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ふがいない僕は空を見た(新潮文庫)
ふがいない僕は空を見た(新潮文庫)
窪美澄/新潮社
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総合評価

666件)
3.8
147
242
172
37
11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    登場人物それぞれの視点からの章に分かれてて、この時そんなこと思ってたのか、と分かりながら読み進めていくので、面白かったです。

    3
    投稿日: 2020.06.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    半分、世界ヲ覆フ蜘蛛ノ糸までは、鬱々とした気分で読んでいたんだけど、最後は希望だった。最後まで読んでよかった。暗いだけじゃない。

    2
    投稿日: 2020.05.30
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    5つの章に分かれていて、それぞれ違う人の視線で書かれている。今までこのような作品を読んだことなかったから新しかった。 胸が苦しめられる思いと安心感があり、複雑な心境になる。

    2
    投稿日: 2020.05.24
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    最初エロ小説を買ってしまった!と思ったけど全ての短編がリンクしていて、読み進めるうちにどんどんのめりこんでしまった。 主人公それぞれが、まあまあ重い経験をしてる(不倫コスプレセックス、ネットでの誹謗中傷、いじめ、嫁姑のいざこざ、宗教、親兄弟の関係、親の自殺、貧困、認知症、強制わいせつなどなど…羅列してみると更に重いテーマを感じる…)のにそれがサラッと描かれていて、それらを抱えながら生きている姿がとてもリアルだった。 登場人物がそれぞれ自分のふがいなさを感じながら生きているような気がして、でもそれってこんな重い経験をしてる人たちが、普通に生きていく上では大切で、心の中の強いものを感じることができた。それぞれの重い出来事は物語として結果に救いがあるものでは決してなかったけど、それぞれが生きていく姿を読むことで、ハッピーエンドのような読後感になった。すごく好きな本!

    3
    投稿日: 2020.05.23
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    性へ対する高校生の話 5つの話で繋がる。 、 正直、読みはじめた時結構エグい系のエロかと思ったけど、最初だけ。 ミクマリはそこまで響かなかったけど、世界〜の話から、こういう風に繋がっていくんだってわかってどんどん面白くなっていく。 、 不倫、不妊治療、友達の裏を知った時、結構内容はダークだけど引き込まれる。 セイタカの話が1番好き。  、 読み終わった後の、重松清の解説は面白い。 今まで数少ない読書記録の中で1番好きな解説。

    4
    投稿日: 2020.05.17
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    考えさせられました。 性、妊娠について。 前向きに生きることについて。 ちょうどコロナで中高生の性教育が話題になっている中でたまたまこれを読んだので、ある意味教科書になるなと思いました。 でも最初のミクマリだけ読むんじゃそれには足りない。 これだけだとこんな高校生いてもいいんだ、の消化で終わる。 この斉藤くんは他の話でも自分の過去と戦い続けるから、全部読んでほしい。 ミクマリだけだと描写の綺麗なエロ小説と捉えられちゃうかもしれない。 最後まで読んでようやく性教育となる本だと思います。それも、保険の授業では習いきれないほどの。 セイタカアワダチソウの空 特に良かったです。 この子は絶対強くなる。将来が楽しみ。 こういう内容の小説もっと読みたいです。 「いつか、きっと」の要素が たくさん詰まったこの小説は 前向きに生きることを教えてくれました。 それを感じられるのも価値あるお話だと思いました。 正直そんなに期待せずに読んだのですが、 読後の余韻がすごいです。 重松さんの解説にあった 喪失や欠落の要素のある物語は哀しさをまとえることができるけど既視感がある、そのような本はすでに溢れている 本書はやっかいなものを抱えて生きているということ、それを肯定して生きていく人たちが描かれている というのも納得しました。 気づかなかったけれど言われてみればそうで、加担の哀しみもあるよなあと。 多くの人に読まれるべき本だと思いますが 特に高校生におすすめしたいです。 私も高校生の時に出逢いたかった。 もうそういう後悔がないように 今、たくさん本読む! 改めてそう思いました。

    6
    投稿日: 2020.05.12
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    それぞれの立場での人生の生きづらさが感じられる。 出産する妊婦を支える産婆さんの描写が私にはとても印象的だった。

    3
    投稿日: 2020.04.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    久しぶりの読書だったが、すぐに夢中になって読めた。 あんずにめっちゃ共感した。 写真や動画がばらまかれたということは、あんずは無事離婚できたのだろうか?とふと気になった。 それとも、夫の逆鱗に触れ、なおのこと辛い環境でアメリカへ旅立ったのだろうか? けれど、あんずを想って憔悴していく卓巳を見ると、あんずが羨ましい。あたしも、誰かに深く愛されてみたかった... どの話もみんな切なくて、やりきれなくて、今のあたしには共感するものがあった。 幸せになりたいよな... どうしたらいいのかわかんないけどさ...

    4
    投稿日: 2020.04.26
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    それぞれの立場の人たちがそれぞれ悩みを抱えて生きていて、つらいことばかりだけど、なんとかがんばっていこうとする姿がよかった。

    3
    投稿日: 2020.04.24
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    五編がなんとなく繋がりながら話が進んでいく。 報われないこともたくさんあるし、どうしようもないこともあるけど、生きるしかないねぇって優しく言ってくれてる気がした。 あと五回くらい読み直したいくらい私は好きだったけど、好き嫌いは分かれそう。

    4
    投稿日: 2020.03.22
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    どの主人公も誰かの陰に隠れて悔しさやふがいなさを味わいながら必死に生きている。日常生活やクラスの中だったら、ひっそりとして隅っこにいるような人に焦点を当て、奥深く描かれている。彼らを主役にできるこの小説は本当に良い作品だと思う。とても好き。

    6
    投稿日: 2020.03.19
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    全体的におも〜い感じではあったけど、読みやすかった。実際どうにもならない事は沢山ある。少しでも踏み外すとなかなか元に戻れないのは学校生活だけじゃないなと思った。 マチコの発言にイライラした。自分の子育てをやり直したいが為に孫が欲しい感じが腹立ったわー。あんな姑無理だわー。離婚出来なかったのかな? 田岡さんは何故あんなに優しくしてくれたんだろう。田岡さんのイメージ像がうまく湧かなかった。

    45
    投稿日: 2020.03.12
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    窪美澄 著「ふがいない僕は空を見た」、2012.10発行、連作5話。性と生がテーマのような気がしましたが、難し過ぎて私にはよくわからない作品でした。著者の作品では「やめるときも、すこやかなるときも」のテイストが好きです。

    2
    投稿日: 2020.03.05
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    先輩のインスタから初めて本にハマった思い出の1冊。 それぞれの主人公がリアルでやるせなくなる。 物思いにふける1冊。 とにかく切ない系。 読み進めると繋がる人間関係がなるほど、、 ってなって面白くなる。一気読み。 まさに「女による女のためのR-18本」

