
総合評価
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powered by ブクログ物語の渦をくぐり抜け、「私」と少女は、ふたたび出会えるのか。 静かに深く胸を打つラスト、最高の村上ワールド! 「簡単なことだ。あたしを殺せばよろしい」と騎士団長は言った。「彼」が犠牲を払い、「私」が試練を受ける。だが、姿を消した少女の行方は……。暗い地下迷路を進み、「顔のない男」に肖像画の約束を迫られる画家。はたして古い祠から開いた異世界の輪は閉じられるのか。 「君はそれを信じたほうがいい」――村上春樹の秘密の物語が、いま希望と恩寵の扉を開く。
12投稿日: 2025.09.14
powered by ブクログ文庫本4冊中1番ワクワクしたのは1部上巻で最終巻は正直退屈だった 特にぼくが異世界に迷い込むあたりはスティーヴン・キング「ダーク・タワー」 の劣化版で まりえの失踪劇にいたってはまったく面白味もおかしさもなし 嫁との別れから妊娠発覚出産して家族が平和に暮らすぼくみたいな...めでたしめでたしって 最後はなんだか説教臭いしこりゃダメだ 唯一の救いは1部上巻のプロロークを読み返すとなにやら怪しい雰囲気があること
2投稿日: 2025.08.30
powered by ブクログ定期的に読みたくなる村上春樹ワールド。表現の仕方が美しいと感じてしまう。「騎士団長はいるよ」と語るところ、自分もそうありたい。
4投稿日: 2025.08.27
powered by ブクログ本作が文庫化されてすぐに買い求めたのですが、好きなおかずは最後に取っておく、楽しみは先延ばしにするという性格から、今日まで読まずに積読していました。 この物語も、現実と非現実が混在する独特の世界観で、孤独、喪失、自我、人間の有する根源的な暴力性など、普遍的で内省的な事柄がテーマとなっていました。 第1章ではイデア、第2章ではメタファーという、いかにも西洋哲学風な言葉がサブタイトルに付けられていますが、本書を読みながら抱いた印象は、むしろウパニシャッド哲学におけるアートマン、またウパニシャッドを源流とした、仏教で言うところの「色即是空、空即是色」、あるいは「縁起」などに通じるものがあるなぁということでした。 人は誰しも、心に秘めごとを抱えて生きていて、それが生きるうえで大きな重荷になっています。梵我一如の境地に至ることなど、普通の人にはできませんから、生きている限り苦しみから逃れられる、あるいは救われることなんてありません。そんなことを考えさせられるお話でした。 https://note.com/b_arlequin
2投稿日: 2025.08.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
絵を完成させたことで動き始めた物語なだけあって、完成しない絵の方も大きな意味を持っていることがよく分かった。たぶん「白いスバル・フォレスターの男」は主人公のよからぬ感情の象徴で、「秋川まりえの肖像」はまりえを手に入れたいと望む免色の怖さを表している。前者の未完成は主人公が真っ当な人生を歩むことに繋がり、後者の未完成によってまりえの安全が保たれた。「騎士団長殺し」は焼失することで役目を終えた。最後に主人公によって「白いスバル・フォレスターの男」が未来の「騎士団長殺し」のようになることを危惧しながらもその完成を最終的には望んでいることが示唆されるが、再婚することによって独りで無くなった(=他人と共同生活を送らなければならない運命になった)彼にとって自分のよからぬものを克服することが今後の目標となったという意味だと思われた。 絵の完成具合とストーリーラインがリンクしている構造はとてもおもしろい。ただ『世界の終り』や『ねじまき鳥』でも感じたが、「地下に降りていって何かと戦う」という段階になると物語が単調で退屈になる。中短編だと丁度いいが長編だと長く感じる。
2投稿日: 2025.08.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
手を繋いで保育園から自宅まで帰るラストシーンは村上春樹作品には珍しいのでは、と思う。だいたいが、大切な人の何かが損なわれてしまって、読んでいてモヤモヤするものが残るパターンが多いのではないかと…。 復縁⇒子育て(しかも愛情がたっぷり)のこの図式は歓迎。
1投稿日: 2025.08.19
powered by ブクログ村上春樹あんまり読んで無かったけど、ファンタジー要素が多いな でも不思議とサラサラ読めて引き込まれる世界観ではあった
0投稿日: 2025.08.11
powered by ブクログラストにかけてやや冗長な感じもあったが、いまでのどの作品よりもまとまっているように思います。イデアについての知識があると、騎士団長が誰のイデアなのか、何のイデアなのか考えることができたのかなと思う。
0投稿日: 2025.06.06
powered by ブクログ再読 村上春樹の作品にはいずれも共通した、独特の世界観のようなものがあり、「騎士団長殺し」もその例に漏れませんでしたが、他の作品と比べても圧倒的に読みやすいと思います。 じわりと身体の隅々まで文章が行き渡り、ラストもとても綺麗にまとまって、読後感は最高でした。
10投稿日: 2025.06.02
powered by ブクログ素人目線ながら、よくうまいこと収まるなぁ、と。 読み終わった後に「?」が浮かぶことも多くあるイメージの村上春樹だが、現実の話と非現実的な話を世界をうまく隔てたり繋げたりするのも上手なのかな。 没入して世界に入り込める感覚や気になって続きが読みたくなってしまう感覚がいつもある。
6投稿日: 2025.05.25
powered by ブクログ友人に、村上春樹はモテない男の願望ぽいと言われた。 なんかわかる気もする 魅力的な女性の細かい表現は好きだな
1投稿日: 2025.05.17
powered by ブクログ『1Q84』以来、久しぶりに村上春樹を読んだが、非常に良かった。 独特な世界感がありながらも、クセが強くなく、読了後に「面白かった」という感想がピッタリな作品だった。 みなさんと同じように、プロローグを読み直した。 またしばらく、同氏の作品を読みたくなった。 映画化は、あらないか。。
1投稿日: 2025.04.02
powered by ブクログなぞは明らかにならずҨ(´-ω-`)画家が残した「騎士団長殺し」の絵を開封したことで始まる物語。イデアが騎士団長の姿として現れ、いろいろと導いてくれる騎士団長に愛着が湧く。観察眼が鋭い画家が描きだす絵がなぞを解く鍵に。全てが繋がっているよーでなぞのまま……
4投稿日: 2025.03.22
powered by ブクログ主人公とまりえの不思議な3,4日間は、おもしろすぎてすごいスピードで読み進めてしまった。 1~3部で書いていた思考や癖などが再度現れていて、長編だからこその締めくくり感があった。
0投稿日: 2025.03.18
powered by ブクログ騎士団長(イデア)を刺殺することによって、顔なが(メタファー、穴から顔を突き出す)を引きずり出したのだ。
0投稿日: 2025.02.25
powered by ブクログメタファーとイデアの概念が難しくて最後までほんわかしていた。 随所に出てくる「〜のように」という比喩表現は、このメタファーとイデアに関係するから多様していたのだろうか。しかしその表現から分かりやすく感情が文面から伝わってきた。 しかし最後まで伏線回収がなかったのはどうなんだろうか。この未完成さがむしろ完成なのかもしれないが、散らかったままで終わってしまったような。 でもウイスキーやクラシック音楽やファンタジーな感じは悪くない後味というか。 これが村上春樹ワールドなのだろうか。
0投稿日: 2025.02.20
powered by ブクログ騎士団長殺しという絵と、昔の彼女、知り合った気の合う紳士な男性とその家族?に話。少しファンタジーが入っていて、それが不思議な気分にしてくれる。性の描写がそこまで気にならない感じで面白かった。
