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八月の銀の雪(新潮文庫)
八月の銀の雪(新潮文庫)
伊与原新/新潮社
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総合評価

68件)
4.0
19
26
17
1
0
  • ちゃちゃのアイコン
    ちゃちゃ
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    2020年発刊の短編集、5作品。例えば外国人留学生。もともと不遇な上に舞い込んだ新たな困難に対し、科学の話題を、夢のチカラに変換して勇気をもらい克服していく。自分も前向きに頑張ろうと、改めて思う。

    24
    投稿日: 2025.06.19
  • ぴーのアイコン
    ぴー
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    難しい話が多くちょっと退屈だったところもしばしば。八月の銀の雪と海へ還る日、アルノーと檸檬が好きだった。 クジラも鳩も頭いいんだなあ。

    0
    投稿日: 2025.06.18
  • 2204654番目の読書家のアイコン
    2204654番目の読書家
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    このレビューはネタバレを含みます。

    短編小説集。 上手く生きれない人物の葛藤を描いた小説。自分自身も人生を上手く生きれなかったので、登場人物に共感と希望を抱いているのかもしれないです。 ▼八月の銀の雪  就活で苦戦している主人公・堀川。彼は、コンビニで働いている日本語が下手なベトナム人留学生・グエンに会う。当初堀川は、仕事の出来ない彼女に嫌悪感を感じていたが、彼女と会話を通じて表面だけ見ても何も理解できない事に気づく。自分と他者の内面の奥深くを知り、 ▼アルノーと檸檬  役者を目指し父親の反対を押しきり上京した主人公・正樹。しかし、現実は甘くなく役者の道は諦め、マンションの立ち退き業務に勤めながら希望のない日々を送る。その中で加藤という女性から「アルノー19号」というハトがベランダに住み着いたという話を聞く。  ハトは帰省本能が高く、その中でも特にアルノーは帰省本能に長けているハト一族だった。そんなアルノー19号が、なぜ帰省しないのかー  正樹はアルノー19号に、帰る場所を失った自らの孤独を重ね合わせ、故郷を想い自分の人生に向かい合っていくお話しー ▼玻璃を拾う  主人公・瞳子は、綺麗なガラス細工の写真をSNSに投稿すると、”休眠胞子”というユーザーから執拗に消去依頼の連絡が来る。SNS投稿をめぐる瞳子と休眠細胞のトラブルに関連したお話ー  印象的なセリフとしては、 ・女性たちをヒストグラムにしたら、平均値の周辺に大多数が集中した、とがった山形の分布になるでしょうね。 ・単細胞の珪藻が美しいガラスをまとっているように、人間もまた多かれ少なかれ、見栄えよく繕った殻と、それに不釣り合いな中身を抱えている。それがむしろ、ありのままの姿ではないのか。

    0
    投稿日: 2025.06.09
  • ひろのアイコン
    ひろ
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    またも伊与原新氏の短編作品を読む。 文体が心地よい。 テーマも色々楽しめる。 どの短編も好きですが ・『アルノーと檸檬』 ・『十万年の西風』 が好みでした。 ・ただ『海に還る日』だけは途中不穏になってハラハラしました。

    19
    投稿日: 2025.06.08
  • なんてひだのアイコン
    なんてひだ
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    風邪でめっちゃくちゃ具合悪くて、でも読了した。あれっ本屋大賞なのに出たの速いけど読んでいないのかいて。あと鯨の絵がてっきり八月の銀の雪だと思っていた。困難な状況が実に伝わるし出だしで擦り切れた主人公は大丈夫かなと心配したけど、グエンとも距離を縮めるし自分の生きてきた道を歩む覚悟と道を外さないでよかった。やっぱ満員電車の困難な状況もグッとくるし日本人の悪い所がしっかり描いてある 毎度思うけどホントに変われないのだろうか意識の低さと同調圧力。で宮下さん(実在してたねぇ)との出会いで生きる事を続けられたし、果穂ちゃんの名前の実る事を信じるがグッときた。鯨の疑問を言えたし、だから鯨の頭の中の歌にたどり着く。鯨の頭の中の歌も自分には勉強になり 今回も科学がわかりやすくてとても面白くて 伊与原新さんは特別だった。

    20
    投稿日: 2025.05.25
  • 傍らに珈琲を。のアイコン
    傍らに珈琲を。
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    ほんのり科学風味だった『月まで三キロ』が読んでいて心地よかったのと、 ナオさんのレビューを拝読して本書を読んでみたくなり、手にした。 やっぱり表題作「八月の銀の雪」は良かった。 コミュニケーションをとるのが苦手な就活生、堀川。 就活は連敗中で、そうなると卑屈にもなってくる。 大学が決まった頃は、東京という街が自分を生まれ変わらせてくれるのではないかと淡い期待も抱いていた。 でも違った。 負の連鎖だ。 けれど、次第に気付いてゆく。 人の表面だけを見ていても何も理解できないことを。 その人にどんなことがあったのか、奥深くに何を抱えているか。 それらに目を向けられるようになった時、 堀川の頑なに閉じていた心は、少しずつほどけてゆく。 そして彼の胸にも、熱い気持ちが沸き上がる。。。 もう1つ、私の心に引っ掛かりを残したのは「アルノーと檸檬」。 この感想は間違えてるだろうなと思いつつも、何故かちょっぴり切なさを感じてしまった。 檸檬の香りとともに爽やかに幕を閉じたけれど、実は何も解決していないからだ。 いや、他の作品もそうだと言われればそれまでなのだけれど、本作の正樹には感情を持っていかれてしまった。 それに、帰巣本能を貫く鳩にも。 正樹は仕事を辞めるつもりだろうか。 実家に帰れる日は来るだろうか。 お酒の量、今後もしっかり減らせるだろうか。 彼の生活が、明るい方向へと向かっていることを願う。 「海へ還る日」 大海原をゆく鯨の歌う声に想いを馳せた。 「大事なのは、何かしてあげることじゃない。この子には何かが実るって、信じてあげること」 「玻璃を拾う」 珪藻アートを見てみたかったのでググった。繊細でとても美しかった。 「十万年の西風」 砂浜で、気持ちよく空をゆく大きな凧を見かけた辰郎は、思わずその凧を揚げていた男性に声を掛ける。 その男性が今日ここで凧を揚げているのには理由があった。 話は戦時中の気球兵器の成り立ちへ。 本作も自然科学が丁度いい加減で、読みやすかった。 科学の持つ普遍性が、生きづらさを抱えた人たちの心に光をあてる。 いつの間にか私も癒されていた。 ナオさんのレビューが無かったら読んでいなかったかもしれない。 ナオさん、有難う御座います♪

