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むすぶと本。 『外科室』の一途
むすぶと本。 『外科室』の一途
野村美月、竹岡美穂/KADOKAWA
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総合評価

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    「『長くつ下ピッピ』の幸せな幸せな日々」 置いていかれた本。 幼い時から共に過ごす時間が長かったからこそ、たくさんの想い出の最期に再会出来る日を願ったのだろうな。 「『異世界湯けむり☆うふふ大作戦』の緊急で重要なお願い」 人気のない作家は。 どれだけ頑張って書いても、店頭で並ぶだけで早々に打ち切りまで通告されたら誰だって辞めたくなるだろう。 「逆さまから見た、誰も知らない本」 知らないと言われ。 ここまで深く共鳴してしまっても、救いの一手を持っていたからこそタイミングよく手を差し伸べれたのだろ。 「『十五少年漂流記』のやんちゃすぎる夏休み」 普段とは違う子供。 イメージを崩さないためとはいえ、本来その時に想っていることを捨ててまで演じるのは疲れてしまいそうだ。 「『外科室』の一途」 本音で語り合う日。 何事もなく計画通りに終わらせることを辞めたのは、考えに考えて後悔が絶対にない答えを出したからかもな。

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    投稿日: 2025.09.14
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    『むすぶと本』シリーズは今のところ5冊出ています。公式がお勧めの読み順で 1.『外科室』の一途(ファミ通文庫) 2.『さいごの本やさん』の長い長い終わり 3.『嵐が丘』を継ぐ者(ファミ通文庫) 4.七冊の『神曲』が断罪する七人のダンテ 5.『夜長姫と耳男』のあどけない遊戯(ファミ通文庫) のように読みました。ライトノベルレーベルのファミ通文庫と単行本が交互に出ているユニークな刊行形態です。短編集という趣がどの巻も強いです。単行本の方は連作短編集といった感じです。5冊目の『夜長姫…』に収録の表題作だけはそれだけで1冊になってもおかしくないほどの分量があります。この表題作の読了でこのシリーズを読みきった感はあります。 『むすぶと本』シリーズは『文学少女』シリーズ完結後の時間軸の物語で重要キャラのイケメンご令息は姫倉麻貴と流人の子だったりします。文庫版の主な舞台は遠子さん達が通っていた高校です。 そしてこのシリーズにも実在する小説などの作品が登場します。 とても知的な面白さに満ちたシリーズです。 で、夜長姫さん可愛い。原作引用の『呪う キリキリ舞いの刑』のセリフ吹く。初めて『夜長姫と耳男』を読んだ時のラストシーンの感動を思い出させてくれてありがとう。自分的日本文学史上最強美少女は『夜長姫と耳男』のヒメ様だと確信しました。むすぶ君にめくられるシーンとてもまるで官能小説です。このシーンを読んだ少年が性癖を狂わせないか心配です。 野村美月さん結構エロい。 『夜長姫と耳男』は芸術家の殺すか殺されるかの覚悟を示したものと思っているので、『むすぶと本』シリーズが続くなら本読みとしてのむすぶ君が最後に人か本かどちらを選ぶか?の行く末をみたいと思う。 『さいごの本やさん』のモデルは郡山市にあった東北書店、との情報あり。 https://x.com/junku_koriyama/status/1617040386953998336?t=IMg1eJNyGoWw4hqvRo-ZbQ&s=19

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    投稿日: 2025.07.25
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    本の声が聞こえる、榎木むすぶ。 駅の貸本コーナーで出逢った児童書が探す本当の持ち主探し、ラノベ作家のまゆまゆに力を貸し、学校で突然奇行に走った男子生徒の謎を解き、無人島の夏休みを本と満喫。 そして、町の図書館で出逢った本の悩みを解決する。 登場する本がまゆまゆ以外はとても身近にある本たちで、他人事に思えなかった。私も本に憑かれてしまいそう。 本は読むたびに違う解釈ができて、その時その時で見せてくれる景色が違うもの。 それを改めて感じさせてくれるお話だった。 ただなー、長夜姫はいらないかなー。

