
総合評価
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- arata"powered by"
アメリカでも「大企業病」はあるんですね...日本特有かと思っていましたが、どんな国でも巨大企業が陥る共通の落とし穴があるものです。 エジソンが設立した会社GE。電気製品メーカーでしたが、金融、航空機などさまざまな分野に進出しコングロマリット企業に成長しました。 金融事業に頼りすぎたことでリーマンショックで大きな損失をうけます。さらに会社が大きくなりすぎて経営が複雑化してしまいます。肥大化したGEは時代の変化にもついていけず部門売却で事業を絞り込み縮小していきます。 GE衰退の要因としては、 ・過度な金融依存と会計操作 ・ガバナンスの形骸化(経営トップへの権力集中と監督機能の喪失) ・現場への過剰なプレッシャーと忖度の蔓延 ・外部環境の激変(金融危機、規制強化、デジタル化など)に対応できなかった などがあります。 トップを交代するも、ピーク時から20年という短期間でGEは衰退します。表面上は株価も業績も絶好調でイケイケに見える企業でも、裏で金融操作などが行われており、経営陣はそれを誤魔化すために奔走したことが本書でも書かれています。 巨大組織ほど、経営の透明性や多様な視点、内部統制が不可欠です。大波に乗って事業を拡大しすぎた慢心、そして時代の変化に対応できなかったGEの姿に、日本の企業もGEの失敗に学ぶべきことが多いと思います。
7投稿日: 2025.07.04 - Raf"powered by"
老舗のアメリカ企業について知る為にAT&Tに続いてGEを。AT&Tのベル研究所についての本でも「興亡」とされたが、こちらも「盛衰」。驕れるものも久しからず。ただしAT&TもGEも「全盛期と比べて注目度が落ちた」という意味では「盛衰」を経験したものの、「依然として重要で巨大なプレイヤーである」という事実は変わらない。 常に株価に奔走している印象。これが日本ではあまりにも鈍い。GEと言えばかの有名なジャックウェルチだが、その後任指名から本書は始まる。その後任であるイメルトの時代に大部分の紙幅が割かれる。 ウェルチのCEO在任中に株式分割が5回行われ、ウェルチはGEを会社の歴史上、最大級のブームへと導いた。ウェルチを批判する人びとは、彼の戦略が成功したのは国の経済が繁栄していたからだと考えるが、ウェルチの支持者たちはその見方を一蹴し、ウェルチの功績を評価する。労働者もウェルチに好意的なのは、株価が上昇し続けたからだ。1980年から2000年にかけて、GEの売上げは5倍以上増えて1299億ドルに達し、収益は15億ドルから127億ドルに増加したが、この間、株価は実に40倍以上に上昇した。株高は正義だ。 そうした攻防のドラマの中で一際フィーチャーされるのが「アルストム」の買収劇。至近のUSスチールの件を見るようでもあり、自国の産業を守ろうとする執心がどのようなものかを学ぶ。 ー アルストムはGEが愛してやまないコストシナジーを生むー余剰人員や過剰な設備を削って利益を上げるための、格好のターゲットだと考えた。アルストムのキャッシュ不足は危機的で、自力ではリストラもできなくなっているのだ。これを買収してリストラを行い、GEパワーに組み入れることは、理にかなっていた。もちろん、適切な価格で買えれば、である。倒れかかった事業を高く買ってしまうと何年も苦労することになるので、提示価格は注意深く計算する必要があった。 ー 彼は政治手腕を発揮して、国家的な重要分野では、外国企業によるフランス企業の買収を制限する政府の権限を拡大する法律を定めた。地元メディアが「アルストム法」と呼ぶこの法律によって、規制の範囲は、それまでの安全保障や原子力関連だけでなく、発電、医療、通信、水などの分野にも拡大された。モントブールは、GEにとっては不吉な、シーメンスの反応を手を広げて待ち続けた。ケーザーから、アルストムの電力部門への入札を真剣に検討しているという連絡があった。モントブールはアルストムに、シーメンスからのカウンターオファーを待つよう求めた。世界がイメルトの思惑を理解していた。発電事業の世界シェアを獲得して、競合を永遠の2位集団に固定してしまおうということだ。シーメンスは、GEがアルストムを買収するのを黙って見ているわけにはいかなかった。三菱を含むその他の競合にしても、それは同じだった。