1投稿日: 2025.02.02
powered by ブクログ話の筋がどれだけ似通っていようと、毎回主人公が射精しながら考えようと、村上春樹の小説は自分にとって一種の避難所のようなものになってくれていた(村上春樹自身もどこかのインタビューで、自分の小説をそのように思ってくれるといいと答えていた記憶がある)。そして今作でも、その役割は十分に達成されているように思える。 道理というものを超えて起きる非日常的な出来事を通して、村上作品の主人公は何かしら成長を遂げる。非日常は主人公自身が抱えてきた人生の暗がりにスポットライトを当て、かつ見離さずに進むべき道を示す。もちろん多少は心の古傷をずきりとさせるようなことや、息ができなくなるような"試練"が含まれるかもしれない。でもそれは、きっとその時に乗り越えるべく用意されたものだったのだ。そうして主人公は多少の痛みとともに用意された難局を乗り越え、また日常へと戻ってゆく。 個人的には海辺のカフカが一番好きで、これは1Q84とどっこいかな〜、という感じ。ある程度長いと集中して非現実に浸れるからいいですね。
1投稿日: 2025.01.04
powered by ブクログ行方不明になっている秋川まりえを探したいと願う主人公だったが、「明日の午前中にかかってくる電話で、誰かが…何かを誘う。それを断ってはならない」との騎士団長のアドバイスに従い、彼は友人雨田政彦と共に、彼の父具彦が入院している療養所に面会に行くことにする。そして雨田政彦が用事で部屋を外した留守に、主人公の前に騎士団長が現れ、「秋川まりえを取り戻したいのであれば、諸君をある場所に送り出す必要がある、そのためには少なからざる犠牲と、厳しい試練とが伴うことになる、具体的には自分を殺せばよい」と言った。(つまり「騎士団長殺し」の画面を再現するということなのか。) そこから主人公は試練の道を進んでいく、というストーリー展開。試練をくぐり抜けた先にあるのは一体何か。 主人公の冒険と秋川まりえの失踪とが一見繋がらないところは、何となく不完全燃焼の感が残った点。イデアである騎士団長や顔のない男、石室の謎などすべてが解き明かされる訳ではないが、そこのところはいかにも村上作品らしい。ただ、主な登場人物だったり「騎士団長殺し」の絵のその後や、別れた妻との関係の着地点など、収まるところに収まったのは、ある意味ハッピーエンドなのかもしれない。
7投稿日: 2024.12.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
雨田具彦の介護施設からの流れで、騎士団長殺しの絵の登場人物がオールスターキャストで出てくる。イデア、メタファー、時間、空間。 騎士団長は自分のことをイデアだと言い、顔ながは自分のことをメタファーだと言う。 顔ながはさらに、生身の人間がメタファー通路に入るのは危険だ。順路を間違えると、とんでもないところに行き着くことになる。奥の暗闇に潜み、とびっきりやくざで危険な生き物である、二重メタファーがあちこちに潜んでいる。と言う。 有と無の間には川が流れていて、顔のない男の船に乗らないと渡れない。 イデアを理解するというのは顔のない男の肖像画を描くようなものだと理解すればいいのか?それがイデアを理解すると言うことのメタファーなのか? 雨田具彦も何らかの物質化したイメージを見ていたと思う。亡くなる間際でずっと自分一人で抱えて来たものが何らかの形で晴らされてスッキリできたよう。よかった。 主人公が騎士団長を殺し、メタファー通路に入ったことと秋川まりえの救出とが今ひとつ結びつかない。騎士団長は秋川まりえを救出するためには自分を刺さなければならないというような意味のことを言っていたと思うのだが。開いた環を閉じることと秋川まりえを救出することとの関係は? 主人公がイデアやメタファーを経験し、二重のメタファーに飲み込まれる前に抜け出すためには、穴が塞がれていて中が暗闇になっていなければならなかったのか?そのために秋川まりえが免色の家に忍び込むんだとき、騎士団長が見つからないようにした(時間を稼いだ)のか?その間に免色さんは秋川まりえが穴に落ちた可能性を考え、穴を塞ぐと予想してのことだったのか? 鈴と出刃包丁が空間を移動したのは誰の手によるものか?ペンギンのお守りもそうかもしれない。 クローゼットの前にいた人は免色さんかもしれないけど違うかもしれない、というようなことだったが、結局何だったのか? スバルフォレスターの男は結局何だったのか?主人公の何か汚い部分のようなものなのだろうけど、イマイチ腹落ちできる表現ができない。 ユズは妊娠をキッカケに、自分の人生は自分で決めて来たつもりだったけど、何かに決められているような気がすると言う。「神の見えざる手」的な考えか? 免色さんは自分の子供である(自分の遺伝子が入っている)可能性がある秋川まりえと暮らしたい(暮らすためにどうするか)と考え、主人公は常識的に自分の子供ではない(遺伝子が入っていない)子供と暮らすことを選ぶ。血のつながりとか遺伝子を残すことって何なのか? 怪しい宗教にのめり込んでいるらしい、まりえのお父さんを話に絡めてもらいたかった。 第一部を読み終わってから、第二部を読むまでに時間を置いてしまったせいか、そもそも理解力不足か、第一部で張られた伏線がたくさんあったと思うのだが、第二部を読み終わった今、まったく回収できないモヤモヤ感が強い。村上春樹の作品では大体いつもそうなのだが、いつも以上にその感覚が強い。
2投稿日: 2024.11.24
powered by ブクログこれまで読んできた春樹作品とは違う……少なくとも私はそう思ったかな。村上春樹の小説ってプロットがなくてひたすら文体に引っ張られていく迷走感があり、私はそれが好きではあったけど『騎士団長殺し』にはすごく骨組みを感じた。タイトル、登場人物、舞台、テーマ、すべてを含めたパッケージとしての完成度をくらった。要するに超刺さっちゃいました。世界観の構造としては『ねじまき鳥クロニクル』(大好き)に似ているので対比しながら読んだんだけど、ねじまきは悪を描く作品だったけど本作は一段上をいくというか悪(白いスバル・フォレスターの男)を振り切るための『信』の話で、そう、『信』というしかない。悪に打ち勝つために必要なものは正義ではない、自分を信じること、自分を信じるために自分が信じられるものを思いだすこと、それでも斃れそうなときにはそれでもどうにかなると、とにかく信じるんだと背中を押してくるのが騎士団長(イデア)である。「騎士団長はいるよ。きみはそれを信じたほうがいい」最後の一文をいかに納得させるために書かれた物語だと私は感じて、もーこの一文もタイトルも、同名の絵画がキーになっているという設定も大好き。一人称を『私』にしていることも影響してるのかとにかくファンタジーから言語化の難しい説得力を引っ張ってくるパワーみたいなのがひしひしきた。悪いことをするとバチが当たるよ、という脅しの寓話ではなく、どんな悪い現実にも抜け道はあるよ、という希望の、しかも子供騙しではない、とてもずっしり手応えのある物語だったんだ。私、騎士団長に会えてよかったもん。感動したよ。 村上春樹の小説はかなり読んできたけどそういえば涙ぐんだのは初めてだな。まりえちゃんに関連して最終巻で2回泣いた。子どもにとっての戦いと大人にとっての戦いの対比の描かれ方も面白かったなー……とか語り続けてるとキリがないのでこの辺で。 追記。オーディブル使ったことないですが他の方々の感想から高橋一生が読み上げていると知り興味津々。高橋一生の「あらない」、絶対よきでしょうと思う。
1投稿日: 2024.11.02
powered by ブクログ日々の中で1年近く駆けて読み終わった みなさんもご存知のように村上春樹ワールド全開だった 登場人物それぞれの個性豊かな描き方が素晴らしいし不思議な井戸もあり、オカルトチックな場面もありとこの先どのような展開になるのか、ハラハラ感もあった 私事なんですが、一気に読書するのも良いし、時間をかけて読むのもロス感を感じてまた良いもんだった
0投稿日: 2024.10.23
