
総合評価
(159件)| 21 | ||
| 52 | ||
| 53 | ||
| 14 | ||
| 3 |
powered by ブクログ少し不吉で埃っぽいイメージを持ったかな。"キリコさん"と"涙腺水晶結石症"は比較的あったかくて救いがある感じ。精神疾患がテーマ?無理をしたり不幸が重なり落ちていったり消えていったりする登場人物に悲しくなった。失われた王国っていう響きすごく怖くて興味を惹かれた。作者が失われた王国の空想をしながら小説を書くのは結構不気味で。そういう空想が小説のタネになる納得はできるけど。洞穴の描写はノルウェイの森の高原の穴を思い出した。命や心を失うのは穴に落ちるように自然に急に起きるのだなと考えた。
0投稿日: 2026.01.02
powered by ブクログ小川洋子さんの文章は本当に美しい。 時系列はバラバラだが、どれも小説家の「私」の物語である。 失踪者、死んだ弟、妻の元へ去った恋人、失くし物…、喪失の哀しみが、ひんやりとした静けさを纏う言葉で紡がれていく。 ただ哀しいだけでなく、時にあたたかな光が差し込む瞬間もあって。そんな奇跡も、そっと置いてどこかへいってしまったような、これは現実なのか夢なのか、ふわふわと漂う不思議な感覚になった。 なかでも心に残ったのは「キリコさんの失敗」。失くし物を取り戻す名人のキリコさんがとてもあたたかくて素敵だった。
54投稿日: 2025.12.03
powered by ブクログ相変わらず天才。 頭で構成云々して生み出せる代物じゃない。 途中で連作と気づく。 「本当に言葉の感触が、舌から伝わってくるのです。」の表現に唸る。 必然かもしれない不思議な出会い、 抗えない流れと抱える続ける空虚•やるせなさ、 ひと匙のサイコ、って感じの話。 それを品の良さで包括している。 この包括が職人芸なんよな。
1投稿日: 2025.04.23
powered by ブクログなんかこう、少しダークで,考えさせられて、ちょっと痛さもある、小川さんらしい短編集。でもこれ、こんなことがほんとに起こったら怖いかも 。
1投稿日: 2024.09.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
相変わらず独特の世界観で面白い。 特に盗作、エーデルワイスが好みだった。 前者は、背泳ぎ選手の弟が左腕から徐々に死に近づいていく〜という話の盗作。 その話を語った女性はその弟の見舞いのために病院に向かっているのだといいながら、到着すると精神科に入っていく。 後者は、たくさんのポケットに主人公の著書を入れてストーカーしてくる謎の男の話であるが、このキャラクターが好き。
29投稿日: 2024.08.12
powered by ブクログ細かい描写を読み進めていると、いつのまにか物語のなかに入り込んでいる感覚。そして、思わぬ方向に連れていかれている。『盗作』もまさにそんな感じだった。 『失踪者達の王国』の伯母さん、『キリコさんの失敗』のキリコさん、『エーデルワイス』の弟、それぞれが大切にしているものや事柄と、それに対する思いを、私はちゃんと感じとれたか、と思ってしまった。 『涙腺水晶結石症』は、一番好きだった。ひどい雨のなか、ベビーカーと40キロのラブラドールのアポロを連れ、歩く。孤独を感じながらも、大切なものを守りたい思いに後押しされ、頑張る気持ち、そして訪れる絶望、希望。小さな白い結晶がそれらの全てをもたらした。アポロが元気になって、本当によかった。 読後感がもやっとするときもあるが、小川さんが小説のなかで意図するものを感じ取れる読者になりたいな、と思う。 他『時計工場』『蘇生』
14投稿日: 2024.06.29
powered by ブクログいつもそばに失踪者たちの影があったという「私」。タクラマカン砂漠に羊の買い付けに行った友人の叔父さん、歯医者に入れ歯を置いたままいなくなった隣の席の少年のおじいさん、嘔吐袋をコレクションしていた自分の伯母さん…。失踪者たちの王国は広々とした草原の続く光あふれる場所なのか。行ってみたいような心細いような気持ちになった。そばにいる犬のアポロやまだ小さな息子、失くし物を取り戻してくれたお手伝いのキリコさんの存在に救われる。
1投稿日: 2024.06.02
powered by ブクログ博士の愛した数式の作者だから。そんな軽い気持ちで手に取ってしまったが、とても裏切られた。第一話から仄暗い雰囲気が漂い、後半はドロリとした感触が胸に残る。飼い犬のアポロの存在が無ければ凍えていたかもしれない。そう思わされるくらい引き込まれた。 一生懸命生きてる人にきっと響く作品だと思いました。
0投稿日: 2024.05.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
小川さんの作品に一か月ぶりにお目にかかります。 本作は2000年に発表された作品ですから、割と古い部類のものかもしれません。かれこれ四半世紀か。 ・・・ 本作は連作というのでしょうか。同じ主人公によるシーンの違う短編で構成されている作品となっています。 作家が主人公、ペットとしてラブラドールを飼っている、息子さんがいる、という背景から、なんだか小川氏本人を模したのかなあなどと勝手に想像してしまいます。作家の母親がキリスト教に没頭している設定も、小川さんが宗教の家で育った(from wikipedia)影響があるのかなあ、とか。 ・・・ それでですね、読了した段階ではなんというか結構「普通」でした。 小川さんの作風は、一種異様な場景を現出させ、それでいて淡々と美しく世界を彩る、それこそ「ギャップ萌え」的なところが印象的であると思います。 たとえば「ブラフマンの埋葬」では、正体不明の小動物を愛でる主人公とその小動物ブラフマンの死が淡々と語られました(ブラフマンが何モノか分からないモヤモヤはそのまま)。 「猫を抱いて象と泳ぐ」では、姿を隠してしかプレイできないチェス名人「リトル・アリョーヒン」の短く悲しくでも明るい人生が描写されました。 私の読んだ上記の作品群と比較すると、作家という対象は割と普通なのかもしれません。いやもちろん普通じゃないんですけど、正体不明の小動物と比べたら、ねえ。 ・・・ で、ここからフォローに入ります。 それでも作品には小川さんらしさとでもいおうものが全体を覆っていると感じました。奇しくもあとがきで川上弘美さんが指摘している通り、「小川洋子的世界」が現出していたと思います。 改まって、じゃあこの「小川洋子的世界」、小川さんらしさって何かを再考すると、人に対して優しい?性善説的に見る?みたいな、そんな安心感があるかなあ、と感じた次第で。 ラブラドールのアポロは当然犬だから喋れないけど、小川さんの手にかかると、やはり作家である主人公「わたし」と強い信頼関係があるように見えます。まるで小川さんと会話するかのように犬が物語を動かします。 「エーデルワイス」での主人公の作家のファン、自称「弟」さんも、今ならばストーカーとしてしょっ引かれかねない変態おじさんでしょうが、小川流に描写すると、結構変わっているのですが根は悪くないみたいな、ちょっと憎めない感じになります。 なんて言いながらぱらぱら本をめくっていると、なんだ、そこそこ面白かったし楽しんでいたじゃないか、という気にもなってきました笑 お手伝いさんキリコさんの話「キリコさんの失敗」もほっこりしていてよかったしね。 ・・・ ということで小川氏の初期の作品でした。 ちょっぴり不思議な、優しい「小川洋子的世界」を味わいたい方は是非。
0投稿日: 2024.04.07