モントブールはGEのような米国の巨大企業には懐疑的で、フランスの重要企業が、レイオフと巧みな金融取引で知られる冷血企業に自らを投げ売りしてしまうことを恐れた。モントブールの監視によって、GEによるアルストム獲得の困難が増した。 ー GEが残り、イメルトが勝った。オランドとモントブールには、アルストムを買ってくれる企業が必要だった。アルストムの状態はそれほどひどかったということだ。彼らは、アルストム買収を阻止しないと約束する代わりに、GEから雇用の維持と合弁事業の仕組みを引き出した。彼らがGEによるアルストム買収に神経をとがらせたのは、アルストムが米国企業にむしり取られ、壊されることによる、社会的・経済的影響を恐れたからだった。今度はフランス政府が、同じ恐れを抱くEUに両社のディールを承認してもらわなくてはならない立場になった。2014年6月20日、GEはついにフランス政府の同意を得、アルストムの取締役会は買収を承認した。 ただ、そこからもスムーズに物語は進まない。ニュースを振り返れば報じられた事実は拾える。しかし、そこに書ききれない行間がこの本には含まれている。ニュースには伝えきれない質感。株価に奔走するピリピリした感じと共に、リアルな空気感を伝えてくれる本である。
58投稿日: 2025.05.21 - Paddyfield"powered by"
非常に詳細に巨大企業の崩壊の様子が描かれており、自社のガバナンスを考える上でも参考となる。 積み上げるには時間がかかるが、崩壊は本当に一瞬であると痛感させられる。
0投稿日: 2025.04.14 - t4learning"powered by"
寝かしておいた本をようやく読んだ。読み始めたら一気に読めた。GEってアメリカの工業化社会を推進した魂的な存在だったのに、その凋落ぶりっといったら急速で、お「奢れるものも久しからず」か。繁栄を押下しているときに腐敗は始まっていて、その後始末をする人が哀れだということがよく分かる。
1投稿日: 2025.02.16 - かみこん"powered by"
大企業が徐々に崩壊していく物語。 崩壊の原因として描かれているものは特に目新しいことはなく、市場との対話から離れ、経営がマネーゲーム化し、取り返しのつかないことになるという大きな組織の典型的な話し。 具体的な人名や驚くようなエピソードなど、かなり詳しく取材をしているところは凄い。やや暴露本的な要素が強く、組織論等に構造化して理解に落とし込むには、読み手の力が必要。
1投稿日: 2025.02.04 - kikku"powered by"
アメリカを代表する企業であったゼネラルエレクトリック(GE)が何故没落したかを描いている。全社的に利益目標達成を厳しく求められ、達成するための手段は問われないとなれば、不正の温床となるのは目に見える。また当たり前のことだが、過去の負債をなくすことが如何に大変か、その様子も見て取れる。
1投稿日: 2024.12.02 - メガネマン"powered by"
大企業特にコングロマリットの難しさを感じる内容。 色んな事業が混じり合うことで、色が濁ってしまうのだろうか。 企業が大きくなる、時が経つにつれて、起業当時(DAY1)の精神が薄くなるのは仕方ない。ただ、ブレない芯がないとダメなのかなと。 トップが変わることは会社が変わることを意味するとはよく言うが、意思を引き継ぐ難しさはあるのだろう。 時を同じくして、日立V字回復の書籍を読んでいるので、とても複雑な思いだ。。
15投稿日: 2024.11.04 - Michael K."powered by"
ジャックウェルチ公認のジェフイメルト期にフォーカスして世界的なコングロマリットがどう衰退したかを詳述する本。詳述なだけに読むのに体力がいる 日本ではここまでマーケットのプレッシャーで経営が動くことはないかもしれないが、腐敗していく経営陣の反面教師的なケースとして参考になる。 一時期やたら名経営者として持ち上げられていたジャックウェルチも、結果を見るとサステナブルではない目先の利益と株価を追うタイプの経営者だったんだなという印象。彼はこれからの時代にロールモデルになることはなさそう
1投稿日: 2024.05.20 - makabirushana"powered by"
読みでがあった。 巨大なコングロマリットの問題が全て入っていて、巨大企業の問題点のデパートといった感じだ。 日本の大企業の取締役会の緩さも考えさせられた。
0投稿日: 2024.05.04 - ギショウ"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
