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最悪の予感 パンデミックとの戦い
最悪の予感 パンデミックとの戦い
マイケル・ルイス、中山宥/早川書房
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総合評価

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    コロナ禍初期におけるアメリカ衛生当局の動きを描写したノンフィクション。 一見退屈そうなこの話題だが、さすがはマイケル・ルイスというべきか、そのストーリーテリングの技は今作でも冴えている。 特にマン渓谷の山火事の比喩は印象に残る。 本書はトランプ政権(第一次)批判の書でもあるのだが、その支持者たちにとっては、本書は「ディープステイト」の手先が書いた偏向本である、と位置付けられるのだろう。 ゆえに、本書から読み取れる教訓が今後生かされるかどうかについては悲観的にならざるを得ない。 以下に本書の金言を幾つか引用する。 「”あわや事故”の事例を把握してこそ、本当の事故を未然に防ぐことができる。」 「いろんな事件の詳細を探っていくと、悪いのは人ではなくシステムだ、とわかります。人間の注意力に依存しているシステムは、うまくいきません」 「経験にはマイナス面もあるのだ、とカーターは感じた。『経験とは、同じ間違いを繰り返すうちに、自信を深めてしまうことなんです』。誰かのせりふの借用だが、カーターはこの言葉が気に入っている。」 「この一件を経て、ジョーは重大な事実を学んだ。彼はそれを『医学におけるラストワンマイル問題』と呼ぶ。企業は金になるものしか興味がない。学者は、論文になるものには関心を寄せるが、往々にして、論文ができてしまうと興味を失う。その穴埋めをするのが政府だが、現在のアメリカ政府はジョーにとって不可解な存在だった。」

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    投稿日: 2025.04.20
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    パンデミックの中奮闘した州/地方の保健所を中心とした戦記。日本も大概だったが、米国はもっと酷かったと。公衆衛生を守るために日夜奮闘する人たちがいて、正しい処方箋も対策もありつつも、実行に移されるまでの艱難辛苦。その時にたまたま適切な人や熱意のある人がいてなんとかクリアできたという感じ。これだけ教訓が蓄積されたにも関わらず、次回はもっと酷くなるかもという怖ろしさよ。

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    投稿日: 2024.12.16
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    マイケル・ルイス『最悪の予感 パンデミックとの戦い』ハヤカワ・ノンフィクション文庫。 100万人もの死者を出したアメリカの新型コロナウイルス感染症対策の失敗の本質を描いたノンフィクション。 2019年の終わり、中国の武漢で発生した新型コロナウイルスは瞬く間に世界に拡散し、世界にパンデミックという事態を招いた。 2020年1月初旬、自分は中国の広州に出張していた。春節の始まる直前に帰国したが、広州の街中はどこも民族大移動で混み合い、高速道路も大渋滞で空港にはギリギリのタイミングで到着したのを覚えている。その時には、まさか新型コロナウイルスなる感染症がこれほど広がるとは思ってもいなかった。帰国して間もなく、次は上海に出張する予定で航空券や宿の手配が済んでいたのだが、新型コロナウイルス感染症の影響で中止となった。 さて本作。遡ること2003年、アルバカーキの13歳の少女ローラ、の発見から物語は始まる。そして、サンタバーバラの主任保険衛生官のチャリティのエピソード。新型コロナウイルス感染症が確認される2019年とはかけ離れたところから、アメリカの新型コロナウイルス感染症対策の失敗を紐解いていくのだ。 一重にアメリカの新型コロナウイルス感染症対策の失敗は危機管理の欠如と国や州の判断の間違いが原因だろう。当時のおバカな大統領がウイルスは直ぐに消え去ると発言したり、紫外線が有効だと消毒液を注射出来ないかなどと発言し、混乱を招いた。 日本の当時のおマヌケ首相も使えない眼帯みたいな小さな布マスクを配布したり、10万円をばら撒いたり、飲食店だけに過大な補償金をばら撒いたりと、真面目に新型コロナウイルス感染症対策を考えているのかと言わんばかりの失策を繰り返した。 新型コロナウイルス感染症が確認されてから4年余りが経過したが、まだまだ油断は出来ない。中国ではJN・1なる変異種の感染が始まったと言う。 自分の父親は高齢者施設に入所しているが、つい先日、施設内で10人もの感染者が出て、念のために父親もPCR検査を行ったところ、陽性だった。幸い無症状で、一応薬を飲んだりして、今のところは全く問題は無いようだ。 本体価格1,080円 ★★★★

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    投稿日: 2023.12.29