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ヒトは〈家畜化〉して進化した
ヒトは〈家畜化〉して進化した
ブライアン・ヘア、ヴァネッサ・ウッズ、藤原多伽夫/白揚社
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総合評価

9件)
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    ブライアン・ヘアは、イヌとボノボの研究者。学部時代の指導教員はマイケル・トマセロ、大学院はリチャード・ランガム。彼らの直系なのだから、学問的なおもしろさは推して知るべし。大学院の頃、ランガムの指示のもと、ギンギツネの家畜化で有名なシベリアのリュドミラ・トルートの研究施設で3カ月を過ごした。その時のエピソードがおもしろい。 イヌもボノボも、ヒトと同様、強力な「自己家畜化」の形質をもった動物種だ。本書で展開されるのは、ヒトの場合、この自己家畜化によって社会的知能が生み出されたという仮説。ネアンデルタール人が、われわれ現生人類に比べさまざまの点で「家畜化」の程度が少ないという指摘も興味深い。ただ、7章以降は偏見や政治の話題。話がジャンプし過ぎているような印象を受ける。 奥さんのヴァネッサ・ウッズは、ボノボに関する著作もあるジャーナリスト。ブライアンとヴァネッサそれぞれのTEDやYouTubeのトークも参考になる。

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    投稿日: 2025.05.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    野生動物を選抜して交配し、飼い慣らす過程を家畜化と呼ぶ。それが自然淘汰を通じて起きた場合、自己家畜化という。キツネ、イヌ、ボノボなど。 人の友好性は、自己家畜化によって進化した。 ボノボはチンパンジーより友好的に自然選択を受けて自己家畜化した結果、協力する能力を獲得した。 集団内の見知らぬ人でも仲間であることがわかる。一方、他集団に対する攻撃的態度は激しくなる。

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    投稿日: 2024.11.28
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    まずタイトルが奇を衒っており、現代からかけ離れている点がいただけない。 ベリャーエフとリュドミラの実験を知る取っ掛かりになったのは良かったが、それくらいか。 ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』を読んだ方が良い。

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    投稿日: 2024.05.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    進化の本かなと思って読んだけど、徐々に差別や分断の話へと変わっていった。 最後の謝辞に『(二〇一六年の)大統領選の後、第一稿の半分を没にした』とある。政治に疎い私でも前後の文から、トランプ大統領が当選したときの話だと分かった。 人間は『ずっと子供のまま』というのは、何かのテレビで見た気がする。これは『幼いまま』という意味ではなくて『好奇心が強い生き物』という事。 人間は大人になっても好奇心が強い。とはいえ、子供のころよりその好奇心は縮小されているのはひしひし感じる。それでも年を取って好奇心ゼロになる人は少ない気がする。 p190にはアメリカの刑務所制度の問題点が書いてある。実は『ポリコレの正体』の三章のBLM運動の話の中に「BLMは刑務所制度を解体したがっている」という話が出てくる。これも、調べた方がいいかもと思いながら放置していたのだが、答えがこの本にあったと思った。 アメリカの刑務所制度は黒人にとって不利なのである。黒人の犯罪率が高いのは貧困や病気、失業などの環境要因が大きいのだが、それを無視して刑務所に放り込む制度となっている……という事だと思う。詳しくは本を読んでほしい。 疑問が繋がるの良い。このページすごく気持ちよかった。 ラストは、都会に暮らす人口が農村部に暮らす人よりも上回ったとある。農村部よりも都会暮らしの方が社会的地位が上がり、良い教育が受けられるので都会の方がいいとなっているが……そうなると、農村部にある『動物たちと人間社会の境界線』はどうなるのだろうかと思ってしまった。いや。これは日本だけなのかな。海外は土地が広いから棲み分けがしっかりされているのだろうか。 都市計画次第では、他者と接触しない作りになることもあるので、そのような都市よりは誰もが気楽に接触できるよう設計されている都市がいいとなっている。 都市ならばどこでもいいわけでもなさそうだ。 いろんな点に気付かせてくれた本でした。

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    投稿日: 2024.03.08
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    友好的なキツネの交配を重ねると、キツネの性質も変わり、見た目にも変化が現れるらしい。 ホモサピエンスは自己家畜化によって友好的になり、見知らぬ人とも協力できるように進化した。反面、他の集団に脅かされたと感じると、相手を非人間化し、残虐な行為をする。 とても興味深い視点だった。

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    投稿日: 2022.12.11
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    人間が社会生活をスムーズに行うためには他人との関わり合いが重要であり、人間は自らを家畜化して適応してきた。それは自己の存続に有利だからだ。セルフコントロール。 人間の白目は視線の方向を分かりやすくし、アイコンタクトにつながる。 人間か家畜化したとしてもそれは自分が属するグループ内で有利に生きれるからであり、他のグループには攻撃する傾向がある、戦争、差別、排他。 読了120分

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    投稿日: 2022.11.20
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    ヒトが他の人類と違って繁栄できたのは、自己家畜化によって進化した協力的コミュニケーションという友好性を有していたから。一方でこの友好性は他者を非人間化し残虐に扱うことができるという負の側面もある。 協力的コミュニケーションの能力はイヌにはあるがチンパンジーにはない。友好的なキツネだけを交配すると認知能力だけでなく外形にも変化が生じた。脳の小型化や鼻面が短くなったりした。 ヒトには集団内の見知らぬ人という社会的カテゴリーが生まれ、それが人口増加と技術革新を生み出した。 ヒトは他者を非人間化し、残虐になる。非人間化の典型が猿化で、これは日本人、黒人、アイルランド人、ユダヤ人などあらゆる集団があらゆる集団に猿化されてきた。非人間化を抑えるには、教育ではなく接触が重要である。

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    投稿日: 2022.11.06
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    ヒトの家畜化?誰に家畜化された?と思いながら読み始めた。 なるほど、サブテーマに書かれているように「なぜ寛容でありながら残酷な生き物に進化した」かが、自己家畜化と言うヒトを捕食者の頂点に押し上げ文明をつくらせた進化圧が、同時に他者に対しての残虐さにもつながっていることが、とても分かりやすく書かれており、これはなかなかに目からの鱗の内容だった。 類例も多く参照してあり、自己家畜化したイヌやボノボの例も分かりやすく、とても興味深く読めた。

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    投稿日: 2022.11.05
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    はじめに 適者生存/最も友好的な人類 第1章 他者の考えについて考える アイコンタクトと指さし 第2章 友好的であることの力 家畜化 第3章 人間のいとこ ボノボとチンパンジーの違い 争いのない暮らし 第4章 家畜化された心 自分をコントロールする 顔に残る家畜化の跡 色素の変化 第5章 いつまでも子ども 発達の裏側で 家族のように感じる集団 最も親切な人が勝つ 第6章 人間扱いされない人 非人間化 他者を人間扱いしない脳 誰もが影響を受けやすい 第7章 不気味の谷 新たな偏見の分化 相互の非人間化 人間を品種改良する 第8章 最高の自由 オルタナ右翼の台頭 接触の効能 都会暮らしの動物 第9章 友だちの輪 動物とのつながり

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    投稿日: 2022.07.04