
総合評価
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進化論が進化していく
進化論の歴史における 選択か偶然かの一進一退の論争をカタツムリを軸に描き出す。進化論の進化の歴史というべきか。読んでいて、わかったようなわからないような気分になる。適応主義陣営も遺伝的浮動がまったくないとは言っておらず、中立説陣営も自然選択の存在を認めていないわけではない。ワタクシの理解では程度問題の話をしているのである。なのに(またはそれゆえに)この激しい議論
0投稿日: 2024.04.26
powered by ブクログカタツムリを題材とした進化生物論という、凡人にはほとんど縁も馴染みもない話を、ここまで読ませる内容に仕上げた著者のサイエンスライターとしての力量に脱帽。 一読するとその意味が味わえる「進化とらせんの物語」という副題も秀逸だし、ものの見方が凝り固まってしまうことを「3.14とはなんですか、と聞かれて『円周率!』とマッハのスピードで答えるも、ホワイトデーに思いが及ばない勉強熱心な甲斐性なしがその例である」と書いたり、とにかくライターとしてのセンスが秀逸。 本題であるダーウィン以降の生物進化に関する学説の激突も、いい意味でプロレス的で、とっつきにくい内容であるはずなのに、読む手が止まらない。しかも、著者は若手研究者と思いきや、1960年生まれの教授で、かつ、一般向けの著書はこれが初めてという二重のビックリマークが付く。いろいろな意味ですごい本。 それにしても、本書に数回出てくる、日本人研究者の研究成果に関するくだり…「これは世界的にも極めてレベルの高い斬新な研究だった。だが残念なことに、論文はどれも、海外の研究者の目に届きにくい国内の雑誌に発表されたため、海外にはほとんど知られることがなかった」 著者の無念さがひときわ印象に残る。
11投稿日: 2020.09.26
powered by ブクログカタツムリの研究史を時系列に、世代ごとの人物に焦点を当てながら紹介。登場人物はグールドしか存じ上げなかった。時代によって浸透していた考え方に違いがあるのは印象的。 個人的には海棲の貝類がどのようにして上陸を果たし、ナメクジやカタツムリに進化していったのか、の方が気になった。 環境、同種や捕食者による圧、遺伝のランダム性など、影響要素が多すぎるため、生態系への理解を深めることへの難しさがよく分かる
1投稿日: 2020.08.12
powered by ブクログプロローグでハワイの歌うカタツムリの伝説について持ってくるところでまずしびれた。この音を物語の最重要人物の一人であるギュリックが聞いていたというのも素敵な登場のさせ方であるし、このハワイマイマイの伝説が、最後に小笠原の歌うカタツムリにつながり、人間の作為によって絶滅してしまったハワイマイマイの運命に結び付けられるところなどは、物語の組み立てとして最高に美しいと思った。日本にもついに上質なポピュラーサイエンスの書き手が現れたのかもしれない。 「雲海に包まれたハワイの高峰のように、孤立した高い峯の頂にひとりで上りつめてしまったギュリックの意義、その理論がもつ本当の価値は、当時の主流の生物学者たちに理解されることはなかった。その真の重要性が理解されるのはずっと後のこと。1930年代以降、メンデルの遺伝学とダーウィンの進化理論が結びつき、総合説 - 現代の進化学の枠組み - が誕生するまで待たねばならなかった」 と第一章を締めくくり、そして続く第二章を「眼下に見える海は、白く縁どられたエメラルド色の結晶体のようで、沖に向かって、さまざまに彩りを変えつつ彼方で紺碧の空と一線を画していた」-と始めて、南太平洋のポリネシアマイマイの研究にいそしむクランプトンの話題に振っていく辺りの表現力はため息が漏れるほど素晴らしい。クリンプトンの研究は、ギュリックの中立的な偶然の変化による非適応な種分化を膨大なデータによってサポートすることになるのだ。 ダーウィンに始まり、ウォレス、ギュリック、フィッシャー、ケイン、クラーク、ライト、ドブジャンスキー、ハクスレー、グールド、マイアなど進化生物学の対立と発展の物語がカタツムリの研究をひとつの軸にしてうまく語られる。そして中立進化説に多大な貢献をした木村資生や速水格といった日本の研究者の関係も詳細にわたって語られる。実をいうと著者の千葉氏は速水格の研究室の出身であり、小笠原諸島のカタマイマイのフィールドでの研究も本当に生き生きと語られる。 場所によって変わるカタツムリの殻の特徴は、適応進化と中立的進化の対立に関して、具体的な分化の様子をフィールドで確認することができるため、非常に有用でわかりやすい対象であったのだ。また時代の途中から遺伝子解析を使うことができるようになったことで研究が進んでいった様子もよくわかる。 ポピュラーサイエンスが好きな人にはぜひ手に取ってもらいたい。進化論にそれほど興味がなくても楽しめるはずだ。お勧め。 --- kindle版では、位置で26%のところから参考・引用文献が始まっている。これは紙の本ではどうなってるんですかね。まだまだ残っているつもりで読み進んでいたら急に終わってしまった感があり、めちゃくちゃ長いんじゃないのと思っていたので、ほっとしたのと残念になったのと両方の気持ちがわいてきた。いずれにしても、多くの地道な研究の積み重ねによって出来上がった作品であることはよくわかった。
