
総合評価
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- あや"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
面白かったと言えば面白かったけど、全体としてちぐはぐだったというのが正直な感想。元々#コンパスを知っていて、リリカとルルカのことが好きだったから楽しめたけど、小説としてはどうなんだろうと感じる。キャラ愛がなければ正直キツい。きっと展開の急さにもついていけない。1巻と2巻ではほぼ別物だ。打ち切り漫画みたいなそれだ。 前巻ラストではルルカが闇堕ちしており、今後リリカと敵対するようなことが匂わされていたが、実際にはそんなこと全くなく。突如姿を消したなど、あらすじでは不穏な描写がされていたが、実際にはただ自分の欲望に戸惑って、引きこもっていただけ。全体の九割九分ただの日常回であり、それも一つの日常ではなく、いくつもの話が寄せ集めになっている。同人誌の日常短編集、もしくはIf集を想像した方が分かりやすいと思う。 リベレーションルルカ化はなんだったんだ。魔法少女の服を破り捨てて、リリカの嫌がることをする覚悟さえ決めたのではなかったのか。理性の声が聞こえなくなった、って1巻で言ってたじゃん。「やっぱり無理でした」をノータイムで出されるとは思わなかった。せめて葛藤した描写を事細かにして欲しかった。リリカ視点の物語だから仕方ないにしても、ちょくちょくルルカ視点入れてるわけだし。 ついでに言うと、前巻で意味ありげに伏せられた「リリカを好きになった理由」も、「魔力を強くする方法」も、「追加戦士になるかも知れない3人の少女」も、全部一瞬で片付けられたのが不満。というか2番目については、触れられてすらいない。なかったことにされている。「ルルカがハピポンを信用していない理由(リリカ絡み以外)」も、結局「ただ胡散臭いから」「自分でもあんま覚えてない」という着地。3番目も本当に一瞬で、#コンパス をそこそこしっかり知ってる人でなければただのモブ同然。ララカ、レレカ、ロロカなんて名前はおろか、自己紹介のシーンすらない。ただの通りすがりのモブ。伏線も何もあったものでは無いし、ほとんど何も解決していない。「俺たちの戦いはこれからだエンド」である。 はっきり言って、「結局何がしたかったんだ」と思ってしまった。広げた風呂敷がなかったことになって、日常回が面白く尊いのは良かったけれど、肩透かしを食らった。同人小説のような感じで、「#コンパス 公式スピンオフ」というものに期待しすぎていたかもしれない。魔法少女リリカ☆ルルカについて深く知れるかと思っていたが、2人が魔法少女になった経緯以外は、全部想像の範囲内。新規情報の量は、シーズン文や調整文と同程度。あれらの寄せ集めに、地の文を足した感じだ。 とはいえ、これらは作者さんが悪いのではなく、大人の事情が大いに関わったのだと思っている。実際にあとがきでは、「最初に考えていたプロットから、大きく変更することになった」と綴られており、恐らく#コンパス 側から指示が入って、今回のような日常回寄せ集めになったのだろう。伏線が吹っ飛んだのも、急遽日常編にされたと考えれば納得だ。 日常編を楽しめたという点では、感謝してもしきれない。だがやはり、世界観の掘り下げであったりだとか、今まで別メディアで意味深にお出しされていた情報の説明だとかを期待していただけに、ショックも大きい。特に、前巻は情報の開示を期待できるような導入だったではないか。こうなるなら、最初から日常短編集として制作して欲しかった。 恐らく、#コンパスの中の「魔法少女リリカ☆ルルカ」自体が、「魔法少女まどか☆マギカ」のオマージュが強い存在であるがゆえに、制約も強かったのだろう。実際に#コンパス運営の過去インタビュー(確か短編アニメ)では、「どこかで見た事のある展開・存在」を意識していると語られていた。それを鑑みると、リリカはまどか、ルルカはほむら、エボリューションリリカとリベレーションルルカはそれぞれアルティメットまどかに悪魔ほむら、キュウべぇ枠はハピポンにしか見えない。(ついでに言うと、今回モブとして出た青い魔法少女・ララカは、話し方的にもさやかモチーフだろう) オマージュ元に迷惑をかけられない上に、万が一にもまどマギ映画の内容と被ってはいけない(アルティメットまどか・悪魔ほむらの決着がつきそうな予告がされている)ので、こうなったんだろうとは分かるが……。正直残念である。 最後になるが、コアな#コンパス ファン向けの、#コンパス を短編アニメから調整文やシーズン文まで履修した前提の、リリカとルルカの日常短編集としては最高なので、これから読む方は先にそっちを履修した方がいいかもしれない。少なくとも、純粋な魔法少女モノを期待していたり、何も知らずに触れようとしている方は、ストーリーについていけない覚悟をするべきである。 いつか、作者さんの元のプロットのストーリーも読める日が来ることを祈っている。
0投稿日: 2025.05.04 - 細川 カヲル"powered by"
前回、最後まで読んで少しハラハラした身としては、少し長い時間を掛けてその先の答え合わせをしてくれたのは感謝しかない。危うさを内包しながらも少し不思議な中学生の日常をめいいっぱい楽しんでる姿を見てほっこり。この決断の付け方で思わず胸をなでおろしてしまった。本当に、良かった……。それはそれとしてルルカちゃんが何がとは言わんがちょっと逸材すぎませんか? あと今回は日常のお出かけから学校行事まで、学校生活の楽しみを1冊にギュギュっと濃縮してくれているのもあって日常回好きとしては外せない1冊なのでは?
0投稿日: 2025.04.26