
総合評価
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powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
◎「はじめに」より 日本各地に残る廃墟や歴史的な遺構を見て回ることで、明治以降、この国が経てきた近代化の経緯について思いをはせ、 自分が今までに気がつかなかった別の一面に光を当てられるのではないか、これまでにない視点から日本像を浮かび上がらせることができるのではないか----。そんな風に思ったのだ。 題材は魅力的。いくつかは、今ならダークツーリズムと称する場所でもある。 微妙な読後感は、ワタクシが強く出ていることと所々の人物描写に引っかかっているのだろう。
0投稿日: 2025.09.16
powered by ブクログ筆者の余計な推測や勝手な決め付けが若干うざいものの、近代史としてかなり面白く読んだ。 北海道の山の中で、実際に電車を猛スピードで走らせて、わざと脱線させる実験をしていたとか!考えたこともなかったけど、確かに、コンピューターシミュレーションがなければやるしかないだろう・・・けど、すごいなぁ。今じゃ絶対無理だよな。。。 タコ部屋、の本当の意味を知り、土木工事でどれだけの人が軽く死んでいったのかを知った。過酷な奴隷労働や人柱の末に実験線を作って、電車の安全を確かめる実験をしていたのだ! 人の命が軽かった時代・・・ラディカルだけど、パワーにあふれていて、考えられないような大事業が「手作業で」行われ、日本が急速に発展した、その昔。 企業が利益を追い求め、お金が流れなくなれば都合よくポイっとされた街。。。 でもなにか、今はあの時代のパワー的なものは失われて、すっかり停滞している。なんだか、とっても複雑な気持ちになった。
1投稿日: 2011.08.25
powered by ブクログ日本中の産業遺跡や軍事遺跡などの記録。 軍艦島なんかの有名ポイントからうらびれた鉱山跡まで、いろいろ載っています。 昔は人が住んでいたんだって思うと、ものすごく寂しい気分になります。なのにひかれてしまうのは、かつての暮らしぶりを想像するのが楽しいからかもしれません。 だけど行ってみるのは怖いから、本を読む(笑)
1投稿日: 2011.07.24
powered by ブクログノンフィクションライター西牟田靖氏による興味深い一冊。日本各地の廃墟や歴史的遺構を中心に「穴」という空間に限定した旅の記録である。北は北海道から南は沖縄まで、12か所の「穴」は、いずれもディープさに溢れ、日本の近代史を雄弁に物語る。 ◆本書で紹介されている12か所の「穴」 第一章 軍艦島(長崎県) --------捨てられた集合住宅と穴 第二章 釜石鉱山と東北砕石工場跡(岩手県) --------宮沢賢治ゆかりの穴 第三章 新内隧道と狩勝隧道(北海道) --------開拓の苦闘が印された穴 第四章 国立国会図書館(東京都) --------書庫になっている地下8階までの穴 第五章 滋賀会館地下通路(滋賀県) --------文化施設がコラボする宙ぶらりんの穴 第六章 人形峠夜次南第2号坑(岡山県) --------怪しい光を発する希望の穴 第七章 黒部ダム(富山県) --------高熱隧道とクロヨンの穴 第八章 日韓トンネル(佐賀県) --------全長200キロの穴 第九章 吉見百穴と巌窟ホテル(埼玉県) --------親子3代の夢の穴 第十章 諏訪之瀬島(鹿児島県) --------ヒッピーと巨大資本の抗争史 第十一章 友ヶ島第3砲台跡(和歌山県) --------使われなかった要塞の穴 第十二章 糸数壕と山城本部壕(沖縄県) --------沖縄戦の傷痕が残る穴 いずれの「穴」も人工的に作られたものであり、そこに関わってきた大勢の人々がいる。著者は、その人々の気持ちにもしっかりと寄り添い、何らかの理由で光の当たっていない部分にも、クッキリと光を照らしてくれている。そこに見えるのは、無念さ、古い価値観、虚栄心など思わず目の逸らしたくなるものから、活気、エネルギーへの希求など、実にさまざまである。「穴」の話を読むにつれて見えてくるのは、自分の無知さと、その「穴」に関わった人々の”心の穴”の中である。 多くの「穴」に共通しているのが、人権などという意識が薄かった時代に、多くの人命の犠牲と引き換えに作られたものであるということだ。その当時、”個”は弱いものであったかもしれない。しかし、社会には未来への大きな希望があった。そして、我々は今、その未来の真っ只中にいる。”個”の時代などと言われてはいるが、今の我々の社会は、当時の人たちに胸を張れるようなものなのだろうか。
1投稿日: 2011.01.04
