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夜空に泳ぐチョコレートグラミー(新潮文庫)
夜空に泳ぐチョコレートグラミー(新潮文庫)
町田そのこ/新潮社
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総合評価

1015件)
4.3
416
397
139
14
2
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    このレビューはネタバレを含みます。

    52ヘルツのくじらたちから町田さんを知り、この本も読みました。言葉ひとつひとつが優しくて、本当に好きです。カメルーンの青い魚の叙述トリックにも驚かされたし、同じ水槽で生きていけない2人が切なくて、心に残りました。環ちゃんの話の、自分に好意を持っている人に応えないくせに、その気持ちだけもらって気持ちよくなるのは、ひどいという批判が刺さりました。彼らの生きる海が穏やかでありますように。

    2
    投稿日: 2024.03.01
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    連作短編5篇。どの話も息苦しさを伴うけれど、抜け穴や光も感じる。相変わらず、町田さんは人を描くのが上手い。

    1
    投稿日: 2024.02.28
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    町田さんの作品って生きていて苦しいところや目を背けたくなるようなところを敢えて忠実に描いていてこの作品もそう。泥水の中でもがき苦しんでいるように、こちらまで苦しくなる。もがいてもがいて、それでも前に進もうとする姿に少しずつ、水が透き通っていく感覚。泳ぎきって海に辿り着くまでの道のりは遠いけど必ず繋がっているのだと。そう最後に見せてくれる。

    1
    投稿日: 2024.02.27
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    『52ヘルツのクジラたち』に続いて、こちらも読むのが辛かった。。町田そのこさんの作品は自分が元気な時じゃないと苦しいな。それにしても、これがデビュー作って凄すぎるな。小さな田舎町でそれぞれ懸命に生きる人々を描く短編集。1章から驚きの仕掛けがあったり、登場人物たちが少しずつ重なり合っているのも良かった。誰かのために、自分のために、苦しみながらも強く生きようとする姿勢に、何度も涙を堪えながら読みました。

    10
    投稿日: 2024.02.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    女性が母親になれた人間の子どもはもしかしたら幸せを感じやすいのかもしれないと残酷なことを思ってしまった

    1
    投稿日: 2024.02.19
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    雨降る夜中に不意に読み始めた一冊 引き込まれるような素敵な言葉遣い 目の奥が熱くなり、鼻の奥がツンとするような感覚におそわれる話 全てがどこかで繋がっている小さな町に訪れてみたくなった ハラハラドキドキの展開や、ワクワク感はないけれど、どこか疲れた気持ちで静かに本を読みたい時におすすめの一冊

    0
    投稿日: 2024.02.17
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    優しくて温かいお話だった。 それぞれが苦しみや哀しみを抱え、人生に向き合っていた。理解してくれる人や理解しようとしてくれる人が1人でもいれば人生は大きく変わるだろうな。 切なさや胸の痛みを感じる場面も多いけど、町田さんの紡ぐ言葉が優しいからか、終始温かみの感じる世界観だった 何度でも、大切に、読みたい

    1
    投稿日: 2024.02.16
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    祖母に育てられいじめられていた女子が突然覚醒したり、恋人が自殺したり、女性になりたい男性の軽食屋があったりの連作短編集。 最初はイマイチかなと思いつつ読んでいたら、第二章以降面白さが加速していった。行き所のない男女を不可思議なストーリー展開で描く。

    0
    投稿日: 2024.02.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    点と点が繋がっていくような話が好きなので、この本もとても好きだった。「この人はどこで出てきたかな?」と考えながら読むのが楽しく、どのお話も、登場人物の人となりが分かり始めた段階で終わるような絶妙な構成。

    1
    投稿日: 2024.02.12
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    5篇からなる短編集。どれも少しずつ繋がっていて、次は誰の話だろうと読む手が止まらなかった。 展望台から眺めると街全体がすり鉢の底のような形をした小さな街で、生きづらさや苦しみを抱えた人たちが日々懸命に生きて前に進む姿を、水槽で泳ぐ魚たちに例えているところが素敵。 はるばるカメルーンからやってきて、小さな街の小さな水槽に入れられているアフリカン・ランプアイ 親が口の中で子どもを外敵から守るチョコレートグラミー 体の色が青から黄色へと変化し、性別もオスからメスになるハナヒゲウツボ 孤独なスイミー 最後は全てを育む海 1作目のカメルーンの青い魚と2作目の夜空に泳ぐチョコレートグラミーが特に好き。 胸が痛くなるような話もあるけど、最後は前に進む元気をもらえるお話たちでした。

    11
    投稿日: 2024.02.12
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    どの主人公にも共感できなかった。 波間に浮かぶイエロー、海になるはまあまあ好き。 溺れるスイミーは母親含め環境が毒すぎて無理。

    1
    投稿日: 2024.02.11
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    読み始めてちょっとしたら"これは面白いやつだ"と思えた本でした。その理由は上手く言えないのですがやはり文章の構成にあるのではと思います。 町田そのこさんの作品を読むのはこれで2冊目になるのですが苦しみながらも強く生きていく姿が描かれています。苦労が多いのは言い換えれば生き方が不器用ということでもありそんな登場人物が多いのも特徴。それは私からすると日常ではなかなか出会わない人達でもあるのですがそんな人達の生き方がすっと入り込んでくるのはこれまた惹き込ませる文章なんだろなと思います。 それぞれの話が繋がる部分もあるのですがその繋ぎ方も絶妙で、小説でよくある色んな人が繋がり過ぎていて狭い世界に見えてしまうことが無いのもポイント高い部分でした。思わず泣きそうになるところもありますが読み終わってすがすがしさを感じる作品でした。

    2
    投稿日: 2024.02.10
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    とっても良かった。これがデビュー作という衝撃。 5つの短編集は独立した物語かと思えば、どこかで繋がっている。次はどんなふうに…と楽しみにタイトルページをめくる。そして冒頭の一文で心をもっていかれる。読み終えたばかりなのにもう読み返したい。 どの物語も好きだが、一作品選ぶとすれば『波間に浮かぶイエロー』。 芙美さんの秘密が明かされた時は衝撃で、理解するのに時間が必要だった。人は死んでも、誰かの中で生きていられる。それがどんな姿でも、その人が生きている限り。 生きることは正直辛い。物語を読んでも、自分が生きている現実はなにも変わらない。でも、この世界でもう少し泳いでみようと思える、町田その子さんの小説はそう思わせてくれる。

    2
    投稿日: 2024.02.10
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    タイトルに惹かれて購入。 めちゃくちゃ面白かった!んだけど読む時期が遅かったかもしれない。 この本を読んで「あ、自分ってロマンチストじゃないんだ」という気づきを得た。なんか広末涼子はこの本すきだと思う。 どのエピソードも主人公が過酷な状況にいるところまでは現実的なんだけど、そこにでてくる恋愛の空想感がすごい。綺麗な恋愛すぎて、というか、恋愛至上主義の人の人生見てる感じ。こんな時にそんな人現れますか!??って、小説なのに思ってしまった。自分が捻くれていて悔しい。 でも、「ハナヒゲウツボ」とか「チョコレートグラミー」とかの例えはとても素敵だった。

    1
    投稿日: 2024.02.09
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    読みやすいけど、なかなかヘビィな内容… 普通じゃないっていうと大変失礼な言い方になりますが、それぞれヘビィな問題抱えてる方々のお話で。 三話目まではすごく好きだったけど、四話と五話は、わたしにとっては、ちょっと暗すぎて、うーむ…と考えさせられる… 最後の最後に、あ、良かったって、ほんのちょっぴりホッとしました。

    28
    投稿日: 2024.02.08
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    5篇からなる連作短編集。5作とも関連した物語。どの話しも思いどおりにならない日々のなかで、それでも希望が見える終わり方。表題作の「チョコレートグラミー」の意味に胸が熱くなります。気丈な静子ちゃんのおばあちゃんの想いに涙が出そうになりました。またそれぞれのストーリーにひとひねりあり毎回、あっと思わされました。よかった。