    4
    投稿日: 2020.02.20
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    ー なにより惹かれたのは、どうしようもなさをそれぞれに抱えた登場人物一人ひとりへの作者のまなざしだった。 救いはしない。かばうわけでもない。 彼らや彼女たちを、ただ、認める。 どう生きるか、生きてなにをするのか、なんのために生きるのかという賢しではなく、ただ、生きて、ただここに在る 「ただ」の愚かしさと愛おしさとを作者は等分に見つめ、まるごと肯定する。 その覚悟に満ちたまなざしの深さの強さに、ただただ圧倒されたのである ー    ✳︎ 初めはただの官能小説かと思ったけど、2章目からがらりと変わって、全5章の話が全部繋がっていて、最後には胸がきゅ〜っと締め付けられるような、切ない気持ちになった。 ✳︎ 個人的には〝セイタカアワダチソウの空”が好き。 どんなに貧しくても家庭環境が最悪でも、 周りに支えてくれる、良い方向へと導いてくれる人が1人いれば 人生もがらりと変わるんだなぁと思ったし、 田岡さんの、 「そんな趣味、おれが望んだわけじゃないのに、勝手にオプションつけるよな神様って」 の言葉に、こんな風に自分の嗜好を恨んで悩む人も世の中にはいるんだな〜と考えさせられました。 ✳︎ 〝やっかいなもの”を捨てられずにいるふがいない僕たちは、でも、その光がまぶたの裏に残っているうちは、人生や世界について少しだけ優しくなれるような気がする。 重松清さんの解説がとても良かった。。。 2020年読了、4冊目

    4
    投稿日: 2020.02.05
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    窪美澄の別の作品である「よるのふくらみ」が面白かったので、この作品も読んでみました。 本書には5作品収録されており、助産院の息子とその母を軸に、最初の章に登場した脇役が次の章の主人公で、さらにその章で登場した人が次の章で主人公、みたいななんとなくリレーみたいな構成でした。 個人的には上記のような構成は”伊坂さん方式”だなと、勝手にカテゴライズしていたりするのですが、ググってみたところ”連作長編”と呼ぶらしいです。 「よるのふくらみ」の全体的な雰囲気がなんかモヤモヤとエロくて、なーんか人生の歯車が噛み合ってねぇ人達ばっかだなぁ、って作風だったと薄ぼんやりと記憶していたので、本作品に関してもそんな感じかなーって心積もり読み始めたもんだから、「ミクマリ」のド直球エロにいきなり面食らいました。 ちょっとお昼休みに職場で読みづらいんですけどー、とか思いつつ読み進めていくと、どうやら作品中のエロは、エロというよりかは出産に至るまでの過程を連想させるための性の営みって感じなのかなぁとか思いました。 そういう視点で読むならば「2035年のオーガズム」と「セイタカアワダチ草の空」はスピンオフ感があるというか、助産院の息子の外堀を埋めつつ本書の最後に収録されている「花粉・受粉」にバトンを繋ぐ、、といった感じの印象を受けました。 でも、やっぱり全体的な印象は不思議と「よるのふくらみ」と似ていて、”なんだかみんな大変だなぁ”っていうモヤモヤ感でした。 蛇足ですが、重松清の解説がとても素晴らしかったので、今度なにか読んでみようかなと思いました。

    4
    投稿日: 2020.01.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    なんか話題になってたし、表紙とかタイトルとか爽やかな感じだし、と軽い気持ちで読み始めたら強烈なビンタをお見舞いされた気分になりました。 読み進めるのがすごく辛かったです。一章ごとに時間を置かないと、登場人物達が抱える「やっかいなもの」のあまりの重さに潰されてしまいそうでした。 でも、そんなに苦しいのに読むのを止める気にはなれませんでした。それはなぜなのか、言葉にならないモヤモヤを抱えたまま読み進めていったのですが、最終章のリウ先生の言葉を目にした時、私はこれに辿り着くためにこの本を読んでいたのか!とハッとしました。

    4
    投稿日: 2020.01.23
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    初めての作家さん。こちらのインスタでオススメとしてフォロワーさんが紹介されているのを見て。 高校生の斎藤少年は、とあることからあんずと名乗る人妻と知り合い、関係を持つことに。そしてその関係が世間にバラされ、ネットにも晒されることに。 斎藤少年、あんず、斎藤少年の同級生たち、斎藤少年の母。語り手が章ごとに代わり、物語は進んでいく。 登場人物たちは、切なく、心に闇を持ち、思いとは裏腹の行動をしてしまう。読み終わった後やるせない気持ちになる。 読んでる途中、飽きはこなかったけど、再読したいとは思わなかったかなぁ。もう少し、心に残る温かい部分があっても良かったかなぁ、と。

    4
    投稿日: 2020.01.18
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    なんなんだろう。心がきゅーとなった。人は綺麗事だけでは生きてない。普段自分の周りで、何気なく隣にいて、笑ったり、話してる人も、過酷な環境下でもがいていたり、苦しんだりしているんだと思った。人には言えない、言いたくない過去も誰もが抱えているんじゃないかと思った。登場人物1人1人がそれぞれの人生の主人公で、毎日を踏みしめながら生きているんだと思った。なんだろう、口外できないような、人に絶対に知られたくないような、自分の心に潜むどろっとした黒い部分も、なんでこんな酷いこと思っているんだろう自分は、なんてひどい人間なんだって思うような自分の時に冷酷でどろっとした気持ちや考えさえも、愛おしく感じるような本だった。それでいいんだ、そんな自分の一面も抱えて生きていけばいいって思った。 わたしも、自分のやっかいなところ、持て余しているもの、欠落している部分とか、思わず目閉じて耳をを塞いで睡眠に逃げたくなるような部分を、出発点として人生を歩んでいきたい。悲観的にならず、自然のごとく、これから長らく付き合っていかねばならないものとして、抱えながら前に向かって生きていきたい。むしろ、自分のやっかいさを賛美したい。

    7
    投稿日: 2020.01.09
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    なんとなく手にとって読んだもの。 出だしから性の話でなんかちょっとおもしろそうだったから。 とてもおもしろかったので、窪さんの他の本も読んでみたい。

    7
    投稿日: 2019.12.20
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    三者三様、ふがいないひとたちが自分の人生を足掻きながら進んでいく連作小説。 それぞれの主人公目線で綴られているので、各章の文の末尾が「〜した。」「〜た。」などに揃えられていて、独特のテンポがあり読みやすかった。 期待以上の作品でした。

    12
    投稿日: 2019.12.19
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    とても感動しました。一気読み。 導入の「ミクマリ」は、コスプレ主婦と不倫する高校生の過激な描写のエロ小説。割合あっさりと終わり、次の話「世界ヲ覆フ蜘蛛ノ糸」へ。「あれ、もう終わりなの?」と面食らっていると、途中でコスプレの主婦視点の話で、単なる短編集ではなく、繋がっていることに気付く。 「ミクマリ」だけなら、若者が自由奔放な性生活の中でホンモノの愛を知り、ほんのり傷つきながら成長する話なのだけど、そうは問屋が下さなかった。 「世界ヲ覆フ蜘蛛ノ糸」以降で、ストーカー、リベンジポルノ、新興宗教、自然災害、鬱、貧困、認知症、強制わいせつ…など重いテーマがてんこ盛りの恐ろしい話になっていく… 文体が軽妙なのであっさりと読めるけど、なかなか骨太な連作短編集。ラストは晴々しい気分で読み終えられる。 「ばかな恋愛したことない人なんて、この世にいるんすかね ー」って、みっちゃんの一言は救われるな。 あと、「本当に伝えたいことはいつだってほんの少しで、しかも、大声でなくても、言葉でなくても伝わるのだ 」という部分、それが真理なのだとすれば、人生捨てたものじゃない。心が楽になる一文。

