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ヌエのいた家
ヌエのいた家
小谷野敦/文藝春秋
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総合評価

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     世の中には父と息子の折り合いが悪いことはよくある。たとえば松本人志も父親と対立することが多かったそうだが、亡くなった時は「むちゃくちゃな親父だったが、思っていたより(精神的に)来やがるな」と語っていた。松本も相当な変わり者だが、この点に関してはまともな感覚を持っている。  翻って、小谷野氏はどうだろう。(子が親を憎むよくあるパターンである)子ども・青年時代に暴行・暴言を受けたわけではない。ヌエの悪行といえば老年になってから妻に暴言を吐いたといった程度。勿論悪いことには違いないが、暴力を振るったわけでもなく、人間老いの恐怖から近しい者に暴言を吐くことはある。息子もいい大人なんだから、できる限りで親父の恐怖を取り除くなどして、両親のためになるように働きかけるべきではないか。老人ホームに入れるという選択肢は正しかったと思うが、何故こんなことで父親を憎むのだろう。  あと父親が大学に入っていないから尊敬できないとか言い出した時は、この東大卒の学者先生はどういう思考回路をしえいるのだろうかと思った。  ヌエは悪い男ではなかった。野球や将棋が好きで、文学も多少嗜む、老年になってから妻に暴言を吐くこともあったが、妻が亡くなったときは失禁してしまう、弱さを抱えたどこにでもいる男だった。きっと息子が東大に入り、多少名の知れた文筆家になって嬉しかっただろう。それを、自分の死後に自分への憎しみがつづられた小説を書かれたと知ったらどう感じられるだろうか。大して面白い小説でもないし。  不愉快極まりない小説だが、下手に教訓を導かず、ありのままを描いた私小説として、星2つ。  最後に、お母さん。淳が不幸ならあなたのせいではなく淳くん自身のせいです。ご心配なさらず、安らかに眠って下さい。

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    投稿日: 2016.04.02
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    新聞で見て図書館で借りて読んだ。父親のことを軽蔑して大嫌いなのはわかったが、なぜそこまで忌み嫌うのかがイマイチ書かれていないで作者の冷酷さと傲慢さしか感じなかった。父親が学歴や常識がない事や母親に暴言を吐いた事はわかったが、葬式も碌に上げず最期の別れもしないのは人間としてどうかと…それに、宅急便の人に対する態度もとても傲慢さを感じた。何?自分自身東大生だったという事を物凄く鼻にかけてるんじゃないのか?大人になりきれず成長した人みたい。まあ私も人の事は言えないが。とにかく不快感しか残らない話だった。けれど最後の一文で少しズシンとした。母親の日記の中で、淳が不幸ならそれは私の育て方が悪かったから。というもの。母親というものは…

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    投稿日: 2015.10.04