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湿地
湿地
アーナルデュル・インドリダソン、柳沢由実子/東京創元社
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総合評価

75件)
3.8
17
32
18
2
2
  • おけいはんのアイコン
    おけいはん
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    このレビューはネタバレを含みます。

    アパートで見つかった老齢の男の死体。突発的な犯行の様子は、殺人事件の少ない典型的なアイルランドの殺人。だがそこには「おれはあいつ」という、犯人が残したと思われるメッセージがあった。 調べを進めると、殺されたホルベルクは過去に女性をレイプしていたことがわかった。さらに、ホルベルクにレイプされた女性コルブルンはその事件の結果妊娠し、娘を産んでいたことも発覚する。だが、その娘は4歳で脳腫瘍のため死んでしまった。 エーレンデュルたち警察は、死んだ娘の病気はホルベルクからの遺伝性の疾患なのではないかということと、ホルベルクにレイプされ、子どもを産んだ女性が他にもいたのではないかと睨む。 時を同じくして、ホルベルクが住んでいた湿地のアパートの床下から、かつてホルベルクとともに悪さをしていて、後に行方不明になっていた男の死体が見つかる。 エーレンデュルはかつてホルベルクにレイプされた女性を見つけだし、彼女がエイナルという男の子を産んだことを知る。そしてそのエイナルは、アイスランドが全国民の健康状態を記録したデータベースにアクセスして、自分の出自とホルベルクから受け継いだ遺伝性の疾患のことを知ったのだった。 北欧ミステリ特有の陰鬱さ。主人公の刑事・エーレンデュルも、家庭に大きな問題を抱えている。そういった要素もまた惹きつけられるポイント。

    0
    投稿日: 2025.06.15
  • あくらのアイコン
    あくら
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    ずっと気になっていた北欧ミステリ。 こういう作風は初めてかも。 地道な捜査でストーリーに派手さは無い。 感情的な表現も控えめ。 だけど胸にせまるものがあって、淡々とした印象なのにどうにも心が揺さぶられる。 人物の心情に焦点を当てているからかな。 最初は意味の分からなかった犯人のメッセージも、意味を知った瞬間遣り切れなくて泣いた。

    1
    投稿日: 2025.05.10
  • あきのアイコン
    あき
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    北欧ミステリを初めて読んだ。 最初は文章に馴染めるか不安だったが、慣れたらスラスラ読めた。 犯人が誰なのかドキドキ考える!というよりは、登場人物一人一人のヒューマンドラマ的な感じはあるのかな? 最後の方は、この人が犯人だろうなと分かってしまって、ミステリ要素が消えてしまっのが少し残念ではあるが、性犯罪やアイスランドの実情、独特の気候を楽しめた。

    0
    投稿日: 2025.03.05
  • ハムサンドのアイコン
    ハムサンド
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ※ネタバレ注意 不可能だったことが可能になることがメリットばかりではないよね、という話。 アイスランドの歴史や人種特性、キリスト教圏の宗教観が絡み合って、物語が成立している、お国柄を感じる作品。物語の最後に漂う孤絶感が印象的。 ゲノム解析とミステリーというキーワードで思いだすのが、ソウヤーの「フレームシフト」で、あちらの日本での刊行年が2000年で本作が2015年。15年でぐっと自分の周りに近づいたな、と感じた。

    0
    投稿日: 2025.01.15
  • donのアイコン
    don
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    エーレンデュルシリーズ。湿地にあるアパートにて老人が殺された。典型的なアイスランドの殺人だが残されたメッセージが様相を変える。被害者の過去がわかるにつれて陰鬱な真相が明らかになる。 オーソドックスな警察小説。丁寧に話が進むが最後の最後まで薄暗く陰惨な雰囲気が続く。ブルーになりたいときにはこれを読めばいい

    0
    投稿日: 2024.08.06
  • kissarmy0814のアイコン
    kissarmy0814
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    2024.07.21 アイスランドの人口を知ってびっくり。 そのことはおいておいて、オーソドックスかつ丁寧に描かれた犯罪小説、警察小説。

    2
    投稿日: 2024.07.21
  • papaloniaのアイコン
    papalonia
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    このレビューはネタバレを含みます。

    原作は2000年、日本語版は2012年、そしてこの文庫が2015年。そこから約10年経って読んでいる。なんか勝手に歴史を感じる。 でもまあ、舞台が2001年のアイスランドなのはなにか理由があるのかと思ったら単に書かれた時期だったというのが分かったので、調べて良かった。 アイスランド文学を読んだのは初めてかもしれない。翻訳自体はアイスランド語 > スウェーデン語 > 日本語らしい。アイスランドとスウェーデンがどのくらい違うのか似てるのか知らないが、通貨であるクローネはアイスランドとスウェーデンどちらでも通用するので、英語とかよりはニュアンスがキープされやすいのかもしれない。 あとがきにもあったが、著者自身もスウェーデン語翻訳のクオリティは高いのでそこから翻訳されるのは良いことだと喜んだらしい。 ミステリー小説ではあるが、大どんでん返しとかあっと驚く展開とか、刑事と犯罪者のライバルとかそういうのが出てくるわけではなく、中年のタバコを吸いまくる刑事が、同僚に皮肉や文句を言われ、麻薬中毒の娘と喧嘩をしながら淡々と着実に調査をしていき、しっかりと結果をあげていくという作品。 この著者の作品は安心して読めそうだな。 というわけで本編ネタバレ感想。 アイスランドが舞台なので、登場人物の名前がかっこいい。シグルデュル、エーレンデュル、エリンボルク… ただ、地名も名前と似たような響きに聞こえて、地名なのか名前なのかいまいちわからないときが多い。 死体のそばに置かれていたメモに書いてあった3つの単語、という、作品の根幹を為す重要キーワードに思えたが、最後が「あいつ」というだけで他がわからない。なぜ隠す?単語自体がネタバレになってしまうとかかな? それとも自分の読み方が単に斜め読みすぎて読み飛ばしたのか?と何度か最初あたりを読み直したが、やっぱりなくて、真ん中あたりでようやく出てきた。「おれはあいつ」。3つじゃねーじゃねーか!まあ、そこは翻訳なのでしゃーない。 というか、確かにこの単語は色々と彷彿させてしまう。 犯罪者が山ほど出てくるが、保険金詐欺と殺人に関与して刑期4年とか、なんか短い気がする。他の犯罪者もなんか処罰が軽いし、女性被害が泣き寝入りというのが多い模様。これが00年代のアイスランドだったということか?そしてあとがきにもある通り、女性への暴行描写がやたらと詳しい。いや、やり方とかではなく、心理的に。でもこれは著者があえてやっていることらしい。こういうやり方をすること絵、問題定義も含んでいると。女性たちが救われるわけではないが、主人公はとにかく大事に丁寧に対応していて、逆にクソ男どもにはそれなりの対応をしてくれるので読んでて安心する。 ちょうど半分くらいでタイトルの「湿地」が出てきた。が、最後まで読んで思い返すと、あんまり事件には関係なかったのではという感じ。でも、この事件自体がなんか湿度高めというかじゅくじゅくしているニオイがするので、良いタイトルなのかもしれない。 合間合間で主人公とその娘さんの、全く穏やかではない日常が挟まれるので、この娘さんも実は事件に関与があるのか…?と途中までは思っていたが、単に主人公についての深堀りをさせるためだけの存在なんだろうなというのが途中でわかった。でも麻薬中毒で、悪い奴らと付き合いがあり、借金もしているこの娘さん、なぜか憎めない… そして主人公自体もタバコ吸いまくりでずっと真顔なイメージがあり、部下が言う通り確かに事件と全然関係なさそうな調査ばかりさせてる感じはしたけど、どの調査も外れがなく、着実に真実に突き進んでいるため、少なくとも読者側としては信頼度がバンバン上がっていく。ただ、もうちょっと部下に説明はした方がいいんじゃないかな… 市民にはだいぶ優しいけど、部下との会話では突然話を終わらせてどっか行ったり、上から命令を押し付けたりしがち。危うい。 まあ、そんなのが吹き飛ぶくらいの悪徳警察官も出てくるから気にならんけど。 事件自体は最初の方の流れでは想像できなかった、遺伝子欠陥の話で、最後で一気に回収される。すんなり理解できて読書体験的には気持ちいいが、真相はとても切ない。小さい子が病気で亡くなるのはきついよー。 主人公と娘さんの関係性は良くなったっぽいが、続編でまた悪化してたりしそうだな。

