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暗幕のゲルニカ(新潮文庫)
暗幕のゲルニカ(新潮文庫)
原田マハ/新潮社
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総合評価

679件)
4.2
256
277
99
15
0
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    職場の人に、「たゆたえども沈まず」の次はこれがいいよと薦められて、一気に読みました。スペインで本物のゲルニカを観たことがありますが、もう一度、ピカソのメッセージを噛みしめながら観たいと思いました。暴力では何も解決しない。私もいつもそう思っていました。今なお続く暴力の連鎖。私に何が出きるだろうかと考えさせられました。

    0
    投稿日: 2023.08.03
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    「ゲルニカ」というあまりにも圧倒的な作品がテーマということで、原田マハさんの作品の中でも後回しにしてしまっていた。 読み終わった今も、「まだよく分からない」というのが正直な感想。アートの持つ力、ゲルニカを通してピカソが伝えようとしたこと、戦争とテロの歴史。この本を本当に理解し、感動するためには、もっと知識が必要だと実感し、悔しくもある。 周辺情報を勉強したい。

    1
    投稿日: 2023.07.30
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    引き込まれた、今までこんな小説は読んだことがなかった。「ゲルニカ」誰もが知ってる有名作、だけど私はこれまで絵に込められた意味を知ろうとはしたことがなかった。ピカソの作品は変だとしか思っていなかった。 この作品に出会えて本当によかったです。

    2
    投稿日: 2023.07.26
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    -芸術は、飾りではない。闘うための武器なのだ。 闘うべき相手は政府でもファシズムでもなく、戦争、暴力、憎悪である。武器を持たず、思想と文化と芸術の力、そして、人々の結束で、それら負の存在と闘う。ゲルニカは、平和を望む世界中すべての、私たちのものだ。 小学生の頃、図工の教室で、黒板一面に広げられたゲルニカを見たことがある。泣き叫びたくなるような描写からふと、画面の下の方へ目を逸らしたときに、絵画の中央下に花を見つけた。これはピカソが戦争で亡くなった人たちへ渡したかった花なんだ、と思い、戦争から、ここから逃げちゃいけない、と端から端までつぶさに観察した記憶がある。 いま、世界と、そして日本はどこに向かっているのか。誰も望んでいない方向に進んではいないか。自由と、平等と、権利について考える。人を傷つける以外は、きっと何だって自由なはずなのに。そんなことを改めて考えさせられた作品でした。

    2
    投稿日: 2023.07.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    弥速、めちゃくちゃ面白くて迫力を感じる小説に出会ってしまった。 「事実は小説より奇なり」という言葉があるが本作品は史実+フィクションということで、その複合的な設定もそれぞれのいいとこ取りで新鮮。 ■この本を一言でいうと 第二次世界大戦のドイツ侵攻や、9.11テロという世界平和を揺るがす出来事に対して ピカソの作品がもつアートの力を証明すべく奮闘した人々の物語。 ・幾千万の銃や何千発の爆弾にも匹敵し、 今もなお人々の心を動かす「ゲルニカ」 ヨーロッパの人々にとっての「ゲルニカ」の存在は、 個人の欲望、国益やイデオロギーの愚かしさ、戦争の悪循環を世代間で伝え世界へ発信する象徴/拠り所として日本人でいうところの「原爆ドーム」に近いのではないか、そんなことを想像しながら読んだ。 だからゲルニカは、「私たちのもの」であり、ピカソの戦争は我々の戦争なのだ、と。 ・どの主要人物も、人間らしくいきいきと魅力的に描かれている。その中でも特に、MoMA理事長であるルース・ロックフェラーのキャラクターが好き。 マドリッドにある本物のゲルニカを取り返すべく八神瑤子を鼓舞した際の 「いいえ、借り出すなんで悠長なことを言っている場合じゃないわ。奪うのよ。」の一言。強引さと意思の強さに惚れた。 ※ちなみに二十世紀パートの登場人物は、パルド・イグナシオとルース・ロックフェラーについては架空の人物、それ以外は実在の人物らしい。

    0
    投稿日: 2023.07.16
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    原田マハさんの、アート作品を言語化する能力が凄すぎる。「ゲルニカ」を1ページまるまる使って表現してた。生で見てみたいな。 ピカソという謎の人物を、もう「こんな人です」って、想像できるくらいに描いててすごい。 あと、章終わりの「…物語は続く!」感が好き。

    0
    投稿日: 2023.07.15
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    やはりすごい。引き込まれました。 アートを知る入門編としてこういった小説はやはり良い! 人生の視野を広げるきっかけを、、ありがとうございます。 一方で池上彰さんの解説を読むと史実のみで知りたくもなった。客観的に。…実際に起こったことも含むから。 あと、ピカソをもっと知りたくなった。 美術の教科書等では魅力がわからなかったが、今では解説を聞きながら美術館を訪れたい気持ちになった。 必ずや美術館に見に行きます。 楽園のカンヴァスといい、知らない世界を知れるのは本当に読書の魅力。

    3
    投稿日: 2023.07.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    めちゃくちゃ好きでした 今まで読んだ本の中でもかなりトップレベルに好きかも... ピカソの愛人ドラ・マールを主人公とする物語と、それから約60年後、ピカソ研究を専門としている八神瑤子を主人公とする物語が並行して進む。 構成がすごく好きでした!どちらも面白くてページを進む手が止まらない。ピカソの意志がパルドへと、そして瑤子へと。想いが世代を超えて繋がっていくのが本当に良かった。感動しました。 あと、楽園のカンヴァスの登場人物であるティムが出てきたの嬉しかった!チーフキュレーターに成長した姿が見れて良かったです。 お恥ずかしながら美術史や世界史の教養がほとんど無いので、これどこまで史実なんだろう?!ってなってました。調べたら結構史実も交えての物語になってるんですね。すごい。虚実交えてここまでの物語を書くの、本当に原田マハさんが天才すぎるとしか言いようがない... アートの魅力、影響力を存分に伝える作品でした。ゲルニカ見に行きたいです。

    5
    投稿日: 2023.07.11
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    マドリードのソフィア王妃芸術センターでゲルニカを観た時、巨大なキャンバスからピカソの反戦へのメッセージが矢のように飛んでくるかのような衝撃を受けた。ピカソの没後から早くも50年が過ぎてしまったけれど、彼の作品が放つパワーは今日も世界中の人々の心に訴えかけ続けていると思う。

    2
    投稿日: 2023.07.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    最初読み始めた時は政治が絡んだミステリーなのかな?難しそうだなと思い、ヒューマン系が好きな私には合わないかも?と思いながら読んでいました。しかし、読み進めていくうちに、ゲルニカを書くに至ったピカソの心情、ドラの切ない恋心、ゲルニカ奪還を目指す人々の思いなど多くの人の想いに触れることができ、とても素敵なお話でした。マハさんの本は、パルド・イグナシオなど、フィクションのキャラクターが実際に生きていたような印象を受け、引き込まれます。

    2
    投稿日: 2023.07.01
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    この本は「楽園のキャンバス」のスタイルと似ている。時代が現代と過去と行き来するところと、ティム・ブラウンが出てくるところ。一つの絵をテーマに物語が展開するところ。先に「楽園のキャンバス」を読んでいてよかった。ゲルニカの描かれた時代の戦争に対する反発の気持ちも描かれているが、現代の私たちが体感した9/11のテロとその後のアメリカの動向に対する作者の考え方にもつながっていて、過去と現在の2人の女性を通して平和への祈りが伝わってくる。個人的には時代が前後するスタイルは理解しづらいのでその意味で星4つです。でも歴史、政治、美術史をよくリサーチされて書かれているので、さすがと思います。

    4
    投稿日: 2023.06.29
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    原田マハさんは本当に1番好きな作家さん。 ついにぴかその物語を読んでしまった。 重厚なのに軽く進める文章で一気読みのペースだったけど、気になる絵画や歴史的事柄を調べながら進むので色々考えさせられた。 とりあえず近い丸の内のゲルニカを見に行きたい。

