日本人の青年が異世界に、というありふれた異世界召喚物。………かと思いきや、その異世界は現代世界にかなり近い文明・技術力を持っており、かつポストアポカリプスという非常に珍しい作品。 原作者が「異世界喫茶」の風見鶏氏という事もあり、静かで落ち着いた世界観と、高い文章力が素晴らしい。あと風見鶏氏らしく料理描写がちょくちょく出てくる。 作者の画力はそこまで高いわけではないが、風見鶏氏の世界観及びその雰囲気をしっかり表現できており、その点では文句無し。落ち着いてテンポ良く読める読みやすい完成度に仕上がっている。 ストーリーは静かで、少しだけ悲しくて寂しく、それでいて穏やかで優しいという上質なものに仕上がっている。例えるなら、「キノの旅」から皮肉と毒気を抜いた感じ。個人的にこのストーリーが大好物、本当に素晴らしい。 物静かで落ち着いた雰囲気・世界観が好きな人には特にオススメ。まさか異世界召喚物でこんな内容の作品があるとは思わなかった。