
総合評価
(679件)| 256 | ||
| 277 | ||
| 99 | ||
| 15 | ||
| 0 |
powered by ブクログなんかしつこい。何度同じことを語るのだ。 ピカソはすごいのだろうし「ゲルニカ」もすごいのかもしれないが、絵筆が銃よりも大砲よりも空爆よりもずっと強いことを証明したのか?本当に?アートは剣よりも強いもうひとつの武器なのか?本当に?心酔している人には申し訳ないが、僕にはここに書かれているすべてのことが、高尚を気取ったブルジョワたちの絵空事にしか思えなかった。反戦映画だってあるし反戦歌だってあるし、その中でことさら「ゲルニカ」だけを異常なまでに神聖視するのはアート屋さんたちの特権意識なのではないかな。 ドラのキャラも好きにならず、瑤子の使命感にも共感できず、やはり僕には無理な作品だった。
1投稿日: 2021.05.24
powered by ブクログ「この絵の作者はー あんたたちだ。」 面白かった。2人の女性の視点で物語が進められ、過去と今が最後に交わる、非常に読んでて気持ちの良いながれだった。 内容は戦争、平和について、我々がどう向き合っていくのか、がテーマになってる気がする。 ー この絵は私たちのものだ ー 世界のあらゆる出来事を全部自分ごとに置き換えて考えるというのはしんどいけど、心の0.1%でも寄り添わせてみるというのは大事じゃなかろうか。
4投稿日: 2021.05.23
powered by ブクログ登場人物みんなが生き生きとして、平和を願い、アートの力を信じて戦っていた。読者の私も、ヨーコやドラと一緒に物語を駆け抜けた。本当に、世界平和って難しい。人に感情がある限り、小さないざこざも含め、争いがなくなることはないんだろうな。でも、醜い感情も含め、それがあるからこそ、美しい、力を持った芸術が生まれる…。マハさんのアートミステリは、読了後、自分の世界が広がるような気がします。アートは偉大だなぁ。
0投稿日: 2021.05.23
powered by ブクログマハさんファンには堪らない珠玉の一冊。 数百円でこれほど壮大な史実と物語の世界へ入り込めるとは。読み終わった後の達成感と、このストーリーを1から作り上げたマハさんの並大抵でない才能に言葉を失う。。 ヨーロッパの情勢の移り変わり。戦前戦後の政府の戦い。ピカソの生涯。ドラマールの愛。9.11のリアル。MoMAの執念。 あまりにも自分の基礎知識の領域を超える題材の多さに、最後のページまでついていけるか不安になる隙をも一切与えず、美術や世界情勢に詳しくなくても終始惹き込んでくれる。 「あの絵は、画家の__つまり僕たち人類の抵抗なのです」 「戦争をやめない一方で、戦争に苦しみ続けるのもまた人類なのです」 「結局、〈ゲルニカ〉は疎開したのではない。亡命したのだ。いや、亡命させられたのだ。」 「芸術は、決して飾りではない。それは、戦争やテロリズムや暴力と闘う武器なのだ」
26投稿日: 2021.05.23
powered by ブクログ原田マハさんの「絵に纏わる物語」はめちゃくちゃ面白いです。 この本は、ピカソのゲルニカをめぐる物語です。 史実とフィクションが折り混ざって出来ており、物語にグイグイ引き込まれてしまいます。 実際に美術館でキュレーターをされていた著者の経験と知識の深さに感心しました。 ぜひぜひ読んでみてください
37投稿日: 2021.05.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ピカソのゲルニカは、知ってはいるけど背景まで知らなかった。スペインの内戦中に起きたゲルニカ空爆に憤ったピカソが、戦争批判のために描いたアートだったんだな。9.11の時に、アメリカでゲルニカに暗幕がかけられていたというところは事実のよう。それをみてショックを受け、このお話を書き上げた原田マハさんはすごいなあ。 また、何よりドラマールの強さに泣いた。ピカソにいつ捨てられるか分からない恐怖、自分では繋ぎ止めておけない焦り、すごく分かる。彼女のおかげでゲルニカの制作風景は後世に残された。けれど、それだけが自分の存在意義や価値だと思っている彼女をみるのと辛いなあ。 原田さんの作品読んでると、わたしも人生を変えるような自分にとって衝撃的な絵に出会ってみたいなと思う。少し違うかもしれないが、一度美術館でみて、なぜか引っ掛かり忘れられなかった作品は、フェルナンクノップフの「打ち棄てられた街」です。
8投稿日: 2021.05.16
powered by ブクログ原田マハさんのアート関連の小説をいくつか読みました。どれも面白く感動しましたが、その中でいちばん進まない本でした。戦争とアートという重いテーマだったからかもしれません。 わたしにはこれまでアートで世界を平和に出来るという考えが無かった為、新しいアートの価値を知ることができました。
1投稿日: 2021.05.14
powered by ブクログ楽園のカンヴァスやキネマの神様に比べると自分の中ではそこまで……という感じでした。少しハテナが残った部分があったのと、戦争とアートというテーマでメッセージ性が強かったからこそ、確固たる政治思想もなく未熟な自分にとっては少し距離があったのかも。 ですが、上記の二作と同じく、それぞれのフィールド、持つ武器で、宝で、人は闘い続けるしかないんだなあというイメージは変わらず。マハさんの文章は冷静で荒ぶらず、でも闘志を感じるような気がします。今回はテーマ的にもちょっと荒ぶってましたが。 ピカソの時代のパートで、私は正直ドラに苛立つことが度々ありました。 きっとドラは本来もっと独善的で、それが魅力の女性なのだと思うんですが、ピカソの圧倒的才能というか、特別な存在感を前に、一人の女性として嫉妬したり浅ましくなったり(自分でもわかってるとという描き方でしたが)。平然としてるピカソを前にキャットファイト繰り広げたりしちゃって。 まあ、それだけピカソが凄まじい男だということなんでしょう。 最後にパルドにドラが告げた言葉を聞いて、おそらくエピソード的には現代への謎解きみたいなところがポイントだとは思うんですが、私自身はこれで本来のドラに帰っていく、更に魅力的な女性になっていくんだなと安心しました。 ピカソが女たちを通り過ぎていくのか、女たちがピカソを通り過ぎていくのか。まあ、それはわかりませんが、私自身が女なのでね。どんな凄まじい男相手でも、女はどこか平気で通り過ぎてほしいなと思ってしまいます。
2投稿日: 2021.05.09
powered by ブクログ読解力がないからか、ラスト???だった、、、 なぜ移動の許可がおりたのかも???。 おもしろかったけどモヤモヤしてしまった。
0投稿日: 2021.05.04
powered by ブクログゲルニカ制作当時と、現代(9.11からイラク戦争)を行き来する。過去・現在、ピカソを含めていろいろな人物が出てくるけど、みんなキャラが立っていて面白い。特に、唯一どちらのパートにも出てくるバルドの成長ぶりが際立っていていて、興味深い。最後の鳩の絵のバックグラウンドも彼が握っているし。 瑤子の、というか作者の、ゲルニカに対する熱い想いが伝わってきて、そこを読み取るだけでも楽しめるね。
0投稿日: 2021.05.01
powered by ブクログ原田マハさんアート小説ブーム3冊目。1番重たいテーマだったけど、やっぱり面白かった… ピカソの愛人ドラ・マールと、9.11で夫を亡くしたMoMAのキュレーター瑤子の視点を交錯させながら、衝撃作ゲルニカに迫る。 現在と過去を行き来しながら物語が重なり深まっていく構成、圧倒される…どちらかだけでも充分読み応えがありそう。 第一次世界大戦が近づくヨーロッパで、ピカソはアートを武器に戦った。そして9.11の憎しみが渦巻くニューヨークで、瑤子はゲルニカを掲げて平和を訴える。 史実としてしか知らなかった出来事をリアルに感じることができて、登場人物の切実さに胸がキリキリした。 ー芸術は、飾りではない。敵に立ち向かうための武器なのだー わたしの想像力では及ばないアートの力を、原田マハさんを通して除き見れて幸せ、ため息が出る。 コロナ禍で文化の在り方が見つめ直される今、なんだか繋がるものがあるかもしれない 後半かなり駆け足だったように感じたけど、もっと読んでいたかった心情の表れかな笑 『楽園のカンヴァス』の登場人物のその後がちらっと出てきたのもうれしかった!!