    9
    投稿日: 2024.02.05
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    五篇それぞれ、人の生き方は違うもの、当たり前と思われる世の中だったり、生きづらさだったりと切ない物語だった。 しかし、その中で自分の道を切り開き、前に進もうとする強い意志。勇気づけられました。 

    1
    投稿日: 2024.02.05
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    これは好き。 短編小説は あまり読まないが この5篇は それぞれが胸に迫るものがある。 誰もが感じているであろう生きづらさ、苦しさ 切なさが伝わってくる。 そして読み終わった後 少しだけ私も頑張ろうって 思える。 5篇が微妙に連なっているのも面白い。

    1
    投稿日: 2024.02.04
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    チョコミン党です⁡ ⁡⁡ ⁡ってな事で、町田そのこの『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』⁡ ⁡⁡ ⁡カメルーンの青い魚⁡ ⁡夜空に泳ぐチョコレートグラミー⁡ ⁡波間に浮かぶイエロー⁡ ⁡溺れるスイミー⁡ ⁡海になる⁡ ⁡⁡ ⁡の短編集⁡ ⁡⁡ どれも短編集と思えない程、ギュッと詰まった内容に揺れるね ⁡⁡ ⁡寂しさと愛しさ⁡ ⁡⁡ ⁡儚さと強さ⁡ ⁡⁡ ⁡停滞と前進⁡ ⁡⁡ ⁡相反する感情を天秤に掛けながら綱渡りしてる様な⁡ ⁡⁡ ⁡デビュー作とは思えないええ本じゃね ⁡⁡ ⁡あの話とこの話が繋がって短編連続小説にもなってたり ⁡⁡ ⁡冒頭の一文に重きを置いてるとの事で、その一文でグッと掴まれて放して貰えない ⁡⁡ ⁡桜庭一樹さんの『私の男』の冒頭の一文に惹かれて影響受けたとの事で、また私の男読もかな ⁡ ⁡2022年8冊目

    1
    投稿日: 2024.02.03
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    5つの短編が繋がっていく、連作集。著者のデビュー作です。第15回「女による女のためのR-18文学賞」大賞受賞作、「カメルーンの青い魚」を皮切りに、時間的にも空間的にも広がっていき、味わいが深まっていく世界でした。 受賞作はもちろん面白いのだけど、その後に書いていったのであろう、その次に続いていく作品群を読んで、その受賞がさらにジャンプ台になって飛躍していったんじゃないかと思えてしまうほど、筆力も構成力も油がのっていってこちらはぐいぐい読んでいくことになり引き込まれながらたびたび、すごいな、とも思ってしまう。 一作一作の構成力や仕掛けがよく考えられているし、アイデアも優れているのだけれど、連作としてその5編を通しての構成も「よく創ったなあ!」と著者の労力、大げさな言い方になってしまいますが、つまり全霊をかけたというか、心血を注いだというか、ほんとうにエネルギーを懸けたなあ、ということがわかり、賞賛とねぎらいの気持ちいっぱいになります。それはもちろん、作品世界を十分に堪能して楽しんだあと、気持ちが本書とシンクロするようにまで没入した読書体験を経てのものです。 5編を通しての構成について言うと、各々の物語で重なる人物がいることで、数珠のようにつながっていますし、魚というモチーフが貫かれていて作品を通しての色どりというか、本書一冊のひとつのトーンとして機能しているとも感じました。 ネタバレにするともったいないと思いながらも、本書の三篇目にあたる中編「波間に浮かぶイエロー」から印象的なセリフをいくつか引用して紹介します。これらの部分でストライクだと感じられた方ならば、本書を手に取って満足の読書体験を得られそうです。 __________ だからわたし、いままでずっと信じてきたの。自分に自信を失いそうになっても、高橋さんの言葉を思いだしたら頑張ろうって思えた。この世界のどこかにわたしのことを想って生きているひとがいるんだから、頑張って生きなくちゃって。(「波間に浮かぶイエロー」p151) __________ __________ いくら言葉を貰っても、それじゃ勝てるはずがない。力を尽くして得たものだけが、新しい力をくれるんだよ。誰かからもらおうとしちゃダメだったんだ。(「波間に浮かぶイエロー」p174) __________ →名言には二種類あると僕は考えていて、それは、受け手に傷痕を残すものと、受け手の迷いを弱くするものとがそれ。このふたつは後者の名言。 __________ ホテルでキスされたときなんて死んでもいいと思ったって。都合よく使われただけなのに、最高の思い出のように語るのよ。(「波間に浮かぶイエロー」p199) __________ →ここを読んで、男ってそういうものだよね、と思ってしまうように、僕もこのセリフを吐くような種類の男なのだよなあ、とちょっと目じりが下がる思いがするのでした。 なんていうか、生きていくことを描いていますね。応援であり、寄り添いであり、励ましであり、慰めであり。そういった「大変だけど生きていこうよ」というようなベクトルが、本書に息づいています。 とっても良かったです。

    20
    投稿日: 2024.01.31
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     こんなに素敵な文章を書く人だったなんて、知らなかった!町田その子さん!  晴子の母はおばあちゃんに追い出され、父はそんな晴子に関心なく、愛人と結婚するのにハンディになるとさえ思っていた。孤児同然の晴子を守ってくれたのはおばあちゃん。おばあちゃんは、昔晴子の母を鎌を持って追いかけ、「お前なんか出て行け」と追い出した人。殺人未遂だったと町では噂になり、いつも校門の前で、晴子を待ち、晴子をいじめる子供には怒鳴りつけていた恐ろしいおばあちゃんだった。だけど本当は恐ろしい人ではなかった。 「おばあちゃんは、私は晴子のチョコレートグラミーになってあげるからね」って言ったの。 チョコレートグラミーはマウスブルーダーという魚のこと。親が口の中で稚魚を育てて外的から守る魚だ。でも、いつかは親の口から出て自分一人で泳いでいかなければならない。 いじめられっ子の晴子をクラスでたった一人守ってくれたのはシングルマザーに育てられている啓太。  啓太と晴子が夜の展望公園から見た町は山に囲まれすり鉢状で、金魚鉢みたい。そして二人は夜空を泳ぐ魚になったみたいだった。寄り添い合って生きられればよかっただろうけど、晴子のおばあちゃんは認知症になり施設に預けられ、晴子は遠いところにいるおばあちゃんの妹に預けられる。 「この水槽の向こうにはもっとたくさんの水槽があるんだね。水槽どころか、池も川も、海だってある、いちいち怖がってたら生きていけない。あたしたちはこの広い世界を泳がなきゃいけない」 遠い国から捕獲されて水槽の中で生きている熱帯魚は、生きているだけで息苦しいのかもしれない。けれど、水がなければ生きていけない。  カメルーンの青い魚ことアフリカン・ランプアイ、チョコレートグラミーことマウスブルーダー、ブルーリボンことハナヒゲウツボ、スイミー。この小説は5章からなるというか、5編の短編からなっていて、それぞれの中に前の短編に出ていた登場人物が再登場する。初めの4編全てに共通するのは海の生き物のイメージ。そして最後は「海」。  山に囲まれた金魚鉢のような街で、行き辛いけれど、もがきながら生きている登場人物たち。たった一人の大切な人を待ちながら、たった一人の大切な人との約束を守りながら、たった一人の大切な人の生きた証を探しながら。  海のイメージは空のイメージに通じる。そして、海のイメージは母親の胎内の「羊水」のイメージにも通じる。  生まれてからネグレクトに苦しむ子でも、誰でも初めは羊水の中で守られていた。だけど、月が満ちれば、みんな羊水から出て、広い海へ出ていかねばならない。喘ぎながら泳いでいかねばならない。  この小説を読んでいると、どうにもならない愛しさと悲しさを思い出し、鼻の奥がツンとなった。そして、誰かに包み包まれた感覚を思い出してお腹の中があったかくなった。  優しく、官能的で、美しく、悲しく、強い小説だった。