アメリカを代表するコングロマリットGEの盛衰史。M&Aを通した多角化戦略は日本企業の大手メーカーでも見られる。メディア大手や映画コンテンツなど、工業とは離れた業態に手を出していたのだと本書で知った。金融と工業という2大柱は共存し得たのか、金融機能を活用した資本コストの低減は本当に有利に働いたのか考えさせられる。GEはコングロマリットとして巨大すぎるため取締役会ではガバナンスが効かなかった。モニタリングが不十分で自分達が運営する事業を網羅的に把握できていなかった。そこにリスクがあったと思われる。おそらくコングロマリットといえど近似する事業を3,4個保有するのが限界なのではないかと考えさせられた。また、株式こそ最大のコストで、常に配当を気にした経営していたのは意外だった
0投稿日: 2024.03.24 - onog"powered by"
久々にすごく面白かった。時を全て読んでしまいました。 理由は事実をもとにしつつ、ある種の物語であるところ、人と人との関係性や思いなどが散りばめられていた。 事実と見てもよし、架空の物語と見るもよし、だとは思う。 ただ一つ難点を挙げるとするならば、時間軸が捉えづらかった。先の年に行ったり、戻ったりするところが分かりにくかった。
0投稿日: 2024.01.30 - 星野 邦夫"powered by"
世界一とも言える大企業GEの内情が詳らかにされ、こんなことが起こっていたのかと感嘆も嘆息もさせられる。GEだからこそ変えられない社風や文化が悪い方向に進み誰にも止められなくなってしまった。 最高の製品を持つ企業が勝つわけでもなく、最もシンプルなストーリーを、わかりやすく語った者が勝つと言う言葉に深く考えさせられ、巻末の巨大化した組織の文化、意思決定、会計に関する詳細な洞察を与えられ、何らかのかたちでリーダーの役割を果たしている人であれば、この本から学べることは多いはずだ。と言う言葉には同意しかない。
0投稿日: 2023.11.24 - mzhkmt"powered by"
日本法人の過去の一末端の従業員として、ここで書かれたGEの凋落を中で体験した。海の向こうのおひざ元で、こんな問題が起こっていようとは。詳細はこの本で知った。詳細を知るには、距離と、職務階層が低すぎた。とは言え、当時GEの問題はよくマスコミで取り上げられていた、ともあった。私もアンテナを高くしていたらアクセスできていたとも思った。中の人ほど中のことを知らない。 一言でいうと、greedy とarrogant. GEの経営はこの言葉で表されると思った。ウェルチが築いた圧倒的企業にあぐらをかぎつづけたImmeltとその取り巻き。経営に苦労したかもしれないが、真の経営はしていない、キャピタルという机上操作で作られるお金。GE神話に酔って「GEはすごいんだ、できるんだ」という刷り込み。 中にいた人間だから言える。そう、プレッシャーは相当きつかった。と同時に、エリート意識は高く、エリート層とそうでない層に社員ははっきり分けられた。社内カーストがつけられるとその覆しはまずない。秘密主義が敷かれ、秘密はエリート層にしかシェアされない。ますます分断は進む。しかしそれが良い会社運営だと上層部は思っていた。でも、全て化けの皮剥がれた。 Predix。ぶち上げられけど、いつしか消えた。Immeltの「やらかし」でたくさんの部門が閉鎖され人員削減の大ナタが振るわれた。その時去った内の一人が私。そんなずさんで傲慢な経営の結果、去ることを余儀なくされた人達。怒りが込み上げる。一方で、GEを去ったことでできた経験もある。長い人生、そんな事もあるさ、と思える私は良い。ただ、GEで正しいと徹底的に教え込まれたこと、身につけたビジネスパーソンシップは果たして正しかったのか?と、自分のキャリアで培ったことが正直わからなくなった。GE凋落の過程で行われた事全てが間違いであったはずはなかろう。「ストーリーを語る」というImmeltとコムストックが導入したビジネススタイルは、よりGEを親しみやすい会社にしただろう。そのストーリーの背後にたいしたこじつけと強烈なトップダウンから語られたのは間違っていたが。 この本は、GEの間違い点はたくさん示してくれる。一方で正しかった点は示してくれない。それを求めてはいけない。これはジャーナリストが客観的に取材したレポートであり、そこに価値がある。従業員としての振り返りは、自分でするしかないのだ。
