
総合評価
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- aizakinao"powered by"
ラブロマンスになりきれない男と女の短編集。 田辺さん作品ならではの、さらりと読みやすい大阪弁の文章が心地よい。以前読んだ乃里子三部作にも出てきた、妙ちくりんだけどやさしくて憎めない男たちが今作も盛りだくさん。寄りかかるのは良いけれど依存するのはまっぴらごめん、と地に足つけてどこへでも行ける女たちの生き様が、自分の価値観にぴたっとはまって清々しい気分になる。特に、表題作の『ジョゼと虎と魚たち』と『荷造りはもうすませて』が好きで、後者の「不機嫌というのはひとつきりしかない椅子で、片方が先に座ったらもう片方は立っておかなきゃいけない椅子とり遊びなのよ」という考えは、常に心に留めていたいと思った。
1投稿日: 2025.07.04 - 堕天使蜜柑"powered by"
ってタイトルの映画あったよな…と手に取る。 単純な私には少しばかり(いやかなり)難しい大人の男女のあれこれ。解説の山田詠美もまた甘し。
13投稿日: 2025.05.20 - nopace"powered by"
女性目線の短編集 男だが楽しめた ハードルは高かったが、やっぱりジョゼの話が一番好き 表現が難しいけど、こういう障がい者の心構えというか生き方はカッコいいと思う
2投稿日: 2025.05.19 - まっすぐ"powered by"
確固として存在する現実の生活の中に、柔らかく生々しく自分の内に秘める欲望や哲学が、様々な表情を伴って顔をのぞかせる小説。 現実と欲望を対置することによって、読者は物語世界に引き込まれる。主人公の欲望の正体を見たいと思ってしまう。恐れよりも好奇心が勝って暴きたいと思ってしまう。 曖昧さやぎこちなさや気まずさといったものがたち現れても、最後にやはり「自分」が残る。 それぞれのお話でもちろん「自分」の残り方は違う。逢瀬を経たり、別れの準備をしたり、身体を重ねたり、言葉を交わしたりする中で、「自分」は変わったり変わりそうで変わらなかったりする。 越境や交差。そのぎりぎり、スレスレのところで「自分」は揺らぐ。しかし確かに残る。その心の機微が非常にうまく表現されている。 多様な色彩を帯びて、温い、この本を抱きしめて眠りたい。 そしたら俺も「死んだモン」になれるのかな。
12投稿日: 2025.05.09 - いぬ心地"powered by"
ずっと読みたいと思っていた作品、ようやく。 田辺聖子の描く、静かに何かを悟っている大人の女性像が本当に素敵。 男は女が何を悟っているのかに気付けない。 秘すれば花。 この小説に登場するのは男が中心の生活を送る女性では無く、生活や仕事に向き合って手慰みのように男と遊ぶような女性ばかり、その余裕っぷりたるや。 別にあんたが居なくても生きていけるのよ、と男たちに感じさせるような女性たちにやられた。 行間が広くて、文章からも登場人物たちの余裕みたいなのが感じられる、素敵。 解説が山田詠美なのも個人的にめちゃくちゃ嬉しかった。 田辺聖子もっと読んでいきたい。
13投稿日: 2025.04.19 - 鈴蘭"powered by"
初めて田辺聖子を読んだ。 大人の女性、それも手に職があり地に足のついた、賢い女性の恋が、解像度高く美しく描かれていて、ぐいぐい読まされた。 恥ずかしながら著者について何も知らないが、著者自身もとても賢い方だろうと思った。 昭和に書かれた本にも関わらず古いと思うことなく読める。 結婚という形に囚われない恋に漂う空気感をすごくよく捉えている気がして、それが言語化されていることに感動した。
7投稿日: 2025.04.13 - ふがし"powered by"
つりあいのよく取れている。 バランス感覚と説得力を持つ作品集だ。別れの寂しさと、それが過ぎ去った後の解放された様なきもち。 この説得力が、僕の気持ちをとてもざわざわさせる。 それにしても、西の言葉ってすてきだ。 表題作のジョゼと虎と魚たち、これはぼくの中の大事な、振り返ったあの日に近づけてくれる。
0投稿日: 2025.04.04 - 門哉彗遥"powered by"
あかん男がようさん出てきよった。だらしないっていうか、情けないっていうか、自分本位でわがままっていうか、そんな男がばっかしでもないけど、ほとんどの話はそうやったなぁ。それにひきかえ、女の人はなんか魅力的やった。ちょっと年上っていうのが多かったな。んで、若い子をたぶらかすってまではないけど、ちょっとええ感じにさせるっていうか。オトナの女の人ばっかしやった。
0投稿日: 2025.04.03 - 読むOL"powered by"
田辺さんが描く恋愛小説は生々しいと思う。 側から見るとなんだか面倒くさくて、複雑そうな関係なのに本人たちはまぁまぁ幸せそう。最初は不思議だったけど、恋愛ってそういうもんだったなと思い返した。当事者じゃないと分からないことがたくさんある。感情移入せず、まるで恋愛話を聞いているかのように読み進めた。結局、あなたたちが幸せならそれでいいんじゃない?と登場人物たちに声をかけたくなった。
12投稿日: 2025.03.30 - s"powered by"
10年以上前に映画は観ていて、正直あまり残っていなかったが、 最近読んだエッセイで小川洋子さんが敬愛されている作家さんの本だという事で、俄然に興味が湧き読た 表題のジョゼしか知らなかったけど、 短編集で其々不倫やらなんやらと直球な恋愛話ではなかった でも1発目から好きだ とても艶かしい文脈 ジョゼめっちゃ可愛い 虎のとことかキュン死 もっかい映画も観てみよ 所々に出てくる地名が地元の近くなのも嬉しい
0投稿日: 2025.03.28 - 胡喜媚"powered by"
特徴的な方言や言い回しが読んでいて気持ち良い。 時代もあるのだろうが、不倫や浮気が気軽に行われており、共感できないなー、救いようがないなー、と思うストーリーもあった。 その中でも苦手なカップリング(歳の差、未成年、叔母と甥っ子)であるはずの『恋の棺』が、なぜか個人的に一番好きな短編だった。美しい文章と、背徳感。。
0投稿日: 2025.03.27 - ばんばん"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
どの話も好きだったけれど、ジョゼと虎と魚たちはタイトルにもなっているとおり、他とは違う 心にずしんとくる余韻があった。田辺聖子さんの表現が好きだ。 山田詠美さんの解説「-そして、時には自分で意識していなかった真実を指摘されてぎくりとさせられる。思わぬところでさらけ出された自分の正直さに少しうろたえることもある。けれど、その感情は決して不快ではない。」にすごく共感した。
0投稿日: 2025.03.21 - なぽり"powered by"
二重人格だって他人から指摘されたら、私だったら笑ってしまう。ずいぶん平面的に人を捉えてるんだなと。 相手によって態度が変わったとしても、そういう態度をとろうと選んで振る舞ってるのは私だから、全て私なのに。
0投稿日: 2025.03.09 - nt"powered by"
原著1985(昭和60)年単行本として刊行。 1年以上前、連作歌曲集「やさしい恋愛小説集」という曲を書くに当たって、若い女性作家の手になる恋愛小説を読み漁った際に、本書も「おすすめ恋愛小説」と紹介されているのを見かけて購入したが、後回しにして読まずに放置してしまった。 田辺聖子さんは1928(昭和3)年生まれ、長命91歳にして、2019(令和元)年に没。私より41歳も年上の世代で、芥川賞を受賞したのも1964年と古い。 この人の名前は私が高校生の頃にも当然知っており、書店の棚にはこの人の文庫本もずらりと並んでいたはずだが、当時の私はいかにも恋愛小説っぽい女流作家の小説はどうも読む気にならず、スルーしてしまった。したがって田辺さんの作品を読むのが今回が初めてである。 だが、かなり良かった。 文章はやや古めの語彙も出てきて、やはり時代の違いが現れているのだが、平易で読みやすいことは揺るがない。そしてときどき、詩のきらめきのような表現が出現したりもする。 そうして内容は、まったく古びたところはなく、清新なのである。微妙な心の綾を捉えていて、感心する。その微妙さが、同時に軽さでもあって、魅惑的なのだ。 どの短編も良いが、とりわけ表題作は、主人公が極めて魅力的で、ラブリーな1編だった。 この作品集のような微妙な味わいは、高校生の私には理解しきれなかったかもしれない。
0投稿日: 2024.11.14 - すう"powered by"
9篇の短編が収められているが、もちろん最高傑作は表題にもなっている「ジョゼと虎と魚たち」であろう。「おもろうて、やがて愛しき」とでも言いたくなるような珠玉の短編である。
0投稿日: 2024.11.07 - fastrocktail"powered by"
お見それしまた田辺聖子さん。エロいです。タイトル作のジョゼと虎と魚たち。障害者の女性にセックスを「幸せは死と同じ」と言わしめる。「ここになあ、白いもんが見つかるようになってから、男と女は楽しおすねや」といつも初めてと交し合う「雪の降るまで」としっぽり生きている女のこころの襞を味合わせてくれる。すごいな!