0投稿日: 2021.05.01
powered by ブクログ「暗幕のゲルニカ」 原田マハ(著) ラジオに向けて急ピッチで読んだ原田マハ3作品。 最後はパワフルなサスペンス仕立て。 ピカソの感情は…アートは 誰にも扱いきれないとてつもないエネルギーを孕んでいた。 ゲルニカ 人の心を揺さぶって 善悪を超越して問いかける。 ツインタワーが崩れ落ちる瞬間 ゲルニカに暗幕がかけられた瞬間 原田マハも突き動かされてこの作品を生み出したんだろうなぁ。 巻末の解説は もっとも相応しく無い池○彰でガッカリ。 アート作品を政治に利用しないで欲しい。
12投稿日: 2021.04.26
powered by ブクログ友人の推薦図書。 フィクションであれ史実も重なって、こんなことがあったんだと錯覚するくらい引き込まれた感動の作品でした。 「赤い涙」「ずっと昔・・・私がピカソからもらった、世界でいちばん小さな『作品』だよ」 美術には全く興味がなかったけど、この目でゲルニカを観てみたくなった。自分にはなかった分野の好奇心を少し開いてくれた。
12投稿日: 2021.04.23
powered by ブクログ『<ゲルニカ> 今も引継がれるピカソの想い』 史実と創作を境なく融合した、<ゲルニカ>を巡るアートミステリー。『暗幕のゲルニカ事件』が実際にあったことは知らなかったが、アートの持つメッセージの強さを、<ゲルニカ>から、そして、文章の節々から、ひしひしと感じた。最後は涙腺緩みっぱなしで、それまでの場面をゆっくりと味わいながら読み終えた。
1投稿日: 2021.04.23
powered by ブクログピカソの描いた「ゲルニカ」にまつわる時代が交錯するお話。 第二次世界大戦と9.11のアメリカの同時多発テロ。 時代が変わっても繰り返される争いの負の連鎖に対して、ゲルニカという一枚の絵が反戦を強く訴え、世界に影響を与えている。 アメリカの同時多発テロの時はまだ子どもだったので、映画の中のようなワンシーンを観ているようで現実味がなかった。 パウエル国務長官の会見時にゲルニカが暗幕にかかってた話も全く知らなくて衝撃的だった。 この本を読んで、ゲルニカを通して、改めて戦争はあってはならない、敗戦国である日本人としても世界平和を訴えていきたいと強く思った。 原田マハさんの作品は毎回読みごたえがあり、ずっしりと余韻に浸れるので大好きです。 そして、結末どういうこと?! 読み終えた方とあれこれ語り合えたらいいなと思いました!
2投稿日: 2021.04.14
powered by ブクログ原田マハさんのアート小説が大好きなのですが、暗幕のゲルニカはピカソが関わるストーリー。ピカソなので難易度が高い気がして気合い入れて読み出しました。読み始めたたらどんどん引き込まれていきました。最後までぐいぐい引き込まれていく小説でした。
3投稿日: 2021.04.12
powered by ブクログ500ページという長さを感じさせないくらい、壮大な物語に惹き込まれました。 何十年も前に描かれた絵画が、今の時代にも、そして今後にもずっと繋がる強いメッセージをもって警笛を鳴らしているということがすごい。
1投稿日: 2021.04.11
powered by ブクログ楽園のカンヴァスと繋がりのある内容。 個人的には楽園のカンヴァスの方が面白かったかな。ただ、アートの力を感じさせてくれる本、作者であることは間違いない。
0投稿日: 2021.03.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
2021.3.26 マハさんの作品の中で一番好き。 ティムブラウンがちょこちょこ出てきたりして、楽園のカンヴァスのファンにもたまらない。 ピカソと別れたあと、ドラの子どもは養子に出されたわけだけど、その子どもの子どもがマイテかな? だとするとマイテはピカソの孫? マイテは亡くなったんだろうけど、なんでそのマイテの大切な鳩の絵を、パルドはヨーコにあげたの? その辺が意味わからない…
0投稿日: 2021.03.26
powered by ブクログゲルニカを取り巻くドラマ。 長年読みたかったものを読了。 ピカソ その恋人 サポーター そして 半世紀も後の 美術専門家が 時代を超えてからみあう。 小説なので都合よく絡むところもあるが 読ませるストーリー。
6投稿日: 2021.03.24
powered by ブクログ一枚の絵にこんなにも世界を動かす力があるんか、と震えるほどにアートの力を認識させられた一冊。 ゲルニカはスペインバスク地方最古の町で、スペイン内戦の最中、1937年にファシストによる空爆を受けた。ピカソはこの事件に深く傷つき、憤り、「ゲルニカ」を描くことで、強い反戦の意志を示した。この絵の持つ政治的なメッセージは余りにも強く、その処遇には各方面からあらゆる意見があったそうで、この本からも、ゲルニカに人の心を動かすほどの揺るぎない意志があることが伝わってくる。 私は絵画についてほとんど知識がないが、絵筆一本で敵に立ち向かい、後世にまで影響を与え続けるピカソの圧倒的な才能にすごく興味を持った。ここまでの才能に触れたら、ドラのように優越感やら嫉妬やらに悩まされてしまうのか…悩まされたい…笑 でも、そんな男に魅了された登場人物全員が、彼の絵を人生をかけて守り、伝えたからこそ、私たちはアートを享受することができる。2001年のニューヨーク同時多発テロもまだ新しい。風化させてはいけないし、私たちもまた、伝えていかなければならないと改めて感じた。
0投稿日: 2021.03.21
powered by ブクログ絵画の持つ発信力や芸術作品保護の重要性を改めて認識した。ピカソがゲルニカ空爆の報を聞き故国を思い込めた平和への想い、ピカソに寄り添いゲルニカの価値が広く伝わってほしいと願ったドラの想い、ゲルニカを守り抜こうとしたパルドの想い、ゲルニカ展示によってピカソが訴えた戦争や暴力の悲惨さを伝えようとした瑤子の想い。一枚の絵画を巡り様々な人の平和への想いが交錯する、時代を超えた壮大な物語。本作を読んだ後は本物のゲルニカを隈なくみてみたいという思いに駆られた。 国連本部に掲げられていたゲルニカのタペストリー(今年2月に撤去されたが)には、イラク戦争前に正当性が訴えられた際に実際に暗幕がかけられたとのこと。本作を読んで調べて初めてこのような事実を知ったが、ゲルニカに暗幕をかけるという行為は、ピカソがゲルニカに込めた平和への想いのみならず、国連創設の経緯や国連にゲルニカが掲げられた意味を全く考えない浅はかな行為ではないか、と驚愕した。
0投稿日: 2021.03.21
powered by ブクログ面白かった。面白かったんだけど、ラスト‥ そう来るか。 パルドイグナシオ、実在するのか調べてしまった。キラキラしてて王子様のよう。若い頃のオーランドブルームで想像しながら読んだ。主題ではないのだけど。
0投稿日: 2021.03.21
powered by ブクログこの本の中のゲルニカの背景がフィクションだとしても、絵と世の中の見方が自分の中が変わった。 読んでよかった。 でも自分は世界史に疎いから、原田マハの中で1番難しかったな。
0投稿日: 2021.03.21
powered by ブクログ戦争などの苦しみや悲しみの激しい感情が、ピカソのような天才的画家を生み出すのかと勝手に納得。財力のあるイグナシオや情熱のドラ、聡明な瑶子といった魅力的な登場人物と、壮大なストーリーに引き込まれました。ゲルニカを見たくなりました。
13投稿日: 2021.03.17
powered by ブクログ読み終わるのに1年かかった... 不倫・愛人がテーマの映画やドラマは共感しにくいけど、文学だと共感することができた。 ピカソの一番にはなれないことを自分に言いきかせながらも、一番の理解者になれるよう尽くしたり、奥さんの元へ行くピカソを笑顔で送ったり、浮気相手である立場をわきまえた振る舞いの描写が切ない。一方で、何も失うものがないという覚悟も伝わってくる。 最後らへんに瑤子がカヴァのコルクを開けるときに、イーサンとの思い出を思い出すんだけど、その思い出が素敵! ゲルニカ見に行きたい!