    2
    投稿日: 2023.06.24
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    十年ほど前、ゲルニカのレプリカを観て衝撃を受けたのを覚えている。レプリカでこれほど迫力、インパクトがあるなら、本物はどれほどのものか。いろんな人に観てもらい。他の作品もだがピカソが天才といわれるのも頷ける。

    1
    投稿日: 2023.06.24
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    原田マハさんの作品は絵画の勉強にもなるし登場人物の内面を上手く捉えていると思う。膨大な知識と繊細な感覚で今世紀最大の問題作ゲルニカに迫る。 戦争とは芸術とは人間とは どえらいテーマに挑む原田マハさん。 個人的にはピカソがタバコを床に捨てるシーンが好きです。

    1
    投稿日: 2023.06.24
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    素晴らしい作品。 9.11と第二次世界大戦を行きかい、常に緊迫している。 前々からゲルニカを見たいと思っていたが、その気持ちがさらに高まった。 この本を読んだ直後、MOMAに行く機会があり、ゲルニカの構想絵のようなものを見ることができた。ぞわっとする。 絵にまつわる、史実とフィクションが入り混じった話だが、フィクション側の主人公の度胸、仕事ぶりに憧れる。

    1
    投稿日: 2023.06.19
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    本作品のテーマはピカソの「ゲルニカ」 世紀の名作であり問題作でもある本作品を巡って、1930年代の戦乱のヨーロッパと2000年代のアメリカを行き来しながら話は展開していく。 少々、アートの力に対する表現が過剰な所はあるものの、全体的に話にのめり込む面白さがあった。 結構ページ数もあったのだが、過去と現代をうまく繋げながら話を展開していくのはスゴイ。 この作品が書かれた当時はテロとの戦いが始まった9.11 にまつわる戦禍が主だったが、今書評を書いている2023年は当時よりも大規模な正規戦である戦争が進行しており、世界中の国が何らかの影響を受けており、戦争の恐ろしさを皆がかつてないほどに感じている。 その現状を考えると本書で発するメッセージは尊い。

    2
    投稿日: 2023.06.05
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    原田マハさんは、読むたびに「この作品が一番良い…!」って思わせてくれる。今回も言わずもがな。史実とフィクションの境目がわからなくなるほどの完成度。主人公の女性がアートの力で戦争へと挑もうとする姿にも心を打たれた。彼女の行動力と凜とした強さに敬意を表すとともに、そんな主人公を描き切ったマハさんにも賛辞を送りたい。

    3
    投稿日: 2023.05.29
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    「ゲルニカ」は反戦のメッセージが込められた絵という認識はあったけれど、ピカソやその周辺の人々のこの画に対する想いを汲みながらまたじっくりとゲルニカを観てみたくなる作品だった。

    1
    投稿日: 2023.05.29
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    原田マハさん、やはり面白い。 個人的にはそこまで引き込まれるようなストーリーではなかったものの、キュレーターの仕事や当時の画家の様子、戦争の歴史など、違う世界に連れて行ってくれる。 絵画に親しむ機会が少ない私でさえ、芸術はいいなあと感じる。

    2
    投稿日: 2023.05.24
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    アメリカ同時多発テロ後「ピカソの戦争」展を企画、実現させるMOMAのキュレーター瑤子と、パリでゲルニカを描くピカソと数年共に過ごし、ゲルニカの完成までの過程を写真に記録した写真家であり愛人であるドラ。 2人の異なる時間軸が交錯し、見事に混じり合う構成が素晴らしい。そして2人の情熱に心打たれスラスラと読み進めていました。アートの力は想像以上でした。 群馬県立近代美術館にゲルニカのタペストリーがあり決められた期間展示されるようなので今年の夏、行こうと思いました。実物も近いうちにみたいな。

    4
    投稿日: 2023.05.16
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    大塚国際美術館でゲルニカを観る前に読みました。 原寸大は圧巻でした、、 いつか本物も見てみたい。群馬にあるタペストリーも見てみたくなりました。 1人でも多くの人にこの作品を見て戦争について争いについて、考えるきっかけになればと思います。

    1
    投稿日: 2023.05.14
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    出身の中学校の体育館にゲルニカが飾られてた。当時は怖い絵だなと目を背けていたけれど。 ピカソのゲルニカにある背景とあの時を照らし合わせ、今の世界情勢を思うとなんとも言えない悲しい気持ちになる。 誰しもが笑顔でいられる世の中になって欲しい。

    1
    投稿日: 2023.05.10
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    〈ゲルニカ〉はピカソ自身のものでもない。あなたのものでもない。もちろん私のものでもない。—私たちのもの。 マハさんのアート小説はたくさん読んできた。でも、こんなにも心の奥深くに突き刺さったのは初めて。 ピカソが絵筆一本で闘い続けてたこと。絵筆が銃よりも、大砲よりも空爆よりもずっと強いこと。ただ美しいのがアートではない。マハさんの小説だから知ることができた。

    2
    投稿日: 2023.05.09
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    【一言感想】 事件などの"出来事"は自分も当事者となって考えることの必要性 ピカソの"ゲルニカ"を題材として、第二次世界大戦時の過去と9.11テロが起きた現代の出来事を通して、ゲルニカの絵に込められたメッセージを読み解く一冊 フィクションとノンフィクションが散りばめられているので、どこからどこまでが本当のことなのか分からなくなるのは筆者の手腕だと思う 戦争とテロという暴力が蔓延る現代において、当事者ではないと考えている自分たちも、絵の作品を鑑賞している時は当事者であり、ただ見つめるだけではなく、どのような行動をしていくのかを考え直すには良い作品だと考える

    1
    投稿日: 2023.05.07
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    マハさんらしく、過去と現在を行き来する形で物語が進行していく。結構重い話だけど、どんどん惹き込まれて、ふと気が付いたら読み終わってました。 読後、結局この人はどうなった?って思うのはいつものことで、それを読み手が勝手に想像を膨らませる余韻がまた何だか心地よく。 因みに、『楽園のカンヴァス』を先に読んでからこの本を読んだ方がいいと思います。

    22
    投稿日: 2023.05.05
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    どこからフィクション!?どこまでホント!? 本物のゲルニカをぜひこの目で見てみたい! 私は、何かを感じることができるだろうか?

    1
    投稿日: 2023.05.04
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    2つの時間軸が並行していく。それぞれがひりひりするような緊張感。読後、2つの時間がつながり、そうだったのかと心に落ちる感覚。しかしながら、作者から何やら大きな宿題を背負わされた感じ。複雑な心境に浸ることができた。読者に想像させる余白を残した書きぶりに楽しませてもらった。

    1
    投稿日: 2023.05.04
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    芸術の知識なんて皆無。ゲルニカって何?から始まった。ただの芸術じゃなくて、戦争に対する1人が掬い取った多くの人間の思いが込められとんじゃな。2022年5月にスペインにゲルニカを観に行った。吸い込まれて動けなかった。  また観に行きたい。1回じゃ消化しきれんかった。

    2
    投稿日: 2023.05.03
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    芸術はノスタルジーだと思ってきたけど、そんなに甘いものではなかった。その作品の訴えるメッセージや歴史的経緯がどうあるから、どこの美術館に所蔵されていて、どんな展覧会に出展できて、という柵(しがらみ)がここまで根強いものだったとは。 フィクションとノンフィクションが融合していく原田マハさんの絵画ミステリーには、あまりにも惹き込まれてしまう。時代を超えて繋がっていく登場人物たち、教養を極め倫理を通す主人公の凛々しさ。 "ペンは剣よりも強し"という言葉があるが、アートもそれに漏れないと思う。「平和を訴える」ためにピカソが筆で認(したた)めた思い、反戦への旗。「ゲルニカ」は、平和を願い実現する「私たち」のものであるのに。令和の今になっても、独裁者がいて、この絵の悲劇を繰り返す世が続いているとピカソが知ったら。 平和ぼけしている私にとって、考えさせられる一冊になりました。

    2
    投稿日: 2023.04.30
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    初めてゲルニカを見た時、色がないことに違和感を感じたものの、またピカソの難解な絵だ・・・と思っただけで、ゲルニカの背景に戦争や争いへの抵抗があったとは知らなかった。そんな事を知るに連れ、ピカソとドラとゲルニカの物語に引き込まれいった。 ピカソがカンバスに向かって筆を取り、そんなピカソをドラが黙って見つめている・・・。こんなにクッキリと目の前に情景を思い浮かべながら読み進んだのは初めてかも・・・。再読本に決定