0投稿日: 2024.10.31 - みみみん"powered by"
どこか飄々とした独特の語り口が癖になる短編集。全ての作品が関西弁で書かれているのも面白かった。だいぶ昔に書かれたものと知ってちょっとびっくり。影響を受けた作家さんたくさんいそう。恋愛と仕事をいいバランスで楽しんでる女性たちが多く書かれてる感じで、現代とそうかけ離れてもいないのがすごい。
0投稿日: 2024.10.13 - nakaizawa"powered by"
(アマゾンより) 車椅子がないと動けない人形のようなジョゼと、管理人の恒夫。どこかあやうく、不思議にエロティックな関係を描く表題作のほか、さまざまな愛と別れを描いた短篇八篇を収録した、珠玉の作品集。
0投稿日: 2024.09.09 - のりぞ"powered by"
短編集。 今なは亡き父親が面白いと言っていた田辺作品を、初めて読む。 官能とイノセンスを両有する恋愛小説だった。 表題作品は映像化されているが、こんな短編を?というよりも、映像で観てみたいという気持ちが勝るのは理解できる。 好きという気持ちを虎や魚に置き換え、それをさらに映像でどう表現するのか観てみたい。
13投稿日: 2024.08.14 - まーふぃ"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
お茶が熱くてのめません 昔は吉岡に振り回されていたあぐりが自身の脚本のヒットと吉岡の会社の倒産で立場が逆転して縋られる顛末をあぐりの心情を中心に描写 立場が変わるだけでこんなにも女性の態度が変わるのかと思うと少しゾッとした。 うすうす知ってた なんかまったり生きてたら置いてかれるよね、まぁこの主人公も危機感忘れちゃったみたいだけどって話 恋の棺 好意と冷たい分析とは、宇禰のうちで抵抗なく両立している。 子を持つということは限りなくエゴを知ることだ。 性格の悪い1面と純粋な一面があるのが少し共感出来たかも。二重人格とは行かないけど自分の中でふたつの主軸があるみたいな それだけのこと 不倫カスのお話ね、 荷造りはもうすませて 不機嫌というのは、男と女が共に棲んでいる場合、ひとつっきりしかない椅子 どっちか先にそこへ座ってしまったら、あとは立っていなければならない椅子取り遊び。自分が座っちゃいけない 旦那が子供に定期的に会いに行くけどそこに元妻もおるの黙ってたってなかなか嫌やなその家の支援しなきゃ行けないのも嫌だし いけどられて 浮気されて元旦那に出ていかれるけど飄々としている女性の物語 人情味はあるけど心持ちの広い様子を描写し続けるから少し違和感を持ちながら読み進めるけど、その違和感の正体がいけどられる彼に対比される放たれた身にあることがわかる。たしかになぁ。 俺も浮気された時喜怒哀楽で言ったら楽だったかも。ずっと縛られてたような気がしてたからか。浮気別れだったから失望が勝ってとか考えてたけど、俺も放たれたことに安心してたんだな。 ジョゼと虎と魚たち 完全無欠な幸福は、死そのものだった。 アタイたちはお魚や。「死んだモン」になった 障がい者を巡る、少し遠い世界のような身近にある話。完全無欠な幸福が死か。そうか。
0投稿日: 2024.07.28 - 2126025番目の読書家"powered by"
ジョゼの深い孤独を海と捉えて表現するのは凄く重くて神秘的だった。 本人もわかっているけれど今だけは幸せでいたい、そんな重い感情がさっぱりして聞こえてくるのは関西弁の良さなのかもしれない。 凄く好きな一冊です。
0投稿日: 2024.07.09 - こゆき"powered by"
人生経験や余裕が、女としての魅力につながっているんだろうと思わせられた。 「不機嫌というのは、男と女が共に棲んでいる場合、ひとつっきりしかない椅子なのよ…」 人の機嫌が悪いと自分も不機嫌になりがちな自分に刺さる言葉 「ジョゼと…」では、女性障害者が脅かされている性被害の現実と、障害者と恋人関係になる現実の大変さ(時代によって変わってるとは思うけど)ありありと描かれていた
0投稿日: 2024.05.17 - 田舎っ子"powered by"
9つからなる大人の恋愛短編集。昭和に発行された小説ということもあり、恋愛観、世間体が一昔前の感覚で、現代の感覚と比べると考えられない部分も多くあるけど、またそこが小説を通して面白おかしく体験できた。9つの物語には女性のドロドロとした感情が文字として表れていて、昔も今も妬み憎しみといった感情は消えないんだと思った。
2投稿日: 2024.04.01 - ISSP Library"powered by"
物性研の所内者、柏地区共通事務センター職員の方のみ借りることができます。 東大OPACには登録されていません。 貸出:物性研図書室にある借用証へ記入してください 返却:物性研図書室へ返却してください
0投稿日: 2024.02.08 - ひとみん"powered by"
田辺先生の書く女性たちが魅力的。昭和の本だけど全く古くない。 『雪の降るまで』はどこかで読んだことがあった。こんな京都の隠れ家でしっぽり…最高すぎる。 『それだけのこと』の指人形チキを介した男女の会話も素敵。
11投稿日: 2024.01.30 - kh"powered by"
メディア化のイメージがあったから割と最近の作品かと思っていたが、読んでいて違和感。なんと同級生。キッチンとかそんなん。文体や描写が似ている感じ。 お茶が熱くてのめません 強い女性と残念な男性、という構図。強いんだけど、強さの中にコロッといきそうな柔らかさ、弱さ?もあるもんだなぁと男性として夢見てみる。 うすうす知ってた 夢見る少女、拗らせ、ピーターパン、魔法使い。妹の婚約者に、直接じゃないが上気するって言うのがおもしろい。このシチュエーションで、嫉妬ではない感情が先に立つというのが、好意的な意味でわかるようなわからないような。自分のようなコンプレックスや自尊心ではなかなか。気持ちが昂って奇声を出すというのはわかる。 恋の棺 強くて余裕のある女。二重人格というがどんな面も一人の個人。振る舞いたい願いや立場が折々変われば一貫性が取りにくい それだけのこと ラインを超えてないようで超えてるけど超えてない話。一人称視点の効果で、人形のセリフがつかみどころなくてファンタジー。恋人とか愛人とかじゃなくて好きな人。陳腐なようで、中年には新鮮。 荷造りはもうすませて 不機嫌というのは、男と女が共に棲んでいる場合、ひとつっきりしかない椅子なのよ。どっちか先にそこへ坐ってしまったら、あとは立っていなければならない椅子取り遊び。自分が座っちゃいけないのよ。 人生の上澄み…本妻なんだけど苦難のない暮らしというのが不安か。家族ってしんどいとこもあってこそ、と真理なのか、隣の芝生は青いのか。 いけどられて 自分がおかしいのかと思うくらい、ナチュラルにクズ男と間女。まともに会話できないので夢から覚めて、枷が外れて放たれる。一つ前の作品と並べて、作者は結婚や家庭にどういうイメージを持っていたのだろう ジョゼと虎と魚たち 綺麗な話。登場人物が若いからかな。クセはあるがエグ味はなく、確かに映像化に向いてる。けどここまでの作品群とは色がずいぶん違っている。 男たちはマフィンが嫌い 別荘で3日待たされる。いいなー! 連はなにか変わったわけでもやらかしたわけでもないのに、急に心変わりしたのはミステリー 雪の降るまで 甘美で優雅な大人の関係。夏目漱石とか川端康成とか 人生の慈しみ方 あとがきより
1投稿日: 2023.12.02 - Anony"powered by"
感想 いつかは終わる。なぜ当たり前のことが受け入れられないのか。それさえ受け入れられれば今よりもっと楽しく、瞬間瞬間を慈しめる。
1投稿日: 2023.11.07 - r00shimizu"powered by"
大人だったら、男女問わずわかる世界。 それぞれの短編で、いずれも後に引きずって想い巡る。 それとほんのりエロチシズムが心地よい
1投稿日: 2023.10.29 - m.cafe"powered by"
9編から成る恋愛小説集。 主人公の女性たちは、ドラマのシナリオを書いていたり、インテリア関係の店で働いていたり、フラワーデザイナーをしていたりと、それぞれ仕事を持っています。 とても柔らかい関西弁で、ユーモアがたっぷり含まれていて、一つ一つが味わい深く、一気読みするのがもったいないくらい。 内に秘めたる女ゴコロを、時に色っぽくせつなく書かれた素敵な男女の関係は、恋愛というより、秘め事と言ったほうがしっくりきますね。 言葉一つで、嬉しくなったり、せつなくなったり、小説ってほんとに面白くて楽しい。 したたかな女性たちの、いろいろな生き方が、人生に深みをもたらしてくれます。
41投稿日: 2023.06.21 - 黒岡伸治"powered by"
作家の本は2,3冊目? かな 全体的に何時るのは「男女対等」で男が面白いことあると思うが、女にも面白い事あるよ、という感じで、戦後の時代背景もある中で、自立心のある主人公が描かれている 賢いのもエロのも対等 ていう感じ NHKのドラマ「芋たこなんきん」をみておもろいな〜(名坂大阪弁)と思い読んでいる この本は短編集で、全9話 田辺聖子さんは2019年にお亡くなりになっているが、個人的に生前は全く興味もなく「おばちゃん作家」で名前は知っているていう感じだった 若いときから天才的に書き手らしく、いまさら「へ〜」と思っている
0投稿日: 2023.06.18 - mii555"powered by"
これくらいの歳の頃の女性心理をうまく現してるなと思った。 世代がちょっと上だけど、昭和生まれの私としては、この感覚、まぁ分かるなと。 表題の「ジョゼと虎と魚たち」、映画にもなったから分かりやすくはあると思うけど、男性が読んだら、この胸を掴まれる感じ、分かるのかな…??