0投稿日: 2023.11.10 - 1811156番目の読書家"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
伝説の経営者ウェルチ時代からグレーな会計で成長してきたという点注目。それがイメルトの時代には持たなくなった。 取締役会をはじめとするガバナンスは大事。CEOはYESマンではなく自分に反対し、声を上げてくれる取締役をそろえるべき。
0投稿日: 2023.09.21 - ma1048"powered by"
理想の経営者・組織とされたGEの崩壊の経緯は日本と変わらないような気がする Jウエルチ時代に仕込まれた歪が、日本的とも思える[白人]男性優位主義・会計操作で限界に達するまでが、結果から振り返って描かれる こんな会社を称賛していた社会が日本より好調な日本には更に闇が? この時GE買っとけば今なら... 経済誌が「浪速のJウエルチ」と称えた経営者の会社に勤務したものとしては感慨深い
0投稿日: 2023.08.06 - ONO"powered by"
ビジネスマンとして教科書的存在であったGEの栄光と凋落を描いた作品。特に製造業に携わる人には共感できるところも多いと思うので是非読んでほしい。 実態を伴っていなかったことは後々わかるのだが、GEの経営手腕は日系大手企業と比較して凄まじく先進的に感じた。それでも凋落するのがこの世の常。 この本を読んだ後、盛者必衰という言葉を思い出し平家物語を読み返したくなりました。 最後に海外のビジネス書なので、日本とはまた違ったオシャレな言い回しも多くてそこも面白い。
0投稿日: 2023.07.28 - 万年積読"powered by"
某新聞の書評で知って読んでみました。約半分読んだところで挫折。 評価2.5 面白いポイントは ・コングロマリット(複業企業)がどんな感じで商売、仕事してるのか分かる ・GEが衰退した原因が分かる。例、極端な成果主義と現場へのプレッシャー、金融業への依存、小手先の会計操作など 難点は ・とにかく話が長い。無目的に読み続けられる代物ではないと感じた ・金融や会社の会計について多少知ってないと話が進むにつれてどんどんイメージしにくくなる 挫折したのでまだ全体を把握できてませんが、具体的な目標を持って挑まないと厳しいと思いました。
0投稿日: 2023.06.05 - eieiei2653"powered by"
読み物として面白い。 あのGEがここまで衰退するとは誰が思ったか。 時代と共にマネジメントの正解は変わっていくのに、人は変わらない
0投稿日: 2023.05.12 - もん"powered by"
周囲が「まずい」と認識してからの衰退は早かった。 しかし、その問題が発生し始めてからダウ工業株平均からGEの株が除かれるまでの間は約40年。 40年に渡ってゆっくりと衰退していった。 「経営者が無能」と一言で表される問題ではないでしょう。 外からは復活するかに見えたGEが、どうして衰退しまったのか、その歴史が書かれた本。 非常に読み応えがあり、読むだけなのに体力を使った。
0投稿日: 2023.05.02 - エル"powered by"
2023年18冊目。満足度★★★★☆ かつて、時価総額世界No.1、トリプルAの格付、NYダウ採用銘柄で最も長い歴史を誇ったエクセレント・カンパニー・GE 日本でも特にジャック・ウエルチ時代の経営について、賞賛するメディアが多かった しかし、実はそのジャックの時代から水面化では内部崩壊を始めていて、日本の東芝で起きた粉飾紛いの経営が長年に行われており、かなり危うい経営実態にあったことが、本書を読めばよくわかる 米国企業を中心に株式投資をしている者として、改めて「個別」株式への投資のリスクの高さを再認識した なお、海外のノンフィクションにありがちであるが、話がやや冗長なところがあり、約500ページ読むのは少し時間を要した
0投稿日: 2023.04.11 - lacchanl"powered by"
GEの凋落が生々しく描かれていて興味深い。リーダーのあるべき姿やステークホルダーからの扱われ方等勉強になる部分もあった。
0投稿日: 2023.04.10 - bqdqp016"powered by"