powered by ブクログメタファー、イデア、初めて聞いた言葉やその考察などは人に頼り調べていきながら奥深く難しい4作を読み終えた。 悲しいことがあると「ここ」じゃない裏側の自分は楽しんでいるのだという妄想に救われた小学生の私をまりえと重ねて、なんだか懐かしく可愛く読みました。ものは何時だって考えようかな。
0投稿日: 2024.10.19
powered by ブクログアートと音楽の本、と言っても過言ではないくらい芸術をコアとしたストーリー展開で、とっっってもたのしめました。じわじわと出てくる伏線と、それを綺麗に回収するラスト。臨場感のある最後の地下世界のシーンは空想の世界なのになぜか情景が手に取るようにわかる不思議。あとは主人公と免色さんの会話の丁寧さと、あとは素直に真っ直ぐ隠し事をせずにぶつけ合うコミュニケーションが個人的にすごく好きでした。
0投稿日: 2024.10.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
面白かった。途中までは妻に振られた男のリアルな話だったのに、急に騎士団長が現れ少しづつ不思議な世界になっていく。リアルな世界はとことんリアルだからこそ、非現実的なイデアやメタファーといったものが不思議と浮かび上がり、またリアルに存在するかのように感じられた。 メタファーの世界はとてもワクワクした。 最終的にはユズとヨリを戻したようだが、大丈夫か?ユズは「あなたは変わった?」と聞いていたが、結局何が嫌で別れを切り出したのか曖昧だったし、主人公も別に変わろうともしていないようだった。同じことの繰り返しにならないかと不安になった笑 最後に東日本大震災の描写があった。付け加えたのだろうか。白いスバルフォレスターの男は二重メタファーみたいな、心の闇の部分だと推測した。その時にドンなアンナが言った「目に見えて触れるものを想像しろ」というような言葉は好きだった。私も何かネガティブになりそうに、二重メタファーに心を支配されそうになったら、目に見えて触れる何かを想像しようと思う。
0投稿日: 2024.09.06
powered by ブクログ台風が低気圧になって、雨が降ったりやんだりしている。 雨粒が屋根を弾く音や、水溜りを車のタイヤが滑っていく音を聞きながら本を読む。 自分にとってはこれまでの、また今の何かにつながるとてもしっくりくる本だったけれど、他の人にはどうなのかな。
0投稿日: 2024.09.01
powered by ブクログイデアが本質ならメタファーは表象である 一見して別物だが実のところ一体である 我々はメタファーによってしか 具体的なイデアを語ることができない そのことを「浮遊するシニフィアン」と呼んだ人もいる 定義を寄せ付けないその概念に囚われた人々が 統合の失調に陥ることもしばしばある これがいわゆるひとつの 愛の迷宮ってやつなんだよ(メタファー) メタファーにいざなわれる本質世界は 無機質で不毛な場所だった そこを通り抜けた人は、気づかぬうちに ある種の諦念を身につけるだろう つまり世界の本質は無機質で不毛なものなんだ それを多彩に錯覚するのは 頼りないメタファーで色付けたバイアスの働きにほかならない イデアの騎士団長にしても その姿は主人公が勝手につけたメタファーにすぎなかった そんな「悪しき父親」のメタファーを殺すことで 主人公は本質世界に入ってゆく 父の支配を脱したとき、人は自由の本質に直面するわけだ そこまではいいんだけど 読後には不可解さも残る 危険な「二重メタファー」についてのことだ 字義どおりに考えればダブルミーニング あるいはダブルスタンダードのことと思われるが そうであれば主人公は 父親の不明な?子供たちを受け入れることで それ自体は美談かもしれないけど 知らず知らず 二重メタファーをも受け入れてしまっているようだった それは言ってみれば父であり子でもあるおっさんの有り様だ 主人公の場合、本人のバイアスを通してみれば 二重メタファーの触手を逃れたからこそ 自身の表現をひとまず放棄し 「良き父親」を目指しているということになるのかもしれない しかし結果的に振り回されて文句のひとつも言えない父親を 本当に良きものと言えるのだろうか おそらくは例の「南京大虐殺」を言ってきた人もまた 二重メタファーにとりつかれているのだと思う 父であり子でもあるおっさんたちは 頼りないバイアスで頼りない自分をごまかすしかないんだよね
0投稿日: 2024.08.23
powered by ブクログ村上春樹といえば、1970年から80年代の人々の生活価値観をとても色濃く反映されている作風が特徴的だが、本作は平成31年に刊行され、いわゆる最近の村上春樹が書いた作品。彼が20年近く昔に書いた作品から多く読んでいたため、現代に生きる彼が70年代から80年代という作風をどう表現するのか、ここは一つ自分の注目だった。読了後の感想としては、レコード、ジャズ、古典、文学、クラシックなどを彼特有の話題は作中にやはりたくさん出ていたが、ネットという言葉が出てきたり、主人公が飲酒運転を当然のように自粛するなど、同じ作者でも執筆した時代が違えば少なからず作品の雰囲気は変化するのだと知り面白かった。令和の春樹がどんな作品を残すのか、今から楽しみである。
0投稿日: 2024.08.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
秋川まりえが行方不明になって、主人公は試練を受けた。 病院から家の穴についた。 免色に助けられ、秋川まりえも助かった。 その後ゆずとも復縁し、広尾のマンションに戻って子供を育てた。 なんかジブリみを感じたなあ。結局妻にフラれて別居していた8ヶ月間、というだけの話ではあるけど騎士団長殺しの絵を媒介にいろんなことが起こる、と言う感じだった。 たまに示唆的なことを言うのが好き。 面白かった。と思う。
0投稿日: 2024.07.27
powered by ブクログ全体としてぼちぼちでしたね。 とにかく、なかなか引き込まれませんでした。 盛り上がりそうになりながら、なかなか突き抜ける事が出来ず、最後の読後感だけはよかったですが、 なんだか不思議なまま終わってしまった話でした。 村上さんでなかったら、星3つだったかも。
0投稿日: 2024.07.19
powered by ブクログ「私が生きているのはもちろん私の人生であるわけだけど、でもそこで起こることのほとんどすべては、私とは関係のない場所で勝手に決められて、勝手に進められているのかもしれないって。つまり、私はこうして自由意志みたいなものを持って生きているようだけれど、結局のところ私自身は大事なことは何ひとつ選んでいないのかもしれない」
0投稿日: 2024.06.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
あらない。 この話し方を英語を含めた多言語でどのように訳すのか気になった。 鈴の音から始まる肖像画家の自分を探す物語なのか?10代の少女が出てくる、なんだか達観した女性が出てくるいつもの感じ。 気に入ったフレーズはない。最後の方でイデアの世界に行く場面が雑な気がして。
0投稿日: 2024.06.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