    39
    投稿日: 2019.12.15
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    短編集のようで、それぞれの登場人物は繋がっている。同じ世界の中でそれぞれの人が主人公になる短編連。最近そういう作りの本が増えたように思う。タイトル通りの登場人物のようでみんないろいろ悩みながら生きている。味方を変えるとそれってどうよ?と思えるようでも別の角度から見ると苦しんでるというのがわかったりする。

    4
    投稿日: 2019.12.13
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    ◎「セイタカアワダチソウの空」「花粉・受粉」 前半3作が苦手な部類だったので、本選びミスったかなあと思いきや、後半2作が好きな部類で最終的にはプラマイゼロ、いやプラスだった。 空の変化は激しくても、必ず朝が来て、必ず季節は巡っていく。 「セイタカアワダチソウの空」 読後は初めて感じる感情に泣きそうになった。

    2
    投稿日: 2019.12.11
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    R18文学賞とあって、生々しく描いているように感じました。最初は、エロ小説と思いきや、性や生についてのことが丁寧に描かれていました。どっちかというと暗いテーマのことが、あまり暗くなりすぎずに捉えられました。 改めて、様々な人がいるんだなと思いました。どんなことがあるにしろ、全てが解決するわけでもなく、人生はいつまでも続きます。作品のなかでもみんな「生きている」んだなと思わせてくれました。

    3
    投稿日: 2019.11.25
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    最初はただのエロ小説かと思ったら、2章で同じ世界の違う登場人物の視点での話だとわかった瞬間に感動した。 違う人の視点でこんなに受け取り方が違うのかと… やるせないこととか、報われないことが多くて世の中ってこんなに腐ってたっけって思って悲しかった…セイタカは幸せになって欲しい

    3
    投稿日: 2019.10.31
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2019.10.10 図書館 友人におすすめされて読んでみた。 正直、江國香織さんや角田光代さんのような、大人のどろどろ恋愛話だと思って読むことに気が進まなかった。 が!全く想像と違った。 恋愛要素ももちろんあるが、それはほんの一部で、しっかりと人の本質に迫った内容だった。 前情報でえろいらしいというのも聞いていたが、純文学にもよくあるくらいのえろだった。 この本の良いところは、どう頑張ってもどうにもならないことはどうにもならないところ。 ご都合主義も発揮せず、登場人物みんな良い人なのに、どうにもならないことは好転しない。 それでも善良な部分だけは闇落ちせず、受け入れながら生きていく。 これぞリアル! 一緒に頑張ろうという気持ちになる。 どんどん好転する明るい話よりも、どんよりし続けながらも踏ん張っている人を見る方が、身に染みる。 何度も言うけど、どうにもならない感、本当に良かった。 やっぱそうだよねっていう感じ。 あんまりないけど、すっと腑に落ちた。 連続短編の体で、最初に男子高校生と主婦がコスプレ行為をするというトリッキーな展開から、かかわる人それぞれの話に移っていく。 まさかのコスプレ行為の流出で心が痛かった…。 友達の男の子の貧困も悲しい。 すべてもうどうにもならないけれど、受け入れて、努力している。 全員応援したくなる。 終始どんよりしているけれど、最後には、ずーっと先に光があるような気にさせてくれる終わり方。 とっても良かった! 次は直木賞候補になった「トリニティ」を読む。

    2
    投稿日: 2019.10.23
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    R18だけど、汚い表現や暴力的な事はない。涼やかなR18。 斎藤くんとあんずのすっぱさ儚さがよい。セイタカアワダチソウ、田岡さん。どうしようもない性。せつない。 とっても楽しかった。

    2
    投稿日: 2019.10.12
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    ふがいない やるせない ままならない。 自分の抱えるどうしようもないものが呼び起こされて人生を悲観しかけたけれど、なぜだか読後は羊水にくるまれたような温かな気持ちになっている。 私は生まれたままに生きる。 死ぬまで抱えたままで。 そう分かったからか目の前にあった暗闇はもう消え失せた。

    4
    投稿日: 2019.10.04
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    この本は、伝えたいテーマがきちんと読者の心に響くように描かれています。 本文のなかの「やっかいなもの」は、ふと湧き出た自然な言葉のようで説教くさくなく私達の心に入ってきた一言でした。何故だか分からないけれど、印象に残る。だからこそ、重松清さんの解説の中で「やっかいなもの」に触れられた時、ピースがはまったように驚きと感動がありました。 私達は1人1人それぞれの人生があって、さまざまな「やっかいなもの」を抱えて生きている。性別だったり性癖だったり家族の問題は、自分が捨てたくても取り替えたくても変えられるものではない。物語の登場人物は、皆さまざまな形の「やっかいなもの」と向き合いながら生きています。 印象的なセリフは、田岡さんの 「そんな趣味、俺が望んだわけじゃないのに。勝手にオプションをつけるよな、神様って」 「おれは、本当にとんでもないやつだから、それ以外のところでは、とんでもなくいいやつにならなきゃだめなんだ」 という言葉でした。自分の望まないオプションに翻弄されながらも、捨てることの出来ない自分を受け入れていくということ。この言葉は語り引き継がれる登場人物は皆受け入れて行かなければならないことがあり、心情を代弁しているようにも感じました。 読み終わった時感じるのは「生きる力」です。 捨てられない自分、捨てられない現実をどう許し、どう受け入れていくのか。 自分を否定したくなった時、変えたい、変わらなきゃと苦しんでいることがある時にオススメの1冊です

    6
    投稿日: 2019.10.04
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    山本周五郎賞&本屋大賞2位の作品ということで読んでみた。 自分の日常や過去の体験とはかけ離れている登場人物の生き様が重苦しく少し辛かった。 最終章の最後の数ページでようやく気持ちが和らぎました。 やっかいなものを一生かかえて生きていかなくてはならないが、ゆっくりとだけれども前向きに進んでいる姿が感じられたので。

    15
    投稿日: 2019.09.13
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    どんな人でも、「やっかいなもの」を抱えながら悩み、苦しみながらそれでもなにか希望をもって生きてるんだなぁって思った。 「やっかいなもの」があるから分かること、見えるものがあるよね。

    2
    投稿日: 2019.09.10
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    新鮮な文章で、人間の生きる本質を、独特の視線で捉え描写した傑作。ここではなにがどうしたという結論はなく、ただ生のなんたるかを飾り気のないキャラクターをまっすぐリアルに語ることで表現されている。人間というものの何たるかを忘れそうになった方にお勧め。、

