
総合評価
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powered by ブクログ主人公の心の声が印象に残ることが多かった。自分の苦手なことがある人、自分は人よりどこか欠けている部分があるんじゃないかと思っている人、に刺さる言葉が多かった気がした。 私が心に残った文章は、そもそも前向きって普通に思われてるほど、絶対的にいいことかな?っていう一文でした。
1投稿日: 2021.07.31
powered by ブクログアルピー(自然にそう呼びたくなる)のラジオ聴いてる人は「うおぉー!」って滾るだろうなあ。その感覚を味わってみたかった! がっつりじゃないけど、JUNKやくりぃむのANNが好きだった私ですら作中に登場することで興奮したから。 深夜ラジオのエネルギッシュな部分が流れ込んでくるような不思議な文章でした。
3投稿日: 2021.07.28
powered by ブクログとても面白かった! 深夜ラジオのヘビーリスナーであり、異性への接触恐怖症の為過去に辛いことがあった二十歳の青年が、1年間の休学の間実家を離れ金沢八景にて深夜のコンビニバイトをしながら一人暮らしをし、自身を見つめ直し出会う仲間とともに成長して行くというもの。 解説にもあったが、情景の描写がとても上手く、かつ実在したラジオ番組を軸に話が進むので本当に映画を観るよりリアルに感じられた。不思議。 久しぶりに物語が終わってほしくない、この4人をずっと見ていたいと思う本だった。
3投稿日: 2021.07.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
彼らの未来に会いたい。 わたし自身は、ラジオにハマったことはなかったけれど、『ハガキ職人』憧れる。彼らの会話には、言葉を軽んじていない感が感じられて、だから、なんか生きにくい部分があるのかもって感じたり。 アルピーのann、聞いて同じ思いを感じたかった。
4投稿日: 2021.07.11
powered by ブクログ人と深く関わることにトラウマを抱えてしまい、自分を見つめなおすために大学を一年休学した富山くん。 その期間に出会った人たち…コンビニのバイト仲間・鹿沢やラジオ好きの女子高生・佐古田との繋がりができていくうちに 自分のやりたいこと、進みたい道を考えるようになり、少しずつ前に進み出していきます。 女子高の文化祭の演劇や、素人が作った音楽、のんびり夜道を散歩したことなど、、、他人からすればどうってことないような、本当にたわいもないことがきっかけとなって、人の気持ちが大きく動くことってあるんだよなぁと思いました。 また、作中にはオールナイトニッポンに関するネタが何度も登場するので、久しぶりに深夜のラジオを聴いてみたくなりました。 大学受験のとき、時々ナイナイのオールナイトニッポンを聴いたりして、暗い夜中も一人じゃないんだなぁって感じた記憶があります。あの深夜のドキドキ感、もう一度味わってみようかな。
13投稿日: 2021.07.07
powered by ブクログ訳あり男のお話でした 男は大学を休学して一人暮らしを始めコンビニで働く 二章からの主人公の語りにひっぱられるように どんどん読み進められました 主人公含めた4人の登場人物の絡みがとてもよかったです とくにはやはりサイコかなと ラジオのリスナーではがき職人というのにも興味をひかれました ラジオ番組は実際のもののようで当時のことは知らないけど どんだけ面白かったのかとても気になりました また、この著作がラジオドラマになっていたこともあとがきで知り気になりました
10投稿日: 2021.07.01
powered by ブクログ佐藤多佳子さんの山本周五郎賞受賞作。ラジオリスナーで繋がる青春群像劇。ここ一年radikoのタイムフリーで芸人の深夜ラジオを聞くようになって、その感じがわかることでより楽しめました。
3投稿日: 2021.06.19
powered by ブクログ佐藤多佳子は黄色い目の魚で知って 今でも1番好きな物語なんだけど、 陸上競技の話が多いから 他にあんまり手が出せず。 ラジオが好きだったら多分もっと面白いのかも… けど後書きでラジオを知らない人に どんな風に届いてるか心配だった って書いてあって、 なかなか好きなものを 文で共感得るのって難しいと実感。 そう思うと全く知らない世界の話だったけど ここまでちゃんと読めたのは 登場人物の感情がすごく わかりやすかったからかもしれないなぁ あと単純に佐藤多佳子の文章が 読みやすくてありがたい! 後書き朝井りょうだったけど、 やっぱり朝井りょうの感性には共感できず… だから恐らく私の脳みそが、 ラジオだとかそういう趣味嗜好は 受け取りづらいんだろうな笑
1投稿日: 2021.06.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
主人公と同じようにアルコ&ピースのラジオを毎週欠かさず聴いていたので、当時のささやかな熱狂のようなものが蘇った。 金沢八景には行ったことがないけど、この本を読み終えて、一度行ってみたいなと思った。 主人公が抱えるトラウマは、接触恐怖症という"病気"が原因で起こしてしまった事件によるもの。 この接触に対する恐怖というのは、一般的に共感しにくいものかもしれないなと感じた。共感したいけど、共感出来ないもどかしさがあり、壁を乗り越える物語としての求心力が少し薄くなってしまった。 ただ、それはあくまでストーリーの一つの軸に過ぎず、十代後半〜二十代前半の時期に思いもよらないきっかけから出会いが生まれ、そこから不思議なつながりが形成される様子が、自然にありのままに描写されていて、とても懐かしく心地よい気持ちになった。
1投稿日: 2021.05.20
powered by ブクログ山本周五郎賞受賞作。ある事件をきっかけに大学を休学し深夜のコンビニでアルバイトをしている主人公・富山は芸人の深夜ラジオのヘビーリスナーである。そのラジオをきっかけに、富山はなくしかけていたものを少しずつ取り戻していく。 佐藤多佳子は私が読書にどっぷりハマった12〜13歳の時に好きになった作家である。『サマータイム』『黄色い目の魚』『一瞬の風になれ』など代表的な青春小説を多感な時期に読んだ経験は財産だと思っている。あの頃夢中で読んだ2作品と同じ、新潮文庫の背表紙がさわやかな黄緑色。そして新潮文庫の紙の裁断が頁を重ねたときに綺麗まっすぐにならなくて、少し凸凹する。その感じを見てまた懐かしくなった。 佐藤多佳子は「日常」を「日常」と思わせることに非常に長けている。一人称で語られる物語は、ほぼ独白と言っていい。途中であーだこーだ迷うし、驚くし、傷ついた瞬間の頭が真っ白で何も考えたくない感情が手にとるようにわかるのだ。比喩を駆使した精巧な心理描写や、ある設定や風景を客観的に語る形式ではなく、あくまで主人公自身の語る主観的な文学であると思う。それが一層心地よく、簡単に心に入り込む。佐藤多佳子作品は『聖夜』を中学2年の冬に読んだ以来だったが、成人して何年も経つ大人になった今でも、青春小説のきらめきを忘れさせないでいてくれる。 また、深夜ラジオと同様に深夜のコンビニというコンテンツは、私にとってあまりにも親しみがありすぎて、胸を強く打たれた。