肖像画家の「私」のもとに、イデアが形を変えた騎士団長が現れた。どうしたらいいか聞いたところ、午前中の電話に断るなと言われた。 雨田から電話が来た。認知症の父に会いに行くと言う。そろそろ危ないと言うから。「私」はついて行った。 ファミリーレストランに入ったら、スバルのフォレスターがあった! 有名な日本画家、雨田具彦(ともひこ)の施設に着いた。施設で具彦に話しかけていたら、息子の雨田に電話かかってきて外に出て行った。 騎士団長がいた。騎士団長を殺さなければならないと言う。それが第二段階。第一段階はまだ騎士団長殺しの絵を見つけたということである。 雨田具彦の彼女が拷問で死んだ。彼自身も拷問を受けた。そのため、何もいえなかった。心の傷を受けた。 「私」は逡巡の末、まりえを取り戻すために騎士団長を殺した。 顔なががでた!穴から引きずりだした。 メタファーだった!見たものを書く。「こみちさんといったかな?」背筋が凍った。それは「私」の亡くなった妹の名前。なんでーー!怖い! 顔長がでてきた穴に入った「私」。懐中電灯を持ってあるく。川の水を飲んだ。 男がいた。顔がなかった!背が高い。帽子をかぶり、コートをきていた。ペンギンのキーホルダーのかわりに橋渡ししてもある。 カンテラと絵の女性がいた!狭い横穴に入ることになった。「自分を信じるのです」無と有。なんなのー。目を逸らさない 穴を頑張って外に出た。 すべては相対的なものなのだ。 まりえも帰ってきた。2人で騎士団長殺しとスバルフォレスターの男の絵をしまった。 まりえは免色さんの家に三日間いたという。勝手になかに入った。 「私」の以前の妻はまだ離婚届を出していなかった。なぜー。誰の子供かわからないという。今のパートナーとは別れていた。相手は納得していなかったけれど。そりゃそうだろうよ。 「私」は以前の妻の元に戻った。誰の子供かわからないけれど、生まれた女の子がムロと名付けられ、育てることになる。保育園へ送っていく。 東日本大震災の様子が描かれた。津波がやってきた。なぜここでその場面が出てくるんだろう。スバルフォレスターの男をテレビで見かけたと言うことも書かれていた。 以前住んでいた家が焼き落ちてしまった。騎士団長殺しも焼かれたと言うことになる。 何が伝えたいことなのか。すごく難しい小説だった。最初に書かれていた顔のない男とペンギンのキーホルダーの約束はこのあと起きることなのか。描かれていなくてわからなかった。
0投稿日: 2024.04.10
powered by ブクログ他の村上春樹作品と比べてどうなのか。読みやすくはあるが、ストーリーのパンチ力が少し落ちてきている?と思った。
0投稿日: 2024.03.24
powered by ブクログ賛否両論あるぽいけど面白かった 世界がいかに比喩で溢れているか 結局顔のない男は誰なのか?自分自身の投影なのか 自分が1番自分を分かっていない
1投稿日: 2024.03.16
powered by ブクログ地底で別世界での冒険 それこそ 不思議の国のアリスのメタファー? 白髪の免色さんは、白うさぎのメタファー? 免と兎って字が似てるよね。 第一部のプロローグは プロローグであり、エピソードなのかな。
0投稿日: 2024.03.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
終わり方がとても好き。 ラストはみんながあるべきところに収まったという感じですかね。 あんなにいろんな事が巻き起こったのに、全部きれいにまとまって読後感がとても良いです。 顔長が出てきた穴に入った辺りから私の中ではジブリのような世界感で脳内再生され、一気に不思議の国に誘われた感じがしました。 登場人物クセがすごくてどうなのよ?と思うことも多かったけど、終わってみればみんな好き。 その後みんながどんな風に暮らしているのかまだまだ見ていたい気持ちにさせられました。 面白かったです。
31投稿日: 2024.03.06
powered by ブクログはじめて村上春樹の長編を読んだが終わり方がなかなか難しく、解釈が正しいか分からない。世の中にはイデアやメタファーのように形はないけれど確実に存在しているものが沢山あってそういったことを文学に落とし込んでいるのかなと思った。また、まりえや室の血縁をはっきりさせないことと、事実であっても親が子に津波の映像を見せないことは似た心理がある気がして興味深かった。知らない方がいい事、濁していた方がいい事ってあるよね。信じたい方を信じていた方が救われたりもする。
0投稿日: 2024.02.09
powered by ブクログ今までの村上春樹作品のいろんなものが詰まったような話だった。あちらとこちら側。何かを喪失したあと、それは今までの自分じゃない。受胎の場面。人間の持つ裏の側面。色んなことが起こるけれど、それでも人生は進んでいく。 それが洞窟であったり、騎士団長を殺し、洞窟の水を飲んだところだったり、夢の中でユズを妊娠させたかもしれなかったり、白いスバルフォレスターの男だったり、最後のユズの子供を生むにあたっての言葉だったり。 話の殆どが小田原の山から出ずにここまで話を書けるのも凄い。 これで村上春樹の長編は全部読んだけど、また読み返したい作品がたくさんあるし、まだまだ新作も書いてほしいなあと思った。
15投稿日: 2024.01.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
村上作品としては珍しく纏まったのではないか。元鞘に収まった、と——(夫婦愛の再生,そして新たな命の誕生)。私としては絶対"まりえ"と性交すると思ったんだけど…。最後はとってつけたように、東日本大震災を入れた意味とは? ワクワク度的には第1部の方が上で、後半にかけて若干失速したかなという印象。でもまあ私は好きですね。
2投稿日: 2023.12.24
powered by ブクログ海辺のカフカ以来の長編。 独特の比喩と非現実的表現は相変わらず難しい。 でも、なんとなく面白かった。
1投稿日: 2023.11.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
最後の最後でついに内なる無意識の世界と現実世界が交錯して、世界観により一層引き込まれた。 フロイトによれば、人間は元来、内なる無意識の領域に性的本能や破壊本能といった原始的な衝動を秘めているが、その衝動は普段は自我や超自我の理性によって抑制されているという。 人間として理想的な姿になろうとすることで、即物的で衝動的な感情を押さえ込んでいるのである。 しかし、「無意識の中に潜む原始的な本能・衝動が自我や超自我の理性による抑制を超えたとき、世界は、人間はどうなるのか?」個人的には物語の主題の1つはここにあると思った。 「私」が本能的に雨田具彦の隠された絵を開いたこと、衝動的に免色と穴を掘り返したことを皮切りに、パンドラの箱を開けたかのように起こり始めたイデア界を巻き込む不可解な出来事たち。 妻に捨てられた嫉妬、人妻との刹那的な快楽、見知らぬ女の首を絞めたときの終末感、捕虜の斬首訓練、ウィーンで惨殺された恋人、忘れ得ぬ恨み。様々な人物の性的本能、破壊本能が入り混じる。 その中で、自己に潜む無意識は「白いスバル・フォレスターの男」や「クローゼットの前までやってきた謎の男」となって「私」や免色の前に現れ、徐々にその存在感を大きなものにしていく。 ここまで見ていくと、無意識=負の感情=イデア界、理性=現実世界だと錯覚しがちだが、実際は定義的に全く逆である。 プラトンによれば、イデアとは「あらゆる物事における完全で理想的な姿」であり、イデア界は理性を使う人が見る世界なのに対し、現実世界は感覚だけを使う人が見る世界、言うなれば不完全な像にすぎないものだという。(だから、イデア界、メタファーの世界では音も匂いも味も存在しなかったのかと納得した。) きっとイデア界は、私たちが理性を意識せずとも使っているように、無意識の中に存在するのだろう。その静かな分水嶺が衝動的な行動によって破られたことで、2つの世界が入り混じった。 そしてその世界の交わりを分ち直すのもまた、衝動的な行為、言い換えれば人間的な感情だった。雨田具彦の宿敵に見立てたイデアを殺し、触れれば温かい妹との思い出を辿って 「私」はイデア界との繋がりに蓋をすることになる。 結局人は皆、美しい肖像画のような理想的な姿を追い求めようとも、本能や衝動には抗えない。でも、そういった未完成の肖像画のような感情もある種、人間を人間たらしめている素敵な要素のうちの一つである。拙いですがそう感じとりました。
1投稿日: 2023.10.24