0投稿日: 2021.03.10
powered by ブクログ原田さんのアートもの。今回はピカソの超有名絵画「ゲルニカ」をめぐる物語です。 NY同時多発テロ(9.11)で夫を亡くした、MoMA(ニューヨーク近代美術館)のキュレーター八神瑤子と、ピカソの恋人で写真家のドラ・マールのそれぞれの視点で展開していく構成です。 反戦のシンボルとして強烈なメッセージ性を有する「ゲルニカ」。 米国務長官がイラク攻撃を表明したときに、国連のロビーにある「ゲルニカ」のタペストリーに暗幕が掛けられていた件からもこの絵の影響の強さが図り知れますね。(このタペストリーですが、ロックフェラー家に返却することになったそうです。あ、もう返されたのかな?) 瑤子はMoMAの「ピカソと戦争」展に、何とかして「ゲルニカ」を借り受けようとしますが、作品のコンディション以上に、様々な政治的な事情からほぼ絶望的な状況です。さらにスペインで交渉を続ける瑤子の身に思わぬ危機が・・・。サスペンス要素とアートネタ、そして、ドラ視点パートではピカソが「ゲルニカ」を描いた時代のパリの情景が目に浮かぶようです。この配分が本当にうまくて流石ですねー。 本書に登場する、スペインのビルバオ・グッゲンハイム美術館ですが、以前ダン・ブラウン氏の「オリジン」に載っていた写真をみて、その圧巻のフォルムに度肝を抜かれた記憶があります。是非行ってみたい!(原田さんのアートものを読むと決まって発症する、美術館行きたい病です。) そして、MoMAのチーフキュレーターとして「楽園のカンヴァス」のメインキャラが再登場しますので、ニヤニヤしたい方は「楽園のカンヴァス」を先に読む事をお勧めします。
8投稿日: 2021.03.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
最後の502ページを読んだ後に書いてあった「20世紀パートの登場人物は架空の人物であるパルド・イグナシオとルース・ロックフェラーを除き、実在の人物です。21世紀パートの登場人物は全員が架空の人物です」を読み、「や、やられたー!」と思いました笑。さすが、史実に基づいた素晴らしい原田マハさんのフィクション小説でした。 9.11 ワールドトレードセンターの空爆と、スペイン内戦時のゲルニカの空爆を関連づけ、交互に描くことでファシズムを批判し、そして、戦争と平和の意義を問う作品の素晴らしさを伝える小説でした。 アメリカのイラクに対する武力行使を容認するとした国連安全保障理事会、その決議が採択されたとの報告を各国の報道陣が見守る中で、ゲルニカのタペストリーに暗幕がされたこと、非常に衝撃的でした。 「ピカソはこの絵を通してナチスのゲルニカ空爆、つまりスペイン内戦だけを批判しているわけではなく、個人の欲望や国益やイデオロギーや、あるいは宗教的対立、様々な目的や理由から、人類は戦争を繰り返してきた、その愚かしさをこそ批判しているのではないか。」 画家の絵筆を使った戦争、ファシズムへの"抵抗"だったのだと、感動する一作でした。素晴らしい。
2投稿日: 2021.03.09
powered by ブクログ2つの時が、ピカソを、ピカソの絵を、そしてゲルニカを通して動き出す。ヨウコヤガミの人間らしさに、感情移入しやすかった。いつかゲルニカを生で見てみたい。
1投稿日: 2021.03.06
powered by ブクログやっと読んだ!というのが実感。 レビュー書けないけど、忘備録的なもので。 時が1937年であったり、 ピカソとドラ、現代に近く「2001年」八神燿子中心 舞台が「場所が」パリだったり、パリニューヨーク、マドリッド 2001〜2003年だったり交互に変わる。 目まぐるしく ムージャン、ロワインヤん、スペイン ニューヨークだったり リアルにパブロピカソとドラ。 マリーテレズが絡み ドラの心、ピカソへの愛の移ろい。 ドラのピカソへの愛が辛かった。 今でも目を閉じると、9.11のワールドトレードセンターの映像がよみがえる。 瑤子と夫イーサンベネット そしてトルティージャ。「最後の晩餐」になる。 瑤子の悲しみ。 ヒットラーとムッソリーニの空爆 ゲルニカを焼き尽くす「ゲルニカの爆撃」 ピカソのドローイング「鳩」 瑤子が持っているが、後からも出てくる。 ルースロックフェラーと パルドイグナシオ 大いなる芸術家と作品にはそれを支え助ける力がまことに大だと「もちろん財力も」 感じる、ありがたい存在だ。 登場人物もとてつもない。 マイテの鳩のはなしーそしてドラにつながる。 手に負えないくらいの 盛り沢山の絡み。構成すごすぎて レビューなんぞ書けません。 テーマも避けては通れない戦争。テロ 作品は立派だが今回当方読者が貧相。 一番の重要性 ピカソの「ゲルニカ」 当然戦争、テロのこと 言葉で表すこともできない。が ピカソのゲルニカへの想いは少しだけど理解することができるようになった。 今は絵を見たい、 できることなら本物を、叶わないなら 〜でもいい。 本でもいい。見たい、味わいたい 今までと違って感じるものが多くあると思う。 ピカソの作品を見たことはあるが、概念が少し変わる。 原田マハのアート小説作品の力に恐れ入る、 この部類は読んでいきたい。 が最後の方の瑤子の拉致までいくか〜 この作品をどう読むのか いろいろブクログの皆さんにおそわりたいところです。 単純にどうなる、どうなるとハラハラドキドキした。
19投稿日: 2021.03.05
powered by ブクログ楽園のカンヴァスのようなドラマチックでミステリー要素の高い展開を期待していたが、史実との折り合いを考え大胆なストーリーには出来なかった印象です。 とは言え、ピカソの大作「ゲルニカ」を巡る史実を知る事ができた本作は充分読むに値する作品でした。 ただ、主人公の思想などが繰り返し書かれてちょっとくどいこと、二十世紀パート、二十一世紀パートともテンポが悪いです。 矢神瑶子が「ピカソの戦争」の立役者であることは間違いないだろうが、「ゲルニカ」を動かすきっかけとなったのはあくまでバルトへのルースの交渉ですよね。 テロリストに拉致されるパートも考え方によっては不要かも。 最後の、国連本部での「ゲルニカ」展示はルースの提案とはいえ、展示会の本文を欠いており、ないよね、と感じた。
5投稿日: 2021.02.14
powered by ブクログどこまでがリアルで、どこからがフィクションなのかがわかりませんでしたが、アートがここまで深いとは。 ニューヨークに行った時にMOMAが閉館中でしたが、次行った時にはぜひ伺いたい。
1投稿日: 2021.02.13
powered by ブクログ面白かったです! でも個人的には楽園のカンヴァスの方が好きでした、、。でもピカソについてとっても興味湧きました♡
1投稿日: 2021.02.10
powered by ブクログ先の読めない展開と愛着の持てる登場人物達、徐々に明らかになる過去と未来の接点。どれもが魅力的でページを捲る手が止まらなくなる素敵なお話でした。何より、八神瑤子の、何ものにも負けない強さと、アートを愛する心が印象的でした。ゲルニカが見たくなります。
1投稿日: 2021.02.09
powered by ブクログニューヨーク、国連本部。イラク攻撃を宣言する米国務長官の背後から、「ゲルニカ」のタペストリーが消えた。MoMAのキュレーター八神瑶子はピカソの名画を巡る陰謀に巻き込まれていく。故国スペイン内戦下に創造した衝撃作に、世紀の画家は何を託したか。ピカソの恋人で写真家のドラ・マールが生きた過去と、瑶子が生きる現代との交錯の中で辿り着く一つの真実。怒涛のアートサスペンス!