深夜ラジオを聴き始めたのはここ1年くらいからなので、富山や佐古田のように、中学生の頃からラジオに触れる生活を送りたかったなと、とても後悔している。けれども、深夜のコンビニは学生時代、誰もがお世話になった場所であり、私も例外ではない。車も通らず、信号も意味をほとんどなさないあの空間の中で唯一活動し続けるコンビニ。一見淋しく孤独に感じるけれど、その孤独を集める場所ゆえに私には思い出が多すぎた場所である。なので、深夜のコンビニが作中で主人公たちの交流と変化、希望として描かれていることがとても嬉しい。 「明るい夜」というキーワードが作中の大きなテーマになってくるが、深夜ラジオという媒体の存在する空間を「明るい夜」と表現する秀逸さ。一人一人にとっての明るさもその光の加減も、照らす光源も、また夜の寂しさも孤独も違うけれども、たしかに私たちは夜というものを持っていて、その中に明るい何かがあるから起きてしまうし起きていられるし、眠気と闘いながら笑ったり泣いたり考えたりしているのだろう。今この瞬間も日本のどこかに明るい夜はあって、朝になるまで独りで生きる私たちは、これからも共に生きていく。
1投稿日: 2021.05.03
powered by ブクロググズグズと何だかはっきりしない話だし、縁のなかった「深夜ラジオ」の話だしとモヤモヤ読んでいたら、ミス・サイコ登場で一挙にテンションアップ。 面白い。
1投稿日: 2021.04.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
大学を休学して深夜コンビニバイトする主人公。 深夜ラジオを通じて仲間ができ、 新しい目標ができる。 惜しいです。 惜しいところまでいってますが やや物足りない感あり。 道尾秀介の「光媒の花」に至らず。 「明るい」をもう少し突き詰められれば 星5でした。
1投稿日: 2021.04.25
powered by ブクログあなたは、『深夜ラジオ』を聞いたことがあるでしょうか?また、ハガキで投稿を行ったことがあるでしょうか? 1950年代から始まった『深夜ラジオ』。かつて放送を休止していた深夜の時間帯に開始されたとされる番組たち。そんなラジオ番組も世の中の嗜好の変化により姿を変えつつあるようです。『終わった文化と言われることもある』というその世界。『深夜番組のスポンサーも減ってる』という状況は、時代の変遷を考えると仕方のないことなのかもしれません。”ラジオ好き”だったという佐藤多佳子さん。そんな佐藤さんが『その面白さの虜になり、笑ったり、あきれたり、笑ったり、驚いたり、笑ったり笑ったりしながら、毎週、胸をときめかせていました』と語る『深夜ラジオ』の世界。そんなラジオ番組にネタを投稿し続ける人たちのことを『ハガキ職人』と呼ぶのだそうです。『深夜ラジオ』を語る上では欠かせないとされる職人たち。そんな中から構成作家になる人もいるというその世界。この作品は、あることをきっかけに、その名前を封印せざるを得ない状態に追い込まれてしまった、かつて名の知れた『ハガキ職人』だった一人の大学生の物語。そんな大学生が『色々な世界を見て聞いて訪ね』て、『自分の世界を大きく豊かにしたい』と気持ちを持ち直してゆく物語です。 『胸の名札「かざわ」、そいつが、ここの夜のボス』、『SNSのプロフィールには「歌い手」とある』という鹿沢大介と共に深夜のシフトに入るのは主人公の富山一志(とみやま かずし)。『金沢八景の駅からは少し遠く、関東学院大学の近くにある』そのコンビニ。『俺は三月半ばに、ここのバイトを始めた』という富山。『無理に愛想よくしなくてもいいけど、あんまりイヤそうに受け答えしないで』と研修中に注意され、続けられるか不安になったものの『夜勤に変わって、なんとかOKな感じになった』という今。『午前三時をすぎると、スナックやバーで働く人がやってくる』というそのコンビニ。常連だが『俺には無縁の世界だから、酒臭くて、化粧濃いめ、髪型派手めの、おねえちゃんやおばちゃんと接するのは、初めて』で、『最初は、恐怖だった』という富山。『とみやまくんの、そのシルバーの眼鏡のフレーム、高いでしょ?』と常連客のミミさんに言われ『眼鏡には、こだわっている。ほめられると、さすがにうれしかった』という富山は『フォーナインズです』と答えます。『あ、数時の9を四つ書くヤツ』と反応するミミさん。『とみやまくんてさ、なんか、もう、眼鏡男子の標本みたいだよね』という『あっけらかんとした話し方は、とても感じがいい』と思う富山。そんなミミさんが『あ、髪の毛、ついてる』と『レジカウンター越しに手を伸ばして、俺の制服の肩に落ちていたらしい髪の毛をつまもうとし』ます。『長く伸ばした爪先と指が首筋をかすめた』というその瞬間。『何をやったのか、自分ではわからなかった』という富山。『その瞬間は、頭が空っぽになっていた』という富山の前に『尻もちをついて商品の棚に頭をぶつけていた』ミミさんがいました。『俺は頭も体もかたまって、まったく動けなかった』という富山に対して『すばやくミミさんを助け起こして、怪我がないかどうか確かめていた』鹿沢。『おまえ、何するんだよ?』と怒鳴る鹿沢。『お尻のほうが痛い。尾てい骨打った』と笑うミミさん。『謝れよ、おまえ!』という鹿沢に『すみません』と声をしぼりだす富山。『おい、客が怪我したって?』とやってきた副店長にバックヤード行きを指示された富山は『主に自己嫌悪と自己不信』の感情がこみあげます。『手で触れられただけで、こんなに過激な反応をしてしまった』と、その瞬間のことを『覚えていない。頭が真っ白になってしま』ったと振り返る富山。『それは、俺の「病気」だった』という『接触恐怖症』。『触られると過剰反応する』というその症状。『気にすんなって。とみやまくんにそう言ってって』とミミさんの伝言を伝えに来た鹿沢は『ミミちゃんから伝言っつうか質問。とみやまくんって、ゲイなの?』と声をひそめて訊きます。それに返事できない富山。『ミミさん、驚いただろうな。身体を傷つけてしまったが、気持ちも傷ついただろう』と思う富山は『謝りに行かないと』と考えます。しかし、『実際に謝れる気が、まったくしなかった。電話なんか無理だ』と思う富山。そんな富山がコンビニで働く中で、そこで出会っていく人たちとの関係を深め、何かを感じていく、そして掴んでいく、それからの物語が描かれていきます。 『二〇一四年から一五年にかけて放送された伝説的番組、ニッポン放送の「アルコ&ピースのオールナイトニッポン」を作中に色濃く使わせていただきました』と佐藤多佳子さんが語る通り、この作品には、全面に渡ってこの時代のラジオ番組、そして担当した芸人の実名がおびただしいほどに登場します。正直なところ、ラジオは自動車の運転中にたまに聴く程度で、『深夜ラジオ』は一度も聴いたことがなく、『アルコ&ピース』= 誰?という私には全く理解できない言葉、感覚の表現の洪水に冒頭からすっかり面食らってしまい、最後の最後まで一種の疎外感から抜け出すことができませんでした。さらには、主人公・富山の独り言調の文体にも違和感が拭えないままで、なかなか気持ちが入っていかない読書を強いられました。実際、ブクログのレビューを見ても同様な理由で読むのを途中で断念した、という方もいらっしゃるようです。