    127
    投稿日: 2024.01.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    狭い水槽=生まれ育った町で、ままならぬ現実に悩みながら息苦しさを抱えてそれでも必死に生きる人たちの連作短編集。 新たな水槽や海に泳ぎ出す魚、ここで息をしていこうと決めた魚…1話読み進む度にどの決意にも胸の熱さが上書きされ、瑞々しい感動が尽きない。 祖母の庇護から離れて臆病な晴子が広い世界に泳ぎ出す表題作と最終話は何度も涙が滲んだな。“生きやすい場所になりますように”の啓太の願いはそのまま自分の息子への願い。 巧みな構成も、「波間に浮かぶイエロー」の登場人物たちのずっと読んでいたい心地よさも素晴らしかった。

    1
    投稿日: 2024.01.27
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    人が抱える他人にはわからないそれぞれの哀しみや苦しみが、数珠繋ぎのように5つのストーリーで語られる。 でも必ず、その哀しみや苦しみのストーリーの先に、ほんのりと明るく灯る灯火があり、それぞれの心が切り開くさらなる明るい未来へと続く予感を残す。5つのストーリーの中には、次のストーリーへの仕掛けが仕組まれていたり、作者の作家としての技量と心の力量に感服させられた作品でした。

    1
    投稿日: 2024.01.20
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    世の中には色んな人がいて、皆それぞれ葛藤や生きづらさを感じている。この本では、特に生きづらさを強く感じている人に焦点を当てていた。 そしてそんな時でも必ず助けてくれる人がいて、どこかには必ず自分の居場所があるということを教えてくれる本だった。

    2
    投稿日: 2024.01.17
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    「波間に浮かぶイエロー」は★5 人間ドラマだけではなく、ある仕掛けにハッとさせられる。叙述ミステリを読んだ気分。 他も、一生懸命、今いるところで生きていくひたむきさに心打たれる。 すり鉢みたいな水槽のような町で暮らす人々を魚に見立てて、ゆらゆら揺蕩うように俯瞰して眺めているような気分になる。

    8
    投稿日: 2024.01.16
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    眠れない夜にそっと寄り添ってくれるようなあたたかくて切なくて優しい気持ちになれる一冊です。 生きていくうえでの選択や、それに伴う葛藤。 生きづらさを抱えながらも、投げやりにならず諦めず前をむこうとする登場人物たち。 大勢の人の思う「普通」ってなんだろう。そちら側にいると安心をくれるものだけど、そうじゃない側にいると苦しくて仕方ない。 生き方やその境遇を海や魚になぞらえて描写しているところも好きです。 そっか私たちは泳いでいるんだなぁ。毎日、職場や学校、家族、いろんな群れの中で。 たまに苦しくなったり逃げ出したくなったりしながら、それでも温もりを求めて、何かを選んで、なにかを選ばなくて。 何度も読み返したくなるような、大切な一冊になりました。

    4
    投稿日: 2024.01.13
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    一話一話独立していると思っていたので、どこかで繋がっている仕掛けがあるなんて…繋がった時はちょっと嬉しい気持ちになった…! どの登場人物も自分の居場所でもがきながら、でもどうにか前に進んでいこうとしていて、とても愛着が湧いた。 町田そのこ先生らしくどこか温かさのある作品だった。

    8
    投稿日: 2024.01.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    この空気感、何かと似ている・・・と思っていた。 途中で気付いた、窪美澄『ふがいない僕は空を見た』だ。貧困で、荒んでいて、性や生と直面する。 それプラス暴力性も加わって、私はこういう、女性が苦労する現実味のある話が苦手なのだとつくづく実感した。 黙って耐える、何も言わず、反抗せず、沈黙してやり過ごす。こういう女性や、そうさせる男性が今も多く存在することが信じられないし、ものすごく嫌悪感がある。 例えば「海になる」の「中学校の教員で生活指導の主任でもある」夫。 プライドが高く、自分のことは棚上げで正義感が強い。 モラハラとは自分の気持ちに敏感で、他人の気持ちには鈍感・・・つまり自己愛が強烈に強い人のことなんだろう。どういう育ち方をしたのか知らないけど、こういう人こそカウンセリングを受けさせた方が良い。 この暴力の連鎖を断ち切らない限り、子どもがいてもこの夫婦ではうまくいかないわ。 全体的に読んでいるのが痛い、寒い。冬のような世界観。 できたらこういうテイストはもう読みたくないかもしれない。 でも唯一、『波間に浮かぶイエロー』はこの短編の中でも明るめだ。口喧嘩しつつも深刻な状況ではないし、助け合う相性の良い仲間もいる。 この話はむしろ好きな方かも・・・と読み終えかけていたのに、最後の最後に明かされた事実に打ちのめされた。なんて悲しいんだろう、好きな人を待ち望んで会えずに死んだ人が、他人に自分の振りをさせているなんて。好きな人が、自分が死んだことを知らないままなんて。 でもやっぱり、この話が一番明るくて楽しい気がするから好きだな。 この短編は、人物がリンクしていたり話が入れ子式になっていたりで、それがちょっと救いになることも。 人間が水槽や海で生きる生物にたとえられていて、今の場所に適応しようとする者や、外の世界に自ら出ていく者、追い出される者。それが理不尽なようでいて、少し救われるのは、周りの人に多少なりとも助けられているからだ。 私は、血の繋がりってそんなに優先すべきものではないと思っていて、「遠くの親戚より近くの他人」なことも往々にしてあると思うし、親子や兄弟でも気質が全く違うことはある。 それこそ水が合わないのにそこに居続ける意味ってなんだろうと思うし、思い切って出ていくのも悪くないと思う。 そんな人に対して、他人だからどうこうではなく、少しでも思いやりを持って人に親切にすることができたら、この本のような優しい世界が生まれるんだろうと思う。 ラストの桜子さん達のように、巡り巡って人が人を助けるのだ。 著者は小説の練習の為に他者の作品を丸写ししたとどこかで読んだけど、あとがきにそれが桜庭一樹の『私の男』だったことに驚いた。寂しい感じ以外はテイストが似ていないなと思ったから。 デビュー作からこんな綺麗な文章を書く人ってすごい、と何度も思った。 「女による女のためのR-18文学賞」の大賞を含む作品だけど、男性にも読んで欲しいなと思う。女性目線になってリアルな現実を知ることって、本以外では難しいだろうから。 20240106

    10
    投稿日: 2024.01.06
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    短編集。星を掬うや52ヘルツのクジラたち よりも、かなりライトな作品。収録されている話同士がゆるやかにつながっている構成のもの。…読んだのがちょっと前なので、読後感とかをやや忘れてしまった。逆に言うと、町田さんの作品の中では比較的薄味だったかもしれない。

    1
    投稿日: 2024.01.06
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    それぞれの生きづらさにもがきながらも、周りの人と影響しあい、少しずつ前を向いて生きていく人たちの姿が描かれていた。   ズルい気持ちや目を背けたい感情もしっかり言語化され、読んでいてヒヤッとなる感覚も。 でもそれすら認めて丸ごと受け止めているキャラクターたちに救われる。   わかりやすいハッピーエンドだけではないが、読み終わるとどこかあたたかく、爽やかな気持ちになる作品。

