
総合評価
(657件)117 | ||
252 | ||
189 | ||
27 | ||
2 |
- 餃子"powered by"
物語にどんどん引き込まれ、気づいたら読み終わっていた。 梨花の感じるモヤモヤや、高揚感、焦りまでも自分のことのように感じられるほど入り込んでしまった。 自分が何の上に成り立っているのか悟るシーンに圧倒されたし、強く共感した。
0投稿日: 2025.07.03 - mr.satomi"powered by"
TVドラマの原田知世主演ものを観て、 映画の宮沢りえ主演のものを観て、 それから数年・・・後、 原作を読んでみた。 終始、原田知世さんのせつない表情が頭を駆け巡り、 夫婦のこと、若い恋人とのこと、お金にまつわる様々なこと、犯罪行為に懸命に取組んでしまうこと、海外に逃亡中のこと、 全てがツラく悲しかった。 最後の最後の締め括り方が映像版よりもグッと来てしまいました。 読んでヨカッタ・・・
59投稿日: 2025.06.18 - かこ"powered by"
ホラーだね!怖かった! 社員と同行してるときのヒリヒリした空気感、めっちゃ怖かった〜〜描き方が上手いな〜〜〜 高額な買い物をしたときの高揚感と万能感、分かるなあ…それ以上に怖さが勝つから買い物依存にはならないけど
3投稿日: 2025.06.17 - Karen✲*゚"powered by"
めっちゃおもしろかった…!1億円横領というからには、ものすごく大きなことをしたように思っていたけど、ちりつもちりつも…で1億円なのか…瑣末なことが積もり積もって想像もできないくらい大きな山になることをよく表していた。現実味がなくなるほどに。読んでいる間以外の時間も、なにかとても恐ろしい影のようなものがついて回っているような気がしたのは私だけかな。自分が犯したわけではないけど、小さなきっかけで陥ってしまいそうで。捕まった瞬間も、振った瞬間も、バレた瞬間も、何一つ映されていないのがなま恐ろしいというか… そして、夫・光太の発言や態度、行動に本当にむかついた…!特に夫、甘えられるだけ甘えて、何見下してるんだ…なにくそ精神が出てもおかしくないと思った。
2投稿日: 2025.06.16 - ちいこ"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
2014年に映画化された小説。 大島優子が絶賛されていたっけ。 タモリと宮沢りえの深夜番組で宮沢りえのキュートさに惹かれた。可愛い大人。 宇都宮出張にかこつけて買った一冊だけど、一気に読み切った。ラストどうなるの!?映画では・・・楽しみだな! 以下はお気に入りの文の引用です。 「「安上がりな」よろこびをこそ、梨花は生活に求めていたのだった。」 「釈然としない気分は釈然としないまま、軽い不快感となって梨花の内にこびりついている。」 「当たり前だよ、二人のことだもん」 「ネオンサインに照らされて夜空はぶどう色だった。」 「あのとき白樺並木をともに歩いた自分たちが、この二十数年で、どのくらい離れた場所にきてしまったのだろうか」 「当然すぎて、当然だと思うこともしなかった。だってそんなことを、本当に梨花は頼んでもいないのだ。」
4投稿日: 2025.06.16 - ちっちゅう"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
「お金は人を狂わせる」って 欲張りな人のことだけではなかった ただのきっかけにすぎなかった 梨花が犯罪者なら正文は何なのか 道を踏み外した人間、踏み外させた人間 同罪ではないか 堕ちないでいるためにはどうしたらいいのだろう
1投稿日: 2025.06.08 - 絖之"powered by"
紙の月/角田光代 読了 2024.12.30 【小説と映画版のネタバレを含みます】 舟を編むに続き、映画で知ってる作品の原作小説を読んでみた。数年前に見たきりの映画はあまり明確に覚えていないが、ざっと気づいた相違点。 ・話の始まり/終わりが違う ・小説では主人公以外の別視点の話が3人分ある ・同僚(若い女、キッチリした女)がいない ・募金のために父親のお金を盗むシーンがない ・光太の浮気がバレるシーンがない ・梨花が脱いで顧客に迫るシーンがない ・銀行にバレるシーンがない(バレる直前に逃げた) 終わり方、同僚の存在、視野狭窄になって書類作りをする様は、映画の方が好きだった。 まず、構成に驚いた。小説では逃げたあと、タイでの梨花から始まった。映画では逃げたあとの梨花は最後のワンシーンしか無いので、冒頭が逃げた先からでかなり驚いた。 3ページのプロローグが終わると、知らない人の話が始まった。同級生、友達、元恋人の3人の話が、梨花の話と交互になって、群像劇のように展開されていく。 どの夫婦もうまくいっておらず、女はお金に狂わされている。救いを求めるように買い物に明け暮れたり、裕福だった自分の幼少期を夢見て嘆いたり、正しいことだと戒めて節約したり。 梨花も、最初は数万円の買い物におっかなびっくりしていたのに、GWに高級ホテルのスィートルームに10日も連泊する。高くて買えないと渋るカップルを横目に、値段を見ないでバッグを買う。光太に良く見られたくて、化粧品や服を買い、エステに行く。 返すつもりで借りたお金と、自分の口座と、夫の口座の、違いが分からなくなっていく。いくら持っているのか。次の引き落としの額は。合計でいくら横領したのか。もう、手が付けられない。 光太は梨花に、なにもせがんでなどいなかった。なんでこうなったんだろう。なんでこんなに夢中になっていたのだろう。一億円も盗んで、梨花は一体、何を得たのだろう。 梅澤梨花らしい人物像とはなんなのか、作中で梨花は何度も考える。ほんとうの私ってなんだろう。光太は私を金持ちの妻と考えてる?社長の娘?働いてる私、夫とのつまらない暮らし、光太との楽しい非日常。どれが、ほんとうの私?分からないまま来てしまった梨花は、タイで警察らしき男に見つけられ、安堵にも似た気持ちになる。 ずぶずぶと沼に浸かっていくような質感と、ハッとしたときには戻れないところまで来てしまっている、表現が素晴らしかった。参考にしたい。 梨花以外の登場人物たちを入れようとすると映画では収まらないだろうし、職場の同僚たちのオリジナル要素も良かった。かなり上手い映画化だと思う。小説も映画もどちらもそれぞれの良さがあって好きだ。 展開を知っているから難なく読み進められた。また映画もみたい。 第二十五回柴田錬三郎受賞作
2投稿日: 2025.06.05 - ムー・ハカナゲ"powered by"
正常性バイアスを描いている作品だと思いました。 主人公の梨花は、周囲から見ると異常なことをしているにも関わらず、自分ではそれを日常の延長線上だと思っています。 梨花と恋人、夫以外の登場人物もしばしば登場するのですが、本筋である梨花の話が気になりすぎて、サブキャラクターのエピソードにはあまり集中できませんでした。 自分が誰よりも力を発揮できることが犯罪だった場合、どうなるのか……という顛末を見せられているようで、梨花をすごいと思う一方で、かわいそうだとも感じました。 じわじわと転落していく人生を描いた、ホラーのような味わいのある作品です。 角田光代さんの作品は、毎度のことながら展開が気になって一気に読んでしまいます!