アメリカ人ジャーナリストにより、GEの歴代CEOを中心に経営幹部に取材した結果をまとめたもの。GEの盛衰を概略理解できた。ただし、GEの時々の経営実態がデータとしてわからないので、事業の成功・失敗の評価が人の意見の積み重ねでは説得力がない。どの会社のCEOもそうだが、人の評価には賛否両論があり、何らかの定量的なデータが示されないと個人的意見と判断せざるを得ない。残念な書籍。 「(GE誕生の聖地:ニューヨーク州スケネクタディ)この巨大な古い工業の本拠地は空洞化しはじめていた。GEの最盛期には4万人以上の男女が働いていたが、2017年にはその数は1/10になっていた」p6 「GEの生みの親は、トーマス・エジソンではなく、JPモルガンである。モルガンは資金力にものを言わせて、競合する複数の会社を合併させた。エジソンは、会社の財務状況が悪化していたため、買収に応じざるを得なかった。偉大な発明家は、GEの名前だけの初代取締役となり、宣伝のためのお飾りになった。しかも、エジソンが取締役の座にあった期間はほんのわずかだった。失敗に終わる鉱山開発に必要な資金を得るために、GE設立後数年で株を売却してしまい、その後急成長がもたらす利益をつかみそこねている」p20 「(ジャック・ウェルチ)意思決定は各事業に委ねたが、各事業のオペレーションには細かく目を光らせた。中間管理職には、長いメモを書くのをやめさせ、分厚い計画書を捨てさせた。「プラニングはいらないからプランを出せ」と繰り返した。ウェルチの支持者たちによれば、ウェルチはアウトソーシング、国の貿易政策、日本企業の台頭といった、グローバル企業の相貌を変えかねない大問題から目を離さない一方で、会社の隅々から細かい情報を引っ張ってきて系統立てる不思議な能力があったという」p27 「最盛期には、GEキャピタルはGEの総利益の半分以上を生み出していた。米国で最も有名な製造企業は、実質的には、米国で最も大きく、最も謎めいた銀行の一つになっていたのである」p29 「テレビに出るたびに株価のことを質問されて、イメルトは株価が経営者の成功を測る容赦のない基準であることを痛感した」p99 「政治でもビジネスでも「最高のキャラクターの候補者が勝つのではなく、最高の製品を持つ企業が勝つわけでもない。最もシンプルなストーリーを、わかりやすく語った者が勝つのだ」と(大統領選マケイン陣営の)シュミットは言った」p194 「(買収時の評価額)ディールを成立させるためにはブイグを納得させなければならないとイメルトやボルツが決めた後は、バンカーや法務担当の仕事は、妥当な額の計算ではなく、決められた額の正当化に変わった」p288 「ヨーロッパでは、タービン開発プログラムをヨーロッパに残せというベスタガーの要求に屈するかたちで、GEはアルストムの技術をアンサルドに譲渡した。その技術は、最終的には上海電気に渡ることになる」p335 「(大株主の取締役就任)取締役会に参加することでトライアンはGEを深く知ったが、証券取引法上のインサイダーに該当するため、取締役として得た未公開情報を(GE株売買に)利用することができなかった」p408 「自社株買いには賛否両論があり、経営陣に良い方策がないことの表れだと言う人もいれば、株主に現金を還元する第二の配当のようなものだと言う人もいる」p412 「フラナリーが取締役会の刷新と縮小を打ち出したとき、取締役会には現役のCEOまたはCEO経験者が6人いた。ほかに、投資信託大手バンガードグループの元社長、ニューヨーク大学ビジネススクールの学長、さらには証券取引委員会の元委員長などが名を連ねていた。17人の独立取締役は、現金、株、その他の特典を組み合わせて、年間30万ドル以上に相当する報酬を得ていた」p430 「(取締役の仕事)満足に答えられていない疑問や、定時すらされていない疑問を追求し、経営を監視し、致命的な放漫さから投資家を守るのが彼らの仕事なのだ」p455
1投稿日: 2023.04.09 - aky302002"powered by"
2023年2月20日時点で、GEの株価は83ドル。 すでにGEヘルスケアは分社化され、 2024年にエネルギー事業はGEベルノバに、 航空機事業はGEエアロスペースに分社化される。 コロナ禍では34ドルまで下落していたわけだから、 株価だけ見れば、いまのところスピン・オフ戦略は うまくいっている。 経済再開で、ボーイングからのジェットエンジンの受注も 増えているようだ。 しかし今後は果たしてどうなるだろう。
0投稿日: 2023.02.21 - Sho"powered by"
盤石だと思われていたGEの内実が興味深い。収益を極端に追求する様子は良くも悪くも米国企業を感じる。デジタルに舵を切った時は外から見た際には素晴らしい戦略かと思っていたが、実態とのギャップが激しかったことを理解した。