やはり、『深夜ラジオ』についての最低限の知識と感覚的な経験がないと最後まで読み通すのは”気持ち的に”ハードルが高いように感じました。その一方で、普段から『深夜ラジオ』を聴いていらっしゃる方にとっては、そんな『伝説的番組』のリアルな過去がこうして小説となったことに感慨深い思いが湧く物語だとも思います。ということで、この作品が読者を選ぶ作品であることは残念ながら否定できないと思います。このあたり、佐藤さんもお分かりのようで、『ラジオにあまりなじみのない読者の方にご理解いただけたのか、不安や心配は尽きません』とあとがきに書かれています。この『不安や心配』が、少なくとも私にとっては、現実になってしまった感があります。しかし、こういった何か特定の分野、嗜好に強く焦点を当てた作品の場合、これはある程度やむを得ないことだとも思います。どうしたものか迷いましたが、私の場合、早々に『深夜ラジオ』関係の記述を、極力”無視”して読み進めることで、萎えそうになる気持ちを鼓舞し、読書の集中力をどうにか維持しました。そして、佐藤さんがもう一つおっしゃられている『メイン・モチーフは、深夜ラジオですが、長年あたためていた、夜の中で心をさまよわせる若者たちの物語です』という部分を意識して読むようにした結果、少し強引ですが最後まで読了できました。辛かった、とにかく辛かった、趣味の読書でよく頑張った!と自分を褒めてあげたい…です。これまで300数十冊の小説を読んできて、ここまで”苦行の読書”を強いられた作品は初めてで、読了後も戸惑いを隠せません…。(この作品に魅せられた方、佐藤多佳子さん、ごめんなさい。でも、私の正直な感想なのでご容赦ください) そんな『若者たちの物語』に浮かび上がってきたのは、『接触恐怖症』の症状があり、生きることに不器用な大学生・富山一志が少しずつ何かを得ていく、力をつけていく、そんな様を見る物語でした。『メンヘラだって自覚してて、治したいとはやっぱり思ってて』という富山。大学を休学し一人暮らしを決意した富山は『どういう努力をするって前向きな意識はなかった』ものの、『バイトはちゃんとやろう、ラジオだけの生活にしない』という二つの条件を自らに課します。それは『学生じゃなくなりたい。脱出をして、まったく違う世界で、やれることを考えたい』と思う一方で『引きこもり以外の生活をする』ためのギリギリの選択でもありました。そんな暮らしの中で、コンビニの同僚であり『歌い手』の鹿沢、『ハガキ職人』の永川、そして同じく『ハガキ職人』で高校生の佐古田愛と出会います。人は思い詰めると周囲が見えなくなっていきます。何事にも関心が向かなくなり、他人のことにも興味が失われていき、どんどん内へ内へとこもっていきます。『もう、ほとんどのことがどうでもよくなっちまう。世界から色がなくなるような感じ』というその行き詰まりの感情。そこから抜け出すには、何かしらきっかけが必要です。その一方で『真の名前を知られてはいけないのだ。おまけに、俺には過去に封印したもう一つの真の名前がある』と、内へと籠るきっかけとなった過去の出来事に触れられることを恐れる富山。そんな富山は『明るい夜に出かけて』というフレーズと出会います。この作品の書名にもなっているとても印象的なこの言葉。『切ないような、悲しいような、愛しいような、楽しいような、いくつもの異なる感情、つかみどころのない思いが重なってくる』と富山が感じるように、”夜”という暗さの象徴とも言えるその言葉に”明るい”で形容するというとても不思議なこの言葉。そんな言葉の中には、生活を送るためのコンビニの仕事、そして生きる喜びとして富山を支え続ける『深夜ラジオ』という、富山にとっての灯火の明るさを感じることができました。そんな場を通して、内に籠った世界から出て行くことを考える富山。『色々なことを知ろう。色々な世界を見て聞いて訪ねよう。どんなに知識があっても足りない。知識だけじゃ足りない。何もかも足りない。たくさん、たくさん、取り込んで吸収して、自分の世界を大きく豊かにしたい』というその夢は、語らずとも富山の心の中を明るく照らしているのだと思いました。 『今日も、明日も、私は、深夜ラジオを聴いて笑い続け、時には、足りない物を求めて深夜のコンビニに出かけるはずです』と語る佐藤さん。物理的には暗いはずの夜。しかし、そんな夜に明るさを見出す人がいる。心の拠り所をどこに求めるかは人それぞれです。誰にだって心の拠り所はあるはずです。そんな心の拠り所が照らし続ける光は、それが例え他の人から見て儚いものであったとしても、その人にとってはかけがえのない、人生の行く先を照らし続けるものだということもあるのだと思います。 『やり直しがきかないこともあるが、君の年だと色々なチャレンジができる。何度でもできる』。ゆらゆらとぼんやりとした、それでいて沢山の可能性を秘めた青春の灯火の中に、富山の未来が確かに照らされている、そんな光景を結末に見る物語。暗いはずの夜に確かに明りが灯るのを感じた、そんな作品でした。
76投稿日: 2021.03.10
powered by ブクログ「明るさを求める気持ちはすでにきっと暗い。でもその暗さを心に抱える人を俺は少し信じる。」 高校生の自分にこの本を教えてあげたい。 部活で活躍して、友達に恵まれて、勉強もそこそこできて、そこそこの生活に満足していた自分。人間関係をうまくやるための一番の方法は、相手の話を自分の話より少しだけ面白くし続けることだと思い、それをうまくこなしていた自分。 退屈ではないがそこそこ楽しいだけの高校生活と比べて、僕が聞いていたアルピーのラジオの世界はもっとわくわくしていた。富山も佐古田とは少し違う自分にとってもラジオの世界は楽園だった。日常の中の、特別な非日常の時間だった。 ひとりでいたい、でも誰かといたい二人と、誰かといるけど、ひとりにもなりたい自分。 うまくやれている自分を良く思っていなかった自分にこの本を教えてあげたい。そしたら少しだけ、自分を肯定してあげられる気がする。 今の自分にとっても、これからの自分にとっても大事な本です。
6投稿日: 2021.02.25
powered by ブクログ深夜ラジオ、コンビニバイト、大学休学。人生のエアポケットに入ったような主人公のやわらかな変化の物語。決して口数の多くない主人公の心の声をひたすら聞いているような、まさに主人公目線で物語が進んでいく。ひたすら心で浮かんだままの言葉が連ねられるので、彼の心の動きについていくことができず、文字がうわ滑っていく感覚が若干ある。(好みの問題かも) アルピーのラジオをちゃんと聴いてみたくなる1冊だった。
1投稿日: 2021.02.14
powered by ブクログ読みやすい文章でサクサク進めた。 ラジオ、大学生、一人暮らし、休学中。休学はコロナの今の状況と重ね、様々なことに共感できた。 ちょっと恋愛要素も入っているような話なのかなと思って読み進めていったけどそうじゃなかった。けど、それがまたよかった。 印象深いセリフも沢山あり、また日をおいて読み直したいなと思う。
3投稿日: 2021.02.09
powered by ブクログラジオの感想をみるだけにTwitterのアカウント作ったり、1週間の楽しみがラジオしかなかったり、ラジオリスナーの自分はあるあると思いながら読んでました。 普段ラジオ聴いてない人は読んでて退屈しないのかなという印象。ラジオを字で読むのも面白い。