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    投稿日: 2021.10.31
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     本屋で偶然見つけた本。”文学少女”シリーズが好きだったが、著者の小説がだんだんと自分に合わないと感じており最近はあまり読まなくなっていたが、「外科室」というタイトルを見て、泉鏡花『外科室』を題材にした小説なのかと一気に興味が湧き、衝動買いした。 第一話  登場人物「早苗」で、”文学少女”にいたサブヒロイン「琴吹ななせ」を思い出した。私が今まで読んだ小説に出てくる負けヒロインの中でも、屈指の不憫さ。最終巻が出て、彼女のファンはどんなに胸を引き裂かれる思いだったろう。  軽く調べると、「早苗」は次巻以降も登場するようだ。生まれ変わった(?)この世界で、今度こそ幸せになってほしい。 第二話  この物語で挿絵が男というのはどういうことだろう。 第三話  元ネタのなった小説、読んだことがあるにも関わらず種明かしまで分からず悔しい思い。主人公が話す小説の解釈のしかたが面白くて、元の小説を読み返してみたくなった。自分も、あの小説を読んだ時は色々悩んでいた頃であり、結構ダークサイドな物語だと思っていたけれど、こういう読み方もあるんだなと。 第四話  『十五少年漂流記』はまだ読んだことがなかった。この話自体が短めの掌編なので読んでみたいとまではいかなかったが、読めばこの短篇もより楽しめるかと思うので、近いうちに読んでみる。 第五話  表題作。一番良かった。  泉鏡花『外科室』、私も非常に心を動かされた短篇。この『外科室』がネタ本としてつかわれているこの短篇は、見方によっては不道徳な色も帯びており、それは『外科室』が作中で朗読されるところで、登場人物にも指摘される。  私自身、『外科室』を読んだ際はその善悪を越えた芸術というか究極の恋愛というか、そういったある種何かを超越した物語として受け止めていた。しかしながら、『外科室』も『『外科室』の一途』も、そして過去の”文学少女”シリーズも、今になって思えば切り口によっては不道徳な物語だっただろう。第一話の感想にも書いたとおり、サブヒロインの不憫さはまさにそれで、最終巻の「ななせをバカにするな」という台詞は今でも印象に残っている。万感の思いで物語を終えようとしているのだろうが、お前が幸せに感じている物語が正解だと思うな、お前に幸せになる権利があると思うな、という呪いのようにも感じられた。  小説が善や悪で語れない混沌とした感情を描くのに適したツールであることをまざまざと感じさせてくれる短篇だったと思う。    全体を通じて”文学少女”よりもずっとライトな印象だけど、いかにも文学臭いどす黒い成分を掬い取る余地も残された小説だなと感じた。終わり方もなかなかに不穏。そこにゾクッときてしまった私は、結局ストレートな感情をぶつけ合い人が傷付き合う壮絶な物語を求めているのかもしれない。  ヒロイン夜長姫は何の本なのか、とかも気になるところ。痛みを纏うヒロインというと『舞姫』『不如帰』あたりが浮かんでくるのだけど、近世以前ならもう自分には分からないし…… いずれにせよ、次を読むのが楽しみだ。

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    投稿日: 2021.10.02
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    作風は、すきなんだ……!だから読みたい。読む。困ったもんだ。 外子さんは、すきかなー。あと男子はかわいい。 ところでおまけ部分の夜長姫は顔文字の使い方がへたすぎないか。 似たような覚えが……以前にも……ああ。 ない方がぜったい伝わると思う、、なぜこんなことに、、

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    投稿日: 2021.03.04
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    文学少女を初めて読んだ時の懐かしさがあった。 今度は本と会話できる人。その人それぞれの思い出の一冊があるのはやはり素敵だなぁと思った。