1投稿日: 2023.04.30 - とったす"powered by"
初恋の初々しさを思い出させてくれるような短編集。 緊張と不安でぎこちなくなったり、 妄想をふくらませてうきうきしたり、 周りと比べて自信を無くしたり、 読んでいて気恥ずかしくなるようなうぶな場面もあるのだけれど、ときめきは不安がとセットでやってくるよなぁと、長らく感じていない気持ちを思い出させてくれる。 表題作の短編は映画の方が初恋を経て成長していく姿にフォーカスしていて個人的には好みだった。
0投稿日: 2023.04.01 - RLia"powered by"
「ジョゼ…」アニメを見た後、原作と違うというレビューを見かけたので興味が湧き購入。 確かに、アニメは原作を参考に書かれたという方が合うのでは?と思うほど別物。 きれいに展開させ、泣かされ、きらきらした結末のディ○ニー風ストーリーのアニメも好きですが、現実的でジョゼの障害は焦点ではなく単なる事実としているこの原作も好きです。 恒夫とジョゼがどこにでもいそうな若者だというところも良い。 「雪の降るまで」の主人公には共感は出来ませんでしたが、その他の作品には、いくらか人生経験を積んだ上で冷静に見つめることができる(自分自身・環境・将来)について共感・理解できる事が多くありました。 諦めからくるものが少なからずあり、最後はどれもちょっと切なくなりました。 多分、これが初めての田辺聖子さんの本。 話の終わり方やタイトルのつけ方も気に入りました。
0投稿日: 2023.03.14 - すよ"powered by"
田辺聖子さん名前は知ってたけどこの年まで読むことなく来てしまった。オーディブルにあったから早速読んでみることに。 なかなかあのおばあさん(国語の教科書とかにはおばあさんの写真だった)から飛び出てこなさそうなセンセーショナルな単語たち。(笑) すごく面白かったから他の本も読みたい。ジョゼと魚と、ってどんな話なのか分からなかったけど、なかなか下町感のあるいい話だったな。
2投稿日: 2023.03.09 - karulion"powered by"
初めて田辺さんの本を読んだ。 寝る前に読みたくなるような、心落ち着く本でやみつきになった。言葉遣いがとても好き。 他の本も早速今日買いに行く。
2投稿日: 2023.03.04 - ブンコ"powered by"
今回でニ回目の読了。女性は本当に頭の中であれこれと考えを巡らせることが好きだなと改めて思う。きっと相手に伝えていることは、本心の10分の1にも満たない。その好き勝手な思考の言い回しがとても素敵で、いちいち感嘆せざるを得なかった。特に好みだった話は恋の棺、荷造りはもうすませて。なんだか艶かしい女性になれたような、読直後に会った男性にはほんの少し意地の悪いことをあえて言ってしまえるような、そんな高揚感。他の作品と少し毛色が違ったのが、表題のジョゼと虎と魚たち。「一ばん怖いものを見たかったんや。好きな男の人が出来たときに。怖うてもすがれるから。…そんな人が出来たら虎見たい、と思てた。もし出来へんかったら一生、ほんものの虎は見られへん、それでもしょうない、思うてたんや」ジョゼの言葉泣けたな。そして読了ニ回とも感じたことは、この小説を締め括るのが山田詠美さんのあとがきで本当に良かったということ。きっとまたいつか読み返すと思う。
0投稿日: 2023.03.01 - 四畳半主義者"powered by"
この本とは、京都で出会った。 京都の本屋さんで、Blind Date with a Bookとして置いてあって、中身がわからないまま買った本が、この本だった。この本につけられたコピーは、ここでは言わない方が良いか。短いコピー文に惹かれて買った本。大正解な出会いだった。 開いて読み始めてみると、その世界観にのめり込んだ。全9篇の短編、それぞれが女性目線で、描かれた女心が本当に繊細。あるある、と思うような気持ちを曖昧さを残しつつ、感覚的にここまで言語化できることに驚いた。主人公と自分を重ねるというよりは、みんなと集まって一人一人の恋バナを聞いているような感覚。話を聞いて、その人の価値観を知って、自分はどうだろうと思わせられる。色んな人がいて、色んな結末がある。和やかに見えるみんなそれぞれ悩みを持っている、この本は私にとって心強い存在になりそう。 独特な言い回しや関西弁に私は引き込まれたな。森見氏といい、特徴的な言い回しの人が好きなのかもしれない。自分にはないから。
0投稿日: 2023.02.17 - あんどう"powered by"
昔映画を見て原作があるのね、と思って読んだ。こっちのラストの方が好き。山崎まさよしの「水のない水槽」のイメージ。
1投稿日: 2023.02.12 - syiki"powered by"
男を翻弄する女、しかし女自身も心ゆれている――つかみどころのない、ゆくえも知れぬ欲望がそれぞれに見える9篇。足もとが暗いまま、先の展望もうかがえないような閉じ方ばかりでちょっとした"愛とホラー"? 『恋の棺』が印象深く、ゆっくりかみしめるように読んだ。 10歳下の甥っ子の「世間知らずのういういしい信頼」を、そうと看破しつつも「兇器をかくしもったやさしさで」自分の望む方向へもっていってしまう宇禰。主導権を握ってストーリーを作り上げたけれど、うつくしく完結したらそれを繰り返すつもりはない。若い男のほうは"このさきも、また"を欲していると分かっていながら・・・。 それが「女の生きる喜び」と言い切る宇禰は、悪女なのか、愛を知らない寂しい女なのか。 『荷造りはもうすませて』もいいなぁ。夫が前妻と子どもに会いに行く、そのことについて女があれこれ思いを巡らせる話。
1投稿日: 2023.01.20 - namu"powered by"
途中でギブアップ。 昔の言葉遣いや関西弁についていけなかった。自分が関西圏に住んでいないからか、関西弁が出てくると脳内でぎこちない関西弁に変換されて冷めてしまう。
1投稿日: 2023.01.12 - MIHO"powered by"
朝ドラの再放送、芋たこなんきんを見て手に取った本。 短編小説で、女心が描かれている。 通勤時や喫茶店で読むより、流ノ介はわからないけど、寝る前に読むことが多かった。
0投稿日: 2023.01.09 - ますたぁ"powered by"
表題作を含む9編の短編集 元彼が訪ねてきたり、妹が結婚したり、甥と怪しい関係だったり、夫が元妻の実家に定期的に行っていたり、浮気相手が妊娠して離婚する夫にお弁当を作ったり等など 本来は怒りや戸惑いなど激しい感情を抱いてもいい状況なのに心の在り方が冷静な女性視点の話が多い 人はこんなに冷静にいられるものなのか? 関西弁が多く使われているので、ニュアンスを完全には理解できていないというのもあるのかも 巻末解説の山田詠美さんも、登場人物の女性たちの優しさについて言及している 田辺聖子の良さは男には理解されても困るということらしい となると、私の感想はそう間違っては居ないのでしょうね さて、ジョゼと虎と魚たちのアニメ映画を観たので原作を読み直してみたわけだけれども ストーリーのエッセンスとしては一緒なんだけど、小説と実写映画とアニメ映画では主題が違ってる気がする アニメは自分の夢に向かう姿勢、実写は障がい者の我儘と性、原作小説はもしかしたら障害とか関係なく、純粋に寄り添う二人を描いているのかもと思った
2投稿日: 2022.12.22 - 読み子ちゃん"powered by"