    1
    投稿日: 2023.04.29
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    ピカソも911も題材がどちらも大きすぎて入り込めなかった。 偶然にもピカソマティス展に行ったので、フィクションなのにノンフィクションの要素もあるストーリーが、フィクションに流れていくのに入り込めなかったんやろうな。 あの頃なんにも考えずになんの知識もなく展示を見たのがもったいなすぎるが、仕方ないな。

    0
    投稿日: 2023.04.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    マハさんの作品は(特に絵画もの)後半から物語の推進力が指数関数的に大きくなる傾向にある印象だが、本作品はその傾向が特に強いように感じた。 ゲルニカを描いたのは紛れもなくピカソであるがそれを描かせてしまったのは戦争であり、また戦争を生んだ人間である。 また「ゲルニカ」という作品は平和を願い実現する「私たちのもの」であること。 最後の一文ですべてがわかる絵画ミステリーではあるがその中に込められたメッセージ性もつよい一冊である。

    0
    投稿日: 2023.04.26
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    著者の作品はどれも大好きでいつも没頭して最後まで一気に読んでしまう。 が、ピカソの生涯の面白さにつられて読んだものの、なんだかいまいち読み始めは進まなかった。 が、やはり最後の怒涛の執筆すごかった。 アートの使命ここにあり。

    1
    投稿日: 2023.04.25
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    国でも人でもない、我々が闘うべきなのは戦争や暴力、テロといった事象そのものである。それに対抗するのに、刀剣はいらない。芸術、ただ一枚の絵画に己、いや犠牲となった生物の魂を込めて、訴えかけるのだ。 ピカソのゲルニカはなんとなーく知ってはいたが、ただゲルニカが空襲にあった様子を描いたに過ぎない、と思っていた。しかし、物語の中でマハさんが創り出した魅力的な登場人物を通して、戦争そのものに反抗し、ゲルニカが絵画としてだけでなく、政治的価値もあることを知ることができた。 絵画は金持ちの道楽、愛好家の娯楽に過ぎないと思ってきたが、ここ数作品マハさんの作品を手に取ることで、芸術という枠を超えた価値、意義があることに気付かされ始めている。 芸術家、というと男性をイメージしがちであるが、このゲルニカは過去現在パートどちらも、2人の勇敢で賢くて愛が深い女性によって、繋がれている。性別で人を分けることは、最近タブー視される風潮があるけれども、女性だからこその視点で描かれていて良かった。

    1
    投稿日: 2023.04.22
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    楽園のカンヴァスがあまりに良かったので、そのまま突入。なかなかゆっくりと読む時間が取れず、読み上げを併用。 何だろう、至る所で胸が熱くなる。そして心が鼓舞される。想像がどんどん膨らんでいく。エンディングだけ感動するような物語とは一味違う。 二人の女性、瑤子とドラの性格はまるで違うし、ピカソへの愛も違う。でも、どこか重なりを感じる。背中を愛している、そんなところが。 こんな時に限って、今はまさに大阪の美術館でピカソ展が開かれている。これも何かの縁なのか。 時代や場面があちこちに飛び、途中ついていけなくなりそうだったのは、きっと自分の至らなさのせいだろう。

    1
    投稿日: 2023.04.22
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    現代の描写があの出来事に繋がり、 そしてピカソが生きた時代へと繋がっていく。 現代と過去の往復をしながら、 どんどんストーリーに引き込まれていく。 読み終えた時には感動してうっすら涙が出て来た。 楽園のカンヴァスの彼が出てくるのも嬉しい。 群馬県立美術館へ、 ゲルニカのタペストリーを見に行きたくなってます、 なう。

    1
    投稿日: 2023.04.19
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    2001年9月に起きたアメリカ同時多発テロを受けてアメリカがイラクに攻め込む際、パウエル国務長官が国連安保理のロビーで開いた記者会見で、長官の後ろにあったピカソの「ゲルニカ」に暗幕がかけられていたことに原田マハさんが衝撃を受けてこの物語が生まれた。 そしてこの一件からこの物語が生まれたことにわたしは衝撃を受けた。すごい。。 1937年のピカソの当時の恋人ドラマールの視点と、2000年代のMoMAのキュレターでもある八神瑤子の視点、別々の時代だけど繋がっていく部分もあって...! などなかなかサクサク読み進まないところもあったけど、アートにはどれだけの力があるのか。 今実際に戦争が起こってる世の中、多くの人に読んでほしい本。 大学の卒業旅行でスペインにも行って、レイナソフィアにも行って、ゲルニカも見たはず。 その頃は何も知らず美術館内を一瞬で通りすぎてしまった... 今ならじっくり見るのに。なんてもったいない...

    5
    投稿日: 2023.04.14
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    ピカソの時代と現代が交互に行ったり来たりするので、ストーリーの繋がりが途中でわからなくなり、慣れるまでに少し時間がかかりました。 実話なのかフィクションなのか気になって途中で調べながら読んだりもして、そうか、史実はこうなのか、と面白く思う部分も多々ありました。 原田さんからのメッセージが籠った作品で、読んだ後はスッキリ。ピカソのゲルニカのタペストリー、日本にもあるんですね。観に行きたくなりました。 大塚陶板美術館にもまた足を運びたくなりました。

    2
    投稿日: 2023.04.10
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    ピカソのゲルニカ。 どこかで見たような気がするけれど、どこかってスペインのどこか。でもそれがマドリッドのレイナ・ソフィア芸術センターになるのだとしたら、そこには行っていない気がする。 でも横に長いピカソの白黒の絵を見たような気がする。 なんか、重苦しくて、見ていられない気分になった。 違うかな。 ロシアのウクライナ侵攻が始まった時、誰かが言っていた。 今こそこれを読むべきだと。 侵攻が始まって終わることなく一年以上がすでに経ってしまった。そしてまだ終わる気配はない。 誰か特定の人が憎くて爆弾を落としているわけではない。 誰かに苦しみをもたらされたから復讐しているわけでもない。 兵士という職業は、国という見えない力に命令されて人間を殺す。メンタルやられないために正義を振り翳す。言い訳をする。 作中何度も言われている。 『ゲルニカ』はピカソのものではない。 私のものでもない。 私たちのものだ。 戦うべき相手は政府でもない。 ファシズムでもない。 戦争、暴力、憎悪そのものだ。 武器を持たず、思想と文化と芸術の力、そして人々の結束で それら負の存在と闘う。 今するべきことはなに。

    2
    投稿日: 2023.04.07
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    それぞれの時代が平行して進んでいきながら、キーマンが存在し、繋がっていく。 『争い』はどの時代にもある悲しさ。 アートを武器にしたピカソの思いでもあるゲルニカを現代で暗幕にかけた事からこの物語ができたんだろうな。 だからこそラストは平和への一歩なのかなとジワジワときました。 池上彰の解説を読むとまた淡々としながらも、ただの小説ではなく重みも感じさせます。 空襲から空爆。 平和への一歩は遠くなってしまったのだろうか…

    2
    投稿日: 2023.04.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    若干実話をもとにしてるところが面白かった!アートの力を感じる。後半から急にサスペンションな感じになって、ま確かに面白いんだけど、なんか感情が追い付けなかった。

    1
    投稿日: 2023.03.24
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    芸術は武器だ、と捉えている時点で争いはなくならないのではないだろうか。兵器とアートで手段は違えど、自らの主張を押し通そうとする点では同じではないのか? 戦争が起こる、アートで反戦を謳う、その流れ(対立)そのもがすでに「戦争」の一部ではないのか?そしてその分断こそが、円環的に新たな戦争の火種になるものではないのか?と、考えさせられる物語ではあった。 「我々は戦争や暴力に負けない❗」⇔「我々はその主張を隠れ蓑にした情報操作を覆すために戦う❗」となってる可能性はないのか?