    40
    投稿日: 2025.05.24
  • 293のアイコン
    293
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    伊与原さんの短編集二冊目! 表題にもある『八月の銀の雪』と『アルノーと檸檬』が好きだった! 特に『アルノーと檸檬』、終わり方も檸檬の香りのようにスッキリ爽快感のある終わり方で心地よすぎる。 伊与原さんの物語は若干生きづらさを抱える人が出てくるけど、前向きな気持ちになれるので好きです。

    0
    投稿日: 2025.05.14
  • takahiroのアイコン
    takahiro
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    これもじんわりとはきましたが、今まで読んだ作品と比べるとかなりあっさりめ。今回は地学よりも生物の割合が高い。鳩の話が良かった。もっとディープな世界に連れて行ってもらって大丈夫です。

    1
    投稿日: 2025.04.28
  • 夲子のアイコン
    夲子
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    このレビューはネタバレを含みます。

    科学を物語にしてくれて感謝です。 論文に知的興味を持てない自分には大変ありがたい。 『八月の銀の雪』 地球の内核に降る鉄の結晶。清田の心の核に、堀川の言葉が欠片になって降り積もったのだろう。こうやって人はお互いに与えあったもので核を作る。なんて優しい願いが込められてるんだろう。 学生街の大学生が「アフィリエイトが〜」と友達と話していたので、この話の内容はきっと今でも進行形。 『海に還る日』 小学生の時、何かの影響か、はたまた現実逃避か、鯨になりたかった時期があったことを思い出した。それで頑張ってロバート・シーゲルの『歌うクジラシリーズ』を読んだ。殆ど内容覚えて無いけど、氷の下を命がけで泳ぐことは印象深かった。 母になった友人たちは盛んに「与えてあげたい」と言う。お金、環境、愛情。それも大切だとは思うけど母がいてくれて幸せそうである事の方が、大切だと思うのだ。 「当たらなかった」人生がその後も恵まれないなんて決まっていることではない。 『アルノーと檸檬』 科学者は興味のためには他の何も目に入らなくなる。倫理も含めて。鳩の不思議を追うためには愛していても解剖するんだな… 新聞記事の伝達に伝書バトを使ってたのはそんなに古い話じゃない。知らないことっていっぱいある。 『玻璃を拾う』 珪藻アートを調べてみたら、綺麗な表紙が印象的だった絵本が出てきた。そうか、これが正体だったのか。甲状腺異常は今年疑いがあった病気でちょっと調べたので良くわかった。科学オタクと繊細ケバ目女子の優しいラブストーリー。亡くなったお母さんは残念だったけど、きっと精一杯、襷を渡したんだなぁと思う。心がほっこり。 『十万年の西風』 一番読み応えがあった。「風船爆弾」は最近よく目にするようになった。どんな技術であれ、戦争になれば兵器に利用せずにおかない。9.11直後に炭疽菌の生物兵器がテロに使われた事は先日の読書で初めて知った。日本もやろうとしてたんだな。戦後80年でやっと詳らかにされ始めた事が沢山ある。だけどそれは歴史になるどころか、消えつつある。関心が向けられない物は残り得ない。原発事故でさえも。かつて近くに住んでいた私も、その問題には辰郎と同じように立ちすくんでしまう。 どの短編もフィクションであっても血が通った人間だと思える。科学的知識を学べる物語の底に、読者への励ましと、世界の美しさを伝えたいという意思を感じる。心ある小説。何度も読みたい。

    5
    投稿日: 2025.04.26
  • タテヨコのアイコン
    タテヨコ
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    短編集で面白かった。表題はベトナム人の留学大学院生。地球のコアについて。そのほかクジラの標本絵?を描く女性、伝書鳩のアルノー。今までどの本も科学系の題材を使った小説、くらいに思っていたが、立て続けに短編を読むと、科学的題材をどこまで小説にできるか実験というか論文でも読んでいる気になってきた。どれも手法が同じだからかもしれない。いや別にけなしているわけではないのだが。

    2
    投稿日: 2025.04.23
  • ken7ynwaのアイコン
    ken7ynwa
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    ネイチャーライティングというかサイエンスライティング。 ちょいと主人公たちの境遇がありがちというかメロドラマっぽさはあったけども、特に鳩と鯨の話は沁みました。 さっそく珪藻アートをググってやったぜ。

    2
    投稿日: 2025.04.20
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    きよきよ
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    弱った心に勇気を与えてくれるそんな優しい短編集。胃腸炎で寝込んでいた私に元気をくれた。 地球の核、クジラの声、伝書鳩、珪藻アート、風、など自然の壮大なチカラに、癒され、励まされ、人生に迷っている背中を押される。 わかりやすく自然科学について書かれているので、読みやすい。知らない事ばかりで勉強になった。地道に研究し続ける方々が居らっしゃるから、私達の今の暮らしがあるのだろう。尊敬の念を抱く。 科学とヒューマンドラマをミックスした新しい文学。もっともっと知りたい気持ちになった。 さぁ、そろそろおかゆでも食べるとするか。免疫力を上げてウイルスをやっつけよう。人間の持つ治癒力を信じよう。

