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地球の果ての温室で
地球の果ての温室で
キム・チョヨプ、カン・バンファ/早川書房
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総合評価

25件)
4.1
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2
1
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    巻末に参考文献をみて、SFと言いつつもリアルで深く、面白い理由を見た気がした。ダストに侵食されて滅亡に向かう地球を復興を遂げた未来から紐解く。翻訳もとても良かったと思う。 未来からに研究者による調査という点がこの話が絶望だけにならないポイントだと思う。 愛について深く語られてはいないけど、姉妹愛や友情やあるいはその一歩先にある愛がそこかしこにあって、それがうまくストーリーをリアルにしてくれているなぁ。すごいなぁと思いながら読んだ。

    0
    投稿日: 2025.11.18
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    作者のSF第2作らしい。デビュー作はSF短篇集だったけど本作は長編。 面白いねぇ。 もちろんSFとしての設定は確かなものなんだろうけど、読んでいてSFらしさを感じない。サイボーグや未知の物質に覆われたディストピア世界なのに。それだけ物語として素晴らしい。 アフターコロナの世界を予見するような人々。人間の業は、特に欲望は未来永劫変わらないのでしょうね。破滅すると分かっていても欲望を制御できない。それでも生命はいつどんな時も生き残る道を探すのだ。

    0
    投稿日: 2025.09.24
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    ダストという毒物の蔓延時代を生き抜いた人々と、アマラとナオミの姉妹、レイチェルとジスの物語、そしてダストと謎の蔓草モスバナがたどる道。 滅亡寸前の悲惨な時代から、ようやく復興した地球。あのとき世界を救った、二人と二人の真実とは…。 コロナを彷彿させる描写ですが、私は最初なかなか読み進められなかった。第一章(100ページ)が終わってから段々と物語は加速しだすんだけどゆっくり語られていくような感じ。第二章のアマラとナオミの話が面白かった。第三章のレイチェルとジスの関係性には興味深かった。 ダスト終息はテクノロジーと全人類的な協力による勝利と受け止められてきたけど、本当はそれだけではなかった。 ダストを取り除く効果があるモスバナを各地に植え育てたナオミ、ジス、フリムビレッジにいた人たち、そしてレイチェルのお陰で人類は救われてたいた。 キム・チョヨプを読むのは「わたしたちが光の速さで進めないなら」から2作目。難しかったけど再生していく姿は清々しくもあって希望がもてた。

    5
    投稿日: 2025.05.16
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    ダストという毒物の蔓延により、動植物が死に絶え、滅亡の危機に立たされた時代を生き抜いた幼い姉妹・アマラとナオミ、そして謎の女性・ジスとレイチェルの物語。 過酷な状況の中、アマラとナオミが辿り着いたフリムビレッジでの生活は、束の間の平穏と、徐々に追い詰められていくことで破綻していく人間関係が上手く描かれていました。そんな中でも、“明日“を迎える希望を胸に、生き抜こうととする力強さがとても良かった。 ジスとレイチェルは、キム・チョヨプさんが作品のテーマとしている、分かり合えないものだとしても共生したいという関係性を感じました。 キム・チョヨプさんの、切なく物悲しい世界の中に、かすかな温かさを感じる眼差しがとても心に沁みる作品でした。

    16
    投稿日: 2025.04.04
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    SFストーリーで、人の温かさを感じられる一作 読みやすく、理解しやすいが 専門的な話もあり、未来のものも出てきておもしろい

    2
    投稿日: 2025.01.25
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    SFのいいところを凝縮した、素晴らしい作品でした。著者のキム・チョヨプさんは、作家ともう一つ物理学者という側面も持っているので、作品の 中にも化学用語とかがよく文章に投影されています。未来の世界を舞台に、ダストという毒物が蔓延された世界で、人々は外に出られない状況で、ドームシティーを創り出し密閉された世界で生きている。そんな蔓延された外の世界に、憧れを抱き、生きれる場所を探す姉妹がいた。 森の奥にダストに対応できる環境があると、植物の持つ再生と破壊が鮮やかな目線で描かれています。