    2
    投稿日: 2023.03.24
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    "芸術は、飾りではない。敵に立ち向かうための武器なのだ"                  パブロ・ピカソ 殺し合いをやめない人類に対して突きつけた渾身の一作である『ゲルニカ』 もっとも美しく、もっとも賢い、神の創造物であるはずの人類が繰り返してきた、もっとも醜い行為。ピカソは『ゲルニカ』を作り出すことによって警鐘を鳴らした。 モノクロームの舞台に繰り広げられる、戦争の悲劇。兵隊も戦車も武器も殺し合いも描かれてはいない。それでも、紛れもなく戦争の場面を描いている。 ゲルニカ空爆の悲劇、それに対する非難。ファシズムへの抵抗、反戦。 単なる一枚の絵にすぎない。剣でもない、兵器でもない。 しかし剣よりも、いかなる兵器よりも、強く、鋭く、深く、人間の胸をえぐる。 あの絵は、画家の、つまり僕たち人類の抵抗。 戦争をやめない一方で、戦争に苦しみ続けるのもまた人類。苦しみから逃れるためには、戦争をやめるほかない。 無慈悲で無差別な殺戮は、ゲルニカのみならず、世界のどこででも起こりうることであり、明日にも、来年にも、もっとずっと未来にも起こりうる悲劇。 もうやめろ、とピカソは叫んでいる。 殺すな。戦争をするな。負の連鎖を断ち切れ。取り返しがつかなくなる前に。 ピカソが、私たちが戦っている敵は、「戦争」そのもの。 『ゲルニカ』は反戦のシンボルであり、『ピカソの戦争』の象徴。そしてそれは、『私たちの戦争』の象徴でもある。 私たちの戦いは、この世界から戦争という名の暴力が、悪の連鎖がなくなる日まで続く。 『ゲルニカ』は、幾千万の銃よりも、一本の絵筆の方がはるかに強いと証明された、記念碑的な作品。 ゲルニカ空爆は、街を人を、全てを破壊した。人々の心までも。 けれど、ピカソの作品は、人々に反戦の思いを芽生えさせ、人々の心を大きく動かした。 人類は、有史以来、互いに憎しみ合い、争い続けてきた。いつの時代にも戦争があった。戦争を仕掛けるのはいつでも為政者であり、市井の人々はただそれに巻き込まれて戸惑い、悲しみ、傷つくばかりであった。 このままではいけない。これからは、自分たちの声で平和を叫ぶんだ。闘うんだ。「戦争」そのものと。自分たちの力で。 それこそが、『ゲルニカ』に込められたメッセージ。 "芸術は飾りではない。敵に立ち向かうための武器なのだ。私は闘う。断固、闘う。この世界から戦争がなくなるその日まで、戦争そのものと。この絵筆一本、一枚の絵で"

    31
    投稿日: 2023.03.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    祖国への空爆を受けて、強い反戦への願いをこめてピカソが描いた「ゲルニカ」。 今まさにテロとの闘いが始まろうとするニューヨークで「ゲルニカ」のメッセージを伝えようとする瑤子。 どちらの時代も劇的でドラマチック。 ドラやパルドをはじめ、二人と「ゲルニカ」を守る人々も印象深い。 2つの時代が交わることはないと思っていたが、ある人物、ある1枚の絵で繋がった時は鳥肌もの! 芸術は飾りではなく、戦争やテロ、暴力と闘う武器という言葉が重い。 今なお世界で続く争いに「ゲルニカ」のメッセージが伝わってほしい。 そもそも、武器として必要のない時代が来てほしい。

    3
    投稿日: 2023.03.16
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    この1ヶ月、NY, Parisに旅行行ってたから、ニューヨークの53丁目駅や、パリのドゥマゴの情景が手に取るように浮かんだ。 あと印象派やキュビズム運動が起こった背景を美術館で学んだから、グッと解像度高くストーリーに入り込めた。 いってみれば、黒い色の絵の具が塗られたカンヴァス。単なる一枚の絵に過ぎない。しかし、剣よりも、いかなる兵器よりも、強く、鋭く、深く、人間の胸をえぐる。 秋の日差しのようにおだやかな微笑み

    4
    投稿日: 2023.03.07
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    芸術下手な私ですが、面白くて、達成感があって、勉強になりました。とても印象的な本でした。読みながら思ったことは、今、ロシア国民が『ゲルニカ』を見て、どう感じるのだろう…と。戦争を終わらせるためには、軍事提供でも経済制裁でも民族主義でもなく、命をこめたアートのチカラかもしれません。

    4
    投稿日: 2023.03.04
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    スペイン・マドリードの、ソフィア王妃芸術センターで実物のゲルニカを見たことがある。 大学卒業記念のスペイン旅行の1日で、渡された館内マップもろくに読めないまま、展示室から展示室へと見て回っていたあの日。ゲルニカのある展示室は他の部屋と地続きになっていて、それまでと同じようにゆっくりと歩きながら視線を移した。アートには力があると信じるようになったのは紛れも無くあの瞬間からだったと思う。戦火の煙の匂いが立ちこめてきそうな禍々しさを今でも鮮明に覚えている。大袈裟でも何でもなく、しばらく立ち尽くしてしまい、目を逸らすことができなかった 暗幕のゲルニカを読んだのは、旅行から帰ってきてしばらく経ってからだった。異なる2つの時間軸がゲルニカを中心に交差しながら、同じ願いに向かって進んでいく。何の解説も持たずゲルニカを見たあの日の感情を、ピカソがゲルニカを描いた背景を知ってから振り返ると、メッセージの核はあの時にブレずに受け取っていて、ゲルニカのパワーに改めて感服する。 写真でしか知らないピカソ達が、どうしてこうも生き生きと頭に浮かぶのか。原田マハのアート小説にハズレ無し…

    4
    投稿日: 2023.03.03
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    誰しもが知る作品『ゲルニカ』 現代美術は分かりにくいという私もゲルニカ(レプリカだけど原寸大)の前に行くと足が止まってしまう大作。 この小説はそのゲルニカにまつわるお話。 ピカソがゲルニカを描いた時代と、現代のニューヨークにおいてゲルニカを必要とした時代。 その2つの時間軸で、絵画を愛でるように丁寧にゆっくりと描かれていく。 盛り上がりはあるものの、ジェットコースターのようなスピード感は皆無。 権力や暴力に翻弄される人々の苦悩はゲルニカの持つ力によって各時代の人たちにどう影響するのか 歴史小説のような側面もあって、どこまでが本当でどこからがフィクションなのか分からないほど。 最後の一刀が強烈だけれども、その一刀によりどうなったかまで少しだけでも描いてくれるとスッキリしたかも、ということで星3つ。 作者のアートへの情熱が伝わる作品。 『楽園のカンバス』を読んでから読むのがオススメ。

    4
    投稿日: 2023.03.03
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    パブロ・ピカソ 中学の美術で初めて見てなんだこのへんてこりんな絵はと全く理解できないでいた。 でもゲルニカだけは違う。 絵としてはピカソらしい描き方なのに他の絵よりももっと強い何かがあって、これこそが地獄絵図だと言える。あえてのモノクロームが余計に怖さを膨らます。 この本に出てくる人たちも同じことを思っている。 この絵を前にして、呼吸ができないような気がして見たくないのに見なくてはならない気持ちに駆られる。 どの時代でも人を殺すことが許される戦争は許せない。今で言えばウクライナ侵攻だって、詳しいことは分からないからあんまり言えないけど、第二次世界大戦の時とやってることは変わらない。 ただ科学が優れただけで、やってる事は変わらない。 そんな時に、アートは何ができる? 美しいものをだけを伝えてきたアートが風刺画として世を見つめるものになってきた印象派以降の時代。 今この瞬間を映しとるようにアートで何を見せて自分は何と戦いたいのか。 世界中のどっかで起きてるからとは思わないでほしい。これはこの絵を見ている全ての人間たちの戦いだ。 そうゆう強い意志を問う物語だった。

