
総合評価
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- ゆうりしぼうさん"powered by"
小さく美しい島を津波が襲い、生き残った中学生の信之、同級生で恋人の美花、父親から虐待を受ける輔。 島を離れる直前、美花を助けるために信之は殺人を犯す。 その後成人し家庭を持った信之に、輔が異常な執着を見せる。そんなお話。 登場人物の誰もが誰かを見下し蔑んでいる。 人も自然も、暴力は帰ってくる。 1番恐ろしいのは美花なのかもしれない。
0投稿日: 2025.07.03 - たか"powered by"
どんどんのめり込める作品たが 途中で犯罪のことをさらりと語ることに読んでいて抵抗を感じたり。作者はすごい!と思えたり。複雑な心境になりました。 正直、グロテスク
0投稿日: 2025.07.02 - まち"powered by"
おもしろかった!殺人側の視点で物語が進んでいくのが新鮮で、とてもよかった。解説を読んでみると、人は理由をつけて瞬間的な衝動を正当化したがるとあり、えーたしかに!と感心した。今の自分に責任を持たず、自己陶酔だけで生きていないかハッとさせられた。過去とのつながりは、実はそこまで重要じゃないんだよなと。
0投稿日: 2025.06.26 - きじお"powered by"
本当に船を編むの同じ作者なのかと思うほど、まったく作風が違った。 最初から最後まで重く暗い話で、救いようのないものだった。
9投稿日: 2025.06.13 - いちまろ"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
軽快で明るく、ひたむきな作品の印象がある三浦しをんさんが、こういう小説も書くのかと少し驚いた。けれども確かに、小説やエッセイにおいて、心情の核のようなものを常にまっすぐ捉えているしをんさん だから、われわれ人間の裡にぽっかり空いた空虚な闇も、こうして静かな視線で見つめているのかとも思う。 正直言って、この作品の登場人物すべてが嫌いだ。私が言えた義理じゃないけど、どの愛もすべて身勝手で歪んでいる。信之の美花への、輔の信之への、偏執的なそれは、かつて津波という「暴力」で大切なものを損なわれた代償なのか。 いや、一番気持ちの悪いのは信之の妻の、津波とは何の関わりもない南海子だ。夫からかけらほども愛されていなかったことに気づいた後も、世間的な体裁を取り繕うことに腐心し、夫の罪に気づきながらも、なにごともなかったかのように元通りの毎日を送ることを選ぶ。彼女を歪めたのは何だろう。日常という、圧倒的な現実だろうか。だとしたら、日常も時に暴力に匹敵する理不尽な現象なのだろうか。自然災害や犯罪行為、果ては家庭内で振るわれる暴力をすべて内包して、日常は存在する。私たちはその日常をどうにか生きていかなければならないのだ。 「美浜島は、暴力の痕跡を内包したまま、禍々しいまでの生命力で海のうえに再生していた。〜暴力はやってくるのではなく、帰ってくるのだ。自らを生みだした場所―日常のなかへ。」p362 タイトルの「光」の意味を考える。 解説の中で吉田篤弘氏が「光」を「神」と解釈している。 希望、とは読めない。 何らかの審判やメッセージなどなく、ただ照らし出すもの、というイメージがある。光を受けた分だけ、その暗さを深めていく場所もある気がして不安になる。
3投稿日: 2025.05.04 - ルーシー"powered by"
体調がいい時に読まないとやられてしまうような重いテーマだった。でも読んで良かった。沢山の事を考えさせられました。
0投稿日: 2025.03.21 - しをん"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
三浦しをんにしては珍しい性的描写、非日常的なストーリーに普段よりハラハラされられた。 ただやはり情景描写、感情描写の解像度が高く食い入るように読み進めてしまった。 求めるものに求められず、求めぬものに求められる、最大の不幸であってよくある出来事。それを軸に壮大なストーリーが展開され殺人など非日常な題材の中で自分の日常と重なる部分が多くあり考えさせられる作品だった。
1投稿日: 2025.02.27 - maki-ru"powered by"
そこまで長くなかったけど読み応えはあった。まほろばで期待したけどこの本は登場人物全員闇を抱えて全体通して暗い。誰も救われず皆んな鬱々としてる。こわい。
1投稿日: 2025.01.13 - namu"powered by"
建物、人、全てを押し流した津波の後に美浜島で生き残った数名のうち、信之、輔、美花の3人を描いた物語。決して明るい希望のある話ではなく、完全に過去に囚われる者、過去を切り捨て華々しく生きたい者、過去の復讐を望む者たちを、誰もが抑えて生きている本能的な暴力性や破滅への傾倒を時に出す姿を描いている。 これが東日本大震災前に書かれたものだと知り、驚いた。津波が全てを攫っていく。その死の描写のリアルさ、選別無き死が訪れる救いの無さ。私はまだ大きな地震や災害を経験したことがないのだが、この作品を通して人間じゃ対抗できない自然の大きな力に絶望した。
2投稿日: 2024.11.29 - ニャントラ"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