3投稿日: 2020.05.03
powered by ブクログ生物学の本格的な啓蒙書を読み解くには、専門用語や立論手法に関する独特の難しさがある。本書も例外ではない。まぁ生物学に限った話ではないのだが。 さて、本書は、ダーウィンに代表される適応説と、ギュリックに代表される非適応説が対立しながら発展していく、弁証法的な生物進化論の歴史が綴られる。 7章 貝と麻雀での、古生物学者の速見格の弟子たちのカタツムリの生態の解き明かしがおもしろい。進化の過程が体感できる。 最後には、役に立つことの単面性とも言うべきカタストロフィが静かに伝えられる。 この本を読むと、同じ千葉さんが文を起こされた絵本『カタツムリ小笠原へ』の学術的な意識の高さと子供たちに伝えたいメッセージが明確に分かった。 ※26ページに及ぶ参考文献が岩波書店のWEBにある https://www.iwanami.co.jp/files/hensyu/science/029662-references_1810.pdf
1投稿日: 2020.03.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
著者は速水格のお弟子さん。カタツムリはあくまで手段と言ってるけど、やっぱりこれはカタツムリの本だよなあ。でも進化研究の題材にカタツムリがよく使われていることはわかった。グールドもだよ! それにしても1人で何十年もコツコツと何万匹ものマイマイを採取分類するヒト達。その執念ってか情熱ってスゴい。まあ、絶滅した種もあるってことだけど、それって採取し過ぎで…ってことはないよね?まさかね。 あと、右巻きの貝と左巻きの貝はうまく交尾できないとか、右巻きの貝しかうまく食べられないヘビがいたりとかで、意外に巻きの向きが重要なのには感動した。
1投稿日: 2020.01.15
powered by ブクログ☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆ http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB23794458
0投稿日: 2019.11.05
powered by ブクログちっぽけなカタツムリの殻の色や形にも人間の解けない謎がある。それを探求する人間たちとハワイや日本、カリブ海、ヨーロッパ、いろいろな場所でさざめくカタツムリたちの進化の歌声が作り出す、カタツムリの殻のような理論の進歩。その歌声がかんたんに消えてしまうものであることも一つのテーマであろう。
1投稿日: 2019.05.07
powered by ブクログ「歌うカタツムリ」という題名なので、カタツムリの本と思いきや、カタツムリはたくさん出てきますが、主題は進化論の話しですね。そしてこの本、何と言ってもとても面白い。まるで小説のような感じです。 本の帯で「歴史とカタツムリはよく似ている」とありますが、正にその通りです。進化論はあっち行ったりこっち行ったり、くるくる回って、どこへ行くんだろう?でも最後は絡み合って1つのところへ到達するのかもしれませんね。
1投稿日: 2019.01.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
進化を決定づけるのは環境への適応なのか、運や偶然に類するものなのか。新たな発見があるたびに揺れ動いてきた、その研究史はカタツムリのような螺旋を描く。 カタツムリ(マイマイ)の研究がその焦点になってきたという、その歴史を概観する一冊。 「歌うカタツムリ」はかつてハワイにいたと伝えられる。そのハワイのカタツムリ研究が歴史の始まりだった。しかし、ハワイでも、ミクロネシアでも、小笠原でも、研究の対象になったカタツムリは外来種によって絶滅状態に追いやられたという話がエンディングに控えている。
1投稿日: 2018.12.30
powered by ブクログこれは熱い!進化論の最前線の議論で、カタツムリ類がここまで大きな役割を果たしていたとは!これまでに無い視点で進化論の歴史を語るこの本は、知的興奮に満ちている。生物系に詳しくないので分化のレベルの議論が途中でややこしくなってしまったが、再読したい
1投稿日: 2018.06.23
