
総合評価
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powered by ブクログ瀬戸内海の島。そこに住んでいた人も、ずっと住んでいる人も、それぞれに生活の歴史があって故郷を想う気持ちにも複雑な物がある。海に囲まれ自然が一杯でも誰もが屈託なく大らかに過ごしている訳ではない。それでも島の生活を愛おしく思う人々は大勢いるような気がする。
2投稿日: 2016.01.29
powered by ブクログ弱い人々がさんざん苦しめられ、追い込まれてるいく様を書かせたら、この作家はかなり上手いと思う。 読んでいて少し辛くなる場合もある。 ミステリーというよりは、「えっ、」という驚きのある小説という感じがした。 「みかんの花」「海の星」「雲の糸」が良い。 他の作品は自分としてはイマイチだった。
0投稿日: 2016.01.29
powered by ブクログ最初の「みかん花」で、著者得意のプチミステリー?と思ったが、見事にいい意味で裏切ってくれた。白綱島を舞台にいろんな人間感情、人間模様が交錯する様が、自分自身の望郷の念とシンクロする。島じゃなくとも日本の場合は例えば部落をモチーフにしてもいいだろう。愛憎、悲しみ、切なさ、ハートウォームさ。そういったものが入り混じるからこそ集団社会にはドラマが生まれる。新たなステージにステップアップした著者の、ポテンシャルの高さを堪能できる作品といえる。
1投稿日: 2016.01.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
地方出身の人って、島出身の人ってこんな思いがあるのか。都会への憧れだったり地元のしがらみだったり。この閉ざされた空間独特の人間関係や空気を描くのが上手いなあ。 島の良さもあるはずなのに。島に嫌な思い出を置いて出ていった人はそれに気づくのが遅い。 私には故郷と呼べるようなところがないので、羨ましい限りなのに。
1投稿日: 2016.01.27
powered by ブクログ人は希望を託され 海に乗り出す。 誰もが祝福を受け、 ゆっくりと人生発つ。 それぞれの海を進み、 やがて大海原へと漕ぎ出す。 いつか港に戻るまで ひたすら櫂を漕ぎ続ける。
1投稿日: 2016.01.25
powered by ブクログ閉じられたムラ社会の複雑な人間模様。ミステリーの様な心地よい裏切り。何でしょう、このドロドロ感。テンポよく読めました。
0投稿日: 2016.01.21
powered by ブクログこれがミステリーに分類されるのかは微妙。湊作品王道のイヤミスではないけれど、人の心の中にあるもやもやっとした言葉にしないような思いを文章化するのが本当にうまい人だと思う。同世代で田舎出身なのですごく共感できるところがあった。短編が最後繋がるかな?と期待したけれど、無理矢理繋げると嘘くさくなるからこれでよかったのかな。
1投稿日: 2016.01.21
powered by ブクログ瀬戸内にある白綱島。島に囚われた人、出て行った人、暮らす人……、様々な人の、島に対する思いを描いた連作短編。 やっぱり湊さんの、人間心理のひだの描き方の巧さはすごいです! 「みかんの花」で描かれる、島を出て行った姉の成功を妬む妹の心情の描き方もさすがなのですが、島民と島を出て行った人の、”島”に対する思いの温度差の描き方がまた巧いです。 白綱島は市町村の合併で、島の市の名前が「白綱市~町」から「O市白綱~町」に変わることになり、島を出て行った人は「故郷が失われる」と嘆くのですが、島民は「名前は残るし、合併といっても予算がつくわけでもない」と冷めた様子。そこの温度差を描くあたり、湊さんの人間観察眼が表れているなあ、と思います。 島というのは言ってみれば共同体なわけで、そこにはいいところも悪いところもあります。「夢の国」の古い家思想に凝り固まった祖母、「蜘蛛の糸」の主人公が成功者になったとたん、デリカシーもなく近づいてくる島民たち、 そうした人が近いゆえの息苦しさも描かれます。 その一方で「海の星」、「石の十字架」といった人間関係が近いゆえに生まれた謎と人間関係も描かれます。 人間の暗い面の描き方もさすが湊さんという感じですが、「海の星」「石の十字架」「光の航路」、そういった人の優しさや切ない真相が描かれる短編も佳作揃いです。「蜘蛛の糸」も息苦しさもあるものも、真相が明かされるとまた見方が変わります。 やっぱり湊さんといえば『告白』で描かれた”イヤミス”のイメージが強いですし、まだまだその切れ味の鋭さは健在ですが、 徐々に人間の優しい面、切ない面を描いた作品でも印象的な作品が増えてきていて、ますます湊さんの今後の作品が楽しみになってきています。 第65回日本推理作家協会賞短編部門「海の星」
10投稿日: 2016.01.19
powered by ブクログ白綱島という瀬戸内の海に浮かぶ島が舞台の六つの短編。 【望郷】というタイトルは登場人物達の思いか作者の想いか・・・ 【みかんの花】で言っていた出ていった人達の勝手な思いと、残ってる人達の温度差って『あるなぁ』と思います。 【夢の国】の主人公のお母さん『いるなぁ』って思えます。 【光の航路】の深田碧の母親は本当にいそうで近くにいたら『やだなぁ』って感じます。 全編通してイジメの事が多く取り上げられていましたが、湊かなえさんの小説を読んでると、自分の子供が将来、理不尽にイジメられたらと何度も思ってしまいます。 イジメが無くなれば良いとは思いますが、世界から戦争が無くなる以上に難しい事だと思います。 【光の航路】と【石の十字架】を読んで、主人公達のように、せめて自分がマトモな親であり人で在りたいと思いました。 【みかんの花】と【海の星】は湊かなえさんが腕をさらに上げた!と思わされるミステリーです! 【雲の糸】と【石の十字架】はミステリーである事より心を揺さぶられるお話です。不覚にも涙が出ました。 文藝春秋から出す時の湊かなえさんは◎
