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NOISE 上 組織はなぜ判断を誤るのか?
NOISE 上 組織はなぜ判断を誤るのか?
ダニエル・カーネマン、オリヴィエ・シボニー、キャス・R・サンスティーン、村井章子/早川書房
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総合評価

26件)
4.1
8
10
5
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    人間の判断がバイアスだけでなく、ノイズにも左右されることがよくわかる。自分の中では、バイアスもノイズも混ざった概念だったので、少しすっきりした。

    0
    投稿日: 2025.08.27
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    https://claude.ai/public/artifacts/7547a04b-c079-4b47-a0fb-6cb90f1f9cd3

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    投稿日: 2025.06.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    # 意思決定の精度に関する秘孔を突いた一冊 ## 面白かったところ - 「狙った的が外れる」という事実は見る切り口を変えたらカテゴライズでき、「バイアス」と「ノイズ」で表現されていて膝を打った - 「一晩寝かせるといいアイデアが浮かぶ」というアレの正体の根源が「群衆の叡智」であると力説していて面白い ## 微妙だったところ - 正規分布や公式など、統計学を始めとした、大きな主語で言う「数学」の知見が多く散りばめられていて難しい ## 感想 組織が正しく前に進むための決断について興味があったため読み始めたが、かなり面白い。 人間という1単位で見た場合と、組織で見た場合では決断の際にバイアスがかかる。初めに発言した人間の意見が通りやすいのは、それ以外の人のシステム1が起動してしまうからと言う理屈も興味深い。 人はコンピュータのように様々なカテゴリの数値を分析することは難しいが、階層的にハンドリングしやすい数値で比較することは割りと得意という論も納得がいった。20種類のピザのランキングを付ける際も、闇雲に20種類レビューするんじゃなくて、「魚介系」「肉系」のようにカテゴライズして評価点をつけるほうがやりやすいのは自分でもわかった。 絶対評価ではなく相対評価のほうがマシ。ということである。これはストーリーポイントの概念にも通ずることがあるな。 書いてある内容や引用してある概念は簡単ではないが論じられている内容はかなり面白いため、下巻も楽しみである。

    2
    投稿日: 2023.10.25
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    面白かった。 ファースト&スローも良かったが、人間の判断の曖昧さ、将来の予測、ノイズやバイアスなどは、自分が判断する時に気をつけなければならない。 最初の発言者に、意見が引っ張られると言うことは、経験的にある。 尺度ノイズについてはもっと勉強しないといけない。

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    投稿日: 2023.05.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    まさに今、AIが人に変わって対応できるのではと言われるが、アルゴリズムにもバイアスがかかるリスクがあるため、やはり限界があり、人間の心理を理解して、判断することが必要。 その場で、一回限りの判断であっても、それは100回の判断の中の一回であることを肝に銘じて、判断しなくてはいけないし、その結果を検証する謙虚さが必要なんだろうと思った。 以下抜粋 バイヤスとノイズとは、系統的な偏りとランダムなばらつきを指す。 両方を理解する必要がある。 ばらつきの原因の多くは、評価者の方にある。 人間の判断には、バイヤスだけでなくノイズも多い。このばらつきを機会ノイズという。 ルールやアルゴリズムが優れているのは、単純にノイズがないからだ。 予測判断の質には限界がある。これを客観的無知という。 人間の心理に立ち戻り、ノイズが生じる根本原因を知る必要がある。 人は、性格や知覚のちがい、複数要素を天秤にかけるときのやり方を間違ったり、まったく同じものさしでもの使い方が違ったりする。 判断を改善しエラーを防ぐことが重要。 検証可能性は、判断自体を変えることはないが、事後の評価は左右する。 検証可能な判断は、単純に判断の実際の結果の差、すなわち誤差を客観的な判定者が計測すれば評価できる。 検証不可能な判断の場合は、判断のプロセスを評価する方法がある。 判断プロセスを評価する際には、それが論理的に適っているか、確率理論から逸脱していないか調べる。 判断の良し悪しを決めらるか? 複数の選択肢を比較評価するときに汎用的に使える評価支援ツールとして「媒介評価プロトコル」がある。

    0
    投稿日: 2023.03.05
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    本書は、ノーベル経済学賞を受賞したダニエルカーネマンの著書で、人間の意思決定のばらつきを取り扱っています。 人間の意思決定は、ノイズ(ばらつき)とバイアスに影響されています。 バイアスについては、前著のファスト&スローで解説されており、本書では、ノイズについて解説されています。 私達の身の回りには、様々な判断のばらつきが転がっています。 人事評価、医師の判断、裁判の量刑‥同じような事案の裁判でも、裁判官により刑期が異なったり、同じ裁判官でも時間や天気により刑期が異なったりするそうです。 上巻では、どんな時にばらつきがあるのか、下巻ではばらつきの原因とその対策を解説してくれています。 判断のばらつきを抑えるには、 複数の独立した判断を統合する。 統計的に考える。 判断を構造化する。 評価基準を設ける。 等があるそうです☺ 大事な判断には、バイアスもノイズも除いた正しい判断をしたいと思う一方、そこがまた人間味があるところなのかも、と思ったりも…