    1
    投稿日: 2024.01.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    『52ヘルツのクジラたち』を読んでから気になっていた町田その子さんのデビュー作。5本の連作短編集で、めちゃくちゃ面白く、完成度が高かった! 表題作でもある『チョコレートグラミー』はとある特徴を持った魚のことで、その他の『カメルーンの青い魚』『波間に浮かぶイエロー』『溺れるスイミー』『海になる』でも、魚や海が主人公の心をあらわすモチーフとして使われている。 ———あらすじ——— 『カメルーンの青い魚』 主人公・サキコがみたらし団子を食べて差し歯が取れるシーンから始まる。しかも、2本。その場に居合わせた啓太は「ちょう歯抜けじゃん、何やってんの!」と笑いだす。しかし差し歯になったのには理由があり、幼なじみであるりゅうちゃんの喧嘩を止めに入り、殴られてしまったのだった。 『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』 主人公・啓太。啓太はクラスメイトの晴子が「孵化した」のを見た、と言う。 祖母の烈子と暮らしている晴子は、11年前、烈子が起こした事件のことでクラスで噂を立てられていた。 新聞配達のアルバイトを始めた啓太は、そんな晴子の家にも配達に行くことになる。 『波間に浮かぶイエロー』 突然、自殺してしまったなき恋人への想いを抱いている沙世と、沙世の勤務先『ブルーリボン』という軽食屋のオーナーの芙美、かつて芙美と交わした約束を頼って店にやってきた環。3人がそれぞれ抱えるものとは。 『溺れるスイミー』 主人公は製菓会社の工場で働く唯子。父親は「離れたくなる衝動をどうすることもできない」人だった。何度もふらりと消えてはなかなか帰ってこない。そんな父に愛想を尽かした唯子の母は、父親に「もう帰ってこなくていい」と告げる。 『海になる』 死産を経験し、夫からのDVを受けている主人公・桜子。この世に存在する意味がわからなくなり、死のうとするが、目の前に現れたのは“あの男”だった。 ———感想——— どれも完成度が高く、何度も読み返したくなる。テーマを簡単に言うと、生きづらさからの脱却になると思うけれど、どの話も絶望が本当に絶望で、かなり感情移入してしまった。おもしろい。 一番好きだったのは『カメルーンの青い魚』。完璧すぎる。完全に騙された。啓太はわたしをさっちゃんと呼び、なかなか対等な関係で喋る冒頭。カジュアルにミスリードされました。りゅうちゃんと再開後、主人公が過去の恋愛に惹起され、浮気をしてしまわないか心配していたのが恥ずかしい。余韻も素敵な良い話でした。 また『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』も最高にドキドキした。めちゃくちゃ面白いし、啓太がアルバイトを始めたのにそんな理由があったとは。唸った。 『溺れるスイミー』は意外だった。ここではないどこかへ行くことを選んでも幸せだと思うし、自分でもそうするかもしれないと思ったが、まさかの選択。自分もウロウロしたい人間なので、めちゃくちゃ唯子の父に共感できるし、唯子の母の気持ちはわからない。

    4
    投稿日: 2024.01.04
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    寄り添ってくれているようでいて、一歩先をいくような本。 仕掛けにも驚かされた。 一つ読んで終わりでなくて、次に進みたくなる本。

    2
    投稿日: 2024.01.03
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    評判通り、期待を裏切ることなく、よかった! かわいい!すきだ! 去年話題になってたやつ、読まなきゃ!

    1
    投稿日: 2024.01.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    巻末の書評にもあったが、これがデビュー作とは信じられない完成度。 連作短編はつながりや人物関係が分かりにくいことも多々あるが、この作品はささやかなつながりや希望を辿れるような連なり具合でとても心地よく、読みやすかった。私のお気に入りは「溺れるスイミー」「海になる」。前者は、途中で唯が吐く言葉が胸を打った。唐突な文語調の文章にはっと息を飲んだ。後者は、烈子さんの話にここがつながるのかと感心した。 町田そのこさんはうつくしが丘の不幸の家を読んだだけだが、どちらも読みやすいもののこちらの方がやや連作短編どうしのつながりが心地よかったかも。好みの問題の範疇だが。いいお話だった。

    2
    投稿日: 2023.12.31
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    ここを出たら、何にでもなれる。 ひとは海にだってなれる。 育むものになれる。 それってとても素敵でしょう。 〜「海になる」より〜 世の中には色んな人がいて、皆それぞれ大なり小なり生きづらさを感じている。この本では、特に生きづらさを強く感じている種の人に焦点を当てていた。 そんな生きづらい世界にも、必ず助けてくれる人がいて、どこかには必ず自分の居場所があるということを教えてくれる本だった。 涙が止まらなかった。私も海になりたい。

    1
    投稿日: 2023.12.31
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    居場所を定めたひとと、それができないひとと。どちらの立場をも描く、重なりやつながりが心地よい短編連作。決してジメジメしてるわけではない、でもしっとりした読後感でした。これ、デビュー作なんですね。完成されててすごい。

    1
    投稿日: 2023.12.29
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    キレっキレの変化球を投げられ、 打ち返す事も出来なかったとでも言いましょうか。 衝撃的で、刹那的、でも不思議な事にスッキリとした読後感。 子育て中ということもあり、全ての物語を胸が締め付けられるような思いで読みました。 とくに最後の短編はハラハラさせられながらも、共感する部分が多く、 町田その子さんの著作を片っ端から読んでみようと思わされた貴重な一冊でした。

    7
    投稿日: 2023.12.28
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    言語化するのがすごく難しいけれど、すごく心惹かれる連作短編だった。 主人公たちは自分とは全然境遇も違くて、すごく共感できる!って感じではないのに、それぞれがなんとなく息苦しさを感じて葛藤しながら、それでも生きていく様子に、切なさというか苦しさというか、本当言語化できない感情で揺さぶられるお話ばかり。 その様子を魚に例えるセンスも素敵だし、各話に散りばめられた仕掛けたちにもすっかり騙された。少しずつ関係者がすれ違うのも、次はどう繋がるのかワクワクしながら読ませてもらった。

    2
    投稿日: 2023.12.25
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    どきっとする表現がたくさんあった 各話、最初と最後が二度見する表現 「手で叩かれたら痛いって分かる でも同じことをできる手を自分も持ってる」 じゃあ、その手をどう使うか? って、ぜひ子どもに話したい 学生のバイトは良いことか悪いことかを自由研究の題材にする って笑ったわー 啓太が誰か とか、 どうしてバイトをするか とか  芙美さん ええっ!って、展開が最後までとまらない一冊で、 いつの間にか先入観を持ってる自分を言い当てられたかんじ

    11
    投稿日: 2023.12.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    職場で心身ともに限界になって公休日でも気分転換しようとしても憂鬱感が続いて不眠、食欲不振とかに陥ってる時に書店で並んでて出会った作品。 現代社会で生きづらさを抱えてる人達のストーリーが数編掲載されてた。シングルマザー(orシングルファザー)の観点、その息子からの観点、トランスジェンダー、家庭内DV、認知症の祖母とその家族の物語… 個人的には晴子のストーリーが1番印象に残って、それは自分が介護現場で働いているからだけど認知症の人の介護はおわりのみえないし休息の時間がないし、徘徊や物忘れ、人によるけど家族の名前や顔を忘れてしまってケアに携わってる人に対して知らない人やと暴力振るったり心身共にしんどい思いしかしない。だから特養やショートステイを含め介護サービス利用するけれど、家族は24時間その人をみないといけないけど、介護スタッフは勤務時間で割り切っている部分があるから多少抵抗されてもって雰囲気とかある。家族にとって24時間365日みないといけないとあかんから施設に入所って経緯になるケースがおおい。晴子の祖母が認知症になったのをきっかけに父は肉親の祖母を施設に入れ娘を親戚の叔母に預ける結末なる最低な父親やけどさ… 事情はともあれ登場人物たちの生きていく姿が絶妙に描かれてた。 今は自分心身不調で心療内科で医師に休職した方がいいと言われるくらいに病んでるけど、この作品の登場人物みたいに生きることに対して前向きというか決意みたいなんあればいいと思う。そして現代社会に対して呼吸が少しでもしやすい環境や場所があればいいなと思う

    0
    投稿日: 2023.12.20
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    広い世界に飛び出すのはとても勇気がいるけれど、その広い世界のどこかに必ず自分の居場所がある。と、信じたい。