8投稿日: 2025.05.30 - 有紀(ユウキ)"powered by"
一億円を横領した主婦の話。タイに逃げたところから始まって横領するまでの経緯の話に戻る。他の登場人物から見た主人公の姿などの章もはさみつつ。読みながらなんとなく主人公の自分が自分の一部だとかどことない閉塞感とかが伝わってくる。
1投稿日: 2025.05.17 - そば"powered by"
そっちに進んではだめだよと声をかけてあげたくなるほど 泥沼にはまっていく梨花 現実のニュースでも時折横領が報じられるけれど 犯罪なんてこんな感じに起きてしまうんだなと思わせてくれる 久しぶりに夢中で読んだ一冊になった
19投稿日: 2025.05.06 - さめ"powered by"
読めば読むほど嫌な予感。絶対好転しない未来=破滅へ向かって走り続ける主人公の半生を描いた作品。彼女が小さな悪事に手を染めるたび、低く唸ってしまう。結末はわかっているのに、自ら深みに嵌まっていく彼女から目が離せない。ずっとずっと面白い。映画版のカバー下の表紙のイラストがほんわか系で、内容と全然合ってないのが気になります(笑) 苦しみと不満、不安に溢れた現実を過ごしていた彼女の元に突然現れた若い男。映画を作るんだと語る彼は、キラキラ輝いて見えて。自分を慕ってくれる彼と過ごしたいがため、彼女は生き、努力し、働き、結果的に1億円を横領した。彼女の知人たちも、彼女と似たような苦しみややるせなさを抱えている。彼女との類似性を描くことで、彼女だけが愚かでどうしようもない人間なのではないのだと表現したいのかなと。子どもがいるからと言って、幸せなことばかりでもない。お金があるからと言って、すべてを手に入れられるわけでもない。それでも現実と折り合いをつけて、妥協して、生きていくしかないのだ、と。 一方で、知人たちの話は、彼女の人生のパラレルワールドにも見えてくる。もし彼女がどの人生を歩いたとしても、彼のような人間と会ってしまったら、結局は同じ破滅的結末を迎えるんじゃないかな。それくらいのエネルギーを、彼女は持っている。彼女は遠い世界の人ではない。むしろ「大事にしてくれる人を大事にしたい、力になりたい、必要とされたいからなんでもする」という彼女の姿勢に、共感するところさえある。もちろん人のお金は労働の対価であり、奪うのは絶対に許されないことですが。そのハードルは、目的を前にした人間にとっては案外低いのかも。 今回再読なのですが、最初に読んだ10年前よりも、男の幼稚さが目につきました。若い男に溺れた彼女も彼女ですが、与えられるがまま好き放題過ごしたくせに、いらなくなったら泣き言を言って解放を望む。怒りを通り越して呆れてしまったのは、私も年を重ねたからかもしれないです(笑)
1投稿日: 2025.05.04 - rebecca001"powered by"
宮沢りえさん主演の映画を観て、光太と関係を持つに至った経緯を知りたくて本を読みました 映画では省略されていた、少しずつ彼に惹かれていく描写が分かって良かった。 他の登場人物も、それぞれ違った生活が有って面白かった。会計時金額にびっくりする事とか、買い物の後の高揚感とか、共感出来る所も多くて、まるで自分が大金を使ってるかのような臨場感がありました。 私は到底越えられない壁を越えてしまった梨花も、実は誰にでも起こり得る未来なのかもしれないと、自分を戒めるように読んでいました。 タイでの逃亡生活も良かった。映画とは結構ラストの展開が違ったけど、また良かった
1投稿日: 2025.05.03 - すもも"powered by"
読んでいてすごく苦しかった。 どうして辞められないのか、罪を重ねていくのか、現実に戻れないのか。誰かに見つかるまでもう自分のことを止められない梨花を見ているのはこっちも辛かった。 自分での何に使ったか思い出せないくらいのお金で梨花は何を手に入れたかったのか。お金との付き合い方を改めて考えるきっかけになった。 人のお金を使ってしまった罪はどのように償うのだろう。
2投稿日: 2025.04.20 - まめころ"powered by"
飽きる瞬間がなく、一気に読み終えました。 あまり本を読まない私ですが、どっぷりハマって読めました。 お金の価値観が合わず別れた前の旦那さんが、お金を本当によく使う人で、その時は私もお札がただの紙切れのように見えた事を思い出しました。 執着がないからこそ、よく使う、そして横領までしてしまったことがリアルに思いました。
1投稿日: 2025.04.15 - はんな"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
自分の心の空白を埋めようと、箍が外れたようにお金を使う主人公。横領の金額も増える一方でした。 しかし私には、他人事に思えない気持ちがありました。 私は自分が管理できない以上のお金は使いませんし、横領もしませんが、それでも主人公を非難する気持ちにはなりませんでした。 自分のどこかの部分が投影されているように思えました。 一線を越えそうになる危うさが自分にも内在されている、だから主人公を頭から避難することができないのだと思いました。
2投稿日: 2025.04.03 - 山田"powered by"
価値観は生きている環境と些細なきっかけで変わってしまう、抜け出せなくなることにこわくなった。自分自身も一度デパートで買い物をし、高揚感を覚えてしまったらと
2投稿日: 2025.03.22 - メジ"powered by"
活字を追いながら、原田知世と宮沢りえが頭の中で演技をしていました。 銀行の貸金庫を女性行員が巨額の金額を横領した事件のニュースを見た際、『リアル紙の月』だと思いました…
8投稿日: 2025.03.21 - くろみ"powered by"
主人公が沼にハマっていく様子にハラハラして、どんどん読みすすんでしまう。しんどいのにページをめくる手を止められない。読み終えてしばらく放心状態になる、そんな作品でした。
1投稿日: 2025.03.13 - おみ"powered by"
無償の愛とは何なのか考えさせられる本でした。見返りを求め、多くを与える事が止められなくなるのは、認知の歪みがある人間が、温情効果により情緒不安を回復させる手段なのではと思いました。
2投稿日: 2025.03.11 - そんち"powered by"
お金と男が絡むと自分がブレてしまう女性って大変だ。 偽造してお金をゲットできる能力があるなら、もっと賢く生きられるはず。
1投稿日: 2025.03.11 - まかろに"powered by"
梅澤梨花は少し前までごく普通の専業主婦であった。 夫の正文に小言を言われながらも何の不自由もなく営まれる夫婦生活。 そんな中、梨花は自分らしさを求めて銀行員として働き始める。夫には期待されなくとも営業回りで個人宅を訪れていく中で少しずつ確実に変化してゆく梨花。 お金に翻弄されるとよく言うけど、この物語を通して、お金はあくまでも手段であって、稼ぐことではなく使うことこそが人生の目的になっていると感じる。 気付けば何億というお金を横領しているなんてあり得ないと思っていたが、一度一線を越えてからは歯止めが効かなくなり、それが当たり前となってしまう人間の心理をうまくついているなと切実に感じた。
1投稿日: 2025.03.03 - うめこ"powered by"
お金や対人関係についての価値観を改めて考えさせられる、読み応えのあるお話だった。 「一億円の横領」なんて、その言葉だけをニュースで聞いたら自分とはあまりにかけ離れた世界で全然ピンとこないと思う。 でも、そこに至るまでのストーリーを追っていくにつれ、ごく小さなプライドとか、寂しさとか物足りなさとか、誰にでもあるほんのちょっとした心のぐらつきが始まりだったんだなぁ…とすごく身近なことのように思えた。 ちょっと借りてるだけ、いつか返そう、そう思ってるうちに、知らない間に取り返しのつかないことになってる。なんて恐ろしいんだろう。 一見とんでもない犯罪も、実は始まりは誰にでも起こりうるようなちょっとしたことがきっかけなんだと改めて感じた。
2投稿日: 2025.02.23 - ひろみん"powered by"
映画は面白かったですが小説の方が好きです。お金を使ってなにを満たそうとしたのか?お金を使うことについて考えさせられました。
2投稿日: 2025.02.21 - ヒロ"powered by"
初角田光代さん 自分では、絶対感じられない主婦目線、女性目線の 心情を知れた。 こんなふうに考えるんだと知れるのが小説の良さ。 1億近くを横領する女性の話だけど、買い物をたくさんしてしまうとか、着飾らないと不安とかそういう時の心情が知れて面白かった
4投稿日: 2025.02.16 - おどど"powered by"
逃げるまでのうごき、逃げることの恐ろしさが読みとれました。日に日に増大していく嘘、隠し事が金額の数字として表れているのがより恐ろしさを感じさせました。
2投稿日: 2025.02.06 - muffin"powered by"
女性が会社のお金を横領するのは現実にたまに事件として取り上げられる 最近でも銀行の女性社員が顧客の金庫のお金を自分のものして使い込んでいた だんだん悪いことをしている自覚がなくなっていくのが怖い
1投稿日: 2025.02.01 - kvk"powered by"
切なかった、何というかお金にまつわる藪の中、少し群像劇。主人公梨花の話があくまでメインで自然と段々取り返しのつかないところに堕ちていきラストはほぼ捕まって終わるのだけれど、たまに挿入される群像劇側が3人くらいいて、全てバッドエンドを仄めかしながらも全部未完で実はそっちの方が気になったりした辺り、筆者の巧さにしてやられました。 追記:勢いで読み終わったその夜に宮沢りえの映画版を観ながら。梨花と光太がだんだん派手になっていったり、贅沢シーンだったり、顧客が半ボケで買い物しまくって物が増えて行ったり、ともちろん2時間にまとめるには色々端折られていたけど映像の方が一発で響くシーンもあるんだなとほぼ同時に味わったからの発見でした、超面白かった。スイートルーム3泊4日146万円でびっくりするシーンはリアリティがあって、これは一生できないなと少しだけ悲しくなりました、、、何にしても本読んでから映画を見たのは大成功で、やっぱ原作物はまず原作読んでから映像化を見るべきですね。
1投稿日: 2025.01.28 - eimmy"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
何となく誰にも共感できず。主人公の梨花が年下の男の子に猛烈に惹かれる理由がわからず、感情移入できない。他の登場人物は誰しも持っている人間の一面として描かれているのかなと思うけど、何かピンとこない。読む人の生活観や家庭環境にもよるのか..評判が良かったので期待値が上がってしまったのかもしれません。
1投稿日: 2025.01.13 - red boots"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
語られて欲しい事柄が、ほぼ語られることなく、終わってしまった…。 お金って怖い、と、あまりに当たり前の感想をまず思い浮かべてしまう。登場人物の感情の機微とか、この物語を通して角田さんが描きたかったメッセージとかを、あとで考え直したいけれど。 人にお金をかしたり、かりたり、イヤだなぁ、そういう世界の外側にいたい。
2投稿日: 2024.12.29 - blurhythm"powered by"
「逃げる物語」で有名な、八日目の蝉と少し違って、「逃げるに至るまで」に焦点を当てて描かれている。 皆んな現実の世界では、ギリギリの所で闇落ちしない様に踏みとどまってるのかなぁ。
1投稿日: 2024.12.15 - ノブ"powered by"
面白く読みました。ミステリーによくあるようなご都合主義や不自然なところはなく、地に足をつけて読める。 ただ読み進むにしたがって、梨花の不正の額が増えていくにしたがって、徐々に心苦しくなっていった。読後感もあまりいいものではなかった。
2投稿日: 2024.12.03 - アンシロ"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
梅澤梨花、同級生や過去に関わった人物のそれぞれの視点に切り替わりながらストーリーが進んでいく。 梨花は顧客の孫であり大学生の平林光太との出会いをきっかけに定期預金証明書を偽装して自身が勤める銀行の顧客の金を着服し始める。自分の洋服やエステに始まり、光太の学費・借金、豪華な食事やマンション、車、ホテルのスイートルームに至るまで非日常がいつしか日常へ。夢の時間を現実に維持し続ける為に躊躇はない。スピードは増す。 心理描写が上手くて、会話の裏側はリアルに感じてしまう。夫婦間のやり取りは自分の日常を読んでいるような…笑。 書店で『八日目の蝉』を手に取っては映画観てるしな…で棚に戻すを何度も繰り返して角田光代さんの作品を中々読めずにいたけど読んで良かった。女性的な柔らかくて繊細な描写がいいなと思いました!