3投稿日: 2021.02.07
powered by ブクログアルピーのラジオが好きでこの本を読んだ。最初は特に情景描写が上手いわけでもなくて普通の本だったけど最後はよく分からないけど泣きそうになった。アルピーのオールナイトニッポンの歴史を知ってると胸にくるものがある
4投稿日: 2021.01.09
powered by ブクログ主人公が色々な人との交流を経て変わっていく物語でした。 心が温まるお話です。 オールナイトニッポンは聞いたことがないけど、聞いてみたいと思いました。
2投稿日: 2020.12.25
powered by ブクログ深夜ラジオなどを全く知らずに読みましたが、佐藤さんの落ち着いた文体が好きで、すらすらと読み進められました。この本を読んでからYouTubeでアルピーannを聴くのにハマってしまいました。
4投稿日: 2020.12.05
powered by ブクログ2020.11.26 これはクソメンの自分にはたまらない! 確かにアルピーannはリスナーの情熱ヤバかったもんなぁ。 あのラジオの世界観を文章にすると なんか違う! と誰に対しても思うが、ここまで書いてくれると筆者様のラジオ愛が伝わってきて心地よかったです。 ラジオ興味ない人にはどうなんだろ?と勝手に心配になっちゃいますが… 登場人物もとても味のある4人で、それぞれ成長して魅力を増していく姿に感動しました。 主人公にトゥルーマン翔さんを重ねてしまったのは自分だけでしょうか… 続編も書いて欲しいなぁ。 愛のあふれる良い物語をありがとうございました。
4投稿日: 2020.11.27
powered by ブクログ11/23読了 読了時間 3時間 今まで読んできた小説の中で1番!と思えるほど好きな作品だった。それほどまでにのめり込めた。 熱中できるものがあってそれを中心に生きている瞬間ってほんとに素晴らしいものだなとしみじみと感じました… 私も学生時代、Goose houseというシンガーソングライターグループに熱中していた時期があった。 毎月1回行われる生放送、ハウスメイト(Goosehouseファンの通称)たちと、Twitter上でわくわくして待ち続け、その放送で読んでもらうために、ハッシュタグをつけて何度もツイートを繰り返した。 YouTubeに投稿されている歌も何度も繰り返し聞いた。 必死にアルバイトでお金を貯めて、CDを買って、ツアーも毎年参加した。 本当にあの頃はGoosehouseに熱中していて、Goosehouseを中心に生きている瞬間だった。 その頃の気持ちが、深夜ラジオに熱中しそれを中心に生きている富山たちと重なって懐かしい気持ちになった。 あの頃の気持ちってもう取り戻せないのかなと思うと悲しくもなった。 色んな感情が入り乱れて、思い出にも浸れて本当に最高の作品でした。
10投稿日: 2020.11.23
powered by ブクログ山本周五郎賞ということで読んでみた。 序盤は掴みどころなかった感じだったけど、同じラジオリスナーの佐古田の登場で一気に面白くなった。何をしたいのか、今をどう考えて過ごせばいいのかっていうモヤモヤ感を叙情的に書き下ろして、作品に引き込まれる感じがあった。そして夜のコンビニ、潮風が仄かに感じられる湾沿いの橋……この辺は共感した。自分も夜のコンビニとか散歩している時の妙な高揚感は好きで、それが描かれていたのが読んでいて胸が弾んだ。でも好みが分かれるだろうけど、終始砕けたコミカルな文面が自分はちょっと異質なものに感じられて、若干残念だったかなー。
7投稿日: 2020.11.08
powered by ブクログ読み始めは何か掴み所の無い感じがしたが、進むにつれ面白くなってきた。 第四章は気持ちがちょっと暖かくなる。 短い文章・単語の連続でその微妙な感情を表現していく所が多数あったが、そこは上手いしこの作品にはハマっていると思った。
5投稿日: 2020.10.29
powered by ブクログ山本周五郎賞の作品は好きになりやすい。これもまた響く。アルコ&ピースANN、どんな番組だったのだろう。 明るい夜は月夜のことではない。そんな詩情溢るるものではなく、コンビニ、幹線道路の外灯、深夜ラジオ、ネット。ゆるく繋がりながら小さな歩みを。
4投稿日: 2020.10.24
powered by ブクログ主なストーリーとしては、傷ついた若者が風変わりな人が集まるコミュニティの中で交流を重ねて再生していくというありがちなものだが、この作品独自の味付けが面白いところだ。 特徴として目立つのは、実在したラジオ番組を物語の主軸にとりあげていることで、そのせいもありラジオはもちろんテレビなどのメディアでも本作が取り上げられた。 しかし、私が注目したのは、ラジオとそれにとって代わりつつあるインターネット配信の文化に触れる若者の「つながり方」について描かれていたことだ。 最近の若者はわがままであまのじゃくだ。 作中でも「自意識過剰でひねくれてるし、臆病でほっといてほしいくせに、評価はされたいんだよな。目立ちたくない、目立ちたい、まったく相反する二つの気持ちがあるよ。弱っちいくせにプライド高かったりね。」などと書かれている。 その態度は人とのつながり方にも表れていて、学校や職場でのリアルな人づきあいは苦手としているのに、SNSやインターネット上の交流には積極的な若者が多い。 彼らは「繋がりたくないけど繋がりたい」という微妙なバランスを求めていて、主人公の富山とってはそれがラジオだった。 ラジオにはリスナーがメッセージを投稿できるコーナーがあり、リスナー同士で積極的に交流するわけではないが、一緒に番組を聞いている感覚を味わえる。 富山はそれを「夜の中で、ラジオでつながってる感覚」と評している。 個人的に、この表現がとても共感するところだった。 というのも、私はインターネットの生配信やゲーム配信を見ることが一つの趣味で、真夜中に街は寝静まっているのにネットには人があふれていて、リスナー同士交流するわけでもなく配信を見てたまにコメントをする、というのがとても心地いいのを知っているからだ。 特定の人とのコミュニケーションは疲れてしまうが寂しいのは嫌、という私にちょうどいい。 ラジオあるいは配信文化に慣れている人、そして夜型生活のひとには共感しやすい雰囲気に溢れていると思う。 夜中の町の雰囲気、ちょっとしたもの寂しさみたいなものの表現が上手い。
4投稿日: 2020.10.07
powered by ブクログアルコ&ピースのオールナイトニッポンのリスナーにはたまらない作品。ラジオのリスナー同士でつながるって、結構あこがれる。中々ないことだから。 主人公の煮え切らない感じ、結構もどかしい。大学でのある出来事がトラウマになり、人との接触を避けている。心も開かない。でも、鹿沢、永川、佐古田に出会うことで変化していく。ラジオを軸に、繋がっていく関係性。 アルピーのオールナイトニッポン、聞き直そう。
4投稿日: 2020.09.27
powered by ブクログこんなに淡々とした雰囲気の中にも味のある青春小説は初めてです! 明かりの灯る夜や海、川沿いの街の描写は、リアルなのに美しい。 富山を取り巻く鹿沢、佐古田、永川、そして4人の関係性が魅力的です。あとアニさんも好き!