    25
    投稿日: 2025.03.29
  • yama3plusのアイコン
    yama3plus
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     5つの短編が収められています。私は表題作の「八月の銀の雪」が好きかな。  「月まで三キロ」と「八月の銀の雪」を読んでみて感じたのは、私の中学か高校の時の担任の先生が伊与原新さんだと良かったのに...と。  誰もが読んでわかるように伊与原さんは間違いなく「理系の人」なのに、こんな素敵な物語も書けるということが素直に凄い!と思います。大谷選手ではないですが「二刀流」ですよね?  そんな人が自分の担任の先生だったら、生徒の感情の機微にも気付いてくれるし、将来の職業についても何でも相談できて、進路について的確なサジェスチョンを示してくれそうな気がします。なんとも自分勝手な妄想であいすいません。

    7
    投稿日: 2025.03.26
  • Queenアニーのアイコン
    Queenアニー
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    短編集だが読みごたえがあった。 伝書バトの話と最後の話が心に残った。 暖かさと寂しさと懐かしさが混じった気持ちになる本。 最後はそこはかとなく希望を感じられて!心地よい読後感でした。

    2
    投稿日: 2025.03.22
  • JINN051のアイコン
    JINN051
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    自分の明るくないが、興味のある分野を絡めた話なので、興味深く読めたのもあったが、加えて人間の生きづらさ、失敗と再生などのヒューマンドラマが絡み合って面白かった。 全体的に重いが、最後は前向きになれる、そんな気持ちにさせてくれる。

    17
    投稿日: 2025.03.19
  • あまぐものアイコン
    あまぐも
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    このレビューはネタバレを含みます。

    表題作の他 海へ還る日、アルノーと檸檬、玻璃を拾う、十万年の西風。 科学に裏付けられた真実が傷ついた心を救う物語。 漠然と見ていた景色が、科学に基づいた真実とともに語られると、まったく別の様相を見せ、それまでの頑なさを解きほぐしてくれるのかもしれない。

    1
    投稿日: 2025.03.18
  • 2250323番目の読書家のアイコン
    2250323番目の読書家
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    伊予原さんの本を何冊か読みましたが、直木賞を受賞された「藍を継ぐ海」の雰囲気と似ていると思いました。 伊予原さんの本は地学、科学だけでなく、動物学、戦争を通しての平和学など、私が今まで知らなかったこと、興味がなかったものにまで目を向けるきっかけを作ってくれます。 「海へ還る日」と「十万年の西風」が好きです。 解説にて「月まで三キロ」以降より作品の方向転換があったとの事、どちらかと言うと最近のものを読んでいたので、次回はデビュー作なども読んでみたいと思いました。

    3
    投稿日: 2025.03.15
  • バリュー投資家ひよのアイコン
    バリュー投資家ひよ
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    本書には五編の短編が収録されていて、どれも非常に良かったのですが、一番心に響いたのが表題作の「八月の銀の雪」でした。 主人公とコンビ二のベトナム人女性との交流の中で、いくつも心に刺さるフレーズがベトナム人女性から発せられます。 その中でも、私のお気に入りは、「思わない会社、ダメですよ。」、ですね。 いいフレーズだと感じました。 今まで読んだ著者の作品で、ハズレは一つもないので、今後も、著者の他の作品をどんどん読んでいきたいと思っています。

    3
    投稿日: 2025.03.09
  • ヤスのアイコン
    ヤス
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    五話の短編集。 自然科学や生命から自分の生き方を顧みることで前向きになる、すっと染み込んでくる本でした。 二話目「海へ還る日」のなかで、「大事なのは、何かしてあげることじゃない。この子には何かが実るって、信じてあげること」この言葉は深く心に残ります。 特に良かったのは、三話目「アルノーと檸檬」のラスト。 あとは、四話目「玻璃を拾う」の野中の現状分析は笑ってしまたけど、わかるような気がする笑 最近はミステリー続きだったので味変してみましたが、やっぱりミステリーの方が自分には合うかなぁ(´∀`)

    31
    投稿日: 2025.03.09
  • hatchan0610のアイコン
    hatchan0610
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    海へ還る日の宮下さん 大事なのは、何かをしてあげることじゃない。この子には何かが実るって、信じてあげることだと思うのよ。 玻璃を拾う 学生時代、7年住んだ万里小路あたりが出てきて驚いた。

    10
    投稿日: 2025.03.04
  • hibiのアイコン
    hibi
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    「本質をとらえる」ということを実にうつくしく描いた表題作で鷲掴み。5篇すべて馴染みのないトピックでも、絶妙な組み合わせの出会いを通して灯る希望がラストシーンを照らす。最近偶然読んでいた奥山淳志『動物たちの家』、いしいしんじ『ポーの話』にも出でくるロマンある鳩レース。それぞれの作家がどう描くのか見るのも楽しい。

    3
    投稿日: 2025.03.03
  • まめた。のアイコン
    まめた。
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    科学と文学の融合。理系知識に乏しい私でも、どこにでもいそうな「冴えない人」「幸薄そうな人」が主役なので飛躍しすぎず読みやすかった。ただ、作品によっては、なかなか本格的な科学知識が濃厚に練り込まれているので、ちょっと疲れた。でも、それは伊予原さんを連続3冊読んだからかもしれない。短編集なら、個人的には「月まで3キロ」の方が好きかな。

    3
    投稿日: 2025.02.24
  • sansdieuのアイコン
    sansdieu
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    このレビューはネタバレを含みます。

