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powered by ブクログ面白かった。 私の今の世の中に対するモヤモヤ感を表してくれている内容だった。 もう余力が無いのに経済発展と言うばかりの政治家や、ここ10年で増えた貧困、モノを売るために時間を費やしていた面白く無い仕事が多かった前職など。この本に一つの答えがある。 今の世の中に限界を感じている人は読んでみて欲しい。
0投稿日: 2025.10.05
powered by ブクログ☆☆☆ 2025年9月 ☆☆☆ 「マルクス主義者」を称する斎藤幸平氏が『資本論』を、マルクスの思想をわかりやすく解説する。まずは「富」の定義から始まる。「富」とは一般的にはお金そのものであったり、お金で換算される何か、という事でとらえられることが多いが、本来「富」とはもっと広い概念であると斎藤氏は述べる。 きれいな空気や豊かな自然、誰もが利用できる公園、図書館。これらはすべて人々にとって有益な「富」であると定義する。 資本主義はこれらの「富」を商品化し、お金がなければ手に入れられないものへと変化させていく仕組みである、と。 資本の力、暴力に対抗するためにこそ、コミュニズムという考えが重要で、人と人のつながり、支えあいこそが本当に豊かな社会を築くカギだとマルクスは考えた、らしい。あまり細かく書く余裕はないので、いきなり結論にいってしまった。 僕は『人新世の資本論』を読んで以来、斎藤氏の思想に共感するものであるから、『ゼロからの資本論』についても面白く読めた。僕が特に重要だと思うのは環境問題にかんするもの。特に日本人は環境問題に関心がなさすぎる。2025年夏の参院選でも、給付金か減税かといったテーマに終始してお温暖化については語られなかった。資本主義が自然を破壊し温暖化を加速させるという現実、問題にもっと向き合うべきだろう。
5投稿日: 2025.09.18
powered by ブクログマルコスの「資本主義」で見過ごされていた「ポスト資本主義」を再考すべきだと言う。それはパンデミック、戦争、気候危機などの慢性的緊急事態の時代から強い国家が要請される現代。これを放置すれば国家の力が強まってファシズムや全体主義となっていく、と予測。格差や搾取、戦争や暴力、植民地支配や奴隷制などの問題に向き合い、国家の暴走に抗いながら自由や平等の可能性を必死に考えるべきで、それから生まれる知恵と想像力から学ぶことが求められる、と言う。正に自国での政治不満が他国への侵略で国民の目を誤魔化し、暴走化し始めた。特にロシア、イスラエルなど自国強化主義・ファシズム化へと動き始めたことは、今後米国、中国などの大国への影響も大きく、世界不安を煽る動きは恐怖を抱えることになるかもしれない。
9投稿日: 2025.09.15
powered by ブクログ資本主義は人工的に希少性を作り出し、社会を貧しくするというのは、同じ著者の別の本でも語られていた。貨幣が持つ力は恐ろしく、所有に限界がない。それが資本主義社会のアクセルとなっている。 商品を有用性ではなく、貨幣的な価値として見るようになり、私たちはその大きく変動しうる価値に踊らされるようになった。 資本主義というシステムが労働者を貧しくさせているが、そのシステムに参加しないという選択肢はまず取れない。この経済システム、詰んでるのでは。 斎藤さんのような左派論壇がもっと表舞台に出てこない限り、難しそうだ。
8投稿日: 2025.09.14
powered by ブクログ「資本主義は永遠ではない」。斎藤幸平著『ゼロからの資本論』はマルクスを現代に蘇らせる。 経済成長を追い求める社会の果てに環境破壊と格差拡大が待つという警鐘は決して空想ではない。私たちは便利さの裏にある搾取と浪費に無自覚だったのかもしれない。 だが著者は言う。脱成長コミュニズムという新たな道がある、と。利益よりも人間と自然の調和を重んじる社会へ――資本論の眼で見れば未来の選択肢は意外にも豊かだ。
0投稿日: 2025.06.16
powered by ブクログあとがきから 本書は、『資本論』を使った、ひとつの問題提起です。 だから、この本は入門書だけれども、資本主義批判としてではなく、コミュニズム論にもなっています。 マルクスについての本は膨大な数があるのに、コミュニズムという視点から書かれた入門書がないことが、現在のマルクス主義や左派の低迷をもたらしていると思うからです。 著者の動機はそういうことですが、近年、いままで世に出ていなかったマルクスの研究の中身、思考の変化などについて、1990年以降、各国からの研究者が参加し、マルクスが書いた草稿や、新聞記事、書簡、メモ書きなどから、新たなマルクス像を確立しようというプロジェクトが立ち上がっているのです。 そのような世界的な動きに著者も巻き込まれているのですが、そういう立場でこの本の中身は展開されています。 中身ですが 第1章 「商品」に振り回される私たち 「物質代謝」としての労働 人間の労働は何が特殊か 『資本論』は「富」から 始まる 「商品」の正体 人間と自然の関係が変わる 目先の金儲けがやめられ ない モノに使われ、振り回される人間 「民営化」という名の囲い込み 社会の「富」が危ない! 等 第2章 なぜ過労死はなくならないのか 終わりのない価値増殖ゲーム 資本とは“運動”である 資本家が金儲けをやめら れない理由 「労働力」と「労働」の違い 長時間労働が蔓延するカラクリ 労働力も「富」 繰り返される「過労死」という悲劇 「自由」が労働者を追い 詰める 賃上げより「労働日」の短縮 等 第3章 イノベーションが「クソどうでもいい仕事」を生む ケインズの楽観と悲観的な現実 「より安く」と圧力をかける資本主義 誰のためのイノベーションか 「分業」が労働者を無力化する 人間らしさを奪うテイラー主義 無力な生産者は無力な消費者である 生産力向上で仕事にあぶれる ブルジェット・ジョブ 等 第4章 緑の資本主義というおとぎ話 資本の略奪欲は自然にも及ぶ 「資本新世」の理不尽な不平等 修復不可能な亀裂 『資本論』に編まれなかった晩年の思想 第5章 グッバイ・レーニン! ソ連とコミュニズムは別物 民主主義の欠如 官僚が特権階級になる仕組み 社会主義の皮をかぶった「政治的資本主義」 国有は「共有」とは限らない ベーシックインカムという「法学幻想」 ピケティとMMTの死角 ボトムアップ型の社会変革 福祉国家の限界 等 第6章 コミュニズムが不可能だなんて誰が言った? なぜマルクスは将来社会像を具体的に描かなかったか 『資本論』に収められなかったもの 原古的な共同体における「平等」 「唯物史観」からの転向 「脱成長コミュニズム」へ 「各人はその能力に応じて、各人にはその必要に応じて!」 パリ・コミューンの経験 古くて新しい「コミューン」 労働者協同組合のポテンシャル 「使用価値経済」への大転換のために 民営化ならぬ「市民営化」へ 各地で動き始めた「アソシエーション」 今こそマルクスみ学ぶ マルクスはユートピアの思想家である 読み終わって思うのだが、第6章で紹介された『各地で動き始めた「アソシエーション」』である。 資本主義という運動によって、長い人類の歴史で大事に守ってきた「コモンズ」が破壊されてしまった現代において、人類共通の「富」を取り戻す運動については、小さな点でしかない「アソシエーション」を如何に繋いでいくか、気の遠くなるような話しであるが、その明るい未来を想像しながら、資本主義という「運動」からの脱却をめざし、懸命な労働者・懸命な消費者でありたいものである。
0投稿日: 2025.03.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
これは良書。読むべき一冊です。 以下引用 生活に必要な財(住居、公園)やサービス(教育、医療、公共交通機関)が無償でアクセスできるようになれば、なるほど、脱商品化は進んでいきます。これらの財やサービスは、必要とする人に対して、市場で貨幣を使うことなく、直接に医療や教育といった形で現物給付されるわけです。 現物給付の結果、私たちは、貨幣を手に入れるために働く必要が弱まります。福祉国家は、もちろん資本主義国家です。けれども、脱商品化によって、物象化の力にブレーキをかけているのがわかるでしょう。
0投稿日: 2025.02.17
powered by ブクログ【★3】マルクスの資本主義の洞察は面白いし、資本主義が人間を操る魔力についても理解できた。しかし、かといって共産主義が使えるかと言うとこれはまた別の話だと思う。著者が資本主義の弊害の例として挙げる、若者の自殺や人々の不満は必ずしも資本主義によってもたらされたものではない気がする。今あるマイナス要素をすべて短絡的に資本主義のせいにしているように感じた。
0投稿日: 2025.01.20
powered by ブクログ改めて資本主義を理解したかったので読んでみた。資本主義は資本の増殖が基本にあり、私たちはいつの間にかその流れに組み込まれていると再認識。 労働力という商品を売り、再生産するために商品を買うという終わりのない一連の流れにどう立ち向かうかまで示してくれてるのはとても良かった。 また、資本主義社会における2つの自由が印象的だった。一つは強制労働といったことがないことの自由、もう一つは生産手段が持たないことによる自由。後者は自由によって、文句は言うけど結局会社の言いなりであり、リストラされないためにも労働者がより勤勉に働くという構造がとても皮肉だなと思った。むしろ働くほど効率化されて、自分の首を絞めるのだから。 上記に加え、構想と実行の分離という概念は目新しかった。分業により効率的に仕事ができるようになった反面、構想することはできなくなってしまった。ここでいう構想は状況に応じて自在に判断するなことであり、いわゆる経営者目線で働くみたいな小手先な話ではないと著者は批判している。例えば、店長がその日の天候等の状況に応じて売り場の商品を変えるとかそういう話ではなく、より大上段の原材料の仕入れ先、販路、営業時間など話です。それら大冗談の話は、より上層部によって決められているため、そもそも経営者目線で働くなんて耳障り良いレトリックになる。僕も毒されていたものの、これは痛烈だなと感じた。 入門書を読んだこともあり、原典の資本論に再び挑戦してみようと思う。大変良い本だった。
1投稿日: 2025.01.13
powered by ブクログ読み進めた時はとても面白かったけど、結論からいうと限りある人が意識して始めるしかないかなと思った。でも資本主義はこのままいけば限界になり、新しいことが必要なことはよくわかった。斉藤さんは同世代でとても頭がいい。すごい。
5投稿日: 2024.12.29
powered by ブクログ資本主義の限界を感じる昨今、ポスト資本主義の展望として実に読み応えがあった。脱成長コミュニズムの実践としてのスペインの事例の続報を待ちつつ、この日本において何ができるかをボトムアップで構想・実行していきたい。