    46
    投稿日: 2024.12.21
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    著者の短編集である「この世界からは出ていくけれど」、「わたしたちが光の速さで進めないなら」がとても面白くて、長編も読んでみたいと思い手に取った。 私はキムチョヨプさんの描く文章や世界観、人の心の温かさや愛情深さがとても好きなので、この本も総じて好きだし、好きな作家さんだと思った。 物語は3人の視点で描かれており、3つの物語が繋がって一つのストーリーになっている。それぞれ短編を読んでいるようでもあり、とても読みやすく一気に読める。 ナオミとアマラ、ジスとレイチェルのお話は、特に面白くて引き込まれた。著者は温かくて切なくてどこか悲しい人の感情を書くのが上手だと思う。 あと、著者あとがきの中の「わたしたちがすでに深く介入してしまった、後戻りできない、けれど今後も住み続けなければならないこの地球」、「とうてい愛せそうにない世界を前にしながらも、最後にはこれを立て直そうと決心する人々」という表現が心に刺さった。 ただ短編集にはあった、簡潔で無駄がないのに起承転結がはっきりしている点や、SFならではのワクワクする設定や気持ち、驚きが詰まっている点などの長所が損なわれてしまっていたと感じ、少し残念だった。 丁寧に全ての伏線を回収しようとしすぎて、終盤が冗長になってしまっている感じがした。

    3
    投稿日: 2024.11.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    これは、著者あとがきのことばで言うと、「とうてい愛せそうにない世界を前にしながらも、最後にはそれを建てなおそうと決心する人々」の存在を発掘していく物語だ。世界の中心を占める利己主義から逃れて生きることは困難だ。しかし、その外で生きようとする共同体も存在する。共同体では、連帯、利他主義が人々の間で大きく働いているものの、意外なことに、その根底では、片方によって調整された"女"同士の愛憎が存在し、また外からは敵が迫る。共同体は内外から必然的に崩壊していくが、「場所を移す」ことで世界は救われる。って感じかな。 全体としておもしろいけれど、第三章で論証が長いところは退屈だった。

    0
    投稿日: 2024.11.22
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    面白かった!続きが気になって一気に読んでしまった。 「この世界からは出ていくけれど」ではSF短編集といっても強いメッセージングの方がメインなのかな?と思っていたが、SFとしての設定やストーリーも好きだったので、今回の長編もSFとしてすごく面白く読めた。 他の国の訳書と違って、韓国語は日本語と文法が似ているからかすごく読みやすい。

    0
    投稿日: 2024.10.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    めちゃくちゃ面白い小説だった……!!! 翻訳小説は独特の文体があると思うのだけど、韓国語は文法が似ているからかこの作品ではその感じもおぼえず、本当に読みやすい文体でするする読めた。 するする読み進めたのはもちろん内容がめちゃくちゃよかったのもあって、SFって謎が解けたり時空を超えて何かが繋がったときに自分の脳内で小爆発が起きて面白さが加速する瞬間が好きなんだけど、そういう瞬間を1回だけでなく味わえた作品だった。 植物がキーとなるディストピアの舞台も魅力的だったけど、個人的に魅力的だったのはキャラクターの描き方で、アヨンの周りの人間関係もよかったし、後半核心に迫って描かれたジスとレイチェルが本当に……切なくて切なくて……胸がずっとギュッと掴まれてた……。 時系列や視点が入れ替わりながら進むのであとからじわじわあの人は……あの二人は……と想わされることも多かった気がする。 大人と子供の描き方も魅力的でよかった、ナオミ視点は児童書を読んでるみたいなワクワク感があったなあ。 ナオミとジス、アヨンとヒス(ジス)の交流の場面好きでした。 あとアマラとナオミがいっとき緩い連帯を持っていた女性たちもよかった。 絶望だらけで、人間がいかに脆いかを描きながらも希望の欠片を積み重ねて前向きな終わり方をしているのが素晴らしかった。勇気とか努力とか忍耐をもって希望の欠片を積み重ねているのが素晴らしかった……。 でもやっぱり一番はジスとレイチェルのことがしばらく心に残りそうだ〜。。。

    3
    投稿日: 2024.06.10
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    SF特有のマッチョな感じがなく、その時代、その環境にサラリと飛び込めるような文章や登場人物の設定が好き。SFらしくなく、しかしSFじゃないと書き得ない物語。描かれているものは普遍の苦さや焦がれる想い。

    1
    投稿日: 2024.05.27
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    この地球は植物のもの……人間その他の動物は植物に依存して生きている。 SFしかもディストピア小説で、人類自らの過ちから地球上の生物滅亡の危機という設定にも関わらず、健気でひたむきな主人公たちのようすが、素直に心に響く。 過去と現在を交互に描いているが、混乱もなくすんなり頭に入っていき、没頭してしまった。 ただ…… ほぼ、女性しか登場しない。なぜ?意図的? もう一つ、 舞台はほぼ、韓国、マレーシア、エチオピア。 これもなにか……。