    直木賞の『藍を継ぐ海』へとつながる短編集。この本でも、世間からはそれほど重視されていなくても、そして生活の安定や立身出世にはつながらなくても、世界の神秘、謎を探求しようと自身の人生を賭ける人々が描かれる。今回の題材は地震、鯨、鳩、珪藻の玻璃、凧、風船爆弾である。ただし、性別、年齢は違っても、登場人物が作者の分身のようだった『藍を継ぐ海』と比べると、作者はおっさんなのにまだ無理をして若者やシングルマザーになりきって、あるいは若者、シングルマザーを主人公として書こうとして、背伸びをしている観があった。

    2
    投稿日: 2025.02.10
  • 本好きの本間のアイコン
    本好きの本間
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    伊与原氏の一編には、短いながらも、人の温かさや深さを、豊富な語彙力を使って表現をしている。読後感は爽やかで、カタルシスを覚える。また、科学的な情報を介しているので、興味深く読め、新しい発見もできる。短編は物足りなさを感じるためあまり好みではないが、私の価値観を大きく変えてくれる一冊となった。

    4
    投稿日: 2025.02.08
  • 澪のアイコン
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    このレビューはネタバレを含みます。

    面白い。爽やかな気持ちで読み進められた。 直木賞受賞の報をきっかけに手に取った。5編の短編が収められている。どの物語も、風を感じる物語だった。 『海へ還る日』が一番好きだった。シングルマザーと女の子が、博物館に勤務する女性と出会う。鯨の育児に、自分の育児を重ね、鯨を思いながら自分は1人ではないと思い直す。 科学は、普遍的な何かを教えてくれる。その何かは、悩んだ時に助けになる考え方だったり、俯瞰的に物事に対峙する術だったりする。 他の著作も読みたい。

    10
    投稿日: 2025.02.07
  • 群馬パース大学附属図書館のアイコン
    群馬パース大学附属図書館
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    https://paz-library.opac.jp/opac/Holding_list?rgtn=00056996

    0
    投稿日: 2025.01.29
  • tomoyafujineのアイコン
    tomoyafujine
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    生きづらさを感じながら生きている主人公たちが自然科学を愛する人との邂逅により心が癒されていく様子を描く短編集。 表題作の作品は就活がうまくいかない大学生と地球物理学を専攻するベトナム人学生との邂逅を。 2作目は周囲から孤立しがちなシングルマザーとクジラの博物学者との出会いを。 3作目は日々疲弊する派遣社員と伝書鳩に魅せられた男との出会いを。 4作目は世間に求められる女性像に疲れた女性と珪藻を使った芸術作品を作る男との出会いを。 5作目は元原発作業員と元気象学者との出会いを。 人の社会から離れて我々が生きている地球の不思議に目を向ける心の豊かさを忘れてはいけないと思う作品でした。

    5
    投稿日: 2025.01.23
  • ピンのアイコン
    ピン
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    ちょっと理系の5つのお話。1話50頁ほどなので少々物足りないけど、科学の内容は知らない事ばかりでどれも興味深い。後書には参考文献がずらりだ。

    3
    投稿日: 2025.01.22
  • kokoronotsubasaのアイコン
    kokoronotsubasa
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    伊予原新さん初読み。 五話の短編。 淡々とした筆致なのだけれど、後半に隠されたわずかな光に心がさらわれる感覚。 理系の作家さんだから、ということでもないのだろうが様々な題材が描かれていて、読むことで見識が広がるのも楽しい。 他の作品もぜひ読みたい。

    3
    投稿日: 2025.01.17
  • ミルキックのアイコン
    ミルキック
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     地学や生物学など自然科学を織り込んだ短編集。  伊与原さんは初読みでしたが、文系の私にも分かりやすい表現で読みやすく科学に興味が湧きました。物語自体も心に染みる物ばかり。  くじらの絵、見てみたいなぁ。

    2
    投稿日: 2025.01.15
  • ruiruisnow9のアイコン
    ruiruisnow9
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    科学に 興味を持たせてくれる短編。 伝書鳩と珪藻アート この話が良かった。 伊予原さんの作品 また読みたい。

    2
    投稿日: 2025.01.03
  • 谷山志村のアイコン
    谷山志村
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    海へ還る日、がよかった。 主人公の足もとがさらさらと崩れていくような不安がしんしんと伝わってくる。関わる人の優しさに堪えていた涙がぽろんとこぼれる。海の塩を含んだちょっと湿った風や砂の匂いがしそうなお話。

    3
    投稿日: 2024.12.25
  • 9678のアイコン
    9678
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    伊与原氏著書2冊目読了。理科系のネタを題材にした短編集。やはり題名にもなっている八月の銀の雪が良かったです!地球サイズの話から微生物の世界まで、視野が少し広がる気がします

    4
    投稿日: 2024.12.15
  • 愛のアイコン
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    どのお話もよかったです。ホッとするというか、いいんだと思えるというか。科学がこんなにしっくりお話に馴染むとは。

    2
    投稿日: 2024.11.17
  • ひとみのアイコン
    ひとみ
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    やる気と気力が落ちていたところ、こちらの本を読みました。 いろいろな思いを抱えながら時に孤独な環境のなか、自分の興味ある世界に生きている方やその方から影響を受けながら前を見つめるきっかけになっていくところが、今の私に響きました。 余計なことを考えず没頭できること、自分が共感できることを頑張りたいと思いました。 科学的な内容で難しい部分あったので、もう一度丁寧に読み返したいと思う一冊でした。

    2
    投稿日: 2024.10.19
  • kazekaoru21のアイコン
    kazekaoru21
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    やはり、うまくいかない人たちが出てきて、閉塞感を抱いている。そんな人の心に変化をもたらしてくれたのは、科学と自然の力。 地球惑星科学を専攻された、研究者である著者が描くお話は、私の全く知らない科学の知識が、わかりやすく存分に織り込まれ、段々引き込まれていきました。 特に、海へ還る日、アルノーと檸檬、が良かったです。 帰巣本能というハトの習性。何百キロ飛んでも元の場所へ帰ってくる驚異的な能力に感銘を受けると共に、帰る場所を失った人の孤独と重ね合せ、故郷を想い自分の人生と向き合う姿に心打たれました。 科学が人の不安や困難を取り除けるわけではない。しかし些細な取っ掛かりで、光が見えてくることもあると思います。どれも、冒頭の一文にぐっとくるし、大きく事態は変わるわけではないが、それでも主人公たちの心が満たされてゆく、という終わり方が好きです。