9つの短編から成る大人の恋愛物語 どの物語も読後感よく気持ちよく浸れるお話だった ◯お茶が熱くてのめません あぐりに結婚の話を出しておきながらも 親が勧める縁談を断りきれずに 人生の舵を親サイドに委ねた後の吉岡とあぐりの再会の物語 あぐりが7年前にわかれて以来の吉岡との再会に 期待したりドキドキしたり 疑心を持ったり体裁を繕ったりする姿が愛らしい ◯うすうす知ってた うすうす知ってる自分の想像力の深さ それを楽しむ術を知る碧の姉、梢の滑稽な生き方がいい! ◯恋の棺 宇禰(うね)ことを『二重人格』と非難した前夫 その『二重人格』を熟知しながら 甥とのひと時の恋を楽しむ宇禰がかわいい 作中に一部出てくることで 西条八十(さいじょう やそ)の『恋の棺』という詩を初めて知り 全文は感慨深くネット検索にて読んだ ◯それだけのこと 子豚の指人形『チキ』の存在が素敵! 『チキ』がいたらどんな恋も無敵だね ◯荷造りはもうすませて 人生が長くなると いろんなポジションが増えて大変だなって思う 分かる 分かるよその気持ち!って思いながらえり子の 応援しながら読んでた ◯いけどられて 夫に女ができて 女は若く 子どももできて…ってどう考えても現実的には修羅場だけど…その若い女の比呂子も 夫の稔も 妻の梨恵もみんな憎めないから そこが物語チックで面白い 梨恵と稔の別れの当日を描いている一編だが どうにもこうにもほのぼのしている ◯ジョゼと虎と魚たち 表題作だけに 心揺さぶる内容だった アニメ映画化されてるようだから観てみたいな ジョゼが動物園に行きたいと希望し、1番怖い虎を見た時にこう言ってる 『一ばん怖いものを見たかったんや。好きな男の人が出来た時に。怖うてもすがれるから。……そんな人が出来たら虎見たい、と思てた。もし出来へんかったら一生、本物の虎は見られへん、それでもしょうない、思うてたんや。』(本文より) この場面が泣けた ジーンときて ジョゼかわいいなって思った ◯男たちはマフィンが嫌い 年の離れた恋 そこにまた年の離れた恋が上書きされようとする…志門とミミはあれからどうしてるんだろうな ◯雪の降るまで しっとりしていて 大人の恋だなぁと思った まあ 不倫は良くないと思うけどね 物語の中に限定すれば 不倫も素敵に思えるから不思議 旅館でお酒飲んで 美味しい料理をゆっくり食べて恋人とゆっくり過ごす…いいなぁー! 女に生まれてよかったなって思う物語たちでした
1投稿日: 2022.12.11 - ゆう"powered by"
アニメ映画に触発されて原作読みました。 短編だったのですね、思ったより短くて驚きました。 原作の方がラブラブでした。
0投稿日: 2022.10.29 - 藤原ライラ"powered by"
表題作の『ジョゼと虎と魚たち』が読みたくて読み始めました。 どの話もとてもよかった。短編ですが、登場人物たちの生活が一瞬のうちにぶわっと浮かび上がってくる面白さがあります。どの女の人もちょっと狡くて賢くて逞しくて素敵。どの男の人も、ちょっとばか純粋でいとおしい。 一番すきなのは『恋の棺』かな。 こんな好もしい、嬉しい機会は、これきり、これ一度でなくてはならない。 くりかえす気はないから底しれぬ愉悦となるのだ。 他の短編集も読んでみたくなる素敵な作品でした。
0投稿日: 2022.10.03 - はる"powered by"
表題作『ジョゼと虎と魚たち』を含む9作の短編集 つい最近アニメ版の映画をみたので十数年ぶりに再読 かなり中身が違っていて、恒夫側の描写がかなり追加されていることが印象的 アニメもとても良かったので合わせてみてほしい
0投稿日: 2022.09.30 - さち"powered by"
やー、解説含めてお洒落でした。オシャレじゃなくてお洒落って書きたくなる感じ。 田辺聖子初めてちゃんと読んだけど、すごく変な気持ちになる。自分がすごい悪くて色っぽい女に感情移入したような謎の気持ちになる。めっちゃ不思議。なんだろうか。解説にもあったような、静かに感情が溢れるきっかけになった「1枚のチョコレート」みたいに心地よい。たしかに。 わたしはすごく好きなんだけど、上手に言葉にできなくて悔しい。 恋の棺が1番好きだった。29歳のウネと、19歳のユウジ。のワンナイト。親戚で、でも2人は実は最初から愛し合っていて、その想いがお互いに届いてワンナイトするんだけど、うねは心の中でもう二度目はない、と思っている。ユウジのことが好きで仕方ない自分と、冷静で冷たくてこのままは有り得ない、と思う自分がいるんだろうな。本当に好きだけどセーブする、って女特有の感覚じゃないかな。禁断の恋っぽくて好きだった。 ジョゼと虎と魚たちはもっとほのぼの系と思ってたから違ってよかった。映画も見たい。幸せを感じすぎると人は死んだみたいになる。ジョゼが幸せそうでよかったよわたしは。 9つの短編集の中で、主人公の女たちは、恋人に会ったり、不倫相手に会ったり、元カレに会ったり、片想いの人に会ったり、好意を持たれてる人に会ったり、セフレに会ったり、いろんな男を愛していた。出てくる男がみんな、なよなよでデリカシーなくてムカつく。でも女はみんな男のことが愛おしそうだった。恋愛ってなんだろうね。 なんか、すごい色っぽい艶っぽい、イケないけど知りたい話がいっぱいだった。恋愛ってなんだろうね、っなる。 全然今胸の中にある感想を言葉にできなくて悔しい。
1投稿日: 2022.09.20 - まみ"powered by"
主人公たちの割り切った感じが新しかった。 登場人物の思想が世間の一般常識に囚われすぎないところや主人公の丁寧な心理描写(人の分析力、状況の俯瞰力がかなり長けている方たちばかり)が、村上春樹の小説と通うところがあるような気がする。
2投稿日: 2022.06.16 - く"powered by"
本編もなかなか良かったが、山田詠美の解説が格別に良かった。文庫の解説は読んでもガッカリすることが多いので読まないことが多いが、この本の解説からは、山田詠美が田辺聖子をどう読み、どう愛しているのかがひしひしと伝わり、解説とはかくあるべし、という素晴らしい内容だったな。
1投稿日: 2022.06.13 - 教養太郎"powered by"
短編全部良かったなあ。 年下にモテたいお姉さんはこれ読んだから完璧になれるよ。 ハラハラとする女性の目線で甘美でとても良かった。関西弁ええな~
0投稿日: 2022.06.11 - なつこ"powered by"
「ジョゼと虎と魚たち/田辺聖子」 ☆☆☆ 恋愛短編集。 250頁程の中に9つの恋愛小説。 表題の「ジョゼと〜」は映画にもなっているので、ご存じの方も多いと思います。 ・昔の男が訪ねてきた理由…お茶が熱くて飲めません ・妹の婚約者が家に遊びに来るという…うすうす知ってた ・私によく懐いている異母姉の息子…恋の棺 ・人妻である私とチキと堀さん…それだけのこと ・夫の実家には義母と3人と子どもたちと元嫁が住んでいる…荷造りはもうすませて ・浮気して離婚することになった夫が出て行く…いけどられて ・ジョゼは考える「幸福は死んだモン」…ジョゼと虎と魚たち ・別荘で来ない恋人を待ち続ける…男たちはマフィンが嫌い ・静かで薄暗い京都のお料理屋さんでの逢瀬…雪が降るまで 女性視点の多種多様な恋の形。 どれひとつとして身近に感じることがないというのは、つまらないのでははなく、ここではない場所に私の物語も存在すると言うこと。 だから、ここには他人の恋をそっと覗き見しているような、エロティックさが潜んでいる。 馴染みない関西弁がいっそうそう感じさせはるよかも知れまへんなぁ。 今年の22冊目
7投稿日: 2022.05.28 - 夏目ひつじ"powered by"
大人の男女関係を描いた短編集です。どこか生々しさのある日常に光を当てた読後に余韻を残す奥行きのある作品。
1投稿日: 2022.05.02 - すこべえ"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