    2
    投稿日: 2023.12.17
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    "夏休みに入るちょっと前、近松晴子が孵化した” 表題作の冒頭の一文。…素晴らしすぎませんか? まさに、人々が孵化していく様を描いたような、美しくて力強い短編集でした。 これがデビュー作というから驚き。 町田そのこの原点となる短編集。

    0
    投稿日: 2023.12.17
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    恋愛要素がありながら、恋愛小説というわけではない感じも、魚をテーマに全編ゆるく繋がっている感じも非常に好み。 好きなお話は表題作。 「よくやった」と真正面から受け止めてもらえて、それで勇気が出るなんて、純粋で単純で力強いなと思った。うらやましい。彼女はその言葉を一生忘れないと思う。 気になったお話は結婚の意思を固められず放浪する女の話。普通に生きるとは、息苦しい。どこかへ行ってしまいたい感覚ものすごく分かる。

    1
    投稿日: 2023.12.13
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    20代の恋愛経験の少ない私では経験したことのないような大人の恋愛が5つの短編集として描かれている。 心温まるような切ないようなしょうがないような何ともいえない思いが読み終えたときにやってくるが、読んで後悔するようなことは決してない。こんな恋愛をしてみたいと思う反面、実際に経験すると辛そうだなとも思える。

    1
    投稿日: 2023.12.11
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    面白かった!!! 完結の短編かと思いきや、いろんなところが繋がってて。 はじめの男の子の年齢が想像とちがってまんまとやられました。

    3
    投稿日: 2023.12.10
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    切なくも優しい小説。生きていく上で様々な辛いことや悲しいことがあるが、それを乗り越え、一歩踏み出して生きていく強さに感動した。

    0
    投稿日: 2023.12.10
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    町田さんの本は読もう読もうと思っていたけど積読が多すぎて読めておらず、こちらが1作目でした。 読みやすい文体と少し重めだけど先が気になる内容に、スルスル読めました。他の作品も読もうと思います。

    0
    投稿日: 2023.12.06
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    魚をキーワードにして5つの短編が交差。 あの登場人物のその後はどうなったかなって 気になる。 最後まで読むと魚がテーマだったというよりも 海がテーマで どこの世界も時間も人も 閉じずにゆるくつながっていることに気づかされて 感動した。 コンビニ兄弟の3巻が図書館に入ってなかったので リクエスト中に手にとった。 コンビニ兄弟に比べると 重くて暗い空気が流れているけど でも町田そのこさんの著作を全部読み終わったらまた帰ってきたい作品だった。

    0
    投稿日: 2023.12.05
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    自分の普段の苦しさ、閉塞感が一旦俯瞰してみえる不思議な短編集でした。 どうしようもない日常、心の奥にしまいこんで人に話すことなんて考えられなかった気持ちなどが、文章となって、水槽のように揺蕩うように感じられました。 自分も1箇所に留まるのが嫌だし、留まらなきゃいけないという覚悟が出来ない自分に厭になっていたけれど、悲観したり自分を責めなくて良いんだという気持ちになれた。

    11
    投稿日: 2023.12.04
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    人間ってそうだよね…って 読みながら一気に完読。 優しく残酷な世界を描写させたらピカイチの作家なのかもしれない。

    2
    投稿日: 2023.12.03
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    誰かと一緒になる、ここで暮らす、という覚悟、水槽に閉じ込められるような感覚、その息苦しさはとてもわかる。本の舞台はどこも田舎だけれど、都内でも息苦しさっていっぱいある。レールから外れたり、ひとりぼっちになっても自由に生きようとする、主人公たちの強さが感じられる本。

    1
    投稿日: 2023.11.29
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    文句なく星5です。 「星5では足りない」と心から感じた作品は これが初めてです。 生きることに絶望した主人公が 新しい場所で新しい人生を歩み始める。 辛く、切ない人生の先にある 優しい人との温かい出会い 5つの短編の世界が、そっと 心地よくつながっているのも 読んでいて心震えます。

    1
    投稿日: 2023.11.28
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    登場人物達の辛い境遇が描かれていますが、不思議と暗い気持ちにはならないお話でした。 人生には選択肢が幾つもありますが、選ぶ事が出来るというのは恵まれている人生という事なのかもしれません。 生きるという事、どう生きるかという事を考えるきっかけにもなりました。 面白かったです。

    1
    投稿日: 2023.11.28
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    著者の作品を初めて読んだがとても綺麗で淡麗な文章を書く人だと思う。 解説でもあったが出だしの文章がどれも素晴らしく一瞬で物語に惹き込まれる。 とくに好きだったのは波間に泳ぐイエロー 最後の文章のあまりの切なさに泣いてしまった。 *胸の奥の、深いところ。わたしが何年も浚い続けていた記憶の水底から、あの日の瞬間がゆっくりと引き揚げられていた。 『生きていけるから』 彼はそういったのだ。 『沙代がいたらずっと』 本に夢中になっていた私が聞き溢した言葉は、それだった。 恋人の死の理由はもう永遠に分からない。それでも私はこれからもその理由を探してしまうだろう。眠れぬ夜も、涙に濡れて起きる朝もやってきて、私を苦しめる。でもいま、少しだけ救われた思いがしている。 黄色いハナヒゲウツボとなった女が教えてくれたから。 恋人は私の中で、姿を変えて泳いでいる。

    1
    投稿日: 2023.11.27
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    活字を見ると眠くなる問題を解決すべく、 本屋でみつけたこの本を なんとなく買って、読みました。 結果、眠くならずに読み進められました。 引き込まれる文頭と、 重なっていくストーリーが魅力的で、 とても読み心地の良い本でした。

    2
    投稿日: 2023.11.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    本書は人の生き様・生きる場所を様々な魚の生態になぞらえた短編集で、個人的には表題作、波間に浮かぶイエローが切なさもありつつ優しく、爽やかな読後感があり話の内容は1番好きでした。 (優しさはどの作品にもある、というか、どんな場所や環境にも優しさはある、優しさは巡ってくると希望を持てるところが本書の良いところでもある) スポット的な感想だと、溺れるスイミーの唯子への悲しいけれど共感だったり(タイトルも秀逸ですよね、主人公の、共生しないと生きていけないのに、共生を息苦しく思う様をよく表してる)、最終章の海になるのラストで、小さな街でおばあちゃんの庇護下でしか生きられなかった春子が、孵化を通り越して、稚魚、小魚となり海沿いの街で新しい生活を始める春子に遭遇出来たのがとても嬉しかった。 構成が美しいとされるのも納得。

    3
    投稿日: 2023.11.13
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    読み始めて「あ、好き」って思った。 本屋大賞という事で名前は聞いたことあったけれど、読んだことなくて。 ふらふらとブックオフで眺めてたら、町田そのこさんの作品を3冊も見つけて、読んだ事ないけど、えいっ!って買ってみて正解だった。 文章や言葉とか雰囲気結構好き。 解説でも触れられていたけれど、冒頭の一文が良いね。本人もそこは気にして書いているみたいで、狙ってやるのが凄いなと。 各章の登場人物が他の章にもチラッと出てくるあたり、そういう演出も好きだった。 好きな作家さんがまた増えた。

    10
    投稿日: 2023.11.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    生き辛さを抱えている人たちが、悩んだり叫んだり悶えたりしながら、生きる道を選び取っていく物語たち。 新鮮だったのは、一般的に「自分に合わない」環境から飛び出してハッピーエンドになる話が多いと思うのだけど、この本には「生き辛さを抱えたままでも、ここで生きる」ことを選択する主人公たちがいたこと。 そういう覚悟を持つか、持たないかで、また自分の生き方や気持ちの持ち方が大きく変わっていくのだなと感じた。 「環境を変える」ことと「今いる場所に居続けること」、どちらを選択したとしても、「自分がそれを選んだ」ということが大事。自分の人生を生きるって、そういうことなんだ。 短編5本の中で、登場人物たちが少しずつリンクしているのも、わくわくする。 大好きな町田その子さんのデビュー作が読めたことも嬉しかった。