    31
    投稿日: 2024.09.22
  • ユッディのアイコン
    ユッディ
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    就活に関する標題作と、家族に関する4つの短編が 収録された、全5編からなる短編集。 理系の作家さん故か、科学と絡めた話が散りばめられており、5編とも分野(工学、生物、地学など?) も様々で、それらが塩梅良く、アクセントとして話に奥行きをもたらしている印象。 一見、変わり者でも、その人の背景や生い立ちを知ると、先入観が消え、見え方がガラッと変わるということを改めて実感した気がします。

    11
    投稿日: 2024.08.31
  • haji07-2024のアイコン
    haji07-2024
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    08月-10。3.0点。 短編集。この作者らしく、科学のエッセンスをちりばめている。 読みやすい。

    2
    投稿日: 2024.08.23
  • セシルの夕陽のアイコン
    セシルの夕陽
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    今月に読むに相応しいと温めていた。 科学と文学を融合する伊与原新作品は2冊目。 「地球の核」「クジラの生態」「伝書ハト」「珪藻(けいそう)の美」「原子力」をテーマにした5話短篇集。 科学に疎くてもとてもわかりやすく、そしてストーリーとキレイに調和している。 主人公たちは生き辛く、目的や意義を見失っているが、だんだんと道の先の灯を見つけていく。 生物学をテーマの話しが多くとても興味深かった。表題【八月の銀の雪】、戦争にも触れた【十万年の西風】は今月にぴったり。 読み終えた今、ちょっと賢くなった気がしてる(気のせい( ´ ▽ ` ))

    13
    投稿日: 2024.08.14
  • mo12inoのアイコン
    mo12ino
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    長編だと思ってたら短編集だった けど、どれも読みやすくて良かった 日常というか人の背景に科学が要素にあるだけでSFってわけでない それが良い

    0
    投稿日: 2024.08.11
  • PEANUTSのアイコン
    PEANUTS
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    想像していたより読みやすい! 短編ということもあるけれど、難しく書かれていないからすっと入ってくる。 日常の決してハッピーでは無い部分を上手く切り取って見せてくれる。だから感情移入しやすいのかもしれない。

    32
    投稿日: 2024.08.03
  • yasushi-noのアイコン
    yasushi-no
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    短編5編。それぞれ、何かしら不幸な、もしくは、満たされない生活を送っている主人公。主人公たちは何かとの出会いの中で、生活に光を見つけ出す。 話はそれぞれおもしろかったが、短編集で少し物足りなさも感じた。

    1
    投稿日: 2024.07.20
  • TaHiのアイコン
    TaHi
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    伊与原新「八月の銀の雪」読了。どの短編もうちに秘めた悲しみや苦悩を優しく描く一貫した姿勢に感服した。特に玻璃を拾うの珪藻とまつ毛の話が素晴らしい展開で良かった。珪藻アートはググるとすごいですね。あと中谷宇吉郎のウサギの毛と少し重なった。あと電子工作の青年とベトナム留学生のお話も。

    6
    投稿日: 2024.06.30
  • シキモリのアイコン
    シキモリ
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    自然科学を題材に、失意の底から立ち直ろうとする人々の姿を描くヒューマンドラマ短編集。毎話異なるテーマを取り扱うので、物語の構成が定型的であれども、新鮮味が色褪せないのは著者の特色と言えよう。しかしながら、今作では人間ドラマに科学的な題材をミックスする従来の手法に些か無理が生じており、前作「月まで3キロ」に比べ、ドラマパートと科学パートが密接に融合し切れていない(上手く関連付けられていない)印象を受ける。前作は両者があまり違和感なく融合していたので、今作は前作ほど楽しめなかった。あくまで個人の感覚の話です。

    2
    投稿日: 2024.06.18
  • morikoyunaのアイコン
    morikoyuna
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    このレビューはネタバレを含みます。

    個人的に、珪藻のお話が好きだった。 男性から見たら、女性はみんな平均的で均一だと、ヒストグラムだと山形だろうというが、その実ぜんぜん違う。化粧で覆われているだけで、中身はいろいろある。女性というのは一筋縄ではいかないのである。全くもってその通りだ。