0投稿日: 2023.02.18 - akipii"powered by"
GEは日本の総合電機メーカーが目標にしていた会社。 しかし、GEの凋落と日本の総合電機メーカーの凋落が同時期に一致しているのは怖いくらいだ。
0投稿日: 2023.01.09 - みのる"powered by"
トップが絶対の権力を持ちすぎることで 組織が崩壊していく。 でも、その裏にあるのは、利益を最大化したい 投資家からの過度なプレッシャーなのではないか。 トップになることで、高額な報酬が待っている。 激しい競走に耐え抜き、トップに立ち、 自分の権力を絶対化する。 取締役会会長になることで、取締役会を 機能不全とし、 外部に対してはうまく行っているように 見せる。 こうすれば、誰からも文句は言われない。 そのために、GEキャピタルは、 会計処理のための、道具をさまざなに提供してきた。 いざ、これが問題視されると、 取り繕うために、 キャピタルの売却 アルストムの買収 デジタルの立ち上げ を行った。 が、 売却できなかった介護保険事業のリスクを隠蔽 多額の買収金のわりに、再エネなどにて 思うように上がらなかった売上 苦肉の策としての会計処理 中身がなかったプレディクス という結果。 これを受けてCEOになり、 14ヶ月でおいだされたフラナリー氏は、 かわいそうなのかも。
0投稿日: 2023.01.09 - poron330"powered by"
GEはダウ30種平均に当初から組み入れられていた優良企業であった。家電から原発、メディアや映画、様々な金融機関を展開。それが現在は見る影もない状況。なぜそんなことになってしまったのか。 大きな要因の一つには、大掛かりな会計操作があげられる。会計基準というのは毎年のように変更される。その為その時点では違法な処理ではないものも多く発生する。GEでは会計担当者が新たな手法で利益を前倒ししたり、複雑なデリバティブ手法を駆使して損失を隠すような手段を考えだしたりすると高評価を得られる。例としては巨額な費用を使って制作した超大型映画キングコング。しかし予想よりはるかに入りは悪いことが明らかとなる。本来なら見積もっていた資産価値を大きく減損させなければならない。それを回避するためプレミアムDVDを発売することにして見込み利益を維持させるなど。また、日本で行っていた消費者金融レイク。日本の最高裁が過去の利息まで遡って違法(法学的には新法を遡及するのは有り得ないが…)としたため、これも本来なら巨額の見込み損失を計上すべきところ、レイクを「非継続事業」と位置付けて、その部分は投資家に開示すべき調整後利益に含めなくてよいとする勝手な独自解釈で隠蔽した。監査法人KPMGはGEの言いなり状態。それもこれも予算達成が絶対条件という社内風土によることが大きいようだ。 また、ろくでもない企業でも次々に買収して会社の資産価値を膨らましていくことも得意。結果的にキャッシュフローに行き詰まり安い価格で次々に売却せざるを得なかった。 自身の在任中だけ良ければ後は関係ないという上層部の集まりだったのだろう。実際役員は退職後も様々な利益供与を受けていた。GEの株が暴落して年金代わりに投資していた人たちには死活問題となった。株を買うなら企業の状況はよくよく厳選して分散してというのが基本ではある。
0投稿日: 2022.12.05 - katak-ai"powered by"
エジソンはお飾り、J.P.モルガンによる資金力で生まれた どんなビジネスでも成功させる方法を知っている会社 ウェルチ マネジメント効率 金融 ランキングによる人員削減 1980から2000年で売上5倍、株価40倍 企業買収 実質 全米7位の銀行 AAAのGEキャピタルと エジソンコンデュイット 利益平準化 本来のCP短期債券発行+GE資産の高値購入 2001年 イメルト 後継者選びを公開 営業力のイメルトへ エンロン不正会計で 2002年 米国企業改革保成立にて 利益操作不可能に ヘルスケア、再生可能エネルギー分野の企業買収 保険と再保険会社の売却 損失の可能性ある再保険は残す オーガニックな成長 =既存事業の強化による成長 マーケティング復活 新たなタグライン Immagination at Work (創造するイマジネーション) Borg 全社的ハブ機能 (スタートレックの異星人から命名) 中国市場開拓 サブプライム市場への投資 