powered by ブクログ村上春樹の筆力による傑作を、高橋一生が朗読することによって別次元の作品に昇華している。彼は全ての出演者を見事に演じ分ける。言葉と言葉の間の無言の時間の作り方も絶妙。これだけ面白い作品を活字で読んでいると目がどんどん先を追ってしまうけれど、Audibleだとそれは叶わず。あえて1倍速のオリジナルスピードで聴き続けた。 ——— 最後は波乗り往復のクルマの中で聞き終わらず、散歩してCocoa Catでジェラートたべて、それでも終わらず帰宅して読了。
2投稿日: 2023.09.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
チーズ・トーストとブラック・コーヒー p114 月も星もない真夜中のような黒々としたブラック・コーヒーだ。 全編通して… 変わった人間も、人間じゃない者も出てきて不思議感多めなのに その人物達の会話に「は?何言ってんの?」みたいにかみ合わないとこなんかがなくて、「あぁ、そうなんだね。君がそういうならそうなのだろう」と受けいれる気概があふれている。 それが最後まで一貫している。これってすごくない。 執念とか執着みたいなものが、時空を超える。 信じない人もいると思うけど、ファンタジーの中だけとも私は思わないんだなぁ♪ p189 それを聞いたら、半年間雨ざらしになっている私のカローラ・ワゴンはきっと肩を落とすことだろう。下手をすれば気を失ってしまうかもしれない。 (擬人化。肩を落とすカローラワゴン、かわいい…。) p192 完璧なオムレツだ。 それはいったいどんなものだろう?立派な翼をそなえて、東京から大阪まで二時間あれば空を飛んでいけるオムレツかもしれない。 p372(最後のページ) 彼らのことを思うとき、私は貯水池の広い水面に降りしきる雨を眺めているときのような、どこまでもひっそりとした気持ちになることができる。私の心の中で、その雨が降り止むことはない。
2投稿日: 2023.09.08
powered by ブクログこの本は、オーディブルで高橋一生さんの 朗読で聞いた。 登場人物によって声色を変えて、淡々と語られる。衣擦れの音が入らないように身動きもせずに何十時間も録音されたらしい。 読書というよりはお芝居を聴いていたような感じだが、、騎士団長のキャラクターが ユニークで可愛げがある。 村上春樹作品は、不思議なファンタジー要素が多いが、何十時間も高橋一生さんの声でその世界観に居たら現実と仮想の区別が曖昧になっていく。読了まで何も手につかなくなってしまった。 倫理観みたいなものも曖昧になり、なんとなく色んな事を赦せてしまえるようになっていく。 長編だし、同じストーリーを繰り返し繰り返し説明されるような文体もあり、、挫折してしまうような気がしたのでオーディブルにして良かったと思う。 読了後の余韻は村上春樹作品独特のものである。 私的には、これはハッピーエンドの物語だと思った。
3投稿日: 2023.08.16
powered by ブクログ形あるものには時とは偉大なもの 時はいつまでもあるものとは限らないが、ある限りにおいては中々に効果を発揮する
3投稿日: 2023.07.17
powered by ブクログ免色さんが作った至高のオムレツを食べ、免色さんがいれた紅茶を飲みながら、免色さんが切ってくれた林檎を食べたい。 柚の言動が目にあまる。
2投稿日: 2023.07.15
powered by ブクログ(以下、全4巻通じてのレビュー) 過去作との共通点というか、焼き直しのような点が少なくない。 雑木林の石室は『ねじまき鳥クロニクル』の井戸を彷彿とさせるし、地下の世界へ迷い込む件りや、第二次大戦での暴力、夢の中での性行といった要素もいくつかの作品で出てきている。 秋川まりえのキャラクタは、『ねじまき鳥…』の笠原メイと『1Q84』のふかえりのブレンドのようにも思えるし、「免色」は『色彩を持たない多崎つくる…』をどうしたって連想してしまう。そもそも、彼のような、どうやって暮らしているのかわからないとんでもないお金持ちってキャラも、村上作品には必ずといっていいほど登場する。 この小説で、新規性があってユニークなのは、主人公が絵描きを生業としていて、絵を描くプロセスや絵描きの頭の中を、小説の表現として見事に結実させているところ。これには感心させられた。 特に前半部分のオカルトっぽさの発揮も村上春樹にしては珍しい。深夜に鈴の音が聞こえるあたりは背筋が冷たくなる肌触り。「白いスバル・フォレスターの男」のサスペンス性も印象深い。
2投稿日: 2023.06.11
powered by ブクログ村上春樹の作品で最後まで読めなかったのは本作品くらいです。 ペヤング焼そばノーマル味を引き立たせるための、ペヤング焼そばゲテモノ味みたいなのもだと思って我慢して読めば、他の村上春樹作品をありがたく読むことが出来るのではないかと思います。
0投稿日: 2023.05.04
powered by ブクログ騎士団長殺しの完結編。ある意味謎は謎のまま残されて完結する。それが村上春樹らしいといえばそうだし、ただ何となく円環を描いて元に戻った、ただそれは別の世界線であるというところがやや意外だったかもしれない。 完璧だけどそれがゆえの二重性や恐ろしさを抱える免色と、留学時代の闇を抱える画家の雨田、胸のことを気にする秋川まりえ、そして死んだ妹を追い続ける主人公。 過去や記憶を巡るのはいつも通りだと思いつつも、東日本大震災が最後に登場するところから、途中でプロットが変わって何かを起こすことをやめたような印象を受けた。 それにしても秋川まりえの胸の話はややくどいのではないか。ネタなんだろうけど。
2投稿日: 2023.04.19
powered by ブクログ温かな空気に包まれている間に脳内を心地よく浸し、軽微な振動でもって心の奥がほぐされる、この余韻は何だろう。
2投稿日: 2023.04.12
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
絵から出てきたイデアの騎士団長を殺したことにより、メタファーの世界への入り口が開かれる。それによってのみ姿を消した少女を見つけることができると言う。そこでの試練を乗り越えた先には。 メタファーの世界では、主人公の過去を辿ると言う感じ。つまりは、過去の自分を見つめ直すということを暗喩しているのだろうか。過去の自分を乗り越えた先に新しい自分があり、その象徴として姿を消した少女があるのだろうか。 時だたった少女にとっては淡い思い出にしかなっていないところからも、そんな感じに読めた。 そして、そんな試練を乗り越えたからこそ、妻との生活もやり直せることにやったんだろう。 また、妻の受胎も夢の世界を辿ってなったというところが、『1Q84』をオマージュしているのかなとも思った。他の作品のオマージュもあるかもしれないが、特に気づいたのはこれだった。 また、絵画が織りなす物語というが、絵画を描いているときには作者の思いがこもっているが、それをどう解釈するかは見る人次第であるので、ここから、このような物語が紡がれているのかな、っと感じた。 メタファーの世界で払った対価は、顔のない男の似顔絵を描くと言うことだったが、それは自分との約束なのかな。とも思った。また、それが、プロローグの謎なのかとも伏線が回収され、面白かった。
4投稿日: 2023.04.07
powered by ブクログ全4巻からなる「騎士団長殺し」全館読了しました。 村上春樹独特のファンタジーというかワールドというか、後半はどっぷり、それなんだけど、辻褄が合ってるようでもあり、合ってないようでもありますが、そこらへんはスルーしないと村上春樹は読めません。 イデアやメタファーなどの概念、哲学的な説明など私には無理です。(^^;) ただ、この人の世界観は読み終わってみると、独自なものがあり、それは楽しむことができます。 絵画や音楽やクルマの知識が無いと楽しめないかもしれませんが、知らない部分は後から調べれるのも楽しいものです。 今では、インターネットですぐに調べられますし、音楽もYOUTUBEでほとんど聞けますからね。
1投稿日: 2023.03.30