    8
    投稿日: 2023.11.08
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    5篇の連作短編集 それぞれ重く、切ない。 だけど希望はある。 連作だと、前の話に出てきた人の深いところが 知れてより興味深い気持ちになる 最初の話にでてきたりゅうくんの話の続きが読みたくなった

    18
    投稿日: 2023.11.06
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    可愛い表紙が目に留まり、この本が町田そのこさん初読みでした。 読み始めて、1文目から物語に引き込まれます。 町田そのこさん、読者を物語の世界に引き込むのがほんとにお上手。 「大きなみたらし団子にかぶりついたら、差し歯がとれた。」(カメルーンの青い魚) 「夏休みに入るちょっと前、近松晴子が孵化した。」(夜空に泳ぐチョコレートグラミー) 「恋人は死んだ。」(波間に浮かぶイエロー) 「名も知らぬ小さな駅で、父と別れた。」(溺れるスイミー) 「今日は私の誕生日で、とてもいいお天気の日曜日だから、死ぬにはぴったりの日だなと思った。」(海になる) 冒頭の文章で引き込まれた方にはぜひ読んでもらいたい。 そして、それぞれのお話が少しオーバーラップしている部分があるので、短編でありながら繋がっていくのも魅力です。 どのお話も大好きですが、特に好きなのは波間のイエローです。最後の展開、驚きと感動が止まりません。

    18
    投稿日: 2023.10.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    5篇あってどれもいいんだけど、一番好きなのは「溺れるスイミー」。群のなかで生きていたいのにそれができない。上手に息が吐けない。一箇所に留まっていると濁りを感じてふとした瞬間に虚無になる感覚。刺さる。

    0
    投稿日: 2023.10.29
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     デビュー作とは思えないくらいの完成度。 カメルーンの青い魚→夜空に泳ぐチョコレートグラミーが好きです。両親がいないと子供が育たないなんてことは全然なくて、むしろ強い子になる。強くならざる負えないのかもしれないとしても、とても眩しく感じる。 主人公や周りの人たちが酷い目にあっていたりするから、読んで辛くなるところもあるけど、基本的には希望があるから読めるし、先が気になって読んでしまう。あとがきにもありましたが、物語の最初の一文が大事で、惹き込む力をもっているんだな。

    0
    投稿日: 2023.10.29
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    この本は5作の短編が入っている短編小説集で、どの話も大筋は主人公が抱える絶望が希望に変わる瞬間を書いたといったものとなっています。話の系統はどれも似たようなものなのに、どの話も仕掛けが施されていて読んでいて楽しかったです。個人的には「海になる」が好きでした。

    0
    投稿日: 2023.10.28
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    とても、とても好き♡ 町田そのこ作品はまだ3冊目だが、全て好み。 冒頭の一文から心をキャッチされ、文章がすーっと脳に滲み渡る。 本書は『生きていく場所』がテーマの5話連作短篇集。水槽の中や、波間でしか生きられない魚もいれば、狭いところに留まれない魚もいる。 元々は海が生み出し育んできた命…作品の構成も素晴らしい! デビュー作の【カメルーンの青い魚】、表題、【波間に浮かぶイエロー】の3作が特に良かった。 仕掛けも施され、大いに物語りを押し上げている!  私は『仕掛け』に弱いので(๑'ᴗ'๑)

    22
    投稿日: 2023.10.24
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    人って水槽の中で泳ぐ魚みたいだなって思えた本。 色んな種類がいて、群れたり、住みやすい場所を求めて泳ぎ続けたり、息ができなくてもがき苦しみながら生きてたり。 所詮ちっぽけな存在で、それが持つ悩みなんてもっとちっぽけで。 でもそれでも水がないと溺しちゃう、生きていかないといけないの。 人生で理不尽なことも悩みたくなることもたくさん起こるけどいつか振り返ったときにあの時よく耐えたなって思えることもきっとたくさん。 今自分が辛くて辛くて辛いけどこの世の誰もが辛かった経験をしてきたし今もしてる。 孵化するための、進化するための試練なのかもしれないね。 人の生き様を魚に例える、幻想的で美しい本でした。 この方の表現もすごく素敵で好き。

    1
    投稿日: 2023.10.22
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    町田そのこさんの本を初めて読みました。 出てくる人それぞれが、どうしてこんなに苦しいものを抱えながら生きているのだろう、つらいな、と思うようなシーンが多くて胸が何度か苦しくなりました。 でも、読み終わった今は、誰かに支えられながら、もがき、生き、幸せを掴む人たちにホッとした気持ちを感じています。 誰かに支えられる、知らないうちに支えられている、知らないうちに支えてる、支えられて幸せを感じている。 幸せの循環は人のつながりで生まれるんだなぁ、と思いました。

    4
    投稿日: 2023.10.21
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    町田その子さんはこれで3冊目、本のタイトルだけでは、多分読まなかったと思う。それだけに町田その子さんの世界観と表現力に吸い込まれるような気がした。登場人物は皆、必死でもがきながら人生を生きてる人達。そして一人ひとりの心情がとても丁寧に優しい言葉で綴られており読み応えたあとにも残像のように心に残る。短編集ではあるがそれぞれが人でつながる構成にも奥行きと深みが増している。また町田その子さんの本をまた読んで見たいと思う。

    3
    投稿日: 2023.10.20
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    町田そのこさん2冊目。この方、主人公に不幸を背負わせるのがうますぎます。 そして、どうやったら、あれだけ悲しい設定の人たちに、あれだけのページ数で光を見せることができるのでしょう。 ぐっとくるくらい素敵な文章表現がたくさん出てくるのに、ストーリーも面白いなんて。 連作短編特有の嬉しさもありつつ、それ以上のギミックまで仕込まれてるなんて。 違う話で再会できたときは、あなただったのねー!と喜んでしまうくらいにキャラクターも立ってて魅力的だし。 読後感が心地よくて、まだ余韻に浸っていたくて眠りたくない、午前2時です。笑 とりあえず、朝起きたら息子を抱きしめよう。 幸せな気持ちになれる本でした。

    3
    投稿日: 2023.10.17
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    今日は私も誕生日で、とてもいいお天気の日曜日だから、死ぬにはぴったりの日だなと思った.、   序盤の文がこれは焦る。   カメルーンの青い魚 夜空に浮かぶチョコレートグラミー 波間に浮かぶイエロー  溺れるスイミー  海になる

    0
    投稿日: 2023.10.14
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    連作短編集で出てくるそれぞれの登場人物が魅力的でみんな幸せになって欲しい。 晴子はどうなったんだろ?って思ってたけど最後に出てきてくれて良かった。 解説でも書かれてたけど、文章の掴みが完璧すぎて引き込まれる。これがデビュー作なのスゴすぎ

    2
    投稿日: 2023.10.12
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    それぞれの冒頭の書き出しで ググッと一気に引き込まれて吃驚した!! 気がついたら最後のページで これまた本当に吃驚!! 短編集なんだけど全く別物ではなくて どこかで繋がってるから面白くて 私にとってはひとつの物語です。 どこで誰と生きていくかも大事だけど 自分自身がどうしたいかも大事だと思った。 それぞれの登場人物の覚悟というか 何があっても生きていく強さに感動しました!

