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東京大学の式辞―歴代総長の贈る言葉―(新潮新書)
東京大学の式辞―歴代総長の贈る言葉―(新潮新書)
石井洋二郎/新潮社
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総合評価

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    常に世の注目を浴びる東京大学の式辞集です。 「今年はどんな内容を語ったのか」とニュー スになることは多いです。 そんな過去の式辞が一冊の本としてまとめら れています。「東京大学歴代総長式辞告辞集」 です。 東京大学創立120周年を記念して刊行され( 1997年)、それまでの式辞をまとめたもので す。 そこでは19世紀末から20世紀末までの内容 に限定されますが、時代背景を密接に関わる 式辞内容に驚かされます。 この本ではそれらの式辞を紹介して、時代と 共に移り変わる式辞内容を紹介しています。 日本の頭脳の頂点でもある東京大学の総長で あっても、戦前戦中はこういう考えだったの か、と改めて時代の勢いとは凄まじいと感じ ます。 ただ、時代を経て現代に通じる一貫された メッセージは「ノブレスオブリージュ」です。 得た知識、知見を広く世に還元することに務 めなさいと説いています。 背筋が伸びる一冊です。

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    投稿日: 2025.01.20
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    能力と機会を与えられたものが負う責任 時間軸に沿って時代をあぶり出す 総長が国立大学の頂点に属すること、社会に出るにあたり、何を伝えたか 何が変わり普遍的なことは

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    投稿日: 2023.12.15
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    東大視点の日本近現代史という内容で興味深い。何と言っても転換点は南原繁と矢内原忠雄であるが、「国策大学」から「国立大学」へという時代的背景があるとは言え、キリスト教的価値観が色濃く出ているのは賛否があるだろう。 その他、印象に残ったのはフンボルトを引用した林健太郎の式辞で「学校とは出来上がった解釈済みの知識を扱うところであり、大学は学問というものを、未だ解決されない問題として扱うところである」という文言で、大学関係者はどの程度認識理解しているのだろうかということは現在でも問われ続ける課題であるように思える。 これに関連するというわけでもないのだが、本書の難点は式辞がセレクトされ且つ著者の解釈が色濃く出ていているので、それに引っ張られないように疑う姿勢が必要だということだろう。できることなら本書に留まらず、式辞の原典集を説明抜きで読んでみることが大事なのかもしれない。

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    投稿日: 2023.06.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    第二次世界大戦中、東京大学の総長であっても自由に発言することが許されず、戦争を賛美するような式辞しかできなかったというのが、まず驚いた。それもあってか、戦後の総長の「軍閥・超国家主義者等少数者の無知と無謀と野望」によって推進された物であったと戦争を一刀両断しているのは気持ちよかった。 矢内原総長の旧制の学生と新制の学生の対比も面白かった。どちらも、東大生という日本のトップレベルの学生たちに対し、一長一短を言っているところがとくに。また、寛容の精神にも触れており、現代にも通じる話もあったが、筆者が言うように寛容の精神が大切ではあるものの、寛容しすぎのいまの社会もどうなのかと思ってしまった。

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    投稿日: 2023.05.13