    0
    投稿日: 2022.10.09
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    【感想】 本書は行動経済学の世界的ベストセラーである「ファスト&スロー」の著者、ダニエル・カーネマンによって書かれた意思決定論である。「ヒューリスティクス」や「システム1」など、ファスト&スローに出てきた概念も登場するため、事実上の続編といってもよいかもしれない。 本書のテーマは「ノイズ」という概念だ。ノイズとは何かを判断する際、誤謬や一貫性の欠けにより、不規則に目標からズレてしまうことを指す。いわゆる「ばらつき」である。これに対して、一定の規則性をもって目標からズレていることを「バイアス」と呼ぶ。従来の組織論の中で言及されていたのはもっぱら「バイアス」であり、例えば人種や性別といった無関係な要素を不当に連関して評価しがちであることが問題視されていた。これに比べて、「ノイズ」は「バイアス」と同程度に重要なファクターであるが、あまり取り上げられていない。 読者の中には、「専門家が何百回も下す判断の中にそんなに間違いが含まれているのか?」や、「裁量の余地があまり残されてない分野(法に基づく裁判など)について、あらためて問題提起するほどノイズは発生しているのか?」という疑問を持つ人がいるかもしれない。だが、これは間違いなく存在するし、しかも相当に深刻だ。 例えば、民間の保険会社にノイズ検査を実施したケース。何人かの保険の引受担当者と査定担当者に、同一のケースの保険申込みの査定をしてもらった。 結果、引受担当者間の見積額の格差の中央値は55%だった。一人が保険料9,500ドルと見積もったとすると、もう一人は1万6,700ドルと見積もったことになる。査定担当者のほうは、査定額の格差の中央値は43%だった。この道何十年のベテラン同士が比較した結果が「保険料1.5倍」なのだから、もはやヒューマンエラーでは済まされないレベルだ。 また、ノイズにも複数の種類があり、レベルノイズ(判断者ごとの判断の平均的なレベルのばらつき)とパターンノイズ(特定のケースにおける判断者の反応のばらつき)が存在する。レベルノイズの二乗とパターンノイズの二乗を合計するとシステムノイズの二乗に等しくなる。これらももちろん、保険や法律といった分野にたくさん存在している。 例えば保釈審査。最も寛大な裁判官(保釈承認率の高いほうから上位20%)は被告の83%の保釈を認めたが、最も厳格な裁判官(同下位20%)は61%にとどまった。同じ被告に対しても、裁判官の間で判断のばらつきが大きく、ある判事がリスクは低いとみなした被告を、おおむね寛大な別の判事がハイリスクだと考えたりする。これはあきらかにパターンノイズが存在する証拠だ。 よりくわしい分析を行ったところ、判事間の判断のちがいの67%は事案に由来し、33%はシステムノイズだった。システムノイズにはレベルノイズ(裁判官固有の寛大さ加減)も含まれるものの、79%はパターンノイズであることが判明している。 こうした「裁判官自身の価値基準」+「事案ごとのブレ」に加えて、「機会ノイズ」という要因も、エラーを生じさせる。機会ノイズとは単に「何となくブレる」ということだ。信じられないかもしれないが、裁判官は贔屓の地元チームが勝った次の日のほうが、負けた次の日よりも寛大な判決を下しやすいという。一見どうでもいいような要因(晴れの日、空腹時、誕生日)も、人間の判断を歪める原因になる。 こう見ていくと、もはや人間に判断させないほうがマシなんじゃないかと思うかもしれないが、実はその通りなのだ。機械を使い、多少いい加減なモデルを組み立てて自動実行したほうが、人間が熟慮して下した判断よりもよい成績を残すのだ。 機械的手法のうち、倹約モデルと呼ばれる超シンプルな予測モデル(予測変数を2個しか使わないモデル)であっても、機械学習を使った高度な予測モデルであっても、人間の専門家の判断より正確だったことが、実験で分かっている。予測変数にあなた独自の解釈をプラスしても、予測精度が高くなるどころか悪化するという。残酷なことに、「人間らしい判断」が実際の選好に与えるのは悪影響だけであり、たまにいい結果をもたらしても――例えばとある外れ値を見つけることができたとしても――それは誤差の範囲に吸収されてしまうのだ。 ――――――――――――――――――――――― 以上がおおまかな本書のまとめである。 読む前は、テーマがテーマだけに複雑な本だと思っていたが、実際には非常にシンプルで、具体例も多く、内容がスッと頭に入ってきた。行動経済学の本だが数式やグラフは全くないため、初学者でも理解しやすいのが嬉しい。 上巻と下巻に分かれているが、上巻は「あらゆる判断のもとにはノイズが発生する」ことの説明に終始し、下巻で「ノイズを考慮してよりよく判断するためにはどうしたらいいか」という解決策を提示しているようだ。上巻だけでも非常に面白かったので、引き続き下巻も読み進めてみたい。 ――――――――――――――――――――――― 【まとめ】 0 まえがき バイアス…一定の規則性をもって目標(基準点)からズレていること。 ノイズ…不規則に目標(基準点)からズレていること。いわゆる「ばらつき」。 判断のエラーを理解するには、バイアスとノイズの両方を理解することが必要になるし、ときにはノイズのほうが重大な問題であることもめずらしくない。ところがヒューマンエラーを研究者が論じるときも、公的機関や企業が問題にするときも、ノイズはほとんど意識されない。いつも主役はバイアスである。 1 判断あるところにノイズあり ともに前科のない二人の男性が偽造小切手の現金化で有罪になった。金額は、一人は58.40ドル、もう一人は35.20ドルである。下された量刑は、前者は懲役15年、後者は30日だった。法律というルールに基づいて判断を下す職業であっても、明らかに乖離している。 1974年に連邦裁判所判事のフランケルが中心になって行ったノイズの実態調査では、架空の事案を数種類用意し、さまざまな地方の裁判官50人に各事案の被告人の量刑を決定するよう求めた。その結果わかったのは「判断が一致することのほうがめずらしい」ということであり、量刑のばらつきは「度肝を抜かれるほどだった」。たとえばヘロインの売人の量刑は懲役1年から10年の間でばらつきがあった。銀行強盗は5年から18年である。恐喝では、最も軽くて懲役3年罰金なし、最も重いと懲役20年プラス6万5,000ドルの罰金だった。とりわけ驚愕させられるのは、20件中16件では、そもそも刑務所に送るべきかどうかで意見が一致しなかったことである。 民間の保険会社にも同様のノイズ検査を実施した。何人かの保険の引受担当者と査定担当者に、同一のケースの保険申込みの査定をしてもらったのだ。 結果、引受担当者間の見積額の格差の中央値は55%だった。一人が保険料9,500ドルと見積もったとすると、もう一人は1万6,700ドルと見積もったことになる。査定担当者のほうは、査定額の格差の中央値は43%だった。しかもこれらの数字はあくまで中央値だった。つまり半分のケースでは、格差はもっと大きかったのだ。 理想的にはつねに同一であるべき判断に、不可避的に入り込む好ましくないばらつきを「システムノイズ」という。システムノイズはシステムに一貫性や統一性が欠けているために生じ、不正義の蔓延、金銭的コストの増大をはじめ、さまざまなエラーを引き起こす。 システムノイズの決定的な特徴は、望ましくないことである。好みやアイデアといった要素にはばらつきや多様性は歓迎すべきものだ。一方で、システムノイズはシステムの問題であり組織の問題であって、市場の問題ではない。同等の資格や知識を持つ専門家集団の判断にばらつきがあるのは、大問題である。そのようなノイズの存在は、システム自体の信頼性を著しく傷つける。 2 ノイズを測るものさし 本書では判断を評価するにあたり、実際の結果と照合する方法と、判断に至るまでのプロセスの質を評価する方法の二つに焦点を合わせる。検証可能な判断の場合、同じケースであっても、評価方法次第で結論がちがってくる可能性がある点に注意されたい。有能で注意深いエコノミストが精度の高いツールとテクニックを使って予測しても、ある四半期についてインフレ予想をまちがうことは大いにありうる。逆に一つの四半期だけなら、チンパンジーのダーツ投げで偶然に当たることだってありうるのだ。 じつに間の悪いこの問題を解決するために、意思決定の研究者は、一回限りのケースでは結果ではなくプロセスに注目せよとアドバイスする。だが現実にはプロセスが重視されることはあまりない。プロフェッショナルが下す判断の場合、自分の下した判断が検証可能な結果にどれだけ近かったかが重視される。 要するに検証可能な判断の場合、大方の人が予測を結果にぴたりと的中させたいと思っている。そして実際にやっているのは、検証可能かどうかにかかわらず、自分の判断が証拠や事実とそこそこ一致したときに内から発信される「もうよし!」のシグナルを聞くことなのである。しかしほんとうにやらなければならないのは、そんなことではない。規範的に言うなら、類似のケース全体について精度の高い判断が下せるような判断プロセスを確立することである。 3 誤差方程式 バイアスとノイズが誤差に果たす役割は、誤差方程式と呼ばれる二つの方程式で表すことができる。第一の式は、単独の計測値で表された誤差をバイアス(平均誤差)とノイズによる誤差に分解する。 ●誤差(単独の計測値)=バイアス+ノイズ 第二の方程式は、平均二乗誤差(MSE)――個々の測定誤差の二乗を平均した値――を構成要素に分解したものである。 ●平均二乗誤差(MSE)=バイアスの二乗+ノイズの二乗 この式は、「バイアスとノイズのどちらを優先して減らすべきか?」という疑問に答えを与えてくれる。互いは独立した要素であり、どちらを減らしても全誤差に対する寄与度は(互いの重みが等しいとすれば)同じである。ただし、バイアスがノイズより大きくても、全誤差への寄与度はノイズと同程度に収まる。通常、基準値を大幅に外れるバイアスはそうそうないと考えれば、ノイズのほうがバイアスより大きい状況があっても不思議ではない。 誤差方程式と、そこから導き出した結論は、全誤差の計測値としてMSEを使うことが前提になっている。このルールは、純粋な予測的判断には適切に当てはまる。純粋な予測的判断とは、予想や見積もりなど、できるだけ正確(バイアスを最小化)且つばらつきなく(ノイズを最小化)真の値に近づけることを目的とするものをいう。 ただし誤差方程式は、評価的判断には当てはまらない。なぜなら、真の値に左右される誤差というものが、評価的判断にはなじまないからだ。そのうえ、仮に誤差を特定できたとしても、そのコストはまずもって対称ではないし、二乗に正確に比例するということもない。 4 ノイズの種類 ・レベルノイズ…判断者ごとの判断の平均的なレベルのばらつき(たとえば厳しめの裁判官と甘めの裁判官)。 ・パターンノイズ…特定のケースにおける判断者の反応のばらつき(再犯者に厳しい、共犯者に甘い、など)。 ・機会ノイズ…一過性の原因による判断のばらつき(今日はたまたま天気がよかった、判断者の虫の居所が悪かった、など)。 ●システムノイズの二乗=レベルノイズの二乗+パターンノイズの二乗 量刑調査では、レベルノイズとパターンノイズはおおむね等しいことがわかった。だがパターンノイズには一過性の原因による機会ノイズが含まれている可能性が高く、機会ノイズは偶発的なランダムエラーとして扱う必要がある。 5 人間の判断は正確か? 臨床的判断…患者の訴える症状や、医師が自分の感覚などに基づいて判断すること。要は人間的判断のこと。 臨床的予測と機械的予測の両方が可能な場合、果たして人間による判断は単純な数式にまさるのか? 1954年にミネソタ大学の心理学教授ポール・ミールがある研究結果を発表した。ミールは、学業成績や精神科の診断などに関する臨床的予測と統計的予測を対比した20の調査報告を分析・評価し、一般に単純な機械的ルールのほうが人間の判断よりすぐれていると結論を下したのである。 予測的判断には妥当性の錯覚がついて回る。というのも予測は二段階に分けて行われるのに、人間はその二つをごちゃまぜにしているからだ。第一段階では与えられた情報に基づいて現時点の評価を行い、第二段階で将来の結果を予測する。人間が自信たっぷりにやっているのは、たいていの場合、二人の候補のうちAのほうが現在よさそうに見えるという評価である。にもかかわらず、Aのほうが将来もよいと言ってしまう。だが、それとこれとは別物だ。 一方、機械的予測(線形回帰モデル)では、同一のルールが全てのケースに適用され、予め決められた最適の重みがつけられる。 では、何故人間の判断のほうが機械に劣ってしまうのか。 人間の決定的な弱点の一つは、ノイズが多いことである。 大学院の成果を予測するという研究がある。まず98人の実験参加者は、大学院生90人の10項目の評価に基づき、将来の成績平均点(GPA)を予測した。次にこの予測に基づいて、実験主催者が各参加者の判断の線形回帰モデルを構築する。その後、このモデルで予測を行い、本人の予測と照合する。つまり、「あなたの予測をもとに粗雑なモデルをつくり、あなたの予測の代わりをさせた」のだ。 すると、98人の実験参加者全員について、モデルのほうが予測精度が高かったという結果が出た。数十年後に50年分の研究報告の評価が行われたが、このときもまた判断者モデルの予測精度は、そのもとになった本人を上回ることが確認された。 なぜこんなことが起こるかというと、人間の判断にはパターンノイズや恣意的なエラーが常に介入しており、それを排したモデルのほうが正確だったからである。もっと言えば、もし判断において複雑で微妙で「人間的」なルールを用いていたとしても、それはノイズの悪しき影響を埋めるには至らないということだ。複雑で微妙なルールに利点があるとしても、それはあっという間に誤差に飲み込まれてしまう。 また、膨大な量のデータが存在すると、高度なAIは予測に有効なパターンをすぐさま見つけ出し、単純なモデルを上回る予測精度を示す。このようなAIモデルは、単にノイズがないだけでなく、多くの情報を活用する能力(明らかな外れ値を検出するなど)の点でも人間より優位に立つ。 6 ヒューリスティクス ヒューリスティクス…人間は困難な質問に直面したとき、簡単な質問に便宜的に置き換えて答えを出すこと。 ヒューリスティクスを起動させるのは、だいたいにおいて速い直感的思考の「システム1」である。システム1はとても役に立つし、まあまあ適切な答えをひねり出すことができる。だがときに、次のようなバイアスを生じさせることもある。 ・置き換え…難しい判断を簡単な判断に置き換えてしまい、本来判断すべき情報に正しい重み付けをしない。 ・結論バイアス…はじめから結論ありきで物事を決め、あとから選択的に証拠を集めて都合よく解釈してしまう。 ・過剰な一貫性…第一印象に引きずられ、後から異なる情報が出てきても、一貫性を保持し続けてしまう。 心理的バイアスは、多くの人に同じバイアスがかかっている場合には統計的バイアスを生む。だがそれぞれにちがう方向にバイアスがかかっていれば、システムノイズを生むことになる。