0投稿日: 2021.02.07
powered by ブクログピカソの「ゲルニカ」誕生にまつわるピカソとその恋人ドラマール、彼らを助けたスペイン人の若者パルド・イグナシオの1930-40年代の物語と、2001-03年、9.11後のNYでピカソ展を開催しようとするMOMAのキュレーター遥子の物語が交差する。 私がレイナ・ソフィア美術館に行った時は、もはやゲルニカのための美術館みたいな感じだった。それ以外の「ザ現代アート」な展示があまりにわかりにくいせいもあると思うのだが、みんなピカソは何階にあるのかガイドブックを確認して直行する感じ。ちょうどゲルニカ写真展をやっていた時にも行ったことがあり、おそらくドラが撮った写真が飾られていたと思う(まさに小説に出てくる通り、下絵には書かれていた〇〇が次の段階では消されて…みたいな詳細な解説があった)のだが、そんな感じでゲルニカへレッツゴーみたいな雰囲気だったので、この主人公の遥子のように純粋な衝撃を受けられなかったのが悔やまれる。 一つの絵が持ちうるメッセージ性。意見を表明できる媒体がありすぎる現代においてアートの役割とは、と考えてしまうが、ピカソや過去の作家の作品はもちろん、今を生きるアーティストの作品にも触れなければと思った。 それにしても、レイナソフィアやMoMAにもう一度行きたくなる。本物とカタログでは印象が全く違うと原田さんはよく本で書いているものの、行けない間はオンラインで公開作品をせっせとみることにしよう。
1投稿日: 2021.02.06
powered by ブクログ「楽園のカンヴァス」、「たゆたえども沈ます」、 「ゴッホのあしあと」、「サロメ」と原田さんの美術小説を 読んできてとても興味深く面白かったのでこの作品も手に取りました。 ピカソの「ゲルニカ」の真実を9.11後の現代と ピカソが存命していた過去の出来事と織り交ぜながら ゲルニカの名画を巡る陰謀の謎をMoMAのキュレーター瑤子が 解き明かしていくというアートサスペンス。 この本を読むまでは何処かで一度は見たことが あったようなピカソの「ゲルニカ」としか記憶になくて この絵画にまつわることは全然知りませんでした。 9.11によって突然夫を失ってしまった瑤子。 それと同時にニューヨーク国連本部にあった ゲルニカのタペストリーが無くなってしまい 何もする気力のなかった瑤子がこの絵画の謎を解くことに よって徐々に生命力がつき生き生きとしていく様子が 心強く思えました。 瑤子が「ゲルニカ」に対してこれだけの熱量を出している 一方でピカソの側にいた女性カメラマンのドラ。 ドラもただ近くでピカソを見守るだけでなく、 芸術家としての彼を尊重し、特に「ゲルニカ」 を守ることに対しては芸術を守ることだけでなく、 ピカソがこの絵に対しての思入れが強いというのを知り その表現の自由ということを守るという一進で 長年の間一緒にいたというのがこれもまた凄いことだと 思ってしまいます。 時には他の愛人や妻などを疎ましくも思いつつも 全ては「ゲルニカ」を守るために身を捧げるという 精神は素晴らしいです。 ピカソが生きていた時代でも今の時代でも いつの時代でも戦争を起こしてはならない、 戦争という名の暴力が悪の連鎖が無くなる日まで この「ゲルニカ」は反戦のシンボルであるということが よく分かり、改めてピカソの偉大さが知れた気がします。 これだけの影響のある「ゲルニカ」を一度は 何かの機会があったらゆっくりと見てみたいです。 「ゲルニカ」の作品の与えるメッセージ性も強いものだと 思いますが、身近に見かける鳩の存在もこの作品の中では 重要なのでこれから鳩への思いがまた変わるかとも思いました。 一つの作品によって左右される過去と現代の女性が 一つの希望に向かって立ち向かう姿、 そして未来に向かって前進していく姿が好感触で 女性の強さも感じられました。 世界平和はいつの時代でも願わざるおえない作品でした。
0投稿日: 2021.01.31
powered by ブクログ圧倒されました!ゲルニカと言う絵画を知らなかった上に、そこにあるドラマ! この絵を見てみたいと思いました。これからは少し絵の事を勉強して見ると見方が変わると思いました。とにかく面白くて夢中で読みました。
1投稿日: 2021.01.31
powered by ブクログ表紙を見た時、中学の美術の時間にゲルニカを見たことを思い出した。 読んでいくうちに、アートの持つ強烈なパワーに圧倒された。 史実や美術の知識を持って読むと尚楽しめると思う。
0投稿日: 2021.01.29
powered by ブクログ安定の原田マハ! とってもおもしろかったし情熱があった!! また読みたい!!文庫本買った!! 本物のゲルニカを見に行ってみたい… 群馬の館林美術館にタペストリーがあるみたい
0投稿日: 2021.01.28
powered by ブクログ原田マハは裏切らなかった!楽園のカンヴァスを読んでから、暗幕のゲルニカも読んだみたいなあと思っててようやく読めた!めちゃ面白かった! 2つのタイムラインが進んでいって、でもその中に同じ人が出てきてて、現代起こってることの背景がよく理解できた!
0投稿日: 2021.01.28
powered by ブクログゲルニカを巡り、2つの時間軸それぞれで奮闘する2人の女性を中心とした目線で書かれている。 『芸術作品の持つ力』とは何か。 この問いについて深く考えさせられる作品だった。 史実と創作が入り交じった物語を読んでいて、とてもハラハラ、ドキドキして読み進める手が止まらなかった。
1投稿日: 2021.01.26
powered by ブクログ"ゲルニカ"の絵の意味 メッセージ 想い 色々な背景からこの"ゲルニカ"という絵が出来て守られてきたことがよくわかる物語だった。 改めて物語を読んだあとの状態で絵を見てみたいと思う。
0投稿日: 2021.01.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ピカソとピカソの絵をこよなく愛した2人の女性の、スケールの大きい執着心に共感と尊敬の念を抱いた。 家族以外で、これほどまでに守りたいものがあるというのはどのような感覚なのだろう。きっとそれを使命と呼ぶのだろう。
0投稿日: 2021.01.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
MoMAのキュレーター八神瑤子が、911後の展示のためにゲルニカを追いかける話。 ・・・ ゲルニカを描いたピカソの時代と、テロ後のニューヨークと、交互に物語が進行していく。個人的には第二次世界大戦下のヨーロッパ事情が詳しく知れた点も興味深かった。 芸術とは強い力を持つ、というメインテーマの裏に、強い目的意識と意志によってこそ本来の自分を取り戻すというテーマが見える。 芸術が人をつなげ、人に力を与える。と同時に人の強い意志は伝播していく。 ・・・ ラストは、ゲルニカが件の国連に掛けられて終わる。
0投稿日: 2021.01.19
powered by ブクログ初のアートサスペンス作品読書。 イラク戦争に突入する21世紀初頭アメリカと、 第二次世界大戦下フランス、 を舞台として、不朽の大作「ゲルニカ」を廻った出来事を描く。 現代アートを敬遠してきた私にとって、「芸術の意味とは?」考えさせられるキッカケとなる本でした。
0投稿日: 2021.01.17
powered by ブクログ学の無い私にはちょっと難しかった、、、 もっと世界史勉強しとけばよかったな〜泣 ゲルニカは中学の社会の授業で見せられたビデオで、おどろおどろしい音楽と共に紹介されており、その時初めてこれが戦争を描いた作品なのだと知った。 音楽も相まってか、「怖い」と思ったことをよく覚えている。 一枚の絵に対する人々の様々な思惑。 「アート」という「武力」を感じた一冊だった。
0投稿日: 2021.01.16
powered by ブクログゲルニカの持つ強いメッセージに取り巻く、人間の物語。 ゲルニカが持つ絵の力は、その取り扱いさえもセンシティブにさせる程で、それを成し得る芸術の力も感じました。
2投稿日: 2021.01.16
powered by ブクログ原田マハさんを知るきっかけになった本。表紙とタイトルに惹かれ、ジャケ買いした。私は昔美術部だったし、ゲルニカはあまりにも有名だ。それを小説の題材にするとは、斬新で興味深かった。ピカソの過ごした日常や背景が生々しく描かれ、本当にそうだったんじゃないかと思えるほどリアル。知らなかったアートの世界が目の前に広がった。この本に出会えて感謝しています。
1投稿日: 2021.01.15
powered by ブクログ原田マハさんの作品で展開が今までで一番遅いです。 ピカソの作品や芸術家としての人物像より、私生活面が多く描かれていると思いました。 ゲルニカは美術の教科書によく載っていますが、それを見て何かを感じる事はありませんでしたし、実物を見ていないので、登場人物が作品の前に立って衝撃を受けたり、その作品を巡って行動を起こしていく情熱が羨ましです。
0投稿日: 2021.01.10
powered by ブクログ史実と解釈がなすリアリティ とても創作とは思えない。 この絵を描いたのは貴様か。 →この絵を描いたのは貴様たちだ。 めちゃくちゃかっこいいじゃないですかー!! ピカソさん粋ですやん。 男の中の男ですやん! ただただ平和を願った 芸術者の反戦への想いをカンバスへ とても面白い作品だと思います。
13投稿日: 2021.01.02
powered by ブクログ2日であっという間に読了。 ゲルニカを題材にしたアートサスペンス ゲルニカという作品を深く知ることができる上に、 史実を多く反映しているので、どこからフィクションなのか分からずリアリティのある内容が面白い。 20世紀の情景(大戦期の欧州)と21世紀の情景(9.11ごろの米国)がパラレルに進んでいき、徐々に結びついていく世界観も楽しめた。
0投稿日: 2021.01.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
周囲の語りによって、ピカソという画家の解像度を上げていく手法が面白いです。アートを世に広めるにはキュレーターがいてこそ、と改めて感じました。 一方で、アートにまつわる小説というには、あまりにも反戦のメッセージが強いように感じました。 また、後半の誘拐でエンタメ性が増し過ぎたような。フィクションとはいえ、史実に基づいたリアリティを楽しみに読んでいたので、そこまで大げさな展開はないほうが没入できたかもしれません。 最後は潔いような、え、終わり?というような、なんとも言えないラストでした。
0投稿日: 2020.12.22
powered by ブクログ「楽園のカンヴァス」「たゆたえど沈まず」と原田マハさんのアートフィクションを読破し、続いて楽しみにしてたのが、この「暗幕のゲルニカ」。 パプロピカソの大作ゲルニカを通して、現在と過去における戦争の愚かさを訴え、戦い続ける様を描いている。 過去は1937年パプロピカソがゲルニカを製作していた時代に愛人で写真家のドラ・マールの視点から、現在は2001年MoMAでピカソ研究者のキュレーターとして活躍する八神遥子の視点から描かれている。 この作品の素晴らしいのが、パプロピカソ本人でなく、ドラマールの視点から物語を進めていく点で、ピカソを第三者からの客観的視点で捉えることで、ゲルニカへの想いを分かりやすく綴っている。そして2001年の同時多発テロを取り扱うことで、テロとの戦いと正当化した残虐行為をゲルニカを通して訴えている点も好感が持てた。 ただどの章でも前章までのあらすじを丁寧に解説していたがために、ややボリュームが欠けてしまった点が少々残念かなと思う。それでも2つの時間軸を共有する架空人物パルドイグナシオ、ルースロックフェラーが出てきた時の興奮はかなりのものだった。 原田マハさんのアートフィクションは面白いなぁ!次はアノニム読みます!