powered by ブクログ「盗作」でおやと思った。水泳をしていて片腕を下げられなくなった弟の話を前に確かに読んだことが有る。読み進めると『ホテル・アイリス』だと思われる小説や『貴婦人Aの蘇生』の登場人物だと思われる女性が出てくる。もしかして小説でなく著者がどのように小説を書いてきたかの裏話を読んでいるのだろうか。「エーデルワイス」を読んで怖いような切ないような気持になった。全て亡くした弟のことを書いていたのだろうかなどと疑ってしまう。
0投稿日: 2024.03.24
powered by ブクログ2023.10.28 読了。 主人公の周囲にはいつでも文章を書くという日々の暮らしがあり、短編ごとに主人公の時間軸が進んだり戻ったりしながら綴られる連作短編集。 多分自身が読む小川洋子作品は3作目。 なんとなくだけれどそこには小川洋子ワールドがありそれが作品となっている感じがした。 今作中では主人公は波乱万丈と言ってもいいくらいの生活を送っているのに小川ワールドではそれが水面の緩やかな波紋のごとく描かれ、哀しみや苦しみも主人公はまるで傍観者のような文章で綴られる。 大人になった主人公が文章を書くことで生活をするというのは小川さん自身の内に秘めた感覚を表現した物語でもあるのかな?と想像する。 主人公が経験するいくつかの短編に出てくる「信仰」や「弟」についても慈愛や哀しみが静かに表現されていた。 幾人かの主人公の人生に突如登場し煙のように消えていく人物たちがこの世界観の不思議さを表しておとぎ話のようにも思える一冊だった。
0投稿日: 2023.10.28
powered by ブクログ不思議な雰囲気に包まれた物語でした。 不思議なのに淡々として落ち着いていて不思議さを受け入れているような文章。 盗作、エーデルワイス、キリコさんが好きです。時計工場、蘇生は難解でした。 全体的に不思議でなんか息が詰まるようで、でも救いがあるようなそんな物語でした。 装丁が可愛らしいのとタイトルに惹かれ購入しましたがギャップを感じました。 所々主人公は、精神的に病んでるのかと思わされる場面がありました。
0投稿日: 2023.10.14
powered by ブクログ積ん読になっていましたが、ふと手にとって読み始めました。私の読解力がないのか、あれ~?なになに~と理解困難な箇所もありましたが、ほっこりするような、ふわっと幸せ感じるような、穏やかな気持ちになれます。
0投稿日: 2023.07.09
powered by ブクログ説明のつかない奇妙さや気持ち悪さがありつつも、どこか儚くて切なく感じる短編集でした。 特に前半「失踪者たちの王国」、「盗作」はちょっと気持ち悪く感じました。 小川洋子の描く動物は優しくて可愛いです。 「涙腺水晶結石症」が好きです。
2投稿日: 2023.07.02
powered by ブクログ終始何か暗いものが漂う連作小説。 流れるように物語は繋がり、そのどれもで何かが欠けている。 そして不思議な話なのに、どこかリアルだ。 タイトルは、ラストに見えた光なのかなと勝手に思った。
0投稿日: 2022.02.24
powered by ブクログ久しぶりに再読 【失踪者たちの王国】 “さよならも告げず、未練も残さず、秘密の抜け道をくぐってこちらの世界から消えていった、失踪者たちが住むという王国。誰でもたやすく足を踏み入れられるという訳でないらしい王国” 『嘔吐袋』の話はこの話だったかと再確認。 どこかで読んだと思っていても短編は何に入っていたか忘れがち。失踪する側は理由や事情があって、日常の延長で自覚なく失踪するものだが、失踪される側は特別な事になってしまうという事実が不思議な感触。 【盗作】 「あれ? この話……」となる作品。 他の短編集にある話とリンクしているから、混乱しがち(『三月は深き紅の淵を/恩田陸』と同じ感触の掴みきれない感覚が好き 【キリコさんの失敗】 キリコさんがチャーミングで実に魅力的! 【エーデルワイス】 穏やかなのに不穏で良い。 【涙腺水晶結石症】 絶望的な状況で判断を誤る人や助けを求められない人が苦手で、その種の話には苛立ちを感じやすいがが、作品が淡々とししていて、その悲劇的な状況に悲壮感がないから神経を逆撫でされる手前でとどまる。スッと終わるから後味は悪くない。 【時計工場】 指揮者、果物を背負う老人、愛犬、果物、マンゴー色の蝶……短編集だけと連作だし、連作だけど分断されていて「おや?」と登場人物の作品内の時間軸を探す作業が発生する。逃げ出したいくらいの湿度が心地良い。 【蘇生】 短くてスッと消えていく最後の短編。湿度の高い短編の後にカラカラに乾燥した短編が来て、潤いが欲しいと感じた辺りでストンと断ち切られる。 【変化の段階/川上弘美】 解説じゃなく新聞読書面からとのこと。文庫本の裏面解説も魅力的。 “失われたものたちの世界、と私は小川洋子の世界を呼んでいる。”の一文に共感しかない。 最初に小川洋子作品を手にしたのは『薬指の標本』だった。ゴシック調の表紙に惹かれて、何冊か読むあちに気がついたら「取り敢えず読む」作家リストにインしていた。今のところ『沈黙博物館』が自分内ベストな気がしているけど、結局のところどの作品も違和感はあるのに好きなんだよなあ。
0投稿日: 2022.02.12
powered by ブクログ表紙はかわいいのに、内容はちっとも。 最後まで読むのが大変だった。 でも不思議な魅力があるとは思うので、好きな人は好きだろう。 「袋を飲んだ」という記述があったけど、物理的にほんとのことなのか、ただのイメージなのか、そういうわからない感じの箇所が多い。 全体的に曇天の雰囲気で、息子がすくすくと育てばいいけど心配になってしまう。(こういうことを云々する話ではないのだろう)
0投稿日: 2022.02.01
powered by ブクログ穏やかな語り口なのに、どこかぞくっとさせる不穏さをはらんでいて、癖になります。 どの物語も短く読みやすいので、通勤時間や待ち合わせの間などにさくっと読むことができます。
0投稿日: 2021.12.27
powered by ブクログお手伝いのキリコさんは私のなくしものを取り戻す名人だった。それも息を荒らげず、恩着せがましくもなくすっと―。伯母は、実に従順で正統的な失踪者になった。前ぶれもなく理由もなくきっぱりと―。リコーダー、万年筆、弟、伯母、そして恋人―失ったものへの愛と祈りが、哀しみを貫き、偶然の幸せを連れてきた。息子と犬のアポロと暮らす私の孤独な日々に。美しく、切なく運命のからくりが響き合う傑作連作小説。
0投稿日: 2021.01.30
powered by ブクログ失くしたものとそこに自然と舞い込むもの。キリコさんが持ってきてくれたリコーダーは木の匂いや音色がすぐそこに感じられるよう。欠けているということは不思議に魅力的だったりもする。切なさや悲しみを含んでいるからか。小川さんの文章は静謐で美しいな。
0投稿日: 2020.12.16
powered by ブクログ小川洋子の世界。 短編連作。 裏表紙から。 失った物への愛と祈りが、哀しみを貫き、偶然の幸せを連れてきた。 なるほど、なのでタイトルが「偶然の祝福」なのか。 読み終わって、詳細をしっかり覚えているかというと、すごくあやふやな記憶しか残っていなかった。 だけど哀しみの中に、息子と犬のアポロが寄り添っている。 じんわりと幸せを感じる一冊。 とくに「キリコさんの失敗」と「涙腺水晶結石症」が良かった。 それにしても解説の川上弘美さんが一番好きな小川作品が「ホテルアイリス」というのがびっくり。 英訳されている洋書もつい買ってしまったけれど、ちょっとついて行けない世界。 もっと読み込んで小川洋子の世界に入り込まないといけないのか? 徐々に小川作品も読んでいこうと思います。
41投稿日: 2020.11.29
powered by ブクログまた好きな本に出会ってしまった。 悲しみや寂しさ、影が通奏低音として流れている文章が好きだな。 お手伝いのキリコさんの話が好きです。
2投稿日: 2020.11.03