54投稿日: 2024.11.29 - SAKA★CHAN"powered by"
主人公と過去に関わった男女のエピソードもカネに振り回される内容であり、明日は我が身だといい教訓になります。。 1990年代後半のバブル残り香的雰囲気も味わえる良書です あらすじ ただ好きで、ただ会いたいだけだった―――わかば銀行の支店から一億円が横領された。容疑者は、梅澤梨花四十一歳。二十五歳で結婚し専業主婦になったが、子どもには恵まれず、銀行でパート勤めを始めた。真面目な働きぶりで契約社員になった梨花。そんなある日、顧客の孫である大学生の光太に出会うのだった・・・・・・。
23投稿日: 2024.11.25 - kusukosu214"powered by"
ずっと読みたいと思っていたのに忘れていたのを、図書館で見かけて思い出して手に取った。 冒頭の梨花の逃亡先のタイの描写。すごくうまい。あのねっちりした空気感とかにおいとか日差しとか思い出す。これは期待通りだと思って読み進めたら。 知っていたはずなのに銀行の横領の話だったのを思い出した。苦しくなって読み続けられない。 かつて私は銀行に勤めていた。もちろんお金をごまかしたことなんてないし、横領の話を聞いたこともないけど、胸が苦しくなってページを閉じた。 かつてドラマ化されたとき、宮沢りえがやっていたような気がする。それも見ていないのに、イヤな気持ちがよみがえる。なぜかな、こんなにイヤな気持ちになるのは。
4投稿日: 2024.11.14 - じゃすみん"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
お金って怖い。この本を読み終えて最初に思ったことがこれ。 あることをきっかけに、人生ってこんなにも簡単に狂ってしまうのかと思った。 私も、あの時あれをしていなかったら、あの時あれを選んでいたら…と思うことはたくさんあるけど、それらが合わさって今の自分ができていると思うと、全て自分の責任だし、これからはもっと考えて物事を選択したいと思った。 タイトルの意味が分かるような分からないような…。梨花は最終的にどうなったのか…。結末を読者に委ねる系は、読後感が私的にはあんまり良くないかも。 でも、角田さんの作品は何か惹かれるものがあるから、つい手に取っちゃうし、もっと色んな作品を読んでみたいと思う。ちょっと生々しい描写はあるけどね…。
5投稿日: 2024.11.13 - こころ"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
とりあえず最後まで読んだけど、 結局何がしたかったのか、よくわからなかった。 登場人物みんなお金に振り回されていて、馬鹿だな思った。 そして梨花がなんの償いもしないのが許せない。
15投稿日: 2024.11.08 - てるまれ"powered by"
銀行から一億円を横領した女性の物語、というあらすじを見て、伊坂幸太郎氏の『ゴールデンスランバー』のような話を想像した。しかし本作は終始しっとりとした雰囲気を纏っており、いい意味であらすじから連想するようなエンタメに富んだものではない。 だがそれも束の間。中盤から物語が加速するにつれて、物語はスリリングな展開を孕んでいく。 自分は一体何者で、いつまで味も素っ気もない生活を送るのか。じわじわと行き場のない不満をその身に燻らせる専業主婦・梅澤梨花。 彼女は理想の夫である梅澤正文と味気ない日常を過ごす中、銀行員の仕事中に出会った大学生・平林光太と出会う。光太と逢瀬を重ねるうちに、徐々に梨花の人生の歯車は狂い始める。正確には狂うのではなく、梨花の元々噛み合っていなかった歯車が、形を取り戻していったと言うべきか。 高校の同級生が一億円を横領した。そんな想像もつかないような事件。梨花の高校時代の同級生たちの視点で語られる事件は、専業主婦やサラリーマンとして普通の生活を送る彼らの視点も相まって、妙なリアリティがある。 同級生たちは各々の生活の中で、学生時代の梨花の姿を振り返る。一億円を横領した彼女は一体何にそれを使ったのか。彼女に会うことができるなら自分は何を尋ねるのか。高校時代の彼女はどんな人だったか。すでに梨花は国外へ逃亡しており、同級生らがそれを知る由はない。 序盤のしっとりした回想から始まり、お金に翻弄される現代人であれば誰しもが震え上がるような終盤が待ち受ける本作だが、ある種人生の教本的な捉え方もできる。実際、私も過去に痛い目を見たことがあり、消費者金融の怖さは身に染みて理解しているからだ。取り返しがつかなくなる前に、一度立ち止まって現状を俯瞰してみるべきなのだ。 梨花の話だけではない。彼女のかつての同級生たちも、お金という名の怪物に振り回され、穏やかな生活の中に不穏な影を見出している。特に、借金まみれの生活を送る中條亜紀のエピソードをラストに持ってくるのが印象的で、娘の母にも友にもなれなかった、どうしようもない彼女の現状が自分のことのように思え、冷たい手で胸を鷲掴みにされたような気持ちになる。メンタルが脆くなっているときに読む小説ではないなと思いながら、切なさと悲しみでため息が出た。 「魔が刺した」「選択を誤った」といった、あらゆる人が遭遇するであろう人生の分岐点。勢いに任せず、深呼吸して立ち止まる大切さを教えてくれた。
31投稿日: 2024.11.06 - やまやま"powered by"
メディアで見る事件って分かりやすく下世話に色々あたかも見たかのように色々書かれるけど実際は色々な小さな言葉や気持ちが積もって重なってるんだろうなと改めて思った。
6投稿日: 2024.10.23 - おまる"powered by"
元気な時じゃないともっていかれる系のお話しです。家族のこと、お金のこと、凄く心配になります。私の友達も元銀行員、あの頃はお金が紙切れに見えていたと言っていたし、実際横領もあり、揉み消されたそうなので、本当にこういう話しがあるんだろうなぁと思いました。
7投稿日: 2024.10.23 - ゆか"powered by"
初の角田光代さん 普通の主婦が不倫をきっかけに金融詐欺に手を染める... その人の視点と周囲のさまざまな人の視点が入り混じりながら 複数人の人生が描かれていく。 あまりハマらずだった、、、
5投稿日: 2024.10.13 - choco1007"powered by"
八日目の蝉はかなり昔読んだ記憶があり、二作目になるはず。 長編で、ところどころ難しくて感じるところもあったけれど、お金が人を変えてしまうというリアルを目撃したような、それでも誰にでも起こりうることなのかもしれないなぁと思ったり。 それにしても、主人公の旦那の上から目線は好きになれなかった!犯罪を擁護するつもりは全くないけれど、きっと寂しさから犯罪や浮気に走ってしまったんだろうなということは想像ができる。 お金があれば確かに幸せ。余裕もできて、生活も潤う。でも、お金では買えない自分の宝物たちと過ごす尊い日々は当たり前ではないのだと改めて気づいた。
5投稿日: 2024.10.10 - おーじ"powered by"
横領して人が落ちて行って、開き直るとはこんな感じなのかなー。 確かにせがまれてないけど、この子に施したい。。 何がきっかけで堕ちていくのか、きっかけなんてちょっとしたもんだけど、それが大きな事になったりすんだよなー。 全然感想になってなくてすいません! みんな読んでみて!