4投稿日: 2020.09.26
powered by ブクログ良かったです。最近読んだ小説の中でトップクラスで人にオススメできる小説。読みやすさもさることながら、ネットで繋がるオンとオフの世界をここまでリアルに生き生きと描かれた作品って多分今まで見たことない。文体は一見ライトだけど、一冊の本の中にキャラの血が通っているとひしひし感じた小説でした。 実際、ストーリーとして大きな起伏があるかといえばそんなないんだけど、めくるページが止まらない。それは決して主人公に共感してるからとかじゃなくて、彼らの物語をもっと間近で見ていたいという読者である自分自身の欲求だったと思います。 ラストのラジオ番組改編のくだりはどうなるのか自分もワクワクしながらページをめくってましたし、最後は少し涙目になりました笑 ネットが現代世界の一部となったこの時代に少なくともひとつ、誰かの心にどこか刺さる描写があると思います。
7投稿日: 2020.09.23
powered by ブクログ本書読了後、人間関係って人類の永遠の課題だよなぁ…と改めて実感。特に学生時代のどこか閉鎖的なあの空気感。昨今はSNSの台頭もあり、益々コミュニケーションが複雑に感じる人も多いのだろうと思う。本書では主人公のバイト先のコンビニを起点として、多様な人物との関わりが描かれている。本人は気づいていないのであろう、昔の心の傷が少しずつ癒えていく様子が主人公の言動から感じられ、とてもリアルな青春小説だと感服した。
7投稿日: 2020.09.13
powered by ブクログコミュニケーションをめぐる物語。 主人公の富山一志は、接触恐怖症。 付き合い始めた女性との関係でもそのためうまくいかない。 しかも彼が名の知れたハガキ職人だったことから、ネットで炎上してしまう。 これがもとで、大学を休学し、親元を離れ、深夜のコンビニのバイトをしながら、生活する。 けれど、封印したはずの過去は、同じハガキ職人の虹色ギャランドゥこと、佐古田と出会いから、人とつながるきっかけに少しずつ変わり始める。 コミュ障メガネ男子、富山くんの一人称語りは、繊細な青年がどれほど人との間で神経をすり減らしているか、痛々しいほど伝えるものとなっている。 こういう語りのうまさは、佐藤さんならでは。 コンビニの業務とか、深夜ラジオ、ニコ動。 私にとってはどれも自分と関わりがなかった世界。 昔住んでいた神奈川県だけど、金沢八景のあたりには行ったことがない。 こんな場所があるのか、と引き込まれる。 深夜ラジオは、かつてほどの力がなくなったと聞いていたが、番組最終回に出待ちしようとさえいう彼らの熱量に、なぜかちょっと胸が熱くなる。
5投稿日: 2020.09.13
powered by ブクログ挫けたって、弱みを持っていたって、 自分のことを分かってくれる人は きっとどこかに居るんだ。 気を張らずに少し休んで、やり直せばいい。 人は支え合って生きていくんだ。 そんな前向きな気持ちになれる一冊。
4投稿日: 2020.09.06
powered by ブクログ私も現在大学生かつコロナ渦の中でズームやSNSなど、 インターネットを通じて人間関係を築くことも増える中、この本は本当に共感というか、気持ちをアップデートされた気持ちになった。趣味などをTwitterで呟き、それで誰か知らないけど、反応してくれるのやっぱり嬉しい。でも、誹謗中傷などもあり、インターネットを通じて傷つくこともよくある。 夏の夜に読みたくなる本やな、 あとめっちゃ,ラジオ聴きたくなった笑笑 最後の朝井リョウの解説めっちゃ良かった!
4投稿日: 2020.09.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ネットや電波を通した交流って実は顔を合わせるのとあんまり変わらなかったり、難しかったりする。 共通の趣味を持っていても、それぞれに気安く言えない何かがある。 それでも人との交流の中で自分らしさは熱を帯びて、明かりが灯る。 なんてすてきなお話。 進むごとに続きが気になって一気に読んでしまいました。休日前の夜におすすめです。笑
8投稿日: 2020.08.27
powered by ブクログ久々に読む佐藤多佳子さん。 今回は深夜ラジオや深夜のコンビニ、SNSを題材に人との触れ合いが描かれている作品だった。 まず、題名がとても素敵。 物語にも強く影響してくるのであまり言えないけど、すごく印象に残るよね。 印象に残ると言えば、若い頃にお笑い好きな男友達が言ってた、「ラジオのパーソナリティってすげーよ。声だけで何時間も場を持たせるんだぜ」って言葉が強く残ってる。 私は全くラジオを聴く習慣がなかったから、その時はピンと来なかったんだけど、その言葉は何故かとても覚えていて。 今回、この本を読んでる時にまた思い出した。 佐藤さんのご本はテーマがいつも全く違うのに、根底にある優しさは共通してる。 あと、もどかしさ。 どうにかしたいのに、出来ない気持ち。 今回は夜の雰囲気。 10代や20代の頃感じた夜の雰囲気が蘇って来た。 夏の夜に外でお喋りしたり、電話口で夜が明けるまで喋ったり。 あの時にしかあの感覚は味わえなかったんだなぁって、大人になった今は思う。 私はラジオも聴かないし、テレビもあんまり見ないのでアルコ&ピースさん達を存じ上げなかった。 てっきり、佐藤さんの創作なのかと思って読んでたんだけど、念のためにググったら本当にアルピーは存在してたし、アルピーのオールナイトニッポンも放送されていた。 ビックリした。 さすがに知ってた、オールナイトニッポンのテーマソングが思い出されたよ。 あと、この表紙もとっても素敵。 新潮文庫の夏のフェアで何を買おうかな〜?って悩んでたら、パッと目を引いた。 夏の夜の読書にピッタリだと思った。
13投稿日: 2020.08.26
powered by ブクログコンビニでの仕事、熱狂的な深夜ラジオのファン、SNS時代の学生の生き方。そんなテーマが詰まった小説。実在のラジオ番組、舞台となる地理的状況が細かく描写されており、興味深く読んだ。題名があまりにも違いすぎるが、村田沙耶香のコンビニ人間もある意味似たようなテーマだったんじゃないかな、と思った。
6投稿日: 2020.08.24
powered by ブクログ大学で嫌なことにあい、休学中の主人公富山。 深夜ラジオに深夜のコンビニ。 夜に生きる彼等がふとしたきっかけで出会い、出会いにより刺激を受け、彼等の世界は変わり始める。 物語前半は深夜のように暗かった世界が後半には明るい世界に変わっていく。 まるでタイトルのように夜は暗いのに明るい夜に飛び出して行くよう。 主人公の一人称を通して、周りの人に感化され、変わり始める心の描写が良きでした。 ラジオは詳しくないが、筆者のラジオ愛も色濃く伝わってくる。
4投稿日: 2020.08.07
powered by ブクログ結構かゆい感じですが。 でもいろんな情報に晒されてる現代は、だいたいみんな頭の中でごちゃごちゃ考えがちで。 私の頭の中だってひとつずつ取り出したらたいして変わんないと思われる。 自分の発言をすぐに心の中で反省してみたり、わかってはいるんだけどね、って自分のなかで予防線張ってみたり。 そんなごちゃごちゃを、たまに共有してみたり、はたまた全然関係ないけど、あたたかい時間を過ごしてみたり、そういう相手がいたら、いいと思う
4投稿日: 2020.08.01
powered by ブクログタイトルが好きで購入。 登場人物のキャラというか特に語り手の富山のキャラが無理すぎて引きながら読んだ。 でも風景の描写が綺麗で金沢八景に行きたくなったし、アルピーannもやってる時に聴けたらよかったなあと思った。 でも富山がしんどかった。
2投稿日: 2020.08.01
powered by ブクログ私の青春でもある佐藤多佳子の小説。 全然好きじゃないアルピーのラジオのお話がメイン。それが半分以上。なのに、ちゃんと青春小説にしてるのが佐藤多佳子のすごいところだなと。 読了後もアルピーのことは全然好きになれませんでしたが(笑)、とても清涼感ある気持ちで読み終われました。