    25
    投稿日: 2022.09.25
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    人間の判断には「ばらつき」が存在するという話。それがノイズ。判断のエラー(誤差)にはバイアスもあるがノイズもある。様々な判断にはノイズが生じているが一般的にあまり気づかれていない。ノイズは,裁判官の量刑の判断,人事,成績評価,医者の診断など色々な判断に生じるという。そうしたノイズについて明らかにしようとしているのが上巻の内容。 自分自身,色々なところで判断することがあるけど,ノイズまみれの判断をしてるかも。気分や天候などによって生じる機会ノイズや他人の意見に引きずられるカスケード効果とか…。 統計学の知識がもっとあると,もっと理解ができるかも。 ノイズを含んだ人間の判断よりも統計的手法を用いた予測の方が,精度が高いらしい。簡単な統計モデルから機械学習(アルゴリズム)まであるけど,どれも人間の判断に勝つみたい。 人間には機械学習による判断に抵抗感を感じる。また,人間は直感による判断をしたときに,「よい判断をした」,「これでよし」といった満足感や達成感という報酬を得ているらしく,その報酬を上回るくらい機械学習による判断が確実になれば,機械学習による判断を信じるようになるという。現状は人間の判断よりも少し上回る程度で,直感の判断による満足感という報酬を上回っていない。だから,しばらくはAIの機械学習による判断は拒絶されるっぽい。 機械学習による判断のところは,ユーバンクスの『格差の自動化─デジタル化がどのように貧困者をプロファイルし,取締り,処罰するか』のことを思い出した。社会福祉の分野で機械学習による判断を取り入れている事例を紹介し,不利な立場にいる人びとがその判断で余計に苦境に立たされる話であったが,人間の判断のばらつきを指摘する本書を踏まえてどう考えればいいか。 「アルゴリズムがほど完璧と言える水準に達しない限り(そして絶対に達するはずがないと客観的無知が言い張る限り),人間の判断がアルゴリズムに置き換えられることはないだろう。だからこそ,人間の判断の質を向上させなければならないのである。」(211ページ)と書いてあったので,下巻にノイズの減らし方が書いてあることを期待したい。