10投稿日: 2024.10.09 - わか茶"powered by"
蟠りが残る、というのはこのことだと思った どの人物も、思いの核をバスタオルで包んでいる 罪を犯すことと、当たり前のような日々の生活とは、とても近いことなのだと思った
2投稿日: 2024.09.26 - MS(1763691)"powered by"
個人的に猟奇ホラー小説なんかよりもよっぽど怖かった。フツーの人がズブズブと沼にハマっていく恐怖‥‥本気で怖かったからもう読みません(ただし傑作の看板に偽りなし)。
29投稿日: 2024.09.05 - かりんどうや"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
専業主婦から銀行のパートを始めた梨花が、一億円を横領する話。どんどん梨花が(側から見れば)狂っていく様子にハラハラ、、、最後の100ページは一気に読んだ。 学生時代にボランティアで学生にしては多額の寄付をしていたようなちょっといきすぎた正義感をもっていた梨花。ごくごく真面目な性格、専業主婦をしていたものの子供を諦めて銀行でのパートを始め光太に出逢う。 梨花は誰かにお金や品物を与えることで満たされる人なんだろう。そうしているときだけ本当の自分になった気がして快感を得られるのだろう。そうして得た快感なんてドラッグで得たもののように長続きはしないしすぐに麻痺していく。。 『お金というのは、多くあればあるだけ、なぜか見えなくなる。なければつねにお金のことを考えるが、多くあれば、一瞬でその状態が当然になる。』こうなってしまったら怖い。 ものすごく冷静に緻密に丁寧に罪の意識なく横領する姿、繰り返しても変わらぬ日々にどんどんとエスカレートしていく姿、どうしてこんなに真面目で冷静なのにこんなことになってしまうのだろう。と思うくらいには梨花の生活や考えることがどこにでもいるアラフォー女性のようで感情移入させられる。 光太との関係性が噛み合わなくなっていく中で、大学をやめたことを知らなかった梨花に、梨花さんって本当ぼくに興味ないんだからと言ったこと、これが本質だって感じた。正文との子供の話をちゃんと腹割って話さなかったこと、違和感を感じてもそれをきちんと言語化できず向き合わなかったこと、相手を見て向き合って関係性を築いていくことが梨花にはできなかった。相手に物を与えることだけで良い関係が成り立つと思い込み、その行為によって自分も満たされる。自分自身を真に見てくれているわけじゃない梨花に対して最終的に光太がここから出してって懇願するところ、、、なんとも言えない感情になる。 梨花以外の登場人物も、いずれ梨花や他の人と交わるのかなと思ったらそんなことなかったけど、着地はみんなお金の使い方を通じて見る自分の在り方だった。最後の章では考えさせられるセリフばかり。 『将来の安泰を考えるあまりに、お金にふりまわされるような生活って馬鹿らしくないか?』 ーーーお金にふりまわされないために、そんなものがなくなって生活できるんだって教えるために子どもを締めつけた木綿子に放った夫真一の言葉。節約志向に走ることだって、人生を狂わせる要因のひとつになり得るということ。 『きみのいう自由とかゆたかっていうのは、どうしたってお金でしかはかれないもんなのか。これがあるからこの子たちは幸せだって言えるものを、お金じゃなくて、品物じゃなくて、おれたちが与えることは無理なのか。』 ーーー身の丈にあった生活を楽しんでいたはずの牧子が段々と自分の幼少期との経済的ギャップを感じて堕ちていく姿と、それに向き合えず不倫をしながらまたその相手のお金の使い方に別れを選択する和貴。この和貴のセリフをちゃんと自分の言葉として言える人間でありたいと思う。 『この子が悪いんじゃない、唐突に亜紀は思う。私が、着飾ることでこの子の友だちになろうと思ったから。この子に何か買い与えることで母親になれると思ったから。人と人との関係に、何かかたちになるものが必要だと思ったから。自分が何ものかになるのに、自分が自分以上のだれかになるのに、目に見えるものが必要だと思ったから。私がそう教えたから。だからこの子は、私とおんなじことをしているだけなのだ。』 ーーー離婚して離れた娘に対して素敵な女性として見られようとするあまり、物を買い与えてくれる都合の良い人になってしまったことに気づいた亜紀。 あらすじ見てちょっと自分とかけ離れ過ぎてる話かなと思ったけど、リアルすぎてこれは自分の物語だった。お金との向き合い方を考えさせられる。この感情をうまく表現できる力がわたしにはない、と思わされる小説!
7投稿日: 2024.08.18 - 西"powered by"
古本屋で気になって手に取った小説。積読してたのをやっと読了。 人間の、お金やモノで愛情を推し量ろうとする感情が描かれた作品。私もついつい、そんなことをやってしまってないか、改めて考えさせられる。 そして過去の後悔を考えた時に、今一つ一つの自分の選択が今の自分を作り出している、ということを改めて感じさせるフレーズも印象に残った。 ・その日何色の服を着たとか、何時の電車に乗ったとか、そうしたささいなできごとのひとつひとつまでもが、自分を作り上げたのだと理解する。 ・自分が何ものかになるのに、自分が自分以上なだれかになるのに、目に見えるものが必要だと思ったから。 もっとこの人の小説をたくさん読みたいと思った。
12投稿日: 2024.08.10 - yuka"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
些細な始まりから、どんどん膨れ上がってしゅう収拾つかなくなるまでに大きくなった。 管理できるお金の範疇を越えてもなお、浪費が加速してて、読んでて苦しい感じがあった。 お金だけでない複雑な心理が見事に絡み合っている。 相手が問題なのではなく、自分自身を見つめ直すべきところがある。相手を見ているようで見ていなかったり、話を聞いていなかったり、自分の感情に蓋をして伝えあおうとしなかったり…. 中には、エゴや周囲から優位に立ちたい思いに浸うような買い物もあった。自身の隠れている弱さを、お金を使うことで一瞬で紛らわせて、あたかも問題根本が解消したような気分になる… なんかこう、心の弱い部分にお金が住みこんでしまって、お金の万能感に蝕まれて抜け出したいけど抜け出せない、人間の弱さを見つめ続けたストーリーだった。 梨花は誰もの心にそうだとも思う。 難しいけど良い本だった。
5投稿日: 2024.08.05 - あっちー"powered by"
タイトルの意味が最後に分かるような、そんな本。理解できるようで、理解するのが難しい、そんな感覚を覚えた。
3投稿日: 2024.08.01 - 夲子"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
パート銀行員梅澤梨花の多額横領事件。 不倫の恋がメインに据えられて入るが、恋の内容というよりも、横領に到る彼女の生活の中の欠乏と、大人になるまでに培ってきた性格と、横領を可能にした環境、消費行為の魔力などの、周辺事情の方が深刻な問題だと思う。 角田さんによる人間の欲望の描き方は、非常にクリアでよく見える。よく見えるから、転がるように悪化していく事態がもどかしい。やめろやめろと思いながら読み進め、そしてところどころに自分を見出してハッとする。怖い。 自分が欲しいものはなんなのかを、本当に分かっているか。 欲しいものは手に入らないと言うことを納得しているか。 欲しいという気持ちを誤魔化していないか。 代替えの幸せを作っていないか。 どれか見失うと、簡単に魔は萌す。 梨花は子供が欲しいということも、社会人として尊重してほしいということも言わなかったし誤魔化してしまった。隙間を埋める為の恋をしてしまった。その恋を続けるために他人のお金を利用した。 梨花だけでなく、木綿子も亜紀も節約や買物といった形は違えど金銭的な行為を代替えとしたし、和貴の場合はその様な状態の妻を持つ側の人として、浮気で目をそらした。 自覚していてもいなくても、心が問題から逃げようとすると不具合が出る。 誰もが苦しい。 苦しいけど、踏ん張って乗り越えるしかない。自分との戦いは避けて通れる道がない。 この作品では主にお金に逃避した人のバリエーションだったけど、現代だとなんだろうか。私は今、戦えているだろうか。 宮沢りえさんが好きなので映画を観たし素晴らしかったけど、原作も良い。 オーディブルの朗読は始めは甘ったるく感じたけどだんだんキャラクターとマッチして気にならなくなった。 そして角田光代さんの凄さを再認識した。
10投稿日: 2024.07.11 - shiro"powered by"
面白かった。 主人公の梨花だけでなく、梨花を知ってる人たちも出て来て同時進行で進んでくので ページを捲る手が止まらなかった。 確かにお金で得られた快感って気持ちいいんだよね。認められてるみたいで これを払える財力があるってことだから。 最初は少しでも力になりたいっていう所からかもだけど、段々と変わってくるところが これからの主人公の道を示してるようで怖かったな。
2投稿日: 2024.07.07 - つんどく"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
映画→小説の順で見た。 映画版の学生時代に募金をしないクラスメイトに腹を立てた梨花が父親の財布から金を抜き取って募金するエピソードがすごく印象的だった。 梨花の行き過ぎた正義に賛同してしまったからだ。 その無欲で正義感の強い梨花が狂っていく様が恐ろしかった。序盤の手持ちのお金がなくてお客から預かった金から5万円抜き取って会計したシーンも、すぐにお金をおろして元に戻したとはいえ、ものすごくハラハラした。この本は心臓に悪い笑 客のお金に手を付けたのも、はじめは光太の借金返済の為だったのに、当り前のように自分の家のローンまで返済に充てようとしててオイオイオイオイ、って声が出そうになった。 光太との出会いが梨花を狂わせたのだろうが、誰だっていつどこで何がきっかけでタガが外れるわからない。他人事じゃないのがまた怖い。 梨花は与える事でしか愛情とか喜びを表現できない人なんじゃないだろうか。 多分、これからもずっとそうなんだと思う。 梨花を取り巻く人達の話がまた面白かった。 木綿子は娘のためにと節約生活を強いるが娘が反発し、買い物依存症の亜紀は離れて暮らす娘への罪悪感から貢ぎ続けるも最後は金づる扱い。 当たり前だがみんな価値観が違う。 あと、登場人物の金遣いが荒くて驚いた。 単に出てくる人達が皆金遣いが荒いだけなのだろうが、今の時代では信じられない… あと、契約社員とはいえ、月給30万稼いでも夫に対等に見てもらえないとかどんな時代?