powered by ブクログ作家である「私」が、息子や愛犬のこと、昔の思い出などを描いた短編集で、「私」を中心に、それぞれの話はどこかで繋がっている。 タイトルに"祝福"とあるわりには、どの話もわかりやすい幸せな感じはないため、個人的には少しモヤモヤが残ったが、一見不幸そうな中にわずかに温かさを感じる部分もあり、それが"偶然の祝福"なのかもしれない。
13投稿日: 2020.10.30
powered by ブクログ以前は、女性作家と日記、手記などは読まなかった。読書は空いた時間に、それも出来るだけ現実から遠いものを選んでいた。海外の小説が多いのも当時の気持ちや環境から距離があったからかもしれない。 時間に少し余裕が出来てベストセラーなども読むようになり、時間があまって来ると、本来の好奇心からかさまざまなジャンルのものを読み、手に取ったことがなかった女性作家のものが心に響くことに気がついた。 小川さんは長い間記憶の中で「博士の愛した数式」を書いた人だった。それがほかの作品も読んでみたい、と読んだ途端好きな作家に入ってしまった。 どの作品も独特の味があって、ちょっと変わっている。 余りたくさん読んでいないので、この作品に限って思うことは、たとえでも身近な描写でも大胆で奇妙な現実の雰囲気が纏わりついている。 なにかが消え、なきかがあらわれる。消滅していく流れがあり、そこには深い悲しみが沈んでいる。そして再生は全く違った形でありながら、稀にその悲しみを埋めるような現象が起きたりする。 別れていくことが当然の人の営みのように、消えて行く。奇妙な現象が手を繋いで輪を作り、その中に作者の現実や、生身の姿を髣髴とさせる、低いベース音のように、そんな姿が奥底に流れ続けているような、短編集だった。 「失踪者たちの王国」 これは何かで読んだことがあった。それ以後ニュースや、ドキュメンタリー番組は気になってよく観ていた。年間8万人前後の失踪者(または行方不明者)がいると言う。私の身近なところでも昨年一人が、家を出たまま行方が知れない。事業に失敗していなくなったのだがその後見つかったという話を聞かない。 ミステリなども家出の後行方が知れないという書き出しや、事件の始まりになっているものも多い。 ここでは、知っている人がふっといなくなったという。帰って来ない友達の叔父さん、歯医者さんに行って入れ歯を置いたままいなくなったおじいさん、先生の婚約者は「ちょっと行ってくるよ」と言ったままいなくなった。 叔母さんは一人になっても働かないで、家財を売って暮らしているようだったが、嘔吐袋を集めていた。そして何も言わず綺麗に失踪した。 失踪した人は、垢を落として生まれ変わったように楽になるのだろうか、反対に現実の重みが降りかかってくるのだろうか。 一度踏み込んでみたい気もするが、こちら側にいるとあちらは陰の中にいるようで薄ら寒い。 不思議にも彼らは私を慰めてくれる。王国ははるか遠いはずなのに、彼らは洞穴に舞い降りてきて、いつまでも辛抱強く、そばに寄り添ってくれる。その吐息を私は頬のあたりに感じることができる 「盗作」 聞いた話を書いて賞を貰った。将来を嘱望された水泳選手が片腕が上がったまま動かなくなってしまったという。その後病棟の談話室に英語版の「BACKSTROKE」と書いてある古い本を見た。 背泳ぎの選手だった弟が、左腕から徐々に死に近づいていく話だった。私が書いたのと、彼女が語ったのと同じ話がそこにあった 「キリコさんの失敗」 なくしたものを見つける名人のキリコさんの話。リコーダーをなくしたら木で作ったのを持ってきてくれた。海外旅行の土産の万年筆で毎日いろいろなことを書いた。インクがなくなってうろたえているとキリコさんが町の文房具屋さんで補充のインクを買ってきてくれた。 ある日キリコさんの自転車にパンが置かれていた。毎日それを分けて食べていたが、パン職人が自殺した。そこにキリコさん宛ての手紙があったという。キリコさんはすっかり元気をなくしてしまった。 無くした万年筆は、むいた栗の皮に紛れて捨てられ焼却炉で溶けた。 キリコさんは、骨董の壷を頼まれて渡しに行って人違いをした。サインをしているのを見るとなくなった万年筆と同じものだった。買い取ると言うとキリコさんの手に乗せてくれた。だがその万年筆を持っていた買い主は偽者だった。 キリコさんはパン屋さんのことや、だまされて盗られた骨董品が気にかかったのか去っていった。 「エーデルワイズ」 私の本のファンで、衣服にポケットを作り体中に本を入れて歩いている男に出会った。手紙をもらったが、本の一部を寄せ集めた意味不明の奇妙な文章がぎっしり詰まっていた。男は私の困惑にも構わず「エーデルワイズ」の歌を歌ってくれた。付きまとわれていたが、雨の日に転んで本を全部だめにした。そしていなくなった。 「涙腺水晶結石症」 飼い犬が病気になったので、医者に見せようと雨の中を歩いていた。 車で通りかかった男が犬と一緒に乗せてくれたが、獣医だといった。 犬を見て涙腺水晶結石症だと言ってまぶたをしぼって石を取り出してくれた。 「さあ・・・・・」 よく見えるように彼は掌を私に近づけた。それは白く半透明な結晶だた。ちいさな金平糖状の粒がいくつもくっつき合って、一つの精密な形を成していた 「時計工場」 旅行記の取材で行った島で、籠に一杯の果物を背負った老人に合う。首に黄色い蝶のあざがあった。ホテルの図書室で識者の男に出会う。彼の首にも黄色い蝶のあざがあった。 小説を書くという苦しみが象徴的に語られている。 「蘇生」 息子の睾丸がはれていた。そこには水の入った袋があるという。 手術のために入院したが、同室になったおばあさんは、「アナスタシア」という名前だといって、家系や歴史や親族についてとうとうと語る。どう見ても彼女は日本人だった。周りにはAの文字を飾った刺繍が溢れていた。退院のとき刺繍糸のセットをあげるととても喜んで写真を撮ってくれた。切り取った袋は貰って帰った。 今度は私の背中に腫れ物が出来た。水が溜まっていると言う。簡単に袋を取って手術が終わった。その袋も貰って帰った。 ある朝突然言葉が出なくなった。言語療法士にも見てもらったがよくならない。 原稿用紙の前に座ると、言葉の壁が見えた。積みあがっているのは私が書いた言葉のようだ。 言語療法室に行ったらアナスタシがいた、喋り続けるので、言葉の繭にくるまれているように見えた。「アナスタシア」は「蘇生」と言う意味だという。 干からびた二つの袋を飲み込んだ「蘇生よ、蘇ること」アナスタシアの言葉が聞こえてきた。 「アポロ」と呼んだら犬の耳がぴくっと動いて言葉が戻ってきた。 なにかもの悲しい、人の営みとささやかな願いと、不思議な出来事が溶けあった作品。やはり好きだなぁと思う
0投稿日: 2019.12.29
powered by ブクログ後から考えると何が怖かったのか分からない怖い夢を見ることがある。 眠りの導入部で自分の目にしたことの無い映像が勝手に流れ出すような。 見当違いなことを言っていたら恥ずかしいが、現実なのか夢なのか分からない世界がこの小説と似ていると思った。 読んでいる途中は何とも言えない居心地の悪さみたいなものを感じていたのに読み終わってみると不思議とまた読みたくなっている。 何だろう、上手く言葉にできない。
0投稿日: 2018.02.07
powered by ブクログ何度読んでもひっそりとしたお話たちが好きです。 小説家が主人公で、彼女の書くお話が小川洋子さんが書かれてきたお話なので、私小説のような空気です。 「時計工場」の最後の一文に、今回は目が留まりました。素敵な一文です。 小川洋子さんと同じくらい大好きな川上弘美さんの解説も良かったです。川上弘美さんも、小川洋子さんの新刊が出たら必ず買うのか…わたしもです。
0投稿日: 2018.01.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