3投稿日: 2020.07.27
powered by ブクログ黄色い目の魚ほどの衝撃はなかった でも佐藤さん独特のリズム感があって軽く読めた 「明るさを求める気持ちは、すでに、きっと暗い。でも、その暗さを心に抱える人を俺は少し信じる。」のフレーズが1番印象的だった
5投稿日: 2020.07.20
powered by ブクログ佐藤多佳子さんはすごい。 人の心の中に入り込んで、思っていることを全て言葉にしている感じというか。 「しゃべれどもしゃべれども」でも感じた感覚を思い出した。 ラジオの中身には多少ついていけない所もあったが、実際の番組をそのまま題材にするなど、臨場感に溢れてとてもよい。
4投稿日: 2020.07.14
powered by ブクログラジオ好きな人は「わかるー!」がいっぱいありそう。ラジオが相互のやりとりがあるいいメディアであることに改めて気づいた。
3投稿日: 2020.07.03
powered by ブクログ文庫化されたということで購入。 アルピーANNを聴いていた身としては、すべてのエピソードが身にしみた。
5投稿日: 2020.05.25
powered by ブクログいつのまにか集うようになった若者たち4人が、SNSやリアルでのやり取りを重ねていく。語り手の富山(20)や、女子高生の佐古田はうまく社会や人間と向き合えずにいるものの、深夜ラジオに夢中になることで息をしているよう。 実在のラジオ番組や芸人を中核に据えたフィクションという、なんだかふしぎな存在感をもったお話だ。夜をしずかに一人で過ごしながら、ラジオを通して誰かと一緒にいるようにも思える、そのあいまいな感触は夜そのものの手触りにも似ている。4人の輪の外、斜め上空から彼らの日常を見ているようなこの物語の手触りにも通じる。 佐古田の脚本に触発されて富山と鹿沢が動き、それに佐古田がまた心をうごかされる・・・それは一見閉じたループのようだけど、よく見ればどこかに外へ出るとっかかりがあるんだと思う。あぶくのようなものでも未来の約束を交わしたところに、その希望が見えた。 明るい夜ってなんだろうな。コンビニが照らす夜、眠らない若者たちの部屋の明かり、あるいは暗い海に見つけた未来の光。
4投稿日: 2020.04.08
powered by ブクログアングラ、インキャ、サブカル…。何かに日の目を見ない趣味にハマった時期を経験した人なら共感し、楽しめると思います。
5投稿日: 2020.03.21
powered by ブクログ読む人によっては、物語に出てくる若者たちの言動が理解できず、「つまらない」と一蹴するかもしれません。でも、私は共感できました。 愛するラジオ番組が終わらないでくれと願う気持ちも、女性が苦手で触れられないという気持ちも、アメーバピグにログインしながらも、斜めに周りを見ている気持ちもわかりました。共感の連続です。読みながら、自分のむず痒い頃を思い出してしまう時もありましたが、読了後は、不思議と気持ちよく爽やかでした。よい本と出会えました。
4投稿日: 2020.03.11
powered by ブクログ面白く読み終えたけど別世界のお話でした。オールナイトニッポンを聞いていたのは中学生の頃。深夜のラジオを最後に聞いたのは学生時代にお付き合いしていた彼女が聞いていたミスDJ。あの頃はこの本のような世界ではなかったな。もちろん今ではTwitterやLINEも使ってるしニコ生もradikoも知ってる。だけど深夜の時間を過ごしていたのはもう遥か昔。入り込めない小説でした。
3投稿日: 2020.03.04
powered by ブクログラジオ好きだから楽しめた? じゃあラジオ好きじゃない人には楽しめない?そんなことはない気がする。 深夜のコンビニという場所で、不器用な生き方ながら歩みを続ける若者たちがなんとも言えず愛おしい。
4投稿日: 2020.02.23
powered by ブクログ読書家、特に小説を読む読書家には確実に刺さる要素がてんこ盛りで、ちょっと胸が苦しくなりますね笑 ラジオまた聴き始めようかなと思える青春物。
4投稿日: 2020.02.04
powered by ブクログテレビは知り合い以上友達未満の人達と話題を共有するためにあると思う。一方、ラジオは本当にその番組が好きな人達が聴いてて、個人が楽しむツールで、みんな勇気を出して、それぞれの楽しみ方をしてるんだなと思った。だからこそ、身近でリスナーを見つけると嬉しくなるんだよね。 そんなラジオの良さを、表現されてる小説でした。
4投稿日: 2020.01.13
powered by ブクログ明るい夜に出かけて 第4章が良い。むしろ第4章までで良い。わたしの明るい夜は、暗闇で光るスマホの窓、バイト帰りにひたすら漕ぐ川沿い、反射する光、だな。
3投稿日: 2019.12.10
powered by ブクログ印象に残ったこと ラストのとこ ・じぶんの境遇によって、明るさが違って見える ・暗いところを持った人を信じることができる
5投稿日: 2019.12.01
powered by ブクログ好きなものがある人が見える世界。とても個人的で、大事な世界。そして、それで繫がることができる、不安と幸せ。ものすごい小説。
4投稿日: 2019.11.16
powered by ブクログ青春小説でもあり、ビルドゥングロマンスの傑作でもある。 自分の住んでる街が舞台。本作の中で登場するイオンの本屋で本書を購入。ということで、ものすごく身近で楽しめましたが、いかんせん私が深夜放送を聞いていたのは、それこそ40年以上前。ただ今でも基本的な感じって変わってないんだなと感じました。 リアルにこういう若者って多いのかな。本書に登場する四人、それぞれに不器用ではあるが応援したい気持ちになりました。
10投稿日: 2019.11.09
powered by ブクログトミヤマの感情の描写が良かった。なんかわかんないけど、今感情がこういう風に動いてんだな、って気づいてる。でも意志と裏腹に動く感情(さこだが気になるとか、4人のグループが楽しくなっちゃってるとことか)もあって、なんかむず痒いって感じてるとこもよく伝わってきた。 明るい夜に出かけて=人間関係によって休学という世間から見たら暗い「夜のような」生活の中で、個性的で、生きることに刺激をくれる人々のいる「明るい」場所に出かけて って勝手に解釈した
4投稿日: 2019.11.04
powered by ブクログ明るい夜、という表現がとてもいい。 深夜のコンビニ、深夜のラジオブース。 あっちとこっち、光と闇。 隔てられているようで、繋がっている。 闇の先に、光がある。 アルピーANNリスナーでよかった。 今度、夜の金沢八景に行ってみよう。 この小説を、なぞって。 明るい夜に出かけてみるのだ。
3投稿日: 2019.10.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
久々に小説を読んだ。読み始めたら、止まらなかった。 主人公の富山は大学に馴染めず、ある事件もあって、休学。大学から離れたコンビニでバイトをする。単調な生活だったが、ある変わった女の子と出会い、生活が激変する。その女の子がきっかけで少しづつ富山は変わっていく。 自分はラジオをよく聞くので、アルピーのラジオの話やハガキ職人の話は実に面白かった。富山はラジオを愛していて、生きがいにしていた。唯一の打ち込めるものであった。それでも、人生に悶々としていた。休学中に何をしていたのか、復帰できるのか、答えは分からないが、きっと大丈夫だったのだと思う。気兼ねなく話せる、触れ合える、友ができたから。
4投稿日: 2019.10.20
powered by ブクログ2019.07.03~07.10 今の世の中、大変なんだな。甘いんだよ、と思う反面、かわいそう、と思う。きっと、それは昭和の人間の言うことで片付けられて、叩かれるんだな。みんな、ガンバレ!