5投稿日: 2024.07.06 - uri"powered by"
銀行員の主婦が一億円横領し、ひと回り以上年下の男に貢ぎ人生破滅する物語。 自分自身浪費家ではないし散財の経験もないけど、物語を読み進めるに連れて、主人公と共に嫌な焦りを感じ苦しくなった。角田光代さんの心理描写や情景描写の凄さを思い知らされる作品。 本書は“お金は人を狂わせる”を軸に話が構成されていて、散財だけでなく度を超えた節約も然りで、お金の執着が招く恐ろしさを感じた。 本当に欲しいのは自尊心や承認欲求なのに、お金や物が欲しいと錯覚してしまい闇に落ちる。犯罪に手を染めるきっかけは日常に潜んでいて、誰にでも起こりうる事に恐怖を覚えた。この抗い難い誘惑に立ち向かうには、自分自身の弱さを受容する必要があると考えさせられた。
15投稿日: 2024.07.04 - おぐし"powered by"
終始ハラハラするストーリーであっという間に読み切ってしまった、、! 普段真面目で自分の欲求を抑え込んでる人のほうが、些細なきっかけでたかが外れたように堕ちていってしまうのかも。 自分の身の丈にあったお金の範囲内で、本当に幸せと感じるモノや体験にお金を使いたいなとおもわせる本でした。
1投稿日: 2024.06.29 - ふわっとろ"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
話のテンポが良く、夢中になって読み進めてしまいました。 もちろん梨花さんの話が一番面白いですが、他の方のお話も、お金や結婚生活にまつわるお話で、とても興味深く読ませていただきました。 しいて言えば、梨花さんの不正が暴かれた後の旦那さんや光太くん、いつも好成績だった梨花さんを知っている銀行のメンバーや訪問先のおじいちゃんおばあちゃん達の反応や対応の様子を見てみたかったです。 また、金づかいが荒い人の考え方がよく分かりました。お金をカタマリのように見ている、借りた金額を把握できていないが、いつか返すつもりでいる。 今は荒くなくても、身近にまとまったお金があればそうなってしまう可能性がある。 この本を読んで、自分自身もお金の使い方を見直そうと思いました。 角田光代さんは他にも結婚生活などに関する小説をいくつか出しているみたいなので、他の作品も読んでみたいです。
4投稿日: 2024.06.24 - loser"powered by"
金に狂わされたやつの話 序盤は少しは同情できるものかとおもったら きっかけは案外よくありそうな話で、これはりかさんが純粋に悪いよねと思い、何の話を読んでいるのだとなった。 台湾での現在のストーリーでこれからどうなるのかが気になったのにそこにたどり着いた過去の話が9割で、それで終わった。 教訓としては、少しの悪を働くとそれで徐々に感覚が麻痺して、大きな悪でもその罪悪感が薄れていくこと。 つまり、「最初の小さな悪を防ぐ」ことが大事。 自分は金の使い方がシビアだから、云十万の金を使うことなんかほとんどないし、使ったとしても、結構後悔する。要は社会のせいではなくて、自分のせいだと思うが間違いか??
13投稿日: 2024.06.20 - ンダ"powered by"
日常生活からギリギリ見下ろせそうな崖を描くのが巧みすぎて驚いた。横領や消費者金融は関わりはなくとも、そこに至るまでの気持ちには覚えがある。ヒヤヒヤしながら読んだ。 自分と重なりかける度に、「私はこの人物と、この状況ともしかしたら近かったのかもしれない」という恐怖と、後一歩先には何が起こっていたのかという恐怖で心を抉られる本だった。 大人になると嫌でもついて回る金銭の話。使い過ぎても使わなさ過ぎても幸せにはなれない。生活と切り離せるものでないと分かっていても、厄介で嫌になる。
3投稿日: 2024.06.18 - pankan"powered by"
お金がないと手に入らない物 何が手に入ったのか 何を失くしたのか 最後はその親子関係で余韻 なんともいえない余韻
1投稿日: 2024.06.12 - かよぴ"powered by"
めーーーーーちゃめちゃ怖かったw 金融機関に勤める身としては、 下手な殺人ミステリーなんかよりリアルで、ハラハラで、めちゃくちゃ怖かったw でもものすごく引き込まれて、 元ネタ探したり、クチコミ読んだり、映画調べたり、影響が大きい物語でした。 いやーー表現難しいけど面白かった?でいいのか?w怖かったな……w
2投稿日: 2024.06.09 - 初ネコ"powered by"
まず、構成が読みやすい。人物ごとに分けられているので視点がはっきりしていて読みやすさが明瞭になっている。 お金というもので、人が変わる恐ろしさや、 男性関係で堕ちていってしまう女性の話。今でもよく耳にする話題に似ていると思う。 お金がある事はいい事でもあるが、それで人を変えてしまう武器にもなる事を教えてくれた作品。
3投稿日: 2024.06.08 - 2042203番目の読書家"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
お金がない、罪を犯してバレてない、そんな誰もが感じたことがあるジリジリとした焦燥感が身を焼いてくるような作品。読んでるストレス値がいい意味で高かった。 お金に振り回されてる色々な人が出てくるのは面白かった。 でも、主人公が罪悪感を感じることの遅さと、そこから転げるように終焉に向かうのが、なんだかバタバタして嫌だったなーという感想。主人公と共感するポイントは低いかも。 好きな人にお金を使ってしまうのはわかる。でも焦りや罪の意識を感じないのは、主人公がとってもお金持ちの出身だからなのだろうか。お金があって、それの元手や経路を考えないで、ただ使うものとして育った人の価値観だったのかもしれない。そういう意味で言うと、彼女は最後バレそうになるまでお金に振り回されず、あくまで使う方として生きていれたと言える。 後味は完全に悪かった。
0投稿日: 2024.06.07 - maron"powered by"
前に銀行で働いてたから、お金を扱う仕事をしていた身としては物凄く背中がぞわっとするお話でした。 角田さんの文章は私にとって凄く読みやすいので、読んでいる間にいつも角田さんの本を読んでる事を忘れてしまう。 お金で何もかも解決できると思いたくないなぁ。 地に足つけて日々の暮らしをしっかり生きて、たまーに贅沢しながら年をとりたいな。
2投稿日: 2024.06.03 - りな"powered by"
面白かった。終始ハラハラしてしまった。 毎日ではないけど、何かに満たされない気持ちは凄くわかる。 横領はよくないことは分かってるけど、何故か応援してしまっている自分がいた。 色々と考えさせられたけど、読んで良かった。
1投稿日: 2024.05.27 - まりお"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
新しい読後感。絶望感とゆうか人間の愚かさとか弱さみたいなものを感じた。とりあえずどこまでも暗すぎて笑う。気分が落ちてる人には絶対おすすめしない。こういう読後感は初めてだったけど個人的にあんまり好きじゃなかった。 なんてゆうかどこまでも救われない主人公がどんどん破滅に向かって突っ走っていく様がもうやるせなさすぎて読んでてあららららって声に出したくなる。 こんな暗ーい話どんな映画になってるのか見たくないけど結構気になる。 お金って怖い。人を変えちゃうもんね、色んな意味で。
2投稿日: 2024.05.25 - 龍が如く"powered by"
映画を先見てたので内容わかりつつ読みながらもやっぱりハラハラして怖かった。 自分を形成する何かが今の自分になったわけではなくて、最終的にどの選択でも今の自分になっただろう的な部分がよかった。 あとやっぱり罪を犯すのはしんどいから、助けてってなるよね。
1投稿日: 2024.04.22 - ちーたん"powered by"