    1
    投稿日: 2024.05.19
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    ぼじょまる
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ・あらすじ アイスランド レイキャビクの湿地にあるアパートで老人の死体が発見される。その場には謎のメッセージが残されていた。 ・感想 アイスランドのことなんにも知らなかったからカルチャーショックなこと沢山だった。 えっそれ許されてるの?!って事が事件の鍵だったんだけどそれもアイスランドという国の特性、社会の在り方なんだな。 名前、人名に馴染みがなさすぎて最初読むのに戸惑ってしまった。 読了後にアイスランドについてすこしwikiったけどとても興味深い国だと思った(それまでは治安がいいことと幸福度が高いことしか知らなかった) 「イアン・ランキンがどこかの国を知りたかったらミステリを読むといいと言っていた」という作者インタビューがあったんだけど、その意見にはすごく納得。 私もほぼ読むのは海外ミステリーなんだけど、そこ(海外の生活や思考、習慣、文化、風習)を楽しみに読んでる気がする。 (勿論フィクションということは分かってるし、誇張されてたり都合よく変えられてる所もあると思うけど)

    2
    投稿日: 2024.03.03
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    耕介
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    初めはなかなか進まなかったけれど… 気がつけば引き込まれていった。 雨のシーンなど情景が目に浮かぶ。 ただ悲しい。

    1
    投稿日: 2023.11.23
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    JUANES
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    昔のアイスランドの伝承文学〝サーガ″(子牛のなめし革に簡潔に書かれたもの)を目指しているそうで、とにかく無駄のない文章で書かれており、一気読みで読み進められます。 作者曰く、「犯罪小説は〝人間の条件″を描く文学、即ち、ある人物が自分や周りの人々の人生を良くしようとしていた事、ないしはしなかったことを描く文学であり、常に自作ではそれを心がけている」とのことで、降り注ぐ雨の中、暗く重苦しい感情を持つ登場人物の生き様が綴られていく。 必ず、次作を手に取りたくなるシリーズである。

    4
    投稿日: 2023.10.04
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    chirolin
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2013年版このミス海外編4位。 暗いアイスランドの空(想像です)のような静かな警察小説。但し展開は早く読みやすい。 妻に去られ娘は麻薬中毒というベテランの刑事が部下とともに殺人事件の真相を追っていく。 殺された老人は、レイプで訴えられた過去があった・・・というところから展開していく話で、女性にはつらい部分もあるかもしれない。 過去が明らかになっていくことにより、悲劇が起きたという真相は、痛ましく悲しい。

    0
    投稿日: 2023.07.18
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    モモマサ
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    悪意は後に誰かに災いを引き起こす。 悪い人間はそんなことは1ミリも感じないからどうにもならない。持って生まれたものか…その一族の因果なのか…どこかでおとしまえをつけないとね。 正義はどこまで光を信じぬけるかだ! ぜひ〜

    8
    投稿日: 2023.04.24
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    toridonjazz
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    アイスランドミステリーは初。以前からこのミス等で評価良かったので気になっていた。 20年ほど前の作品ということで少し古さを感じるも無駄の無い展開でストレス無く読了。シリーズは既に14作刊行、制覇は目指さないもののあと2〜3作はいってみようかな。 アイスランド特有の名前(ファーストネーム)がスーッと入ってこないのは北欧小説あるある。

    0
    投稿日: 2023.03.29
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    mmstponpon
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    面白いねェ。 寒くてジメジメした湿地で展開される人間模様。 犯人の心情を思うと切なすぎる。 逃げた花嫁の話は要らないかも

    0
    投稿日: 2023.02.24
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    fattycatlover
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ネットで見かけて。 北欧ミステリーの現在、らしい。 アイスランドは寒いのに火山の島だということぐらいしか知らない。 アイスランドのミステリーを読んだこともない。 典型的なアイスランドの殺人、と言われても何のことやら。 それなのに、なぜか懐かしさを感じるのはなぜだろう。 北欧ミステリーに分類されるがゆえだろうか。 ドラッグの蔓延、若者の失業、伝統的な家族の消失が、 他の北欧の国々と共通しているからだろうか。 それは日本の行く末でもあるのだろうか。 湿地の半地下室で老人が殺された。 2時間ドラマをほうふつとさせる重いガラスの灰皿で。 汚くて無意味で証拠を消すこともない、 不器用な典型的なアイスランドの殺人らしい。 死体に置かれたメッセージには三つの単語、 「おれ は あいつ」。 最初、それが書かれていなくて読み飛ばしてしまったかとあわてた。 殺された男は若い時にレイプ事件を起こしていたことが分かったが、 被害者はすでに亡くなっていた。 殺人の動機は復讐ではないのか。 主人公エーレンデュル捜査官は離婚で息子と娘を失い、 娘は戻ったが麻薬中毒で荒れた生活をし、妊娠中。 だが、一緒に暮らして、少しづつ歩み寄れたし、 胸の痛みが病気ではなくてよかった。 あと、かつての指導者で引退した警察官の存在が謎。

    0
    投稿日: 2022.11.07
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    komakiyo
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    このレビューはネタバレを含みます。

    このミス海外編2013年度3位。 アイスランドの作家が書いた刑事ものの推理小説。不良娘を持つシングルファーザー刑事が主役。不規則な生活で身辺が荒れ放題、海外の刑事もので良く見るような設定。ボクはサッカーが好きでW杯2018ロシア大会でのアイスランドの活躍とバイキング・クロップスが記憶に新しく、そこを舞台にした小説は過去に記憶がなく興味深く読めた。 ただ、全体の流れがあまりスムーズでなく読み進めるのが少ししんどかった。そんなに長くない小説なんだけど全体的に冗長な感じがあり、事件が進展するところはご都合主義的な部分があってうまく興味がつながっていかない感じでした。