0投稿日: 2024.12.18
powered by ブクログ“マンガでわかる! 100分de名著 マルクス「資本論」に脱成長のヒントを学ぶ”を先に読んでしまったので、その捕捉として読むのにちょうど良かった。
0投稿日: 2024.12.08
powered by ブクログマルクスの資本論からスタート。資本主義の文脈で見た物象化。100年前のケインズの予想は外れ、資本主義が進んでも就労時間は減るばかりかあまつさえ増えている。別の著者の本でもあったが、この本でも資本主義であるかぎり労働者は搾取される構造になっている旨が説明されている。お金持ちは色々サービスを外注するが、本人は何もできない不自由な存在。
0投稿日: 2024.11.22
powered by ブクログ社会主義というとソ連や中国などの共産主義をのことをイメージしがちである。しかし、晩年のマルクスによると市民が自分たちで自然などの財産(コモン)を管理し、共有していく、コミュニズムこそが資本主義にかわる社会主義だというのだ。世界は地球というコモンを共有している共同体だと言える。みんなでルールを決めて経済活動を制限しながら、人々が「豊かさ」を感じられる社会になってほしい。
0投稿日: 2024.10.14
powered by ブクログマルクスの資本論を読み直す、という企画の本です。 「なんだ社会主義化」「いくら資本主義が現代社会 に行き過ぎて格差や気候変動を引き起こしている と言っても、社会主義は今さらないよ」 と、感じる人がほとんどでしょう。 しかし書籍として世に出ている資本論は非常に 難解であるし、マルクス自身もその後様々な 研究を続けていて、社会主義とは異なる理想の 社会を見出したことが近年判明しています。 その理想の社会をキーとして、資本論を学び直す のが本書のキモです。 理想の社会の内容の是非は別として、資本論で 語られている資本主義の暴走は現代社会におい ては全く違和感がないことは理解できると思います。 これを1867年、日本では大政奉還のあった年に 出版したわけだから、すごいぞマルクス。未来 が見えていたのか。 「なんか最近働いてばっかりで週末は単なる消費者 でしかないなあ」と思った人は読むべき一冊です。 腹落ち間違いなしです。
5投稿日: 2024.10.06
powered by ブクログ資本論おもしれーのかも!!!ってなった。 本書はまず、資本論中の富、商品、労働と労働力と言った言葉を丁寧に解説してくれる。 次に現在世界で起きている過労死や格差、環境破壊について、資本主義の仕組みから必然的に発生するものだとわかりやすく教えてくれる。 そして、最後は読者へマルクスの最晩年の思想である『脱成長コミュニズム』というポスト資本主義社会を思い描ける希望を与えてくれる。 はじめは脱成長なんて突飛な思想に感じるかもしれない。書中のあるアメリカ人文芸批評家も「資本主義の終わりを思い描くより、世界の終わりを思い描く方が簡単」と言っているくらいで、自分も完全に同意。 けれども、その発想の貧困さこそ我々が資本主義に魂まで取り込まれた結果かもしれないとも思った。 本書終盤には世界各地で興るポスト資本主義の芽が紹介される。その実践を読むうちに、自分の思考の柔軟さが蘇るような気持ちになれた。 100年以上前にこんなことを考えていた賢人がいるなんて、、、人間の思考力って本当に凄いんだ。 是非次の時代を担う若者にどんどん勧めたい本。
0投稿日: 2024.09.03
powered by ブクログマルクス「資本論」の要諦を最新のMEGA研究も交えて読み解く良書。著者の「マルクス解体」は難しくてなかなか進まないが、この本で基礎を押さえてからなら読めそう。
1投稿日: 2024.08.13
powered by ブクログマルクスの『資本論』産業革命とセットの歴史用語でしかなかったが現代の資本主義社会の閉塞感から再び脚光を浴びている。 労働にだけ縛られず、お金に縛られず、価値観変えるにはやはり自らが動いて社会に参加しないとならない。
0投稿日: 2024.07.01
powered by ブクログこのままの社会でいい訳がないと漠然とした不安や焦り感じながらも日々漫然と暮らしている身に、明確な灯台の灯りが。懐かしい「大洪水よ我が亡き後に来たれ」今さら資本論でも無かろうと手にしたが、明確な現代社会の処方箋に。ただ脳が弾力性失ってしまったのか、途中から字面追うだけに。社会の富を商品化しようとするグローバル企業に対抗する共同体社会、脱成長型社会。困難な道だけど、修復不可能な亀裂に広がろうとしている今がギリギリの分岐点か。注目していきたい論者。
0投稿日: 2024.06.14
powered by ブクログ世の中のあらゆるプロダクトやサービスは成熟化し、いや、それを通り越して衰退期にある。にも関わらず、終わりなきニーズ探求、商品開発。営業は報告、現場が大事、他社との差別化を捻り出せといつまでも繰り返す。または、顕示的欲求をくすぐるためにブランディングやコマーシャル合戦。スタートアップのみが本質的なイノベーションを齎すならば、老舗企業の無意味なマイナーチェンジによる目新しくない新商品競争やそれによる既得権益維持は、害悪ですらある。 ブルシットで作られたブルシットな「商品」、そんなモノのために過労死する社会。資本家のみが肥えていく構造的問題。斎藤幸平は、こうした社会制度について、疑問を投げかける。もっとマシな社会があるはずだと。 人間の欲には限界があるはずだが、誰もが、競争弱者を避ける為に、際限なく求め続けざるを得ない。リミットを設定しなければ、その恐怖感や承認欲求から、より上位へと、他者の視点による価値を意識して登ろうとするのだろう。 どこかで斎藤幸平は富豪の収入に制限をつければ良いと言っていた。更に、価値観を変革し、顕示的な価値の否定を組み込めないものだろうか。考えさせられた一冊である。
55投稿日: 2024.06.09
powered by ブクログ毎日毎日何でこんなに働いているのだろうと思って手に取った本。 資本主義が進みすぎた結果、私たちが生活していく上で物やサービスに対し当たり前のように金銭のやり取りが発生してしまっており、この生活を続けることにより更なる賃金が必要となり労働増えていくのだなと理解した。 金銭のやり取りが大量に発生しないと経済が回らなくなるのでは?と危惧していたが、そもそも資本主義の結果ブルジットジョブ(本書では広告業、コンサル業)が増え不必要な商品が世の中に溢れ環境も悪化しているし、日本では人口減も避けられないので、本当に必要な仕事に人材を回して無駄を省くような経済にしていかないと維持が難しいのでは?と思った。
0投稿日: 2024.06.08
powered by ブクログ面白かったー!現代社会の身近な出来事を例に引きつつ、「資本論」やマルクス思想の意義を問い直している本。難解な名著を噛み砕いて解説していて分かりやすかったー! 資本論=学生運動のバイブルというイメージでしたし、旧時代の象徴と思い込んでいましたが、まるで今の時代の処方箋のようにも読めるのですね。 (※私は「資本論」自体は未読です) ただ、この資本論的ユートピアが、どこまで現実社会にコミットできるのかは分からない。 表層的な理解のまま共有されたり、時の政権に利用されるのは危うい。 それこそ歴史の例として、現実の社会主義国家の実態とか、 岡倉天心の「アジアは一つ」の言葉だけが一人歩きし、大東亜共栄圏の支えにされてしまったことを教訓にしないといけない。 本書で解説されている「使用価値を重視する社会」の本質は、マオリのマナ思想が近いのかなと思うのですが、 「コミュニティの貢献度」が、例えば「生産性」などという貧しい言葉に置き換えられて社会に浸透してしまったら、分断は進んでしまう。 カネからは脱却できても、共同体や社会が求める「能力」を贈与できない者は、尊厳や相互扶助といった関係性から排除されるのか?という問題が出てくる。 また、カネの介在しない贈与社会が実現したとしたら、モノや能力の価値が一定ではないわけで、交換には人と人との信頼が大前提になる。 それって、資本主義に慣らされた私たちにとって、個人の成熟度がすごく求められる気がする。 ご近所付き合いでの物々交換とはわけが違って、グローバル化が進み、多様な価値観が尊重される広いコミュニティ下での贈与行為は、高度な倫理観も鍛えていかなきゃいけない。 あとは、上昇志向に代わる価値観として、社会から承認されることがもっと重視されていく気がする。 …と言っても、SDGsの考えが自然と身についている若い世代の方々が、ボランティアや環境保護活動に積極的な様子を見ていると、 そう悲観することもないかな、世の中は時々立ち止まりながら、ゆっくりと良い方向に向かっていくのかな、とも思います。
1投稿日: 2024.05.22
powered by ブクログわかりやすい。わかりやすいゆえに、もっともらしいけど実は大多数の市民の感性からみて異形のプリズムを透過した虚像を、あたかも真実のように錯覚させてしまう。罪深い。
11投稿日: 2024.05.21
powered by ブクログ難解なマルクスの資本論について齋藤氏なりの解釈で解説してくれる本。 前作の人新世の資本論の方が主張が超尖ってて、指摘が鋭くハッとするような本だったが、今作はけっこう解説よりなので目新しさはないかも。
0投稿日: 2024.05.21
powered by ブクログマルクスや資本論に関するイメージが変わった。 正確にいうと、中国やソ連での社会主義とマルクスの掲げる社会像の違いを理解できた。 資本論自体は難解だが、本書は身近な事例を通じて説明しているため、大変読みやすかった。 構想と実行の分離が進んだ結果や、労働力を商品化した結果などの部分は全労働者が共感できる部分ではないかと思う。 ユートピア像として、納得できる部分もあれば、現実だとそうなったらやりたくない役割はやらずにどうなってしまうのかななどとも考えてたり、何かと現代人にとって考えさせられるところが多かった。
0投稿日: 2024.05.19
powered by ブクログ生活への考え方が180度変わる。経済を回すことは人間の生活とは根本的に必要はないとわかった。おすすめです
0投稿日: 2024.04.30
powered by ブクログ今まで資本論を読んだことがなく、ちょっとぐらい知っておきたいなと思いnhkの100分de名著を読もうと思ったら加筆された文庫版があると知って読んでみた! 資本論の概要というよりは、資本論を通じて現在の資本主義経済に対する投げかけという形で理解をしていくものでしたが、分かりやすく、想像してた資本論とは違っていて面白かったです! とはいいつつ、他の本も読んでもう少し知見を広げたいなと思いました。同時にアダムスミスやトマピケティの本も読まなければと思ったので、少しずつ読んでいきたい!