■映画→小説の順で読みました。 映画をみたけど、アラフォーが大学生に恋する?過程がどうしても雑すぎて理解できず、原作を読みました。 ストーリーはスリリングで面白く(面白いと言っていいのか分かりませんが)、原作では主人公の梨花視点からだけでなく、梨花に関わったことのある人たち視点の展開があるのが映画とは違い、読みごたえがありました。 ただ、読み終わっても共感できる点はなく、こんなに価値観の違うつまらない夫なら、さっさと離婚した方が勝ちなんじゃないかと思いました。 銀行で働ける能力もあるし、なにが問題だったのだろう? 欠点をあげるとすれば、自分も他人も本当に大事に扱えてないことかな…。お金は生きていくために必要だけど、労働の対価であって何でも使えば幸せになるわけではない。
9投稿日: 2024.04.16 - camille"powered by"
対岸の彼女がおもしろくて、2冊目の角田光代。 なんで今まで読んでなかったんだろうと思える大御所の作家さん。今知ることができて良かった。 この小説も良かった。 1人1人の描写がとにかくリアル。自分はこんなことに絶対ならないと思っているけど、一歩踏み外したら同じことになるかもしれないと怖くなった。
18投稿日: 2024.04.08 - kanchan523"powered by"
女性としてきっと誰もが共感できる部分がある作品だと思う。 私自身も大人になり、周りも持っているから、自分で働いたお金だしという理由をつけて学生時代のアルバイト代では到底買えなかった化粧品やブランド物を多く買うようになってしまった。 浪費分を生活費で節約するわけでもなくなっているところがある。 自分も気をつけなければ...と教訓になった。
10投稿日: 2024.03.31 - くにちん"powered by"
主人公が犯罪を犯すまでのちょっとしたきっかけや心の動き、というか心のか叫びが聞こえてきそうなくらいに表現が伝わりやすく描かれています。 ただ、同著者の八日目の蝉(この作品を読んだあとしばらく他の本を読んでも気持ちが切り替えれなかった)と比べてしまうと感情移入まではしなかったかな。
25投稿日: 2024.03.30 - minepon"powered by"
痺れた。 “一億円もの横領”と聞くと、その犯人は新聞やテレビを隔てた向こう側に思えるけれど、そうではない。 丁寧に描かれた物語がずっしりと質量を持って胸に届いた。 主人公の梨花は少しずつ、ほんの小さなことの積み重ねで道を狂わしていく。その胸に抱く葛藤がこちらにも伝播してくるようだった。 自分はそうはならない、とは言い切れない。 梨花の中の何かが自分の中にもあるのだと、ひやりとした。 ☆4.2
3投稿日: 2024.03.28 - maika"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
表紙の綺麗な絵に惹かれて買ったが、中身は表紙からは想像できないようなシリアスな話でびっくりした。 会社のお金を横領したという事件は度々聞くが、このような裏があったのだと思った。梨花はいつからおかしくなったんだろう。梨花と光大の関係は初めからママ活みたいだなと思っていたが、親子でもないのに服や家を買い与え家賃も払ってあげる関係はグロテスクだった。 女が買い物をしてストレス発散をする気持ちは十分にわかる。だが何事にも加減というものがあり、梨花はその加減もわからなくなり、感覚も麻痺しもう手がつけられない状況にあった。買い物依存症かな?と思ったけど、それより深刻だと思った。
4投稿日: 2024.03.24 - ハルめめ"powered by"
なんで?どこかで歯止めが利かないの?自分なら絶対そんなことしない!と思いながら読んだけど、でも堕ちるときは「あっ」という間なんだと怖くなった。孤独の中で、心地よい居場所にしがみつく様はリアルに感じられた。横領する人の大半は「孤独」の隙を突かれたのかとさえ思う。最後まで「なんで?」という気持ちとやるせなさが残った。
2投稿日: 2024.03.21 - URIKO"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
角田光代さんはうまいな~。本当にそう思いました。 実際のところ、私はそんなに角田光代ファンではなく、積極的に角田作品を読むわけでもないし、読んでも、特に小説だと「この作品好き、また読もう」とはならないのですが、「うまいな~」と思わされる作家さんです。 本書は、意図せず同僚から貸してもらったのですが、「八日目の蝉」を読んだときを思い出すように、物語に惹き込まれました。読んでいて楽しいわけでもなく、すごく悲しいとか絶望感があるとか、それこそ感動する、というような大きな感情の動きは起こらないのに、読むのをやめられない。淡々とした語り口なのに、まぁ惹き込まれる。 梅澤夫妻の嚙み合わない感じとか、経験したはずもないのに、妙にわかるというか、これは修復の難しいタイプの夫婦関係だとか、そもそも価値観が違いすぎるんじゃないか、とか思いながら、ふと梅澤梨花は本当に普通のどこにでもいる主婦だったんだと思いつく。そんな人がどうしてあんなに大きな事件を起こし、身を転落させることになるのか、それが淡々と無理なく書かれているため、こんなことは誰にでも、まさに自分にも起こりうることなんじゃないかと思い当たって、いやいやまさかそんな、と頭を振ることになる。普通に見えた梅澤梨花だけどきっと理性で行動できないようなどこかひとつネジが緩んでいたところがあるんだ、または、育った環境に問題があったんだ、そうじゃないと普通の人はこんなことにはならないと必死で思おうとする。そこで、はたと考える。「普通の人」って何よ、どんな人よ、と。 ひとつのポイントは「お金」か。一歩踏み外してしまうとどこまでも痛みを感じなくなるのは「お金」のせいか。「お金」を前にした人間の弱さを痛いほど感じる。それは、梨花以外の登場人物からもわかる。これって、そういう時代、つまりバブルで世の中が浮かれていたからあり得ることで、どちらかというとその後の経済が落ち込む時代に成長した私には、梨花や亜紀の散財の仕方がどうもわからない。そういう意味では自分の価値観に安堵する。 しかしながら、お金だけでもない気がする。この梅澤梨花はどうも自分を初めから見失っている。カード会社にいる自分は自分の一部であって、本当の自分ではない、正文の妻である自分は自分の一部にすぎず、本当の自分ではない。理想の自分を見つけようともがいた結果がこの転落だとしたら、やはり、人間の弱さを感じずにはいられない。 本当にドンドン苦しくなるお話でした。男に貢ぐためだけに横領したわけではない。おそらく光太はきっかけにすぎず、夫の単身赴任もきっかけにすぎず、自分がいつでも自分でない気がする梨花には何でもきっかけになったのではないか。最後に梨花はやっと理解する。全てが「自分」なんだと。 自分探しをしている果てに他人のお金を使い込んだ、なんてひとことでいうとなんて陳腐なんだ。でもこの物語は決して陳腐ではない。 自分の軸をしっかり持とう、と思いました。
61投稿日: 2024.03.19 - pipipi"powered by"
旦那と過ごしている時間も、光太と過ごしている時間も、ずっとどこか空っぽ。 梨花にとって本当に価値のあるものはなんだったのだろう。 読後はなぜか落ち込んだ。 解説にあった「ほんとうの梨花、には手が届きそうで届かない」からだろうか。 それにしても旦那がくそ笑
20投稿日: 2024.03.17 - Savage"powered by"
後半にかけて加速して面白かったがしんどかった〜。 なんでこんなにジクジクと嫌な気持ちになるのか考えていたが、おそらく買い物をした時の満たされる気持ちと後ろめたさを知っているが故、リアルに感じたのだと思う。 少しのご褒美、少しの贅沢、相手への愛情を金額で示すこと。手元のお金が減る焦燥感。 1億円の横領なんて普通に生活してるとまず有り得ないが、自分の浪費がエスカレートした先に、数字を弄って事実を直視しない様なことを絶対にしないと言い切れるのだろうか。背筋が寒い。
3投稿日: 2024.03.13 - ぴんちゃん"powered by"
終盤につれて出てくる人物は、主人公りかを通じて”経済力で人をコントロールしようとする”という点で共通していることが浮き彫りになる。自分とは関係のない世界に生き、一見破天荒な行動を起こす人物の奥にある心理は自分にも共感する部分があり、惹き込まれた。