【あらすじ】 お手伝いのキリコさんは私のなくしものを取り戻す名人だった。それも息を荒らげず、恩着せがましくもなくすっと―。伯母は、実に従順で正統的な失踪者になった。前ぶれもなく理由もなくきっぱりと―。リコーダー、万年筆、弟、伯母、そして恋人―失ったものへの愛と祈りが、哀しみを貫き、偶然の幸せを連れてきた。息子と犬のアポロと暮らす私の孤独な日々に。美しく、切なく運命のからくりが響き合う傑作連作小説。 【感想】
0投稿日: 2017.08.27
powered by ブクログ孤独な女性小説家の過去、日常を描く連作小説。 間違いなく日常が描かれているが、そこにあるのは、ミステリアス、生々しい神秘性、非現実感、虚構。 最初はエッセイ?と勘違いしそうになりました。ご自身の経験も多かれ少なかれ盛り込まれてるとは思いますが。 小川洋子さんは静謐な文章を書かれる方、と紹介されることが多いが、その通り喧騒とは正反対のところにいる。 流れている時間がすべらかで秒針の音ひとつしないのだ。 主人公の人生は穏やかなものではなく、しかし落ち着き払っている。 終わり方はストンときたし好みだが、その後主人公にとってやさしい時間はやってくるのだろうか、という読後感が残った。 暗い話が好きな私にとっては良い余韻だった。
0投稿日: 2017.06.13
powered by ブクログよかった。 小説家の私と息子と犬のアポロの、静かで、ときに残酷で、優しくもある不思議な空気を纏った連作短編集。 各短編の時系列は違うけれど、読了後にもう一度最初に戻って読み直したくなる。 いちばん好きなのは「失踪者たちの王国」。 さよならも告げず、未練も残さず、秘密の抜け道をくぐってこちらの世界から消えていった、失踪者たちが住むという王国。 客観的なフリをしながらもどことなく失踪者たちの王国に惹かれているような“私”の不安定さと、空気感が、絶妙。
0投稿日: 2017.05.30
powered by ブクログ小川洋子の小説は、博士が愛した数式しか読んだことがなかったけど、この人のほん。面白い。 ほんの少しの非日常をこんなうふうに淡々とミステリアスに、そして、ささやかな幸福に、ほんの少しのラブストーリーに、不思議なホラーに、少しづつ姿を変えて読ませてくれる、身近によくある話のようで、なかなかないんだけど、なんか自分でも経験したような気になるような日常風景の中に取り込まれる世界。 ふとした瞬間に、今の自分と本の中の主人公が簡単に入れ替われるほど普通の日常の出来事が、どんどん読ませてくれます。 ゾクっとしたり、え!?そうくる!?って思ったりオチも完璧なのに、なぜかとても日常的。 そんな不思議なもう一人の自分の人生のような一冊です。 ハマるかも。小川洋子!
0投稿日: 2017.04.17
powered by ブクログ不気味だけど懐かしい。キリコさんの失敗のパンの届くところ、盗作、失踪者。静謐は十分だったが、つながり、掘り下げがイマイチだったか。 現実と創作が混じり合ったエーデルワイスの感じは好き。
0投稿日: 2017.02.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ああ、エッセイかと思って読んでいたから! すごいハラハラしちゃって。 いまも、ほんとはエッセイ?とちょっと思ってる。 作品と現実の境界線をいい意味で曖昧にしちゃったすごい作品だ。
0投稿日: 2016.07.03
powered by ブクログ『涙が落ちて、それが宝石になる』 わかっていることと理解していることは違う。このままじゃダメだと思っているのに、手を繋いだまま崖に向かっていってしまう。視野を、視野を広くしなくては。物語は誰かの視界を介して複雑に移り変わっていく。見ているものは一つなのに。それは赤く、丸く、重く、薫。リンゴを見てあなたはなにを一番に思い浮かべるのか。
0投稿日: 2016.05.27
powered by ブクログ作家をめぐる弟、犬、子供、恋人にかかわる7つの短編。 どれもが、適度な湿り気とざわざわした感じと、少しの光を兼ね備えた小川洋子の世界。 航空会社の嘔吐袋を収集していた伯母さんと失ったものをあるべきところに戻してくれるキリコさんが印象的だった。
0投稿日: 2016.05.16
powered by ブクログこの方の小説は読了後いつのまにか半分以上内容を忘れてしまいます。しかし断片的に鮮明に覚えていて、どの小説にも美しかったなという印象を受けます。日常を丁寧に書いているのに普通の日常とは思えない、不思議できれいで、仄暗い雰囲気が好きです。
1投稿日: 2016.03.29
powered by ブクログ久々に小説に酔う、という体験をした。 時差ボケで気持ち悪い、というのと似ていて、自分にとってまるで異世界であるSFやファンタジーの世界に入り込むのとは違った、例えばアメリカなどの海外と日本を行き来すると生じる体内時計のズレのような感覚。 村山春樹さんの「ノルウェーの森」を読んだときも感じて、これは現実の話なんだけど、ある種私の知っている現実ではない。 いわば、統合失調症の人が見る世界のよう。 ノルウェーの森も、この作品も、どこにも「統合失調症」なんて出てこないけど、複数の世界を生きるかのようなこの感じは、統合失調症の人特有の世界の見え方な気がします。 読んでいてこの小説は、すごく静か。驚くくらいに音がないです。 事実だけを見ると波乱万丈な人生を送っている "私" ですが、どこか現実とは遠いところで生きているかのよう。 生きにくさを抱えながらも、「書く」ということがいつも人生の危機から彼女を救ってくれていたように思います。それから、いつでも逃げ込める空想の世界が。 朝起きて、何か夢を見たみたい、と感じるのと同じ読了感。不思議な、小説でした。この世界を作り出す小川さんの力がまたすごい。
0投稿日: 2016.01.10
powered by ブクログほぼ内容忘れちゃった。 ただ、小川さんって 読み終えて気持ち良かった ってのだけ残ってる… 失踪者たちの王国 盗作 キリコさんの失敗 エーデルワイス 涙腺水晶結石症 時計工場 蘇生
0投稿日: 2015.12.13
powered by ブクログこの主人公の女性は、会話するときはどんな内容なんだろうか。返事ぐらいしかしないのかな。不思議ちゃん。お子さんが幸せになるといいなぁ。小川さんは既読感があまりない。ストーリーが思いもよらない展開をしたりするから。そこが面白い。
0投稿日: 2015.12.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
なんとも言えない。 とても読ませる文章だし、気持ちになにか残ってるけど言葉に出来ない。 注意深く読まないと章が変わった時どこにいるのか分からなくなる。 アポロが助かって良かった。
0投稿日: 2015.10.18
powered by ブクログなんでこの人の書く物語は こんなにかなしくて絶望的でくらくて なのになぜか優しくてどこかにひっそり希望が隠れてるんだろう そして、夢と現の狭間のような世界
1投稿日: 2015.09.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
読んだ時の環境も影響しているのかもしれないが一貫性が感じられなくて読んだ後があまりすっきりしなかった。
0投稿日: 2015.09.12
powered by ブクログお手伝いのキリコさんのお話は良かったな。自分の出来ることをやるとこ、私との内緒のおやつとか何でも話せる人になっていた。しかし、頼まれ事で失敗して辞めさせらてしまった。
1投稿日: 2015.09.04