5投稿日: 2020.11.24
powered by ブクログ1937年のパリと2003年のニューヨーク。 2つの時代の、ピカソの「ゲルニカ」を巡る壮大な物語。 1937年の語り手はピカソの愛人であり画家でもあるドラ・マール。 スペインの内戦の中、パリに亡命してきた青年、バルトと共に、ピカソが描いた「ゲルニカ」を命をかけて守り抜く。 2003年の語り手はMoMAのキュレーター、瑤子。幼い頃からピカソを愛す彼女は、ピカソの戦争展を企画するのだが、 目玉として考えていた国連本部の「ゲルニカ」のタペストリーに何者かに暗幕がかけられたことを知り、瑤子は穏やかではない流れに巻き込まれていく。 そして、スペインにある本物の「ゲルニカ」を手に入れるべく動くことになる。 「ゲルニカ」は世界で最も有名な絵と言えるのではないだろうか。 一見、華やかで滑稽な絵にも見える。 しかし、この絵はピカソがスペイン内戦中に描かれたもの。 そして、ゲルニカというのは町の名前で、ナチス・ドイツ軍に無差別爆撃された場所だ。 この作品は、この市民を巻き込んだ殺戮を知り、描かれた作品。 そのことを知り、この絵の見方が私も変わった。 冒頭で、瑤子も、ニューヨークの同時多発テロにより、愛する夫を亡くした。 戦争の悲惨さ、恐怖を身をもって感じている。 だからこそ、なおのことこの「ゲルニカ」への思いの強さを計り知ることができる。 原田マハさんらしい一冊。 そして、マハさんのピカソ愛も強く感じることができる。
1投稿日: 2020.11.15
powered by ブクログ面白かったけど長い… 歴史的な部分にも触れられるので良い 原田マハのすごいところはどこまでが本当でどこまでが架空の話なのかがわからない、だからこそ気になって引き込まれてしまうところ。アート×ミステリー好きいいい
4投稿日: 2020.11.11
powered by ブクログ2003年2月、当時国防長官だったコリン・パウエルがイラク攻撃の正当性を主張する会見の背後で、ゲルニカに紺色の暗幕が掛けられたことをわたしは知らなかった。 実在の人物と実在の事件、架空の人物と作り上げられた出来事。 どこまでが事実で、どこからがフィクションなのか。それが気になってしまい、いまいち物語にのめり込むことができなかった。 ピカソがあまりにも有名過ぎるからなのか、9.11のあの映像が私の中では過去のものとなっていないからなのか。理由はよく分からない。 後半につれて盛り上がるスリルと熱さから完全に取り残されてしまった。 ゲルニカはピカソという天才から生み出された絵だ。しかしゲルニカに真の力が宿ったのは、その絵に意味を見出し、必死で守ってきた人たちのおかげなのだろうと思う。 戦争と平和は永遠のテーマだ。 自由を勝ち取るために戦いが起こり、悲惨な戦争が続く虚しさの中で平和を叫ぶ。 群馬近代美術館にゲルニカのタピスリーがあるというので、今度観に行こうと思う。この物語と後の池上彰さんの解説を読んだから、きっと何かを感じられるに違いない。
8投稿日: 2020.11.05
powered by ブクログゲルニカの背景は面白かった…。アートの話というよりは、戦争について考えさせられる話。池上彰の解説含めて、最後まで読み応えがあった。
5投稿日: 2020.11.05
powered by ブクログあまり知らなかったピカソのことが知れて良かった。 主役はピカソだけど、ピカソが前面には出てこない。 それが物足りなくもあるが、作者の狙いでもあるのだろう。
5投稿日: 2020.11.04
powered by ブクログタイトルがとてもよい。ピカソ のターンを事実か小説こと想像しながら読むのが面白かった。全体的に繰返しの文章が多すぎるのが非常に気になった。オチは想像ついてる中、ラストの描写が少し弱いと思った。
0投稿日: 2020.11.04
powered by ブクログゲルニカを見たドイツの武官に「この絵を書いたのは、貴様か」と言われ、「いいや。この絵の作者は あんたたちだ」と答えるピカソの強さ
3投稿日: 2020.11.02
powered by ブクログ【内容紹介】 一枚の絵が、戦争を止める。私は信じる、絵画の力を。手に汗握るアートサスペンス! 反戦のシンボルにして2 0世紀を代表する絵画、ピカソの〈ゲルニカ〉。国連本部のロビーに飾られていたこの名画のタペストリーが、2003年のある日、突然姿を消した―― 誰が〈ゲルニカ〉を隠したのか? ベストセラー『楽園のカンヴァス』から4年。現代のニューヨーク、スペインと大戦前のパリが交錯する、知的スリルにあふれた長編小説。
4投稿日: 2020.10.27
powered by ブクログ歴史上の有名な人物を取り巻くフィクションという設定になかなか馴染めずに読み終えてしまった。 話自体はとても良く出来ていると思う。 たぶん、このような設定に抵抗のない人ならきっと素晴らしい読書時間を愉しメルと思います。
2投稿日: 2020.10.26
powered by ブクログおもしろかった!読んでいる最中からずっと気になってたのは、どこまでが事実でどこからがフィクションなのか?ということ。マハさん曰く「10%の史実と90%のフィクション」なのだそう。 アメリカの国務長官が国連安保理会議場のロビーでイラク空爆に関する会見をしたとき、その背景にあるべき『ゲルニカ』のタペストリーに暗幕がかけられていた…これはまぎれもない事実。マハさんはこのニュースに衝撃を受け、この作品を描くきっかけとなったそうです。 1937年〜第二次世界大戦へとむかうパリを舞台にピカソの恋人であるドラ・マールと、2001年〜9.11をきっかけにイラク戦争へと発展していくニューヨークを舞台にしたMoMAのキュレーター八神瑤子と、二人の女性の視点からの物語が交互に描かれています。 『ゲルニカ』のタペストリー…世界に3点しかないそうですが、そのうちの1点が実は日本に、群馬県立近代美術館が所蔵しているんです。群馬近美にゲルニカのタペストリーがあるのは知っていましたが、世界に3点しかないというのは知りませんでした。元々あまりピカソには関心がなかったのですが、この小説を読んで改めて『ゲルニカ』の歴史的価値に気づかされました。本物の『ゲルニカ』を観に行くのは難しそうなので、今度ぜひ群馬近美へタペストリーを観に行ってこようと思います。 ちなみに…ピカソは1973年に91歳で亡くなり、『ゲルニカ』は1981年にスペインへ返還されたそうです。 芸術は、飾りではない。 敵に立ち向かうための武器なのだ。 パブロ・ピカソ
5投稿日: 2020.10.26
powered by ブクログスペイン戦争と9.11以降の対テロ戦争を対比しながら進めていく手法は一つのアイデアとして上手。 ゲルニカについてWikipediaで下調べしてから読了したので、フィクション部分も含めて大変勉強させて貰った。
4投稿日: 2020.10.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
9.11からイラク戦争に向かう2000年代と第二次世界大戦が巻き起こる1940年代のアメリカとヨーロッパ。2つの異なる時代を舞台に、それぞれの物語が交錯しながら進んでいく。どちらとも違う大義名分で始まった戦争だけど、一市民には「ゲルニカ」に描かれたような悲劇しか生まれない。 一つの絵画から、ここまでのメッセージを伝えるまでにストーリーを膨らませるのはすごいと思う。 (最後の結末は納得。瑤子のピカソ作品や平和に対する情熱もよく伝わってきた。だからこそもっと瑤子が結末に対して活躍してもよかったと思う…ただカッコいい仕事に関わっている日本人女性っていうふうにしか見えなかった。)
7投稿日: 2020.10.12
powered by ブクログ作者の原田マハは、10%の事実を核に、90%のフィクションを描いたと述べている。10%の事実を確認することに相当な時間を割いたとも。 ニューヨークの国連本部でイラク攻撃を宣言するときゲルニカのタペストリーには本当に暗幕が掛けられていたのか、バスク人の独立を望む人々は本当にいるのか、などなど私自身も確認してみたいことがたくさんできた。そして、何よりゲルニカをこの目で観るために、スペインに行ってみたくなった。 第二次世界大戦中のドラとピカソの話と、9.11直後のイーサンと瑤子の話が、最後の一点に向かっていくのがとても面白かった。原田マハの着想力、構想力を感じた。