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    投稿日: 2022.09.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ノイズを探せ 1)犯罪と刑罰 2)システムノイズ 3)1回限りの判断 好ましいノイズ:イノベーション、競争環境(多様性が大切)・・・市場の価値 好ましくないノイズ:組織などで起こるもの。認識されにくい。  ex)プロフェッショナルの判断、自分と他人など 1回限りの判断が必要な場合は『反実仮想の思考実験を行い、仮定を立ててみよう』 ノイズを測るものさしは? 4)判断を要する問題 5)エラーの計測 6)ノイズの分析 7)機会ノイズ 8)集団によるノイズの増幅 『判断』という言葉が使われるのは、『意見が一致すべきだ』と多くの人が考える課題・問題があるとき。 →不一致が一定の許容範囲内に収まることが期待されている。 判断の検証は多くはできない、が、『判断と実際の結果』『判断のプロセス』は検証できる。 バイアスとノイズは独立している。バイアスもノイズも同じくらい問題。 良い判断をしたい場合、『factと価値観』をわけるべきである。 情報→解析し、予測的判断→評価的判断 予測的判断にはノイズが入り得るが、これをできるだけ除去しよう。 予測→評価では価値観が入るが、その際、バイアスがかかる ★機会ノイズ:プロフェッショナルでも同じ事実に対して同じ判断はできない★ 群衆の知恵を利用して、自分の中の群衆を作る(2回以上考える。時間を空ける。自分で反証する。強力な論拠の有無を調べる。弁証法的自助努力) ★多くの場合、『自分の中のあいまいな確率分布から、適当に抜き出した』ものにすぎない★ 群衆の知恵←→集団のダイナミクス(情報カスケード、社会的圧力) 阻塞的判断のノイズ 9)人間の判断とモデル 10)ルールとノイズ 11)客観的無知 12)正常の谷 妥当性の錯覚 ★『まれ』な事象を判断して、満足、得意になるのは、ノイズを増やす行為である★ ノイズを減らすには、情報を単純化、評価にルールを作る 『まれ』なことについては、決定的な情報があるなら、ルールから外れてもよいが、多くはルール通りがよい。 ・人は、1回でもアルゴリズムが失敗すると、アルゴリズムを信じなくなり、『自分の判断』を優先してしまうものだ(しかし、ルール、アルゴリズムのほうが、人の判断よりは優れている)。 統計的思考と因果論的思考法  因果論的思考法:結果をみて、過去をふりかえり、もっともらしく考える。  因果関係と相関性 ノイズはなぜ起きるのか 13)ヒューリスティクス、バイアス、ノイズ 14)レベル合わせ 15)尺度 ヒューリスティクス、診断バイアス、利用可能性ヒューリスティック、結論バイアス(予断)、確証バイアス、感情ヒューリスティック、過剰な一過性

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    投稿日: 2022.09.09
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    とても面白いです。 人間の判断の雑さについて気にしていた時期なので、人間の弱さがよくよく理解できました。 自分もシステム2や外部の視点をしっかり意識して使っていきたい。 下巻も読みます。

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    投稿日: 2022.09.03
  • 標的の裏側から見るとわかる

    冒頭で、2つのエラーである"ノイズ"と"バイアス" の違いを説明しているのだが、熟練の奇術師のように劇的だ。 ABCD、4チームの射撃結果の結果から両者のエラーの違いを図で鮮明に示した上で、「じゃあこれを裏から見たらどうでしょう?」と、軽やかに反転させて標的を消し去る。 すると、"標的について何もわからなくてもノイズが認識できるようになることがこれでわかりますよね"と説明し、さらに後では、結果を待たなくても計測可能であるのだと畳み掛ける。 「ノイズの計測に必要なのは、標的の裏側から見ることだけ」なんですと。 憎たらしいほどうまい。 射撃結果の着弾のバラツキを見るまでもなく、我々はすべからく射撃下手で、身の回りもそこら中でノイズが溢れている。 そもそも脳の機能からしてバラツキがあるし、ニューロンも2度と同じようには働かない。 それなのになんでノイズを目の敵にするのか、望ましいバラツキだってあるじゃないのかという声もあるが、同じ重罪犯の量刑が、裁判官によって、一方で3年、もう一方が7年だったりしたら、公平な正義が下されたと言えるのか。 あるいは、ある保険会社で同じ案件なのに、担当者によって、一方では保険料率が高すぎ、もう一方では安すぎても、均したら結果オーライと言えるのか。 平均すれば正しいなんてことには決してならない。 ノイズが生じさせるエラーに関しては、足し合わされるものであって、決してお互いに打ち消し合うものではない。 ノイズの多いシステムとは、結果、高くつくものなのだ。 個々人がどうせノイズまみれなんだったら、"文殊の知恵"じゃないけど、集団なら少しはまともになるのではないかと思うかもしれないが、一握りの発言者の意向や、最初の意見の影響が後々まで集団の判断に影響を与えたり、個々人の当初の考えよりも集団の意思が極端な方向に振れやすい「集団極性化」の特性もあったりして、なかなか厄介だ。 最終的には、人間の判断なんて当てにならないんだから、ノイズフリーのAIや機械学習アルゴリズムをもっと積極的に使いましょうよっていう結論なんだけど、どうかね。 機械的予測の精度は人間の判断を一貫して上回っているし、大量のデータを食わせた分析は「折れた足」のように、いままで発見が困難だった極めて稀な要素も見つけることができるし、と。 なぜもっとアルゴリズムを使わないのか不思議だ、きっとそこには専門家と抄する人たちの直感への偏愛と、人間性の喪失に対する恐れがあるんだろうと分析しているが、どうなんだろな。 大リーグでも、各チームがデータ分析に力を入れて、極端なシフトを敷いた守備が取られているが、ときおり普通に守っていればアウトにできたんじゃないかっていうゴロが、がら空きのフィールドを転がっていく様を見ると、投げている投手だけでなく、見ている観客も白けさせる。 「アルゴリズムはパーフェクトであってもらいたい」し、「一度でも判断ミスをしようものなら、すぐさま信頼を失って」、退場を命じられるものなのだと著者は指摘しているが、それは人間の過剰な期待によるせいなのか、はたまた人間の感情を無視しているからなのかよくわからない。 本書で最も面白いの「理解と予測」のところ。 調査対象を長年にわたって深く分析し、よく理解したと思っている専門家が、どうして精度の高い予測を行なうことができないのか? もっと踏み込んで言えば、なんで人口や家族問題に精通し世間から引っ張りだこの社会学者が、勇んで政府の少子化対策の審議会に入っても、一向に問題は改善しないのか、といったことがよくわかる。 どうして社会科学者は、社会問題の因果連鎖を突き止めたことで、現実を理解したと錯覚し、予測も可能だと自信を深めてしまうのか? 後知恵解釈と予測可能性の錯覚の関係は、必読だろう。

