思議な5つ穴のボタンが、バードラムを不思議な時間の旅へ連れていく。。 イギリスの小さな町の中を行き来する、タイムファンタジー。最初はまるで『トムは真夜中の庭で』じゃん!と思うんだけど… ボタンを追っていくところ、仕立て屋の美しいコートなど、物語のkeyになるアイテムが素敵で、また違うカタチ。 トムへのオマージュ感も魅力ですけど!
2投稿日: 2021.08.02
powered by ブクログ著者は日本人ですが、登場人物は全員イギリス人。まるで、昔の翻訳児童書を読んでいるような気分になりました。5つ穴のボタン、星の形のボタン糸。ちょっといいなぁ。
0投稿日: 2016.07.07
powered by ブクログ作者も内容も判らず手にした本が面白かった時は、何とも言えない喜びがありますな。 古着屋で5つ穴のふしぎなボタンを付けたコートを手に入れたバートラムは時をさかのぼるのだった。 まるで翻訳児童書のような雰囲気を持った作品です。時と人によって紡ぎ出される物語が素敵です。昔気質の気難しいおばあさんとバートラムのやり取りも、何とも微笑ましく温かいですし。ボタンを巡る現在と過去の物語はあちこちに伏線が張られ、それが解きほぐされていく様に惹き付けられます。派手さはないが、じっくりと読み浸る作品でした。
0投稿日: 2012.04.16