0投稿日: 2020.10.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
史実と虚構が混じった熱のこもった作品。 過去パートがとても良かった。引き込まれて一気読みしてしまった。 逆にテロの拉致事件は蛇足かな。エンターテイメントを狙い過ぎてせっかくの史実の真に迫る感じが薄れてしまった。そして途中まで良かっただけに、終わり方が…。 ラスト国連のロビーに移された話は、なぜ?どうやって?という感じで納得できないなー。 あんなにもコンディションが問題だったのに、全く管理の徹底されてないあの場所に移せたの?今後もそこに置きっぱなし?タペストリーはどうしたの?あれもピカソの間接的な作品でしょ?パルドが渡した鳩の絵はどうなる?パルドはマイテをなぜ見守っていなかったの?そもそも瑤子が鳩の絵からドラを含めた一連の流れを把握してる感じなのはどうして?(パルドともっとその辺りを邂逅してほしかった) あとどうしても、瑤子がそんなすごい事をしたとは思えない。勿論情熱はとてもあったけど、成し遂げたというほどの行動を起こしたようには思えない…。巻き込まれたのと周囲が動いてくれたのは間違いないけど。せめて国連へ移す提案は瑤子がしてくれてたらよかったのに…。 と、読了直後だから色々思うところはあるけども、勿論、とても楽しい熱い作品でした! 個人的には、 『現代の時世+暗幕のゲルニカ事件からの、長い長い過去のエピソードとして、過去パート+パルドのフィクションをメインに、現代に戻ってパルド視点のみで"今こそニューヨーク、国連のロビーへ"』的な感じでパルドを主人公に一冊にしてほしい。笑
0投稿日: 2020.10.08
powered by ブクログ楽園のカンヴァスが面白かったので、いつか読みたかった。私がこれを映画化するなら主人公はドラ・マールかな。なんて。 アートと反戦がテーマになってるのだが、戦争の悲惨さは控えめな感じであった。ピカソが登場するアイデアはマハさんらしい。このご時世だから難しいが、外国の美術館巡りをしてみたい、次はゴッホのあれを読みたいと思う。
8投稿日: 2020.10.06
powered by ブクログバルセロナに行く前にピカソについて深めたくて読んだ本。厚いので読むのに時間が掛かりましたが本っとーに面白かった‼︎ ピカソの愛人が才能ある美女でアーティストだったことも初めて知ったし、ドラマールが魅力的な女性ということも知れた。ちょうどロンドンでドラマールの特別展もやっていて斬新な作品がちらほら。 この本のおかげでバルセロナのピカソ美術館が楽しめました^ ^いつか、ゲルニカも実物を見てみたいです。
0投稿日: 2020.10.04
powered by ブクログゲルニカにどんな意味が込められてるのか、反戦、平和のメッセージがあって、最初は眼から鱗であったが何回も同じ表現がでてくるためくどいなと感じた。 ゲルニカを動かすために動いていた瑤子だが、結局のところ政界の大物が動いて取りまとめている感が否めない。その人たちを動かしたのは瑤子だという感じがつかめなくて、展示会まで漕ぎ着けたキーパーソンである感が薄いなぁと物足りなく思った。 また最後のゲルニカは結局どこにあるのか?? もし国連だとしたらその意味は??とよくわからずもやっと終わった。 ゲルニカ創作に関するシーンは躍動感あり、自由奔放なドラにも惹きつけられた。またパブロピカソが実在して、数々の傑作を残していたのだという事実、そして彼が第二次世界大戦を側で見つめる胸中を垣間見た気がする。 現代に関しては、9.11のテロ、それを機にイラクへ侵攻したアメリカのことは記憶にも新しく、軍事行為と報道されてたがあれは戦争であって、しかもそれに気づかずにいたのだなと気付かされた。今も不安定な世界情勢の中で反戦、平和を願う気持ちは個人個人が持ち続けなければならないと思った。
0投稿日: 2020.09.29
powered by ブクログピカソの作品『ゲルニカ』をテーマに史実に基づいたフィクションとして描かれている。戦争がどんな結果をもたらすのか、芸術が世界を変えられるのか。 芸術作品ひとつひとつが作者にとってドラマがあるんだなと感じた。この気持ちのまま美術館に足を運びたい。そんな気持ちにさせられた
3投稿日: 2020.09.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
楽園のカンヴァスを読んだ人はより楽しめる。 アートサスペンスが好きな人にはおすすめ。 下記本文より引用。 芸術は、決して飾りではない。それは、戦争やテロリズムや暴力と闘う武器なのだ、 アートとは、人間が自らの愚かな過ちを自省し、平和への願いを記憶する装置であると言えるのではないか。 まさに今の状況に置き換えられる言葉だと。価値のあるものとは何なのか?そんな問いを投げかけられているような作品でした。
0投稿日: 2020.09.22
powered by ブクログゲルニカが出来るまでの背景やピカソの人となりを学べる作品。絵を通してピカソが伝えたかった事を過去と現在どちらにも共通に訴えかけている。美術の時代を超えた力とは何なのかが読んでいて感じられる。
0投稿日: 2020.09.21
powered by ブクログ言葉をもたない絵は、どんなメッセージでも翻訳を介さずに伝え受け取ることができる、最大の世界共通言語。 原田マハさんの本を読むと、もっと絵画に詳しくなりたいといつも思います…
0投稿日: 2020.09.13
powered by ブクログ戦時下のパリと現代のニューヨークを舞台にしたフィクションに国連における史実も交えたミステリー。お見事。
0投稿日: 2020.09.13
powered by ブクログ読む前は、アートサスペンスが想像つかなくて、もしかして私には難しい?と思いましたが、最初の最初からのめり込んで読めました。最近、あまり読書の時間が取れず、夜寝る前の数十分が楽しみになるほど。 良い読書ができて、とても満足。
7投稿日: 2020.09.12
powered by ブクログ闘いなさい、ヨーコ。ーーピカソと共に。 2001年9月11日、アメリカから遠く離れた日本でもその信じがたい映像に、声をなくし愕然とする人も多かったと思う。私もテレビで流れる映像が、現実なのか映画なのか混乱し、ただもうやめてほしいとだけ感じていた。 物語はピカソの「ゲルニカ」をめぐる現代とピカソが「ゲルニカ」を描いた時の過去を交互に進んでいく。何故、イラク攻撃を宣言する国連本部でゲルニカには暗幕がかけられたのか、ピカソはゲルニカをどう描き、その後ゲルニカはどうなったのか。物語の結末に向けて見事に収斂されていく。 戦争などの大きな理不尽に、憎しみの連鎖に、芸術は何ができるのか、そこから私たちは何を考え続けるべきなのか。原田マハさんにしか描けない闘いが詰まった一冊。
2投稿日: 2020.09.12
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
2020/8/31-9/8 今まで知識のなかったピカソについて時代背景とともに勉強ができたことはとてもよかった。ピカソの恋人であるドラマールについても知れてよかった。 フィクションとノンフィクションが入り混じっているので全てを信じ込んではいけないとは思うが、パルドのような貴族は実在しており、自分たちの知らないところで経済なども動かしているんだろうなと感じる。2021年のオリンピックなんかも貴族が絡んでいたりして…。 時代背景を述べる上で必要だったのかもしれないが、少し間延びした感があった。途中で繰り返すところもあるし…。11章と最終章のスピード感や物語を回収していく感じはよかったなと。 原田マハさんは他にも美術系の作品があるので、勉強がてら読んでみたい。 最後に、ゲルニカの実物はこの目で見たいな!!