    3
    投稿日: 2024.05.03
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    ますたぁ
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    科学が関係するヒューマンドラマ短編集 まぁ、いつもの伊与原新さんです 以下、公式のあらすじ ---------------------- 「お祈りメール」の不採用通知が届いた大学生は、焦りと不安に苛まれていた。 2歳の娘を抱えるシングルマザーは、「すみません」が口癖になった。 不動産会社の契約社員は、自分が何をしたいのか分からなくなっていた……。 辛くても、うまく喋れなくても、 否定されても邪慳にされても、 僕は、耳を澄ませていたい――地球の中心に静かに降り積もる銀色の雪に。深海に響くザトウクジラの歌に。見えない磁場に感応するハトの目に。珪藻の精緻で完璧な美しさに。高度一万メートルを吹き続ける偏西風の永遠に――。 科学の普遍的な知が、傷つき弱った心に光を射しこんでいく。表題作の他「海へ還る日」「アルノーと檸檬」「玻璃を拾う」「十万年の西風」の傑作五編。 ---------------------- ・八月の銀の雪 人類が宇宙に行く時代となっても、身近にあって未知の存在という地球の内部 地球の内部の話は胸熱だよなー どうなっているのかは断片的な情報から推測するしかない 所詮人類が把握できているのは、卵の殻程度のスケール そんな表面ですら深海の最深部にま未到達ですしね あれだけ熱く語れる人だから研究者になれるというのは実感としてよくわかる ・海へ還る日 クジラは、水棲哺乳類という不思議な存在 肺呼吸なのに、常時呼吸ができるわけではない海に帰った経緯に興味がある 本当に不思議な存在ですよねー 知能に関しての話も興味深い 人間は自分達の基準で物事を判断しようとするが、クジラ達はそれとは違った文明を持っている可能性 町田そのこ「52ヘルツのクジラたち」を読んだときも思ったけど 異なる周波数の声は、仲間たちに本当に聞こえてないんですかね? 人間が把握できないコミュニケーション方法とかの可能性あると思う ・玻璃を拾う 自然の生み出した美 世の中には自然の中に潜む規則性があったりする フィボナッチ数列なんて種や花弁の合理的な生え方だし、黄金律なんてそこかしこに隠されていたりする それと同様に、人工的に不純物を含まない物質を作るのが困難でも、自然化にはそれを容易に作る生物がいたりするからねぇ それがミクロの世界でも起こっているという事実 そしてそれを見つける事ができるのも科学という構造が胸熱だよなー ・十万年の西風 科学者倫理について 表題作ではないけど、私にとってこれが一番のテーマに感じた 科学の立ち位置って時代や使われ方によって如何様にも変わる 自分の研究している事がどう使われるのかまで科学者が考える必要があるのか?という命題 科学技術に善悪があるわけではなく、使う人間に悪人がいるという考えもあるけど 果たしてどこまで科学者本人が想定しなければいけないのか ノーベル賞だって、ダイナマイトの発明が発端ですからね 掘削工事に利用すれば平和的だけど、使い方を変えれば戦争で人を殺す武器にもなる 今作の研究は、気象の観測によるジェット気流の発見が、遠くの大陸への爆撃に使われるなんてどう予測しろという話ではあるんだけどね 科学技術がどう使われるかは別問題と切り捨てるのは分かりやすいけど、果たしてそれでよいのだろうか? 科学に限らず、何かを研究する人には哲学がなければいけないし それに伴う倫理観も同時に求められるべきだと思う そこを手放してしまうのは無責任でもあり、ある意味でもったいないとも思う 基礎研究とか、自分の興味の赴くままに探求するという姿勢でもいいけど、そもそも何故それを研究するのか?それがわかるとどうなるのか?という大局的な視点は本来の研究にも役立つ思考なはずなので 私が研究者の隅っこの端くれだった分野だと然程悪用されるようなものではないけど 生命倫理とか、遺伝と種の関係を人類に当てはめると、民族間の優劣や差別に繋がる研究とも言える 人間も生物の一種であるわけで、根源的な存在理由や目的は他の生物と変わるものではない 私のボスだった人やその分野の常識として、野生動物の原理と人間の原理を混同してはいけないという主張だったけれども 個人的には上記の通り人間も生物なわけで、多種には見られない高度な社会性があろうが、結局は生物としての特性に従っていると思っている それを前提に、私個人の行動や生き方はそんな原理を理解した上で歯向かおうとしているという面倒くさい存在なのだろうなと自覚している いやぁ、それにしても伊与原新さんの物語は、科学に携わった経験のある人にとっては響くところがある話ばかりですねぇ

    10
    投稿日: 2024.02.26
  • Jon Jonのアイコン
    Jon Jon
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    すべての話が、最後はぼんやりと終わる感じながら、良い余韻を残している。 不幸を抱えている人が多く出て来るが、暗い感じにならなくて、科学のかたい話しがちりばめられるが鬱陶しさを感じることなく、心地よく読めた。

    20
    投稿日: 2024.01.27
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    shuzo music&book
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    地球の内核 クジラの生態 伝書鳩 珪藻 偏西風 科学や自然の神秘と人間模様が見事に絡み合う短篇5篇。 参考文献の多さとそれを作品に見事に活かす著者の技量に驚かされる。 表題作の大学生に過去の自分を重ね合わせる。 イルカの生態を深く知りたくなる。

    2
    投稿日: 2024.01.01
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    Kazuko Ohta
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    すごく良かったかと聞かれるとそうでもなかったような気がするのに、妙な心地良さが残ります。 ぎすぎすした世の中で、自分の思うようには事が運ばず、ふて腐れているところを人に見せたりはしないけれど、鬱々とした気持ちで毎日を過ごしている主人公たち。でも意外とまわりには幸せな瞬間が落ちていて、それを拾えば前向きになれるかもしれない。少なくとも、嫌いだった自分のことが好きになれそうに思います。 どの話も好きでしたが、『アルノーと檸檬』が心に残りました。単なる檸檬つながりで高村光太郎の「レモン哀歌」を思い出したりもして、ちょっぴり切なく。 伝書鳩に詳しくなれます(笑)。鳥が苦手だったのに、鳩の見方が180度変わる。

    1
    投稿日: 2023.12.25
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    ニセ人事課長
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    その雰囲気が捨てがたかった「月まで三キロ」の作者さん。皆さんの★もまずまずだったので手にしてみた。 コミュ障で就活連敗中の大学生、天涯孤独なシングルマザー、役者への夢破れた不動産管理会社の契約社員…、そんな主人公たちが思いがけない出会いからもう一度自分の生き方を見つめ直していくお話。 それぞれのお話自体も良かったが、それ以上にそこで語られる地球内部の構造や音に包まれるような鯨の歌、磁場を“見ている”という鳩の帰巣能力の話などが興味深かった。 それらは物語ともうまくマッチしていて、とりわけ表題作では、地球の中のもう一つの銀色に輝いている星の上に鉄の結晶の小さなかけらが雪のように降り積もる情景が目に浮かぶようで素敵な気持ちになった。 最後の話は、凧の話から放射能の発見や風船爆弾の話に発展し、多少説明がくどい話ではあったが、再び原子力発電に回帰しようとしているこの国の政策やいつの間にかウクライナやガザでの戦火が日常になった世界の姿など、本が書かれた当時にはなかった憂いを感じ取れる、とても締まった話だった。