    0
    投稿日: 2022.10.22
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    ひゃっほう
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    久しぶりの海外作品。初めてのアイスランド作家の作品。 本屋さんに平置きされていた作品に興味を持ち、調べてみたらこちらがシリーズ1作目とのことでしたので、図書館で借りてみました。 翻訳された文は、例えどんなに上手に翻訳されていても馴染むまで時間がかかること、また、私がカタカナの名前を覚えること大変苦手としていること、それを踏まえても面白かったです。 ただの衝動的な殺人ではなく、そこには国境を越えて多くの人が共感できる深い悲しみがあった。 殺人を肯定するわけではありませんが、 その深い悲しみが、この作品の重石となっているように感じました。 訳者あとがきも良いです。 続編も読んでみようと思います。 2015年39冊目。

    0
    投稿日: 2022.09.15
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    H
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    このレビューはネタバレを含みます。

    久しぶりに寝る時間を削って読みたい本を読んだ。 主役エーレンデュルはシリーズぽくなってるようなので、この次も読みたい。 馴染みのないアイスランドが舞台なのも自分にとっては新鮮で良い。、 追記 確かホルベルクの悪友グレータル?の内臓が無かったと思うのだけど、その理由を読み飛ばしてしまった気がする。誰か教えてください。

    0
    投稿日: 2022.06.26
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    場利義社
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    訳のせいか、アイスランドの言語のせいかわかりませんが、終始読みづらく苦労しました。 会話も不自然な物が多く、エキサイト翻訳を彷彿とさせます。 ですが、物語はとても面白く、最後まで惹き付けられました。

    0
    投稿日: 2022.05.21
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    タッキー
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    前から気になっていた作家。舞台はアイスランド。著者の名前からしてそうですが、なかなか耳慣れない名前や地名がたくさん登場。特に意外性がある作品ではありませんが、動機が特徴的な作品でした。全体的に読みやすくて分かりやすいストーリーで楽しく読めました。所々で挟まれる主人公と娘との関係がストーリーにアクセントを効かせていて良かったです。

    0
    投稿日: 2022.05.11
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    エコ☆ミュウ
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    友人に勧められました 晴日が少ないアイスランドらしく、暗く重い物語が展開されます 真実の追及に遺伝子がかかわってくるところはこの国ならでわです

    4
    投稿日: 2022.03.30
  • k-rodのアイコン
    k-rod
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    主人公の刑事と一緒に、複雑に張り巡らされた人間関係を紐解いて行き、真相に1ページずつ近づいて行く感覚が最高に良かった。 この感覚こそ日本でもアイスランドでも面白いミステリー小説と言われる要素なのかも。 この本の帯にも書いてあった通り「(国境も人種も関係なく、)警察小説の普遍性を証明した作品」であった。 アイスランドの、ジメジメと暗い気候が「性暴力」という今作のテーマ合わさり作品通してとても重苦しい印象だった。 ただし重苦しさ以上に真相に近づいて行く爽快感の方に手がとまらず、半日で一気に読み終えられた。 次作の「緑衣の女」も是非読もうと思う。

    5
    投稿日: 2022.03.16
  • もそのアイコン
    もそ
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    このレビューはネタバレを含みます。

    さらっとおもしろい。 数ページごとに新事実や場面転換があって 映画のようなスピード感があるのがいい。 これは家族の物語のような気がした。 ひとつの家族が破滅していくさまを解き明かし行くうちに ある家族が再生されていくところがいいなあと思った。

    1
    投稿日: 2022.01.28
  • kemukemuのアイコン
    kemukemu
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    「その国を知りたければ、その国のミステリ小説を読め」と誰かが言っていた(「あとがき」かな…)。 “アイスランド” その国の正確な位置を知っている日本人はどれだけいるだろう。 よく見る世界地図ではスカンジナビア半島とは遠く離れているように思えるが、北極点を中心とした地図を見ると、この島から南南東にあるイングランドとほぼ同距離で、東にノルウェーがあることが分かる。 と、同時に「小さく」感じる。 離婚した中年刑事と娘、昔ながらの捜査、性差別・蔑視とレイプ事件、麻薬中毒、これらは北欧と言わず欧米ミステリ小説にはよく見られるが、この物語ではさらに「血」が強調されている。 「住民は遡れば皆どこかで血縁関係にある」という独特の風土が色濃いのだろう。 なんだか横溝正史的で、日本人の何かに共鳴するところかも。 物語はダイナミックな展開でスピード感もあるため、飽きることなく読める。 そして、結末は悲しい、ひたすら悲しい……。 「重い」と「悲しい」は、少し違うんだなぁ。

    5
    投稿日: 2021.11.12
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    q-taka
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    「”アイスランド”の犯罪ミステリー。って言われても、何も浮かばない(^^;???」 そこが良かったのかもしれない。 物語の先は常に濃い靄に包まれているようで、次に何が待ち受けているのかが分からないのがイイ。 事件の奥に、また事件が判明し、その向こうに繋がりが見えてくる。 小さな章建てで進む物語は、まるで連続ドラマのように、一章ごとに始まり、「つづく」で完結する。 300ページ余りを45の章で組み立てているが、とても読みやすかった。 それぞれの章が、まるで映画のワンシーンの様に繰り出されていくのだが、読者はその構成に乗せられるように、次々とページをめくっていけるのだと思う。 実際、本作は映画にもなっているので、早くそちらを見たいと思う。 ーーーー ここからは、チョットネタバレになるが。 物語が暗闇を手探りで進む中、急展開を見せるのは、『遺伝子研究所」の話しだろう。”アイスランド”と言えば、国民全員の遺伝子解析をした国として記憶にある。 「そうか、ここにつながるのか」 と思った。と同時に、ここからまたページをめくるスピードが加速した。 こういう展開の妙を隠し球にして、物語のアクセルを踏み込んでいくのだな。 面白さの秘訣はこの辺に在るのだろう。 ー 登場人物の名前も、地名も、少し取っ付き辛い面は否めないのだけど、このリズムのもつ魅力は他に無いのかもしれない。 さすがに、ベストセラーなハズですね。

    1
    投稿日: 2021.09.20
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    るこ
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    ミステリ。警察小説。 『声』『湖の男』『厳寒の町』は既読。 この物語を面白いと言っていいのかは分からないが、とにかく素晴らしい。 犯人に迫る過程の意外性、深い真相、丁寧な心理描写など、優れた点ばかり。 特に、この事件の真相は、あまりに悲しい。 文句なしの傑作。 シリーズ1作目だと思っていたが、実際はこれが3作目。1・2作目は翻訳されていないらしい。 というか、『厳寒の町』の発売から約2年間、日本で著者の新作が発売されていないのか…。