0投稿日: 2024.04.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
資本主義の本。さすがで、とてもわかりやすくて面白い。 メモ ・資本主義とはあらゆるものが商品となり富の対価とされるということ。 ・商品にするために自然に働きかける行為が労働 ・資本主義以前は人間の欲求を満たすために労働があった。資本主義以降は資本を増やすことが目的となった ・価値のためにものをつくる現在はものに振り回される形に。使用価値のためにものをつくっていた時代は人間がモノを使っていた ・資本とは金儲けの運動 ・自己責任の感情を持って取り組む労働者は無理やり働かせられる奴隷よりもよく働くが、自分を追い詰めてしまう ・ギルドのようなモノが分解され個別化すること手間、搾取なども行われやすくなる。資本家に自由に差配されてしまうように ・構想と実行の分離 ・社会主義は国家資本主義 ・必要な財やサービスが無償でアクセスできるようになればなるほど、脱商品化は進んでいく。
3投稿日: 2024.03.29
powered by ブクログマルクスの話は学生時代の授業で習ったくらい。どうしてもソ連、みたいにつながってしまい、あまりいい印象がなかったが、本書を読むとソ連がマルクスの思想そのものとも思えない。むしろ、いまの時代だからこそ、こうした考え方を理解した上で、どう振る舞うのかを考えてもいいのかなと思わされる。大量生産、大量消費。資本主義による成長ばかりを描く世の中。そこに対する疑問は感じてしまう。消費に消極的になれ、というわけではなく、消費の意味を考えるべき時代なのかな。それに合わせて作り手も考えるべき。それが脱成長と言えるかは??少なくとも右肩上がりな成長路線の資料が飛び交う企業の在り方は考えた方がいいように思われる。成長の先になにかあるのだろうか?
0投稿日: 2024.03.20
powered by ブクログマルクス=社会主義=ソ連、北朝鮮とか中国で、ヤバいんじゃないの?という印象を変えてくれた。 これらの国々は、労働者が搾取されているという点では資本主義とは変わらないということ。 マルクスの想定したユートピアの実現には程遠いが、まずは現実と理想を知ることが大切。
7投稿日: 2024.03.12
powered by ブクログコミュニズムや社会主義と聞くとおっかない話を想像してしまうけどそうではなく、かつてあったものを見直して、これからの社会に適合させていこうって提案なんだなと思った
1投稿日: 2024.02.11
powered by ブクログ資本主義の特徴や問題点とマルクスの資本論から考える未来社会の在り方について考えさせられた。資本主義=資本家による本来は人類のコモン(共有財産)であるはずの自然や富の収奪・労働者の搾取であり、彼らは地球や労働者の事はどうでも良く、とにかく生産力を上げて資本を増やすことを目的とする。このような社会では貨幣や商品の力が強くなり、お金を持たない人は市場から排除されたり、人間が逆にモノに振り回される物象化が起きる。 資本の暴走を止めるためには、例えば、教育や医療、公共交通などを無償化して脱商品化を進めて、商品や貨幣に依存しなくても良い社会を作る。脱経済成長、脱商品が進めば、資本家から自然などのコモンを取り戻すことが出来る。そして、食べ物や衣服、本などをみんなで相互扶助するコミュニズムの精神が広がれば、資本家の力や利益追求の動機を弱めることができる。社会主義=危険な思想だと思っていたけど、こういう貨幣に依存することなく、資本と労働者の格差が無くなり、助け合いの社会ならアリなのかと思ったし、こういう未来社会になって欲しいなと思う。 また、近年では資本主義に立ち向かうムーブメントも起こっていて、欧州やアメリカなどではZ世代の若者を中心とした、家賃高騰に対するデモや環境運動など、希望も見える。自分もこの本を読んで、資本主義に対する怒りやコミュニズムへの支持が深まったから、こういうデモに参加してみたいな。 他にもマルクスは労働者の搾取を防ぐためには、賃上げよりも労働時間を減らすことが重要で、労働時間の短縮が家族との時間などを増やすことに繋がり、それが人生の豊かさに繋がると言っていたり、資本主義下での構想と実行の分離や分業化が労働者の働くことへのやりがいや豊かさを奪い、結果的に労働者の富を奪っていると説いたり、マルクスの思想にも触れることが出来た。150年以上前の本なのに、長時間労働や過労死とか現代にも残る社会問題や低賃金で労働者を搾取する問題などの本質を突いていて、凄いなと思った。 どんなに技術革新が進み生産力が上がっても、労働者の労働時間がマルクスの時代から変わらないのは、資本家の生産の目的が沢山モノを作って、資本を増やすことだから。この意識が変わらない限り、いくらAIが発達しようが、これからも過労死や長時間労働はなくならない。少なくとも今の資本主義は変えなければいけないなと感じた。
1投稿日: 2024.02.10
powered by ブクログ資本主義社会の構造を解いてマルクス論から今後あるべき社会を提起している書籍。私も含めて日本の多くの人は資本主義が浸透し拡大してきた社会の中で育ってきたので、頑張らないと、という意識が強く、定年が引き上げられ学び直しを求められ、と見えない圧力に押されるように生きている。それがこういう構造だったのか、と納得がいった。富を大事に、搾取する側の人に踊らされないように生きたいと思った。
0投稿日: 2024.01.13
powered by ブクログ資本論の入門書でありながらも、全てを商品化し、見えないうちに労働者に果てしない自己犠牲を強いるシステム資本主義の限界を指摘し、マルクスの思想からこの先、人類が生き延びるための新しいシステムの可能性を示唆する一冊。ソ連、中国の社会主義は民主主義がない国家社会主義であり、マルクスが意図していた労働者、民衆が中心となったコミュニズムとは相反するとする。社会的基盤をボトムの人々が共有し、かつ、環境を破壊することがないシステム。たしかに現状を鑑みると、それしかないという気はするのだが、実際にそれを現在存在する資本主義のシステムの中で生活しながら作っていくことはかなり難しい。この本がかなり売れていることからも、多くの人が同じような問題意識を持っていることは想像できるのだが、それぞれがどこから手をつけるか。残された時間はそう長くはない気もするし、この問題提起はかなり重い。
2投稿日: 2024.01.07
powered by ブクログ「マルクス=社会主義」ではなく、資本主義の問題点である物象化からの脱却を、コミュニティやアソシエーションによる互助によりコモンの回復を図るための考察。 自然をぶち壊し、べらぼうな格差社会を生み出した現在の資本主義が、とうに限界に達していることちついては疑いの余地がない。
4投稿日: 2023.12.27
powered by ブクログとても読みやすく面白かった。 どうしてもマルクス=社会主義というイメージは、ロシアや中国などの専制国家を連想させてしまうので、あまり良いイメージを持たなかったのだが、この本を読んでそのイメージががらりと変わった。 マルクスと社会主義の認識を改めさせてくれた。 ここでは富という概念は、資産を多く持ち裕福な生活を送るためのお金や物品などといったものではなく、自然環境や知識、労働力といった「コモン」という誰もがアクセス可能な共有財産として捉えられている。 現代の資本主義社会においては、そのコモンを解体し一部の資本家が占有することで、共有財産が「商品」化してしまうことにより様々な弊害があると説かれており、行き過ぎた資本主義社会の欠点を見事に指摘していると思う。 しかしながら、現代の貨幣制度の中では、お金は絶対的なものであり、そこからの脱却=自由は、孤立や不安をどうしても生み出してしまう。 新たな社会基盤、ポスト資本主義として理想論に感じる部分もあるが、よりよい社会を描くためのヒントがここには書かれていると思う。 個人的にこれを読んで思ったのは、「官から民へ」といった構造改革や労働者派遣法、トリクルダウンなどといった政策は、資本の運動を増長させるだけで、皆にとって良いことだと喧伝された割には、あまり意味をなさなかったのだなと思った。
2投稿日: 2023.12.18
powered by ブクログ第1章 「商品」に振り回される私たち 第2章 なぜ過労死はなくならないのか 第3章 イノベーションが「クソどうでもいい仕事」を生む 第4章 緑の資本主義というおとぎ話 第5章 グッバイ・レーニン! 第6章 コミュニズムが不可能だなんて誰が言った?