    3
    投稿日: 2019.08.30
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    どんな人でも失敗したり、心に影を抱えている。いい人が悪いこともするし、悪い人でも良い事をすることもある。この本はそんなふつうの人々を描きながら、最後はそれでも人は希望を持って生きていいんだなと思わせてくれる。

    12
    投稿日: 2019.08.18
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    R18とかで性描写が多そうと敬遠してたの。読んでる途中から、なんでもっと早く読まなかったのかと思い、私のベスト本の中に入ると確信した。

    3
    投稿日: 2019.08.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    神様は余計なオプションをつけたよ っていうセリフが重くてずっと残ってる。 田岡さんいい人だったから頼むから問題起こすなって思ってたけど、カウンセリングまで受けてもそうなっちゃう人もいるんだよな生まれながらの性癖ってどうしようもないからつらい。

    4
    投稿日: 2019.08.08
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    15歳の少年が起こした事件とそれを取り巻く人々の群像劇。 章ごとに主人公が変わるので、次は誰の視点かなと想像しながら読むと楽しい。 物事は視点によって見方がかわる。 わかっていると思っていたことでも、 それぞれが持つ背景によって意味がかわる。 誰も悪くないんだよな。

    4
    投稿日: 2019.08.07
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    窪さんの本は二冊目。この本は不思議な読み応えのある本です。 連作の短編集のような構成で、とある高校生と、その高校生と不倫している女性のお話が前半、二人の話が終わった後は、友人や母親の話になります。 斎藤くんとあんずの話が強烈だったので、その後のストーリーが展開されるのかと思いましたが、この小説で描こうとしているのは、解決ではなく、自分にとっては手が届からないこと、どうしようもないことに対して人が翻弄される姿です。 翻弄といっても、登場人物たちは、出来事に対してもがくことはなく、過ぎ去るのを待つばかり。もちろん行動もしますが、問題を解決するための行動とは少し違います。 時には感情が弾けてしまうこともあるけれど、積極的な行動に移ることはありません。 どの話も暗さや陰湿さは感じられないけれど、冷静に考えてみるとどの話も大変な環境にいるのがわかります。 不妊治療だとか、育児放棄だとか。 それを淡々と描いて、必要以上に同情を誘わない描き方に好感が持てました。 なんの解決もしていない話ばかりなのに、少し前向きになれました。 おそらく、受け入れることがポイントなのかなと思います。 立ち向かうのではなく、抗うことはなく、受け入れたり、過ぎるのを待つ。 そうしていると、少しだけ展望も見えてくる。 テーマがあるかはわかりませんが、時に出てくる言葉の中にハッとさせられる言葉もある。 読む人にとっていろいろな意味を見出せるような、登場人物の多彩な姿も魅力的です。

    8
    投稿日: 2019.08.02
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    2011年山本周五郎賞受賞作品。 性に関する描写にインパクトはあるが、登場人物がそれぞれのふがいなさ、やっかいなものに苛まれながらも生きる意味を教えてくれる。短編のように読める各章。重松清の選評以上はない。

    8
    投稿日: 2019.07.23
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    ジャンル付けが難しい小説。序盤からいきなりR指定要素満載のお話であるが、ただの官能的なお話で終わらない。いわゆるオムニバス形式で登場人物を多角的に描く体裁を取っているが、どれにも共通するのがずばり「性」について。 しかし、ただの「性」ではなくそこには「生」もあるということをまざまざと意識させられる内容となっている。 内容としては非常に有益なものであるのだが、友達とかにお勧めできるようなタイプの小説ではない。

    3
    投稿日: 2019.07.14
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    R18だけあって始めの性描写は強烈なインパクトが…覚悟必要です。読み終わって性と心、環境、切なさ、色々な複雑な気持ちがが入り交じってすっきりしない読了感。

    1
    投稿日: 2019.06.24
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    展開があるわけでも、何かが解決するわけでもない不思議な読後感。解説の重松清の文章を読んで、すごい納得した。 いろんな人が「やっかいなもの」を抱えて、それでも日常を過ごしてるんだなあ、ってことが感じられる。

    3
    投稿日: 2019.06.22
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    登場人物はみんな「ふがいない」かもしれない。でも彼らは決して特別ではないのでしょう。ほんの少しの弱った心、あるいは心のゆるみやすき間にすっと忍び込んできた誘惑に絶対に負けないと誰が言いきれますか?「セイタカアワダチソウの空」がとても好きです。良太に持っていかれたのはもちろんですが、田岡が自分をとんでもないやつだとわかっていて他で帳尻を合わせようとするところが何とも哀しいのです。普通に生きるのは想像以上に難しい。誰もが「やっかいなもの」と上手く折り合いをつけて生きていくしかないのです。空には何が見えますか。

    0
    投稿日: 2019.06.14
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    描写がうまい。登場人物や周りの様子とか立体的に浮かび上がる。思った終り方とは違ったけど、思ったよりかなり深かった。何か考えさせられる。

    3
    投稿日: 2019.06.08
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    素晴らしい小説。もっと早く読むんだった! 冒頭の性描写がけっこうキツイので、なんだかなあと、読むのを後回しにしてたんだけど、そういうかたも、ちょっと我慢して先を読んでみてほしい。どんどん良くなるから。 こんなにも心を揺さぶられた小説は、久しぶり。登場人物全員が、愛しく、人間が愛おしく感じられる。 映画版も見てみたくなった。窪美澄さんの、新しい作品もできるだけ読みたい。

    4
    投稿日: 2019.06.02
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    あとがきにも書かれていたように、言葉遣いや描写の書き方がすごくよかった。劇的なストーリーではないけれど最後まで飽きずにぐんぐん読めた。どの登場人物にも胸が痛くなる事情があって、でもみんな前に進もうとしている。前に進まないといけないと思えた。

    4
    投稿日: 2019.05.22
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    人は皆どこかが歪みつつ困った状況のなかにいる。それでいて辛うじてでも希望を繋ぎ生きている。それは、私からすると至極…。共感を呼ぶのかもしれませんが、私にはイマイチ響きませんでした

    1
    投稿日: 2019.03.31
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    2019年10冊目。 第1章の熱量がすごい。隙のない描写に胸が詰まる。さすが受賞作品。短編としての完成度とその余韻に浸る。そこから派生したであろう物語も、世界観の広がりを感じさせる。最終的な帰結はない。だが、淡々と流れていく時間の中で登場人物たちが「やっかいなもの」を背負って懸命に生きていた。そこにこの本のスゴさがある。

    10
    投稿日: 2019.03.04
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    とても衝撃的で、とても面白かったです。 性をやっかいなものと捉える筆者の主張に共感。 こういった小説は初めてな為、濃い性描写にドキドキしつつも、いつのまにか登場人物の抱える欠落(やっかいなもの)に惹かれていく。 自分の欠落を肯定的に捉えるわけでも改善するわけでもなく、ありのままに捉える。救われないだけに現実味を帯びてくる。自分の嫌な部分が見えてくる。性欲なんかなければいいのに… 性と生について考えさせられるとてもおすすめな一冊です。

