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平原の町
平原の町
コーマック・マッカーシー、黒原敏行/早川書房
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総合評価

9件)
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    J.T.Hammer
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    国境三部作のうち、すべての美しい馬と越境には幾度も目を通していたものの、この平原の町は未読のままだった。前二作が余りに素晴らしかったためその続編たる本作には何となく期待を裏切られそうな気もしてずっと手を出さなかったのだ。だが流石はマッカーシーいざ目を通してみればその心配は杞憂に終わった ジョンに起きた悲劇はキリスト教では邪悪な生き物とされる山犬(ジャッカル)の仔犬を彼が助けたことでもたらされた災いのように思えてならない

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    投稿日: 2025.07.04
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    読む摘むことば
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    国境3部作完結。 ようやく読み終えたー。 馬の主人公ジョングレイディと越境のビルが同じ牧場で働いている設定、というのにまずしびれる。 ビルにとってジョングレイディは、弟のボイドと重なるところがあって、とても大切にしている。 ほかの大人たちもジョングレイディを見守っているけれど、そんな時間は長くは続かない。 1952年、街が大きくなって、馬と牛と共に生きてきたカウボーイが次第に行き場を失っていく時代が舞台。野生動物が追い詰められていく姿を見るようだ。 ビルが人生を穏やかに閉じられそうでよかった←それは本当にはまだ分からないけれど。

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    投稿日: 2023.06.05
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    なー
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    このレビューはネタバレを含みます。

    国境三部作の3作目。 焼けつく大地に生きる人たちは相変わらずシビア。 「すべての美しい馬」のジョン・グレイディと「越境」のビリーが同じ牧場で働いているって設定。 完全にジョン・グレイディが主役。 無理に三部作と銘打つ必要はなかったんじゃないかなあ。 ジョン・グレイディくん、学習しないんだわ。 またもや16歳の娼婦に入れあげちゃった。 やばい。 あと未読が「血と暴力の国」しか残ってない。 イシグロで学習したつもりだったのに・・・

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    投稿日: 2016.11.07
  • submarine7235のアイコン
    submarine7235
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    コーマックマッカーシーの小説に出演することは不幸である。不幸困難にに痛めつけられる運命はあらかじめ定められていると語られる。それは小説の中の彼らの運命であり、小説そのものでもあり、また現実である。ため息が出るほど悪い方向へ進む顚末のかろうじての救いとなるのは、老人たちの哲学である。

    0
    投稿日: 2015.10.01
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    pyonko
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    マッカーシーの国境三部作の最後を飾る…とは知らず、 越境を抜かしてこっちを先に読んでしまったことを後悔。 ジョン・グレイディが前作に増して、 悲しいほどまっすぐである。 彼の作品はどうも序盤からとっつきにくいのだが、 読みだすと止まらない。

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    投稿日: 2015.09.29
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    nomunoma
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    ボーダー・トリロジー最終章。時代からはみ出た荒ぶる魂たちが、ピカレスクロマンの先に己の終着点を見つけて行く。大胆な省略法を活かした冒険の描出がとにかく格好いい。

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    投稿日: 2012.09.16
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    chika
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    ジョン・グレイディの恋は一途で情熱的で、だからこそ破滅のにおいしかしない。「すべての美しい馬」の時もそうだった。 でも、それ故に悲しいほどに光り輝いて見えるのだろう。 見守る立場のビリーは、彼にかつて亡くした弟の影を見ている。 そんなビリーが、彷徨い続けた先に、落ち着く場所を見つけられたことに小さく安堵した。 同じ国境三部作の、前二冊よりは会話文が多く、読みやすく感じた。 そして二人の主人公の、それぞれの結末(それがどんな結末であれ)を確認できてよかったとも思う。

    0
    投稿日: 2010.11.03
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    ジャミラ
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    国境三部作の完結編。 1作目『すべての美しい馬』の主人公ジョン・グレイディと2作目『越境』の主人公ビリーとが共演する。 物語は、二人が同じ牧場に勤めているところから始まる。気のいいオーナーの元、多くのカウボーイ仲間に囲まれて、ジョン・グレイディもビリーも平穏な生活を手に入れたかと思わせる。 しかし、彼らも仲間もどこか落ち着かない。本作でも三部作を通して描かれてきたテーマ、失われつつある西部がモチーフだからだ。彼ら自身、自分たちの生活はもう時代遅れになりつつあり長くは続かないだろうことを知っている。そこから生まれる何とも言えない悲哀が全体に漂っている。 話の本筋は、ジョン・グレイディが惚れた女のために、ナイフでの決闘を挑み、命を落とすという、それ自身ある意味大時代的な筋書きである。 徹頭徹尾、彼は前時代の人間であったのだ。 主人公たちの生活は失われる運命にあった。三部作を通して共通していたのは、その哀愁を、全く大衆迎合的にではなく描ききっているところであり、個人的にはそこがこの三部作の魅力であるように思う。

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    投稿日: 2010.05.11
  • Morrisのアイコン
    Morris
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    ジョン・グレディは、「馬」のころにもまして 厄介の種に対して熱く真っ直ぐに駆け出しすぎる 喪失から再び彷徨いにいたるビリーは 世界や運命や人間というものに巻き込まれる ジョン・グレディは、個人であり ビリーは、個人を取り巻く世界 個人をつつむ運命と人間への問いかけだった。 私は、ビリーでいたい。

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    投稿日: 2010.03.20