0投稿日: 2023.11.27
powered by ブクログ素晴らしい本だとは思うのですが、ちょっと初期の本に比べて背負ってるものが大きいような印象を受けました。個人的には筆者のもっと自由に書いた本が読みたかったです。 ウーバーの本の頃から言われていることへの反論をベースにしている気はしているのですが、かつて実現していないものからの反論なのでどうしても理論上になってしまうため、地に足がつかない印象を持ってしまいます。概して人間や実社会の解像度が低く見えてしまいます。 また、マルクスガブリエル的なSNS論、大量生産大量消費、グローバルサウス、フェミニズム、福祉国家、土壌汚染まで…リベラル系で流行りの論点が網羅的に盛られており、これも反論を意識してるようにも見えてしまいました。 コミュニティ、コモンなどどの規模で行うのか、国全体なのか一部で運用するにしてもどの範囲で行うかがより興味深いと思うのでお話聞いてみたいです。結局これまで実現していないことは重要視すべきと個人的には思っていて、脱成長コミュニティがこれまでの共産主義とは違っていて、どんな社会でどんなメリットがあるかの話も良いのですが、それを扱いうる人間がどのような人で、そのような人間になれるのか?が個人的には大事なのではと思いました。どんな世界でも利権保持の動きが出ることや権力が偏ることはどうしても避けられないと思うのですが、この辺はどちらかというと宗教的な話に近くも感じました。
1投稿日: 2023.11.03
powered by ブクログ資本主義がもたらした弊害について、なるほど、と感じた。一方で、資本論をもとに著者が考える世界への転換について、魅力は感じなかった。その世界では、おそらく皆が善人でなければならないこと、煩わしい人間関係が必須であること等、ユートピアを維持する方向性を想像してしまうと、げんなりした。その感覚も、資本主義がもたらした弊害なのかもしれないが…。
5投稿日: 2023.10.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
資本論は読んだことがないがここまで噛み砕いて書けているのは筆者の研究の深さを示すものだと感服した。 星4つにしたのは、結論部分が漠然としているため。 「コモン」の復活、「アソシエーション」の構築によって資本主義に代わる世の仕組みを形作るというが、具体的にどうすれば?と思ってしまった。 筆者の別の書籍には書いてあるのかも知れない、もっと読んでみようと思う。
0投稿日: 2023.10.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
とても分かりやすい。が、じゃあこの人の言うマルクス主義的なユートピアが実現したとしてそこに住みたいかというとそうはなれなかった。 現実的にはやはり抜本的な改革よりも、今の社会構造に改良を加えていく方が良い(住みたい)と思ってしまう。この本の例にもあったように必要財の脱商品化を進めていく、というようなボトムラインの引き上げについての考え方は賛成だが、上を引き下げて自由な平等社会に!というのは疑問が残る(大谷選手の年俸を1億にしてしまうような社会は望まない) 18.19世紀であればマルクス主義的ユートピアは実現しうるものだったかもしれないが、ここまで人口も膨れ上がり、社会が更なる富を知ってしまった現在において、世界が(高次の)共同体社会に回帰するというのはやはり理想論に感じてしまう。自分が所有しているかはおいといても、今社会にある富を全て投げ打ってでもそうした原始的な脱成長コミュニズムに加わりたいと思う人はどのくらいいるのでしょうか? ただ勿論、この本を読めばマルクス研究というのは現代社会においても大いに示唆に富んでいるということは感じられた。
2投稿日: 2023.10.13
powered by ブクログマルクスの「資本論」を著者の視点で解説した、入門書としてとても分かりやすい1冊。 中国やソ連の社会主義との違いを掲げ、崩壊の兆しを感じさせる資本主義の未来と、その先の社会のあり方について綴られている。
1投稿日: 2023.10.12
powered by ブクログこれまでに読んだ『資本論』の解説本の中で最も分かりやすく、腑に落ちる部分が多かった。 基本的には『人新生の「資本論」』と共通する主張と情報だが、本書の主題通り、『資本論』、そして『資本論』には収録しきれなかったマルクスの思想の終端に至るまでが解説されていて、理解がさらに深まったように思う。 個人的には特に、 「物質代謝としての労働」、「富とはなにか」、「労働力と労働の違い」、「物象化」についての理解が深まった。 また、BIや福祉国家は「法学幻想」であるが故にポスト資本主義の社会体制とはなり得ないということも非常に興味深かった。 斎藤氏やマルクスの思想、そして共産主義を批判する論調は、決まって「ソ連や中国のようになりたいのか」「共産主義は結局独裁に陥る」という主張であるが、本書で「コミュニズムは前提として民主主義でなければならず、ソ連などは民主主義が欠落しているためそもそもコミュニズムですらない」という解説が丁寧になされていて納得がいった。 (一時的ではあるが)パリ・コミューンや、現代のスペインの例などのコモン的な実践例が紹介されている。 本書でも簡易的な紹介に留まっていたが、この辺りはもっと深堀して聞きたい。 各地域、コモンが可能な限り地産地消的に生活していくことには高いハードルが存在する。 今資本主義体制の中で得られている、グローバルな物流システムと購買の賜物である各種遠方の物資が、小規模自治体における地産地消では得るのが難しい。そのことからくる不便や不満や限界点がハードルである。 日本は水が豊かな海洋国家であるから、生活に必要な塩や真水は国内のどんな地域でも割と手に入る。 しかし、例えばエネルギー原料としての化石燃料は国内では全く必要量を賄えることが出来ず、また平らな農地が少ないこともあり可能な食糧生産高が低い。 これから人口が減っていくにしても、カロリーベースで約1/3、健康的な食生活のための栄養でいったらさらに極端に少ない人口しか食料を国産では賄えない。 地産地消でやっていくには、日本は人口が多すぎる。 というか、世界全体で人口が多すぎる。 これだけの人口の食料や、今や必需品でもあるスマートフォンやPCなどの原材料を平等にいきわたらせようとすると、どうしても地産地消モデルではうまくいくビジョンが見えない。 地産地消的なコモンがうまくやっていけるのは、元々物資が豊富で人口とその物資のバランスが取れている、環境的に優れたエリアに限られるのではなかろうか。 コモンが各種自治をうまくさばけたとして、コモン間でのヒト・モノ・カネ・情報をどのようにしてやり取りするかという問題。 加えて、コモンにおける独裁化や他国からの攻撃・侵略を防ぐための手立てとしてどのような現実的な解決策があるかという問題。 「人よりもっと上に立ちたい」「もっと欲しい」「もっと良いものを」といった人間の根源的な欲望をどのように取り扱うかという問題。 さらに、本書でもソ連のミールでは農村と都市の対立を防ぐために通信技術を西側から吸収する必要があった旨が説明されていたが、こういったイノベーションや技術が本当に競争や報酬といったテコ無しに充分に発展するかという懸念について、より深い思索、シミュレーションが必要だ。 環境を考えるとタイムリミットは極端に短く、待ったなしな状況であるが、現実的に労働者全体が行動を起こすには既に包摂が進みすぎており、頭数を揃えることすら難易度が高い。 成田悠輔氏のアルゴリズム民主主義の導入があればコモンの実現可能性はグッと高まるが、それ自体もまた資本のストライキや既得権のストライキに歯止めをかけられそうだ。 まずは市民自身が問題意識を持つための問題提起。 次いで行動に移すための強い動機。 そして行動によって現在の臨界点を突破するための、動ける人数。 さらに具体的なアクションを行うための、失われた「構想と実行」が統合したスキルを持つ人と持たせるための教育の場。 継続していくモチベーションが得られるくらいの実績。 ハードルは多いし高い。 マルクスは、未来の在り方は未来の当事者自身が考えて生み出していかなければならないと考えていたようだ。 我々現代人一人一人が、具体的な対応策を常に考えて手を動かして生み出していく必要がある。
1投稿日: 2023.10.05
powered by ブクログ気鋭のマルクス主義研究者である著者が、「人間と自然との物質代謝」という観点からマルクスの『資本論』のエッセンスを解説し、ソ連や中国の「社会主義」とは異なる将来社会像(「脱成長コミュニズム」)を提示。 『資本論』を著者独自の視点で大胆に読み直しているが、確かにわかりやすく、本質を突いた説明だと感じた。 自分は元来マルクス主義には相容れないものを感じているが、資本主義が労働や自然からの疎外をもたらす側面があるのは確かだと思うし、『資本論』には現代社会の問題に切り込む多くの示唆が含まれるというのは理解するところである。また、ソ連や中国は共産主義とは名ばかりの「国家資本主義」であるという著者の主張はよく理解できた。 ただ、そもそもの労働価値説への疑問、過去の共同体社会を理想化しすぎていないかという点(過去の社会のほうが人々の健康状態や自由度が今より劣っていたのは明らかではないか)、コミュニズムの担い手としての労働者に対する過大評価(個人の利己性の軽視)、ベーシックサービスの無償化の拡大など「コモンの再生」に当たっての原資をどう確保するかという点、脱成長コミュニズムへの具体的道筋の不明瞭さ(労働者協同組合などのミクロの動きの積み重ねで達成できるというのは無理があるのではないか)といったたくさんのの疑問や違和感があったのも事実である。やはり『資本論』からも示唆を得つつ、資本主義を前提として社会を改良していくという方向性のほうが現実的ではないかと思う。
0投稿日: 2023.10.04
powered by ブクログマルクスが唱えた社会主義はソ連崩壊と共にうまくいかないもので、やはり資本主義が正しいと思い込んでいたが、この本を読んでマルクスが本当に目指していたもの、それとソ連や中国が失敗した理由、資本主義と社会主義の違いがよく理解でき、本当の意味での社会主義の姿に共感した。マルクスの資本論いずれ読みたい。
0投稿日: 2023.09.19