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    投稿日: 2022.08.10
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    ・どんな意思決定にも予測的判断がかかわってくる。予測的判断においては、正確性が唯一の目標であるべきだ。だからあなた個人の価値観は事実から切り離しておくように ・人間はご機嫌だとでたらめを受け入れやすくなり、また全般的に騙されやすくなる。つまり、つじつまの合わないところを探し出したり、嘘を見抜いたりする気がなくなってしまう ・カスケード効果:情報カスケードとは大勢の人が順番に前の人の選択情報を参照しながら判断する場合に、自分自身の持つに基づかず、多数派の選択肢を選ぶ傾向を指す ・機械学習アルゴリズムは、ほかのモデルが見落としてしまうような変数の組み合わせの中に重要なシグナルを見つける。データに隠れているある種の極めて稀なパターンがハイリスクと強く創刊しており、アルゴリズムはそれを発見できる ・結論バイアス:初めから特定の結論を目指して判断プロセスを開始すること ・過剰な一貫性:予断を持っているとき、それを裏付ける証拠ばかり探し矛盾する証拠は無視する各省バイアスも、後から出てきた重要な証拠を過小評価する点で似ている

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    投稿日: 2022.07.31
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    前著「ファストアンドスロー」が人間のバイアスについて書かれた本であったのに対して、本著は「ノイズ」(=標準偏差。ばらつき)について書かれた本。 同じ人間でも、判断する気分・時間・外部要因によって答えを変えてしまう。それに対応するためにはどうすればよいのか?

    1
    投稿日: 2022.07.31
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    バイアスについての名著『ファスト・アンド・スロー』の内容の繰り返しにならないかを懸念してたのですが、杞憂どころか、ノイズという全く新しい視点で書かれた目から鱗の内容でした。統計学的な中央値のずれがバイアスなのに対し、標準偏差の大きさがノイズです。 経営判断や司法判断などの一度きりの判断は、繰り返しや結果の検証がされないために、信じられないほどのバラツキを持っていることが認識されていません。本書はその衝撃の事実をデータで示してくれむす。さらに、判断者ごと、判断ケースごと、または偶然性によるもの、などの要素にノイズを分解して、ノイズ全体がその要素の二乗和になっていることが説明されます。 バイアスを減らす重要性が広く認識されてきた中で、本書はノイズという新たな課題を突きつけます。下巻でその方法論がどの様に語られるか、楽しみです。

    3
    投稿日: 2022.07.27
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    人の判断には様々なノイズが入り込んでいる。経験や直感から下した判断より、機械的に平均を求めた判断の方が正しい。自分の勘を頼りにすることもあるが、冷静に数字や事実を分析する必要があると感じる。