    0
    投稿日: 2023.10.12
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    なんと素敵なお話だろう‥ 苦しいことも、辛いことも、目を背けたくなるような事もあるけどちゃんとどこかに希望が光っている。 無理やりハッピーエンドにしていないのに、何故かハッピーエンドに感じる‥ 今までで一番心に響いた本かもしれない。

    13
    投稿日: 2023.10.10
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    読み終えてしばらくボー〜っとしてジーーんとして涙が溢れてきた。せつないお話なんだけど幸せな気持ちにしてもらえるようなお話でした。サキコとりゅうちゃんの恋のお話、サキコと啓太の親子関係、他、何度も読み返したくなるお話達でした。町田そのこ作品が大好きです。

    16
    投稿日: 2023.10.07
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    解説にも書いてあるけど、どの話も冒頭から引き込まれて少しだけ読むつもりがあっという間に読んでしまった。 どれも読んだことないストーリーの展開で新鮮だったし、しれっとどの話にも繰り返し出てくる登場人物もいておもしろかった。 描写がありありと想像できるっていうのは町田さんのワードセンスなんだろうな。 どんな人もどれかの話には絶対引き込まれる作品。

    0
    投稿日: 2023.10.04
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    恋愛小説のオムニバス。 素朴で飾り気のない登場人物に感情移入がしやすかった印象。 各話の文脈にさりげなく他話の主人公が登場するところも読んでいて楽しかった。 読了後は心臓を優しく掴まれたような、切ない気持ちになる。

    0
    投稿日: 2023.10.02
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    読み終えた時、感動で頭が真っ白だった。 波間に浮かぶイエロー と 海になる で泣きそうになった。 素敵な短編集。

    0
    投稿日: 2023.10.01
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    町田そのこさんのデビュー作。 五つの物語の中に、他の物語の登場人物がちらりと、ひらめくように姿を見せてくれるのも嬉しい。 広い海の中はつながっているけれど、ほんのわずかな何かのために、魚たちの生きられる世界は違ってしまう。流されたり、必死に泳いだり、すぐそばにいても離れてしまったり、関わりあうことがあったりなかったり。 生まれた海から切り離された小さな水槽でも、生きている命は、生きようとする。 泳いで行けるなら、少しでも自分にとって居心地の良いところを目指す。 魚たちは、あたりまえにしていることの、なんて難しいことだろう。 誰かに、“この作家さんいいよ、読んでみて”と差し出すなら、「52ヘルツのくじらたち」よりも、まずはこちらからがいいんじゃないか。

    7
    投稿日: 2023.09.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    連作短編集。2つの短編集。 https://book.asahi.com/article/14501020 別作品へのコメントだが『だがある人物や出来事をすでに知っているか、初めて読むかで印象がまったく違うのだ。』 確かに。 再読したくなってしまう一冊。 本屋大賞のクジラの件でも思ったが ・親 ・子供 ・欠陥品 がキーワードなんだろうか。 (そういえば祖父・伯父・甥っ子 と他の言葉は性別が分かる表現しか無いの、何故だろう。) 「波間に浮かぶイエロー」 環さんの「なんで女になんか」というセリフ。なんで女になってなんか じゃないのだな、と。 女性であること云々ではなく、自分が異性愛者だとして、彼が女になる=恋愛感情とかの方面をとらえたのだろうか。主人公も自信を取り戻したかったのか聞いているし。 主人公がおっとりしているようで、心中では割と毒を吐いているのが面白い。 恋人が何故、というのが謎のままで 逆に記憶に残る作品。 もし環さんが帰ってきて、重史さんの事はどう変化していくのか気になる。。 「溺れるスイミー」 もし主人公の環境が違ったら 母親との関係、会社での男性の存在、それらが違ったら、ラストの選択は違ったのだろうなぁ。。 または、行動の動機が違ったら。 すいすい読めるけれど、ふっと登場人物達の言動について考察してみたり。 次回はどの登場人物が気になるだろうか。 『いつ気付くなんか、個人差だよ。気づかないままでいることが問題なんだ。』 『親になれた喜びを忘れ去ってしまうひとは、哀しいけれどいる。』

    0
    投稿日: 2023.09.25
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    ひとは気がついた時には水槽の中で息をして他の魚と共存し、もがくように生きているのかもしれない。 すり鉢状の小さな町で そこででしか生きることができなくて苦しむ人、 そこから出ていきたいのにどうしてもそれができなくて苦しむ人、 その苦しさから抜け出してどこかに寂しさが消えない人。 その水槽の中にはいろんな人がいて、抜け出して海に帰るものもいれば、そこで生きていく人もいる。 それぞれの想いを抱えて、どう生きていくか、何を選んで何を捨てて生きていくか。 小さな町で主人公を変えながら小さく繋がっていく 海の広さと自由さを教えてくれるような一冊だった。

    0
    投稿日: 2023.09.22
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    登場人物が緩やかに繋がって話を綴る連作短編。 どれも良かったが最初と3つ目がとても好き。 町田そのこの作品は、どれも心が締め付けられると同時に癒やされる。 「52ヘルツ」と「星を掬う」も読んだがどれも素晴らしいです。

    1
    投稿日: 2023.09.19
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    小さな水槽の中で傷つきながら、それでも強く生きる人達の物語。 ハッピーエンドかどうかはわからないけど、登場した人たちは自分の人生を踏み締めながら生きていくんだな、と思います。

    0
    投稿日: 2023.09.15
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    すっごい良かった。表題の話が一番好きかも。 ここではないどこか、とここ。どちらで生きるのか、すごく考えさせられた。

    0
    投稿日: 2023.09.15
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    登場人物が少しずつ重なる連作短編集。 読んでいると、この人はあの編で出てきたあの人か!という箇所がいくつかある。 その重なり方がどの編も違っていて絶妙で、全編を読み終わると物語が立体的に感じられた。なんて上手な構成なんだろう。重なりを味わうためにもう1度読もうと思う。

    6
    投稿日: 2023.09.14
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    デビュー作でこのクオリティの高さ。 本当に驚きです。 町田さんの作品はいつも、目を背けたくなるような描写もあるけど、最後にはそれに立ち向かう強さと温かさを感じる。 この作品も5篇の短編集それぞれ、生きると決めた人達の強さとしなやかさがありました。

    9
    投稿日: 2023.09.14
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    読み終わってからこの作品がデビュー作だと知った時の衝撃よ…。完成度が高すぎる。 どのお話も最初の一文がユニークで面白い。特に最初のお話の文が好きだなぁ。 「カメルーンの青い魚」と「溺れるスイミー」が特に心に刺さった。 サキコがなぜりゅうちゃんをずっと好きでいられるのかは疑問だけど完全に自分のものにはならない存在を恋焦がれてしまう衝動を理解できるからそういうものなのかなと勝手に解釈する。サキコは元々の性格が受け身で自分で選択することが苦手そうだから只の性質なのかもしれないけど。優しいけど頼りない親の元で育つと子どもは立派に逞しく成長するんだなぁ。啓太が良い子すぎて…。 「溺れるスイミー」の方では少し泣いてしまった。切なすぎる。 あのまま宇崎さんと一緒に行ってしまえば良かったのに。他人と生きていくことが難しいと分かっていても立野さんより宇崎さんを選んで欲しかった〜。 これから辛いことがあってもまたどこかで会えるかもしれないって行く先々で思える日々は意外と心の支えになるんだなって思った。

    3
    投稿日: 2023.09.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    一つ一つの物語が、とっても切ない。 でも、みんなが周りの人に支えられながら、そしてある面では人を支えながら生きてて、温かい。 りゅうちゃんはどこに行ったのかな。さっちゃんとまた会えるかな。 けいたは強い男の子になるだろうな。 唯子は母のいる場所で生きていけるだろうか。 しげふみさんは、みんなの中で生きていく。 晴子は、辛さを知ってる人の元に引き取られて、穏やかに過ごせるだろうな。 みんなの今後の幸せを願いたい、そんな小説でした。

    0
    投稿日: 2023.09.13
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    最近読んだ本の中で断トツで好きな本だった。 解説の方の言葉を借りると、"味変"や"仕掛け"によって物語の奥行きがぐっと広がり、切なさも深まっている。 そしてどの短編も冒頭が独特ですぐに物語に引き込まれた。そして読み終わったあとの感動と後味の切なさに圧倒された。 登場人物が重なっているが直接関わる描写はないところがまたよかった。 みんなそれぞれ必死に生きているし、何が正解かなんて誰にもわからない。 町田その子さんの他の作品もぜひ読みたい。