powered by ブクログ麻雀は進化のようなもの。カタツムリはどんな麻雀を勝ち抜いてきたのだろうか。上がり手をもとに、経過を想像する人たちの論争。 -------- 進化というのは麻雀のようなものだ、という表記があった(正確には方向が違っていて、麻雀が進化のようなもの、ということ)。 局の開始時には、さまざまな可能性があるが、局が進み、選択の連続で、その可能性は狭まってくる。さらに進むと、対戦相手に振り込んだり、というリスクも出てくる。伸るか反るか、そんな選択をしなければいけないし、偶然ひいた牌によって大きく変わることもある。 カタツムリも、貝のくせして陸上に登る、という選択をした。殻がついてくる人生のなか、彼らはその殻をいろいろ変化させていった。 だが、その変化(進化)は、遺伝的浮動によってランダムに起こるという人もいれば、自然選択によって起こるという人もいる。本書は、カタツムリの進化に没入した複数の研究者たちの格闘の物語である。 岩波科学ライブラリーの生き物シリーズは、突き抜けた著者が出てくることが多い。本書にも期待したのだが、前述のように複数の研究者たちの足取りをたどるので、誰か一人突き抜けた、という印象にはなりがたい。それでも、その中で印象深かったのがエドワード・モースだ。彼が貝の研究者ということは知っていたが、日本にはその研究対象がたくさんあるから、という割とベタな理由で来日していたのだ。 同種とされるカタツムリでも、右巻きと左巻きとでは交尾が出来ないのだそうだ。恋矢というスゴイ名前のアレをお互いの身体に出し入れするのだけど、右巻きと左巻きではどうにも体位があわないらしい。なんだかなあ。 カタツムリの話題は『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』にあったなあ。でも鳥に襲われること自体は進化のきっかけにはなっていないらしい。 進化は山登りにも例えられている。麻雀も登山も少ししかしなかった僕は進化しない、わけではないだろうけど、ちょっとブルーになった。なるのがおかしいんだけど。けっこう読むのに時間がかかってしまった
0投稿日: 2018.01.11
powered by ブクログhttps://mainichi.jp/articles/20170806/ddm/015/070/005000c
1投稿日: 2017.10.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ここで明らかになった多様性の本質は、正解が一つではないということだ。重力の問題を解決するためにカタツムリがとった戦略は、平たくなること。塔のようになること。どちらも正解だ。問題が捕食者への対抗であってもこれは同じ。殻を持つという制約のもとで、捕食者の出現は、それを解決するための複数の正解、すなわち複数の防御戦略を導く。戦略の多様性と形の多様性が生まれるのである。(p.151) カタツムリは遠い昔、生物が多様化のゲームを開始してまもない時期に、海に住んでいた祖先が得た性質に、ずっと生き方を縛られてきた。ナメクジのように殻ごと制約を脱ぎ捨てた者を除けば、カタツムリの生き方は殻を背負うことに制約される。ところがその制約ゆえに、環境への適応や捕食者との戦いの中で、多彩な殻の使い方、形、そして生き方の戦略が生み出される。制約ゆえにトレードオフが現れ、それが偶然を介して創造と多様性を産む。(p.159) サイエンスの生態系で行なわれている営みの一つは、真実を知ること、理解することを賭けた戦いである。偶然と必然がせめぎ合い、役立つものとすぐに役立たぬものが密接に関わり合い、その中でさまざまな仮説が生まれ、世代を超えて受け継がれ、拘束され、融和し、データに照らしてテストされ、淘汰されてきた。もしその営みの歴史に気づかぬ誰かが、誰かの役に立つものだけに肩入れすることがあれば、サイエンスにもその外側の世界にも、厄災が訪れるだろう。(p.198)
1投稿日: 2017.10.08
powered by ブクログ題名に惹かれて読み始めたが,副題にあるように進化と歴史の物語そのもの.カタツムリ研究に絞られてはいるが,全ての生き物に当てはまる命題.ダーウィンに始まり,宣教師ギュリックの気の遠くなるようなカタツムリ研究から綿々と続く進化の謎に迫る攻防.いろいろな学説,繰り返される理論,難しくはあるが,興味深いものだった. 出来れば,系統樹やマイマイの写真も添付して欲しかった.
2投稿日: 2017.10.02
powered by ブクログ出版社の紹介ページ: http://iwnm.jp/029662 森山和道さんの書評(日経サイエンス 2017年9月号) 塚谷裕一さんの書評(読売新聞2017.8.6) http://www.yomiuri.co.jp/life/book/review/20170807-OYT8T50064.html 海部宣男さんの書評(毎日新聞2017.8.6) https://mainichi.jp/articles/20170806/ddm/015/070/005000c 佐倉統さんの書評(朝日新聞2017.8.27) http://www.asahi.com/articles/DA3S13104597.html 鎌田浩毅さんの書評(プレジデント 2017年9月4日号)
1投稿日: 2017.06.01