    4
    投稿日: 2024.03.13
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    ポストアポカリプスでアフターコロナを感じるけど、著者はいつこのストーリーを思いついたのだろう。 蔓植物が世界に伝播していってたところは、「トップをねらえ!」のラストシーンの音楽が流れた。

    5
    投稿日: 2024.02.14
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    23/10/07 静かに朽ちてゆく、去ってゆくものと、それを抱えて生きていくことを、熱量最低限で書いてくれる作家。好み。

    2
    投稿日: 2023.10.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    前作の「わたしたちが光の速さで進めないなら」が好きだったので期待していたキム・チョヨプの新作。前作は短編であり物語を通じた社会に対するいろんな彼女の視点を感じた。一方で本作ではミステリー仕立てになっている点もあいまってストレートな物語の面白さがあった。  ポストアポカリプスものはSci-fiのテーマとしては王道だけども、その原因がミクロな物質および気候変動とという設定が興味深い。本作における「ダスト」はミクロかつフィジカルに人間を攻撃する厄介なもの。(黄砂が毒性持つイメージ)本著はコロナ禍で書かれたそうで、ミクロな物質の王道としてよく使われるウイルスだと現実からの飛躍が少ないからか「ダスト」という設定なのかもしれない。その暗澹たる環境の中で世代、国籍の異なる女性たちがストラグルする話がメインで、それを追いかける韓国の現代パートという構成になっている。  前半はダスト事変以後の世界でダストの研究を続ける韓国サイドの研究者の話が中心で、そこでは「研究」することの是非が描かれていた。日本だけに限らずCP、TP的な価値観の跋扈は進んでいるのだろうか。特に「研究」というのはすぐに結果が出るものではなく、時間をかけてこそ意味があることをにじませていた。後半にかけてはタイトルにもある本作最大のキーワード「温室」およびそこで育てている植物の謎へフォーカスしていく。ここが完全にミステリー仕立てでエンタメとして単純にオモシロかった。人間のコントロールによる結果とはいえ起死回生の一打が植物にあるというのは2023の今だと現実味を感じられた。ポストアポカリプスものに共通する「人間は己の驕りを知るべし」という教訓がそこかしこにあってコロナ禍を経た今だと考えさせられることも多い。そしてまさかの恋物語も切ない話だった…あと全体に著者の語り口の柔らかさでまろやかになっている気もした。セリフではあるもののたとえばこんなラインなど。対談本が出ているそうなので、そちらも読んでみたい。 *懐かしさと痛みは、いつも同時に訪れる。みんながみんな、それに耐える必要はないものね。* *心も感情も物質的なもので、時の流れを浴びるうちにその表面は徐々に削られていきますが、それでも最後にはある核心が残りますよね。そうして残ったものは、あなたの抱いていた気持ちに違いないと。時間でさえもその気持ちを消すことはできなかったのだから*

    5
    投稿日: 2023.07.29
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    前作の短編集が良かったのでこちらも読んでみた。SF感満載の設定と人と人(特に女性)のつながりを紡ぐエモーショナルな筆致が作者の持ち味なのかなと思う。淡々としつつもドラマチック。 今作では、毒霧に世界が覆われ地上が荒廃したディストピアで、必死に生き残る幼い姉妹と彼女たちが行き着いたいっときの安住の地、そのコミュニティの心臓部とも言える温室で謎の研究をしている姿を見せない植物学者と彼女を支え諭しながら村を守ってきた整備士、復興後の世界でふとしたきっかけで彼女たちのことを知ることになり真相に迫る後世の研究員が描かれる。 近未来のディストピアを描くSFの醍醐味もありハラハラドキドキする展開もあるのだが、やはり読後に感じるのは、「心の中に残り続けるあの人」「心の中に残り続けるあの風景」に対する、切なくて寂しくて懐かしくて愛おしい、胸がキュッとなる感情だ。エモSF……。各世代のシスターフッドが描かれているのも良い。ユンジェ先輩(主人公である研究員の先輩)良い先輩!

    3
    投稿日: 2023.07.22
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    ダストフォールという地球規模での災害が発生した後の世界。ドームに逃げ込むことができた人と、耐性を持っていた人が生き残って、世界を再建した。ダストの時期に、地球を覆っていた植物、モスバナが、今頃になって再発生したことから始まった調査だが、主人公アヨンの思い出につながる点があり詳しく調べていく中で、ダスト時代の人々の行動が明らかになっていく。 序文で作者本人が書いているのだが、この本の執筆時期がCOVID-19が最も深刻だった時期に重なっていたとのこと。小説の中のダストフォールが、現実のパンデミックと重なる部分もある。 とても面白かった。おすすめです。

    3
    投稿日: 2023.06.14
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    u~~~~~nn... なんだろ もう少し展開が欲しかったかなぁ〜 図書館で手に取り読んでみようかと思ったが... 少し物足りなさが残ったのも否めないかも...