    59
    投稿日: 2023.12.24
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    チーズ
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    このレビューはネタバレを含みます。

    得られた知識を人に教えたくなる。 珪藻アートを検索してみたらとてもキレイだった。ちょっと興味ある。 地球の核とか、クジラはずっと考えてるとか、ハトが地磁気分かるとか、珪藻がつくるガラスとか、なんかスゲーッてなった。もっとそれらの詳しいこととか、他の自然や生物の不思議についても知りたくなった。 「玻璃を拾う」の二人はこれから恋愛に発展するんやろうなぁ、って感じだと思うけど、出会い方が珪藻アートってなんか良いなぁ〜と思った。 原発と風船爆弾の話はすごい引き込まれた。

    2
    投稿日: 2023.12.23
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    Miz
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    短編小説。色んな何かの事情で生きる希望を無くしかけてる人たちがひょんな出会いから立ち直っていく話。これだけ考えるとよくある小説だけど、一つ一つで蘊蓄や珍しい話が盛り込まれていて勉強になった。

    1
    投稿日: 2023.12.11
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    りせ
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    読むとちょっと賢くなれたような それぞれの題材が知らないことばかりで面白い短編集。 珪藻が気になって調べたら本当に綺麗で驚いた。 知らないことを知れる 本を読む醍醐味を感じられた。

    1
    投稿日: 2023.11.20
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    ぽっぽ
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     全て専門的な話が含まれており、知識が広がりました。 普段読むジャンルとは違う味わいのある、興味深い話でした。  授業だと頭に入らない自信があるが、小説だからなのか、スルスルと頭に入ってきました。  良い読書体験でした。

    6
    投稿日: 2023.10.28
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    reso100
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    へー! そんな事もあるんだ と快適な驚きの読後感に浸れる短編が5本.伝書バトの出てくる「アルノーと檸檬」が良かった.園田正樹の真面目な行動が思いがけない事実とそれに纏わる人物を見つけだしたのは、彼のこれからの生活に大いなるプラスとなることを予測した.「玻璃を拾う」の休眠胞子こと充の超精密な手作業.母雅代さんのおはぎの香と何故か上手くマッチしていると感じた.

    1
    投稿日: 2023.10.20
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    パラン
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    短編だけど満足感のある5編。 いちばん好きだったのはやっぱり “海へ還る日” どの話でも、人間って表面を見ただけでわかることって本当に少なくて、それだけで判断するのってある意味悲しいことだと思った。 それを、自分のことを語りもしない自然から教えてもらうような作品だった。 この宇宙で生きる、地球と、鯨と、鳩と、珪藻と、風と、そして人間。 そんな存在たちがあってこそ生まれる物語をみた。

    1
    投稿日: 2023.09.11
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    おはぎ
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    2023年69冊目 伊与原新さん/八月の銀の雪 以前紹介した「月まで三キロ」に続く、 自然をモチーフにした短編集。 私のお気に入りは「海へ還る日」。 国立科学博物館(上野)がモデルになっているようです。 #読了

    2
    投稿日: 2023.09.02
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    Miz0508
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    二話目の「海へ還る日」がとても良かった。同じ鯨を題材にしているお話なら、52ヘルツよりもこちらの方が断然に好みです。

    1
    投稿日: 2023.08.28
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    ころん
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    このレビューはネタバレを含みます。

    5つの短編からなる作品集。それぞれの短編で登場する人物はどれも魅力的でした。表題の「八月の銀の雪」が特によかったです。見た目や仕草など、人を表面上で判断していた主人公が、ある女性に悪い印象を持っていました。しかし、彼女と色々話す中で、実は彼女は誰よりも芯を持つしっかり者で、広い心の持ち主だとわかります。人それぞれ個性があり、話してみて、お互いを理解しようとしたとき、本当に相手のことがわかるのだと思いました。

    2
    投稿日: 2023.08.05
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    YK
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    五篇の短編は、地球、クジラ、ハト、微生物、気象といういずれも理系っぽいモチーフでありながら、でも人の心情に寄り添う物語ばかりだった。 表題作でもある「八月の銀の雪」は、地球の層構造を人間になぞらえて、表面と、見えない地中の深くは違い、誰も本当のところはわからないという話。就活がうまくいっていない主人公が、下に見ていたコンビニ店員の真の姿を知って少しずつ変わっていく物語。地球の内部で降る金属の雪が「銀の雪」らしい。誰も見たことがない、仮説の風景だけど幻想的だなと思う。 そのほかの話も、シングルマザーが深海のクジラに共通点を見出して追い詰められていた心を救われる物語、家を飛び出し20年実家に帰れてない青年がハトの帰巣本能に自分を重ねる物語、珪藻という美しい外殻を持つ単細胞生物をきっかけにありのままの姿の大事さに気付く物語、原発関連の職に就いていた男が、海岸で凧を揚げる初老の男性と出会って、自分の過去と今の家族を重ねる物語、といった感じで、少し不遇で傷ついている心を持つ人たちが、それぞれ出会ったものを通じて少し癒される物語ばかり。 理系っぽい話が多いのは著者が、東京大学大学院理学研究科博士課程修了、地球惑星科学専攻であること大いに関係があるのだろう。地球に興味を持ち、専攻した著者だからこそ書ける物語だなと思う。もとはミステリのようなロジカルな作品を書いていたようだが、こういった理系モチーフの文学的作品は個人的に結構好きな部類だなと思った。

