
ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの殺人事件
橋本治/集英社
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総合評価
(2件)4.5
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- chittka"powered by"
1983年8月刊。橋本治34歳、『その後の仁義なき桃尻娘』の次の書き下ろし作品。いま読んでも(orいま読むからこそ)、おもしろい。2022年に集英社から新装版が出た。 1983年1月14日に始まる殺人事件。その頃のニュースやTVドラマも登場するので、まさにリアルタイム小説。探偵役は25歳、東大卒のイラストレーター、田原高太郎。彼の独白や内言と会話の形で物語は進んでゆく。『獄門島』『犬神家の一族』『不思議の国のアリス』を用いるなど、伏線の張り方も巧妙。上質のミステリー……と思いきや 最初は、橋本治特有の語りや会話の冗長・冗漫さ、反復や反芻が鼻につく。ところが、不思議なことに、読んでゆくうちに、そのリズムとテンポにはまり、それが心地よくなる。 地下鉄丸ノ内線の御茶の水から池袋までの暗い雰囲気の描写が絶妙。解体される直前の東京教育大学の荒廃した建物の情景の描写もいい。1983年には確かにそうだった。 書名は、ヴォネガットの『タイタンの妖女』中のフレーズから採られている。これは、没後に刊行された未完の大作の副題(『人工島戦記、あるいはふしぎとぼくらはなにをしたらよいかのこども百科』)にも使われている。新装版の巻末では、仲俣暁生がそれについて解説している。
0投稿日: 2025.05.07 - youkeypp"powered by"
こういう饒舌な文体というのは、サリンジャーや庄司薫を思い出すが、もはや今の時代だと馴染みないものに感じられるのだろう。 たくさんの自注のようなノリ突っ込み。その時代には当たり前であった時事ネタや文学的なお約束。 文体は楽しめる。さて、ストーリーについては、もう一回読み直す必要があろうか?
0投稿日: 2023.08.20