    2
    投稿日: 2023.05.20
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    とつぜん繁殖した雑草の秘密をめぐってほどかれてゆく世界の歴史と、そこに生きた女性たちの物語。 どこか懐かしくて柔らかい、ロマンチックなSF物語。この世界はどうしようもなくても、もう立て直せないと思っても、それでも守る価値のあるものは存在する。世界がどんな形に変わろうともそれでも愛はそこにあるのだと、穏やかな文体が静かな力で描き出す。 出てくるモチーフひとつひとつがとても魅力的で知的好奇心をくすぐられるのと同時に、儚くも美しい光景が頭の中に広がっていく。 そして登場人物も。かつての機械整備士と植物学者がたどり着いた夢の果ては決して哀しいものではなかったのだと信じたい。 前作が好きだったので今作も購入。変わらずノスタルジーとロマンチックが溶け合った、静かに染み入る物語だった。

    5
    投稿日: 2023.05.17
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    巷に繁茂し出した雑草の謎を追ううちに、ひとりの植物学者はかつて滅びかけた世界の真実と、その時代を潜り抜けた女性たちの半生を知っていく。 途方もない災厄の中で醜く争う人類たちと、その中でも親愛を失わず、未来への希望も捨てきれずに生きる人々をやわらかく繊細に描き出し、やがて一人の科学者と整備士の深い絆を思い知ることになる。複雑な事情の絡んだ彼女たちのあいだにあった真実が明かされる終盤は、抒情的で切なく、とても素敵でした。 そして世界の危機に瀕した人々が、生きることに汲々としてわだかまりもあった彼らが、実は共通の行動を起こして未来を作っていた。そんな、どこか理想的だけれど、こんな善性を信じてみたいと思わせる真実に作者のやさしい視線を感じました。 ディストピアSFに区分される物語なのでしょうが、破滅や諍いだけでなく、その中で生きる人々の、愚かしくもいとおしい姿を繊細に描いた作品だと思いました。 すごく良かったです。

    6
    投稿日: 2023.05.08
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    「わたしたちが光の速さで進めないなら」 の抒情性はうすめられていた しかし植物はなんにでもなれる 人をピラミッドの頂点とし、その下に動物、植物はさらにその下とされてる見方を真っ向から否定する目からうろこの近未来SFだった 『地球という生態系において、人間はつかの間の招待客にすぎません』のことばに心が揺り動かされた

    5
    投稿日: 2023.04.10
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    やはり独特の情緒とやわらかさのあるSFを書かれる、好きな作家さんだなぁと感じる。今回は植物を通したシスターフッド年代記になっているのだが、とくにレイチェルとジスの言葉で定義できないような関係の描き方が、せつなくロマンティックで心に残った。

    2
    投稿日: 2023.04.05
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    デビュー作でもある前作の短編集から一気に大ファンになった作家さん。 待ちに待った新刊でウキウキしてあらすじを見るとどうやら今回は長編とのこと。 それもあってか前作よりも展開はゆったりとした流れ。 それでも中盤から終盤にかけて過去と現在が交差し運命が紐解かれていく様は圧巻だった。 終末という救いようのない世界を描きながら、まるで陽だまりの中に包まれるような安堵感を覚えるのは、やはり作者の優しい眼差し故なのかな。 前作から共通する、好奇心が揺さぶられるSF設定の楽しさと「あなたを知りたい」という人間的な願いの尊さが、引き続き素晴らしかった。 早くも次作が待ち遠しい。

    3
    投稿日: 2023.04.03
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    短編集「わたしたちが光の速さで進めないなら」が印象的だった、韓国の新鋭SF作家さんの長編作。品のある文体というか、静かで丁寧な文章は読んでてとても心地よい。途中それだけに短編集では感じなかった会話や描写が冗長に感じる場面もなくはなかったが、構成がしっかりしているので着実に読み進めることができた。ちょっとあの日本で有名なアニメの設定を連想させなくはないが、そこは気にせず読むのがよいでしょう。

    4
    投稿日: 2023.03.21
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    復興の歴史に埋もれた真実を追いかける植物SF。著者特有の、大きな物語の中に個人と個人の温かい繋がりを描く筆致は今作でも健在。 劇的な要素が少ないので少々淡白な印象だが、人類に対する嫌気と、それでもなお希望を抱こうとする想いは伝わってきた。

    2
    投稿日: 2023.03.16