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    投稿日: 2021.02.03
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    むすぶは本と会話ができる高校生の男の子。むすぶには大事な本がありそれは夜長姫。彼女はむすぶのことが大好きでありむすぶの大事にしている。

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    投稿日: 2020.12.03
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    野村先生の久々の新作は本の声が聞こえる少年の物語。 しかもあの文学少女と同じ舞台なんて読む前からワクワクしてしまった。 五つのエピソードは作者らしい、切ない話、楽しい話、ほっこりする話があってとても楽しい。 四つは実在の作品だけど二話目だけは作者が登場することもあって架空の本だね。 個人的には一話目のピッピさんの物語が一番好き。 本の想いも妻科さんの想いも切なすぎて思わず泣きそうになってしまった。 それにしても、本が話すという発想は本好きならでわだなあ。 自分も本の精の話を書いたことがあるけど^^ 夜長姫について本巻ではほとんど触れられなくて、むすぶと彼女との話は悠人先輩との出会いも含めて今後語られるのだろう。 ファンとしては遠子さんや心葉くんもどこかで姿を見せてくれたら嬉しい。 因みに遠子さんが本を食べてる時に本がどんなことを喋っているかちょっと興味がある。 もしかして「食べられちゃう〜」て泣き叫んでない?  そんな場面が出て来ないかなあ^^

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    投稿日: 2020.07.14
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    野村美月先生の4年ぶりの新作。吸血鬼~の打ち切りに涙した私としては待望で、Twitterのご様子から復帰を絶望視していたので本当に嬉しかった。 軽妙でロマンチックで可愛くて、でもどろりとした感情が常に見え隠れする。 ああこれだ、これが野村先生の世界だ。と再会の嬉しさをかみしめた。 誰もが心底物語を愛していて、それは近代文学からラノベまで分け隔て無い。ラノベという単語に自称読書好きが向ける差別意識を、時にラノベ作家すら持ってしまっている中で(不思議なことにラノベを書いていることに劣等感があるラノベ作家もいるのだ)、ここまで真っすぐオールレンジに愛情を向けられる人は実のところそんなにいない気もする。 あらゆる物語を等しく、誰かを癒したり誰かに道を示すものとして描いている。それはお人好しなのではなくて、物語の力を誠実に信じているからそう描けるのだろう。 本を愛することも、もしかしたら本に愛されることも簡単じゃなくて、でもそうしてでも手を伸ばしたいものが愛なのだろう。 というようなことを、軽妙な文体とかわいらしいヒロインと主人公を通して描いてしまえるのが野村先生のライトノベル作家としての凄さだと思う。

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    投稿日: 2020.07.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    野村美月さんの新作。 高校生の頃、文学少女に出会って またその世界観に再会できるとは。 本の声が聞こえる少年・むすぶくんとさまざまな本が織りなすあたたかくて、少し切ない本と人の物語。表題作である泉鏡花の『外科室』を題材とした恋のお話は野村美月さんらしいなと思った。

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    投稿日: 2020.07.07
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    4年ぶりの野村美月先生の新作! 本の声が聞こえる主人公むすぶと様々な本を巡る物語。表題作も素敵なのだがまず1話目からどうしようもなく懐かしさが込み上げてくる。この文章!この雰囲気!おかえりなさい、野村美月先生。ずっとずっと待ってましたと叫びたくなるのも無理ない。 そしてそして。むすぶ、夜長姫(本)、妻科さんの関係。めっちゃ野村美月先生だ。嫉妬深く直ぐ呪うとか口にする夜長姫も色々溜め込んじゃうタイプのツンデレ妻科さんも可愛い。女の子可愛いんですよ。お話も有名文学だけじゃなくてラノベテーマもあり、まゆまゆ先生のうふふ大戦っていうお話も必見。面白かったー!次の物語も待ってます

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    投稿日: 2020.07.02