    1
    投稿日: 2023.08.01
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    白夜
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    どの話もすごく好き! 情景が浮かんでくるようにスッとお話の中に入れるし 題材も興味深くわたしの好きな分野とも被っているので余計に面白かった。 静かな内容なのに惹きつけられる。 作者さんの他の本も読んでみたくなりました。

    1
    投稿日: 2023.07.29
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    mone
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    「八月の銀の雪」「海へ還る日」「アルノーと檸檬」「玻璃を拾う」「十万年の西風」 伊与原さん2冊目。クジラの歌やハトの帰巣本能のことなど、今回も学びが多かったです。 それに加え各話の読ませる力!それぞれの主人公がある人と出会うことによって、行き詰っていた場所から踏み出す過程がいいですね。 中でも「玻璃を拾う」の話が素敵でした。 珪藻と聞いたら「珪藻土のマット」しか思い浮かばず、、珪藻アートというものがあるんですね。 最悪な出会いをした瞳子と野中の関係性が変わっていくのも良かった。 休眠胞子こと野中が選り分けた珪藻を見てみたいです。

    4
    投稿日: 2023.07.24
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    ウォーリー
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    良い話なんですが、なんだろう、きっと数ヶ月後には全部忘れてしまっていると思う。。こっちの方が万人受けするんでしょうが、個人的には地軸の小説みたいなとんでもないやつの方が印象深くて好みでした。

    1
    投稿日: 2023.07.13
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    midori
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    すごーくよかった 今いる世界だけじゃなくて 色んな角度から世界とか地球とか宇宙とかを見たり考えたりしてみると、今ある悩みなんてちっぽけな気がしてくる(まあ、それわそれで大変なんだけどね) 読後がとてもスッキリ! [八月の銀の雪」地球の真ん中 「海へ還る日」ザトウクジラの歌 「アルノーと檸檬」磁場を見ているハト 「玻璃を拾う」微生物の美 「十万年の西風」戦争と気球 どれもよかったです。

    1
    投稿日: 2023.07.09
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    type-d3
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    理系っぽい話(それも工学ではなく理学の方)だなと思ったら,なるほど天文系か.山なし落ちなしの短編集なんだけど,なかなか雰囲気のある作風で好感が持てる. 「八月の銀の雪」コミ障の就活生のお話.地球の内核ってそうなんだ.知らなかった. 「海へ還る日」生活に疲れているシングルマザーがちょっとパワーをもらう話かな.果穂ちゃんはしっかり者なんだから,そんなに悲観することないよ. 「アルノーと檸檬」夢をつかみ損なって,まあそれはそれなんだけど,そう割り切れるものではないよね.でも,少し前向きになれたかな. 「玻璃を拾う」いい出会いなんだろうか. 「十万年の西風」うーん確かに半減期十万年は気が遠くなる.でも十万年後にも風船爆弾を運んだ西風は吹いているんだろうな(このあたり天文系の人の時間スケールっていう感じ).

    1
    投稿日: 2023.06.30
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    marin2011
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    科学という切り口と、喪失による主人公たちの気持ちが合わさった時、こんなにも素晴しい物語を生み出すなんて…。 人はこれまで知らなかった知識や出来事に触れると感動するものだけれども、それが自己再生へと繋がる流れは、伊与原新さんの作品以外に見たことがない。もちろんこの手法だけで読者の心を揺さぶることはできないはずで、やはり文体の優しさ、物語の温かさが相まって感動するのだと思う。編の短編からなる本書だが、参考文献の多さに驚かされる。裏付けされた科学と優しい物語にとても癒やされ、前向きになれる。

    4
    投稿日: 2023.06.29
  • ゆのアイコン
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    東京大学大学院理学系研究科博士課程修了の著者が描く、サイエンスに魅了された人々の話 大きな事件などは起きない、静かな物語 しかし、その静けさの中に輝くものを見つけた気がした 地球の内側、鯨の生態、凧による気象観測など、これまで知らなかったことを知ることができてとてもよかった

    3
    投稿日: 2023.06.27
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    としなが
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    単純にいい作品だったなあ、としみじみと心に残りました。現代社会の生きづらさや閉塞感を力で無理矢理壊そうとするのではなく、繊細にそっと寄り添ってくれるような、優しい作品集だったと思います。 収録作品は5編。いずれの作品でも、地学や生物学、原子物理学など、科学のエピソードや知識を交えて話が展開していきます。 この手の作品って、下手な作品だと知識とストーリーの結びつけが中途半端で、どっちつかずになってしまうイメージがあります。短編だとなおさら難しいと思うのだけど、この短編集は5編とも結びつけが素晴らしかった。科学に対する面白さや興味、そして登場人物たちの物語、どちらも引き立てる。 時に科学は数字、実験、化学式のイメージが先行して、そこに人の営みが感じられないこともあります。しかし、この本を読んでいると、科学のエピソードが、時にロマンチックに、時に血の通った物語として機能していく。個人的に表題作『八月の銀の雪』の地質学者のエピソードの読み解き方と、地球の核のエピソードはめちゃくちゃロマンチックで好きでした。 そうした科学を読み解く視点というものが、登場人物たちに対する優しい視点にも現れているようにも思います。 また『八月の銀の雪』の話になりますが、就活生に対する視点の新しさと優しさが印象的だった。就活=無個性、社会のレールに従ってる、と悪いイメージで語られがちな気がするけど、そこの視点を鮮やかに切り替える。そして科学者のエピソードが、表面から分からない人間の真の部分を解き明かす手がかりとなっていく。 『八月の銀の雪』が本の初めに収録されていますが、これを読んだ段階で、素晴らしい一作だと確信できました。 無機質になりがちな科学に命を吹き込み、登場人物たちを導く光へ変える。科学と人間ドラマを巧みに結びつけ、読者に深い感動を与える傑作でした!

    6
    投稿日: 2023.06.25