    2
    投稿日: 2019.02.25
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    第8回女による女のためのR18文学賞大賞、第24回山本周五郎賞、2011年本屋大賞2位を受賞している作品です。 R指定だけあって序盤は濃いめの性表現が続きますが、 その後の他者(社会)から主人公たちへ浴びせられる容赦のない言葉の方がむしろ強い印象を与えます。 悪意はないものの、社会に適合しない「やっかいな」問題を持つ登場人物たち。 不器用に、そして「それでも生きていく」彼らの姿に、読んだあと少し他人に優しくなれる気がします。

    3
    投稿日: 2019.02.13
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    これは評価が別れると思うし、レビューが難しい。 いろんな意味でリアルで「どうにかならんかねぇ」と思いながら読んでいった。 捉え方にもよるけど結構大切な事を教えてくれる小説です。 基本的には読みやすい。

    4
    投稿日: 2019.02.07
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    小説が苦手な人が読みやすい本かもしれない。 導入はエロ。 男子高校生と主婦の不倫を中心に物語は進行する。 物語で繰り広げられる いじめ、引きこもり、、、、。 気が付くと、エロさの興味本位から読んでいたはじめとは違い、 物語のストーリー性に惹かれる。

    3
    投稿日: 2019.01.27
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    どういう内容かをまったく知らずに、いつものように通勤電車で読み始めて、18禁内容にえぇ~となりました。 目を背けられない何かが問われているようで、読み続けたいと思ったのですが、さすがに途中で家での読書に切り替えました。3つ目のお話を読み終わったあたりでのことだったのですが、その後は18禁ぶりは、やや控えめで、ちょっと苦笑。 確かに、性がもたらすあれこれは、自分が思っている自分を超えたとこがあって、時にそれに振り回されながら、まぁ、しかたないわなぁと思いながら、苦笑いしながら生きてるとこはあるのでしょうね。というか、人生全般にそれは当てはまるのだろうけど、性が絡むと特に!ということでしょうか。 否定も肯定もせず、それぞれの性、それぞれの生を淡々と描き出す手法の向こうに、祈りのようなものを感じる小説でした。

    3
    投稿日: 2018.12.07
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    面白かった。 R-18文学賞ということで少し過激な性描写があるが全然嫌な感じじゃ無い。性と生を通して人間が抱えているいろんなもの考えさせられる物語だった。 ひとつの出来事をそれぞれの立場の人の目線で追っていってるんだけどそれぞれの色んな思いが伝わってきて一緒になって悩んだり苦しんだり喜んだり物凄く引き込まれた。 最後の花粉・受粉ではなんだか自分の子供たちが生まれてきた時のことと重なって命の誕生の素晴らしさと神秘を感じることが出来て凄く良かった。

    2
    投稿日: 2018.11.16
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    人間誰しも「やっかいなもの」を抱えている。思うように生きられない人生でも、きっとどうにかなるはずである。

    2
    投稿日: 2018.11.07
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    最初はさすが過激だわーと読み進めたが、自分の子育てとオーバーラップし、最後は泣いた。窪美澄さんの作品をもっと読んでみたい。

    3
    投稿日: 2018.10.29
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    全員救いようがない様に思える、実際救いようがないとおもう。だけど、最後の最後で窪さんは救いの手を差し伸べてくれる。私も救われた。

    2
    投稿日: 2018.10.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    さすがR指定かかるだけあるわー。と思って読んでたけど、それよりも気づけばストーリーに引き込まれた。 5人のストーリーが繋がって且つ誰もが自分の嫌な(過ち?)部分を持っていて、だからこそのこのタイトルなんだと感じた。

    1
    投稿日: 2018.10.10
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    自分ではどうにも持て余す事情を抱えた人たちの話。 1人の男子高校生を中心に各登場人物毎の視点で話は進んで行く。 それぞれが抗えない事情と折り合いをつけるが、それは救いではなかったりもする。そういったものを抱えながらも自分自身に折り合いをつけて生きていくものなのだと言うことなのか。

    2
    投稿日: 2018.08.23
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    世の中の人はみんな闇というか隠したい秘密を抱えているけれど、それを見せないようにして必死に生きている。と思うと少し安心した。子どもが欲しいと漠然と感じた。

    3
    投稿日: 2018.08.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    3.5 高校1年の斎藤と主婦の不倫を巡る各人物視点からの短編集。不倫の時期から、それが露見した後のところまで描かれる。それなりの性描写もありつつ、不妊と姑の間で悩む主婦あんず、露見した後に学校や自宅に送られ孤立するたくみ。たくみを好きな同級生の七菜や助産院を営むたくみの母。あんずの夫慶一郎からのリベンジポルノは徹底的で壮絶。不妊、妊婦、分娩、帝王切開など命に関わる話も多い。解説にもある、どうしようもなさを各々が抱えた登場人物だが、彼らを庇うわけでもなく救うわけでもなく、ただ認める。どう/なぜ生きるかといった賢しさではなく、ただ生きて、ただここに在る、その愚かしさと愛おしさをまるごと肯定するような小説。確かにそのように感じられる。なかなか面白い。

    1
    投稿日: 2018.08.18
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    セックスフレンドは子供が産めない身体の人妻で 高校生の斉藤くんにコスプレを強要してくる ぼんやりした気性で、子供の頃からいじめられてばかりの彼女は 高校生をコスプレセックスでリードしてる間だけ 物語の主人公だった ところがそんな関係も旦那にはバレバレ 嫉妬した旦那は一部始終を撮影し、インターネットで拡散の後 代理出産を行うため、妻を連れてアメリカに行ってしまう ショックを受けた斉藤くんはふぬけになってしまい もちろん拡散された動画のこともあって、不登校になるのだが まあ周囲の人間関係にめぐまれていたおかげで なんだかんだありつつも立ち直っていく

    2
    投稿日: 2018.07.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「ふがいない僕」達による連作短編。 この世の中、いかにちょっと冴えない「ふがいない」男女の多いことか。 それはいじわるな神様の気まぐれないたずらなのかもしれない。 窪さんは人が抱える寂しさや孤独を描くことが巧い人だとしみじみ思う。 みんなほの暗く、途方もない「やっかいなもの」を抱えもがき、それでもちょっとずつ前へ進む前向きさも感じられる。 そんな「ふがいない僕」達のことをやりきれない思いで読み進めながらも、嫌いになれず、むしろ愛おしくさえ思える私もいる。 窪さんのデビュー作は私の心にいつまでも優しい余韻を残してくれた。 読み終えた私も空を見上げる。 僅かばかりの青空も曇り空の隙間から見えるはず…今まさに、そんな気分。

    17
    投稿日: 2018.07.09
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    「悪い出来事もなかなか手放せないのならずっと抱えていればいいんですそうすれば、オセロの駒がひっくり返るように反転するときがきますよ。いつかね。」 登場人物みんな不甲斐ない。だけどみんな何かしらの『やっかいなもの』を抱えながら一生懸命 生きている。私の中にある『やっかいなもの』も死ぬまで抱えて生きていくしかないんだな〜。