0投稿日: 2016.01.18
powered by ブクログ白綱島を去ったひと、残ったひと、去ろうとするひと。それぞれの人生を描く。 故郷が良いものだと言うのは、ひとによって受け方が違うと思う。みかんの花に登場する姉は島に愛想を尽かして出たと言う。しかし、実際にはひとには言えない理由があり。と言う話。ひとの感情は一言でははかり尽くせないと思う。 美しい思い出も悲しい思い出も全て包み込んでくれる、それが望郷なのかなと思いました。
0投稿日: 2016.01.18
powered by ブクログ201601/地方出身者・地方在住者には、このまとわりつく空気感がいっそう重く感じられるのでは。最近では「湊かなえ”なのに”」という枕詞がつきがちな結末も多いけど、どの作品も秀逸。市井の人々の描写や、機能してない家族の描写はさすがだ。
1投稿日: 2016.01.17
powered by ブクログ白綱島を舞台にした短編集。 島で生まれ育った人、島を離れた人、島に戻る人、島で生き続ける人、同じ島にそれぞれの想いを持つ人たちの物語。 期待していた、湊かなえさんらしい人間の怖さや暗さの表現、巧みな伏線とその回収はなかったかな。短編集ならわたしはサファイアの方が好き。 いつもの湊かなえさんは怖いから読めないという、私の母のような人にはいいかも。
1投稿日: 2016.01.16
powered by ブクログ著者=湊かなえさんの出身地、因島を舞台にした短編集。本土と島、立派な橋の開通によって陸続きとなった島とはいえ、本土に住む人と島に住む人とでは、その思いや感覚に大きな乖離があるといったことが背後にあるのかも。
1投稿日: 2016.01.16
powered by ブクログ父が失踪し、母と二人で暮らしていた幼い私の前に現れた「おっさん」。 彼は、母と自分の世話を焼くようになり、ある日何かを告白するために我が家にやって来た。 あのとき、「おっさん」が語ろうとした、彼の真実とは......? 瀬戸内海の島を舞台にした連作短編集。 2015年1月14日読了。 島という、ある意味閉ざされた空間を舞台に描かれる様々な人間模様。 イヤミスの名手とまで呼ばれた湊さんですが、今回はまったくイヤミスではありません。 ちょっと閉塞的な田舎も当てはまるような出来事だったり、人間関係だったり。 どの物語も、ちょっぴりほろ苦く、島への思いが綴られています。 その中にも、伏線がしっかり張り巡らされていて、何度も「!」と唸らされました。 イヤミスが苦手、という方に。
1投稿日: 2016.01.15
powered by ブクログ瀬戸内に浮かぶ島を舞台にした6編からなる短編集。燦々と照らす太陽、青い空、穏やかな海、甘酸っぱい柑橘系の香り。これらが頭の中でビジョン化される。と同時に島独特の閉塞感や秘密など持てぬ狭い人間社会に煩わしさを感じモヤっとするのも確かだ。島を去る人、そして戻る人。島で生きた人しか分からない特別な想いを、切なく時には悲しく見事に描かれている。ダークな話ではあるのだが後味は全然悪くない。僕は釣りが好きで色々な所に行くから島々の良さも知っている。そして夜光虫の切なく悲しい美しさも。。。
1投稿日: 2016.01.14
powered by ブクログ日本推理作家協会賞受賞作を含む湊なかえの短編集。 瀬戸内海に浮かぶ島を舞台に、様々な関わりを持ちながら生きて行く人々の葛藤を描いています。 同じ島が舞台なので連作かと思って読み進めましたが・・・六編の物語に相互関係はありませんでした。 最期に全てが繋がる?かと思って読んでたので、ちょっと拍子抜け(^_^;) 一遍一遍は良く出来てるので、短編集としてはなかなかの読み応えです。
1投稿日: 2016.01.11
powered by ブクログ6編からなる短編集。「海の星」が秀逸。「みかんの花」も好き。 あらすじ(背表紙より) 暗い海に青く輝いた星のような光。母と二人で暮らす幼い私の前に現れて世話を焼いてくれた“おっさん”が海に出現させた不思議な光。そして今、私は彼の心の中にあった秘密を知る…日本推理作家協会賞受賞作「海の星」他、島に生まれた人たちの島への愛と憎しみが生む謎を、名手が万感の思いを込めて描く。
1投稿日: 2016.01.09
powered by ブクログ最近の湊かなえは割と『良い話』路線の作品が増えてきたような印象があるが、本書もそれを踏襲している。 瀬戸内の島を舞台にした故郷に対する愛憎半ばする、屈折した感情を生々しく描き出している。『告白』などに代表されるイヤミス系の片鱗が見えるのは『みかんの花』ぐらいだろうか。 私の実家も田舎だが、正直言ってこういう体験はない。元からその場所に住んでいるなら兎も角、ド田舎とはいえ山をひとつ造成して作ったニュータウンにはそこまで濃い人間関係は無かったような気がする(まぁ鈍感なだけかもしれないがw)。
1投稿日: 2016.01.08
powered by ブクログ【日本推理作家協会賞受賞! 心に刺さる連作短編集】島に生まれ育った私たちが抱える故郷への愛と憎しみ…屈折した心が生む六つの事件。推協賞短編部門受賞作「海の星」ほか傑作全六編。
0投稿日: 2016.01.05