powered by ブクログ今年も気候災害が多かった。 今も九月半ばなのに、三十五度越えの気温。 地球沸騰という言葉が、単なるレトリックとは思えなくなってきたこのごろだ。 無限の利益追求運動である資本主義は、自然や社会の豊かさを奪ってしまう。 そう、斎藤さんはいう。 今の生活は持続可能ではない。 それは、なんとなく実感する。 本書は、マルクスの資本論を読み解きながら、現在の社会が直面する危機を乗り越えるヒントとしていく。 本書を読んではっとしたのは、資本主義以外の社会を構想する力が奪われてきたのではないか、という問題提起だ。 資本主義対社会主義という二項対立は破綻した。 ソ連が崩壊し、中国が新手の資本主義国になってしまって以来、資本主義一択という状況になったのだと思ってきた。 だから、私たちは地球温暖化が起こっても、資本主義の外に出ることはできず、ゆでガエルになるしかない。 そんな風に、ここ十年くらい、勝手に悲観してきた。 これが、もしかすると資本主義に考え方も「包摂」されてきた、ということなのだろうか。 著者の考えは、もちろんソ連のような社会主義にすることではない。 食、医療、教育、ケアなど、誰にとっても必要なものを、脱商品化し、人々が協同で管理する社会を作ることだ。 成長主義から脱して、必要なものを最小限作ることにより、自然を損なうことが少なくなる。 他の形もありうるのかもしれないが、考える余地はあったのだ、と気づかされる。
0投稿日: 2023.09.17
powered by ブクログ資本論の中の切り口としてそもそもマルクスの考え方はもう少し違う見方というか理想を掲げていたという視点は協調出来る。 が、結局新しい資本主義に近しいものは自国か企業内での良いコミュニズムが創造できるかと、搾取のないグローバル資本主義から全世界のボトムアップ・底上げと平均化しながら富の格差は今後も広がる一方なので上の一部の人が分配する仕組みにしながら地球環境悪化を防ぐように共存するしか無いと思う。 更なるグローバル化は避けられないし、世界中が繋がっているので分断されない社会ということを考えると資本主義(=競争社会)によって進んでいく科学技術、先端技術を使いながら世界の人々がより良く人間的に生活できる様にそういった技術を分配しながら歩んでいくしか無いのではと思う。 社会問題はいけていけばその都度増えていく物だから、いまさら資本主義、社会主義云々では無いと思う。
1投稿日: 2023.09.17
powered by ブクログ超難読書の資本論を、わかりやすく解釈した本書。資本主義が当たり前の社会に生まれてそこに何の疑問も抱かずに生きてきた。いち労働者としてなぜここまで苦しまなければならないのか、そもそもなぜ働かなければならないのか、悶々と感じてきた不満に対する答えが資本論には書かれていた。資本主義にはたくさんの欠陥があるということ。そして資本主義と相対すると思われている中国や旧ソ連の社会主義は実は国家主導の欠陥だらけの資本主義であるということが衝撃だった。マルクスは理想として掲げるコミュニズムの具体的な形を提示することは叶わなかったようだが、資本論を読み解いていくことによって後続の我々が編み出していかなければならないのだろうと思った。 資本論自体を読むのは超難しいので、専門家や研究者の方に解釈をお願いし、それを読ませていただければと思う。その意味でも一読の価値のある本。
0投稿日: 2023.09.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「資本論」の原典を読むのは難しいので、分かりやすく解説してくれる本著作はありがたい。 筆者もあとがきに記しているが、あくまでも著者の視点から見た「ゼロからの資本論」であり、これが正解だと思わない事が重要だと思った。 確かに昨今は資本主義の負の側面が顕在化し、様々な問題が世界を覆っているが、技術の発展という側面で見ると資本主義は優れた装置と言えるだろう(その発展は外部化を伴った犠牲の上に成り立っているが)。鉄道や通信技術を「コモン」として共有財産とするべきと著者は言うが、鉄道や通信技術はそもそも資本主義の産物なのでは?これだけ資本家が幅をきかせた世の中がコミュニズムに段階的に移行するとすれば、相当なドライビングフォースが必要になるだろう。資本家と無産階級の対立と言う構図ではなく、資本家側からもコミュニズムを求めるような状況にならない限り実現は難しいと感じた。 マルクス主義とソ連や中国の社会主義が全く異なる物と言う部分は腹落ちした。資本を個人が所有するのか国家が所有するのかの違いのみで、後者は社会主義の皮を被った資本主義と言える。
1投稿日: 2023.09.06
powered by ブクログわかりやすい。マルクスやコミュニズムについて、私は誤解していたみたい。今さらですが、そのことに気づけて良かったし、新しい資本主義と謳われる時代に、資本主義を超えた思想について学べてよかった。
3投稿日: 2023.08.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
マルクスによる資本とは、「絶えず価値を増やしながら自己増殖していく金儲けの運動」 「共同体から自由になり、相互扶助や助け合いから切り離され、常に失業やホームレスのリスクにさらされる労働者はみな潜在的貧民である」 労働者にとって、賃上げは自発的な労働のインセンティブとして余剰価値を増やすことにつながるため、目指すべきは賃上げよりも労働日の制限。 資本主義は労働者を、お金がなければ何もできない無力な消費者へ変えた。 ソ連や中国の社会主義には民主主義の要素が欠如しているため、マルクスのコミュニズムとは異なる。
1投稿日: 2023.07.30
powered by ブクログ資本主義が魂まで染め上げてしまった 私たちの生活、人生がヤバい。 それは実感も一部伴って共感できます。 俺たちよりも、次の世代が「幸うすい」人生を 描いているなんて、我慢しがたい! その先を考える材料として 著者は資本論ラブを主張されるのですが、 やっぱ、資本論を手に取ったところで 世の中をマシな方向に向ける発想や まして行動なんて 発生しないと思う。
10投稿日: 2023.07.02
powered by ブクログ資本による『構想』と『実行』の分離…。恐ろしす。 人生のコスパを突き詰めれば、「いきなり棺桶にはいるのが一番いい」と言う、養老孟司氏の引用最高(笑)。 ずっと前からソ連も中国も「政治的資本主義」だった! 資本主義を乗り越えるために必要なのは、 搾取のない自由な労働のあり方を生み出すこと。 社会の「富」が「商品」として現れないように、みんなでシェアして、自治管理していく、平等で持続可能な、定常型経済社会。 何か、社会主義良いかもって(初めて)思ったね。
1投稿日: 2023.06.30
powered by ブクログ前作「人新世の資本論」に続き、重く受け止めるべき学びの数々。 早く沢山儲けたい資本による農業生産は、無茶な連作に走る。植物が吸い上げた栄養を土壌が再び回復するには時間がかかる。資本主義は加速していくが、自然のサイクルは変わらない。こうして資本の時間と自然の時間には大きな乖離が生じ、その帰結は土壌疲弊、土地は痩せ細り収穫は減ってしまう。 林業も同じで、木が育つ何十年を待つ事が出来ず次から次へと森林を伐採していく。そのペースは技術革新で益々早まり資本の力は奥地にまで及び荒地が広がる。 土壌疲弊も森林荒廃も、資本はその責任を取らない。自然の時間に合わせられない資本は作れるだけ作って商品として売り払い、後は野となれ山となれ。 こうして資本主義は富(コモン)を貧しくしていく。 化学肥料に頼り過ぎると土壌の保水力が下がって疲弊、農薬を使い過ぎると植物は病気になり易くなる、この悪循環こそ資本にとって新たなビジネスチャンスとなる。より早く育てたい、多くの肉を得たいといった資本の観点から動物たちの生育環境は悪化し、水質汚染、感染症、景観破壊に繋がって来た。 ポスト資本主義社会の姿を、地球環境の持続可能性の問題と絡めて構想するのを環境社会主義と呼ぶ。 本当の豊かさとは?資本家になって巨万の富を築く事?高価な商品を沢山持っている事と、雄大で美しい自然に恵まれ自然で持続可能な食料、水、エネルギーに恵まれて人々と共に平等に暮らす事と、どっちか。 脱成長コミュニズムに変わっていくべき。 昨日より今日を、今日より明日をより良くして行こう、もっともっと…、という人間の限りない改善欲求と資本主義の相性が良過ぎたのか、自然破壊、地球資源の掠奪が止められないこの現状を変えて行く事の難しさ。「それでも、先ずは誰かが問題提起をする必要があります。」という「あとがき」のひと言が重い。
2投稿日: 2023.06.18
powered by ブクログ去年読んだ本のなかでもとりわけ衝撃を受けた「人新生の「資本論」」著者の最新刊。 資本主義が限界にきているということについては、ほんとに心から、agree しかし、対策として提示されているコミュニズム、言うは易し、でも、みんなが納得できる社会のすり合わせって、全くできる気がしない、、、 とはいえ、今の延長では、次世代に地球を引き継げない事態になっちゃうよねー、と考えさせられる一冊。
3投稿日: 2023.06.17
powered by ブクログ世間でのマルクスについての誤解が多いという指摘がありました。 マルクスの理想とする社会とは、どのようなものなのか、わかりやすい解説です。 高校生以上の方はぜひ読んだほうが良い。 日本における給食のシステムの話も興味深かったです。
1投稿日: 2023.06.16
powered by ブクログコミュニズムは贈与の世界。社会の富が資本家や国家に独占されることなく、市民管理できないか。労働者目線、市民目線で読んでも、資本家の望みを叶えるために特定業務に当られそれが効率よく進むより、意思を持って行動し同僚、近隣を助ける余白のある毎日のほうがお互い安心安全な気持ちで過ごせそうです。
0投稿日: 2023.06.10
powered by ブクログ3 イノベーションがクソどうでもいい仕事を生む ○ケインズの楽観と悲観的な現実 ○労働の疎外→資本主義で富をもたらしたように見えて、むしろ余裕がなくなっている。欲求や感性が痩せ細って貧しいものに。 ○より安くと圧力をかける資本主義 資本家が生産力を上げたい理由→より安く生産して、市場の競争に勝つため ○賃金の決定→需要と供給だけでない。価格競争により物価が下がることで労働者=労働力が安くなる。 賃金の決定=労働者が生活していくのに必要なお金 「労働者の商品=労働力を1日で回復させる(睡眠食事とか)」=労働力の再生産 ○労働力の再生産費が下がる→相対的剰余価値の発生→生産力上がり→市場競争勝つ 生産量が上がる理由→相対的剰余価値の生産を目的としているから(人々の労働からの解放や労働者の生活を豊かにすることが目的では無い) ○ 誰のためのイノベーションか価値の増強だけでなく、「労働者に対する支配の強化」 ○例 土鍋職人が資本主義によって解体された。 構想→精神的労働 実行→肉体的労働 2つの労働が統一されていた→資本主義が進むと精神的労働は資本家、肉体的労働は労働者が担う、分離が起こった ※疎外→哲学、経済学用語としての疎外[1](そがい、独: Entfremdung、英: alienation)は、人間が作った物(機械・商品・貨幣・制度など)が人間自身から離れ、逆に人間を支配するような疎遠な力として現れること。またそれによって、人間があるべき自己の本質を失う状態をいう。