2投稿日: 2024.03.09 - みきき"powered by"
ハラハラして先が気になり、読みやすい文章で一気に読める。私は10年ほど主婦です。いつの間にか梨花の心のモヤモヤは、私のもののように感じてきました。だからって私は横領しないけど。たぶん…
3投稿日: 2024.02.26 - やっさん"powered by"
ちょっぴり秋の匂いがw ってな事で角田光代の『紙の月』 只々、子宝に恵まれなかった平凡な主婦 梅澤梨花が銀行のパート勤めを始める。 初めは普通に働くだけだったのが顧客に人気があり、銀行側もパートからフルタイマーで働いて欲しいとお願いする。 フルタイマーで働き出した梨花に旦那の態度や発言に違和感を感じる梨花。 そんな中、顧客の孫の大学生の光太に出逢う。 何時しか梨花は光太の好意にのめり込んで行くうちに、銀行のお金に手を付ける様に。 初めは手持ち不足だった少額を軽い気持ちで借りて直ぐに返済してたのだが…。 恋にのめり込んだ女は周りが見えなくなり深い関係になるほど、手を付ける銀行のお金も深くなる…。 そして遂には…。 恋は盲目とは良く言うものw 狂おしい程の愛なんじゃろか。 切ない気持ちが心にぶら下がるなぁw わしも貢がれたい(笑) 2015年48冊目
1投稿日: 2024.02.13 - D"powered by"
41歳女性パート行員の横領の話。お金を使わないと維持できない人間関係の脆さや、夫婦間のお金に関する意識のズレなどの描写が特に生々しく興味深い。
1投稿日: 2024.02.11 - mana"powered by"
恐ろしい本だった。 他人事ではなく、共感できる部分が多いからこそ、自分も一歩間違えれば同じ運命を辿る可能性を感じてしまうからこそ、恐ろしい本だった。 もちろんここまで散財したこともないし、借金もしたことはないけれど、それでも主人公の考えが理解できないわけではなく、むしろ気持ちがわかってしまうから恐ろしかった。もはや自戒のつもりで読んでいたのかもしれない。 お金はいとも簡単に人の人生を振り回す。そして気づいたときにはもう戻れないほど深い。だからこそ使い方を間違ってはいけないし、お金に執着しすぎても無頓着すぎてもいけない。 「ヒトと人との関係に何か形になるものが必要だと思ったから」「自分が自分以上の何かになるのに目に見えるものが必要だと思ったから」 お金に振り回されるのは、その日常に「幸せ」を感じられないからだと思う。私たちの幸せはお金で買えるものだけではない。人とのつながりや何気ない日常の中で生まれる「愛」であること。だからこそ、私は大切な人を愛し、それをちゃんと伝えたい。特別なときにはちゃんとお金もかけるけど、そこに価値を与えるためにも、そのお金をかけることをが当たり前にはしない。当たり前にした時点でそこからさらに欲が出てくるから。でも日常で思いやりは忘れない。お金はあくまで付加価値でしかなく、大事なのは心である。と、改めて感じさせられた本だった
3投稿日: 2024.02.01 - こまち"powered by"
おもしろくて一気に読めた!銀行のお客様から預かったお金をたまプラーザの化粧品店で使ってしまうシーンにゾッとした。
2投稿日: 2024.01.25 - エス"powered by"
ちょっとしたことで一歩を踏み外し、そこからだんだん深みにはまっていき取り返しのきかないところまできてしまう、そんなことが誰にでもある、そういうことか 私には感想を書くのに難しかった。
3投稿日: 2024.01.17 - jyunko6822"powered by"
どこで、どこで間違ってしまったんだろう。 ひとつ曲がり角を間違えるとそこからまた違う道が続くし、見たことのない景色が広がる。 それは誰にもわからない。 人生は落とし穴だらけ、そしてあみだくじのようなもので、一本道を違えると思ってもみないところへ着いてしまう。 今、自分が立っているこの場所は正しかったのか間違いだったのか分からない。 もしかしたら自分もあの彼女のような処へ行っていたのかもしれない。
13投稿日: 2023.12.26 - ようすこう"powered by"
お金の感覚が狂って見事に転落していく様子が描かれている。 自分の財力を超えて湯水のようにお金を使う主人公、安売り品を求めてスーパーを駆け回る主婦、人によってお金の捉え方が全然違うのが分かる。 物語の中で、お金をどんどん使ってしまう人で共通しているのは、他人に良く見られようとして、それがエスカレートしていく点。ケチケチしすぎるのも良くはないが、こういった所が散財のキッカケになりうるというのは、実際多いような気がする。
1投稿日: 2023.12.17 - フィドラー"powered by"
夢中になって読み、なんか自分が同じようになりそうに思えて怖くなった。満たされない生活にふと灯された明かりに周りのものが見えなくなってしまったのだろうか。冷静に考えればとてもできそうにないことなのにどんどんと感覚が鈍って深みに落ちてゆく。世の中に起こるこう言った事例はこんな風に進んでゆくのかもしれない。 角田さんの小説は3冊目。どれもかなり面白かった。
1投稿日: 2023.11.18 - 雨こんこ"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
上手く言葉で言い表せないけどモヤモヤっとした嫌な感じ。角田さんはこの感じを書くのが本当に上手い作家だと思う。 私は小説や物語を淡々と読了してしまうことが多いのだが、著者の作品は登場人物のセリフや行動が生々しくて毎度しっかりと感情移入させられる。 寿司店の帰りの正文のセリフ「ごちそうさまでした、は?」には読んでいて本気でカチンときたし、物をねだる沙織の甘えた態度にイラつき、光太が変わっていくのが、気持ちが離れていくのが苦しかった。 平凡な主婦が1億円横領犯へと転がり落ちていく過程がすごくリアル。 すぐに返す、後で返す、いつか返す、本気で返すつもりで横領している気なんて更々なかったのだろう。 感覚がマヒして金額はどんどん大きくなり、自分がいくら“借りている”かもやがてわからなくなる。 スケールが違い過ぎるが、子供の頃にお小遣い帳を毎回付けるのをサボった結果、案の定収支がわからなくなり親に見つからないようにビクビクしていた事を思い出した。 最後まで顧客の介護サービスの手配をしたりと、梨花の根の真面目さと人の良さが憎み切れなかった。 罪人≒悪人?それでも罪は罪。 はじめて梨花が顧客から“借りた”きっかけの化粧品の5万円。実は似たような経験がある人もいるのでは。言えないだけ。 誰にでも起こりえる物語だと感じた。
0投稿日: 2023.11.17 - まるたこ"powered by"
始まりは軽い気持ちで、大したことないと思っていたことでも一度やってしまうと、またいいか、もう少しいいかと繰り返してしまって、だんだんとそれが当たり前になる。 買い物依存、お金の話だったけど、他の依存症も同じなんだろうな。 自分にも全く当てはまらないわけではない。 自分のやっていることが分からなって行く様が怖いと思った。 角田光代さんの作品を続けて読んでいるけど、女性の暗さ、心理描写を書くのがすごく上手で引き込まれる。
2投稿日: 2023.11.12 - りせ"powered by"
私と同じ名前の主人公が 徐々に壊れていく戻れなくなっていく 読み進める内に 梨花の存在があまりにも 身近に感じられてしまうのは 複数人の視点が存在しているからだろうか 同じ世界に生きているような気持ちで 読み進めるから不正が大きくなっていくと ソワソワしてザワザワして もうやめてって言いたくなる 自然とのめり込んでた 読ませる力の強い作品だと思った。
2投稿日: 2023.11.08 - さち"powered by"
お金、見栄、夫婦関係、、いろんな要素が女の人生を左右することを凄くリアルに感じる作品!梨花は犯罪者になったけど、そうまでならなくても似た感覚で浪費する母親たちも描かれていて、いろいろ考えさせられた。TVでは見たことあったけど、本もすごく楽しめました!