powered by ブクログ基本的に人間は信じていない私ではあるが、それでも人生のどこかで誰かに助けられた場面があったことは認めざるを得ない。いかに人間嫌いな私でも、たった一人で生きてきたわけではない。普通の人は助けてくれる人というのは家族であったり恋人や友達であったりするのかもしれない。だが極端に知り合いの少ない私は、いざというとき力になってくれたのは、赤の他人であることが多かった。通りすがりの優しいおばちゃんや、名前も告げずに去っていったサラリーマン。よくぞあの時あのタイミングで、と奇跡を信じたくなるほどありがたい助けもあった。 たぶん、世の中はそいういうふうにできているのだ。不幸と幸福のバランスがとれるように、なんらかの物理的作用が働くに違いない。 だから、用事が終わった後煙のように消えてしまってもちっとも不思議ではない。たとえそれが恋人であっても。役目を終えて舞台から降りただけなのだから。
1投稿日: 2015.09.02
powered by ブクログ再読。 夢と現の境界線が曖昧な寓話の様な7つの短編。 "私"は少し特殊な生い立ちのせいか幼い頃から胸の内に孤独を抱えた女の子で、その"私"を現に繋ぎとめていたのが彼女の弟やキリコさんの存在だった。 母親に顧みられない幼い"私"を魔法のように救け慈しんでくれたキリコさんはわずか1年ほどである出来事の責任を問われやめされられ、バラバラの家族の鎹であった弟の死で"私"と両親を繋ぐものはなくなってしまう。 弟の死を機に"私"は彼方と此方を行ったり来たりするようになってしまう。 ともすると彼方の世界に沈み込んでしまいそうになる"私"を現である此方側に引き戻してくれるのは、バスで乗り合わせる女性であったり、偽物の弟であったり、アナスタシアと名乗る老女であったり… どう考えても彼方側の住人と思われる人物たち。 そして、まだ幼く言葉を発することも出来ない息子と、飼い犬のアポロ。 息子とアポロの描写には穏やかで温かな陽だまりのような幸福を感じる。 作品の全体を通して、かなりヘビーな人生を送っている"私"の物語は常に穏やかに静かに進行していてドラマチックさはないけれど、美しい文章に心を掴んで離さない魅力がある。
4投稿日: 2015.08.10
powered by ブクログ一人の女性の身に起こる、日常と非日常の間を行き来するような奇妙な出来事が時間軸がばらばらのまま織り成される。全てに通じて感じるのは、どこかひっそりとした喪失の匂い。 捉えどころのないたおやかな空気の静謐さ、小説にしか描けない時間と空間の切り取り方、手触りに引き寄せられました。
0投稿日: 2015.07.21
powered by ブクログ一人の女性に起こった、不幸なような、そうでもないような不思議な出来事をまとめている。ほわーっとしたまま終わり、それがいいのかもしれないけど、正直よくわからなかった。
0投稿日: 2015.06.23
powered by ブクログ失意の時、希望が潰えた時、抱えきれないような災厄に見舞われた時など誰でも程度の差はあれ、自分ではもうどうしようもないという時があるでしょう。作家である一人の女性が辿った足跡はそんな状況を何度か潜り抜けています。その時出逢った出来事とは‥ 不思議な体験が七つほど語られます。愛すべき飼い犬のアポロがしばしば登場しますがアポロの危機を救う涙腺水晶結石が心に残りました。
0投稿日: 2015.06.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
2015年の17冊目です。 7つの短編から成る連作小説です。 「失踪者たちの王国」から始まり「蘇生」というお話で終わります。特別なSFぽいの物語の設定ではないものの、奇妙な人の奇妙な行動が、非日常的な世界観を、今生きている世界に植え付けてる感じがします。この”奇妙さ”が、小川洋子の特徴であり、私を惹きつける特徴でもあると思います。”奇妙な事”を通して、自分の存在を認識できるということかな?犬が罹る涙腺水晶結石症という奇妙な病気のお話は、主人公の孤独感を強く感じるものでした。
0投稿日: 2015.06.07
powered by ブクログ7つの短篇は独立したお話だが、小説家である主人公の語り手「私」は全部に共通している。 短篇の並び方は時間順ではなく、読んでいくうちに主人公が最初の短篇の「今」の暮らし方になった経緯がわかるようになっている。 後半の短篇では、主人公の恋愛が主に描かれる。 私は「エーデルワイス」が心に残った。主人公の前に現れた熱狂的な男性の読者。 この短篇を最後まで読むと、この男性が何者か、なぜ主人公の前に現れたのかがわかる気がした。 それから、主人公の息子(赤ちゃん)の友達であるカタツムリの縫いぐるみがでてくる部分がいいです。この縫いぐるみを見てみたい。
1投稿日: 2015.04.17静かで深い、だからいつか読み返したい
7つの短篇は独立したお話だが、小説家である主人公の語り手「私」は全部に共通している。 短篇の並び方は時間順ではなく、読んでいくうちに主人公が最初の短篇の「今」の暮らし方になった経緯がわかるようになっている。 後半の短篇では、主人公の恋愛が主に描かれる。 私は「エーデルワイス」が心に残った。主人公の前に現れた熱狂的な男性の読者。 この短篇を最後まで読むと、この男性が何者か、なぜ主人公の前に現れたのかがわかる気がした。 それから、主人公の息子(赤ちゃん)の友達であるカタツムリの縫いぐるみがでてくる部分がいいです。この縫いぐるみを見てみたい。
1投稿日: 2015.04.13
powered by ブクログ高校生の頃に読んだときには分からなかった女性っぽい妥協のないフェチと閉じた恍惚が気持ちよかった 一人旅に持っていきたい一冊
0投稿日: 2014.12.30
powered by ブクログ現実なのか心の中で作り上げた世界なのか、読んでいるとわからなくなってくるのだけど、その世界が心地よい。 私もその世界に入り込みたくなる。
0投稿日: 2014.11.28
powered by ブクログやっと読み終わった。 エッセイ、短編集はあまり得意ではないうえにツワリの時期と重なり、読み終わるまでに2、3ヶ月はかかったと思う。 どの話も何かがかけているような、どこか物悲しいお話。 でも読んでいると心が落ち着く。不思議な感覚になる。
0投稿日: 2014.09.24
powered by ブクログ【本の内容】 お手伝いのキリコさんは私のなくしものを取り戻す名人だった。 それも息を荒らげず、恩着せがましくもなくすっと―。 伯母は、実に従順で正統的な失踪者になった。 前ぶれもなく理由もなくきっぱりと―。 リコーダー、万年筆、弟、伯母、そして恋人―失ったものへの愛と祈りが、哀しみを貫き、偶然の幸せを連れてきた。 息子と犬のアポロと暮らす私の孤独な日々に。 美しく、切なく運命のからくりが響き合う傑作連作小説。 [ 目次 ] [ POP ] すてきな小説に出会うと、その著者の書いた本をどんどん読みたくなる。 しかし、最初に読んだ小説があまりにすてきすぎると、他の著作を読むのが恐くなる。 そんな経験はないだろうか。 小川洋子の『博士の愛した数式』がいかに素晴らしい小説か。 それはその後、僕が一冊も彼女の小説を読んでいないという事実でしか語れないが、それで十分だという気もする。 あの至福の時間はもう体験できないという諦めを生んでしまうほどすてきな小説だということだ。 それが。 再び体験してしまった。 小川洋子の作品で。 何冊も小川作品を読んできた方には「いまさら何を言っているのだ」と呆れられそうな話だが、なにしろ本書で2冊目なので仕方がない。 なんで今まで誰も薦めてくれなかったんだろうと腹が立ってきたが、あ、そうか、川上弘美も誰も教えてくれなかったもんなと思い直した。 本当に好きなものは誰にも教えたくないもの。 静かにさみしくひそかに哀しい話が好きな人にそっと手にとってもらいたい傑作。 [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