BSプレミアムで『芋たこなんきん』の再放送をやってるせいもあってか、ふと借りてしまった。 生前のご本人が割とよくテレビに出られてたから、作品より先に大阪のおばちゃんという印象というか先入観が強くって、これまで丸々一冊手に取ったことがなかった。 表題の『ジョゼと虎と魚たち』は実写・アニメ、さらに韓国でもリメイクされた作品。内容を知ったのは、アニメ版をあさイチで紹介してたのを聞いてから。 テレビで見たことのある、強烈な大阪のおばちゃんの印象のご本人。それに朝ドラの藤山直美さんの印象を重ねても、こんな作品群を書く人だとは想像できなかった。 私が割と親近感を覚えたのは『うすうす知ってた』いわゆる「いきおくれ」の姉の心情がなんだか切実。自分の実人生とは違うのに、今となっては実人生の方が他人事のような気もしているせいか。 表題の『ジョゼ‥』はふ~んこんな話かと。途中出てくる水族館は、もしや天草の??と思ったけど、どうなんだろう。原作は実にあっさりしたものだった。どの映画も見たことないから、一つぐらい見てみたくなった。こないだ韓国版をやってたから、見に行っても良かったな。 そういえば、割と評判の良い映画って短編を原作としているものが多い気がする。古くは『羅生門』、再上映中の『ドライブマイカー』、『火垂るの墓』も原作は短編だった。短編の方が、映画製作者の創作意欲を掻き立てるんじゃないだろうか? 田辺聖子さんで思い出したことが一つある。文学部の大学の先生に聞いた話;テレビドラマの『源氏物語』のシナリオを向田邦子さんが書いたとき、田辺作品の源氏と似た描写があったとかで、わざわざ田辺さんが向田さんに電話をかけてきたのだという。向田さんは「自分は与謝野晶子版しか読んでない」と答えられたのだとか。 当時すでに向田さんのエッセー本を読んで愛読書と言ってたこともあったから、あの時に田辺さんの悪い印象が少し植え付けられてしまった感はある。 ただ軽妙な印象の田辺さんは清少納言、やや重々しい印象の向田さんが紫式部に重なる。 早逝された向田さんに比べ、田辺さんは平成まで多くの作品を残された。そんな田辺さんの作品を読まずにいるのはもったいない気がしている。また何か手に取ってみたい。
1投稿日: 2022.04.21 - yurisyo"powered by"
仕事の同僚から「読書会」なるものに誘っていただきまして、これはその課題図書だというので手にとってみた。 タイトルだけは映画にもなってたので聞いたことあったけど、内容は全然知らなくて、 短編集の中のひとつだと言うのも今回初めて知った。 …という経緯からのコチラ、 改めまして、短編の恋愛小説が9編。 あ、田辺聖子さんの作品はおそろしく昔に「不機嫌な恋人」という平安時代の恋愛ものを読んだことがあるくらいで、現代ものを読むのははじめて。 まず読みはじめて真っ先に気になるのが、 いや、コテコテすぎやしませんか? …と思わず度肝を抜かれる関西弁。 ところがこの特徴的な方言で紡がれる物語はそれぞれ、 ときに滑稽で、 ときに切なく、 ときに淫靡な余韻を読後に残してくれる。 普通に標準語だけで進む物語よりもちょっとクセになりそう。 そして、書かれた時期がバブル頃?なのかな、 時代背景がそこはかとなく漂っていて、 あの頃わたしがリアルタイムで読んでいたのは少女小説だったなぁ…などとふと思い出したりもした。 コレは同じ時期まだ幼くて読めなかった憧れた大人の恋愛小説なんだろう。 標題のジョゼと虎と魚たち。 読み終わって、この物語がいったいどんな風に映画化されたのか気になった。 劇的と言えば劇的だけど、基本振り返りの形だし、はたしてドラマになるんだろう。 なんだかんだを経た2人の関係性は、今はとても穏やかに見えるけど、 決して安定したものではない。 そういう脆さの中にあるからこその 眩しさやくすぐったさが尊い。 他の短編もテンポが良くてスルスル読めた。 恋愛小説とひと言で括っちゃったけど、 女性を生々しく描いた物語ばかり。 庇護されることに盲信的だったり、ナルシズムが凄かったり、母性に溢れていたり、神秘的でありながら俗っぽかったり、それぞれ興味深くて面白かった。 まだ読書会には行ってないけど、 良いご縁をもらえて良かった。
2投稿日: 2022.03.22 - みえはる"powered by"
映画のジョゼと虎と魚たち、原作は田辺聖子だったのかー!と読んでみた。 短編集はあんまり読まないけど、今の自分の気分にあってたのか楽しく読めた。 主人公は独立した女性が多かった。男に頼らない、むしろ手のひらで転がして楽しむような女性。 やっぱり表題作のジョゼがいちばん面白かったなぁ。
0投稿日: 2022.03.08 - yasu129"powered by"
田辺聖子作品の女性のしたたかさ、素直さ、両脚でしっかり立ってる感じ、好きだ。舞台の昭和終盤に想いを馳せながら読むのも好き。(この本の初刊は私の生まれ年に出てる)
0投稿日: 2022.03.03 - shima"powered by"
9人の女性を主人公に据えた短編集。 表題作原作のアニメ映画がきっかけで手に取った。 皆、芯が強い。 自分の人生を大切にして生きている感じが良かったです。
1投稿日: 2022.02.13 - aoi-sora"powered by"
表題作を含む9編を納めた短編集。 どれも仕事を持つ自立した女性が主人公で、男たちは頼りないダメ男。 ちょっと昭和っぽい、男女の日常が描かれている。でも古い感じはしないですよ。 関西弁で綴られているのが、心地よい。 直接的な描写がある訳ではないけど、どの作品も色気の漂う雰囲気で、オトナな感じ。 自分は、こんな色気のある大人になれていない、と違う世界の話に感じつつ、でも心の中を見透かされてドキッとする。 やはり私の中にも、この主人公たちは住んでいるのか? 9編の中で「ジョゼと虎と魚たち」は、ちょっと異色かな、と思う。 とても短い話だけどインパクトがあり、やっぱり一番好き。 他は「うすうす知っていた」「それだけのこと」 等が好みかな。
29投稿日: 2022.01.15 - jam"powered by"
『恋の棺』が一番好き。 宇禰と有二の恋。子犬のようにまとわりつく年下の男の子。かわいがってあげることも傷つけることもできる。 「二重人格がしだいにピントが合って、一重となり、完全に重なる」結ばれたのと同時に、自分が自分でいられる瞬間を味わったのかな。 『それだけのこと』より 「女は人に可愛がられるのが幸福なのだ、という神話を、女の子をもつ親は信じていますが、でも女の両手はいつも可愛がるものを求めて宙にさし出されているのではないでしょうか。」 田辺さんの小説は歳上女性と年下男性のパタンが多いような。頼りない、ダメ男や優男も母性本能の薔薇色の眼鏡をかければ魅力的に見えてしまう。そしてそれが悲恋というわけでもなく恋を楽しんでいる人たち。
1投稿日: 2021.12.30 - satoru54"powered by"
大人の恋愛。全く無縁ではないが、このような恋愛を一度はしてみたいものだ。小説に出てくる登場人物がなんとなく、可愛らしいところが、田辺さんの素敵なところ。
3投稿日: 2021.12.30 - Kei.Co"powered by"
男女の性愛を描いた短編小説集。いろんな女性が登場して、好きだったり嫌いだったり。思いの外、男性たちが印象に残りませんでした。物語の主人公はいつも女なのかも…。とか今の時代、問題でしょうか。
0投稿日: 2021.12.28 - chiakihirano"powered by"