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    投稿日: 2022.07.05
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    第1章 犯罪と刑罰 量刑のノイズについて話そう 「調査によると、同じ犯罪に対して刑の厳しさに大幅なちがいがあるらしい。これは不公平だ。どの判事が担当するかで量刑がちがうのはどう考えてもおかしい」 「重さが裁判官の機嫌だとか、その日が暑いとか寒いといったことに左右されるべきではない」 「量刑ガイドラインはこの問題に対処する方法の一つだ。だがガイドラインを嫌う人も多い。適切な判断を下すにはある程度の量の余地が必要なのに、それを狭めてしまうからだという。たしかに、どのケースもそれぞれにちがうとは言えるかもしれない」 第2章 システムノイズ 保険会社のノイズについて話そう 「保険会社では、プロフェッショナルが下す判断の質が非常に重要だ。私たちは、誰が担当しても判断はほぼ同じだと考えていたが、この前提はまちがっていたようだ」 「システムノイズは予想より五倍も多かった。つまり、容認できる水準の五倍もあった。ノイズ検査を行わなかったら気づかないままだっただろう。ノイズ検査のおかげで、一致の錯覚は打ち砕かれた」 「システムノイズは由々しき問題だ。損失は数億ドルに上るだろう」 「判断のあるところノイズあり。それも、思った以上に多く」 第3章 一回限りの判断 一回限りの判断について話そう 「これはたしかにめったにない出来事ではあるが、いまのアプローチだとノイズが多くなりそうだ」 「一回限りの判断も、繰り返し行う判断がたまたま一回だけだったケースにすぎない。このことを忘れないように」 「あなたが判断のよりどころにしている過去の経験は、今回の判断と関係があるのだろうか」 第4章 判断を要する問題 プロフェッショナルの判断について話そう 「これは判断を要する問題だ。となれば、みんなが完全に一致することは期待できない」 「たしかにそうだ。それにしてもいくつかの判断はあまりにかけ離れているから、まちがっているにちがいない」 「あなたの候補者選びのやり方は単に好みを表しているだけで、まじめに判断したとは思えない」 「決断を下すには、予測的判断と評価的判断の両方が必要だ」 第5章 誤差方程式について話そう 誤差方程式について話そう 「バイアスを減らしても、それと同じだけノイズを減らしても、正確性におよぼす効果は同じらしい」 「予測的判断のノイズを減らすのはとても効果的だ。このとき、バイアスが多いか少ないかは関係ない」 「真の値を上回る予測と下回る予測の比は八四一六だったから、バイアスはかなり多い。それでも正規分布であれば、バイアスと同じだけノイズが存在することになる」 「どんな意思決定にも予測的判断が関わってくる。予測的判断においては、正確性が唯一の目標であるべきだ。だからあなた個人の価値観は、事実から切り離しておくように」 第6章 ノイズの分析 ・レベルノイズは、判断者ごとの判断の平均的なレベルのばらつきである(たとえば厳しめの裁判官と甘めの裁判官)。 ・パターンノイズは、特定のケースにおける判断者の反応のばらつきである(再犯者に厳しい、共犯者に甘い、など)。  量刑調査では、レベルノイズとパターンノイズはおおむね等しいことがわかった。だがバターシノイズには一過性の原因による機会ノイズが含まれている可能性が高く、機会ノイズは偶発的ランダムエラーとして扱う必要がある。 ノイズ分析について話そう 「裁判官によって厳しさのレベルにちがいがあるときは、レベルノイズが存在する。ある特定の 被告を厳罰に処すか寛大な措置にするかで裁判官の意見が一致しないときには、パターンノイズ が存在する。パターンノイズの一部は機会ノイズだ。つまり、同じ裁判官が別の機会には別の判断を下す。」 「完璧な世界では、被告は正義の裁きを受けられる。だが、現実には、ノイズの多いシステムに翻弄されるのだ」 第7章 機会ノイズ  ヘルツォークとヘルトヴィヒによる意思決定者へのアドバイスをかんたんにまとめると、次のようになる。独立した第三者に意見を求められるなら、そうするほうがよい。これはまさに「群衆の知恵」であり、判断精度を向上できる可能性が高い。だがそれができない場合には、自分の中に群衆を作って、同じ質問をもう一度自分にしてみることだ。 機会ノイズについて話そう 「判断はフリースローのようなものだ。どんなにがんばっても、同じ動作を正確に二回繰り返すことはできない」 「あなたの判断は気分に左右されている。気分だけでなく、直前にどんな話をしたかとか、今日 の天気とか、そういうことにも。人間はいつも同じ人間ではないと考えなければならない」 「君は先週の君と同じではないかもしれないが、ありがたいことに、今日の他人よりは先週の君 に近い。つまり機会ノイズは、システムノイズの最大の要因ではないということだ」 第8章 集団によるノイズの増幅  個人の判断に入り込むノイズだけでも由々しき問題だが、これが集団になると一段と問題は大きくなる。とかく集団というものは、本来は無関係のさまざまな要素に左右され、とんでもない方向に迷走しがちだ。 誰が最初に発言したか、誰が最後か、誰が自信たっぷりに話したか、誰が黒を着ていたか、誰が誰の隣に座ったか、絶妙な瞬間に笑ったのは、眉をひそめたのは、頷いたのは、首を振ったのは誰か、といったことが結果を大きく左右する。組織では、さまざまな決定が集団で下されているはずだ。採用、昇進、支店の閉鎖、広報戦略、大学入試、 新製品の発売時 環境規制への対応、さらには国家安全保障にいたるまで、一人で決断するということはまずあるまい。  …メイシーらが指摘するように、「最初に動いたごく少数の人がたまたまどちらに転ぶか」が、その後の形勢を決してしまうほどの影響力を持つ。  …集団極性化とは、集団で話し合うと、個々人の当初の考えよりも集団の意思が極端な方向に振れやすいことだった。 集団での意思決定について話そう 「どうやら、最初に人気が出るかどうかですべてが決してしまうらしい。新製品が発売第一週で話題になるよう、戦略を練るべきだ」 「いつも思うのだが、政治家の発言も経済学者の提案も映画スターとたいして変わらないのでは ないだろうか。誰かが好きだとわかると、みんなが好きになるという点で」 「チームが集まるといつも意見が一致して自信満々になり、ものすごい勢いで突き進む。これが どうも不安で仕方がない。意思決定プロセスのどこかにまちがいがあると思えてならない」 第9章 人間の判断とモデル 「人間は判断を下すときに、複雑で微妙なルールを見つけたと考えがちだが、複雑で微妙な斟酌はだいたいにおいて単に時間の無駄だ。そのようなものが単純なモデルの精度を上回ることはまずない」 「ポール・ミールの著書が発表されてから六〇年以上が経つが、機械的な予測のほうが人間より上だと聞くといまだにショックを受ける」 「要するに、人間の判断にはノイズが多すぎる。だから、ある人の判断から生成した近似的なモデルのほうが本人に勝つことになる」 第10章 ルールとノイズ ルールとアルゴリズムについて話そう 「大量のデータが存在する場合には、機械学習アルゴリズムのほうが人間や単純なモデルより精 度の高い予測ができる。ごく単純なルールや式ですら、人間の判断を上回るという。これは、ノ イズがないことに加え、複雑で微妙な匙加減などしないからだ。そういうものはだいたいにおいて予測の役に立たない」 「結果についてのデータが何もない状況では、均等に重み付けしたモデルを使うのがよい。最適の重み付けをしたモデルとほとんど同等の予測精度が期待できる。それにとにかく、人間の場当たり的な判断よりはるかにましだ」 「君はモデルの予測を信用していないようだ。何か折れた足のような決定的な情報を持っているのか、それとも単に機械的な予測が嫌いなのか?」 「もちろんアルゴリズムも誤りは犯す。だが人間のほうがずっと誤りは多い。それでも人間を信用するのはなぜか?」 第11章 客観的無知  答えは、こうだ。人材の採用といった重要な事柄では、信頼性がすこし上がるだけでも大きな価値がある。そもそもエグゼクティブたちは、わずかばかり利益率を上げるために日々改善や改革の努力をしているではないか。もちろん、成功が保証されてはいないことを彼らはよく知っているはずだ。それでも成功の確率を高めると考えられる決定を下す。エグゼクティブたちは、確のこともよく承知している。当たる確率が五九%のくじと六五%のくじが同じ値段で売っていたら、前者を買う人はいないだろう。  問題は、エグゼクティブたちにとって値段が同じではないことだ。五九%のくじ、つまり直感に頼る場合には、ご褒美がある。「これでよし」と言ってくれる内なるシグナルだ。だから内なるシグナルに匹敵するか、さらに上回るような確実性の感覚が得られるなら、彼らは直感を断念して予測精度の高いアルゴリズムを採用する気になるだろう。だが、内なるシグナルのご褒美を諦めてまでアルゴリズムを採用しても、予測精度が人間よりたいして高くないのであれば、払う代償が大きすぎると感じられてしまう。 客観的無知について話そう 「予測のあるところ無知あり。それも、思った以上に多く。われわれが頼っている専門家たちがダーツ投げをするチンパンジーよりましなのかどうか、チェックしたほうがいい」 「何か決定的な情報を知っているわけでもないのに、自分の勘に頼って満足している。そういう姿勢を、客観的無知の否定と言う」 「モデルの予測精度はつねに人間より上だが、大幅に上回るわけではない。人間の判断の精度がひどく低い場合、モデルはだいたいにおいてそれよりいくらかましという程度だ。だとしても、精度がいいに越したことはない」 「この種の決定を下すときにモデルを使うのを渋るのは、自分で判断して”内なるシグナル”を感じたいからだ。だったら、モデルを使わずに済むよう、われわれの意思決定プロセスを改善しなければならない」 第12章 正常の谷 統計的思考と因果論的思考  本章では、統計的思考と因果論的思考を対比させた。後者は遭遇した出来事を即座に正常か異常分類してのけ、思考の労力を大幅に省いてくれる。異常だとなって初めて、状況と記憶の両方から必要情報を探すという労力が動員される。静観して続報を待つにしても、忍耐という努力が必要だ。対照的に正常の谷に収まる出来事には、ほとんど頭を使う必要がない。道ですれ違ったお隣さんが愛想よくにっこりしても、上の空で会釈しただけでも、どちらもよくあることなのであなたはたいして注意を払わない。お隣さんが満面の笑顔で何か言いたそうだったり、むっつ不機嫌にあなたを無視したりしたとき、あなたは検索モードに入り、記憶の中から原因を探す。因果論的思考は、異常な出来事を察知する警戒は怠らないものの、無用の努力は避けるのである。  対照的に、統計的思考は相当な努力を必要とする。まず、注意力という貴重なリソースを動員しなければならない。これは、システム2にしかできないことである。「ファスト&スロー」で述べたように、システム2は熟考、意思的な努力、秩序を要する遅い思考を司る。統計的思考をするには、ごく初歩的なものを除けば専門的な訓練が必要だ。まず集合を見て、個々のケースは大きなカテゴリーに属す例だと考える。たとえばジョーンズ一家の立ち退きを一連の出来事の結果とはみなさない。ジョーンズ家と同じ予測的特徴を備えた大量のケースをあらかじめ分析したうえで、統計的に起こりうる(または起こりそうもない)結果だとみなす。 理解の限界について話そう 「相関係数が0.20(PC=五六%)は、人間に関する事柄ではごく標準的な数字だ」 「相関関係は因果関係を意味しないが、因果関係は相関関係を意味する」 「大方の出来事は、予想してはいないが、起きても驚きはしない。こうした出来事には説明は不要だ」 「正常の谷に収まる出来事は、とりたてて予想はしていないにもかかわらず実際に起きても驚き はしない。なぜ起きたのか、すぐに説明がつく」 「どうしてこういうことになったのかわかったつもりでいるが、だからといって、こうなると予想できただろうか」 第13章 ヒューリスティクス、バイアス、ノイズ  判断にかかっているバイアスは、多くの場合、真の値を参照することによって突き止められる。エラーがおおむね一方向に偏っている場合には、バイアスが存在する。たとえばプロジェクトチームが完了までの日数を見積もるケースでは、見積もりの平均が実際に要する日数を大幅に下回ることが多い。このおなじみの心理的バイアスを「計画の錯誤(planning fallacy)」と言う。 ヒューリスティクス、バイアス、ノイズについて話そう 「心理的バイアスはたしかにどこにでもある。だからといって、何でもかんでも漠然とバイアスのせいにすることは厳に慎まねばならない」 「熟考を要する質問をかんたんな質問で置き換えれば、エラーが起きるに決まっている。たとえば確率を判断すべきときに類似性で置き換えたら、基準率を無視することになる」 「結論バイアスがかかっていると、自分が最初に抱いた印象とつじつまが合うように証拠の解釈を歪めることになりやすい」 「第一印象というものはすぐに形成されてしまう。そうなるとそれにこだわり、対立する情報をあとから入手しても軽視しがちだ。こうした傾向を過剰な一貫性と言うらしい」 「心理的バイアスは、多くの人に同じバイアスがかかっている場合には統計的バイアスを生む。ウス、バイアス、ノイズだがそれぞれにちがう方向にバイアスがかかっていれば、システムノイズを生むことになる」 第14章 レベル合わせ  統計学的に言えばまったくばかげた予測に行き着くという事実にもかかわらず、与えられた情報をレベル合わせに使う誘惑に抵抗するのはむずかしい。セールスマネジャーは往々にして、営業成績が去年抜群によかった部下は今年もそうなると予想する。人事担当役員が輝かしいキャリアを積んできた採用候補者に出会うと、ゆくゆくは社長になるだろうと期待する。映画プロデューサーは、前作が大ヒットした監督は次もヒットを飛ばすだろうとそろばんを弾く。  こうしたレベル合わせ予測の例は、だいたいにおいて失望に終わる。一方、与えられた情報があまりにネガティブな場合には、レベル合わせで予測すると実際以上に悲観的になりやすい。与えられた情報に基づいてレベルを合わせる直感的予測は、情報がポジティブであれば過度に楽観的に、ネガティブであれば過度に悲観的になりがちだ(この種の予測エラーを専門的には「非回「帰的」と表現する。なぜなら、「平均への回帰」という統計的現象を無視しているからだ)。 レベル合わせについて話そう 「二人ともこの映画がすごくよかったという点ではたしかに一致した。だがあなたは私ほど感動していないように見える。使った形容詞は同じでも、使っている尺度がちがうのだろう」 「このテレビドラマシリーズはシーズン1がすばらしかったので、シーズン2もヒットすると思った。つまりレベル合わせ予測をして、みごとに外したわけだ」 「論文を採点するときに一貫性を保つのはむずかしい。順位をつけるほうがいいと思う」 第15章 尺度 尺度について話そう 「われわれの判断には大量のノイズがある。これは、各自の尺度の理解がちがうせいだろう」 「最初のケースがアンカーになって、ちょうど尺度上の基準点のように作用することを忘れないように」 「ノイズを減らしたければ、順位の判断に切り替えるほうがいい」

