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オルゴーリェンヌ
オルゴーリェンヌ
北山猛邦/東京創元社
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総合評価

9件)
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    世界観とそこに出てくるキャラクターとミステリのトリックと、要素の全てが最高のバランスで配置されていて、やはり傑作ですね。(単行本が出た当時既に大感動してその時にも感想をまとめましたが、ようやくの文庫化で再読して再確認した次第)

    0
    投稿日: 2025.08.17
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    この本は、とても脆くて、限りなく澄んだ、 『ミステリ』という名の宝石です。北山猛邦 “孤島”に住まうオルゴール職人たちを襲う、連続不可能殺人。 『少年検閲官』に連なる著者最大にして、最高の傑作。 検閲官に追われる少女と出会ったクリスは、再会した少年検閲官エノと共に、少女が追われる原因である〈小道具〉を探し求めて孤島の洋館に向かう。そこで待ち受けていたのは、洋館に住むオルゴール職人たちを襲う連続不可能殺人だった! 先に到着していたもう一人の少年検閲官の支配下に置かれた場所で、三人は犯人を突き止めるべく、トリックの解明に挑む。〈少年検閲官〉シリーズ第二弾にして著者最大の力作、待望の文庫化! 不思議な世界観だった。本を検閲する少年エノと本来であれば、その検閲官の少年から逃げないといけない男の子のクリスのコンビの話。ミステリーなどの書物が検閲されて、それを持っていると少年検閲官がやってきて建物ごと燃やして所有者を逮捕する。怖い。そんなところに、言葉を喋ることができない少女のユユが合流して、事件に巻き込まれていく。 戦争が終わって、地球温暖化で低い土地はどんどん水没していく。そんな環境で、もともとは陸地だったところが孤島のようになってしまったところで起こる連続殺人事件。ミステリーとかがないのに、殺人事件が起こるのが不思議だったなぁ。人を殺す物語がないから、人が死ぬ=事故か病死っていう方式がすごいなって思った。 基本的には、面白かったし、誰が犯人なのかすごく気になった。そして、検閲官のエノとクリスのコンビ、そしてもう1人の検閲官のカルテ。このカルテがなんだか不思議というか捉えどころがないかんじがしたなぁ。エノとは違った怖さというか不気味さがあるかんじ。 この話は、まだまだ続くのかな。そしたら、エノとクリスの行き先がわかるのかな。エノは、人を信じることが分からないって言ってたけど、私にはクリスのことを信じているように見えたんだけどなぁ。 2025.4.16 読了

    0
    投稿日: 2025.04.16
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     焚書によるディストピア風のファンタジーで旅をする少年クリスが謎の少女ユユと出会い、さらには前作の事件で知り合った少年検閲官・エノとも再開を果たし、海上に建つオルゴール職人達が住む『カリヨン邸』に隠されているというガジェットの捜索と、洋館の住人を襲う連続不可能殺人に巻き込まれ、その謎を解明していく、特殊設定×館×クローズドサークル×不可能犯罪というミステリー好きには堪らない魅力のオンパレードかつ滅び行く世界で少年少女が自分の進むべき道を模索していく姿も引き込まれるものだった。ラストの畳み掛けは心底驚かされるものだった。間違いなく著者の最高傑作の一つ。

    1
    投稿日: 2024.11.26
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    最後のシーンになってようやく犯人像が見えてきて、まさか、まさか…!と徐々に明らかになる真実に打ち震えました。 かなり分厚い文庫本ですが、最後まで読む価値はあります。前作の『少年検閲官』を読んだ事がある方は特にオススメします! 序章からすでに面白く☆5にしたいのですが、 『少年検閲官』で紙のない世界ならではの犯行を上手く描いていた反面、今作はあまりその世界観が生かされていなかった点で、☆4にしました。

    1
    投稿日: 2024.08.15
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    プロローグにあたる「序奏 月光の渚で君を」読んだだけで、一つの短編を読み終えたかのように、ちょっと間を置いて余韻に浸ってしまいました。 同じ著者の「ギロチン城」のプロローグ「首狩り人形」を読んだ時のような衝撃でした。 そして本編、「うんうん、これぞ北山作品やんな」と期待を裏切らない世界観とストーリー、そして蠱惑的な謎の数々とそれを可能にする物理トリック(偉そうに言ってるけど、全く謎は解けませんでしたが…)。 読み終わって思ったのは「ちょっとマイクル・コーニイ入ってるかも」でした。 決して多作ではないけど、新作が出るたび、もとい文庫化されるたびに買ってしまう北山猛邦さん、もっともっと作品を読みたいですね。

    1
    投稿日: 2023.08.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読む順番は恐らく違ったのだろうが、北山ミステリは初読みだ。叙述トリックのものは読んでいたが、ここまでの物理トリック。説明的なのに説明だけでは終わらない、雰囲気や温度感、空気感も大事に描かれていた。 何より少しずつ小さな不明点を明らかにすることで、1番大きな伏線を回収することへ繋がる。残った人たちの推理が、その人の都合で解釈されていく中、もっとも冷静で冷酷な答えに導かれる。歯車が噛み合ってしまった無念さも、オルゴールの世界観と同期されている気がした。 順番は違ったのだろうが、1作目に選んで正解だったと思う。解説にもとても作者への愛を感じることができた。少年検閲官や、他の作品も読んでみようと思う。

    0
    投稿日: 2022.08.10
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    傑作です。 ミステリの面白さが詰まった作品であり、なぜこのトリックを使用したかの答え、序奏の幻想的で儚げな物語、散りばめられたガジェットなどなどめちゃくちゃミステリ的な面白さ。よかった。

    2
    投稿日: 2022.05.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    厚さが嬉しくなるほど夢中で読んでしまった。 二転、三転。 そして途中で気づいて 嫌だ、嫌だと思うも 1番苦しく切ない真実を突きつけられた。 それなのに物語の美しさに まるでハッピーエンドかのような錯覚を覚える。 クリスの冒険の続きを読みたい。 けれどこれ以上のものが生まれるのだろうか。 ちなみにカルテの『足枷』はなんだろう。 高さが怖い、とかかな?? それなら先輩のために頑張ってビルに登ったのはとてもかわいい。

    2
    投稿日: 2022.05.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    作中の検閲官は中世の異端審問官とゲシュタポを混ぜたような連中で、存在そのものが「悪」と切って捨てたくもなるのだが、それでも彼らの、人殺しの話を何故読んだり書いたりするのか、という問いは、ミステリ読者として見過ごしにはできないだろう。この問いに少なくとも「人殺しの話が好きだからではない」と作品そのもので返答しているように思えることを、まずは讃えたい。ミステリとしてはこれでもかの物理トリックが、別の途方もない仕掛けの伏線であることに感嘆。素晴らしい。

    2
    投稿日: 2022.05.01