4投稿日: 2020.09.08
powered by ブクログ時代を行ったり来たりしながら、二つの人生が重なる時をワクワク待った。こんなに読むのが楽しい作品も珍しいと思う。本当に原田マハさんの小説の醍醐味だと思う。史実も交えながらのストーリー展開。滔々と語られる作品なのに戦争の残酷さもしっかり刻まれる。美術品から見た戦争というものを、初めて考えるきっかけとなった。忘れられない一冊。
1投稿日: 2020.09.05
powered by ブクログ美術の力ってなんなのか ゲルニカと戦争、次第にあきらかになるゲルニカの時代の話と主人公の時代。 ふたつの話が少しずつ絡んでくるのがとても面白い
1投稿日: 2020.09.04
powered by ブクログ第二次世界大戦中のスペイン空爆をモチーフに描かれたピカソの大作「ゲルニカ」。 この作品は、 パブロ・ピカソの恋人ドラマール。 作品を戦火から守るためニューヨークに亡命させたパルド・イグナシオ。 現代には、9.11で夫を亡くしたMOMAキュレーターの八神瑤子。 この大作を巡るさまざまな人物の物語。 アートの持つメッセージは、戦争やテロに勝るのか。武器ではなく絵筆で戦うピカソの芸術を知った気がした。 スペインでも、ゲルニカでも、アメリカでもなく、誰のものでもなく“わたしたちの”ものだと言う言葉が印象的だった。 8年近くに寄り添った写真家でもあるドラ・マールが、最後に1つ選んだ鳩の絵。 カラーで撮りたいとカメラに収める際に、作品だけでなくアトリエの床や飛び散った絵具も入れた気持ちに切なくて胸が締め付けられた。 また、念願のピカソの戦争展の開催当日に、 テロから救ってくれたマイテからの鳩の絵をとうこに渡すパルド。世界で一番小さな作品だと赤い涙も添えるパルドの想いも感じ取れた気がした。 ゲルニカとは対照的な自由に羽ばたく鳩の絵も観てみたいと思った。
4投稿日: 2020.08.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
1937年、スペイン内戦中にドイツ空軍によって行われたゲルニカ空爆。それを知ったパブロ・ピカソが、反戦の意思を込めて描いた大作「ゲルニカ」。 本作は、ゲルニカを中心に、史実を元にした二つの時代が交互に描かれ、徐々に繋がっていくという構成となっている。 2001.9.11アメリカ同時多発テロによって夫のイーサン・ベネットを失ったニューヨーク近代美術館(MoMA)のキュレーター八神瑤子が、その報復措置に踏み切ろうとするアメリカ政府を非難するため、またアートの力で戦争の愚かさを世界に発信するため、MoMAで開催予定の「ピカソの戦争」展に不可欠な「ゲルニカ」貸出交渉に奮闘する物語。 もう一つは、ゲルニカの製作過程を撮影した写真家で、ピカソの愛人でもあったドラ・マールの物語。 そして、ピカソの意思を受け継ぎ、瑤子の時代まで「ゲルニカ」を守ってきた、架空の人物であるパルド・イグナシオとルース・ロックフェラーの過去が描かれ、二つの物語が繋がっていく。 途中、楽園のカンヴァスの主人公の一人であるティム・ブラウンが登場して懐かしく思った。MoMAのチーフ・キュレーターということだから、楽園のカンヴァスのその後だと思われる。 ピカソによるゲルニカ製作の背景には、ゲルニカという都市が受けた無差別爆撃があったことを初めて知った。罪を恐れずに、戦争に対する非難を作品で表現したピカソの戦い方、その心境を想像すると目頭が熱くなった。 芸術を評価する感性は持ち合わせていないが、その作品に込められた思いや、時代背景を理解することが重要だということが分かったし、第二次世界大戦の頃のヨーロッパについても少し学べたと思う。 一枚の壁画を通して平和について考えさせられる素晴らしい作品だった。
3投稿日: 2020.08.28
powered by ブクログ『自分たちの声で平和を呼ぶんだ』、『自分たちが戦争と闘うんだ』という願いのもと、ピカソにより製作された『ゲルニカ』。 人類は有史以来、争いを続けてきた。第二次世界大戦以降もイラン、イラクの戦争、アメリカのイラク空爆があった。市井の人々はただそれに巻き込まれて、悲しい人生を強いられる。 そんな人たちへのメッセージが『ゲルニカ』に込められている。 本作紹介の帯にて、「大戦前夜のパリと現代ニューヨーク、スペインが交錯する華麗でスリリングなビジュア小説」とあり大戦時の過去と現代が一つの絵画で繋がっている。また、大戦の背景と当時の緊張する情勢およびニューヨークの世界貿易センタービルの大規模テロについても理解を深めることができ、是非お勧めしたい作品である。 本作の始まりの前年、1936年は日独伊防共協定が調印された年である。日本やドイツやイタリアは、議会制民主主義をいちはやく達成した先進国であるイギリス、フランスやアメリカからはドイツのヒトラー、イタリアのムッソリーニ、そして日本の昭和天皇が絶対的な権力を有するとして、危険な国家としてみられていた。 そして、この日独伊防共協定調印の翌年の1937年にこの物語が始まる。 当時のスペインは、スペイン共和国の政府軍と元陸軍総長・フランシス・フランコの指揮する反乱軍との内戦状態であった。 1937年、フランコ軍を支援するナチス・ドイツ軍は、自治や独立の気風が強いスペイン北部バスク地方の町ゲルニカに空軍による爆撃を行った。 同年、パリ万国博覧会スペイン共和国館に壁画依頼を受けていたピカソは、この空爆で亡くなった無力な人間の哀しみを表現した『ゲルニカ』を万博壁画として発表する。 政府軍を支持していたピカソは『フランコの夢と嘘』とそれに添える銅版画の売り上げを政府軍に寄付していたため、パリ万国博覧会スペイン共和国館の壁画制作の依頼を共和国政府軍より受けたのではないかということであった。 しかしながら発表された壁画は、反戦メッセージとして、ナチス軍はもとより政府軍からもその評価は二分することになる。 本作の並行する物語として、ニューヨーク・マンハッタンの世界貿易センタービルのテロ事件が絡む。 この911テロ事件は、ワシントンの国防総省なども標的とされていた。ハイジャックされた旅客機が次々と高層ビルに激突する映像は世界に衝撃を与えたことは、記憶に新しい。 その後アメリカは「テロとの戦い」を掲げ、アフガニスタン紛争、そしてイラク戦争へと突入する。 アメリカ軍は、アルカイダやタリバンの軍事施設などに対して激しい空爆を開始する。対テロ戦争を掲げるアメリカを中心とした多国籍軍と、聖戦を呼びかけるアルカイダやタリバンとの泥沼の紛争へと発展していく。 本作は2003年までの物語であるが、実際には、イラクに駐留していたアメリカ軍の主要な戦闘部隊の撤退を完了は、2010年まで要する。 私はスペインに行った時、ピカソ美術館、プラド美術館、ソフィア美術館など巡った。そこでゲルニカと出会い、この絵がどのような背景で製作されたかを知った。大きさのインパクトもさることながら、それ以上に抽象化された絵画から発する強烈な不気味さが戦争のもつ悲惨な状況をイメージさせた。そして、なによりも『こんな世界に居たくない』と感じた。 『ゲルニカ』は、抽象化されているので、実際に血や武器、亡くなった人や動物が本物さながらに描かれているわけではない。だからこそ、それを見た人に与えるインパクトも様々である。そのため、この絵を見たからといって、戦争をしてはならないと思うかどうかも人の感性の違いによると思う。しかしながら、この小説を読んだ方で有れば、『ゲルニカ』から発せられるメッセージを同じ感性で受け止めていただけると思う。 何度読んでも、訴えかけてくる作品である。
25投稿日: 2020.08.26
powered by ブクログ現代とピカソの時代をそれぞれ女性の視点から語られ、とても情感をこめられたストーリーで、あっと言う間に読破しちゃいました。
0投稿日: 2020.08.26
powered by ブクログヨーロッパの歴史について知ることができるし、興味が湧き勉強するきっかけになる。フィクションなのにこのリアルさは流石です。 だが、同じ内容が繰り返されすぎて飽きる(もう分かってるよ、と若干読み飛ばしてしまった)。それで集中力持たず何日間かかけて読んだが、大切な部分は繰り返されるためある意味中断しても分かりやすい話ではあった。
8投稿日: 2020.08.24
powered by ブクログピカソのゲルニカが現代に伝える反戦の思い。 ピカソの絵はわたしには難しく思いを読み取ることができない。ただこの本を読んでピカソを身近に感じることができた。 芸術家ピカソとしてではなく 一人の人間として 彼の叫びは私たち自身の叫びを代弁するかのようだ。
5投稿日: 2020.08.15
powered by ブクログゲルニカが生まれた背景をよく知れる。 ピカソや過去の人のの心理描写は、本人が書いてるのかと思えるほどリアル。 その分現代の部分が弱く感じた。 なんで、この段落で区切るのか?構成にも疑問。 伏線なくさらりと終わった感じ。 文字が多い分、伏線に期待をしてしまった。
6投稿日: 2020.08.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ゲルニカは不思議な描写の奥深さ以上に、悲哀、希望、強い意志を持つ絵画だ。ピカソのゲルニカをめぐるアートミステリー。ゲルニカはWWⅡのヒトラーにより空爆を受けた都市で、その悲惨さを絵画で表現した抗議の意志でもある。9.11テロへの抗議としてMoMAキュレータの瑤子はゲルニカをMoMAに展示したい。ゲルニカ創作にはピカソの愛人ドラ・マールの執念が波及する。この思いは瑤子とも重なり国連をも動かした。いつかは絶対拝見したいと願う。瑤子のプレゼンは『本日はお日柄もよく』と被り、熱き想いを存分にぶちかました!