「男の家に遊びに行って本棚に何の本があったら嫌か」という上から目線の話をしたことがあったのですが、そのときに「田辺聖子の本があったらちょっといいかも」という意見がありました。 田辺聖子は写真では人の良さそうな大阪のおばちゃんといった雰囲気ですが、小説を読むと相当な恋の上級者。実生活では友人が亡くなったあと、葬式で知り合った友人の旦那さんの後妻になっているので、そこらへんも上級者ぶりが感じられます。 ダメな男を許してしまうダメな女とか、恋愛のだらしないところを「しゃァないな」と受け入れてしまう感じがとてもよい。 六甲のホテルとか、瀬戸内海の海が見える別荘とか、京都の看板の出ていない料亭とか、舞台がずいぶん贅沢なのだが、それが嫌味にならず、「人生のおいしいものを知っている」人に見える。 表題作『ジョゼと虎と魚たち』は犬童一心監督の映画版が有名ですが、私はあまり好きではなく、これが田辺聖子原作?と思っていました。原作はやっぱりだいぶ違って二人のいびつな関係をそのまま描いています。(映画版だとこのいびつな関係にいろいろ理由をつけて「純愛」にしているところが落ちつかない。) 「あたまの悪い男や思いやりのない男に「すてきなセックス」ができるはずはないのだ。」という文章を読むと、やはり男性の本棚にひっそり田辺聖子が置いてあったらちょっといいかもと思う。 以下、引用。 いまでも学校を出て、二、三年しか経っていないような気がする。ただ、店の若い男の子は絶えず入れ替わっており、その子らが年々若くなってゆく気がする。それから流行の映画や音楽、ついこの間のモノのような気がするのが、彼らに、 「古いなあ。それはもう四、五年も前のヒットでっせ」 なんていわれたとき、 (ふーん。ウチもトシなんかなあ) と思ったりする。 白粉がうまく肌にのったり、晴れた日に新調の靴をおろしてはいたり、碾茶ごはんをほめられたりすると、梢はかなりそれだけで人生が満たされた気がする。 園児たちは黄色い帽子をふりたててのべつ幕なしにさえずり交わしていた。 無垢な少年少女を笑顔とお菓子でおびき寄せては殺していた現代ヨーロッパの性犯罪者たち、──グリム童話にありそうなおそろしい犯罪者たちの、孤独な悦楽が宇禰には少し分かりそうな気がする。 シティホテルで男を釣るなんて、よっぽど仕事も波に乗って充実しているときである。仕事から逃れて純粋に静養したいときは男からも逃げたかった。 女は人に可愛がられるのが幸福なのだ、という神話を、女の子をもつ親は信じていますが、でも女の両手はいつも可愛がるものを求めて宙に差し出されているのではないでしょうか。 (不機嫌というのは、男と女が共に棲んでいる場合、ひとつっきりしかない椅子なのよ……) (どっちか先にそこへ坐ってしまったら、あとは立っていなければならない椅子とり遊び。自分が坐っちゃいけないのよ) 二人とも不機嫌になることはできない。もし、なったとすれば、それはもう共棲みの関係を解消したときで、まだまだ共棲みしようとすれば、椅子はつねに一つしかないと知るべきである。 梨枝も稔も、ジノリのイタリアン・フルーツのデザインが好きで、紫の木の実や青い花のとんだコーヒーカップと受皿一組が一万三千円するのを、一組、一組、たのしみながら、長いことかかって蒐めて、やっと四組になったところで、稔と離婚する羽目になってしまった。 「悪かったら返すよ、そやけど時計も椅子も、みな馴れてるよって使い易うてな」 一番長く馴れてるのは、八年も結婚してたあたしじゃないの、と梨枝はおかしかった。 そしてジョゼは幸福を考えるとき、それは死と同義語に思える。完全無欠な幸福は、死そのものだった。 私はそんなにたくさんの経験はないが、少しばかりのキャリアから、「すてきなセックス」というのは年齢に限らないと思うようになった。年配者でもへたくそなのはいるし、若くても才能のあるのはおり、想像力やデリカシイの問題でもあるらしい。あたまの悪い男や思いやりのない男に「すてきなセックス」ができるはずはないのだ。 澁澤龍彦『黒魔術の手帳』 〈そんなん、教養やない。ほんまの女の教養いうたら、あんたみたいに、あれが好きな女のことどっしゃん〉 〈いや、女の、やない。人間の教養、いうんかいなあ。じっくり楽しむことのでける余裕が人間の教養や〉 「絵がよろしいように思います。わたし、水彩画の教室へ入って、気ままに画用紙、よごしてます。何も考えへんと遊べますわ」
1投稿日: 2021.12.19 - 久守 璃玖"powered by"
奔放で強かで“いき”な女性達の恋愛短編集。 『「いき」の構造』によれば、「いき」というのは “媚態”と“意気地”と“諦め”でできているらしい。 各短編の主人公の女性達は 男性を虜にする性的魅力に溢れていながら 男の思うままにならない確固たる自分を持っていて 執着が薄く潔い所があって、 まさにこれがいきな女ってやつか! あと、こういう一筋縄でいかなそうな女性の どうしようもない魅力の根源について、 解説を読んでもうひとつ発見があったのは、 “人生をいつくしむ才能”が必要ということだ。 時に刹那的、享楽的にうつる 彼女らの余裕の笑顔は、 どんなことがあっても自分の人生をいつくしんで 楽しめる度胸と才能が それを可能にしているんだろうなと思った。 37年前の作品なだけあって 舞台はちょっと昔な感じがするんだけど、 ちょっとも古びてないのがすごい。 恋愛のときめきは 時代を超えても変わらないのですね。 好きな話を選ぶとすると、 「恋の棺」と「いけどられて」かなあ。 「恋の棺」では、 優しくしてやろうか、それとも絶望させてやろうか と楽しんでいるウネさんが この恋における神様のようで、 大人の女性が主導権を握る恋愛にどきどきした。 なんだかちょっとヒドいんだけど、 ドン底に突き落とすこともできるのに 優しくしてくれるってのに なにか特別な価値を感じてしまった。 「いけどられて」は捨てられる女性の話なのに、 梨枝は“放たれた”と感じていて ちっとも不幸そうじゃない。 むしろ稔のほうが未練タラタラで寂しそう。 そんな姿を見ていると、 いつ何時だって人生を楽しむことができるし、 何そんな小さいことでくよくよ悩んでるんだい? という気がしてくる。 なんでも楽しめるんなら怖いもんなんてないのだ。 例えば何かに絶望した時に読んだら、 「もうおしまいだ?何言ってるのよ、 全然大したことないじゃない」と、 強い女性達に笑い飛ばしてもらえそうだ。
2投稿日: 2021.11.14 - あんころ"powered by"
短編だしすぐ読めるだろうと思い、買ってから2年程積ん読状態。 一気読みしたが予想以上に面白かった! 憂鬱や羨望や興奮や、様々な感情で混沌としている女性の心情を、ちゃんと言語化しているのが驚き。 分かるなあとか、自分の感情を言葉にするとこんな感じか、と思わされることも多かった。 危うい想い、危うい関係。でも、関西弁でエネルギッシュだからなんだか爽やかさすらある。 筆者のエネルギッシュな顔立ちが印象的過ぎて作品を読むまでに至っていなかったことを反省…。
1投稿日: 2021.11.04 - そーご"powered by"
ジョゼを含む、いくつかの男女の絡みを出会いと別れそれぞれで女性視点で書いた物語。 どこかどの女性も恋に盲目でありながら盲目でないといった二面性を持ち、そんな部分によさも覚えた。
1投稿日: 2021.10.27 - ゆう"powered by"
アニメのジョゼと虎と魚たちを観て原作を読みたくなり拝読しました。時代が違うのにアニメがほとんど原作通りな事に驚き、アニメとは少し違うジョゼと恒夫の関係も良かったです。2人の世界が丁寧に書かれていてゆったりした作品です。
1投稿日: 2021.10.17 - masamzo"powered by"
田辺聖子は初めて読んだが、大阪弁で交わす男女の会話が時に面白く、時に色っぽくて、良かった。そのストーリー性は、造詣が深いという、王朝文学の本歌取りをしているようで興味深い。
1投稿日: 2021.09.23 - もえ"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
表題作のジョゼ虎は突き抜けて好き。というか、他話は無責任で女に嫌われるタイプの女だから、苦手だなあってタイプがちょっと多かった……。具体的には、自分に夫が居て手放すつもりもないのに純粋な学生を弄ぶとか、甥に手を出すとか、妹の結婚に裏で色々思ってるのにはっきり言わないとか。倫理観とかがやっぱり今とは違うのかなあ……。 一番好きだったジョゼ虎について。虎と魚の対比が良いなあ。「死んだモン」の雰囲気や危うい幸せが、ハラハラするけど本物の幸せだって信じられるからこの物語が好き。 全編読んで、主人公が自分らしく幸せにこれから生きられるだろうって思える話は応援したくなるし、行動をいつか後悔するだろうって事をする女は嫌いなんだろうと気付いた。
2投稿日: 2021.09.08 - ふみねん"powered by"
化粧品の匂い、香水の匂い、人の匂いに酔いそうだった。バブルという時代と関西の舞台が相まって、濃厚で素直に愛を描いてくる。 「ジョゼと虎と魚たち」、映画を見ようと思って結局見なかったなぁ。これを機に、DVD 借りようかな。