powered by ブクログ私の心の問題かもしれないが、これまで村上春樹の作品でハラハラとした気持ちになることはなかった。 来るもの拒まずのような姿勢で文章を読み続ける、そんなイメージだった。 しかし本作に関してはどこかが違っていた。 特に騎士団長を殺める場面では、イデアとはされているが身体は生身の人間と変わりがなく、刺した感触も同様に生身の人間であり、少なくとも主人公は罪悪感のようなものを抱いてしまう。 特にそこから読み入るように作中にのめり込んでしまった。 締め方も綺麗だったため、とても後味が良かった。
2投稿日: 2023.03.09
powered by ブクログ長篇の物語の終わりを最後まで読めてよかった。 哲学的な考え方を多くの人が持ち、言葉に出来る世界ってすごいのか、怖いのか。判断のつかないところではありましたが、スッキリとしました。
3投稿日: 2023.01.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
メタファーもイデアも、メタファーとイデアとして存在していた。 そのことが従来の村上作品とは、一線を画す一作。 あるのかないのかわからない、無限に舞う紙吹雪の中から特定の一枚の紙を探すような頭の働かせ方ではなくて、たしかにこの中に探しているものがあるのだと思いながら読み進めることができるのはやはり安心感がある。 あるけれども見えなかったのなら、それは私の責任だし、見えなかったことを見えなかったままにすることが私は苦痛ではないので特に問題にはならない。 時々クスッと笑えるユーモアも散りばめられていて、エンターテイメント要素もしっかりある。 一気に読みました。
2投稿日: 2022.10.05
powered by ブクログ4冊読み終えて、やはり、平凡な主婦がディスられた気持ちになる表現がたびたび。(とはいえ「メタファーの国で渡し舟に乗ったりするような」スリリングなことは、非凡なビジネスパーソンにもなかなか訪れないと思われる。)村上作品、こんな感じだったかな…。本は読む人、読むタイミングによってそれぞれに感じることが違うというけど、久しぶりに読む村上春樹でそれを体感している。ただ、もしかしたら作家の目線も刻々と変わっているのかもしれない。 それでも、読んでいない時間にも続きを読みたいと思ってしまう中毒性と、電車で乗り過ごしそうになる没入感が得られるところは変わらない。絶対的な、猫への愛も。
1投稿日: 2022.09.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
全体的にやや説明的過ぎるかもしれない。(個人的解釈ながら)深遠なテーマに対して表現手段としては好き嫌いが分かれよう。3巻までは着地点が想像つかぬままワクワクしながら読んだが、まりえが失踪した時間軸における主人公の過ごした超越世界(イデア)に対して、まりえが過ごしたのは免色の家(現実世界そして騎士団長という名の少しのイデア)という設定には、作者の明確な意図を感じる。つまりは現実は想像と錯覚の賜物であると。イデアがメタファーとなって現実世界を規定し、現実世界の二重メタファーがイデアを通じて再度現実世界を規定する。現象は現象として存在するのみで、それを世界として認知するのは単に人間のイデアの仕業であると。 要素として、アンシュルスの話を盛り込んだり、量子論的な観点でイデアとメタファーの対を説明してみたり、これまでの作品では見られなかったまりえの帰宅やユズとの復縁があったり、色々興味深い事柄は多いものの、個人的な好みとしてはほか作品と比べるとやや劣る印象であった(もちろん小説としては非常に面白い)。
1投稿日: 2022.06.30
powered by ブクログイデアやメタファーについて聞いたことがある程度で読んでたので、もっと知見があれば面白く読めたのかな?
0投稿日: 2022.04.10
powered by ブクログ久しぶりに村上春樹を読んだ。 読むのがしんどいと言うイメージだったけど、これはわりとすらすらと読めた。 とても興味深い話でありながら、よく分からない話でもある。 私の文学性がたらないからだろうか? ても、とにかく読んでよかったと思う。
1投稿日: 2022.02.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
暗い穴を長い時間をかけてくぐり抜ける。読者も主人公と同じような気持ちになってくる。 そして最後は人生論のようになる。
1投稿日: 2022.01.19
powered by ブクログあらすじ 妻との離婚話から自宅を離れ、友人の父親である日本画家のアトリエに借り暮らしすることになった肖像画家の「私」は、アトリエの屋根裏で『騎士団長殺し』というタイトルの日本画を発見する。 アトリエ裏の雑木林に小さな祠と石積みの塚があり、塚を掘ると地中から石組みの石室が現れ、中には仏具と思われる鈴が納められていた。 日本画と石室・鈴を解放したことでイデアが顕れ、さまざまな事象が連鎖する不思議な出来事へと巻き込まれてゆく。 感想 村上春樹らしい小説。娘の母とどうなったかな。
1投稿日: 2022.01.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
村上春樹の長編にしては終わり方が“分かりやすく”、“綺麗に”終わっているように感じた。ここまで詳細にその後を描いた作品はあまり思い当たらない。 しかし、エピローグへと再び戻るようなっているのは秀逸だと感じた。
1投稿日: 2022.01.09
powered by ブクログ2~3冊目は話がどこに向かって進んでいるのかがわからなかったせいか、中だるみ感があったが、4冊目で話が急に展開して、楽しくなった。
2投稿日: 2021.12.24
powered by ブクログタイトルから、何か物騒なイメージだったが暖かい部分もある素敵な物語だった。 登場人物それぞれが魅力的で良い作品だった。
1投稿日: 2021.12.04
powered by ブクログ何が伏線で何が脇道なのか。イデアとメタファー、都合の良い愛人。何かありそうでよくわからない登場人物。村上春樹らしさが誇張されたような作品。
1投稿日: 2021.11.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
まったく正しいこととか、まったく正しくないことなんて、果たしてこの世界に存在するものだろうか?我々の生きているこの世界では、雨は三十パーセント降ったり、七十パーセント降ったりする。たぶん真実だって同じようなものだろう。三十パーセント真実であったり、七十パーセント真実であったりする。その点カラスは楽でいい。カラスたちにとっては雨は降っているか降っていないか、そのどちらかだ。パーセンテージなんてものが彼らの頭をよぎることはない。 「この世界には確かなことなんて何ひとつないかもしれない」ー「でも少なくとも何かを信じることはできる」
1投稿日: 2021.11.23
powered by ブクログ・隙のない暗闇の中で自分の考えを掌握するのは簡単なことではない。考えは謎の樹木となり、その枝を暗闇の中に自由に伸ばしていく。 ・お前が行動すれば、それに合わせて関連性が生まれていく。 ・この世界には確かなことなんて何一つないのかもしれない。でも少なくとも何かを信じることはできる。
1投稿日: 2021.11.04
powered by ブクログ普通に解釈すれば,穴というメタファが生まれ変わりの象徴になるだろうが,結局誰にでもそのような穴が訪れるという人間賛歌となっているのだろうか?これまでの村上作品とは毛色が違うように感じる.
0投稿日: 2021.10.15
powered by ブクログ文章の引力は最後まで落ちないのに、伏線回収し損なっているのは意図的なものではないと思う。尻窄みという言葉はこの本のためにあると言っても過言ではないかもしれない…
0投稿日: 2021.08.09
powered by ブクログIt's a little strong the element of mistery as a novel of HARUKI MURAKAMI.