2投稿日: 2019.10.13
powered by ブクログ佐藤多佳子作品にしては、半分くらいまでだらだらしていてどうなるのかと思ったけれど、それから話が動いた。どうしたらよいのか模索して悩んでいる大学生が主人公なので、なかなか動けなかったという描写と思えば、読み終わってみてなるほど。
3投稿日: 2019.10.12
powered by ブクログアルピーANNを知らない者からするとやはり少し置いてきぼり感はあったし、夢小説を読んでいるようなむず痒い気分になった。 佐藤多佳子のイメージが少し変わってそれはそれで楽しい。
3投稿日: 2019.09.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
深夜ラジオを聞いていた頃は学生だった。 いつの間にか、ラジオを聴くことが減り、だんだん生活は変わっていった。 あの時の熱量は何処に行ってしまったのだろう。
9投稿日: 2019.09.04
powered by ブクログ自分では、どうしても、自分を許せなかったり、みとめられなかったり。自信が無くなって、越えられない壁の前で、ウロウロせざるを得ないこともある。 でも、そんな時、自分を見ている人から、ありのままに受け入れてもらえた時、初めて許されたと思って、自分を受け入れて立ち上がることができる。 自分でなんでも出来る訳ではない。自分自身すら、自分ではコントロールできない。 一人でいたいけど、人は、一人では立っていられない時があるかも知れない。 人を傷つけるのも人だけど、人を救うのも、人なんやと思う。 お互いに、見守れるような仲間や相方ってやつが居るといいなぁと、しみじみ思う。 人は、一人ではいきられぬ。パンと水だけでもいきられぬ。お互いに響きあって、心が動いて、身体が動いて、また、それが誰かの心を動かして。そうした連鎖、相互作用の中で生きていくもの。 そうした響き合うことは、クリエイターや表現者の原動力となるのだろう。でも、そうした表現の世界だけでなく、日常の人の営みの中でも、どうせなら、心地良く響合わせて、行けるといいなと思う。
6投稿日: 2019.08.12
powered by ブクログ私が社会人になった頃、普通にやっていれば分相応のところに就職でき、少し頑張れば背伸びをしたところにも手が届き、そうして入った会社では、ひとつのところがダメでも別の部署でまた機会が与えられ、何よりどこにあっても上司や先輩が一人前の会社人になるために目をかけていてくれた。 今思うと恵まれた時代だったな。 この本を読むと、高望みもせず普通に生きることすらが難しくなった時代が見えてくる。 主人公の富山は、あるトラブルがきっかけで、大学を1年休学し、実家を離れて、コンビニのアルバイトをしながらの自立を始めた。 そのトラブル、現実から解放されて寛いでいた筈のSNS上の世界から攻撃されてリアルな生活が破壊されたものというのが、まず今様。 読み進めると、富山はラジオのリスナーとして投稿したネタをたくさん取り上げられる「ハガキ職人」として名を馳せていたことが分かってくる。 そうした何らか才能に恵まれていたとしても、一度叩かれた自信は戻らず、人に言えない葛藤を抱えたコンビニのアルバイトでは、人に対して臆病で人間関係は苦手なまま。 だが、コンビニのバイトリーダー・鹿沢や、同じラジオ番組のヘビーリスナーらしい女子高生・佐古田と交わることで、徐々に本当に少しずつ世界に色が戻ってくる。 こう書くといささか平凡な話に見えるのだけど、ラジオの深夜番組や色んなSNSを介して行われるコミュニケーションの使い方がうまく、加えてコンビニのオーナーや他のバイトととのリアルなやり取りが綯い交ぜになって進むお話は現実感に溢れて、主人公の心の在り様が痛いほどに伝わってきた。 例えば、ラジオの世界でしか承認されていなかった富山がコンビニの副店長に認められた場面など、この本を象徴するような場面だが、こういう場面がなくなっているのが、今の世の中なんだろうなと思えた。 物凄く感動する場面とか、そういうことはないのだが、真摯に今の世の中を映し、そこで若い人たちがもがいている姿がじんわりと伝わる作品。
4投稿日: 2019.08.05
powered by ブクログ人を大切にする、応援するって、こういう関わりのことだなって思った。温かさというか。33歳になっても21歳の主人公の気持ち、同じだなと思う。あと、作中の若者言葉、適切に使われてる気がしたけれど、私が歳を取ったからリアルな若者言葉わかんないから違和感無いだけか?昔は、こういうその時期の若者言葉を多用した若者1人称の小説を読むと、一部使い方やノリが自分の若者としてのリアルと違って、違和感あったもんね。
5投稿日: 2019.07.07
powered by ブクログ佐藤多佳子の明るい夜に出かけてを読みました。 主人公の富山はラジオ番組に投稿する「職人」でしたが、ネットでさらされてしまったため、トラウマをうけて大学を休学しています。 1年間の休学中は実家から離れて一人暮らしをしながらコンビニでアルバイトしている富山ですが、ラジオネームを変えて深夜ラジオ番組に投稿をしています。 そんな富山はコンビニバイト仲間の鹿沢、高校の時の友人永川、ちょっと変わった女子高生佐古田との関わりの中で自分と向き合っていくのでした。 一人になりたいはずなのに、誰かとつながっていたい富山のジレンマが暖かく描かれています。 変人の佐古田がとってもキュートで気に入りました。
5投稿日: 2019.07.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
素晴らしかった。 深夜ラジオ投稿、コンビニバイトをしていた自分には刺さりまくった。 この作品の何が凄いって、50代の著者が、10代20代の投稿者の心情をこれでもかとリアルに描いているところだと思う。 あとがきに書いてあるとおり、著者も谷村新司のセイヤングからラジオを聴いている古参らしいが、それでもここまで投稿者の心理を事細かに描けるだろうか?膨大な取材をしたのだろうと勝手に予想している。 過去の伝説的ラジオ番組をYouTubeで聴くと聞いて世代を感じた。自分の時は先輩職人の大切な録音テープを郵送で送ってもらってたな… くりぃむは安定の面白さ。アルピーは不安定の面白さ。この表現は言い得て妙と思った。しかしラジオ以外でもなんでもそうだけど、生まれてきたタイミングというか、この世代に生まれてきて良かったなと思えるものがあることは、何よりも幸せなことなんだと思う。 主人公が誘われるも、難色を示してフェイドアウトし、次の章ではアメーバピグのアバターを作成してる描写で始めるあたりは、とても上手いと思うし、気持ちがいい。ついにやけてしまった。全てを説明せずに伝えるのって、自分の中で強い。 改編期との戦いでの一文。 「好きなラジオの終了は、みんなで遊んでいた空き地が無くなってしまうようなものだ。」 空き地といえばドラえもんを連想してしまうが、これはほんとにラジオ投稿者にしか共感してもらえないあるあるかもしれない。それだけに胸にガツンときた。小さなコミュニティでの皆が思っているであろう思いを、代弁してくれた時の高揚感は凄い。アドレナリン出まくりである。 最後に、この本は、青春真っ只中の人、青春とは無縁の生活を送っている人、青春なんていつのことだっけという人、全ての人に刺さる名作であると断言できる。是非騙されたと思って手にとってみて欲しい。
