何の脈絡もなく突然異世界に放り込まれ、数々の苦難に見舞われながらも、現実世界に残してきた家族のために、必死で帰還方法を探すというあらすじ。 まぁよくある異世界物で、ステータスやレベル等のゲーム的な要素もあり。ただしよくあるチートで無双してイキるタイプではなく、むしろひ弱ながらも泥臭く足掻くタイプで、他のなろう作品のような「臭さ」はかなり少ない。 前述の通り突然異世界に放り込まれるため、物語におる舞台や世界についての説明は一切なし。しかし読者置いてけぼりな描き方ではなく、少しずつ情報を小出しにする事で、読者を引き込んでくる上手い構成に仕上げている。特に謎だらけのスキル「？？？」は本当に気になる。 また、説明の無さを逆手に取り、主人公の感情表現や心理描写を深く描写する事で、主人公の「何故こうなった？ここは何処だ？」という思考に読者とシンクロ・共感できるよう描いているのも上手いやり方。 やや癖があるが画力は高く、表現・演出・台詞回し・戦闘描写等も良し。ストーリーも重いながらも上質で、表現力の上手さも相まって引き込まれる。かなりの良作なので是非。