    2
    投稿日: 2018.07.01
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    2011年 本屋大賞2位 まだこういう本は好きになれない 少年漫画的な ハッピーな話じゃなくて ちょっとくらい現実の話

    0
    投稿日: 2018.06.25
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    「生きていく」という「現実」が描かれています。抱えているどんな問題も、指をパチンと鳴らすくらいの出来事だと思えたなら。

    2
    投稿日: 2018.06.12
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    晴天の迷いクジラを読み窪美澄ワールドに嵌り読んでみた。あらすじを見ず読み出したのでちょっとびっくり。なるほどR-18である。でもとても面白かった。

    1
    投稿日: 2018.05.28
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    何年か前に見かけたときは、裏見て、急いで棚に戻して、手に取らなかったことにしたんだけど 昨日は帯見て裏読んで、最初だけって思って、表紙がまわりにバレないようにすごい反らせてよんでみた 最初から、女の人が書いたとは思えないくらいで、読んじゃいけないもの読んでる気持ちで、だけど、とめられなくて、自分がいちばん悲しかった日に、いちばん自分じゃなくなったことをおもいだして、温度をおもいだして、なきそうになった 主人公たちの視線とか光とか音しか描かれてなくても、感情が痛いほどつたわってくる どの登場人物たちもどうしようもないほど人間らしくて、欠落してて、それでも必死で生きていて、読み終わった時にはひとりひとりをいとしく思ったし、この世界まるごと受け入れられる気がした 期待してたただの官能小説じゃなくてよかった笑、性から生への昇華って、はてなだったけど、よみおえてなんとなくわかったような でもそのリッシンベンの意味はなんなんだろう、消えちゃうと何か洗練された清いものに変わった気がするのに、15年も経てばまたついてきちゃうんだね やっかいったらありゃしない あんずとさいとうくんみたいな、そこまでの愛を経験できる自信がないなあ まわりからどう思われたってお互いがいればいいのに、一緒にいることはかなわないし、かなわないってわかってるけど後戻りなんてできなくて、まわりから石をなげられることになって、それがすごくつらくて、自分だけじゃなく家族や友達にも迷惑かけているのがいやで、どれだけつらかったんだろう、とおもう それなのに自分の周りの人は自分を諦めてくれないし、もうやになっちゃうよなあ そんなときにわたしたちは空をみあげるんだ どうか今日もあのひとが寒い思いをしませんように なんてそんな言葉のやさしさがあったかくてつらくなった 読み終えたらここらへんの、あかりがついてるおうちの家族と、そのとなりの家族と、その友達くらいまで、みんな幸せになってほしいとかそんなこと思える本

    8
    投稿日: 2018.05.16
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    一話を読んだだけではわからない、 それぞれの心の動き。 性から生に変わってきた辺りからのめり込んだ。 福田くんが田岡さんの今を祈ったように 私は福田くんとあくつの 未来の道が開かれることを 祈らざるを得なかった。

    3
    投稿日: 2018.04.30
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    以前から気になっていた作品でした。冒頭のエロシーンからエロ小説かと思いきや妊娠や家族がテーマになっているお話でした。人間ってどうしてこんなに醜いのか 幸せを願う。

    1
    投稿日: 2018.04.20
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    何も知らずに読み始めたため、 冒頭のエロ描写にビックリ。 この本大丈夫か?と思ったが、良くできた群像劇で、途中からは安心して読むことが出来た。 人間の性と生と青春と。 男も女もみんな複雑な思いをもって生きていて、誰もが一歩踏み外すリスクを持っている。 読んでて何ともいえない気持ちになるが、最後の助産院の回が生が産まれる瞬間を描いていて何とも力強く、前向きな気持ちで読み終える事が出来る。

    3
    投稿日: 2018.03.17
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    初めての窪美澄さん作品。 以前、ミュージシャンの前野健太さんと「性」をテーマに対談されていたことをきっかけにずっと興味があった作家さん。 予想通り、冒頭から高校生と主婦のコスプレセックスの描写が出てきて、度肝を抜かれるが、 不思議と異次元のお話という感じがなくて、嫌じゃない。 出産、妊娠にかかわる描写も多くて、 私自身妊娠していることもたまたま重なって、性は特別なものじゃなくて、生活の一部だものね、 と妙に納得しながら読み進めた。 様々な生きづらさや、やるせなさを抱える登場人物たちの事情や心の中が、丁寧に描かれていく。 ハッピーエンドばかりじゃないけど、それでも人生を肯定していくような、そんな気持ちになれる読後感。 きっと、窪さんって優しい人なんだろうな。 他の作品を読んでみよう。

    4
    投稿日: 2018.03.07
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    ドラマが繋がっていく。ある短編の脇役にスポットが当たり、次の短編の主役として、連作短編の形式が取られている。個々に事件性を孕み、それを引きずったまま、次の短編に移る。コンプレックスや問題を抱えながら、救いは無いが、恥を抱え必死に生きようとする様が、読者に奇妙なカタルシスを与えてくれる。下品で貧乏で、人生に半ば諦めていたり、病気だったり。性と生を軸に、閉塞感を描き、そこを切り開くでもなく、しかし、閉塞の底から、空を見上げよう、という、現代の階級社会を皮肉に描いた世界観にも見える。パッと見、エロ本みたいな仕立てだが。

    2
    投稿日: 2018.02.25
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    この痛々しい人々よ。皆さん厳しい日常にも負けずに生きていく、そんな姿を見ていると、自らが慰められるのか、優越感に浸って自己満足に陥るのか、それとも。まぁそんな自己解析は置いておくとしても、こういう話は好きなんよねぇ。つまらん恋愛してないやつはいないっすよ、って言われれば、うむ、とうなずき膝を打ち。性欲と恋愛の境目なんて分からんよ、って言われれば、ハイルヒトラーと言って敬礼である。そんな分かる分かるスポットがいろいろ出てきて、まぁぶっちゃけ感覚が合うんだろうなぁ。 でもここに出てくる人達みたいに、何をやってもちょっとうまくいかない、みたいに生きてるわけでもなく、実は全然違う世界を生きてるのに、でも分かるわー、とか言っちゃってる分かったふりの自分に乾杯、という上から目線気分が多分一番好きなんだよね。

    4
    投稿日: 2018.02.23
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    何とも表現しづらい。なぜか分からないけど、若い頃のとんがった感じを連想する。強いていうなら、ビレバンとかであの黄色いPOP付きで紹介されそうな。(知らないけど) 映画も見たけど、どっちも同じ印象だった、ってのも珍しい。

    3
    投稿日: 2018.02.18
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    自分が抱えている悩みなど、隣人からすればちっぽけな物かもしれない。そこに「つながり」があれば悩みの比重も減る。分散された悩みは軽くなり、いつしか遠くまで飛んで行っちまう。そして新たな悩みを抱えた時、再度つながりが力を発揮する。5編の「つながり」が絶妙なこの作品。前のめりになりつつ、最後まで堪能した。卓巳と良太。頑張れ!