0投稿日: 2021.06.20
powered by ブクログ本巻だけの感想を述べると、え?終わり?ってのが率直な感想。湊さんのようなミステリーばっかり読んでるからかな。もっと色んな事が明らかになると予想してたんですが、そこは自分で想像しろってことなんでしょうか。 あと伏線か何かかと信じていたが結局何でもなかった、という描写が多いです。 と、不満ばかり述べてますが、読み終えた後は意外とモヤモヤ感はなかったですかね。 計4冊、長かった…。 物語の進行に関係のない描写を省いたら2冊ぐらいには収まったのではないだろうか。 この本(というか村上春樹は?)はクラシックや絵画などの芸術を理解し、お酒は高いウイスキーしか飲まず、説明もなしにイデアとかメタファーとか言われてもピンと来るレベルの上級者向けです。 読み終えた後、村上春樹(名前くらいしか知らなかった)について調べてみましたが、なんとなく上記感想に至った理由を理解しました。 要は純文学にエンタメ小説を期待してた自分が間違いだったということです。 まだ自分には早かったです。
4投稿日: 2021.06.09
powered by ブクログ信じる事の恩寵のかたちとしてか…。プロローグへの繋がりやその後が気になる。後半になってから、じわじわと面白くなった感じだった。 「私は、時間を味方に付けなくてはならない。」この表現が一番印象的で好きな部分。読んでいて、不思議な感覚でとても落ち着く作品ではあった。信じる力か…。
2投稿日: 2021.05.09
powered by ブクログなんというか、いつも通りの村上春樹、って印象で「マンネリ」って言葉も飛び交いそうに思えるけれど。 秋川まりえに関しては、「ダンス・ダンス・ダンス」に登場するユキや、「ねじまき鳥クロニクル」に登場する笠原メイ程には魅力を感じられなかったのだけれど、それでもいつもの村上春樹的少女だったので、惹かれることは惹かれる。 僕は熱狂的な(あるいは盲信的な)ハルキストではないけれど、やはり好きな作家の一人なので、なんだかんだ言っても面白く読み通すことはできた。 ラストは後日談みたいな展開で、これはちょっと意外だった。 村上作品でこういう終わらせ方ってあまりなかったような記憶が(「国境の南、太陽の西」が似たような感じだったかなぁ……記憶が曖昧)。
3投稿日: 2021.05.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
どうしても春樹氏の他の作品と比べてしまう。勝手に期待して、勝手に裏切られたという身勝手な評価となってしまうことは申し訳なくも思う。一方で、無名の作家のデビュー作として本作品があったとしたら、より酷評になったと思う。 免色の家にカジキがついた白いスバルフォレスターがあったなら良かったのに、と思った。
1投稿日: 2021.05.05
powered by ブクログ全部丸く収まって良かった まりえの胸の話題をいちいち出すところだけ終始薄気味悪かった あんなことは言うわけがないし文中での意味もない 成長の象徴としても気味が悪い
2投稿日: 2021.04.26
powered by ブクログ村上春樹の長編小説、文庫版最終巻です。 少女の肖像画を描いていた、主人公の画家。 その彼女の行方が、わからなくなった場面から、下巻ははじまります。 彼女の行方を探す、関係者たち。 その動きの中で、主人公はある導きを得ます。 その導きにそって行動すると・・・という展開。 その展開の不思議さと意外さが、この下巻の読みどころかと思います。 そして自分自身は読みながら、以下のようなことを考えさせてもらいました。 ・現実とは何か?特に記憶として残されている出来事は、現実と言えるのか? ・自分を律しようとする心と、それを破壊しようという心、それぞれとどう向き合い、折り合いをつけていくか 久しぶりに読んだ村上春樹作品でしたが、これまで読んだ作品と共通する部分と、変わったなと思う部分の両方があったように思えます。 次はどのような作品を発表するのか、それはいつになるのか? 次回の作品を楽しみに待ちたいと思います。
0投稿日: 2021.04.22
powered by ブクログ終わりまで読むとすっきりした。 なんだか摩訶不思議な世界に連れていってもらったかんじ。 村上春樹の小説の主人公はいつも落ち着いてて思慮深くて安心させてくれる。 今回もながーい夢の旅から帰ってきた感じがした。
4投稿日: 2021.02.16
powered by ブクログ初めて読んだ村上春樹の作品 学生時代に1Q84が流行ったときもなんとなく興味を惹かれずに今まで読んでこなかったものの、本を読まない旦那に勧められて読了 初めは間延びするミステリーかと思い、途中からファンタジーかと思い、最終的には文学だなと感じた 個人的にはもう少しすっきりと終わるものが好みだけど、あえて余韻を残している気もするし、余白を残している気もするし、もちろん両方なんだろうけど これから嫌厭することはなくなるだろうけど、これからも自ら手に取ることはないかなぁ たまには誰かのおすすめの本を読むこともいいかとは思えた
3投稿日: 2021.02.13
powered by ブクログ「騎士団長殺し」という絵画を屋根裏部屋で見つけたことをきっかけに「私」の平穏な日々は大きく変化する。 画家である雨田具彦が彼自身のために描いた、鎮魂のためのその絵は、ナチス支配下のウィーンや南京虐殺などの歴史的背景との関わりもある。語られることのなかった、雨田が込めた深い思いを「私」と共に思索する時間は楽しかった。 物語には個性的で魅力的な人物が登場するだけでなく「イデア」や「メタファー」という哲学の概念すら人物として現れ、その言葉の意味するところは謎かけのようで不思議でクセになる。 いくつかの普通ではない体験を通して「私」は、どこかに私を導いてくれるものがいると信じるようになる。 「彼らのことを思うとき、私は貯水池の広い水面に降りしきる雨を眺めているような、どこまでもひっそりとした気持ちになることがある。私の心の中で、その雨が降り止むことはない。」 この物語を読了し、この不思議な表現がとてもしっくりくると思った。
5投稿日: 2021.02.04
powered by ブクログそして物語りはクライマックスへ。ミステリーではないが、読み手を置き去りに、不思議を残したストーリーが明かされていく。物語りは、記憶であり、それは主観である。世の中は科学的で、判断は合理的であるべきだが、最終的にそれを決める人間は、感情的な生き物である。歴史認識は、史実を主観的に解釈した、個々の意識である。きみはそれを信じたほうがいい。例え、誰が何を言おうと、主観は自分自身のものだ。
2投稿日: 2020.12.13
powered by ブクログ「私が生きているのはもちろん私の人生であるわけだけど、でもそこで起こることのほとんど全ては、私とは関係のない場所で勝手に決められて、勝手に進められているのかもしれないって。つまり、私はこうして自由意志みたいなものを持って生きているようだけれど、結局のところ私自身は大事なことは何一つ選んでいないのかもしれない。」 ユズのこのセリフが騎士団長殺し全体を特に第二部を通底するテーマを端的に表している。 運命論者というとどこか無責任というか自分の行動に責任を持たない人みたいなイメージがあったけど、この作品を読むと人智を超えた何かを信じてみてもいいのではと思うようになった。もちろんそんなふうに作品を通して、読者の行動とか思想そのものを変えてやろうなんて村上春樹は考えていないとは思うし、むしろ不本意なことかもしれないが。 理由はわからない。言葉でうまく説明できないけどカツカレーが食べたくなったから食べようと思う。
4投稿日: 2020.11.20
powered by ブクログ自由意志なんてものはなく、自分の身に起こることは全てメタファーに過ぎない。 信じるものがないと不安定になるけど、逆を言えば信じられるものがあるから強くなれる。 意味付けをしているだけで、全ての事象は予定調和なのかもしれない。 騎士団長の振る舞いと話し方、めちゃくちゃかわいいと思う。
1投稿日: 2020.11.11
powered by ブクログ奇想天外な出来事を論理的に物事を捉える主人公とともに追っていくのは非常に面白かった。4巻を通して登場人物や舞台となる場所はあまり変化しないが、読み進めるにつれそれぞれの深さが増していく。自分が見ているもの、信じているものに対する認識は、自分次第なのかもしれないと4巻を通して感覚的に思うことができるようになった。
0投稿日: 2020.10.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
4冊一気読み。村上春樹の世界観どっぷりの作品。 「私」の再生の物語であることは、理解したが、白髪のダンディー・免色渉と美しい叔母・秋川笙子のその後も気になるところ。秋川まりえのみ知る秘密の通路(小径)はどこからどこにつながっているのかも気になる。