3投稿日: 2023.11.04 - kotamah"powered by"
娘が買ってきて面白かったと。タイに逃亡してからの風景から始まるのがまるで映画のようで上手いなあと思う。生真面目な主人公の夫と2人の暮らしぶりや、感情の機微の表現が共感できたし年下の彼を喜ばせるためにいつのまにか犯罪に手を染めどんどん泥沼化していくところも惹き込まれてしまって後半は読むのが辛かった。同級生などの他の登場人物のエピソードも身につまされた。お金はある方がいいけど魔力があるんだねかなり怖い。
2投稿日: 2023.10.20 - しんた"powered by"
1億円の横領事件。彼女が犯罪に走った理由とは。 もっと娯楽要素をたっぷり盛り込んだサスペンスフルな作品かと思っていたが、淡々とした描写で進んでいく作品で良い意味で裏切られた。彼女は自分の生活に倦ねていたのか、はたまたスリルを求めていたのか。 罪の意識などなく犯罪に走る様子がリアルだし、実際に横領金額が数字にされると怖くなる。
3投稿日: 2023.10.18 - ぺっぺ"powered by"
2023年6冊目 2日間で一気読み。ページを捲りたいけど苦しくて手が進まないって感覚に近かった。こちらまで犯罪を犯しているような気持ちになるからか、、 小説に出てくる痛い女、わりと味方気味に読んじゃうことが多いタイプの人間けど、わたしにとって梨花はひたすら苦手なタイプの女すぎた。無理だった(語彙力ないけど褒めてる)
3投稿日: 2023.10.15 - ころすけ"powered by"
自分も不正してるみたい、不正しそうなリアル感があった、、お金は怖い。節約しすぎもしんどいけど、浪費も怖い。価値観は人それぞれ違うけど、幸せな生活を送りたい。
1投稿日: 2023.10.10 - amiffy"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
自分だったら横領はしないけど、でも実際にもし梅澤梨花と同じ立場にいたのだとしたら1つ1つの選択を間違わないだろうか、理性を保てるのかどうか、どこかでたかが外れたらどうしようとか考えだすと、まともな判断ができるのかどうか自信がない。 光太の態度の変化、 自分から気持ちが離れてしまっているのを感じる瞬間、 いつバレてしまうかわからない恐怖、 いっそバレて全て終わらせて救われたい気持ち、 どれも梨花の心理がリアル過ぎる。 感情移入してしまって途中から苦しくて読むのが辛くなってくる。 誰もが悪人になり得るということなのかな。 真面目に生きてきた人が偶然が重なり、何かがきっかけで悪人になる。 いいも悪いもお金は人を狂わせるなぁ… 節約に囚われ過ぎず、たまには贅沢もして、 つまらないこと言って笑って倹しく生きようと思った。
1投稿日: 2023.10.09 - sun314moon"powered by"
半分ぐらいまでは夢中で読み、途中から胸が苦しくなってきてベースダウン。 最後の方は読みたいけれど、苦しくて読めず、何日もかけてちびちび読む始末。 もし自分にもお金があれば、歯止めが効かなくなってしまうのではないか。 読みながら何度も自分に重ねてしまい、もしかしたら誰にでもあり得るかもしれないという恐怖。 私だけは大丈夫、なんて思えない怖さ。 クレジットカード地獄を扱った宮部みゆきさんの書いた「龍は眠る」もお金の怖さを書いた本。 20年以上は前に読んだと思うけど、あの本を読んだ時の息苦しさにも似てる。 夫婦の違和感をそのままにしておかない私なので、そこは共感しかねたけれど、違和感をそのままにしておくから、婚姻関係が続くのかもしれない。 面白かったけど、お金の下りでしんどくなってきたので、星3つ。
3投稿日: 2023.09.18 - Rika"powered by"
(言いたいことたくさんあるけど、うまく表現できない。モヤモヤする) 正直タイトルを見た時、意味がわからなかちゃので、 純粋に意味を調べた。おぉ〜納得。 ストーリーが中盤に差し掛かるまでは共感ポイントも多く、 不穏さもあった。 ただ読み進めるうちに、 共感ポイントがだんだん無くなっちゃっておる、 ただただ、心配になっちゃう。 梨花だけでなく、梨花のことを知っている 周辺人物の物語も不穏に思われる。 ・梨花の旦那さんの気持ちが気になる。 ・人間は本当に弱い、脆い。 偶然ある一線を超えてしまうともう元に戻れなくなる ・でもやはり高校時代のボランティアのエピソードから、 梨花は普通じゃないと思う。 ・本文引用・ 私は私の中の一部なのではなく、何も知らない子供のころから、信じられない不正を平然とくりかえしていたときまで、善も悪も矛盾も理不尽もすべてひっくるめて私という全体なのだと、理解する。そして何もかも放り出して逃げ出し、今また、さらに遠くへ逃げようとしている、逃げおおせることができると信じている私もまた、私自身なのだと。
2投稿日: 2023.09.18 - yama3plus"powered by"
角田光代さんの本は初めて読みました。「紙の月」は過去に原田知世さん主演でTVドラマが、宮沢りえさん主演で映画が公開されているのですね。 人間はやはりお金を手にすると変わってしまうものなのでしょうか?私は宝くじを買うことがありますが、もし当たったらアレしよう、コレしようと考えるのが好きでストレス解消にもなっていますが、本当に高額当選したらやはり私も変わってしまうのかな?ちょっと怖いですね。 たぶん最初から「横領しよう」などと思って横領に手を染める人はいないのだと思います。何かのきっかけでお金を手に入れることが簡単だということに気付いてしまい、麻薬のようにそこから繰り返してしまうのでしょうね。会社の監視システムやチェック機能が緩いとその罠に陥ってしまいやすいのだと思います。 人間は弱い生き物なので、悪いことだと気づきながらも止めることができなくなり、途中からは罪悪感も薄れて、人間でなくなってしまう。 お金は怖い。それでも宝くじを買ってしまう自分もちょっと怖い…
2投稿日: 2023.09.10 - わんこそば"powered by"
お金は怖いってのがよくわかる。お金で愛情は買えない。 お金はありすぎても無さすぎても人間をダメにしてしまうってことなのかなぁ…
4投稿日: 2023.08.31 - さき"powered by"
1億円横領というあり得ない話にみえて、この背景、状況なら分からなくないと違和感なく世界に入り込める。気持ちの描写が豊かで揺さぶられたまま読み終わった。
2投稿日: 2023.08.19 - め"powered by"
夫が稼いだ「お金」 彼が必要としてくれた私の「お金」 収入がある方が偉いのか。夫婦は平等ではないのか。平等と扱ってもらうことが心苦しいのか。 今の自分に重なります。
3投稿日: 2023.08.11 - 睡眠とお酒とロデンツ"powered by"
角田さん二冊目 後半特に一気読み。ドキッとする。ざわざわする。 何年も前に映画のポスターを見た気がするし、タイトルも潜在的に記憶にあった。 『坂の上の家』をイサカの図書館で借りたのが初角田さん。なぜか読んでなかったのよね、それまでは。 それで「なんてリアルな感情の描写が上手い人なんだ・・・」と衝撃を受けた。 人の心のちょっと意地悪なところ、プライド、女・・・誰もが表に出したくなくて、でもふとこぼれてしまうこともあって、そんなのをこんなにリアルに描かれると、ドキドキしてしまう。 『坂の上の家』のときにも思ったけど、「こんなの自分には信じられない、考えられない」とひいて見ているんだけど、「でも、本当に完全にそう言い切れる?だって彼女たちも普通の理性のある人だったのに・・・」なんて考え始めるとドキドキがとまらない。「ちょっとだけ」「今回だけ」、そんな後ろめたさを感じつつ、頭の中の天使が悪魔に負けて何かをしてしまったこと、規模は小さくとも誰でもありますよね? 物語は主に梨花のことだが、完全にはパラレルではない他の女性のストーリーも描かれ、すべてがそれぞれ生々しく恐ろしい。 今回はそれに加えて、主人公梨花の夫,正夫 (名前がなかなか合っていると思った(笑)) も、いい夫と見えてなかなかウザいタイプ。 "知らしめているのだ。仕事の中身も重要性も経済力も、自分のほうが梨花よりはるかに上であると。" 何なんですかね。いますよね、上下関係を見せつけたがる男。 主人公の梨花は凄くすごくピュアで生きてきたんだろうなと思う。 "礼拝の説教で飢餓で死んでいく子供たちの話をした教師が、真新しい車に乗っているのが許せず、ボランティアを推奨する学校がパイプオルガン新調のための寄付を募ることに矛盾を覚え、ピアノの発表会のためにドレスを誂えてもらっている自分を深く恥じた" 、、、まあこの部分も後半で色々さらに情報が加わるんだけど。 また、梨花がお金持ちの人たちのことに "全員が全員とは言わないが、けれどたしかに、ふわふわと現実離れしたような人たちがいた。 (中略) 彼らは、お金というふわふわしたもので守られて生きてきたのに違いない。"と思う場面は興味深かった。(中略) だから、(中略) あたり一面に無自覚にばらまかれ、放置してある悪意にあらためて驚いた" 亜希子の買い物欲もなかなか怖い "家でじっとしていると、不安で押しつぶされそうになった。何かを手に入れ損ねているのではないかという、今考えれば実に不思議な不安だった。" そして亜希子の物語のオチがまたこわ哀しかった・・・ 親、子、金。 男、女、金。 お金っておそろしい。 角田さん、凄い作家だなあ。 ところで 木綿子←ゆうこ、って最後まで読めなくて「モメコ」と頭の中で読んでました 「利用客は韓国人が多く、ロビーにはうっすりとキムチのにおいが漂っている。」←どんだけ?!
5投稿日: 2023.08.06