0投稿日: 2023.06.03
powered by ブクログソ連や中国の社会主義はマルクスからはじまったと思いきや、そんな国家がマルクス主義研究会の学生たちを拘束するという矛盾が起きた歴史。 その国家社会主義はどのように労働者を抑えつけ、搾取し続け、独裁国家になっていったのか。そんなロシアや中国はもはや国家資本主義になっていったのか。 その歴史を知った上で新しいマルクス資本論を知ることが重要であり、環境問題、差別や貧困、過重労働など、国内で起きている問題を解決するためには、今の当たり前の毎日を変えていかないといけない「脱成長コミュニズム」を斎藤幸平さんは強く訴えていました。 わたしはデザイナーであるので、過剰な宣伝や広告を仕事として生活をしています。 自分がしている仕事が、まさか差別や貧困、環境問題に影響を与えているとは思ってもいませんでした。 今後どのように仕事をすれば良いのかを考えて、少しでも良い社会になるよう協力したいと思いました。
2投稿日: 2023.05.28
powered by ブクログモノに支配されている、まさにその通り。 技術が発展して、世界が便利になっているのに、人は毎日遅くまで働いている。 年齢と共に年収は上がったのに生活が楽にならない。 生活を維持するために毎日働いている。 毎日働いているこの仕事はなんだ。 もともと私は倹約家で無駄な物は買わない方だが、どうしても百均には行かなきゃいけなくて、行くとプラスチック製品が棚いっぱいに並んでいて、いつかこれらの商品は売れる日が来るんだろうか、と思ってしまう。 みんなお金は好きだけど、資本主義には疲弊してると思う。本書にも書いてある今の資本主義から抜け出すのは簡単ではないと思う。でも、社会も地球も限界を迎えている。少しずつでいいから抜け出せるといいな。
1投稿日: 2023.05.25
powered by ブクログ本当にゼロからだったので、得たものは多くないが、資本論とは何か、資本主義とは何か、マルクスは何を考えていたのかの一端を教えてもらった。 引用が少なく、議論が時に抽象的すぎる気もしたが、マルクスや資本主義、社会主義についての理解が深まってから再読すると、本書の主張や独自性も分かるようになるのかも
0投稿日: 2023.05.23
powered by ブクログマルクスの『資本論』の入門書。 ふだんなら読もうとは思わないけれど、友人がおもしろいと貸してくれたので、読んでみました。 学生時代、経済学部の先生が「マルクスは共産主義者ではなく、資本主義の研究者」と言っていたのが、なんとかなく、ずっと印象に残っていたものの、これまでマルクスにちゃんとふれることなくきてしまったので、読んでみて、なるほどたしかに、資本主義の研究者だという印象を受けました。 一言でいえば、マルクスは、現在問題になっているような、長時間労働ややりがい搾取、環境問題など、資本主義の負の側面を説明して、資本主義でないシステムを目指した、という内容の本になっています。 アダム・スミスがゆたかさの理由として考えた分業を、マルクスは、労働が退屈なものとなったり、生きるために働かざるをえないという苦境の原因と考えていたことが、対象的で、資本主義が時代を経て、マイナスの面がめだってきているように感じました。 いまだ、資本主義に替わる経済システムは発明されていませんが、マルクスのイメージが変わるおもしろい本でした。
3投稿日: 2023.04.26
powered by ブクログマルクスが意味していたコミュニズムとはソ連や中国が体現していたものではなく、コモンズ、つまり皆が多くのもの、水や資源、地球といったものをどう持続的に使うべきかを述べているものであり、資本主義を修正しようとしていたことがわかった。 無意味に成長し続けるのは資源を浪費し、無駄なものを作り続けることになる、一回このままでいいか立ち止まって考える。
0投稿日: 2023.04.22
powered by ブクログ『ゼロからの...』というタイトルであるはずなのに私にとっては難しすぎた。確かにマルクスの資本論が難解なのはわかるが、もう少し噛み砕いて欲しかった。
0投稿日: 2023.04.22
powered by ブクログコミュニズム コモン(共有財産) べーシックインカム という法学幻想は資本のストライキに屈する 資本は国家を超えて 好きなところで 好きなものに投資できるという自由を持っている 移動できない労働者や国家に対する資本の権力や 優位性の源 労働運動の弱体化、不安定雇用、低賃金労働の増大 貨幣の力から自由になるためには、貨幣なしで暮らせる社会の領域をアソシエーションの力によって増やすしかない 福祉国家の限界 高度経済成長はもはや達成可能なものではない 官僚制の肥大化 南北問題 収奪と外部化 自然環境の収奪 ジェンダーの不平等
0投稿日: 2023.04.20
powered by ブクログ100分で名著のテキストをそこ本にしているとあるが、本当にわかりやすい。労働を構想と実行とに分けてはいけない事がよくわかりました。
0投稿日: 2023.04.04
powered by ブクログ20世紀の社会主義のイメージを払拭するマルクス論。マルクスをコモン(共有財産)の再生による脱成長型社会の実現の指南役と見たもの。
0投稿日: 2023.04.04
powered by ブクログ『人新世の資本論』の内容をキャッチーにした本。こっちから入るのもアリですね。『人新世の資本論』に続き、未来への想像を掻き立てる本でした。下記のキーワードに関心があればお薦めです。 ◆地産地消、シェアリング、受注生産、共益 ◆脱独占、脱成長、脱商品化、使用価値経済 ◆豊かさと持続可能性 「新しい資本主義」って何?…という問いに向き合う我々日本人にとって、「新しい」という修飾語を見直さないとですね。 資本主義を越えてゆけと。 先進国と途上国の分断を克服し、地球を含めた視野で循環する経済の輪を構築しましょうと。 筆者はトリクル・ダウン理論を神話としていますが、民主主義も資本主義も一定のレベルに達した現代(トーンとしては過剰)だからこそ、より高次に脱皮しようぜ、という文脈から認識した私には、相反する話ではないとも感じました。
0投稿日: 2023.03.20
powered by ブクログ【まとめ】 1 資本論の成り立ち 人間は、ほかの生き物と同様に、絶えず自然に働きかけ、様々な物を生み出しながら生を営んできた。家、洋服、食べ物などを得るために、人間は積極的に自然に働きかけ、その姿を変容し、自らの欲求を満たしていく。こうした自然と人間との相互作用を、マルクスは生理学の用語を用いて、「人間と自然との物質代謝」と呼んだ。 「物質代謝」とは元来は化学・生理学の用語で、「生体に取り込まれた物質が、多様な化学変化を経て、異なった物質となって体外に排出される過程」を指す言葉。どんな時代にも人間は、労働を通じて自然と物質代謝を行ってきた。 空気や水の豊かさといった、貨幣だけでは計測できない、一人ひとりが豊かに生きるための物、それを「社会の富」と呼ぶ。 マルクスは、そうした社会の富が、資本主義経済では次々と「商品」に姿を変えていくと論じている。お金を出せば、いつでも何でも手に入るようになったことで、私たちの暮らしは「豊かになった」ようにも見える。しかし、かつてのコモンだった「社会の富」が、商品化によって資本を持つ者に独占され、社会の富の潤沢さとしてはむしろ「貧しくなっている」ことを、マルクスは一貫して問題視している。 現代資本主義では、労働が「人間の欲求を満たす」ためのものから「資本を増やす」ためのものに変わってしまった。マルクスは商品には「使用価値(有用性)」と「価値(労働投入量から算出される純粋価値)」の2つがあると言っている。資本主義のもとでは後者ばかりが優先されてしまい、その結果モノに振り回され、モノに支配されている。 資本主義のもとでは、「価値」を増やすことが生産活動の最優先事項であり、「使用価値」はないがしろにされる。こうした「使用価値と価値の対立」、「富と商品の対立」が、人間にも自然にも破壊的な帰結をもたらすと、マルクスは警告している。 大勢の人々が富へのアクセスを失うような状況を意図的に作り出すことで、一部の企業や富裕層はますますお金を貯め込んでいる。この対立と格差を生み出し、拡大し続けているのが、「資本主義的生産様式」つまり、価値を増やし、資本を増やすことを目的とする商品生産の特徴である。格差を始めとした社会問題を、個人の問題というより社会構造の問題だと指摘するのが、『資本論』なのだ。 2 労働時間の延長による絶対的剰余価値の増加 マルクスは、資本はお金や物ではなく「運動」と定義した。 どんな運動かというと、絶えず価値を増やしながら自己増殖していく運動だ。この運動を「G-W-G’(ゲー・ヴェー・ゲー)」という式で表し、マルクスはこれを「資本の一般的定式」と呼んだ。Gはドイツ語で貨幣を意味するGeld、Wは商品を意味するWareの頭文字だ。 資本主義社会では、元手となるお金で靴を作って販売し、手にしたお金でまた靴を作る。それが売れたら、さらに売れそうな靴作りに、手元のお金を投じる。そして最初のGに儲けが上乗せされたG’が生み出される。資本主義とは金儲けの運動なのだ。 G’の値を増やす手っ取り早い方法は、給料を増やさずに1日の労働時間を増やすことだ。労働時間を延ばして労せず手にした追加の剰余価値を、マルクスは「絶対的剰余価値」と呼び、労働時間の延長が絶対的剰余価値を生産すると指摘している。 なぜそんな状態になっても労働者は逃げられないのか。それは、資本主義が「自由」であるからだ。奴隷や身分制のような不自由から開放された私たちは、同時に、生産手段からもフリーになった。その結果大半の人は自給自足できず、共同体からも扶助を受けることができない。そんな不安定な環境の中で売れるのは自分の労働力しかない。 労働者を突き動かしているのは、「仕事を失ったら生活できなくなる」という恐怖よりも、「自分で選んで、自発的に働いているのだ」という自負である。