素材部門、GEプラスチックス(→Sabic) 売却 Ecomagination 自然と調和するテクノロジー ハドソン川浚渫 2008年 リーマンショック CP危機 GEキャピタルの鍵=信用のある低調達コストのCPでニッチ顧客へ貸し出し 株価 就任時38ドル→2009年1月12ドル ひと桁まで下落 NBCユニバーサル売却 2010年 ドッド=フランク法 金融システム刷新 政府の毎年のチェック キャピタルの利益率低下 2015年 GEキャピタル売却 ~デジタルインダストリアル企業へ GECASは残す 航空機ジェットエンジン リース 発電システムや医療機器融資 工業系事業90%へ 350億ドルの現金取得 GEデジタル 「プレディクス」センサーからのデータ分析 2016年 GEパワー 仏アルストム買収 倒産危機の会社からガス/風力タービン、送電網などの電力事業買収 子会社PSMも併合すると反トラスト法に違反 アルストムの賄賂の罰金、フランス政府の介入により買収額増加 伊アンサルドに売却するがタービン技術は上海電気に渡ってしまう 2016年 コネチカットからボストンに移転 株価30ドル越え 市場シェア獲得優先 GEパワー 将来の利益を見込んだ帳簿の操作によるサービス契約 債権のキャピタルへの売却 1株当たり利益2ドル未達 イメルト 11年間で1億6800万ドルの報酬 2017年 GEヘルスケアトップのフラナリーがCEOへ 独裁者から議論の集団へ 2機体制の自社ジェット機を廃止 世界の開発拠点を米ニスカニアとバンガロールの2か所に集約 介護保険の残滓 規制当局からの150億ドルの準備金の要求 配当金の4年分 2018年 ハーバードビジネススクールのカルプへ 株価7ドルを割り込む 1400億ドルの市場価値が消える ボトムアップへ 運輸交通事業、石油ガス事業、バイオ医薬品事業、小計機器部門の売却
1投稿日: 2022.11.23 - tabutaka"powered by"
レビューはブログにて https://ameblo.jp/w92-3/entry-12771959472.html
0投稿日: 2022.10.30 - 公認会計士 日根野健"powered by"
ウェルチCEO時代、GEという巨大コングロマリットがどのように構築されたか。従業員が受けていた苛烈な業績へのプレッシャー。その裏にあった会計トリック。 イメルト時代の経営方針の迷走。コーポレートガバナンスの欠如。 などなど、名声の裏で機能不全に陥っていたGEの実態を描く衝撃作。 日本のコングロマリット、東芝などに関心のある投資家も必読です。 コングロマリットがなぜディスカウントされるか、これを読めば感覚的にわかると思います。
1投稿日: 2022.10.25 - rolling pistachio"powered by"
時系列を前後させていることで、ストーリーがかえってわかりにくくなっている。また同じことが繰り返し別の文脈で出てくるが、冗長に感じる。内容に比してページ数が多すぎる。
0投稿日: 2022.10.07 - 鴨田"powered by"
GEのことは、仕事の一部が競合することもあって、何かとベンチマークの相手としつつも到底叶わない相手と思ってきたのに、内情はこうだった、と知って、ガッカリすることしきり。 違法ギリギリの会計手法については、JPモルガンがせっせとレポートを出していたので、新しい話ではなかった。やはり、キャッシュフローが大事という当たり前の真実に行き着く。 Oil & Gasの分野のことは、あまり良く分かってなかったので、為になった。
4投稿日: 2022.09.14 - kawaakami"powered by"
ビルゲイツおすすめというのでTSUTAYA三軒茶屋で購入。東芝ってどこまでもGEをベンチマークしてたからあんなことになったんだなという感想を持ちました。私も企業内教育システムでGEを手本にしたものを受ける機会があってそれはとてもためになった。つまり、ちゃんとしたものも間違える。ということが私は言いたいのか?predixの紹介をしたプレゼン見て全く何がいいのか理解できなかったことを思い出したり。
1投稿日: 2022.09.13 - headshrink"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