    5
    投稿日: 2023.03.01
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    原田マハさんの作品、4作目。 前回読んだ楽園のカンヴァスがとても面白かったので、長編、アートもの、サスペンス…なら間違いなかろうと手に取った次第。 物語は1937年、パブロ・ピカソの当時の恋人、ドラ・マールの視点と、2000年代、MoMAのキュレーターである八神瑤子の視点を交互に行き来しながら進む。 ファシズムの台頭してくる時代、故国スペインの地方都市ゲルニカ空爆のニュースを受け、パリ万博への作品を制作するピカソ。理不尽で一方的な空襲を受けた地上の様子を思わせる、キュビズムとシュールリアリズムの手法を織り交ぜたこの作品はゲルニカと名付けられ、その後、反戦のシンボルとして世界を巡る運命となる。 一方2000年代のニューヨーク。 9.11テロで最愛の夫を亡くした八神瑤子は、きな臭いアメリカの情勢から、反戦の意を込めた展覧会「ピカソの戦争」を成功させるべく動いていた。 そんな時期、国連本部でイラク攻撃を宣言する米国国務長官の背後から、ピカソ自身が監修したゲルニカの複製タペストリーが暗幕で隠されるという事件が起きる。そこを端緒に陰謀に巻き込まれていく…という内容。 この、時代を超えて物語の視点が交錯しながら進んでいく手法って、本当に文章が上手で構成がしっかりしていないと難しいと思うが、本当にお見事。 情報量も半端ないうえに、情熱的かつ読ませる端正な文章。どのパートでもいいところで視点が入れ替わるので、読みながら「くうぅぅっ」、となる。まあおかげで読書が捗る捗る。 フィクションと実話が入り混じった展開は、どこまでがフィクションでどこまでが実話なのか調べたくなるのを読了するまでめっちゃ我慢した。 国連本部のタペストリーが暗幕で隠されたのは実際のエピソードらしく、ここからこんなにも壮大で引力の強い物語を紡ぎ出すって…本当に天才的だなぁ。 今作品の、ある意味ヒロイン的存在のゲルニカ。 わたしは今までゲルニカの存在自体を知らなかったんだけど、この作品でまたひとつ知らなかった世界に通じる扉が開かれた。

    4
    投稿日: 2023.02.28
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    スペイン内戦下に稀代の画家・ピカソが世に放った超大作『ゲルニカ』。その作品に込めたピカソの想いを時代を超えて見出すアートを中心としたサスペンス。 ピカソたちが生きた時代、現代の主人公・八神瑤子が生きている時代を交互に描写しながら、『ゲルニカ』の真実、意義について考えさせられる物語。 アート、特に絵画に関しては手法や絵の上手さ等にフォーカスが当たっている印象が強く、アート(絵画)に興味を持っている人はいろいろな知識を持っている人しか楽しめないと思っていた。 ただ、今回ピカソの生き様や思考、その時の時代背景などを知る事で、その絵画の受け取り方が非常にクリアになることを学んだ。 アートを視覚情報のみで捉えるのではなく、なぜその表現になったのか背景まで知ることが、本当の表現を知るに繋がると感じた。 逆に、表現者側は本当に難しく、受け取り方は人それぞれ千差万別である。 その中でも抽象的な核になるメッセージだけしっかり伝われば、細かい解釈は人によって違くてもいいと感じた。 ※今回に関しては、ゲルニカは誰のものでもないというピカソのメッセージが本当に伝えたいこと。

    4
    投稿日: 2023.02.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    現代と過去が交差しながら、ゲルニカを巡る物語が綴られている。瑤子、ピカソ、ドラ、イグナシオ。ピカソの過去をあまり知らなかった為、こんな風に生きていたのかと興味深かった。ゲルニカを巡る現代のストーリーも先がどうなるのか気になったが、場面展開が多く読みづらかったのと、ラストの攻防がちょっとリアリティに欠けると感じたので星3つ。楽園のカンヴァスの方が好き。

    4
    投稿日: 2023.02.24
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    ピカソ展を見に行く、といったら、友人が予習用に貸してくれた。 面白かった。 本物の、ゲルニカ、見てみたいなぁ。

    1
    投稿日: 2023.02.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    アートを通じて歴史を学びました。私は何も知らなかった。気軽にスペインに行けない時代があったなんて。アートを通じて少しでも私たちがしあわせになれるように祈ります。 ラストシーンでゲルニカを国連に飾ったけど、一般の方は見に行けるのかな?そこからまたMOMAまで運ぶのかしらと少し疑問が残ったのでもう少し続きまで描いてくれたら理解ができたかもと思いました。

    2
    投稿日: 2023.02.19
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    ピカソのゲルニカを巡る時代を超えた二つの話。 瑤子の奮闘とドラの葛藤が話の骨子と思う。 どちらもピカソを、そしてゲルニカを追い求めたが、瑤子は真の意味を追い求め、ドラは別れを告げる。 ミステリー仕立ての作り込みで読み易く、ピカソの絵をスマホで眺めながら読み進めた。原田マハの絵画の話は改めて芸術に触れられる良い機会になる。

    48
    投稿日: 2023.02.18
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    丸の内のビルKITTEに大きなゲルニカがある。それを観てからゲルニカ惹かれていったが、どういう背景で画かれたかは知らなかった。 著者がアートに、ピカソに熱い想いがあるのが伝わってきた。

    5
    投稿日: 2023.02.14
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    アートは敵に立ち向かう武器。戦争の悲惨さ、罪なき人が何も悪いことをしていないのに殺される、そんな戦争をもう引き起こしてはならない。 ピカソが奥さん、愛人、ドラ・マール、、色んな女性と関わりがあり恋多き人だったことは全く理解出来なかったけど、ピカソがアートを通して伝えたかったことはちゃんと受け取りました。 また、時を経てゲルニカに衝撃を受け、アートを通して立ち向かう瑶子に心震えました。 楽園のカンヴァスが好きなので、楽園のカンヴァスに出てきたティムが出世して素敵な上司になっていて嬉しかったです。 楽園のカンヴァスもう一度読み直したいな。

    4
    投稿日: 2023.02.07
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    とても面白かったです。 アートには特別関心はありませんでしが、美術館に行ってアートのパワーを感じたいと思わせました。 今だからこそ響くメッセージがこの作品には、あると思います。

    5
    投稿日: 2023.02.04
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    ニューヨークはもういいかな、と思っていたのに、またMoMAに行きたくなった。スペインにも。 すっかり引きこまれて、一気に。 これから、画集で、ドラを観てみるつもり。

    3
    投稿日: 2023.02.03
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    史実とフィクションをミックスしながらゲルニカという媒体を通じた反戦争のメッセージを巧みに伝える素晴らしい小説。

    3
    投稿日: 2023.01.29
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    素晴らしい言葉がたくさんあった。 「芸術は飾りではない。 敵に立ち向かうための武器なのだ。」 温かい毛布のような存在で 心を守ってくれる芸術もあれば、敵に立ち向かい 身を守ってくれる芸術もあり。芸術の素晴らしさを改めて感じる本。

    3
    投稿日: 2023.01.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ルース・ロックフェラーからパルドへの提案はなんだったのかよくわからず。 パルド含むゲルニカ保有側は「ゲルニカは動かせる状態ではない」と主張している場面での提案が「国連にゲルニカを展示する」だったのどゆことだ?