だからこそ、「職務をまっとうしなくては」という責任感が生じてくる。自己責任の感情をもって仕事に取り組む労働者は、無理やり働かされている奴隷よりもよく働くし、いい仕事をする。そして、ミスをしたら自分を責める。理不尽な命令さえも受け入れて、自分を追い詰めてしまう。これは資本家にとって、願ってもないことだろう。資本家にとって都合のいいメンタリティを、労働者が自ら内面化することで、資本の論理に取り込まれていく。政治学者の白井聡は、これを「魂の包摂」と呼んだ。 マルクスは、解決策として賃上げよりも「労働日の制限(短縮)」が重要だと指摘している。資本家が賃上げ要求を呑めば、たしかに搾取は緩和される。しかし、資本の論理に包摂された資本主義社会の労働者は、「では、我々は頑張って働きます!」と言い始めることになる。これは、むしろ企業にとって都合のいい展開だ。賃金を少しばかり上げて、その代わりに長時間労働もいとわず「自発的に」頑張ってくれるならば、剰余価値(資本家の儲け)は、かえって増えるかもしれないからだ。 3 イノベーションによる相対的剰余価値の増加 イノベーションにより商品が効率的に生産されるようになれば、今まで価値の高かった商品が安く売られることになり、そこに注ぎ込まれた労働そのものが安くなる。生産力が上がって安く生活できるようになっただけで、この労働者が一時間の労働で生み出す価値は変わらない。このように、労働力価値の低下によって生み出される剰余価値を、マルクスは「相対的剰余価値」と呼んでいる。 生産力の増大を手放しで喜べない理由はほかにもある。それが「相対的過剰人口」の問題だ。 機械化が進んで生産力が2倍になれば、同じ商品を製造するのに必要な労働者数は半分になる。景気がよくて「よし、生産規模も2倍にしよう」という話になれば別だが、社会の需要は有限で、どこかで必ず頭打ちになる。そうなれば労働者たちは資本にとって不要になる。特に、低経済成長が続く今の日本のような状況でさらに生産力が上がれば、企業は容赦なくリストラを進めて、コストカットしようとするだろう。すると、労働市場には、資本の需要に対して「相対的に過剰」な労働者があふれ、買い手優位の状況が生まれる。工場の外に「とにかく仕事を下さい」という人が増えれば、工場の中にいる労働者は必死になってますます長く働き、さらに生産性が上がり、さらに相対的過剰人口を増やす結果となる。 4 コミュニズムは可能なのか? 現存した「社会主義国家」とは、生産手段の国有化を通じ、資本家に取って代わって、官僚が労働者の剰余価値を搾取していく経済システムにすぎなかった。 20世紀を代表するマルクス主義社会学者のイマニュエル・ウォーラーステインは次のように指摘した。 ――資本主義が「世界システム」として成立してしまっているなかで、ソ連や中国、アフリカの国々が目指したことは、資本主義を別のやり方で発展させ、近代化と経済成長を推し進めることにほかならなかった。 実際、それらの国には、商品も、貨幣も、資本もあって、労働者の搾取も行われていた。そのため、20世紀に社会主義を掲げた国の実態は、労働者のための社会主義とは呼べない単なる独裁体制にすぎなかった。それは、資本家の代わりに党と官僚が経済を牛耳る「国家資本主義」だったのだ。 生産手段や生産物の私的所有こそが、資本主義の基礎をなす本質的特徴であり、私的所有を廃棄しさえすれば社会主義に移行できる、という考え方は根強い。しかし、国有化を推し進めたとしても、労働者は、資本を増やすために過酷な条件で搾取され、市場では大量の商品が貨幣によってやりとりされ続ける。 この問題を解決し資本主義を乗り越えるためには、搾取のない自由な労働のあり方を生み出すことが必要である。 ヒントは福祉国家で見られる「脱商品化」だ。つまり、生活に必要な財(住居、公園)やサービス(教育、医療、公共交通機関)が無償でアクセスできるようになればなるほど、脱商品化は進んでいく。これらの財やサービスは、必要とする人に対して、市場で貨幣を使うことなく、直接に医療や教育といった形で現物給付される。現物給付の結果、私たちは、貨幣を手に入れるために働く必要が弱まる。福祉国家は、もちろん資本主義国家です。けれども、脱商品化によって、物象化の力にブレーキを掛けているのがわかるだろう。 ソ連も教育や医療を無償化していたが、ソ連で先行したのは国有化だった。反対に、福祉国家で先行したのは物象化の力を抑えるための社会運動であり、マルクスはこれを「アソシエーション」と呼んだ。労働組合、協同組合、NGO、NPO、社会保険、公共医療といった、人々の自発的な相互扶助や連帯を基礎とした民主的社会である。 晩年のマルクスは共同体に注目していた。それは、資本主義とは全く異なる仕方での人間と自然の物質代謝の営みがあったからだ。共同体は「伝統」に依拠しており、共同体では、「富」が一部の人に偏ったり、奪い合いになったりしないよう、生産規模や、個人所有できる財産に強い規制をかけていた。こうすることで、人口や資本、生産や消費の総量が変わらないまま推移する「定常型経済」を実現していた。また、遠方との交易も限定されているため、自給自足に近い形で、「循環型経済」を実現していた。飛躍的な生産力の増大も、土壌を疲弊させることもなく、自然に必要以上の負荷をかけることもなかった。 マルクスは、社会の富が商品として現れないように、みんなでシェアして、自治管理していく、平等で持続可能な定常型経済社会を構想していた。その際、どのように富をコモンとしてシェアするかというと、 ・各人はその能力に応じて、各人にはその必要に応じて! である。 コミュニズムは贈与の世界と言ってもいい。等価交換を求めない「贈与」、つまり、自分の能力や時間を活かして、コミュニティに貢献し、互いに支え合う社会。もちろん、「贈与」といっても差し出してばかりではなく、逆に自分が必要なものは、どんどん受け取ればいい。そうやって、生活に必要な食料や土地、道具、さらには知識などの富が持つ豊かさを分かち合いの実践を通じて、シェアしていこうということだ。 脱商品化を進めて「コモン」を増やし、労働者協同組合や労働組合によって私的労働を制限していく。そして、無限の経済成長を優先する社会から、人々のニーズを満たすための、使用価値を重視する社会へと転換する。マルクスはコモンの領域を増やすことで、豊かな社会を作り上げようとしたのだ。
28投稿日: 2023.03.16
powered by ブクログ今、自分が一番興味のある「労働」について書かれていてとても面白かった。 なぜここまで長時間労働が蔓延するのか?そのカラクリが分かりやすく説明されていて、ひとつひとつ腑に落ちた。 資本主義社会では労働者は自発的な責任感や向上心、主体性を強いられるため残業も厭わず働き続ける。 それは構想する仕事と実行する仕事を分業化したことに起因している。 労働者が富を取り戻すためには賃上げより労働時間を短縮すべきという考え方も興味深い。
7投稿日: 2023.02.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
復習も兼ねて購入。 資本論をベースに、資本主義の問題点を商品・労働の両面から炙り出す1〜2章。 3章の構想と実行の分離は、それら問題点の説得力を増させる内容であった。 4章では、表面的(と私は思っている)に進む、グリーン運動の限界について、富の無限増殖という資本主義の本質をベースに批判する。 5章では、著者なりのポスト資本主義の論(6章)へ繋げるためにソ連・中国に代表される20世紀社会主義の問題点を指摘し、福祉国家の例を出しつつ、資本主義と非資本主義の違いを提示する。 そして最後に、6章で、ある種のボトムアップ型社会主義、アソシエーション発信のコミュニズム=アナーキストコミュニズムの提言へ続く。 ・労働とは、自然との間にある循環的な相互作用 →人間だけが意識的な労働を介して、自然との物質代謝を行う ・富とは本来商品のみに限られない。綺麗な空気や街の図書館、コミュニケーション能力や職人技も富となる。 ・商品とは富に値札がついて売り物になったもの →ミネラルウォータが良い例 ・コモンの囲い込みは 1.農民を貧しくする 2.そのうえで、都市での労働者に仕立て上げる 3.商品の買い手となり、市場を作り出す ・労働の目的は、欲求を満たすことであったが、資本主義社会では、資本を増幅させることが目的となっている ・使用価値は資本主義以前の社会における生産目的であった。 資本主義において重要なのは価値=その商品を生産するのにどれくらいの労働時間が必要であったか?=労働価値説 ・人間は商品に翻弄される。コントロールできないことがある。 踊り出すテーブルとは、使用価値を求めてテーブルを作れば、それはありふれたテーブルだが、 商品として誰かに売ろうとした瞬間、人間をそのダンスに巻き込んで狂わせていく。 というレトリック。 →GOTOキャンペーンもオリンピックも、経済を回すのではなく、回させられていると捉えられる。 ・図書館の危機。使用価値より価値が重視されている。 ・資本主義の目的は、より安くと圧力をかけるのもあると思うが、より付加価値を上げる。という発想もあるのではないか? いや、値下げをして消費者としての労働者に払う賃金を減らすことで、剰余価値を増大させているということか。 ・構想と実行を分離し単純作業に分解した。これがギルドの解散にも繋がった。 →一方で今の会社組織は単純作業をする人材を求めているか?少しでも複雑で付加価値の高い業務遂行を求めていないか? →p118が著者の意見 →ヘタをすると管理職ですら、構想できていないかも…。内部に目を向けてヒラメになっており、最悪…。著者としては裁量無くして構想なし。それでいて実行させられているわけではないと言えるのであれば、それは疎外を感じないくらい資本に包摂されている。 →構想したいのかも。誰でもできることをするな。は意外にも強烈。実行すらできていないことになるが。 ・大工業がその分離の良い例で、マルクスの時代は機械がそれを助長した。機械によって構想と実行を分離するのみならず、実行機能さえもパーシャルにすることで、労働者自身の生産力も奪っていった。 →パナホーム的なあれも、大工の生産力を奪っている例かも。 →給食のセンターかも分離の例 →よく言えば再現性を高める ・ブルシットジョブは、それがないと40時間働かせることができないから生まれる。 ・身の回りのものがマイナーアップデートしかない背景として、行き過ぎた構想と実行の分離という主張。そこで無理をしてと小手先の変化となり、そうした停滞を乗り越えるための広告やコンサル。 ・『人生のコスパを求めるなら、いきなり棺桶に入るのが良い』これは秀逸 ・資本主義の定義は剰余価値の搾取かあるかどうか。その意味では中国は随一の資本主義国家。 ・ドイツは非常に大きな政府。よって脱商品化が進んでいる。ソ連との違いは、国有化が先行しているかいないか。ドイツはアソシエーションが先行して、結果として普遍的なサービスとしての国有化があった。 ・BIやMMTは法学幻想で、それを後ろから支える労働者の力が心許ない。 ・パリ・コミューンのような、アソシエーション発のポスト資本主義。アナーキスト・コミュニズム。