    1
    投稿日: 2021.09.06
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    puttyhama
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    読書友達がすすめてくれていたのだけどずっと読んでいなかった小説。 ラストまで一気読み!おもしろかった!! もっと早くに読んでおけばよかった~ アイスランド・レイキャヴィクのアパートで殺害された老人。そして残されていた奇妙なメッセージ。杜撰な手口から犯人はすぐに捕まると思われたのだが… 明らかになる被害者の過去、そして事件の真相とは… 読んでたら生々しいバイオレンスな表現に思わず顔をしかめてしまった いやもう、ホルベルクもサイアクな人間だけど ルーナルもサイアク! いやいや、でも日本でもこんな人いるよね。 被害にあったのに「女が誘ったんだろ」って決めつける人 あ~いやだいやだ。 読んでたらなんかもう色々ムカムカしてきた~ って、読者をここまでムカムカさせる著者の描写力…すごいわあ~ って、なんかもう私の中では北欧といえば珈琲とミステリーというすり込みが… 決して、北欧=おしゃれとかムーミンとかのイメージにならないかも なんせミレニアムシリーズがインパクト大だったし、 この小説もなかなかインパクトあったし 北欧ものといえば… スティーグ・ラーソンのミレニアムシリーズぐらいしか読んだことなかったのだけど 北欧のミステリー小説ってじめじめした湿度があって好きだわ~ アーナルデュル・インドリダソン、他のシリーズもぜひ読んでみたい!

    13
    投稿日: 2021.08.31
  • nekotaroのアイコン
    nekotaro
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     アーナルデュル・インドリダソン、アイスランドの推理小説作家です。一度や二度では発音出来ないし、覚えにくい名前です。  舞台は、アイスランドってあまり馴染みが無いです。ノルウェーとグリーンランドの間でイギリスの北西にある北海道と四国を合わせた大きさの島国です。  事件は、首都レイキャヴィクのアパートで老人ホルベルクが撲殺された。強盗か怨恨か、 レイキャヴィク警察のエーレンデュルは現場に有った墓碑の写真から被害者が40年前に強姦罪で訴えられた事があり、写真の墓碑は当時強姦された女性の子供だと判明した。  その女性は子供が亡くなった3年後に人生を悲観し自殺していた。また被害者ホルベルクは強姦魔だった。  エーレンデュルは被害者の関係先を徹底的に調べ上げる中で''脳腫瘍''という以外な共通点を見つける。  アイスランドという最北の小さな国で起きた殺人事件、被害者で強姦魔でもあった老人 の関係から犯人を割り出すのに、地道な聞き込みや物証集め等、派手なアクションや銃撃戦、カーチェイス等は一切登場せずに静かでもの悲しい雰囲気が漂って来る。

    0
    投稿日: 2021.07.17
  • ごまのアイコン
    ごま
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    翻訳が合わなかっただけかもしれないけど、主人公の刑事がペラペラ情報喋るし、あんまり事件の陰湿さが伝わってこなかった。展開も魅力的に感じなかった。 シリーズ物ということなので、湿地よりも前の話を読んでいたら印象が違ったかもしれない。

    0
    投稿日: 2021.06.13
  • よりのアイコン
    より
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    図書館で。 北欧のミステリーはあまり数を読んでいる訳では無いのですが、なんとなく離婚歴ある、生活が不健康そうな暗めの男性が主役なことが多い気がする。そういう作品を手にしただけかもしれないけど。 個人的に主人公の娘が父親にあたるのは理不尽な気がする。途中で主人公もキレてたけど、あんなえらそうな口のきき方は無いよな、ウン。主人公は直観の人なので、確かに部下はなんでこんな作業を…と思うだろうなぁとは思う。結果が付いてきたから良かったものの、当て推量な感じがするものな。 生まれてきた子に罪はないはずなのに、親の因果が子に報う、というか本当にとばっちりを受ける子供の方が切ない。この人の書かれる犯罪者は太陽がまぶしかったからとかそういう理由では人を殺さないだろうなぁ~ 重く暗い話ですが、その分主人公が怒ったり、加害者にも心を配ってくれるので読後感は悪くなかったです。続編もあるみたいなので読んでみたいかな。

    0
    投稿日: 2021.04.12
  • atsutomuのアイコン
    atsutomu
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    映画を先に見た。小説では何度か泣いた。解説にあるように、章が短くて、次々と展開するので、一気に読んだ。章の多くが印象的な台詞で終わり、琴線に触れる。自作「緑衣の女」も注文した。

    0
    投稿日: 2021.04.11
  • yuiのアイコン
    yui
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    アイスランドは 北北西に曇りと往け ヴィンランドサーガ 北欧神話(これは北欧だし、アイスランドと直接関係ないかも。) くらいの知識でしか知らないけど、 曇り空の景色と広大な土地のイメージ。 エーレンデュルがどうしても、、と事件を追うと 過去も現在もじわじわと明らかになって苦しい話も、幸せな記憶もどれも染みが広がっていくみたいな気持ちになる。 読んでよかった。

    1
    投稿日: 2021.03.13
  • kazzu008のアイコン
    kazzu008
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    アイスランドを舞台にしたミステリー。 非常に渋く、興味深いミステリーだった。 本書を読む前は、アイスランドと聞いても首都が「レイキャビク」ということくらいしか知らなかったが、この本を読んで非常に興味をそそられる国であることが分かった。 人口は約35万人。国土は北海道と四国を足した程度の広さ。歴史的にノルウェーやデンマークの支配下に置かれていたが、1944年に共和国として独立。 世界でも数少ない「軍隊」を持たない国の一つである。 そんな小国でミステリーであるが、人間味あふれた物語で読み応えがあった。ミステリーというよりも   上質な人間ドラマ として完成されている。 次は『緑衣の女』を読んでみたい。

    28
    投稿日: 2021.02.02
  • ブ-船長とスヌのアイコン
    ブ-船長とスヌ
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    行ったことはない北欧の様子がよく描かれている。天気の描写で日本海側の地域を連想した作品であった。 人の名前が聞き慣れないので新たな世界に入り込んだ気分になった。 また別の作品も読んでみようと思う。

    1
    投稿日: 2020.12.06
  • クークーのアイコン
    クークー
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    なんという傑作!アパートで老人が殴り殺された。強盗か、暴発的殺人か。現場に残された「オレはあいつ」というメッセージ。捜査を進めると老人は過去にレイプや脅迫を常習する下衆の悪党だった。レイプによって生まれ4歳で死んだ女の子の遺伝性疾患。その墓を掘り起こすも遺体には脳がない。老人宅に立ちこめる悪臭の謎。一方刑事のもとに別れた妻との間に生まれた娘が帰ってきた。結婚式の最中に消えた花嫁の行方を捜して欲しいと言って娘は失踪。彼女自身、ドラッグに溺れ売春でお腹に父親のわからない子供がいて借金取りに追われていた。ミステリ界が今最も注目するアイスランドの巨人インドリダソンの出世作。血族の復讐と親子再生の物語であり社会の暗部を描くサスペンスフルな警察小説であり、ラーソンの「ドラゴンタトゥーの女」のあの空気感だ。残酷な真相とやるせない結末、そして希望。

