
総合評価
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- honno-遊民"powered by"
著者がが急逝したため、いくつかの未完の作品があり、本作もその一つ。 楠木正成が主人公であるが、安部龍太郎氏によれば、司馬遼太郎を師事する著者は、司馬の『竜馬がゆく』を意識して本書を著したらしい。 司馬が、幕末志士のなかの一人であった坂本竜龍馬を一大ヒーローに仕立てたように、戦前戦中の皇国史観で崇められたゆえに戦後はほぼ見向きもされなかった楠木正成に焦点を当てようとしたようだ。 もちろん、皇国史観としての楠木正成ではなく、史実と実証に基づき、その当時あちこちに跋扈していた「悪党」として。 題名の「星」は後醍醐天皇で、「龍」が楠木正成だとか。 足利尊氏の伸長や後醍醐天皇の策謀など風雲急を告げて、「さて、楠木殿は帝と足利が争えばいずれにつかれる」と正成が問われた場面で、未完となってしまった。 生涯悪党としての道を貫かんとする楠木正成のその後の活躍が見られないのは、本当に残念だ。
11投稿日: 2024.08.28 - のんさん"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
葉室氏最後の作品で、楠木正成の話。残念ながら未完で、鎌倉幕府を滅ぼし、大塔の宮が亡くなる辺りで終わってしまいます。楠木正成、正季兄弟が活躍し、仲の良いのがよくわかりました。一山一寧、夢窓疎石が有力な武将に夢を見せる。正成は、文天祥や岳飛の夢を見て、尽忠報国で王道の正義を貫かせようとする。帝のためにのみ働くことを軸に行動していく。 後醍醐帝が、大塔の宮護良親王を足利尊氏と争わせようとしたことや、護良親王が征夷大将軍に任命されていたこと、楠木家は水銀を売って生業にしていたことなどは知りませんでした。
3投稿日: 2024.02.17 - あけあけ"powered by"
あー面白いと思ったら、未完、、、。 確かに葉室さん亡くなる年に書かれたから仕方ないが、、、。続きが読みたい!!
1投稿日: 2023.07.01 - だまし売りNo"powered by"
南北朝時代の武将の楠木正成を主人公とした歴史小説。戦前に美化された忠君愛国の英雄ではなく、悪党として描く。絶筆となった未完の作品である。
5投稿日: 2023.06.10 - はいなん"powered by"
ちょうどNHK大河ドラマで鎌倉幕府と北条家の争いを放送していることから割と分かりやすく入って来た。楠木正成はもう少し時代的に新しい人かと思っていたが大きく違った。 歴史の勉強にもなった一冊だった。
0投稿日: 2022.11.24 - DJ Charlie"powered by"
近所の書店で見掛けて気になり、入手して読んだ。興味深い一冊だ。 残念ながら他界した作者が、他界してしまう少し前に手掛けていて雑誌連載で発表していたモノが一冊になっているのだが、全体としては未完に終始してしまっている。それでもなかなかに愉しい。 本作は楠木正成を主人公とする物語ということになる。 史上の人物をモデルにした主人公が在って、伝えられる人生、そして潜り抜ける史上の出来事が下敷きになる出来事等が作中に描かれるということになる。が、それはそれとしながら或る種の“伝奇”というような空気感も少し漂うような気がした。 本書の中、何やら“夢”という描写が何箇所も出て来る。そういう辺りが何か“ファンタジー”というようにも感じられた。そこに“伝奇”というような空気感が感じられたのだ。 毘沙門天に因んで、その異名の多聞天から採った多聞丸という幼名を持ち、長じて多聞兵衛(たもんのひょうえ)を通名とした楠木正成である。「正しい」を貫こうと考え、それを実践しようとする。そんな生き様が描かれる。 覇道によらず、王道で天下を導こうとする帝に対し、己の目指す途を各々に進もうとする何人かの英傑が在る。楠木正成もその一人ということになる。 楠木正成に対し、やがて立ちはだかる巨大な敵となる足利尊氏が在る訳だが、両者が争うようになって行くような辺りまでの物語となっている。 題名に在る“星”や“龍”というのは何か?或いは如何いうことか?この作者の作品では時々見受けられるが、そういう辺りが作中で説かれる。 壮大な物語になって行く筈だったという予感、余韻と共に読了したという感じの作品だった…
1投稿日: 2022.10.18