0投稿日: 2014.08.27
powered by ブクログただの日常をもくもくと描いているような。 でも、非日常のような。 小川さんの この独自な世界が好きです。 - - - - - ●おもしろかったモノ。 失踪者たちの王国 キリコさんの失敗 涙腺水晶結晶症
0投稿日: 2014.08.15
powered by ブクログ息子と犬のアポロと暮らす「私」の前に現れ、去っていくものたち。喪失の悲しみと引き換えに残される幸せを掬い取る7つの物語。 物語は文章を書くことを生業としている「私」が中心である。文章を書くことを志した幼い日、小説家としてデビューし、始めてもらった本の印税で買った犬のアポロと暮らし始め、妻子ある指揮者の恋人と出会い、彼の子供を妊娠、出産、そして息子とアポロと過ごす日々。7つの物語からは「私」の人生の歩みが垣間見えるが、それらの物語は時間の流れと関係なく並んでいる。そのため「私」の記憶の淵からふわりと浮き上がり、思い出した順に並べられているような印象を受けた。文章も切なく儚げな雰囲気が漂っており、「私」がふと昔を思い出し、過ぎ去ってしまった日々に寂しさを重ねているようだった。 思えば、日々は“時間の喪失”の繰り返しである。楽しかったことも悲しかったことも、次の瞬間には失われた時間になる。その出来事が記憶に残っていれば良い方で、大半の時間は記憶の籠からこぼれ、永遠に失われていく。確かに私が生きていたあの時間は、どこへ行ってしまったんだろう。私が歩いたそばから通り過ぎた道が消えていくようで、避けようがない虚しさを覚えた。
4投稿日: 2014.08.13
powered by ブクログ小川洋子は全般的に好きですが、この作品はなぜか入り込めなかった。暗い冒頭の書きブリが原因か? 時間を置いて再読したい。
0投稿日: 2014.06.21
powered by ブクログキリコさんの失敗と盗作がよかった。 全体的に暗い感じがして、短編としては分かりやすいけれど、各話の繋がりが難しかった。
0投稿日: 2014.04.22
powered by ブクログ小川洋子さんの作品の中でも、特にあたたかみのある一冊だと思います。 小川さんらしい神秘的な作品もありつつ、とっつきやすい作品もほどよく納められていると思うので、小川洋子さんを初めて読む人にはたいていこの作品を勧めています。 私は「涙腺水晶結石症」が一番好きです。
2投稿日: 2014.03.26
powered by ブクログ一人の若い女性小説家を主人公にした連作短編。 左手を挙げたまま降ろせなくなった水泳選手とか小川さんらしい不思議な状況が出てくるものの、主人公が小説家ということで、なんとなく自叙伝的な物語のような気がしながら読んだのですが、どうも違うようです。 独特の雰囲気があります。 現実と虚構の境目のあいまいさとか、全体を流れる暗い喪失感だとか、いかにも「物語」なのです。ただ、それを通して小川さんが語ろうとしている何かが掴めないのですが、もともと掴む必要もないのかもしれません。
0投稿日: 2014.02.06
powered by ブクログすごいな…盗作のオチはなかなか鳥肌が立った。うーん。きっと私には読解力が足りない。もっとなんかあるはずだしそう思わせるのだから実際にあるのでしょうが。ふうん。
0投稿日: 2013.12.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
短編集だけど主人公は同じ。深い井戸の底の水をのぞくよーな小説である。すばらしい。個人的には「キリコさんの失敗」よりは「盗作」が一番好きである。
0投稿日: 2013.10.31
powered by ブクログ短編集で、所々に小川洋子の別の作品のアイコンが散りばめられていて、彼女の作品を読んでいる人にはたまらん一冊。 物語自体も、小川洋子特有のオマージュや隠喩が散りばめられていて、人の内面を鋭くえぐるというより、やんわりと押し入ってくるような風合いの作品ばかり。 ちょっと難解な所も私は好きです。☆4つ
1投稿日: 2013.10.20
powered by ブクログ小川洋子はとても高く評価している作家さんである うん~???と思うことがほぼない作家さんである 江國 香織の「なつのひかり」を読んだときにも感じた不穏さ・・・ 不穏?なんで?と思う方もいらっしゃるだろうが 個人的感想として、不穏な空気を感じた 正直、苦手なお話 ただし、これまでに読んだ作品の崇高さから 作家さんの評価は変わらずハイエンド 少しガッカリしたので星は3つ
0投稿日: 2013.09.25
powered by ブクログしみじみと小川洋子の作品世界に浸れる短篇集。解説の川上弘美は、これを小川洋子の短篇集ベスト1にあげる。全部で7編の作品を収録するが、そのいずれもが、小川洋子本人を思わせる主人公による1人称語り。もちろん、そのようなスタイルをとった、巧みなフィクションだ。日常の、ほんの僅かな辺縁に潜む非日常を描く小説作法は本当に見事。川上弘美の推す「キリコさんの失敗」と「盗作」が特に秀逸か。小説家、小川洋子の「核」を見るかのようだ。ただ、作品集後半の、指揮者との擦れ違いを描く一連の作品群は、やや迫力を欠くように思う。
0投稿日: 2013.09.24
powered by ブクログジャンルは何やろ?ファンタジー?ホラー?自分には分からん・・・。 『エーデルワイス』と『時計工場』は特に分からん。弟とか老人は誰?共に指揮者が出てくる話やから何かの隠喩(?)かなぁ? 表紙からほのぼの系を想像してたけど読んでみてゾクゾク系に感じた。もしかすると女性には分かるのかも知れないが、とにかく自分には難しかった。 表紙のイメージに比較的近い感じの「キリコさんの失敗」は好き。セクシーなキリコさん大好き。でも、お手伝いさんを雇うぐらいの家やのにケチで周りが見えない母親は怖かった。
0投稿日: 2013.09.07
powered by ブクログ別の短編の話しが絡んできたりして 小川作品好きには面白い一冊。 この人の書く文章の雰囲気が大好きです。
0投稿日: 2013.08.24
powered by ブクログひとりの女性作家の人生の一部から 連作を通して、 普段気付かないような温かくて大切なものを気付かせてもらったように思った。
0投稿日: 2013.04.26
powered by ブクログ「失踪者たちの王国」「盗作」「キリコさんの失敗」「蘇生」がよかった。 あたしとは違う温度感を持つひとから見たお話なのに彼女の周りに起こった事、見た事があたしの頭の中で精彩に浮かび上がる。 キリコさんのような生き方はステキだ。 自分に想いがあり、もしかしたら伝わる人には伝わるかもなくらい。 多くを語らない。 「盗作」のあの頃のわたしに必要だったとのくだりになんだかとっても共感した。私も一時とても必要としていたものがあってそれを得てたかどうかもあやふやなんだけど、そんなときに道義的かどうかはさして問題じゃないのだ。 アナスタシアもステキなご婦人だった。
1投稿日: 2013.03.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
