
総合評価
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- タテヨコ"powered by"
世界のサッカー好きの本。サッカービジネスはいつまで経っても好きになれない。子供の頃Jリーグの熱狂から女子は除外されていると感じた。一部大人の女性が今でいう押し活としてサッカーに取り込まれたものの、我々は参加者ではなかった。体育の授業でサッカーはおざなり程度、最後は本気でやりたい男子と教師のみのゲームになっていた。それが(サッカーを自主的にやりたい女の子は除いて)、少子化でこのままじゃビジネスとして成り立たないとなったら女子サッカー歓迎、スタジアムに女性客も、みたいな流れ。相変わらずサッカー談義となるとサッカーバカに講釈を垂れられる始末。試合自体が面白いことは否定しない。けれど、決して我がこととして捉えられない。 この本を読んでいてもそう。サッカー好きな女性に求められるのは「男装して忍び込む」「ヒヤヒヤしながら旗を振る」ことであり、また異なる性的指向をもつ男性はカミングアウトもできず、バカマッチョの価値観に耐え続ける世界。 本自体は面白く、もちろん自分もスポーツとしてサッカーを楽しめたら楽しいんだろうなあと思ったが、そんな従前の認識を新たにしたのみ。
0投稿日: 2025.05.17 - OGwess"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
知りたい出来事から逆算して人を探そう。 はじめに で書かれている金井さんの得意技。金井さんを唯一無二にするスキル、いや圧倒的個性。忘れたくない秀逸なインタビュー。たまたまかもしれない出会いを堅固な関わりとしてロックする金井さんに痺れる。ので細かいメモを残す。 イタリアのティフォージ,チフス患者と呼ばれる熱を患うようにしか見えない熱狂的サポーターのティノさん,お母さんは女だっていろいろあるんだから男が外に出かければいろいろあるのが当たり前と。そしてゴッドファザーのように、イタリアでは家族や同じ街,団地に暮らす人々が共同体,家族のように助け合い支え合っている,当たり前のように!! ブラジル移民のお孫ちゃんであるクラウジオさん。移民した親祖父母世代がしっかりとブラジルで生活基盤持ちブラジルの人らしく暮らしている様子がわかる。そしてまたクラウジオさんは日本に来て日本の暮らしや仕事ぶりを覚え、念願の推しチームと日本で会うこともできたそうだ。 1976年南アのソウェト蜂起の年にソウェトでうまれたサンディレさん。素足でボールを蹴る少年時代。10代の頃は反アパルトヘイトのデモとトイトイというダンスとコールアンドレスポンスで抗議する行動の毎日。ついにマンデラの解放、ソウェトのスタジアムでマンデラ解放歓迎集会,マンデラのソウェトへの帰還、、、その後のマンデラ大統領誕生、アパルトヘイト終焉で変わったこと得たものは、言論と表現と行動の自由と微笑むサンディレさん。羨ましくないか、我々カネにあかして名誉白人なども侮蔑されながらそれを喜び、日本では社畜,忖度の民。アパルトヘイトに同情していたかもしれないが同情されるのは我々だろう、、、そして金井さんは南アサッカーにおける呪術師の重要性まで掘り当てるのだ。脱帽。 マレーシアのハクさん。サポーターグループは4000人以上の大所帯,イスラムの教えを守る大軍団は礼儀正しく挨拶し歌いスタジアムで応援する。イスラムの教えだけではなく、喧嘩や警察とのトラブルから学びの結果らしいということも,今のアップデートされ裕福なマレーシアさもありなんと思う。 番外編の日本人,ジョホールバルの芝生の達人廣井功一さん、海岸しかもジョホールでいきなり起業のかっこよさ。 メキシコチワワ州のロヘリオさんは麻薬戦争の激戦地フアレスのサッカーファン、真面目な仕事性格キリスト教の信仰も厚いが麻薬戦争の巻き添えになり左目を撃たれるとは。前向き不屈の,あくまで助け合い精神で生きる男。ユニセフ支援金と寄付で運営するfutbol mas という移民の子どもにサッカー教えるNGO。グリーンカードブルーカードで子どもたちを褒めて育てる。