    1
    投稿日: 2023.01.25
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    原田マハさんの作品は、「楽園のカンヴァス」に続いて2作目にトライしてみました。 ニューヨーク近代美術館に勤務する日本人女性キュレーターが主人公です。楽園のカンヴァスの主人公、ティムがおっさんになって登場しており、なんだか嬉し楽し感を味わえたのは前作読了者の特権です(笑 ピカソのあの名作「ゲルニカ」にまつわる壮大な物語。ピカソの反戦を願う強烈な意思をこの物語から理解しましたし、同時に奔放な女性関係にも驚きました。さすが天才画家です。超有名人ですが彼の人となりなどは知る機会がなかったので本書で知ることができてよかったです。今後、美術館などでピカソの作品を見ることもあるかもしれませんが少しは見え方感じ方が変わるかもしれません。 「楽園のカンヴァス」があんまりにも面白くて、期待値マックスを突き抜けた状態で本書を読み始めてしまったんで、期待外れとは言わないもののストーリー展開の部分で何となく物足りなさを感じてしまいました。 とはいえ素晴らしい小説であることは間違いないです。 これから読まれる方は、「楽園のカンヴァス」から続きで読む場合は、期待値ゼロにして読んでもらうとめっちゃ楽しめる作品です(笑

    96
    投稿日: 2023.01.22
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    池上彰氏の後書にもあるように、アートにはどれだけの力があるのか、戦争を阻止する力はあるのだろうかという、芸術に対する希望であり、原田さんが描こうとした可能性。 1930年代後半から世界大戦終焉までの、ピカソと愛人で写真家のドラが、作り上げた「ゲルニカ」 ニューヨーク多発テロ後の2001年から2003年、キューレターの瑤子と、今また焦点を当てたい「ゲルニカ」 ゲルニカ制作当時の戦闘下と、アメリカがテロとの戦いを明言した当時が並行して描かれます。この時、国連のゲルニカのタペストリーに暗幕がかけられた国務長官の記者会見。これに衝撃を受けての執筆とのことでした。 アートには、戦争を阻止する力はないのかも知れません。しかし、暗幕をかけたという事実は、そのアートのメッセージ性を認めているということかと思います。暗幕を掛けなければならないほどの力はあるのですね。 両時代に登場するパルド。恋人を戦争で失い、その代替のように、ゲルニカを守る。守る事を彼の戦闘とする。フィクション部分と知っても、彼のような役割を果たした人物がきっと居たはずと思わずにいられない。

    66
    投稿日: 2023.01.15
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    ◯アダの本に出会わなかったら。……そして、ドラが写真を撮っていなかったら。自分はもっと違う人生を生きていたに違いない。(161p) ◯ひまわりが咲き誇る真夏はとうに過ぎ去った。遠ざかる太陽をどれほど求めたとて、一輪の花ごときに日没を止める力などない。(427p) ◯僕は思うんです。あれは……誰のものでもなくて、僕たちのものなんだと。(462p) ★ウクライナが戦場となっている今、悲しく読んだ。 ★ドラ、瑤子、そしてパルド・イグナシオ。三人のゲルニカへの熱い思いが胸に響く。物語が進むにつれ、どんどん面白くなっていく。そしてマイテ!ドラマチックな人物の登場で物語はクライマックスを迎える。

    7
    投稿日: 2023.01.13
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    楽園のカンヴァスに比すると少しだけおすすめ度は下がるけど、ピカソのパリのアトリエやカフェのテラス席に居合わせてその空気感を味わっているような気分になれる。反戦への強いメッセージを発するゲルニカ、一度この目で見てみたいと思った。スペイン、今年中に行きたいなあ、、、。

    5
    投稿日: 2023.01.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ゲルニカ空爆、スペインの軍事政権による蹂躙、第二次世界大戦でのヒトラーのユダヤ人迫害、そしてアメリカの同時多発テロ… 原田マハさんの小説の中では、かなり社会的なテーマが題材になった重い小説でした。 重苦しい時代の中で傷を負った、瑤子とドラ・マールという2人の女性主人公から、ピカソとピカソの作品を守りたいという強い意志と生きる力強さをもらいました。 原田さんの小説に登場する女性は葛藤を続けながらも、いつも光り輝いていて、こうなりたいと憧れてしまいます。 最初に暗幕がかけられていたゲルニカを、最後はその暗幕を瑤子自らが剥がすことで展覧会のスタートにする、なんとも魅力的なラストでした。 ゲルニカだけではなく、ピカソが描いた2つの鳩の絵も、平和を謳っている象徴として作内に取り入れてられていて、美術を通して反戦を訴えた芸術家の美しさを感じさせられました。

    2
    投稿日: 2023.01.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    絵から伝わってくることしか、絵画の近くにそっと置かれている解説を読むことでしか分からなかったピカソの考えが、人柄が、物語になって語りかけてくる。 躍動感を持って、1人の人間として、ゲルニカをいかにして描き始めたのか、そこにどんな想いを込めたのかがじんわりと伝わってくる。 天才の近くで、天才にみそめられた自尊心と、類稀な作品が生まれる瞬間に立ち会えている幸せを噛み締めながら、でもこれは今だけのことであって永く続くことではないとどこかで分かっているドラ。やはり天才的な人間のことはよくわからないので、ドラの人間くさい行動、感情に共感してしまう。 瑤子がテロリスト集団に捕まるところなど意外なハプニングやマイテの鳩の絵などの伏線はあったものの、終始一貫して伝えたかったのは、「ゲルニカ」は誰のものでもない、私たちのものなのだということなのだろう。戦争は戦争しか生まない。負の連鎖を止めるのもまた私たちなのだと。 ピカソの言葉もかっこいい。これを書いたのはお前か? いいや、これの作者はあんたたちだ。 なに、その座布団10枚超えのうまい返し。シャープすぎる。 『楽園のカンヴァス』を読んだ時も思ったけど、絵画展の企画を通したり有名な作品を借用してくるってこんなにも大変なことなんだな… 絵画展でぼんやり見てる時はそんなこと全く想像していなかった。キュレーターの仕事ってすごいな。 前作と同様に、史実とフィクションの混合度合いが絶妙で、パルド・イグナシオって実在の人物かと思ってしまった。かと思えば実際にパウエル長官の後ろにあったゲルニカのタペストリーに幕がかけられていたのは本当、というのは驚き。ここを発端に小説が生まれたというのは興味深い。 スペインに本物を見に行きたいし、その前に群馬県立近代美術館にも見に行きたい。

    9
    投稿日: 2023.01.05
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    ピカソのゲルニカを中心に過去現代、史実と虚構が入り交じり展開され繋がっていく、原田マハさんらしい物語でした。 ただ、原田マハさんらし過ぎてしまったのがいまの私には少し重たく、面白くてどんどん読み進めたくなると言うよりかは、何とか読み進める作業のようになってしまいました。 もちろん、原田マハさんの造詣の深さは本当に素晴らしく、相当な量の資料を読み込まれているのだろうとも想像でき、その点は感心するばかりです。さらに今作はアートだけでなく、戦争やテロという題材もひとつのテーマとなっていて、娯楽としての物語には留まらない奥行があります。きっと著者の思いやメッセージ、またピカソのメッセージの代弁みたいなものも多く含まれているのだと思います。 ストーリーや構成も凄くよく出来ているとは思えるんです。架空の人物の織り交ぜ方も絶妙です。 しかしながら、もともと多くの本を読んできた人生ではない私は一時期に原田マハさんの作品を摂取しすぎてしまいました。いや、数で言えばそれほど多くはないのでしょうが、私の中では密度が濃かったのです。そのため、原田マハさんの壮大な世界観でのサクセスストーリー、やや大袈裟に感じる文章に対してアレルギーのようになってしまい、最後まであまり楽しむことが出来ませんでした。。。 原田マハさんの作品は言わば高級ステーキのようなものであり、たまーに食べるからこそ美味しさが際立つのだと思います。連続で食べるには、油っこすぎてしまいます。私にとっては。 とは言っても、作家性や作風は個性という意味でも大切だと思いますし、そこを否定している訳ではありません。私の読み方が良くなかっただけなのです。 もっとたくさん、色々な作家さんの色々な作品を読んでから出直したいと思います。 純粋に楽しむことは出来ませんでしたが、一生の内にゲルニカを生で見たいと感じましたし、ピカソのことをもっと知りたくなりました。もちろんドラ・マールについても。 アートへの興味を広げてくださる原田マハさんはやはり素晴らしいと思います。

    4
    投稿日: 2023.01.03
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    パブロ・ピカソの生きた時代 「ゲルニカ」に描かれたもの 何も知らなかったなぁ ピカソの絵の事が知りたくなった

    1
    投稿日: 2022.12.31
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    誰もが知る画家、ピカソの 誰もが知る名画、「ゲルニカ」を巡って 時代を超えたサスペンス。 この衝撃は小説でしか味わえない! どの時代にも戦争があって、 アートを武器に戦うピカソもドラも ヨーコも、そしてパラドもカッコよかった。 コロナ前最後の旅行で行った、彫刻の森美術館の ピカソ館…これを読み終わって改めてまた行きたい。