    1
    投稿日: 2020.11.16
  • よしのアイコン
    よし
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    アイスランド発の警察小説。首都レイキャビックで起きた殺人事件。死体のそばに残された謎のメッセージからただの殺人事件ではないことを物語る。私生活に謎を抱えるベテラン捜査官が事件の解決に挑むが、そこにはいくつもの悲しい事実が隠されている。悲しい事件ゆえに全編を通して暗鬱な雰囲気が立ち込めていて、読んでいてなかなか重かった。正直もう少しメディアとの絡みが欲しかった。けどこの次も出てるみたいだからまたの機会に読んでみる。

    1
    投稿日: 2020.08.25
  • take9296のアイコン
    take9296
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    レイキャヴィクの湿地にあるアパートで、老人の死体が発見された。侵入の形跡はなし。何者かが突発的に殺害し逃走したらしい。ずさんで不器用、典型的なアイスランドの殺人。だが、残されたメッセージが事件の様相を変えた。明らかになる被害者の過去。肺腑をえぐる真相。 アイスランドのミステリを続けて読む。今まで読まなかったのがもったいないと強く思う。

    0
    投稿日: 2020.08.10
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    shinjif
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    アイスランドを舞台にしたミステリー。 レイキャヴィクのアパートで男性の死体が奇妙なメッセージと一緒に発見される。被害者の過去を調べるうちに、彼がレイプ犯として訴えられた事があり、その被害者が妊娠して産んだ子どもは幼くして病で亡くなり、被害者の女性も自殺して亡くなっていた事がわかる。怨恨による殺人なのか?他のレイプ被害者による怨恨なのか? 操作をする中年の刑事は離婚して、麻薬中毒の娘がいるという設定なのだが、そのせいもあって、全編暗い。一方で『臓腑をえぐる真相」という宣伝文句だが、そこまですごい感じもしない。 面白いけど、平均点かなあ

    0
    投稿日: 2020.05.17
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    kalitan
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    アイスランドのローカル感あふれるミステリー。アイスランドは、アイルランドと間違えたりイメージなかったのですが、寒そうな空気感が新鮮だなと。ほのぼの感もあり。

    0
    投稿日: 2020.02.28
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    666
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    このレビューはネタバレを含みます。

    【あらすじ】 湿地帯にあるアパートで殺されたホルベルク。ホルベルクの部屋からウイドルの墓の写真を見つける。ウイドルはコルブルンの娘で、4歳の時に脳腫瘍で亡くなっている。 ホルベルクは昔、エットリデとグレータルの3人組でコルブルンをレイプした。現在エットリデは服役中、グレータルは失踪していた。レイプ事件とグレータルの失踪はルーナルという刑事が担当していた。 ウイドルの墓を掘り返すと脳がなく、脳は遺伝子研究所に保管されていた。 ホルベルクの自宅の床を剥がすとグレータルの白骨が見つかる。ルーナルはレイプ事件を隠蔽した。ルーナルに弱みを握られた3人は、汚れ仕事をすることになる。連絡係として選ばれたグレータルが増長し、他の2人に疎まれて殺害された。 ホルベルクはコルブルンの他にもう1人、オルンの母もレイプしていた。オルンは娘のコーラが遺伝子の病気で亡くなった原因を調査するために、遺伝子研究所に入社した。神経線維腫症は女性が発症する病気だった。 オルンの娘が亡くなった理由は、保因者であったホルベルクにあったと分かり、ホルベルクを殺害した。オルンはウイドルの遺体を墓に戻し、銃で自殺した。

    1
    投稿日: 2020.02.13
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    tanidah82
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    卑劣な男が起こした事件 親子を考えさせられる 「なぜ人間には目があるのか」 「泣くことができるように」

    1
    投稿日: 2019.12.22
  • pponのアイコン
    ppon
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    差し込むような、あるいは叫びたいような、もしくはそれを抑えるような苦しさ。 当初、タイトルやイメージからテンポの遅い退屈な作品かもと覚悟していたけれど、そんな心配は無用だった。 捜査の狙いを探るのもおもしろかった。 この捜査はどこへ向かい何を求めているのか。 作中にもそんなセリフがあって、自分の鈍さのせいだけではなかったとほっとする。 どんどん知りたくなる。 なるほど、そうつながるのか。 他の作品も読みたくなって、さっそくほしいものリストに追加。 それにしても覚えにくい名前だな(笑)

    3
    投稿日: 2019.08.21
  • 小野不一のアイコン
    小野不一
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    アーナルデュル・インドリダソンはアイスランドの作家で北欧ミステリを牽引する一人だ。エーレンデュル警部シリーズは15作品のうち4作品が翻訳されており、今のところ外れなし。ロシア文学同様、登場人物の名前に馴染みがなく覚えるのに難儀する。取り敢えず名前は声に出して読むことをお勧めしよう。 https://sessendo.blogspot.com/2019/08/blog-post_17.html

    1
    投稿日: 2019.08.18
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    yasaiseikatu
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    このレビューはネタバレを含みます。

    海外ミステリーは、地名や人名が難しくてすんなりとは読めないが、これはまた難解でした。アイスランドのお話なので、聞きなれない名前ばかり。その上、何故こんなに「エ」がつく人が多いのか。主人公のエーレンデュルをはじめ、エリンボルク、エーリン、エイダール、エイナル、エヴァ、、、。というのが第一の感想。 ストーリーは、王道で途中から犯人は分かる。 ちょっとトントン拍子に捜査が進みすぎた感はあるが。 これは、ミステリーというより人間ドラマとして読んだ方のがいいのかしら。もし自分が母親がレイプされて出来た子供だったと知ったら。自分の存在自体が許せなくなるかも知れない。母親の葛藤は想像すらできない。 始終天気が悪いので、物語の雰囲気と相まって、ジメジメとした湿度を感じた。雨の日に読みたい。 ミステリーとしては普通。

    0
    投稿日: 2019.05.13
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    鈴雨
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    湿地特有のぬめりとした湿度とじっとり淀む空気感をまとった作品でした。 古典的なアイスランドの殺人だと思われたが、一つ一つ同僚に文句を言われながら紐解いていけば、浮かび上がるのは過去の卑怯な事件。 唯一の救いは主人公エーレンデュルの娘が薬物から手を洗おうという姿勢を見せた事かも知れない。そうとしか思えないほど犯人の過去は当人と家族に重い影を落とす。 あえて言うならアイスランド人の名前は女性か男性かの判断が出来ないと思った。上質なミステリーだったので他の北欧ミステリーも読み進めていきたい。

    2
    投稿日: 2019.02.28
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    ひつじ
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    捜査の過程がとても自然で、読者もエーレンデュル刑事といっしょに驚きの真相に導かれていく。最近アイスランドブームなのかな、と思うほどアイスランドものによく出会う。北国出身だからか、北欧の雰囲気は肌になじむような気がする。望まぬ妊娠が題材になった作品ながら、子どもたちはみな歓迎されて生まれてくる。それが悲しい物語の中で唯一救いになる。