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    投稿日: 2022.06.25
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    ノイズ(Noise)とは、原因不明な異音、転用して、判断に含まれている説明のつかない誤り 628頁、29章にも及ぶ大作、統計学、心理学、行動経済学にまたがる 理解困難な難書でした。見慣れない用語が、複数の章にまたがって、現れるので その確認を含めて、一読に1週間以上も時間がかかってしまいました。 冒頭には、本書をまたがる、大きな地図があり、また、各部の冒頭、各章の終わりにはまとめがあって理解を助けてくれます。 刑罰への量刑とか、病気への診断とか、人事評価とか、似たような状況なのに、人間によって、その判断が大きくことなっていて、理解不能な不平等がこの世に広がっている。その差は人々が考えている以上に大きく深い。 その原因は、何か。また、その不平等を改善するために、判断の質を上げるためにはどうすればいいのか が本書の目的です。 その判断を誤らせるものは、バイアスとノイズの2つがあると説きます。 バイアス 偏見 偏りがある ノイズ 説明のつかないランダムなばらつき 上巻の範囲は以下 第1部 ノイズとバイアスとの違い、 第2部 人間の判断というのはどういうものかの分析 第3部 予測的判断の分析 第4部 人間心理に立ち戻り、ノイズが生じる根本原因の検討(途中まで) 上巻にて気になったことばは次です。 ・世界は複雑で不確実であり、判断は難しい ・不一致の度合いは一般に予想されるよりははるかに大きい ・「もしこうだったら」「もしこうでなかったら」と事実と異なる仮定を立ててみれば、きっとそこにはノイズが見つかるはずだ。 ・判断とは、「人間の知性がものさしとなるような計測」と定義することができる。 ・判断には、「予測的判断」と「評価的判断」がある。 ・バイアス、各ノイズの各量は、標準偏差で分布すると仮定し、平均二乗誤差(MSE)で計量化しています。 ・ノイズは、システムノイズ(レベルノイズ、パターンノイズ)、機会ノイズ、  システムノイズ 誤った判断からバイアスを差し引いて残るもの  レベルノイズ 各人の平均的な判断のばらつき、レベルエラーのばらつき  パターンノイズ システムノイズからレベルノイズを差し引いて残るノイズ  機会ノイズ 1回目の判断と2回目以降の判断が異なるというノイズ ・カスケード効果 順番に前の人の選択情報を参照しながら判断する場合に、自分自身のもつ情報に基づかず、多数派の選択肢を選ぶ傾向。 ・置き換え 2つの事実の順番を変えることによって、判断がことなってしまうこと 目次は以下です。(上下巻 通し) 上巻 序章 二種類のエラー 第1部 ノイズをさがせ  第1章 犯罪と刑罰  第2章 システムノイズ  第3章 一回限りの判断 第2部 ノイズを測るものさしは?  第4章 判断を要する問題  第5章 エラーの計測  第6章 ノイズの分析  第7章 機会ノイズ  第8章 集団によるノイズの増幅 第3部 予測的判断のノイズ  第9章 人間の判断とモデル  第10章 ルールとノイズ  第11章 客観的無知  第12章 正常の谷 第4部 ノイズはなぜ起きるのか  第13章 ヒューリスティクス、バイアス、ノイズ  第14章 レベル合わせ  第15章 尺度 下巻  第16章 パターン  第17章 ノイズの原因 第5部 よりよい判断のために  第18章 よい判断はよい人材から  第19章 バイアスの排除と判断ハイジーン  第20章 科学捜査における情報管理  第21章 予測の選別と統合  第22章 診断ガイドライン  第23章 人事評価の尺度  第24章 採用面接の構造化  第25章 媒体評価プロトコル 第6部 ノイズの最適水準  第26章 ノイズ削減のコスト  第27章 尊厳  第28章 ルール、それとも規範? まとめと結論 ノイズを真剣に受け止める  終章 ノイズの少ない世界へ