4投稿日: 2020.10.03
powered by ブクログ今回も面白くて、入り込むとすらすら読めた。 ジブリのような感覚もあった。 「子供の時にだけ〜あなたに訪れる〜不思議な出会い〜」の歌を思い出した。 あとパラサイト感もあった。 ジブリと、村上春樹と、ポンジュノお互いに影響を受けているのだろうか…いそうでもある。
1投稿日: 2020.09.23
powered by ブクログ大好きな村上春樹さんの中でも、好きな作品になりました。 騎士団長は愛すべきキャラクター。いつか私の前にも現れて欲しいです。
0投稿日: 2020.09.21
powered by ブクログやっぱり独特! 飽きちゃうかなと思ったけど、どん底主人公が図太くて、騎士団長が天然で面白かった。(何となくエルフ的見た目を想像していた) メタファーたるイデア。 意図はもたずただ存在するもの。 だかその存在に意味がある。 存在するということが、なんらかの影響を与えることだから。 逆にいうと、何も影響をあたえないものは存在しないことと同じ。 存在するかどうかは、人によって違う。 求めるものや受け取れるものが違う。 ノーランのインターステラーを思い出した。 全てが何かのサイン。誰かからのメッセージだったり。 それを具象化したのが騎士団長なのかな。 いや、また違う話だ。 受胎告知の天使だ。生き物から欲を取り払うと、こんなピュアになれる。(自分の命すら何かのために投げ出せる。) 顔のないスバルの男が絵を描かせるところから始まらなかったっけ? 絵ができあがらなければ解放されない、みたいな脅しがあったような。
1投稿日: 2020.09.21
powered by ブクログ微妙〜に間延びした印象は受けなくもない。若い頃の作品と比較して、ということであって、それが良いとも悪いともわからない。
1投稿日: 2020.08.31
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ようやく読み終えました。 絵画によって開いてしまった世界から助け出すために犠牲を払って、元の世界に戻れた。 主人公は元鞘に戻れたようで、産まれた子の「室」やまりえちゃんのその後を描いた作品とかあると面白い。
0投稿日: 2020.08.24
powered by ブクログスペインの「無敵艦隊(アルマダ)」雨田具彦ともひこ 顔中にたっぷり黒い鬚が生えていた 韜晦とうかい 宇宙人のアブダクション(仮説形成) その終わることのない微妙な振幅に中に自己の存在意義を見いだそうとしている 室むろ
0投稿日: 2020.08.19
powered by ブクログ・上の2巻目中ほどまでは作品の世界になかなか入れず、翻訳を意識したのであろう短いセンテンスの積み上げに少し戸惑ったが、物語が動き出してからは一気に読めた。 ・ストーリーとしては『ねじまき鳥クロニクル』と『1Q84』を足して2で割ったような、という印象だが、読みどころは画家である語り手「私」の絵画に向き合う姿勢と、そこから敷衍されて導き出される作中の絵画『騎士団長殺し』の解釈にあると思う。 ・作中の『騎士団長殺し』の作者・雨田具彦は、若いころは洋画界期待のホープとして、1930年代のウィーンに留学していた。しかし、1938年のオーストリアのドイツ併合の際、恋人とともに反ナチ抵抗運動にコミット、激しい拷問でその恋人を殺されてしまったという過去を持つ。その雨田が日本に戻って、日本画のスタイルで書いた想像上の歴史画『騎士団長殺し』の図柄の解釈が、「私」の周囲で出来事として翻訳されていく。加えて、その図柄に込められた昏い殺意には、やはり将来を嘱望されたピアニストだった弟・雨田継彦を死に追いやった日本軍隊への憎悪も上書きされていた。継彦は南京作戦の際、上官に命じられるまま中国人捕虜の首を斬ってしまったあと、精神に変調を来し、自ら命を絶ってしまったのだった。 ・率直に言って、「私」と「妻」との関係修復という大枠のプロットと、絵画作品『騎士団長殺し』をめぐる活劇的なシーンとがどうつながっていくのか、まだ掴みかねているところがある。しかしこの作品にも、「作品」を通した他者の記憶の追体験と受け継ぎ、という主題が通底していることは明らかだ。
0投稿日: 2020.08.10
powered by ブクログ何か大きなことが起こりそうでそこまで大きなことは起こらないのが現実っぽい。大きな波がきたけれど、それが引いて何もなかったことになってまたいつも通りになるみたいな
0投稿日: 2020.08.07
powered by ブクログプロローグは、「海辺のカフカ」を思い出させる。 最初、私が妻と別れて小田原郊外の山頂の家でひとりで暮らすようになったいきさつが語られているが、ほんとに話の膨らませ方が上手いと思った。 「騎士団長」が現れたあたりから、物語が急速に面白くなってきて、読み進めるごとに謎が増して、いつもの村上ワールドにはまり込んでしまった。 まるで長い長いクラシックのオーケストラの演奏を聴いているみたいな、壮大な気持ちになっていた。 これまでの村上作品に出たモチーフがたくさん使われていて、あの小説のあの部分に似ている、と想像しながら読むのがとても楽しかった。
18投稿日: 2020.07.26
powered by ブクログ中盤はすごく惹きつけられるものがあり、先を急いで読んだだけに最終4巻目が残念 説明臭く、何にもない最後 村上春樹ってこうだっけ?
0投稿日: 2020.07.09
powered by ブクログえ? 終わり? 第3部ないよね? 摩訶不思議な冒険をして、人間力高めて(高まったのか?)新たな生き方はじめました的な… 室ちゃん、まりえちゃんで続編希望。 ってか、顔なしの川渡しさんの肖像画は? これからの課題? これで良かったのかしら?
0投稿日: 2020.06.20
powered by ブクログ続きが気になったので、間に他の本は挟まずに4巻目。 雨田具彦との対面、謎の旅、まりえの独白。 第2部のサブタイトルになっているメタファーの登場。 色んな事が起こるけど、でも、なんだか、結局そういうオチ?っていう結末。回収しきれていない伏線もあるような気がするけど。 読後感は、なんだかどこかで読んだことのあるような、ザ・ハルキ節満載だったなということ。まぁ、読むほうもそれを期待しているんだろうけど。
0投稿日: 2020.06.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
あいかわらずの村上ワールド。この作品を適切に評することは難しいのだが、基本的には楽しく読むことができたということは間違いない。ただし、個人的な評価としては『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』や『海辺のカフカ』には及ばない。おもに不満があるのは最終盤で、まず、表現的な問題として、「61」「62」あたりは秋川まりえ視点の文章が、あくまでも「私」が実際に聞かされたという態で綴られているのだが、そこにもお得意のメタファーなどが頻出することが挙げられる。しかし、まりえは「チシテキ」の意味すら知らないような少女で、本人がそのような修辞を使うとは考えづらい。かといって、単に話を聞いているだけの「私」がそのように表現を変えていると考えることも不自然だろう。要はいきなり「著者」が顔を出しているようなもので、物語のクライマックスというべき部分でこのような表現をされてしまうと、どうにも引っかかってしまう。この部分は非常に残念である。また、その結末の内容自体にも引っかかっていて、夫婦は元のサヤに納まりました、「私」はいまだに肖像画を飽きもせず書いています、というのは、なんだか安物の映画を観せられているようである。ではどのような結末ならばよかったのか、それを具体的には挙げることができずまことに申訳ないのだが、すくなくとも本作のラスト・シーンに違和感を覚えたことだけはたしかであるし、こういう「粗」を見るにつけ、著者もそろそろ衰えてきたのではと思わずにはいられない。
0投稿日: 2020.05.30
powered by ブクログ主人公の巣篭もり生活と今の世の中の環境が少しリンクする部分もあって、時間はかかったが楽しく読めた。 ・いつも通り、主人公の生活リズムや思考回路、日常のちょっとした所作などが、健康的かつ健全に感じられて心地よい ・自分とは全く違う性格の主人公だが、悩み乗り越える姿に勇気をもらう ・あまりこれまでの作品に多くなかった夫婦、兄妹、親子といった家族の中の人間模様に関する描写が多かったことで、今まで以上に登場人物のバックグラウンドにリアリティを感じられた ・マリエはどんな大人になるのか、子を持つ親目線の自分に少し驚いた
0投稿日: 2020.05.30
powered by ブクログコロナの影響もあったのか 最後まで読み終えるのが難しかった 短編小節の寄せ集めのような話で 最後になってまとめてはあったが読み通す力が必要だった
0投稿日: 2020.05.28