    2
    投稿日: 2022.12.31
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    「アートは飾りではない、戦争や暴力と戦う武器」この一言が衝撃だった。最終ページは1文1文読み進めるごとに鳥肌が止まらない。 これまでアートや絵画というのは部屋を装飾するためのものという認識に止まっていたため、これを機に、著名絵画がどのようなメッセージのもとに描かれたのか、知りたくなった。 また、ゲルニカの貸出・テロリズムからの死守を最後まで諦めない八神瑤子の姿は、映画「マイ・インターン」を見た時と同じぐらい、働く女性のバイブルとしたくなるようなものだった。 2つの時代双方に登場する唯一の人物、パルド・イグナシオ。彼のような人がいるから過去のアートが戦禍を免れ今日私たちが目にすることができる。1枚の絵画が、ひとりの青年を突き動かし、また世界中の人々に戦争の悲惨さを突きつける力を持つことを知り、ただただアートが持つ底力に平伏した。

    2
    投稿日: 2022.12.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    楽園のカンバスを読み、引き込まれて、この作品も読んでみた。 こちらは、スペインの極右政権やバスク自由と祖国なる革命集団も登場。 昔読んだフレデリックフォーサイスの小説を彷彿させた。

    6
    投稿日: 2022.12.25
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    暗幕のゲルニカとはなにか。 暗幕の重さが伝わってくる熱さがありました。 ピカソの美術館に行きたくなる

    2
    投稿日: 2022.12.24
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    ずっと積読でしたがようやく読了! いやーやっぱり原田マハさんはすごい。史実と作品の背景とフィクションを混ぜて物語を作る。ほんと天才だと思います。 ストーリーとしてはアートサスペンスとのことでしたが、サスペンス要素はそこまで強くなかったです。 ゲルニカを通じてこんなにも戦争に対するメッセージや平和への想いが伝えられていたのか、と驚愕と感心の気持ちで胸がいっぱいになりました。 ピカソが自分の作品を通じて伝えたかったこと、それを知った上で、いつか本物のゲルニカはじめピカソ作品を見てみたいなと思いました。 あとはそれぞれの主人公であるドラ・マールと八神瑤子の想いの移り変わりや、成長に対しても胸が熱くなります。 また楽園のカンヴァスファンとしては、ティム・ブラウンが出てきたのもぷち熱です。笑 小説を読みながらアートのことも学べる原田マハ作品、大好き!

    3
    投稿日: 2022.12.13
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    先日も宮城県立美術館にフェルメールの窓辺で手紙を読む女を鑑賞した。X線調査で画中画のキューピッドが消されている事がわかり修復が終わり見る事が出来た。古典絵画に込められた事をその時代を回顧し想像し事実を基に小説に書き上げる事は容易ではないと思いますが、本当に原田先生は凄いの一言だ。2つの時代を行ったり来たりしながら私は読み続けるしか無かった。あっという間に読みおわり、涙が止まらなかった。八神瑤子とイーサン、ピカソとドラ過去と現代のサスペンス。私の好きな物が詰まった本でした。歴史は苦手だったけど少しは好きになったかなァ

    7
    投稿日: 2022.12.04
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    「芸術は、決して飾りではない。それは、戦争やテロリズムや暴力と闘う武器なのだ。」 「アートとは、人間が自らの愚かな過ちを自省し、平和への願いを記憶する装置である」 戦争をしてはいけないなんてわかっているはずなのに、どこかで起こっていることに対して無関心でいることに気づいた。 あんなに一面を飾っていたウクライナの惨劇もいつからかそんなに目立たなくなって、自分でもニュースを追いかけることはなくなった。 それだけ簡単にみんなの頭から抜け落ちてしまうもの。 愚かな過ちをした過去に目を背けていたら、また繰り返してしまう。 当事者の想いを、今の自分たちの勝手な推測で歪めてはいけない。

    3
    投稿日: 2022.11.27
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    読み進めていくうちにどんどん引き込まれていった!時代を超えて人物が巡り合うところは小説でしか味わえない輝き。 すごく良かった! 大興奮の後、解説が池上彰さんなのが個人的に興醒めしてしまった。。

    2
    投稿日: 2022.11.27
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    ピカソが描いた「ゲルニカ」を巡る話。 ピカソは絵画で戦争と闘い マハさんは小説で戦争と闘う。 「あの日、あのとき。誰かにとってそこにあってはならなかったあの作品を、私たちは取り戻しました。ーそこになくてはならないから」 ラストシーンは痺れた。 あの結末は痛烈な皮肉のような。 それとも希望のような。

    3
    投稿日: 2022.11.21
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    次第に戦争の影が忍び寄って 世界中に不穏な空気が漂う過去パートに 昨今の世界情勢を重ねてしまって辛い。 芸術の持つ力について考えさせられた。

    2
    投稿日: 2022.11.07
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    時代が違っても、いつになっても戦争は存在する。 それぞれの時代で、アートを武器に戦争と戦うピカソと瑤子は情熱的でかっこいい。

    12
    投稿日: 2022.11.07
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    「衝撃のアートサスペンス」と本の帯にあったが本当に大げさでは無く衝撃だしサスペンスだしそしてアート!!!ゲルニカは今のウクライナに重なる。皆平和を願うのに、なんでテロ、戦争は繰り返されるのだろう。

    5
    投稿日: 2022.10.19
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    イラク戦争、第二次世界大戦が主題だけど、今のウクライナ情勢に重なって胸が苦しくなるストーリー。 作品やピカソまわりの出来事は史実通りだから(虚構の人物もいるけど)、都度wikiで調べながら読み進めるのも楽しい。本当に面白くて読み終わるのが惜しかった。

    3
    投稿日: 2022.10.18
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    史実とフィクションを織り交ぜながら、しかも過去と現代を行き来しながら、進行する話なのに決して分かりにくくない、どころか常に絵画の勉強をしながら読み進められる原田マハさんの小説は唯一無二と思われる。 フィクション部分も大いに現実に即しているのではないか?モデルは誰なのか?気になるのは私だけ? また次の絵画の勉強をしたい、原田マハさんで。

    4
    投稿日: 2022.10.18
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    ゲルニカを通して、過去と現在が交互に描かれてるのに、混乱することなく、どちらもそれぞれのストーリーでドキドキソワソワしながら読んだ。面白かったけど、体力使う作品。あまり美術史に詳しくなかったし、作品も多くはしらなかったけど、読みながら調べて新しいことを知れたのも面白かった。 原田さんのアートシリーズ他にも読んでみたい。

    3
    投稿日: 2022.10.12
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    史実と創作の区別がつかない。これぞ読書の醍醐味と思わせてくれる。ゲルニカに込められたピカソの想い、それを守ろうと奔走する人々がいた(いる)こと、争いの絶えない世界…大事なことが多々あれど、私は、ピカソから愛されたいと願いながら葛藤するドラの"女の性"に苦しくなった。

    4
    投稿日: 2022.10.10
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    大好きな原田マハさんのアート小説シリーズ 今回はピカソのゲルニカにまつわる話 戦争、テロ、ピカソ、という難しいテーマに真正面から取り組んだスケールの大きい作品で、500ページのボリュームを感じさせない迫力のあるストーリーでした☺ 物語は、当時と現在を行き来しながら、後半にかけてどんどん加速していきます 絶望の果てに、ゲルニカがどうなるか… アートの力すごい と感じさせる素晴らしい一冊でした☺

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    投稿日: 2022.10.09
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    今まで美術館には行くけど、 絵の描かれた背景や作者について考えることがなかった。アートは限られた一部の人が楽しむモノだと思っていた。しかしこの本を読んで、それだと人生損しているし、こうまで人を惹きつけるアートはやはり力があると強く感じた。 芸術への感じ方が変わるそんな本でした。