    3
    投稿日: 2023.09.12
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    恋愛小説というからもうちょっと優しいお話かと思いきや、切なく痛いお話だった。 短篇集だけどそれぞれのお話が登場人物によって繋がってて、さらに細かい仕掛けがあり毎回それに驚かされた。 恋愛という甘さよりも小さな町を水槽のように捉えてその中での『息づらさ』=『生きづらさ』をテーマにしているようで、非常に共感を覚えた。 結婚だったり家族だったり家だったり、自分一人ではないものを抱えるほど、動きづらくなるんだよね。 最後のお話のラストに救われた。

    15
    投稿日: 2023.09.12
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    話を読み進めるとだんだんつながっていくストーリー展開に引き込まれた。 出てくる人たちはみんな少し寂しかったり負の感情をもっていたりしたけど、それでも前に進もうとする姿に背中を押された気分になった。

    7
    投稿日: 2023.09.12
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    物語に引き込まれて一気に読み切りました。 いろんな人の思いが重なって今がある、明日を生きてみようと思える作品。 人生に迷った時、疲れた時に読みたい作品。

    4
    投稿日: 2023.09.12
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    どの話も良かった。ひとつの場所にいること、どこかに流れてしか生きられないこと、正解はないけど、自分で決めていくことが大切と感じた。少しずつ登場人物が重なっているのも、面白かった。再読するだろう。

    4
    投稿日: 2023.09.10
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    凄いなぁ…。 涙とため息の出る一冊。 同じ世界線に住む、それぞれの哀しみを抱えた人々の優しくて切ない連作。 物語の一行目からして凄い。 一行目からその先が気になってしょうがない。 (以下、本文引用になります) ・恋人が死んだ。 ・名も知らぬ小さな駅で、父と別れた。 ・今日は私の誕生日で、とても良いお天気の日曜日だから、死ぬにはぴったりの日だなと思った。 どうですか。笑 町田さんの物語に出てくる人たちは基本みんな優しい。 自分ではどうにもならない哀しみを抱えた人たちが優しい人たちに支えされ救われ生きるさまは美しい。 新美南吉さんの「でんでんむしのかなしみ」という絵本があります。 読まれたことがない方はぜひご一読いただきたい絵本です。 ーーー哀しみは誰でも持っているのだ(中略)私は私の哀しみをこらえていかなきゃならない。 ふと、思い出しました。そう、誰もが何かをこらえて生きている。何もない人などいないってことをひとり1人が己の自我、エゴだけでなく他者の哀しみを慮ることができたなら世界はもっと… いや、そんなかっこいい理想論を述べられるような生き方なんかしちゃいない。 ただ、優しい物語を読んだ時くらい、そんな気持ちに寄り添うことを許してほしいなと思う。 今年の21冊目

    20
    投稿日: 2023.09.09
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    デビュー作とは思えない連作短編集です。 連作としてはもちろんですが、作品中にも仕掛けが施されている物もあり、ハッとさせられます。 悲しくて切ないのですが、読んでいて救われてほんのちょっとだけど前向きになることが出来る、そんな作品でした。

    11
    投稿日: 2023.09.04
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    引き込まれました。一文一文に。短編が1冊に収まった本なのですが、ふとした所でこれはさっきのお話の…とかあの時この人は…!とハッとする展開が絶妙なタイミングで差し込まれててもう止まりません!各話の主人公は皆何かしらうら寂しい、欠落した気持ちを引きずりながらも身内だったり友人だったりの言葉や行動に背中を押されて少しずつ動き出す寂しさに寄り添う暖かい物語です。 朝起きて仕事に行ってストレスを少しずつ積み込み。定時後に買い物して帰宅してまたストレスを足しつつ適当にSNSやソシャゲをまわして今日も何も変わらない、何もしなかったとつまらない人間と不貞腐れて眠るのが嫌な毎日でした。 けれどこの作品を読んで、今日は少しだけ丁寧にお茶を淹れてみよう、少し深く呼吸をしながら散歩しよう、便箋を買って手紙を書こう、秋らしい髪飾りを買って気分をあげようとほんの少しですが息継ぎが出来たような妙な焦りが少し薄らいだような、勝手に助かってるような心地です。柔らかく、少し灰色がかったお話と文章がとても心地よかったです。少し肌寒くなる秋口に読みたくなるなぁと何となく思いました。

    4
    投稿日: 2023.09.03
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    理不尽や生きづらさを抱えつつ、もがき苦しみながらも生きていく人の姿に少し苦しい気持ちで読み進めた。 ラスト5ページでようやくふっと気持ちがほどけるような感覚に包まれる。 あー、世の中いろんな人がいて、それぞれに色んなことを抱えて生きてるんだろうなぁ…ってなことを思い浮かべながらの読了。 重たい気持ちで浅くしか呼吸できていなかったので、ため息のような息を吐き、気持ちを変えるように意識して息を吸い込み今日を始めよう!そんな決意をさせてくれた。

    12
    投稿日: 2023.09.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「カメルーンの青い魚」軽い叙述トリックが使われててそこは面白いなと思ったが、サキコがなんでりゅうちゃんみたいな男をずっと好きなのかはわかんないな、と思いながら読んだ。 「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」と「波間に浮かぶイエロー」が好きだった。「溺れるスイミー」と「海になる」はそこまでだった。 晴美と啓太の、短いけれど彼らにとってはとても大事な時間を読めてよかった。中学生らしい教室の嫌な雰囲気も好き。 芙美さんの強さと美しさが好きだったし、重史さんがどれほど環さんを生きるための”よすが”にしていたのだろうかと考えると胸が詰まった。 連作短編集として、それぞれの話が独立してちゃんと面白く、そして絶妙にちゃんと繋がっている塩梅が好きだった。

    0
    投稿日: 2023.08.31
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    積読消化。町田そのこさん2作品目。 「カメルーンの青い魚」と「海になる」が好きだった。 「海になる」の「海に果てなどない。彼女の苦しみが巡り巡って私のところへ辿り着き、わたしを救った。流した涙は、いつか誰かに優しく辿り着く。ひとはだれかを育むものになれる」というフレーズがこの作品の全てだと思った。 誰にも言えない悲しい気持ちがあったからこそ、不思議な縁と出会えたり、そこで誰かと痛みを分かち合えたり、誰かの気持ちに寄り添って優しい言葉をかけてあげれたりすることもある。 かなしい気持ち・寂しい気持ちの裏側に生まれる美しさを改めて教えてくれる

    4
    投稿日: 2023.08.30
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    すり鉢状の小さな街で、理不尽の中でも懸命に成長する少年少女を瑞々しく描いた表題作。その他3編を収録した、どんな場所でも生きると決めた人々の強さをしなやかに描き出す5編の連作短編集。 少しずつ繋がる短編だけど、それぞれの人のその後がもっともっと知りたくなる話ばかりだった。

    6
    投稿日: 2023.08.29
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    短編でとても読みやすい! ゆるーく繋がっている世界で、共感と優しさと、ちょっとのギミックのある物語たち。とても優しい気持ちになれます

    1
    投稿日: 2023.08.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    短編5作品掲載されていますが、どれもとても良かったです。 そして全ての作品がほんのり繋がっているのですが、その繋がり方がわざとらしくなくいい塩梅です。 どのストーリーも少し生きづらそうな境遇に置かれている主人公やそれを取り巻く人々がその中で、懸命に生きる様子に引き込まれてゆき終盤には、あーなるほどねー!!、と心がぎゅうっっとなる様な伏線の回収がどれも見事でやるせないような少しの悲しみとその中に温かさと希望を感じました。 作者の他の作品をすぐに読みたくなったのですが、解説を読むとどれもなんだか辛そうな設定が多そうなので躊躇してしまうのですが、きっとどれもこの一冊の様に、優しい希望を含んでいるはずと予想し勇気を持って読んでみようと思います。 とりあえずこちらの作品はとてもおすすめです。 4.3

    2
    投稿日: 2023.08.20