このような真摯で苛烈な人がおられて、サッカーをネタに金井さんがこの人を知り巧みなコミュニケーションで素敵な話生死に関わる稀有な身の上そんな話を聞き出し日本で漫然と暮らす私がそれを読めるなんて奇跡だろ。 イランの女性、父親の素晴らしい人格で女性ながらイランでやりたいようにやり,生きたいように生きる。淡々としているがほんとは大きな負担,さまざまな苦労があるだろうと察する。金井さん曰く、自由を与えられている私らよりよっぽど意思的に生きている。この出会いからイランの女性を書いた本に繋がるのかな,と思うと本当に自由に生きる,自由な意思を実現する金井さんとゴルロフさんに乾杯!って叫びたくなる。 ロンドンのジョーさんの話は過激過ぎるワイルド過ぎるロンドンのサッカーファンと選手の話そしてサッカー選手にならずいろんな仕事にトライし熱血教師になり,できないと言わない人生を選択し生徒にも教えている。 国を持たない最大の民族クルド人,イラクやトルコなどで厳しい差別弾圧攻撃を受け世界に移住しているがスウェーデンにクルド人サッカーチームが活躍しているとは。こういう話はやはり金井さんからしか聞けない!リーグにサッカーチームがあるくらいなので,排他的イジワル日本とは違いスウェーデンではクルド人がクルド人として生きていける、仕事も住まいも見つけやすい、だからスウェーデンに移住した、と。耳が痛い。ヨーロッパでも,外国人排除が広がりつつあるが,良いところはそのままに、そして日本はダメなんだから他の国にきちんと移住できるところはあり続けてほしい。そして金井さんのクルドご飯のイラストの美味しそうなこと。 コンゴの産婦人科医ムクウェゲ氏の甥っ子が徳島でプレイしているとは。あらためてムクウェゲ氏の崇高な仕事、信念、行動力のすばらかを再確認。コンゴ内戦に巻き込まれて70人を超える大家族で逃避行、着の身着のまま内戦状態のコンゴからノルウェーに戻れば移民はアライバルから手厚い保護とサポート。 ギリシャのサッカーは経済危機と無縁でなかった。致し方なく海外へ移住した人も多くインターネットで故郷のサッカーゲームを見ている人も多いだろうと。 スペイン性的少数者のサポータークラブ。 サッカーに伝統と熱狂があればこそそこでは先入観偏見ジェンダーバイアスが当然のようになる。世の中進んでもマッチョワールドのサッカー界隈はなかなか変化しない、だから女性やマイノリティはサッカーをやるのもサポーターをやるのもまだまだ大変。 鹿島アントラーズのサポーター。自立生活センターの稲田さん。鉄道で車椅子でスタジアムに行く,障害者を可視化しでバリアフリーを進める作戦。日本でもサッカーサポーターとして闘う現場がある。 アルゼンチンブエノスアイレスのカップルの話。マテ茶はコーヒーと蜂蜜が入っていてもちろん回し飲みをする?!どの国の家族も祖父から父、父から子へと応援するチームを無事そのまま引き継いでいけるか,痩せ我慢したり喧嘩にならないか、にかなり注意と期待がはらんでいる。 全編金井真紀ワールド全開。初出はフットボール批評という雑誌に連載のようだ。かっこいい雑誌があるんだな。
1投稿日: 2025.02.04 - figo2011"powered by"
ページが白すぎて目が痛かったけど、かわいいイラストと、複雑なお国事情や人物の背景が簡潔に書かれていて、気軽に読めます。 しかし、そこには極めて深刻な事実があふれている。内戦、ギャング、宗教、階級、そんな日常でのサッカーをチームを応援する人たちが描かれている。 例えば番外編の2つだけでも発見がある。マレーシアでピッチの芝を管理する日本人の章から知るマレーシアの王様のこと、J2でプレーする元ノルウェー代表選手の章から知る、ノーベル平和賞のデニ・ムクゥゲのこと、コンゴ内戦のひどい話し。 サッカーを発端に、世界の文化や今が知れる素敵な一冊!
0投稿日: 2023.04.26 - tramiche_fox"powered by"
W杯に合わせて刊行された、世界の熱狂的サッカーファンをイラストまじりで紹介したタイムリーな本。楽しく読みながら差別、貧困、格差など世の中の矛盾を考えさせられる、さすが金井真紀。
1投稿日: 2022.11.22