    1
    投稿日: 2018.12.03
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    べそかきアルルカン
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    アイスランドのミステリーです。 ここに描かれているのは悲劇です。 殺人を犯すにもそれなりの理由があるということ、 人間として生きる苦悩が、 アイスランドという国の特殊性を利用して 表現されています。 暗く悲惨な物語なのですが、 グイグイと惹きこまれてしまうのは、 文章の簡潔さにあるような気がします。 余計なことは書かれていないのに、 それでいてアイルランド社会の状況や、 人物像がしっかり描かれています。 アイスランドのような 小さな国を舞台にしたミステリー小説は成立しないと いわれていたそうですが、 その常識を覆したのが アーナルデュルだったそうです。 しかも作品は世界中で翻訳され、 数々の賞を受賞するベストセラーになりました。 べそかきアルルカンの詩的日常 http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/ べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え” http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ” http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2

    2
    投稿日: 2018.12.02
  • たこちゅーのアイコン
    たこちゅー
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    なぜ売れてるのか、まったくわからない。 これより面白いミステリーはごまんとあるのに。 超エンタメではなく、静かで暗い感じ。 肝心なミステリー部は突飛かつ安易に解けすぎ。 ページ数が適度で人物描写が丁寧、社会的メッセージがこめられ、落ち着いた雰囲気で、父と娘の葛藤もあったりしてオールインワン、万人にちょうどいい感じなのかなー? なにしろこれだけがベストセラーなのは解せない。 ジョン・ハートも売れてるようだし、静かなのがいいのかも。 著者初邦訳だがシリーズ3作目。

    0
    投稿日: 2018.11.21
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    negatebu14
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    翻訳者の訳が良いのか、とにかく読みやすかったですねぇ…お話自体はあまり気持ちの良いものではありませんが…でも、書き方が良いからなのか、最後まで夢中になって読み進められましたねぇ…社畜死ね!! ヽ(・ω・)/ズコー なんでもシリーズ化している作品だそうな…訳者の方のあとがきで北欧ミステリとしてはページ数が少なくて助かる、みたいなお話がありましたけれども、確かに海外ミステリにしてはページ数少ないかもしれません…けれども、お話そのものは重厚でありました…。 さようなら…。 ヽ(・ω・)/ズコー

    1
    投稿日: 2018.08.16
  • シキモリのアイコン
    シキモリ
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    本シリーズが創元社刊の海外作品の巻末や帯で必ず紹介されているので、これは外さないだろうと睨んだ通りの作品。海外小説特有の婉曲表現は最小限に抑えられ、本編400頁未満の比較的コンパクトな作品ながら、哀しき【血】の因果を描いた濃密な社会派ミステリーを堪能出来た。アイスランドが遺伝子研究の先進国であることは初耳で、本国の文化や歴史背景を窺い知れるのも魅力のひとつだろう。タイトルさながらに仄暗く湿った憂愁な結末は酷くやるせないが、エーレンデュル父娘の関係修復には救われた。訳者あとがきも読み応え充分で二度美味しい。

    1
    投稿日: 2018.06.20
  • 黒い☆安息日のアイコン
    黒い☆安息日
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    このレビューはネタバレを含みます。

    同作者の作品を読むのは同じエーレンデュル捜査官シリーズの「緑衣の女」に続いて2作目。刊行順としては逆なので、「緑衣の…」で描写されてた主人公の家庭シーンなどは、こっちから読むと色々合点が行ったのかもしれない(いくつかそう思った記憶あり)。 だが刊行順などは些細な問題と言ってもいい、とにかく堂々の王道警察小説である。アイスランドではという但し書きがつくが。と回りくどく言うのも、とにかく日本や我々が馴染んでいる国々にない特殊な環境での殺人事件が取り扱われており、設定からトリック、謎解きに至るまで、アイスランドならでは尽くしなのである。 決して色ものではないが、人口30万人そこそこ、高緯度ならではの気候条件、宗教も民族風土も生活様式も我々日本人とまったく国を舞台にした小説だからこそ味わえる異世界感。そこにはファンタジーやSFにはない、決して作りモノでないからこそのリアリティがある。異世界異文化とはいえ、人間の罪や業そのものには決して差がない切なさも感じられて…。 意識して追いかけるかどうかは分からないが、機会があればシリーズの他の作品も読んでみたいと思った次第。

    1
    投稿日: 2018.01.31
  • 深いミステリーだけどなんと読みやすい文章何だろう

    良い作品です。舞台はアイスランドで雨模様。寒くて暗い空気感の中事件が起き解決に思考を巡らす刑事が活躍する話で良くある構成なんですが、何層もの事件が過去と現在と未来が重なっていく様は深くよく練られており読み応えがありますが、なんとも読みやすく綺麗に頭に整理されていく感覚を味わえる良くできた本でした。欧州ミステリーで宗教抜きだからかもしれません。寒い冬におすすめです。

    0
    投稿日: 2018.01.30
  • haji07-2017のアイコン
    haji07-2017
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    12月-7。3.5点。 独居老人が、自宅で殺害される。 「おれはあいつ」という血で書かれたメッセージが。 被害者は運送会社の運転手。 しかし、被害者には暗い過去が。 暗い感じが続くが、意外な方向に話が進み、面白い。 次作も期待。

    1
    投稿日: 2017.12.25
  • miuのアイコン
    miu
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    空に淡い蓋をされているような…薄暗くて、湿気を帯びて、胸が詰まる。 哀しくてやりきれない、始終そんな空気があった。 なるほど作品全体から湿地を感じて、上手いものだなー、としみじみ感心。 読んでいる間ずっと私の眉はハの字になっていたと思う。 でもあまりの読み易さにページを繰る手は止まらず、遅読の私でもさっと読めた。 読後感は穏やか。 複雑なトリックや劇的な展開はないけど、事件背景に奥行きがあって面白かった。 先に読んだ同作家の『緑衣の女』もやはり同じように味のある描き方で面白かったので、他にもこの作家の作品を読んでみたい。 アイスランドというとビョーク、シガー・ロス、ムームといったミュージシャンのイメージが強いけども、そういえばこの作家もなんだか似通った雰囲気を醸し出しているなぁと感じた。お国柄もあるのかしら。

    2
    投稿日: 2017.12.23
  • あんこのアイコン
    あんこ
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    淡々と、明らかになる事件の全貌。 派手さはないけれど、じわじわと迫ってくる、隠された真実の行き着く先に、そわそわして落ち着かない気持ちになった。 切ないなぁ、悔しいなぁ。みんな幸せになれる、そんな人たちなのに。やるせないなぁ。生まれてくる子は幸せになってもらいたい。

    1
    投稿日: 2017.08.13
  • けいのアイコン
    けい
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    アイスランド作家によって書かれたミステリー。 筋書きも、アイスランドならではの内容。 ちょっと尻すぼみな終わり方にも感じられるけれど 楽しんで読めた。 レイキャビクの街歩きは半日しかできなかったので 是非また訪れた際には気ままにぶらりと歩いてみたい。 いろんな発見があるかも。