    1
    投稿日: 2018.02.13
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    それぞれがそれぞれの苦悩の中でもがき苦しみそれでも生きていく。いいことも悪いことも長くは続かない。それが人生だから。美しい物語だなって思った。

    1
    投稿日: 2018.01.14
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    R-18文学賞大賞、山本周五郎賞受賞のW受賞作。したい年ごろ高1の斉藤君と、深刻な家庭の事情を抱えるコスプレ主婦の物語りではじまる。斉藤君の実家が助産婦所を経営していて、最後には命の尊さについてもしっかりと考えさせられた。

    1
    投稿日: 2017.12.31
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    本屋大賞に入賞していたので、読んでみた本。 R18指定されているとは、知らずに購入したw 確かに内容は、過激な表現もあるので、最初は少しナマナマしい感じもした。しかし、日本語表現が絶妙なのか、時間の流れがゆっくり感じつつ、早く感じつつ、不思議な感覚だった。 最後に解説を読んだが、解説に関心する部分が多かったので、再度読み返して見たくなった。 最初は★3くらいかと思ったが、読み返したくなる気分がでてきたので、★3.5くらいの4

    2
    投稿日: 2017.12.20
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    読了日2012/11 話連作の短編集。それぞれ1話ずつ主人公が入れ替わり、それぞれの立場からの切なさがこみあげてくる。 生きるといことは、どうしようもなくふがいなく、毎日をたんたんとこなしていくしかない。 それを否定することもなく肯定することもなく救うこともない作者の文章が心地いい。 最終話の卓巳の母の話は、命の誕生にどこまでも誠実で一生懸命な姿、そしてわが子への思いに心打たれた。 読みやすい文章で面白い本です。2作目の「晴天の迷いクジラ」もさっそく図書館で予約。

    1
    投稿日: 2017.10.19
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    R-18文学賞、山本周五郎賞のW受賞作品 全5編からなる連作長編です。 R-18というだけあって、性的描写がすごい。しかし、性と生という2つの視点から生きるということについて、その痛み、悩み、悲しみ、喜びを描き出している物語です。 ミクマリ 世界ヲ覆フ蜘蛛ノ糸 2035年のオーガズム セイタカアワダチソウの空 花粉・受粉 からなる連作ストーリ 「ミクマリ」では主人公はおれ(=高校生=斉藤君)。 アニメオタク、コスプレオタクの主婦との不倫、性描写が特徴のストーリ展開。 「世界ヲ覆フ蜘蛛ノ糸」では主人公は斉藤君の不倫相手の主婦。 自らの生い立ちと、だんなと異常な義母との関係、不妊治療、そして高校生との不倫がばれてしまい、だんなによるリベンジポルノといった展開 「2035年のオーガズム」では主人公は斉藤君を好きな女の子。 ちょっと複雑な家庭環境で育ち、不倫やリベンジポルノの動画の存在を知りながらも斉藤君を思い続ける。 「セイタカアワダチソウの空」の主人公は斉藤君の友達。 これまた、厳しい家庭環境。 痴呆の祖母と二人で暮らし、明日の米を心配するその日暮らし。生活のためのアルバイトの中で、先輩が勉強と言う点で手を差し伸べるが、その先輩の性癖が.. といった展開。 この章と次章が本書の一番のポイントかと思います。 「花粉・受粉」の主人公は斉藤君の母親 助産院を経営する母親の苦労、女手ひとつで息子を育ててきた母親の苦労、そして、息子のこと。 そしてようやく噴出す息子の感情! それぞれの物語で、それぞれが抱える生きることの痛み悩みがひしひしっと感じてきます。 官能小説?って思うような話のくだりから、後半、生きるということにフォーカスが変わってくるところが秀逸。

    1
    投稿日: 2017.10.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    初読みの作家の方。こういう事を軽々しく言うのはおこがましいが、人は皆何らかの「やっかいなもの」を抱えて生きていると思う。でも生きていくために明日は何か少しでもいい方向に変わるだろうという何らかの「希望」が無いといけないとも思う。最初の数行を読み、露骨な性描写がある文章に「何じゃこりゃ?」と思った。ただ読み進めていくうちに、これは自分にも当てはまる部分があるということが分かってくるとその気持ちも失せてきた。自分に足らない部分を気付かせてくれる点ではこの読書は価値があったかなと思う。感想はこんなところです。

    2
    投稿日: 2017.09.30
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    読んだ後に本当に空をぼんやりと眺めて物思いにふけってしまった。 途中の性行為のシーンがリアル過ぎて気持ち悪くなってしまった。 どこにでもありそうな街で、一見どこにでもいそうな人たちがそれぞれ悩みながら、もがきながら、懸命に生きることを考え、前に進むために模索をしている「ちっぽけな健気さ」に胸が熱くなった。

    2
    投稿日: 2017.08.19
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    ふとしたきっかけで悪いことをついしてしまうというか。 悪意はないんだけど、考えが足らなて結果良くないほうに行ったりていうよくある感じを小説にした本。誰にでも起こるわけじゃない。でも、そこらへんでありそうなことが良く書かれていると思った

    2
    投稿日: 2017.08.11
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    最初の部分だけ読むと思春期によくある性にまつわる話か…って思ってたけど、後半かなりよかった。 思わず、涙が出た。

    1
    投稿日: 2017.08.08
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     ふがいないな~って。読んでいて、ここに出てくるみんながふがいないな~って。そう感じたけれど、それ以上にそれぞれが、自分の今の状況に精一杯思い悩んで生きているように感じて、少し羨ましくも思えた。  福田が卓巴のしたことを知った時に「ばっかじゃねえの!」って大きな声で叫んでしまったような気分で、本当に馬鹿だけど、でも羨ましいっていうか、やるなあいつ。みたいな感覚。自分らしく生きているような感覚がして、個人的にも羨ましいと思った。  まぁ、それ以上に性と生は切っても切り離せないことなのに、性に関連付けるとどうしていろんないざこざが生まれてしまうのか。本来なら、幸せな気持ちの営みの中で子供が生まれてくるのであればとても幸せなはずなのに、どうしてこうも歯がゆくなるのか。どうしてこうもうまくいかないんだろう。そんなことを強く感じた。  愛とかセックスとかってなんで、こんなにややこしいんだろう。でも避けては通れない部分で、そんなややこしさを求めている自分もいりなって、読んでいて感じてしまった。

    2
    投稿日: 2017.07.28
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    つながりのある5話構成。みんな困ったり悩んだりしているけど、4話は他とまったく違うレベルで、福田くんにも田岡さんにも救いがあってほしいと思いました。「そんな趣味、おれが望んだわけじゃないのに、余計なオプションつけるよな神さまって」@田岡。当事者の悲痛な心情でしょうか。何とも言えない気分になります。

    2
    投稿日: 2017.07.27
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    何も知らずに読み始め、前半部分は、え!?官能小説!?と思ったけれど、後半になって、家族の事とかちょっと考えさせられた。

    2
    投稿日: 2017.07.22
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    初めての作家さん。予備知識もなく読み始めたので、「ええ~!」となったが…。大人の醜悪さが「これでもか!」というくらい書かれてあって正直かなり切なかった。それでも子供を必死に守る七菜と卓巳の母の存在は救いだった。個人的には良太のパートがつらくてぐっと来た。田岡は…病気なのだろう自分ではどうすることもできないほどの。そう考えないとやり切れない。