1投稿日: 2021.09.03 - ヨッシー"powered by"
表題の映画を観に行った昨年末に文庫版を買って、読み終えたのが今という体たらく。 映画と原作では内容がだいぶ違うと聞いていたので興味本位で開いてみたらまさかの短編集。しかも映画館で観た「ジョゼと虎と魚たち」の雰囲気からずいぶん時代が遡る話ばかりで最初は面食らってしまった。内容はどれも上品な大人の女性の話、という感じで、古風な文体や言い回しが自分の好みにはあまり合わなかったのだけれど、ジョゼの話だけは映画の印象が強く残っていたからか(他の話に比べて登場人物が若いから、というのもあるかも)落ち着いた色調の短編集の中で、ひとつだけ色鮮やかに輝いているように思えた。 この作者の作品を読むのは初めてだったけど、女性特有の機微を書かせたら抜群に上手い方、という印象でした。
0投稿日: 2021.07.19 - loststar19"powered by"
タイトルの「ジョゼと虎と魚たち」が気になり、手に取った一冊 女性が主役の短編集。出てくる女性がしっかりと芯を持ってて、男がみんな弱々しく見える。 男の俺からすれば何とも感想が書きづらい作品。 「ジョゼと虎と魚たち」が一番好きかな。
1投稿日: 2021.07.05 - ミカンミカン"powered by"
顫動している底なしの深い罠、そして鰐口のような罠を持つ年増女の余裕が隅々に感じられる面白い作品でした。今通勤電車の隣に座っているおばさんもこの作品に登場する隠微な女性たちの一人なのかもしれません。 それに比べて男はほんまにアホばっかりです。ひとたまりもないとはまことにこのことです。底なしの深い穴、おいなる暗闇には太刀打ちできるはずはこれっぽっちもないことを、田辺聖子さん、教えていただきました。
0投稿日: 2021.06.28 - hirohon"powered by"
2021年5月18日読了。図書館で借りた。 カバーは、写真のものとは違って、水色の地に金色で魚と海の泡の模様。すごくかわいい。 短編集。表題の「ジョゼ〜」が読みたくて借りたけど、期待ほどではなかった。もう少し続きがあればと思った。全体的にはおもしろかったので星4。 そして山田詠美さんの解説がすごく良かった。 これも一つの作品のよう。もう一度読みたくなる。
1投稿日: 2021.05.18 - モ™️"powered by"
まさに人生のいつくしみ方を教えてくれる。 暖かくてねっとりしてて爽やかで切ない。 甘美で豊かな文体がすき
1投稿日: 2021.05.03 - まい子"powered by"
表題のジョゼと虎と魚たちを含めた 短編集とは知らず購入。 主人公の人間模様や自分とリンクする内容もあり、 とても面白い一冊だと感じました。
0投稿日: 2021.04.25 - dokky"powered by"
「ジョゼと虎と魚たち」を含む田辺聖子の短編集。 大学生のときに観た映画化された本作がすごくすごく好きで(脚本が、大好きな渡辺あやさんで・・・!)、絶対原作を読んだことがあると思ったけどほとんど忘れてた。 (いや、でももし読んでたら多分ブクログに登録してるだろうからなぁ・・・) 短編の中でも、「ジョゼ~」だけ異質だった。 すごく短いし、端的だけど、最後の 「幸せとはすなわち死だ、うちはもう死んだモンや」 というのがすごく沁みた。
0投稿日: 2021.04.15 - たま"powered by"
最近漫画化された『ジョゼと虎と魚たち』を読んだので再読。表題作と合わせて男女を描く短編が9つ。昭和62年発行だけど全然古い感じがしなくて、関西弁なのも良かった。漫画は絵がきれいで爽やかだったけれど、この原作は、どの短編も男性の情けなさや優しさ、女性の強さなどが描かれていて共感しながら楽しく読めた。
1投稿日: 2021.04.04 - book"powered by"
あれ?むしろ映画のやつの記憶がない。 短編集とは知らずに読みました。 女性の悲しい性みたいなのを感じる作品やあるあるみたいなのが、さっぱりしたテイストで読みやすいは読みやすいです。
3投稿日: 2021.03.31 - ゆうな"powered by"
それぞれの登場人物の日常を切り取ったかのような短編集。辛いこと、どうしようもないこと、成り行きでなっちゃっちゃった事、複雑な人間関係があるけど、自分の好きなように、自分が楽しくなるように生きてる。人生の中である生々しい場面もあったけど関西弁がふわっとそんな大した事じゃないよと包んでくれる感じ。
1投稿日: 2021.03.26 - かみりこ"powered by"
初めての田辺聖子さん。 こんなに読みやすい感じだったんだ。 結婚や男女の仲や別れや…こだわる女性もいれば こだわらない女性もいる。それぞれの恋愛観や人生観を持った主人公の女性と、彼女たちにあった風景、空気感がまったりあっていて、これが田辺聖子さんの世界なのかなぁと思った。 また読んでみよう。
9投稿日: 2021.03.23 - ぽんか"powered by"
映画化と聞いて気になったので読みました。 短編集なので軽く読めます。 大人向けだな。と、なんか不思議な本です。 他の本も気になるので読んでみたいと思います。
0投稿日: 2021.03.18 - なみ"powered by"
表題作だけ少し毛色が違うと感じました。 わたしとは全く違う人生を歩む主人公たちに、すこし羨ましく感じるような気持ちがしました。 官能的な表現の言葉選びが素敵な、大人向けの小説です。
0投稿日: 2021.03.16 - 椿"powered by"
実写映画版もアニメ版も見てないのだけど、双方の予告編とかを見る限りではどちらも原作とだいぶ雰囲気が違うっぽい? ひとりでは生きていけないジョゼが一番頼れる恋人に高慢な態度をとる部分に『春琴抄』のような色気を感じつつ、「いつか終わる」ことをジョゼ自身が強く意識してるのが儚く美しい。 表題作以外の主人公は一昔前の「自立したかっこいい女性」像そのままみたいな主人公たちがしょーもない男性に執着してしまう部分が、やきもきするけどリアリティも感じる。 都会的!スタイリッシュ!な雰囲気のシチュエーションや地の文と、庶民的な関西弁のギャップが妙に官能的なんだよなぁ。
1投稿日: 2021.03.11 - むーこ"powered by"
ん、何を言いたいのか、よくわからない短編が多かったなぁ。 男性で、コレすごく面白い!って思う人少ないんじゃね? とかちょっと思った。
0投稿日: 2021.03.10 - あむみ"powered by"
田辺聖子の本は沢山読んでいますが、自分の中ではかなり上位に来ます。 内容とは関係ないけど、表紙は見慣れているせいか前のほうが好きですね。
0投稿日: 2021.02.18 - ウメ"powered by"
大人の女性の短編集。 田辺聖子さんの本は初めて読んだけど、関西弁がなんだか色っぽい雰囲気。 どのお話の主人公も、世間とはちょっとずれた人なのかもしれない。だけど皆自分のことを冷静に理解していて、そのまま自分として生きている様子がかっこいいと思った。
2投稿日: 2021.02.18 - ふゆうまれ"powered by"
9つの超短編集。全て女性がモチーフになっている。 女性からみた男性をリアルに達観している。 「ジョゼと虎と魚たち」は、男性目線もあったかな。 出てくる女性は非常に前向きである。そして冷静に自分のことをみつめ、男たちに対して許容範囲が広い。 関西弁オンリーなので、少し読みにくさもあったがそれが艶かしさを醸し出しているのかもしれない。 独身生活を謳歌している女性に受けそうな小説だと思う。 女性ファッション誌に掲載されている小説っぽい。(もしかして掲載されてるかな)
0投稿日: 2021.02.16 - mnmiele"powered by"