0投稿日: 2023.02.23
powered by ブクログなんと読みやすい本だろう。学生時代に買って本棚に置いたままの『資本論』を少しずつ読んでみようかなという気になります。著者の文章はとってもわかりやすくて,こういうタイプのホントしては珍しいですね。 レポートにもたくさん引用させてもらいました。 資本主義がこのまま進めば,地球の環境を後戻りできないほどに破壊してしまいます。その前に,コミュニズムのよさを考えていきましょう。脱成長の社会を描いていきましょう。そんな内容の本でした。 そうそう,先日の親戚の49日のお参りの際,お坊さんの説教があったんですが,そのときに,この斎藤さんの本からのお話がありました。作者も著書名も言っていませんでしたが,例としてあげていたのは,まさに本書の中の一節です。資本主義がどうやって生まれたのかという話でした。
1投稿日: 2023.02.20
powered by ブクログ「なんか分かる」と思いながら読んでいたが、結局こうして感想を書こうとすると、うまくことばが出てこない。「価値」と「使用価値」の違いは理解できたように思うが、説明しろと言われると苦しい。「物象化」とかはボヤ―としたままである。まあでも、「使用価値」の方が大事だと思うし、みんながそう思う世の中になった方がいいだろうと思う。僕も、昔は高くても良いものを買って長く使う(着る)ようにしていた。しかし最近は、何でも安いものが出ているので、「安物買いの銭失い」をしているような気がする。とは言え、安い服でも、破れでもしない限り捨てられないので、箪笥があふれかえって困っている。「脱成長」それが良いと思う。いつまでも「右肩上がり」ばかりを目指す意味が分からない。お金がなさすぎるのは困るけれど、ある程度あればあくせく働くよりも自分の時間を大切にしたい。ところで、最近職場では、「受験を通して子どもも親も成長する」と言っている。「成長を見守ってあげてほしい」とも言っている。それで「脱成長」ということばを見てちょっと悩んでいる。人間は日々成長しなければいけないのだろうか。毎日変わっていくのは間違いないが、停滞するときもあれば、下降するときもある。でも、きっと総体としては、毎日いろいろ経験を積んでいるわけで、そういう意味では何らか上昇はしているのかもしれない。それを「成長」と呼ぶのならば、人はやはり毎日成長していくのだろう。そう思うことにしておこう。
1投稿日: 2023.02.12
powered by ブクログ使用価値が大事なのに貨幣に換算される価値の方が重視されている現代は明らかにおかしい。行きすぎた資本主義の矛盾や残念な部分を的確に示してくれており、その点はとても面白かった。 ではどうするか。相互の助け合いが根幹にあるコミュニズムは確かにヒントになると思った。全員が一定規模のコミュニティに参加し、その中で自分の能力に見合った活動をする。各人にできることは異なるが、そこに年収のような優劣は持ち込まない。理想的だと思う。 一方、マルクスに学ぶべきところは多い、のは同意だが、やはり時代が違うので世論へのアプローチとしてはマルクスを全面に押し出しすぎないほうがウケるのではないか。本書を読む前の自分はマルクスが言っていたというだけで引っ掛かりを覚えていたので。
1投稿日: 2023.02.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
資本論を全く読んだことがないため、ところどころ理解しがたいところもあったが、著者が言わんとしていることはざっくり分かった。 ・資本主義の下では「使用価値」よりも「価値」を重視し、「必要なもの」より「儲かるもの」が溢れている。 ・給料を上げても、労働時間が短縮されなければ忙しさは増大する一方である。(利益追求は上限がなく永遠に終わらないため) ・職人がこなしていた作業を、細分化して機械的に労働者たちに分業させることで、画一的な単純作業となり、低賃金で大量にモノづくりができるようになった。 ・人間として誰も平等に利用できる自然も、一部の人間により商品化され利益を搾取する。 ・なんでもコスパ優先されると、コミュニティや相互扶助は衰退し社会の富がやせ細る。 ・コミュニズムに対するソ連イメージの誤解 そもそも、資本論を読んだことのない私が、斎藤氏の説を賛否できること知識もないが、確かに「限定品」や「ブランド」など商品の付加価値に翻弄されっぱなしであったこと見気づかされたことは間違いない。 資本主義が衰退したとき、どんな社会になるのか想像もつかないが、自然と調和した社会になってほしいとは思う。
0投稿日: 2023.02.09
powered by ブクログ<目次> はじめに 『資本論』と赤いインク 第1章 「商品」に振り回される私たち 第2章 なぜ過労死は亡くならないのか 第3章 イノベーションが「クソどうでもいい仕事」を生む 第4章 緑の資本主義というおとぎ話 第5章 グッバイ・レーニン! 第6章 コミュニズムが不可能だなんて誰が言った? <内容> 「NHK100分de名著」の『カールマルクスの資本論』を大幅加筆したもの。小難しいところが多いが、これは原著を参考にしているから。全体で言っていることは、里山資本主義やポツンと一軒家的な話と変わらない。一人でいろいろなことを自給的にやり、最低限のインフラを除いて、身の回りで完結させれば、資本主義には負けないで生きてゆける、というもの。もう既に実現している人がいるのだから、実現可能。「小さな政府」を実行している自民党も、お先真っ暗なので、日本のあちこちで起こっているこうした実践で日本は変わっていくのだろう。
0投稿日: 2023.02.02
powered by ブクログ資本主義が発展による技術の向上は、労働による肉体的な苦痛からひとを開放したかもしれないが、労働による苦痛から開放するものではなかった。 資本主義のモノを中心とする考え方は、ひとが古くから築いてきたコミュニティや、当たり前のようにアクセスしてきた自然などの富を搾取する。 マルクス=社会主義という構図もありましたが、あくまでひとが幸せになるための学問や考え方の1つ。 行き過ぎた資本主義の弊害に目が行ってしまうけど、ひとの手を大きく離れて、操作の効かない怪物のようなもの。 人の手を離れた存在である以上、情緒や情けといったブレーキが効くはずもないのかもしれない。 と様々なことを考えてしまいましたが、著書の中にあったコスパやタイパへの批判は、頷く部分もありました。時間を浪費するばかりでは良くありませんが、無駄な時間が新たな世界を救うイノベーションに繋がるのではと思いました。
1投稿日: 2023.01.30
powered by ブクログ著者には賛同するのですが、著者の本を読むと無力感しか覚えないのは私だけでしょうか…それでどうする?というのが見えないのです…
1投稿日: 2023.01.26
powered by ブクログ本来コモン(共有財産)であるべき自然を商品化して、利潤追求のために地球を滅ぼそうとする現代資本主義。コモンの復活とアソシエーションに基づく新たな社会の創出にはとても心惹かれる。ただ、具体的にどう動けば良いのかが今ひとつ見えて来ない。
0投稿日: 2023.01.23
powered by ブクログ斎藤幸平著「大洪水の前に」や「人新生の資本論」が難しいと感じた方が対象の本。逆に言えば、上記2冊である程度理解できている人には物足りなさを感じてしまうかも。(この本は、NHK100分de名著のテキストを元に加筆した本です) 物足りなさを感じた人は、いよいよ『資本論』を手に取る方時がきたかもしれません。
1投稿日: 2023.01.22
powered by ブクログ入門書×斎藤の思想の最新版×現代資本主義の限界の論駁のアップデートがバランスよく綺麗に読みやすくまとまってる良書。 何故コミュニズムが重要で、我々読者自身が動き出す必要があるか、がよくわかる。
0投稿日: 2023.01.21
powered by ブクログマルクスの資本論がわかりやすく入ってくる。説明が丁寧でシンプル。前半は特に、あっという間に読み進めることができる。
0投稿日: 2023.01.21
powered by ブクログ『人新生の資本論』、『22世紀の民主主義』についで3つ目の資本主義の本だ!と勇んで買って、人新生の〜に内容が近くて、噛み砕いた初心者もとっつきやすい感じだなと思っていたら、著者同じなことに結構後半で気付きました。遅い…。 というわけで概ね内容は著者が同じなだけあり『人新生の資本論』に近いですがよりわかりやすく丁寧(人新生の〜がわかりにくい訳ではなく、より噛み砕いている感じ…?)な気がします。 ただ、脱成長としてのその後のビジョン、結局なくないか?と気になってしまいました。 『22世紀の民主主義』では、アラブの春とかあったけど結局鎮圧されたみたいな感じで民主主義の運動が起きても制圧されるだけ、何も変わらない、負けるみたいなニュアンスを感じ取ったのですが、一時は負けたとしても、その動きが起きたことはどこかに誰かに受け継がれて未来への変化に繋がるんじゃないか、そこかしこの国々で起きていることも繋がって行動のきっかけになるんじゃないかなんてお花畑頭でポジティブになりそうでした。 こんなんだとまた成田さんに馬鹿にされるんでしょうか(直接バカになんてされてないですが笑)。 個人的に一番興味を持ったのが給食の話。 引用されていた本を手に取ってみようかなと思えました。
0投稿日: 2023.01.18
powered by ブクログメモ→ https://twitter.com/nobushiromasaki/status/1612450517887881216?s=46&t=DtLmtx4u4aHdgICmpKp_oQ
0投稿日: 2023.01.11
powered by ブクログ内容自体は『人新生の「資本論」』とほぼ重複しているが、別の切り口で書かれているので復習がてら楽しんで読めた。資本主義への批判であったり、資本論で語られているあるべき世の中には一定理解できるものの、その世の中へ移り変わるための具体的なロードマップが示されていないのが残念。
0投稿日: 2023.01.11