    2
    投稿日: 2017.07.10
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    のっけから「えぇ・・・」と引き気味で読み出したが、気付けばすっかり入り込んでた。 登場人物それぞれベタじゃないというか、どこかしら影がある感じが妙に生々しくてよかった。 結構、好きなタイプだ。

    3
    投稿日: 2017.07.09
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    18歳の子にオススメされたので読んでみました。最初はとんだ官能小説をオススメしてくれたな!とかなりの衝撃を受けましたが、読み進めていくと、なんて言葉にしたらいいかわからないけど、読んで良かったと思いました。 オススメしてくれた子の家庭も複雑らしく、色々考えさせられる内容でした。

    3
    投稿日: 2017.07.05
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    面白かった。性に関することだけでなく、生きるとは、幸せとはどういうことなのか考えさせられる小説だった。何が正しいかなんて、一概には言えないけれど、みんな一生懸命に生きているんだなあと思う。

    3
    投稿日: 2017.06.25
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    性癖の話でしょと読まず嫌いしてたけど、窪美澄作品を読み進めるにつれ、これもやっぱり読まないとなと思いきって読み出したら、最後のほうは涙が自然にこぼれました。ハッピーエンドじやゃないのに読後感は 悪くなくて、再生とカタルシスを感じました。個人的には福田くんと七菜ちゃんがに感情移入しました。

    8
    投稿日: 2017.06.24
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    前半の描写が過激で、少し読むのを躊躇したが、読み進むと、命の重さ、どんな親の元に生まれるかに人生が左右される部分が大きいことなど、改めて考えさせられた。

    5
    投稿日: 2017.06.17
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    家族も友達も知り合いも、突き詰めれば政治家も有名人も、そしてどこかの事件の被害者も加害者も、今、このカフェにいるあの人もあの人もあの人も、みんなに人生があって感情があって誤ちも自信も恐れもある。 当たり前のことだけど、 人それぞれのなかなか手の届かない部分や、 人生そのものの蓋を外して覗いてる気分になった。 誰かの人生にまた誰かの人生が引っかかって日々は過ぎていく。それぞれに“やっかいなもの”をぶらさげながら。 見ず知らずの人の姿を見ながら、どこか勝手につながりすら感じてしまった。 もがいてもがいて、穴ぼこだらけの自分を必死に隠して苦しんで今を生きてる。 それでも光があるんだと、優しく包んでくれるような本。 そして重松清の解説もまた、この本の中身を柔らかく包んでくれているように感じる。

    3
    投稿日: 2017.06.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    久し振りに一気読みした作品…。 自分だけの力ではどうすることも出来ないし、街を出て全てを新しくやり直すこともできない。そんな気持ちを持て余しながら、ふがいない自分、やるせない思いを抱えながら生きている姿が痛いほど描写されていて、読んでいても重苦しく、途中は心苦しくも感じた… けれども、その中で生活をしている彼や彼女たちはそんな自分自身を受け入れているようで、 重松清さんの解説にもあった、 「登場人物の性(せい/さが)を受け容れ、それを生へ昇華するための五編の物語」という書評。 五編の中でも私は特に「セイタカアワダチソウの空」が印象的で、福田くんの「田岡さんという人間が抱えているほの暗さに、なぜだか親しみを覚えたのだ。」という文など、それぞれの抱えている事情や性癖を他人からの目線からでも静かに認めているように感じた。ここで大事なのは、簡単に手放してしまえるようなものではない自分たちの抱える問題と、これからどのようにして向き合って生きていこうか、ということだと思うし、「花粉・受粉」のリウ先生の言葉を聞いていると、その部分に少し、前を向いて歩けるような光が射したように感じた…! * 卓巳くんの 「この世界はでも、 そんなに最悪でもないんだ。多分。 というかそう思いたいし」 削られてしまって、本文には残らなかったらしいけれど、この言葉があったということが私には凄く嬉しく感じました!!

    2
    投稿日: 2017.06.06
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    こんなにどストレートに人間を弱さを表現して、こんなにどの主人公もどうしようもなく表現されている本はなかった ただ脚色せずそのままの人間の弱さ、そこから立ち直る姿を丁寧に描き上げることで、すごく人間味のある作品だと思った

    10
    投稿日: 2017.05.29
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    女による女のためのR18文学賞受賞作。本屋に平積みになっていて、カバー見たら母校の出身者だったのよね。なので買ってみました。 ちなみにR18だからって本の嗜好が...とか言わないでね。チャタレイ夫人の恋人とか未読ですから。(違うか) これは娯楽作として面白かったです。全体的に、静かに人を眺めるような書き方が上手いと思う。男女問わず読んで面白いのではないかな。 とりあえず重松清の書評がすごく良かったから、この本についてはそこを読んでもらえればいいや。(それでいいのか) 私が感じたのは、ああ、うちの学校を出て、こういうことを書く人がいるんだなあ...という静かな感慨。 なんとなくだけど、著者はきっとまったく自分と関わりのない世界を書いたわけではないと思うのだ。 もちろん彼女がそういう環境にいたとか、そういう男女関係を経験したということではないと思う。でも、多感な思春期時代になんとなくもやもやして、何かを感じて考えて、それをこういうフィクションのかたちで世に出した。明らかにフィクションの設定だし、プロとしての上手い書き方がされているけど、なんとなくそうじゃないのかな、と思わせるかすかな熱を帯びていると、私はこの作品に感じたのであります。 例えば、それは登場する地理的要素とか(川とか、梨畑とか、老朽化するニュータウンとか)や、カトリックの学校(あんなイジメがある学校じゃないと思うけど)に現れていると思う。 プロだからもっと偽物も本物のように描写できると思うんだけど、同じような環境にいたからわかるのかな、なんかちょっとだけ環境の描写が生々しくて、安っぽかった。 でもそこにかすかな熱を感じて、これがデビュー作の魅力なのかな、とか、どうしても作品にして昇華したかった思春期のもやもやがこの人にはあるんじゃないかな、とかそう思ってしまって、それが面白かった。 まあ、なんの成果物も産み出さないような思春期を過ごした私と一緒にすんな!と著者に言われちゃいそうだけどね。 でも、なんか、わかる気がしたのよ。先輩。 というわけで面白かったです。

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    投稿日: 2017.05.11
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    重い…ある街の高校生を巡る夏から春の物語。 関わりのあるいろんな人の目線で話は進むのだけれど、皆それぞれ重いものを抱えていて、笑うよりは苦しんでいる時間が長くて、つらい。 みっちゃん、いいキャラだったなー。のっちーが無事に子を産みますように!

    3
    投稿日: 2017.04.24
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    ミクマリ 世界ヲ覆フ蜘蛛ノ糸 2035年のオーガズム セイタカアワダチソウの空 花粉、受粉 5つの話は、それぞれ違う視点での話でつながっていました。全部読んで、ただただせつなかった

    3
    投稿日: 2017.04.20