    0
    投稿日: 2017.08.10
  • サチャンのアイコン
    サチャン
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    北欧ミステリー。 独居老人が殺害されたところから始まり、意外な過去とのつながりで犯人を追っていく。 意外性やどんでん返し系ではないもののわりと読みやすかった。(地名や名前に苦労はしたものの)

    1
    投稿日: 2017.03.23
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    grayorange
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    アイスランドでなければ成立しないかもしれないストーリー。アイスランドのことを知りたくなります。ミステリーは、その国を知るためのガイドブックに良い、と著者が言っていたがまさにそうかも。読んでいる途中までは画面がグレーがかっているようだったが実際はカラフルな街並みなんですね。簡潔な文章も読みやすくて良いです。訳者あとがきも興味深くてためになりました。

    1
    投稿日: 2017.03.10
  • Okuyasuのアイコン
    Okuyasu
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    アパートの一室で老人が殺された。 当初警察も無計画で単純な 典型的アイスランド殺人だと考えたが 犯人によって残されたと思しき 謎の3つの単語が事件に複雑な 背景の存在を匂わせた。 馴染みの薄いアイスランドを 舞台とている点でまず既に興味深い。 物語は重たいテーマを抱えていて 終始陰鬱とした雰囲気で進む。 だが、この陰鬱さが苦にならず、 逆に物語に厚みを与えていて 読み応えが凄かった。 物語が進むにつれ、 救いのない展開ばかりが繰り返され 主人公エーレンデュル警部でさえ 複雑な家族問題を抱えており、 爽やかで明るい描写は一つもないが それでもこれは家族の愛を描いた ミステリとして素晴らしいものだった。 読む人を選ぶ作品だろうが、 多くの人に試して欲しい一冊。

    1
    投稿日: 2017.02.28
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    acoreds
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2016年ユーロ(*サッカーの大会です)の話題と言えば,ポルトガルの初優勝と,初出場ウェールズの躍進,そしてアイスランドの独特の手拍子応援だったわけです。(*個人的な見解です) アイスランドが躍進したおかげで,TVの視聴率が90%だったと聞いて,そんなことありうるの!?と思いましたが,人口が30万人ほどなんだそうで,それなら・・・ありうるのか・・・。 で,肝心のストーリーです。 ある湿地帯に立つアパートで見つかった老人の他殺体は,よくあるずさんな強盗事件,「アイスランドらしい事件」のはずだった。しかし,残されたメッセージに引っ掛かりを覚えた刑事のエーレンデュルの丹念な捜査により,事件の背後にある忌まわしい過去が明らかになっていくのだった。 近頃のミステリに登場する警察官はみんな家庭の悩みを抱えているのが定番みたいなのですが,このエーレンデュルも離婚してて子供たちと折り合いが悪くて・・・と,大変なんです。でも仕事もあるんです。仕事の合間に,なぜか元妻の親類というほとんど他人の頼みごとまで引き受けなくちゃならないんです。 ちなみにこの「頼まれごと」は事件にどうかかわるのかと思いながら読んでいましたが,事件の背景に流れる女性の抑圧といったテーマにつながっていて,しかし直接の関わりはない,という距離感がとてもよかったです。 犯行動機とかはとっても気が滅入る話で,しかし同じ島国ムラ社会の日本人には,現代でこそこんな話はないものの,結構想像できる範囲の話のように思いました。 人口30万人て,市町村レベルだもんなあ。 ところで,これを読んでいるとき,想像?でミートスープを作ってみた。たぶん違うものが出来上がったと思うけどおいしかったです笑

    0
    投稿日: 2017.02.18
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    jhm
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    アイスランドを舞台にしたミステリー。 湿地にあるアパートで発見された老人の遺体。この老人殺害事件を発端に、過去の哀しい出来事が明かされる。 まったくの偶然だがアイスランドを舞台にした作品を、つづいて読むことになった。 少し前に流行った北欧ミステリーともどこか違うアイスランドミステリー。アイスランドという地をイメージしにくいことは変わりないが、こういった書物で知らないことを知るというのは読書の醍醐味と言えるだろう。 ひとが殺されまくる派手なミステリーに比べると地味な作品ではあるが、扱うものが重いためドッシリした読み応えがある。 何を扱っているかというと、レイプである。 この作家さんは男性であるのだが、レイプに対して女性の受ける傷の大きさや深さを思いやっていることが感じられる。 以前読んだ横溝正史の「三つ首塔」でのレイプされた女性が自分をレイプをした男を好きになるという描写の、薄っぺらく女性を貶めていることと比べることがインドリダソンに失礼というくらいだ。 映画評論家でもある作家のためか、どの場面も脳内で映像化しやすく印象的というところも特徴なのかもしれない。 殺人事件を起こすには理由がある、というのがインドリダソンの自論らしい。そのため、殺される側にもそれなりの理由があると考えるようだ。 この考え方には全面同意はできないけれど、被害に遭うひとの中にはそれだけの恨みを買ったひともいるということはあるとは思う。全てがそうなら寧ろ簡単で、中には逆恨みや、たまたま目の前にいたから殺されるということもあるところが難しいところなのだが。 この作品は犯罪捜査官エーレンデュルシリーズの三作目。 主人公の悩み多く疲れたキャラクターも良かったため、他の作品も読みたくなった。

    1
    投稿日: 2016.11.01
  • marimoiのアイコン
    marimoi
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    最初の場面からは想像もつかない悲しくて遣る瀬無い話だった。 殺害された人間から広がる人間関係や過去が犯人へと繋がっていくさまは凄かったです。 アイスランドという国の制度をうまく使っていると思った。

    1
    投稿日: 2016.07.12
  • 未体験のレイキャビックミステリー

    ムード満点の北の果て、アイスランドミステリー。 中身は重苦しく、不気味。 しかし恐ろしく読みやすく、ページがどんどん進む

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    投稿日: 2016.01.03
  • tockeeeのアイコン
    tockeee
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    アイスランドの警察小説。エーレンデュル、シグルデュル=オーリなど耳慣れない人名、地名が頻出で読み進めるのがなかなか困難だった。北の湿地で起きた老人撲殺事件。そこに残された、「おれはこいつ」という謎のメッセージ。そこで過去に起きたレイプ事件。そこにエーレンデュルの父娘問題が絡み…。読み終わってみると、じめじめとした印象が残り映画を見た気分。その地を知るには、その地のミステリーを読めばいい、というのも納得。プロット的に、「そうだったのか!」的なことはなかったけど。

    0
    投稿日: 2015.08.20
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    norimotok
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    お見事。徐々に明らかになっていく真相が、心臓を鷲掴みされるような息苦しさをもたらす。自分がこの犯人だったらと思うと、酷く切ない。 どうしようもない悪は存在する。しかも遺伝という人間には抗い切れない運命に翻弄される。それに抵抗する手段はこの結末しかないのか。 それにしてもお見事。一気読みです。

    1
    投稿日: 2015.07.08
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    0071
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    このレビューはネタバレを含みます。