18投稿日: 2020.08.11
powered by ブクログー見てはならない、でも見なければいけない。 9.11でワールドトレードセンターにいた夫を亡くしたキュレーターの瑤子。アメリカがイラクへの攻撃を宣言したとき、国連本部の壁にかかるピカソの〈ゲルニカ〉のタペストリーには暗幕がかけられていた。〈ゲルニカ〉はピカソの故郷スペインが内戦で失われてゆく中にうまれた、何千発もの爆弾に匹敵する衝撃の作品だった。 そして瑤子は「ピカソの戦争」という題材でアメリカに、そして世界に、憎しみ、殺戮、束縛そして戦争そのものこそが戦うべき対象なのだと、アートで証明していきくことこそが使命と信じ、〈ゲルニカ〉をスペインからニューヨークへ借用するべく奔走する。 誰もが絶対に知っている〈ゲルニカ〉。 この絵が戦争を題材にしていることはもちろん知っていました。 正直、ピカソの絵は苦手で(笑)初期の頃の写実的な美しい作品の方がいいのになぁ〜とか思っていましたが、それでもこの〈ゲルニカ〉は美術の教科書越しに食い入るように見てしまったのを覚えています。 この話ではピカソが〈ゲルニカ〉を製作した時代と、現代で瑤子が〈ゲルニカ〉をニューヨークへ動かそうと交渉する現代とか交互に描かれています。 アートが、こんなにも人を動かし、力を持っているものだということを、この本を読むまで、全然分かっていませんでした。 わたしの中で〈ゲルニカ〉は衝撃的な作品へと変化し、そして作品に込められたメッセージを目の当たりにし、明らかにアートへの畏怖が増してしまいました。ああ、でもなんて面白いんだろう。 すごく面白い作品でしたが、それ以上に重厚でエネルギー量が凄まじく、読み終わると同時の疲労感と充足感が他にはない一冊でした。 原田マハさん、すごいです。
5投稿日: 2020.08.10
powered by ブクログ2020(R2)7.26-8.8 ピカソの大作『ゲルニカ』をめぐる壮大な物語。 昔、アルフィーの3人がこう話しているのを聞いた。 「学校の音楽の鑑賞の授業はつまらない。もっと、作曲者の人となりを紹介してくれたら、もっとその楽曲のよさが分かるのに。」 これと同じことを感じた。 『ゲルニカ』という作品は知っている。が、その作品にピカソのどんな思いが込められているか、その思いはどんな背景を元にかたちづくられているか。 そういったことを知った上で作品に触れるのとそうでないのとは、感じ方も変わってくる。 もちろん、作品を偏見なく見るためには、余計な情報を入れない方がよいという考えも分かる。 しかし、僕のような「左脳中心の人間」にとっては、背景を知っていた方が、作品を[分かるのに」ことができ、芸術に興味をもつことができる。 だから、全くの守備範囲外だった美術の分野へ誘ってくれたこの物語は、僕にとって貴重な一冊になった。 しかも、「楽園のカンバス』と同じ人が出てきて、 ちょっと感動。 さらに、物語の全てがノンフィクションに感じるほどのリアルさにビックリ。全て実在だと思って読んでた。
16投稿日: 2020.08.09
powered by ブクログピカソとゲルニカについて、製作当時と現代を交錯させながら描く。両時代ともにドキドキする展開で、とても素敵な作品でした。
5投稿日: 2020.08.09
powered by ブクログ瑤子の記者会見に途中に差し出されたメモのくだり、鳥肌立ちました。 なかなか難しい題材だと思いますが、反戦の思いが痛いほど伝わりました。
4投稿日: 2020.08.09
powered by ブクログピカソを廻る時代を越えた2つの物語が並行して進んでいく、原田さんらしい作品です。 ピカソの作品だけでなく、第二次世界大戦下で深刻な被害を受けたスペインやナチスドイツ、花の都フランスのパリなどの人々の混乱、ファシスト政権等ゲルニカが描かれた歴史的背景についてもすごく勉強になりました。 余談ですが、読み終わってから、すごくトルティージャを食べたくなりました(笑)
6投稿日: 2020.08.07
powered by ブクログ読み終えたばかりの今…。 まだ、余韻に浸っている。 なんてスケールの大きな物語だろう。 私は正直、芸術の事、その背景、歴史など、全くといっていいほど無知である。 流石にゲルニカは知っていたけど、それは、反戦の象徴であり、ピカソの代表作という、ごく一般的な知識だけ。 だから、なかなかこの本を手に取ることがなかったけど、すぐに読まなかったことを後悔した。 ピカソの悲しみ。人々の悲しみ。 読み始めてすぐ、この壮大なストーリーに引き込まれていった。どこが真実で、どこがフィクションなのか、わからないけど、全てが真実味あふれていて、読んでいて、苦しかった。 ラストまで一気読み。そして、ラスト一行は、ブワーっと鳥肌が立った。 久しぶりに、星5つと思えた。
5投稿日: 2020.08.04
powered by ブクログ美術館に行きたくなりました。アートに触れてみたいと思うきっかけになる本だと思います。 実在した天才とその周囲の人の葛藤は、なんだかその時代に自分もタイムスリップした不思議な感覚になりました。 天才のもとには誰しも惹きつけられ、抗えないものなんだなあ。 難しい言葉が多くてたくさん辞書をひいた。
5投稿日: 2020.08.02
powered by ブクログ・古今パート交互出し ・芸術家を支えた者からの目線 で語られるおなじみのマハ式物語リズムで、 「ゲルニカと911」 この2つの時代の「事件と彼らの人生」が見事に重なり収斂していく。 読み終えてあらためてタイトルの秀逸さに脱帽
3投稿日: 2020.07.26
powered by ブクログすごく面白かった 昔と今を繋ぐ人物がいることで 時の流れをリアルに感じられたし 一部はフィクションだけど ピカソのことよく知れた気がする
7投稿日: 2020.07.12
powered by ブクログ長旅で読むにはあまり考えずに済んだかもしれないが、少しばかりは腰が据わった状況で読んでるもんですから、久方ぶりに落胆の度が激しい作品にあいましたな、期待が高かっただけに。 9・11もいつかはこういうエンターテイメントに取り上げられるべき史実でしょうが、ここでの掘り下げ方は正直甘ったるすぎます。世界史的拡がりを持っていない、エンターテイメントとして徹底しきれない日本の小説の典型作品だなぁと思います。 アメリカだったら、もっと書き込んで法螺を吹くと思うんですよね、良くも悪くも、そして好き嫌いは別にして。これは作家だけでなく、出版も含めた日本のエンターテインメントの限界と言うべきか、それともこのエリアへの親和性を持たない社会と言うべきか。まぁともかくちょい残念です。
7投稿日: 2020.07.06
powered by ブクログアート芸術の可能性や限界 瑶子やピカソが痛切に望んだ自由平和であること 美術館にも行ったこともない僕でも楽しめました つぎはゴッホだな!
6投稿日: 2020.06.29