    2
    投稿日: 2022.10.08
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    『楽園のカンヴァス』と『暗幕のゲルニカ』。お揃いのカバーと言い、両作をまたぐ馴染み深い人物や、ニューヨーク美術館MoMAと言い、二作はまるで姉妹のようにセットとして見える。  前作の題材である画家アンリ・ルソーに比べると、知名度も個性も段違いに際立つパブロ・ピカソという美の怪物を軸として回る物語が本作である。しかも空爆という名の無差別攻撃に対し、強烈な抵抗を示したあまりに有名な作品『ゲルニカ』を前面に扱う本書。ピカソがゲルニカ製作に全力をあげていた日々。一方では、9・11後のアメリカによるイラクへの報復めいた攻撃が始まろうと言う時期。こうして20世紀のパリ/21世紀のニューヨークが、交互に描かれてゆくダブル・ストーリー。  物語の主人公は、ピカソの時代を生きる実在の写真家ドラ・マール。一方、9・11で夫を亡くしたヒロインであり、ニューヨークの美術館MoMAのキュレイター八神瑤子の世界。『楽園』と同様、二人主人公の交互描写で物語を進める語り口は、作者のお家芸みたいに確かなもので、ぐいぐい引き込まれる語り口と相まって相当の優れものである。  前作に比べると『ゲルニカ』そのものが持つ反戦意図の強さという性格が、本作を貫いており、それを象徴する事件が、パウエル国務長官が国連安保理ロビーで開いた記者会見の間、バックに映るはずのゲルニカに暗幕がかけられていたというものである。実際に起こった現実の映像が、本書の最大テーマなのである。  反戦の象徴である『ゲルニカ』。これを暗幕で隠し、イラク空爆を断行しようとするアメリカと、ピカソの想いという対立構図を、作者は怒りのペンとともに本作品に仕上げたのである。  前作よりも緊張感のある国際情勢下、ETA(バスク祖国と自由)などのテロ組織が暗躍するなど、まるで船戸与一の世界に片足を突っ込んだかのような冒険小説的一面も窺わせつつ、ピカソの存在と『ゲルニカ』を、言葉ではなく絵で語る抵抗運動として構成した物語なのだ。  実在・架空の両キャラクターを上手に使って、一つの有名な美術作品を小説という異芸術に変える手腕に脱帽する。  お家芸とも言える手腕を存分に駆使した『楽園』と『暗幕』。作者としても相当の硬派のサイドに分類されるこのニ作により、原田マハはアート・ノヴェルという新たなエンターテインメント・ジャンルを、我々大衆のもとに引っ提げて登場したのである。この作品の時代、この強烈な作家を見過ごしてしまった自分を今更ながら恥ずかしく思う。

    13
    投稿日: 2022.10.05
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    『楽園のカンヴァス』と同様、登場人物の絵画に対する想いの描写がすごい。今回は題名の通り、ピカソのゲルニカにまつわる物語であり、フィクションであるが、実際に起こった話なのかと思ってしまうぐらいピカソの情報が詳細であった。最後の結末は少し軽いと感じた。 ただ絵画にもっと興味を持った。

    3
    投稿日: 2022.10.05
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    最高。 アーティストが作品にかける情熱、想いをダイレクトにぶつけられたような衝撃を受けた。オチも良い。 過去編の登場人物たちの葛藤や怒り、やるせない気持ちが痛いほど伝わってきたし、現在パートのハラハラする展開もスピード感があって良かった。どちらのパートも戦争っていうテーマが一貫してあって、ピカソや周りの人の願いが現代のキュレーターに届いてる感じに感動した。楽園のカンヴァスの登場人物が出てきたのもクスッとなった。

    3
    投稿日: 2022.10.02
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    アートの力を感じさせる物語 熱い想いを感じました。 ストーリとしては 9.11で夫を亡くしたMoMAのキュレーター八神瑤子は自分の企画「ピカソの戦争」展でゲルニカを借り出そうと奔走しています。 さらに、国連本部のゲルニカのタペストリーに暗幕がかけられた状態で、イラク攻撃を宣言する米国務長官。 誰が暗幕をかけたのか? さらにゲルニカが描かれた時代、ピカソの恋人のドラ・マールの視点で、ピカソの生き様が語れます。 どこまでが史実でどこからが創作なのかさっぱりわかりませんが、この時代をしっかり理解することができます。 そんな瑤子の時代とピカソの時代が交互に語られ、この二つのストーリから、「ゲルニカ」に対する想いが熱く胸に残ります。 そして、ラストの展開 熱いものがこみ上げてきました! この物語を通して、ゲルニカをしっかりと見るようになりました。そして、ゲルニカから伝わるメッセージを理解できるようになりました。 まさに、アートが人の心を、世界を、変えれるということなのだと思います。 とってもお勧め

    86
    投稿日: 2022.10.01
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    戦争のことを考えるとき、いつも自分の無力さと、戦争を繰り返す人の愚かさを思って、胸が苦しくなる。 でも、この本を読むと、戦争と闘うことを諦めない力強い人々の存在を知ることが出来る。挫けそうになった時、人を信じることができなくなった時、この本を読めば、また人を信じることができるようになる気がする。

    2
    投稿日: 2022.09.21
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    絵画のキュレーターという、全然知らない世界の話しだが、原田マハさんの筆致でどんどん物語に引き込まれていった。 本で出た絵画を検索しながら読みすすめ、いつか美術館に見に行ってみたいと思った。 絵画の、画家の奥深さが知れる作品でした。

    3
    投稿日: 2022.09.17
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    ゲルニカが描かれた時代背景には、ヒットラーと第二次大戦があったんですね。不勉強でした。平和を祈る民衆の声が心に強く響きました。9.11やウクライナの戦争の現実を見ると、芸術が戦争を阻止できるとは思いませんが、芸術の力で戦争の愚かさ、悲惨さを伝え続けることが大切なんだと感じます。 ヨーロッパへピカソの芸術と歴史を学ぶ旅に出かけ、瑤子の好きな本場のトルティージャを食べてみたくなりますね!

    4
    投稿日: 2022.09.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    アートを題材にした原田マハ先生の作品を読んでみたくて、教科書でもよくみていた「ゲルニカ」を題材にした本書を選びました。2つの視点で描かれるストーリーがどう交錯するのか、楽しみながら読めました。ピカソや当時の時代背景が想像できて、アートの具体的な力が実際にあるということを感じることができました。ストーリーとしては特に意外性はなく、やや冗長に感じました。

    2
    投稿日: 2022.09.02
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    世界史全く記憶にない私に第二次世界大戦のヨーロッパとピカソを教えてくれる。ドラもヨーコもピカソ愛が真っ直ぐで、結局、そういう強い思いが周りの人達をも動かすよね。理屈じゃないって疲れた時に、諦めそうになった時に励ましてもらった。終盤のピカソとドラを太陽とヒマワリに例えたところが1番好き。ヨーコを救ったマイテを介してドラとパルドに繋がる感じとかも、違う時代を行ったり来たりしながら進んでたのが最後に交わる感じ、、そうきたか、、ってなる。あとがきの「空襲」は受けた日本、「空爆」は仕掛けた側の言い方ってあって、爆弾をどこで見てたのかがはっきりしててまさにって思った。

    3
    投稿日: 2022.08.29
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    この作家のアート小説で一番好きな作品かもしれない。 ピカソの時代と現代を行き来しながらそこにあるのは、ゲルニカを通して訴えられる平和にかける想い。その熱さに何度も胸を打たれました。 「闘うべき相手は政府でもファシズムでもなく、戦争、暴力、憎悪である」 解説で池上彰さんが当時、トランプ大統領にゲルニカの実物を見て欲しい、と書いておられますが、今ならばまさにプーチン大統領に見て欲しいものです。

    3
    投稿日: 2022.08.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    世界史嫌いな自分には多少読み進めるのが辛いところもあったけど、躍動感があって、後半はページをめくる手が止まりませんでした。 自分の理解力が無いせいで、ラストは一瞬「?」となりましたが、その後理解出来ました

    2
    投稿日: 2022.08.27
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    ノンフィクションとフィクションの境目がわからない物語の構成が、史実をより魅力的に、フィクションにより深みをもたらしている。アートが持つ力について新たに考える機会になった。マハさんの小説を読むと、心が豊かになったように感じる。それは、きっとアートを通じて何か大切なものを受け取ることができるからだと思う。読んで感じて、熱い思いで胸がいっぱいになった。

    3
    投稿日: 2022.08.23