Reader Store
ラスカル(2)
ラスカル(2)
七竈アンノ/少年画報社
作品詳細ページへ戻る

総合評価

1件)
5.0
1
0
0
0
0
  • 『黒犬』の優樹のアイコン
    『黒犬』の優樹
    "powered by"booklog

    「もっと読みたかった」と「この厚味のあるストーリーを2巻に纏めたのは見事」、この相反する感想が心の中で半々 つまりは、この『ラスカル』、十二分に面白いってコト ある意味、『裸者と裸者』のコミカライズを担当した七竈アンノ先生だからこそ、ハイスピードで描ける悪漢的浪漫“ピカレスクロマン”だ マフィアの一員に、自らの意志でなった少年が主役の物語 安易な勧善懲悪、正義vs極悪などではない ぶつかりあうのは、どちらもが悪者 正しいも間違っているもなく、とことん、殺るか殺られるか そんな殺伐さが満ち溢れる世界観だからこそ、純情で一途で、生まれながらの悪でないからこそ、光の当たらない世界で、どう生きていけば、どんな働きをすれば、力を年齢や立場の問題で持てない弱い子供を減らせるか、を考えているラスカルの魅力が光っている 悪戯小僧の彼らしい、抗争の決着の付け方は拍手モノ 敵の首魁を討てば、遺恨こそ今後も残す羽目になるが、今、現在進行形で最悪の形になりかけていた事態は食い止められた けれど、ろくでなしの自分をすんなり受け入れてくれた、この世界への感謝、そして、これからも、この渦の中で生きていく決意を、体一つで示すように、不殺の手段で野望をラスカルは打ち砕いた。実に爽快感がある 話の完成度を比べてしまうと、残念ながらと言うか、当然と肩を竦めるべきか、高橋慶太郎先生の『デストロ246』や、『BLACK LAGOON』(広江礼威)の方が上なんだが、この二つの作品が好きな読み手は、こちらの『ラスカル』も気に入って貰えるだろう また、ラスカルが属す「ザ・ファミリー」に喧嘩を売ってきた、グランジが狂気に身を委ねた邪悪者・・・に見えるだけの、表皮を剥いでしまえば、ただの自分の理想と現実のギャップを受け入れられなくて、我儘に喚いて、癇癪を周りにぶつけているだけの大きなガキだった、ってトコも良かった グランジのこんなキャラがあってこそ、ラスカルの自由気ままさが活かされている そして、私がこの『ラスカル』を読み終わって、しみじみと感じたコト、それは「仕事の出来る男ほど、大勢のヤバめな可愛い娘ちゃんにモテまくれる」だ こっから、ラスカルがどれだけ大成できるか、楽しみだ この台詞を引用に選んだのは、ラスカルのカッコ良さが特に引き出されているからだ。ピンチな時ほど、気持ちのいい笑顔を浮かべられる奴は伸びる。カリスマ性を持つ笑い方が出きる男こそ、ボスの器だろう

    0
    投稿日: 2016.01.05