短編集。 表題作がいちばん印象深くて意味合いも深く感じる。ジョゼも虎も魚も、クミにとって望んだもの。でもそれが得られた先には幸福(死)がある。幸福と死をはっきり同意義だと言うのも、それまでのジョゼの過去とか思考があってこそ響くものがあるなと感じた。 夜更けの水族館にいるようだという描写が綺麗。 他の作品も、印象深い文章はあったけど。私にはそこまで共感はできなかったのが残念。
1投稿日: 2021.02.16 - nikaku1.1"powered by"
映画を勧められたので、いつものようにまずは小説からと思い読んでみました。本書は短編集になっています。そしてその特徴としては、男女の恋愛がテーマになっている点です。 その恋愛というのも、青春の甘酸っぱい恋というよりも、大人の少し生々しい乾きも混じった恋の形が主であったので、新鮮でした。 特別な設定はなく、どの話も現実にありそう、もしくは自分も経験するのではないかというほどリアルな背景でした。それが故に登場人物が時折発言する名言には心が打たれました。 総評として本書は大人のリアルで生々しい恋愛がテーマになっており、リアルな背景や登場人物の発言を楽しめる一冊になっています。
31投稿日: 2021.02.06 - きち"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
表題作が一番好き。大阪弁の弾むようなセリフと、弾けるようなジョゼのわがままが愛しくなる。アタイ、と自分を呼ぶジョゼ。自分よりも可愛がられていた妹の真似をしてそう言い出したのだが、父に捨てられてアタイという口癖だけが残ったジョゼ。口悪く上からものを言いながら、実はそうして恒夫に甘えているジョゼ。それに戸惑いながらやがて魅了され受け入れてわがままを叶えてやる恒夫。一番怖いものを愛する人と見て思い切りすがりたいという気持ちは、考えてもいなかったのにしっくりと理解できる。少女の、女の、悲しみや切なさをこんなに透明感をもって描く作者のセンスは、少しも色褪せないで、今も雨上がりの庭先のように、死ぬ前の夢のようにキラキラと輝いている。
0投稿日: 2021.02.05 - 村優徳"powered by"
基本的に30〜40代女性目線から書かれている作品が多く、精神的に幼い男たち(夫や甥)を掌でもて遊ぶ余裕が感じられて面白かった。設定が少し特殊だったりするけど、その後そんなに怒涛の展開があるわけでもなく、ゆったり心情をとにかく丁寧に描写してることから、今泉力哉に通ずるものを感じる。唯一、表題である「ジョゼと虎と魚たち」は気色が違っているような気がして、お伽話とかファンタジーに近い感じ。瑞々しく、眩しい。
0投稿日: 2021.02.04 これは作者の願望?理想?それとも。。。
短篇集であり、どれも女性の心の内を描いた物となっています。こんなことを考えているのかな?なんて男である私は思ってしまいますが、これら短篇集の中から「ジョゼと虎と魚たち」を選んで映像化したというのは少々ビックリしますね。 所々ドキッとする表現ありました。「ジョゼと虎と魚たち」の中にも、「障害者の中には差別闘争意識が強くて、日常でもおのずと人間性に圭角が多くなってゆく、そういう者もいるということだが。。。」なんていう記述がありました。そうかもしれませんね。 私が好きなのは、最後の「雪の降るまで」かな。そこで使われる「嵌まる(はまる)」という表現。これなんかは、作者の数々の恋愛遍歴の末たどりついた、熟年の境地と言ったところでしょうかねぇ。わたしなんぞは、とても足下にも及びませぬ。
0投稿日: 2021.02.01- くつこ"powered by"
「不機嫌というのは、男と女が共に棲んでいる場合、ひとつっきりしかない椅子なのよ……」(荷造りはもうすませて) 少し古い時代の男と女を思わせるやりとり。若い頃に読んでいたら、男のフニャフニャした感じやその男をスパっと突き放さない女にイライラしていたかも。 共感はしないけど、まぁそんなもんだよね…と妙に納得してしまうのは自分が歳をとったからなのかな。
1投稿日: 2021.02.01 - 意見"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
終始気味の悪い話だった 読みたくないのに読み進めてしまうのは話に面白みがあるからかな 「 (不機嫌というのは、男と女が共に棲んでいる場合、ひとつっきりしかない椅子なのよ……) とえり子はいいたいのである。 (どっちか先にそこへ坐ってしまったら、あとは立っていなければならない椅子とり遊び。自分が坐っちゃいけないのよ)」 こういう「おっ」と思う文章もあった
1投稿日: 2021.01.24 - ゆめむ"powered by"
2021年1月前半 読了 ■他人と一緒にいるという時の虫の居所 (不機嫌というのは、男と女が共に棲んでいる場合、ひとつっきりしかない椅子なのよ……) とえり子はいいたいのである。 (どっちか先にそこへ坐ってしまったら、あとは立っていなければならない椅子とり遊び。自分が坐っちゃいけないのよ) 二人とも不機嫌になることはできない。もし、なったとすれば、それはもう共棲みの関係を解消したときで、まだまだ共棲みしようとすれば、椅子はつねに一つしかないと知るべきである。 ■毎回気持ちがリセットする気持ち 〈あんたはいつも、『つづき』にならへんのやなあ。一回ごとに完結して、また新らしィにはじめるお人やなあ〉
0投稿日: 2021.01.23 - yuki"powered by"
短編集。 少ない時間でサッと読めるのが良かったなと思います。すごく面白かった!という話は無かったかなぁ 読み終わって気づいたけどだいぶ前の小説だったんですね
0投稿日: 2021.01.17 - Cocoa"powered by"
ジョゼと虎と魚たちは映画から入ったのだが、原作(小説)の方と全く作品が違っていて驚いた。短編集であり、所謂自立した女性とダメ男の話がほとんど。個人的に1番好きな編は恋の棺。
0投稿日: 2021.01.16 - konase"powered by"
アニメ化されると聞いて図書館で予約。昭和63年から平成8年までの返却予定日をスタンプされた用紙が貼られたままの本が回って来て、変なテンションで読了。一昔前の感じはジョゼがレンタカーのパワーウィンドウをハンドルを巻かないと喜んでるとこくらいで、9つの短編集にある恋愛観や結婚観は一周回って今っぽい感じ?「いけどられて」の梨枝や比呂子とか見てると小さなことにとらわれないの良いなと思った。出来ないけど。読み終わって、記録用に背表紙のバーコード読み取ろうとしたらバーコードなかったのにまた驚き。
0投稿日: 2021.01.07 - rabbitblog"powered by"
表題に惹かれ読み進めたが、心の機微をうまく描写した短編集だ。 昔懐かしい彼との再会。訪ねてきた男の真意は。選べなかった、選ばなかった人生の道に思いを馳せながら男の話を聞く。損得だけではない、揺れ動く女心と男の言動が面白い。 妹の結婚相手が来る。妹が結婚する。夢見がちな姉の複雑な心の動き。 叔母さんと大学生との恋。いや、恋と言うのかもわからない。青春のドギマギを弄びつつ、自分も楽しむ大人の心。 時代を感じる描写もあるが、ストーリーというより心がうまく描かれている。疲れた夜にどうぞ。
0投稿日: 2021.01.05 - msms"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
実写版の映画を見て消化しきれなかった気がしたので電子書籍で購入して読む 原作を読んでやっと映画版もストンと落ちた ずっと寂しかった人が、幸せな気持ちが長く続かないことを(自虐的に?)表現するのがせつない それでも、幸せを死と同義語にしてしまうのは。。。 表題作以外は昭和が感じられてしっくりこない 20代前半で結婚するのが当然で、「オールドミス」という言葉が当たり前に使われていて、結婚したら仕事に打ち込む夫を支えるのが当たり前で・・・な世界観 表題作も、実はその文脈で読むのが正しいのかもしれない
0投稿日: 2021.01.02