大分前に読んだので、粗筋をまとめる為にパラパラ読み直しました。相変わらずの、美しく優しい小川ワールド。もうこの方の作品は外れることないんじゃないかな。やっぱり大好きだなってことを改めて再確認。私、毎回ブクログで小川先生に告白してるわ(笑)。 連作小説って、視点を変えたりドンデン返しの要素が入ったり、なドラマ性を楽しめる類の性格だと思うんですが、やっぱり小川作品は一味違います。静謐です。単調です。それが良いのです。 章毎に主人公の過去のエピソードが語られるのですが、その内容がすごくファンタジックなのに、主人公の人生がリアルに肉付けされていく感覚がとても心地良い。生々しい人間の人生を見せられているのではなくて、飽くまでも“ファンタジーな世界のキャラクタ”が、章を読み進むに連れてリアルさをまとっていく描写が、最後までそのファンタジー性を失わずに描かれています。 何でこんなに心地良いんだろう? 何作読んでも、これほど惹かれる要因が、世界観なのか言葉の綴り方なのかそれ以外の物なのか分からないなー。好きなら好きでいいじゃん、で済ませばいいんですが、何でこんなにドンピシャな所を毎回突かれるのか、気になるんですよね…。いくら好きな作家 って言っても、お気に入りとそうでない作品って出てくるものなのに、小川作品に限ってはそれがないからなあ。不思議だ。 ◎失踪者たちの王国…私の隣には、いつも失踪者の影があった。何の前触れもなく、彼らは静かに行方をくらます。そして私は、彼らの記憶の依り代である乳歯や傷跡や嘔吐袋に、思い出を蘇らせるのだ。 ◎盗作…弟が死んでから、私達家族の日常は崩壊した。アパートを追い出され、恋人は横領容疑で逮捕され、交通事故の後遺症で病院通い。そんな惨めな日々を送る私の前に、ある日一人の女性が現れた。彼女はやがて、自身の弟に起こった不思議な体験を話し始めたが…。 ◎キリコさんの失敗…お手伝いさんのキリコさんは、なくし物を取り戻す名人だった。私が困っているとたちまち解決してしまう魔法使いのような彼女が最後に見せてくれたのは、大きな代償を払った素敵な贈り物だった。 ◎エーデルワイス…コートやズボンの内側に私の著作を縫い付けた男は、自分が死んだ弟だと奇妙な主張を繰り返す。私の本をこよなく愛し、生活圏に気づけば不意に佇む奇妙な男との交流。 ◎涙腺水晶結石症…愛犬、アポロが病気になった。 ◎時計工場…小説を書いている時、私の心は時計工場にいる。物語を構築する作業は、時計を作る作業に似ている。 ◎蘇生…ある朝起きると、声が出なくなっていた。治療に訪れた病院での、アナスタシアを名乗る老女との奇妙な交流。
2投稿日: 2013.03.01
powered by ブクログ再読。作家、息子、犬のアポロ、そして弟。著者の作品に頻出する(気がする)これらのモチーフをたっぷり味わえる短編集。薄気味の悪さと静けさ。それでもそこに何かがあるのではないかとつい覗き込んでしまうような、不思議であまりにも独特の世界。
0投稿日: 2013.01.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ある小説家の、小学生の頃からいまに至るまでの連作短編集。 裏表紙に『美しく、切なく運命のからくりが響き合う傑作連作小説』とあるように弟や夫、さらには言葉さえも失ってしまう主人公のもとに訪れるささやかな『祝福』が絶望的な状況を毎回救ってゆきます 作者が確立していった静謐な世界観で淡々と、ささやかな優しさも込めて書かれています。小川洋子の作品を読むようになったきっかけとなった作品でもあります 同作者で有名な『博士の愛した数式』と比べると感動要素や救いは少なめで暗く重い連作短編集ではありますが、私はこの作品と『ブラフマンの埋葬』が彼女の作品のなかでは特に好きです。彼女の持つ暗さ、明るさがうまく調和した作品だと思います
0投稿日: 2013.01.14
powered by ブクログ文体と質感は素晴らしい。けれど、読破しても「で?」となったまま、なんとも言えないもやもやだけが残る結果に。細切れが連作になっていない感じが、苦手。
0投稿日: 2013.01.14
powered by ブクログ『博士の愛した数式』が面白かったので、他の作品も読んでみたいと思い買ってみたのですが… 何とも言えない奇妙な話ばかりですね。 私には合いませんでした。
0投稿日: 2013.01.12
powered by ブクログ小説家の「私」を主人公とした連作短編集。 ホラーとファンタジーのあいだで揺らぐ不思議な物語ばかりである。 『盗作』は『まぶた』に収録された『バックストローク』が作中作のような形で出てくる。 読んでいるときはその点に気を取られたけど、読み終わるといろいろな受け取り方ができる物語の深みに気づいた。 冒頭作の『失踪者たちの王国』が好み。 最近小川さんの文章や世界が本当に好きである。
0投稿日: 2012.10.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
短編集。話を描く女の子・女性たちの物語。何話かつながってるのもあるっぽい。 小川さんの作品の中では、私はあまり好きじゃない部類に入るかも。 ただ、不思議で。すごく絵になるっていうか、イメージが印象に残る。 黒ずんで冷たくなってしまった動かない腕をもった男の人。 水の袋 本の袋を取り付けた男。 好きじゃないっていうのも、イメージが湧きすぎて、いやなシーンがあるせいかも。綺麗じゃないって言うか、何て言うか。いや、表現できれいな気がしてくる。でも…うーむ 「キリコさんの失敗」の話は、リコーダーのとことか好きだな。 失踪者たちの王国の雰囲気っていうか、失踪していくその空気感?は好きかも。 何て表現すればいいのか、よく分からなくなってきた。いつかリベンジ
0投稿日: 2012.10.11
powered by ブクログ不思議な世界観。「涙腺水晶結石症」では愛犬アポロの病気に付いて書かれている。とても温かく感じた一作。「キリコさんの失敗」が秀逸。
0投稿日: 2012.09.08
powered by ブクログ自伝? という疑問が常に頭を過りつつ読んでました。 小説とはなんだか思えなかった。 けど裏表紙には連作短編小説って書いてあるのね。 大好きなこの人の文章のリズムにゆらゆら浸ってました。 ちょっと普通じゃないかんじ だけど全部あるべきところにあるかんじ 丁寧に、ワンシーンずつ切り取っていくかんじ あぁもう大好き。
0投稿日: 2012.09.02
powered by ブクログ「まぶた」「博士の愛した数式」以来の小川さん作品。この人の小説はするすると読めて、読んでるときはとても心地いいのに、読みおわったあと不思議なくらい透明なままだ。自分の中に残らないと言ってもいい。心のささくれにひっかかりもせずに、少し離れたところで息をし続けている。そう、確かに、感情移入とかそういう感じはないのだが、それが嫌ではなくて、繰り返し眺めてはまた伏せる、静かな結晶のような。
1投稿日: 2012.08.23
powered by ブクログ7つのお話が収録された連作短編集 小川洋子ワールドとしか 言いようのない 静謐で不気味な世界観は この本でも全開です 登場人物も文章表現も らしいものばっかりだったけど 中でも小説を書く事を 時計工場での作業に例えるセンスはすごい 的確さと美しさがたまらなかった 一つ一つで見ると 面白い話の方が多かったんだけど 連作短編と言われるとうーん… 時系列がばらばらだからかなー 全体像を捉えようとすると 結局よくわからんという 感想に落ち着いてしまった← 失踪者たちの王国 キリコさんの失敗 蘇生 が良かったです
0投稿日: 2012.08.23
powered by ブクログ7つの短篇からできた連作小説。 もともと小川洋子の作品を読むたびに「静けさ」とともに「書きたいことを書きたいだけ書きたいように書いている」と感じることが強く、今回は主人公が女性作家ということもあり私小説のような話の濃さが感じられたせいか、静けさの影からはっきりとしたえぐみを感じた。 特に「エーデルワイス」。男に関する表現、特に吹出物の表現が気持ち悪い。でも一番「動き」が感じられた作品でもあった。 他の作品にも言えることなのだけれど、登場人物たちは思考し、行動し、変化しているのに何も動いていないように感じる。 この静けさが読んでいて落ち着くしきれいで好きだけれど、だからこそたまには感情の起伏が激しい人物に文章までも振り回されてほしいなんて思う。 今回やけに登場人物の骨格というか、体型・体格の描写が目にとまった。