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    投稿日: 2022.05.22
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    行動経済学という学問をまさしく一般に普及させた立役者の一人といえば、『ファスト&スロー』等の著作で知られるダニエル・カーネマンであろう。彼が、ナッジ理論の理論的中枢もであるキャス・R・サンスティーンらと記した新作にあたり、行動経済学の新たな世界が開けた、といっても過言ではない面白さに満ち溢れている(私はこの本をコロナワクチン3回目接種の副反応で寝込んだベッドの中で読み通してしまった。そのくらい面白い)。 行動経済学の定義は幾つかあると思うが、オーソドックスな定義の一つは”人間の不合理な行動やエラーというのはなぜ起きるのかを解き明かす学問”であるというものではないか。その際によく言及されるのが”バイアス”と呼ばれる人間のものの見方の偏りである。 しかし、不合理な行動やエラーを起こす要因としてもう一つ大きなものがある。それが本書のテーマ、”ノイズ”である。本書は行動経済学の中で”バイアス”ばかりが語られている点を是正すべく、いかに”ノイズ”が我々のエラーを巻き起こしているのか、そしてその対処法までを明らかにする。 ここでいう”ノイズ”とはいわゆる分散の概念である。 例えばダーツに的を投げたときに、 ・投げたダーツが一定のエリアに集中している⇒”バイアス” ・投げたダーツがバラバラに散っている⇒”ノイズ” ということになる。 合理的な意思決定をしているようで実は”ノイズ”によって人間の意思決定がてんでばらばらであるということを明らかにする事例として、同一人物による病気の診断や保険金の支払査定などのバラつきのデータを見ると、これが恐ろしいほどの分散を見せる。その分散はあまりにもひどいため、過去に自身が判断したデータを用いて簡単な機械学習モデルを作ると、遥かに機械学習モデルの方が高い精度を出せるという。 ”ノイズ”の要因は色々あるが、大きいのはそのときの人間のストレス、気分などである。疲れを知らず感情に惑わされることがない機械学習モデルが高い精度を出すのも、むべなるかな、というところであろう。 さて、そうした”ノイズ”の実態、それがどれだけのエラーを巻き起こし、結果として社会にどれだけの余剰コストを生み出しているかを考えると、この対処策が重要になってくる。本書では簡単なテスト形式で、具体的に組織の”ノイズ”を減らすための処方箋も示されている。 ”バイアス”が行動経済学のキーワードとなったように、ワーディング自体は全く珍しくもなんともないものの正しくその弊害が認識されていない”ノイズ”をいかに扱うか、これは行動経済学の実践としてより良い社会・組織を作っていく上で、必須のものになっていくのではないか、という強い期待すら感じた。

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    投稿日: 2022.03.21
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    ■組織はなぜ判断を誤るか。それは、バイアスとノイズがあるから。では、バイアスとは何か、ノイズとは何か。特に、ノイズに注目して論説しているのがこの本のテーマである。 ■バイアスとノイズという考え方が新鮮だが、きちんと理解するのに時間がかかる。何回も読み返す。 ■和訳に違和感はない。

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    投稿日: 2022.02.23
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    アイザック・アシモフさんが書いた銀河帝国興亡史ハリ・セルダンの説く心理歴史学は、この本を読む限り、究極の行動経済学なんだなあとつくづく思います。

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    投稿日: 2022.02.23
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    レビューはブログにて https://ameblo.jp/w92-3/entry-12728413113.html

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    投稿日: 2022.02.23
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    普段、仕事をしていて、同じ部署の人間なのに人によって判断が違うことが少なからずある。 そのため、自分自身の判断を疑う事もあったが、本書を読み、判断が違う事はそもそもそもよくある事だとの思いに至る。 ノイズという概念を意識する事で、人と判断が違ってもそれはある意味当たり前の事であり、必要以上に自分自身を疑う必要はないように感じた。 ただ、組織運営上、ノイズの減少はコスト減少やパフォーマンス向上などにつながるため、下巻でその方法を理解したいと思う。

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    投稿日: 2022.02.09
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    人の判断には「バイアス」や「ノイズ」がつきまとうものであり、それらが判断のエラーを引き起こす。 『ファスト&スロー─あなたの意思はどのように決まるか?』ではバイアス(系統的な偏り)に重きが置かれていた。一方で、今作では「ノイズ」(ランダムなばらつき)についてリソースが割かれている。 双方を読み両者の違いが理解できた人は、判断エラーの予防にはバイアスを減らすのみでは不十分だとわかるだろう。

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    投稿日: 2022.02.03
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    以前に「ファスト&スロー」を読んだので、認知・判断にノイズやバイアスが発生するメカニズムは理解していて、新たに得るものは多くないと感じた。 また、タイトルに「組織はなぜ判断を誤るのか?」とあるので、企業の組織運営的な内容に期待したが、ちょっと違っていた。医療や裁判などで括られた”集団”を組織としている感じがする。 ファスト&スローと同様に「人間の判断なんて不確かだ」の研究結果やインタビュー(公式、非公式)の内容を織り交ぜて説明されているので理解しやすい。 特に、自分が正しいと思っていることを肯定する情報は正しく、矛盾している情報は無視する行動はあるあるだなと思った。 また、各章が短いので隙間時間で読書が進められるのはうれしい。

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    投稿日: 2022.01.16
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    バイアスとならんで判断に影響を与えるノイズ。 双方とも同じくらいレベルのようです。 それらをうまく使えば、判断に変えることができそうです。

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    投稿日: 2022.01.12
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    本書は、ノーベル経済学賞を受賞した「ファストアンドスロー」の著者であるダニエルカーネマン等が ヒューマンエラーである「ノイズ」について考察した本です。 多角的に研究された内容が多数紹介されており、この本を読めるというのは「めちゃくちゃ、お得だー❕」と思いました。 医者や裁判官の判断でさえ、ノイズがあるとは、、、 ぜひぜひ読んでみてください。

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    投稿日: 2022.01.03