最近は個別株に投資することはほとんどないので気が付かなかったが、GEがすごいことになっていて驚いた。ジャック・ウェルチの頃から比べると株価は10分の1だし、無配だし、いったいどうなちゃったの?という感じ。 前任者が悪かった、というのは簡単だし、イメルトも就任四日目で911に遭遇したり、不運な面も多々あったのだろう。これからはガスの時代だ、とばかりにシェールガスやオイルに大きく投資するなど読み違えた部分も大きい。が、一番は金融に頼りすぎたところなのだろう。GEは家電メーカーでなく、GEキャピタルを中心とした金融業だ、と以前から言われていた通り、GE本体は将来のメンテナンスなどを約束して(実際は負債なのだが負債としては計上せず)売上を上げ、CPなどをGEキャピタルを介して売りさばいて手に入れた現金で安定した配当を出していたことなどが詳細に描かれる。 イメルトはGEのPERが低いのは金融業と見られているからで、これを製造業、ゆくゆくはテック企業並みの高PERとして市場に認めさせることで株価の上昇を企てたがうまくいかず、こうした現状を比較的正直に公表したフラナリーの時代に一気に暴落してしまう。 GEの企業統治上の問題、取締役会長とCEOが同一人物であるという形態もCEOに権力が集中しすぎて正しい軌道修正ができなかった一因として考察されている(実際、エンロン以降、この統治構造は米国から姿を消している)
1投稿日: 2022.09.11 - eisaku0330"powered by"
世界の経営者必読の書 MBAのテキストとしてBest GEの経営情報が満載で質がExcellent しかも理論的バックボーンのレベルが高い GE個別企業の物語ではなく、「世界企業の経営」をテーマとした総合書 類書にない 経営は結局「人の問題」「CEO選抜は絶対」 1.GE版失敗の本質 ウェルチ経営に失敗の萌芽 四半期業績 M&A No.1と2 VISION無き経営管理 2.GEという優良企業の劣化過程 収益至上主義 金融事業・インフラ事業の将来利益に手を出す→ドラッグ・麻薬 ストックの毀損は✕ 取り返せない 3.エリート養成プログラム 社内MBA◎ (124) 「松下の経理社員」を連想 財務は必須 財務管理より成長戦略はいかがか 4.キャッシュフロー収支の時間軸(128) 取引新規は大赤字 メンテナンスで回収 競合を排除 ex航空機 発電所 金融 5.金融ビジネスへの依存 死に至る病 財務・金融への理解は✕ イメルダ・ウェルチ 金融業の特異さ 自動車の販売金融依存をどうみるか? 高い格付に依存 6.経営者の業績評価 事業ポートフォリオの改革 経営改革 それにしても本書の深さは素晴らしい 和書にはないのはなぜか? 4.5.
0投稿日: 2022.08.27 - hokkaido"powered by"
長らく世界中の企業が経営のベストプラクティスとして認識していた総合家電コングロマリット企業のGE(General Electric)であるが、名経営者として名を馳せたジャック・ウェルチの後を継いだジェフ・イメルト時代から株価は低迷しはじめ、ついにはヘルスケア・航空・エネルギーの分社という結末を迎えた。 本書は主にジェフ・イメルト時代、さらにその後を継いだジョン・フラナリー時代を中心に、GEという企業がなぜ崩壊することになったのかを丹念に追うノンフィクションである。著者はウォール・ストリート・ジャーナルの記者であり、丹念に崩壊の様子を描いていく。 一言でGE崩壊の要因を語るのは極めて難しい。要素としては、偏重した株主至上主義による成長へのプレッシャーと偏執狂なまでにも見える自社株買いへの投資(成長投資を抑えてまで自社株に投資する必要性はどこまであったのか?)、違反とまではいかないものの極めてグレーゾーンな会計処理による利益操作、強すぎるトップダウンによる硬直的な組織風土、特にイメルト時代に行われた内実を伴わないマーケティング・ブランディングへの投資(この虚像が最も表れたのはGEがぶち上げたIndustiral Internetに特化したプラットフォーム”Predix”の無残な結末である)など、枚挙に暇がない。 そして本書が投げかけるのは、GEをベストプラクティスとして賞賛し、その模倣に取り組もうとした数多の企業や経営コンサルティングファームは一体何を得たのか、ということである。日本においてもGEはコングロマリット経営や、徹底したオペレーション力、経営人材の育成方針など、様々な観点でベストプラクティスとして取り上げられてきた。その問いを私自身も突き付けられた気がしている。
2投稿日: 2022.08.06