0投稿日: 2012.08.11
powered by ブクログ主人公は同じなんだけど、章によって全く違う。小川洋子の本を読んでこんな切なく苦しくなったのは始めて。 しかし、まさか最後にあの人が出てくるとは!というか順番逆か。
0投稿日: 2012.07.25
powered by ブクログ小川洋子「言葉の標本」より。 父親からお土産に万年室をもらい、書いたものが面白い。 。。。。 百万円あったら買いたい品物のリスト、 テレビ漫画の予想ストーリー、 自分の生い立ち・みなしご編、 無人島への架空の旅行記。 。。。。
0投稿日: 2012.04.21
powered by ブクログ小川作品は日本を舞台にした海外文学である。 『博士の愛した数式』を読んで以来忘れられない名前になった小川洋子の連続短編集。時期で言えば『博士の〜』の3年前の作品になる。 まだ自分の作品の温度を模索している印象を受けた。熱を持った部分と冷たい部分が共存している。この作品から3年の時間をかけて『博士の〜』の暖かさができあがったと思うと感慨深くよめる。 ところで、主人公が男性の作品はあるのだろうか。
0投稿日: 2012.02.10
powered by ブクログある作家の半生を時系列に関係なく綴る連作短編集。 小川さんの物語と向き合う姿勢の一部が垣間見えているのかも知れない。 ちょっとした偶然が引き金となって出会う人々との関係と、悲しみを描く。 どの作品も小川さんらしい情緒たっぷりなもので、 悲しい話を集めているのに読後感は温かい。 強く惹きつけられるものがある、という作品ではない。 くつろぎの時間に一語一語を噛み締めながら読むのがおすすめ。
0投稿日: 2012.01.29
powered by ブクログ部屋にあったから、何となく、読んだ。 うーん。や 私は好きではない世界やった。 「博士の愛した数式」しか読んだ事のない私には、 小川さんの文の味がぼやけてしまっている。 え?それって美味しいの?不味いの?と。 うーん。 残念。
0投稿日: 2012.01.10
powered by ブクログ過去に読んだ本。小川洋子さんの短編集。 小川さんの書く話は、硬質な寓話っていう感じ。その硬質さが好きだ。
0投稿日: 2011.12.25
powered by ブクログ弟や恋人や犬や息子や、いろいろな形の悲しみを味わう主人公を追った連作短編集。 読みながら感じた違和感は、「こういう悲しみがあります、こういう悲しみも…」というただの描写に対して、「こう思います」という喜怒哀楽の描写の量が少ないことが原因でしょうか。 読み手自身が考えることで、その穴を埋めて初めて釣り合うんでしょうか。(何言ってるか分からんくなってきた) だから投げかけられても考えようとしない、答えがあるのなら描いてほしいと思ってしまう私のような素人には、少しレベルの高い小説でした。
0投稿日: 2011.12.08
powered by ブクログ小川洋子さんの連作短編小説。 個人的に「キリコさんの失敗」がおすすめ。 喪失をテーマに全編描かれています。
0投稿日: 2011.11.16
powered by ブクログ「博士の愛した数式」を書かれた小川洋子さんの、一話一話がつながっている短編集です。 ハッピーエンドではないのに不思議とあたたかい気持ちになれます。 大好きな本です!! 【鹿児島大学】ペンネーム:ねえさん ------------------------------------------------------------ 鹿大図書館に所蔵がある本です。 〔所蔵情報〕⇒ http://kusv2.lib.kagoshima-u.ac.jp/cgi-bin/opc/opaclinki.cgi?fword=11111047783 -----------------------------------------------------------
0投稿日: 2011.10.17
powered by ブクログ小川洋子さんの作品って、なんだか、コンクリート打ちっぱなしの壁みたいな、ちょっとひんやりしていてざらざら、でこぼこしてるな、というイメージです。いくつか作品を読んでみて。ひっそりと視界の中に入っている不自然な感じが、いいところだと思います。
0投稿日: 2011.09.30
powered by ブクログ(再読) 作家本人が主人公の連作短編集。数冊読んだ小川洋子の本で1番イイ。いきなり盗作の告白から始まる。不倫の話、愛犬の病気の話。どれも描写が美しく何度も読み返すであろう珠玉の物語。
0投稿日: 2011.09.04
powered by ブクログ「博士の愛した数式」とは全く違う種類の小説だった。 暗示的な描写が含まれており、不思議な世界で繰り広げられる物語だった。
0投稿日: 2011.08.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
時間軸のズレた短編を順不同に並べられても、 ただ読みにくいだけ。 全編通しての"繋がり"も有りそうでいて結局無いし。 僕が、最後の最後に"救い"を求めすぎたからかもしれないけど、 不思議を不思議のまま終わらせるのは納得がいかない。 『博士の愛した数式』が最高だったからさ、 余計ガッカリだね。
0投稿日: 2011.08.24
powered by ブクログ短編集ですが、ひとりの女性作家の生活を描いたシリーズものです。 私は「涙腺水晶結石症」が好きでした。 雨の雰囲気と美しい輝く石を想像すると、その情景があまりに美しくて感動します。
0投稿日: 2011.08.18
powered by ブクログ数々の受難に遭う作家の転機にいつも訪れる、ささやかだけれど意味のもった『幸福』。あっさりと読めてしまうものですが解釈のしように寄ればとても深い作品だと思います。前向きで背中を押してくれる作品ではないけれど、いやなことがあって落ち込んだ日の夜などに読んで欲しい、そんな作品です。
0投稿日: 2011.07.28
powered by ブクログどう読んだらいいのか、戸惑いながら読みました。この作者は、こんな怖い(?)話も書くんですね。
0投稿日: 2011.07.06
powered by ブクログ小川洋子さんの短編集。 失われたものを書く小説家、と言われているそうですが、これを読むとなんとなく納得。 どれもありそうでない、あったかもしれないけどない、奇妙だけど普通、そんな空気みたいな水みたいな短編集です。
0投稿日: 2011.06.11
powered by ブクログ現実と非現実を行き来する小説家の私。 連作となっているけれど、作品ごとにおだやかな躁だったり静かに欝だったり、受ける印象はさまざま。 選ぶなら「キリコさんの失敗」 今頃どうしてるのかな?キリコさん。(笑)
0投稿日: 2011.05.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
続々と映画化された「博士の愛した数式」「薬指の標本」 (実は双方共に未見)が気になっていたのですが、 どうも女性の作家が書いている恋愛小説には苦手な先入観があり、悩んだ末にこの短編集に。 個人的には「盗作」「キリコさんの失敗」「涙腺水晶結晶症」が好き。 この先、「博士の愛した数式」に行くべきか?、「薬指の標本」に行くべきか? 、はたまた「ホテル アイリス」?、いや、「ミーナの行進」?「アンジェリーナ」か?悩むところ。
0投稿日: 2011.05.08