    面白かったー。アイスランドの作品。エーレンデュル、部下のエリンボルク、若手のシグルデュル=オーリが老人殺害の事件に挑む。レイキャビクってどんなところか想像付かないけど、多分人口少ないんだろうな。北欧でも離れているもんね。なんとなくさみしい土地かなと想像する。そこで珍しい殺人事件に関わる昔気質のエーレンデュルがよかった。

    1
    投稿日: 2015.06.27
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    longtalkms
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    シゾ(統合失調症)の研究で有名なもので、スコットランド家系研究というものがある。 シゾで有名な遺伝子変異、DISC1を発見した有名な研究だ(確か2000年のもの)。その家系ではシゾが多発する。 特にヨーロッパ北部諸国では、国民の合意のもと、全国民の遺伝子が集められ、研究に利用されている。 この小説はそのような現状やそれに付随して起こるトラブルに対する問題提起とも考えられる。 小説中で出てくるある疾病は国家試験(以前にCBTでも)の重要ポイントであるが、その点でも医学研究を志しているものが読むと面白い内容だと言えると思う。 推理小説としてももちろん楽しめる。 アイスランドの風景というかどこかそら寒い様子が文章を通じて伝わってくる。

    0
    投稿日: 2015.06.17
  • きーちゃんのアイコン
    きーちゃん
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    北欧のミステリーは、悪天候がよく似合う。雨がずっと降り続いていたり空が暗くて、晴れた日がほぼ皆無といっていい。でも、それが物語を盛り上げている。 アイスランドを舞台にした小説は初めてだが、聞きなれない名前や地名が出てきたにも関わらず、読みやすかった。 悲しい過去がもたらす連鎖、結末はとても悲しい。。。 ただ欲を言えばもう少し、展開がスピーディーだと良かったかも。

    0
    投稿日: 2015.06.16
  • あさみちゃんのアイコン
    あさみちゃん
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    面白かった。一気読みになってしまいました、アイスランドの風土、文化にふれられたのも良かったです。日本に似て閉鎖的なところがあるんですね。ファミリーネームがない、というのもその国のあり方を物語っていると思います。元をたどればみんな血族、という表現が作中にでてきますが、それが印象に残りました。「緑衣の女」も読もうと思います。

    0
    投稿日: 2015.06.09
  • k_ominamiのアイコン
    k_ominami
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    ガラスの鍵賞受賞 ミステリが読みたい!2013年海外編第1位 アイスランドミステリ アイスランド警察の捜査官エーレンデュル・スヴェインソンを主人公とするシリーズの三作目にして、日本語訳一作目。 耳慣れないアイスランドの固有名詞と格闘しながらながらぼちぼち読み進めるかと思って購入したものの、ぐいぐい読ませるのがアーナルデュル・インドリダソンの筆勢。 訳者あとがきに、スウェーデン語から訳すと聞いた作者の反応が書かれている。「アーナルデュルはわたしにどの言語から訳すのかと訊き、わたしがスウェーデン語から訳すというと、うれしそうにうなずいた。スウェーデン語とアイスランド語はともに古ノルド語を土台としていて、言葉のニュアンスや雰囲気が近い。それに、アイスランド語からスウェーデン語に訳したイルヴァ・ヘレルードの翻訳がとてもいいと聞いていると彼は満足そうに言った」

    1
    投稿日: 2015.06.05
  • ことぶきジローのアイコン
    ことぶきジロー
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    全編に陰鬱な陰を感じる重厚なミステリー。近年、次々と傑作ミステリーを輩出している北欧ミステリー界であるが、本作も噂に違わぬ傑作だった。確かにこの作家は只者ではない。 アイスランドのレイキャヴィクのアパートで起きた独り暮らしの老人が被害者となった殺人事件。杜撰な典型的なアイスランドの殺人と思われたが…事件を捜査する警察犯罪捜査官のエーレンデュルは被害者の過去を遡り、予想を超える事件の真相に辿り着く。クラシカルなスタイルのミステリーと思いきや… そして、この重厚なミステリーをさらに味わい深いものにしているのは、作品の中に描かれる複数の家族の姿であろう。過去の事件に翻弄され、苦悩し続ける家族の姿と迷いや苦悩から脱却し、再生していく家族の姿が見事なスパイスとなっている。

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    投稿日: 2015.06.04
  • yayaikeのアイコン
    yayaike
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    かつてレイプ魔だった男が死体で発見され、主人公の捜査官が男の過去をさぐり、そこから殺人犯を追う話。登場人物のキャラもあまり描かれずにストーリーがたんたんと進む感じ。内容はまとまってて、結末も結末にいたるまでの流れも納得。

    1
    投稿日: 2015.06.03
  • 東京創元社のアイコン
    東京創元社
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    北の湿地の建物で老人の死体が発見された。現場に残された謎のメッセージ。被害者の隠された過去。衝撃の犯人、肺腑をえぐる真相。いま最も注目される北欧の巨人の傑作、待望の文庫化!

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    投稿日: 2015.05.29
  • 北欧の小国アイスランドが生んだミステリー!

    北欧はアイスランドの作家、アーナルデュル・インドリダソンによるミステリー。 そもそも、アイスランドは人口が32万人ほどの小さな国で、それゆえかミステリーの舞台としてはあまり適していないらしい。作者はそんな土地柄でも、世の中に知られていなかった犯罪が埋れているのではないか、見過ごされてきなのではないか、という思いから、特に性犯罪を中心に物語を紡いでいるという。 本作でも特に暴行シーンなどはかなり詳細に描かれ、それが登場人物のその後にどのように影響したのか、といった点が一つのターニングポイントになっている。 それにしても、海外作品の主人公は問題を抱えていることが多く、本作の主人公エーレンデュルも妻と離婚し、息子とは音信不通、娘は麻薬中毒とかなりひどい。海外の家庭って、これが当たり前なのか?と訝しくなってしまう。

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    投稿日: 2014.10.28
  • ほんとは国民の幸福度の高い国が舞台

    読んでて一番ゾッとしたのは、事件の真相もさることながら、捜査の過程で数十年ぶりに墓から引き上げられた少女の解剖結果だった。検死官からその事実を告げられた主人公が「いまなんと?」と聞き返すほどの衝撃度。そこで謎がより重層的になった。 その一方で、犯人が死体になぜメッセージを置いていったのか、釈然としない理由だったのは残念。また、花嫁の失踪劇の顛末を見ると、わざわざ同時並行で語るテーマだったのかも疑問が残る。こちらはああいう真相ではなく、もっと別の家族の再生を示す話であれば良かったのだが。 この本よりも前に、エリック・ワイナーの『世界しあわせ紀行』を読んでなかったら、なんてアイスランドっいう国は、性的倒錯者が多いことかと偏見を持ってしまったに違いない。実際は国民の幸福度の高い国なのに。 そういえば同書にも、出会ったばかりの男と一夜を共にした女性が、翌日に親戚のパーティーで出くわし、「わたしまた、いとこと寝ちゃった」と悲嘆に暮れるエピソードが紹介されていて、アイスランドの近親性の高さを伺わせていた。

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    投稿日: 2013.12.12