4投稿日: 2019.06.15
powered by ブクログラジオかあ。中高生のときは結構聴いていたのですが、最近はほとんど聴かなくなっちゃいました。自分はどちらかというとお笑いよりも音楽が目当てで、昔好きだったのは(FMだけど)赤坂がやってたミリオンナイツかな。22時スタートだけど深夜ラジオみたいなノリが楽しかったです。火曜日にやってたうさんくさいポップスとか(今YouTubeで検索したら「雪子のロック」で久々に吹いた)、CHAGEと「ふたりの愛ランド」を巡る因縁の対決?とか、木曜は23時からB'zのBEAT ZONEを流れで聴いてファンになったり(初めて「LOVE PHANTOM」が流れた時の衝撃といったら!)、ああもう懐かしいなあ。自分と同じ世代だったら、似たような思い出のある人って結構いるような気がします。 前置きが長くなりましたが、本作で重要なモチーフを占めるのはそのラジオです。とにかくラジオ愛が溢れまくっっている点は読んでいて清々しかったです。今はネットというかスマホがあるし、若い人たちってもうほとんどラジオ聴かねえんじゃね?とも思ったのですが、オールナイトニッポンなんかはまだまだ人気があるみたいですね。ちなみに自分、ANNは夜更かしが苦手であんまり聴いてなかったです(当時は25時スタート)。 主人公はある出来事で心に傷を負い(この設定はあまり好きではない)、大学を休学してコンビニの深夜バイトに励む富山。ある日、店にやってきた女子高生の客・佐古田のカバンに付いたバッジから「アルコ&ピースのANN」の「職人」であることに気付いたことをきっかけに、バイトリーダーの鹿沢、旧友永川を含めた4人の交流が始まります。交流の具体的な中身は読んでのお楽しみということで伏せますが、やっぱりベテランの著者だけあって色々とうまいですね。例えば青春小説の王道路線をいくのであれば、富山が病気を克服して佐古田とくっつきハッピーエンドを迎える、っていう展開にしそうなのですが、そこをぐっとこらえてああいう締め方にしたのはとても良かったと思いました。この後を想像する余地が残るのはもちろん、ドラマの結末のように0か100じゃなくてもいいんだよっていう、似た境遇の読者に対する著者の思いやりなんじゃないかと自分は受け止めました。また、インターネットによるコミュニケーションを割と肯定的に描いているあたりも新鮮に感じました。 アルコ&ピースをはじめ、実際にある固有名詞が数多く登場するのも本作の特徴の一つです。まあ好みの問題ではあるのですが、そのあたりが普遍的かどうかっていう点でみると、単行本から3年経った今読んでも違和感はありませんでしたが、10年後はちょっと分からないですね。そこが弱いといえば弱いかなあとは思います。
4投稿日: 2019.06.09
powered by ブクログ時報が鳴って、ジングルが鳴って、爆笑問題が喋りだすのを聴いて安心するくだり、すごく共感できる。あまりアルピーには詳しくないけどこれを期にもっと聴いてみようと思った。
2投稿日: 2019.06.02
powered by ブクログ2017山本周五郎賞受賞作。初めての佐藤多佳子さん深夜放送オールナイトニッポン金曜日1部アルコ&ピースはがき職人を目指すも挫折し休学してしまいコンビニ深夜アルバイト主人公がリスナー仲間やコンビニ先輩との交流で再生を図るお話。懐かしい深夜放送、深夜コンビニの世界、作者の若者を観る優しさがいい感じです。
4投稿日: 2019.06.01
powered by ブクログ初めてこの著者の作品を読んだ。情景描写と会話以外ほとんど主人公の心情で物語が進むので、あっという間に読めた。若者の心情描写はあまりにもリアリティがあってSNS等の若者文化もこれでもかと取り込まれていて、「一体何歳の人が書いているんだろう?」と著者を調べまさかの50代に心底驚いた。 アルピーのラジオは聞いたこと無いがそれでもこの深夜ラジオや深夜のコンビニの雰囲気にネット文化、刺さるものがありすぎて。読み終わった後、ラジオが聞きたくなった。
4投稿日: 2019.05.29
powered by ブクログひとりだけどひとりじゃない。 ラジオを通じて出会う人たち。 夜はひとをワクワクさせてくれる。 緩い繋がりかもしれないけど、その緩さに救われるひともいる。恋人らしい事って何だろう。常に一緒にいなきゃいけない。そんなことはないと言う高校生の佐古田の言葉が印象的でした。 久しぶりにラジオを聞いてみるのも良いなと思いました。
4投稿日: 2019.05.28
powered by ブクログ深夜ラジオの世界も深夜コンビニの世界も知らないからか、時々何のこと?と意味不明の事態もあったけれど。ふ~~ん、こんな世界で息をしている子たちもいたのだと思う。 夜中に、目が覚めて寝られず知多半島の堤防で暗い海を見ていた時間を思い出す。
5投稿日: 2019.05.26
powered by ブクログなんだろう。 初めての世界観。あっという間に引き込まれてしまった。 気づけばどっぷりハマってたって感じ。 ラジオも聞かないのに、最後は熱くなってしまった。
6投稿日: 2019.05.21
powered by ブクログ鹿沢さんが好きだなと思った。 責めるのでもなく追い込むのでもなく、何か傷を抱えているのだろうなということを察して、さりげなくフォローするというか。こんな風に、ゆるやかにつながっていく術を見つけていくことが大切な時代になっているのかもしれない。 このタイトルにこめられただろう願いににじんわりきた。
6投稿日: 2019.05.19
powered by ブクログ佐藤さんの小説は「一瞬の風になれ」がすごくよかったので、こちらも読んでみた。 なにげない日常の描写だが、なぜかとても心に残る話だった。人間ってちょっとしたことで落ち込んで、ちょっとしたことで励まされて、、、っていう日常の「ちょっとしたこと」って実はとても大事で意味深いものなんだなあ、と感じた。
4投稿日: 2019.05.18
powered by ブクログ映画「モテキ」のエロさをなくして、甘酸っぱく仕上げたような世界観。森山未來主演で映像化してほしい。いやー好きな世界観ですね。 深夜ラジオ、深夜コンビニバイト、こじらせ大学生、こじらせ高校生、どれかにビビッと来た人はきっと楽しめる作品だと思います。 私は深夜ラジオ聴いてて、深夜コンビニバイト経験者なので、その「あるある」な内容で引き込まれていきました。テンポがよくて、お気楽なストーリーかなと、途中までは思ってました。 けど、中盤以降で割とディープな展開になり、ココロをぐっとつかまれました。不意に涙がでました。 佐藤多佳子さん作品は、若者の心理描写が絶妙です。よくある恋愛ドラマみたいに分かりやすい感じではなく、「リアルな大学生、高校生の日常」に近い感じ。そんな平凡さに胸を打たれるのは、なんだろう。。と頭の片隅で意識しながら読んでると、、多分登場人物がみんな、不器用ながら一生懸命であるということかなと、思いました。
7投稿日: 2019.05.15
powered by ブクログこれは、良い。読んでてお腹の中が熱くなるような感覚。山本周五郎賞受賞作にはやっぱり外れがないな…私の好みと合うのかな。
4投稿日: 2019.05.08