・こんな陰鬱な話の後に『舟を編む』を書いたのかよ……と信じられない気持ちになった。隠しておきたい過去を巡って、ねじくれた愛(というより執着?)に狂わされた人々の話だった。うーん。時間がなく、しかし面白くて早足で猛然と読んだ割に、なんだか項垂れてしまって何を思えばいいのかわからない。 ・まず、東日本大震災の前に全てを薙ぎ倒す津波のイメージを持てていたことがすごいなと思った。それが現実に起こるのだということが一番残酷に思えるけど。 ・美花は俺だけのものだと思っていたのは信之だけだったんだろうなあ。島にいた時から他にもそういうことはたくさんあったんだろうな、と思った。山中のこともそのうちの一つに過ぎないというかね。全然、"過ぎない"で済ませられることではないんだけど。知らぬ間に美花の反応が良くなっていると思いきや「あの日から何も感じないの」との美花の発言により、上手な演技を覚えただけであることが示唆されたのは地味に痛快だった。 ・秘密を巡る暴力の連鎖。人間ってこんな嫌なやつばっかり?あたしもここに放り込まれたらそんな風になっちゃうのかな。でもそんな気もする。南海子のバカ高いプライドが妙に怖くもあった。しかし団地と幼稚園とお教室が生活の全てなのでそこから受ける眼差しを異様に気にするのは当然のことなんだろう。 ・たぶん、輔は色々と気づいた上で、信之に殺されてもいいやって思うくらい信之に構って欲しかったんだろうね。どんな女と寝るよりも、信之に構ってもらえない1人の暮らしよりも信之が殺した人間として人生に刻みつけられることを選んだんだな。とんだヤンデレ妹ならぬヤンデレ幼馴染である。かわいいやつだね〜。 ・ていうか、まあみんな本当のことは分かりつつうっすら目を逸らしてて、やっぱそうか〜……みたいになってた感じがする。なんか、大きな力に全てを薙ぎ倒された経験をすると、本当に空っぽになっちゃうんだろうな。「家族を愛したい」と思っているのにイマイチ身体も心もついてこない感じの信之が可哀想だなと思った。美花にも拒絶されたらもうあとの人生、消化試合だろう。自分ならいつか失望して自ら死ぬと思う。その不幸を味わわずに死ねますように、私は狂わずに長生きして安寧に死ねますように、って最悪なことを思った。
1投稿日: 2024.11.26 - rock-english"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
小さな島を襲った津波ですべてを失い、生き残った3人の子どもたちが、長じて愛し合い、殺し合う。3人ともに壊れてしまって、一見普通に生活をしているようで、計り知れない闇を抱えている。 ラストシーンで生まれ育った島を再び目の当たりにして、主人公はいったい何を思ったのか。いや、何も思わなかったのか… しかし主人公の妹は不憫すぎる。津波の前、出かける主人公に「あたしも行く」と何気なく言った言葉を聞き入れてあげていれば、生き残ることができたのに。 「また今度ね」「わかった」。素直に聞き入れた言葉が可哀想過ぎる…。 「わかった」。この言葉、辛いなあ…。 そして父となった主人公の娘も、夫婦のすれ違いの中でただ泣いている。 やっぱり小さい子たちが辛い目にあう状況は、胸に痛い…
7投稿日: 2024.11.13 - すじがね堂"powered by"
三浦しをんさんは こういうのも書くんだ!というのが最初の感想。他の方と同じで なんとなく 読後感がどよんとした。けど、よく考えたら あってもおかしくないことだ。暴力には 暴力。目には目は当たり前のことで、わかっているからこそ 口をつぐんでしまうんだろう。何年かすぎたあとの 信之一家を読んでみたい。
11投稿日: 2024.11.12 - wwords"powered by"
後味悪いけど、出来事じゃなくて悪の度合い、責められる具合がものすごくリアル。 悪い意味で、こういうことあるよねと思ってしまう。
1投稿日: 2024.10.18 - ち"powered by"
覚悟していたけど、衝撃が大きい。津波という目に見えて大きな暴力と、闇の深い人の暴力。こんなに救いがないなんてことあるの?読み出して止まらなかったけど、疲れてしまって消化しきれていない。
2投稿日: 2024.10.02 - たこ"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
借り物。作者のイメージがガラッと変わった。 天災ですべてを失った中学生の信之。共に生き残った幼なじみの美花のため、彼はある行動をとる。それから二十年後、信之の前に、秘密を知るもう一人の生き残り・輔が現れ──。
0投稿日: 2024.09.19 - ぎょーざ"powered by"
人、自然の「暴力」を題材とした作品。 三浦しをんさんはこんな作風も描くのかと驚いた。 南海子を除いて、他の登場人物の行動に対してはあまり共感できなかった。 読んでいて胸が苦しくなりました。
0投稿日: 2024.09.18 - mi"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
この人こんなのもかけたのか…という小説。 津波に始まり強姦、暴力、殺人など人間の暴力に目を向けた作品。 吉田篤彦の解説が面白かった。 光なんてなかった。
1投稿日: 2024.09.12 - 2132797番目の読書家"powered by"
図書館で、たまたまタイトルが気になり、そして作者も好きな人なので手にしました。 また圧倒された一作。命、生きる、存在など多彩な生を見せられた感じがしました。 タイトル 光 はなぜつけたのか?読み終わった後に解説を読んで、なるほどと少し思ったが、まだなぜだろうと思う作品 うまく表せないのが残念。
0投稿日: 2024.08.30 - まりお"powered by"
好きな作家さんなので、読みやすいのですが…。 読みやすくても、無理でした。 最後まで、主人公に全く共感できなかったし、 登場人物も好きになれず…というか、嫌い。なのに、最後まで読ませてくれる作者がすごいなぁと思いました。
1投稿日: 2024.05.27 - amaretto"powered by"
ヒメアノ〜ルのように息詰まる描写と疾走感がある。振り返る度霊が近づくように、捲る度危うさが近づいてくる。 津波による被害の描写は首元を締められるように、じりじり恐怖を感じさせて細やかだ。 臭いまで伝わる。 地震雷火事親父。 光る角度により影のように見え隠れする暴力性を、「どこにでも存在する」と気づかせる。
1投稿日: 2024.05.19 - トップハムハット卿"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
少しだけ共感しにくい本だった。 主人公が津波で全てを失うことから始まりその後、普通に家庭を持って暮らしているが何処か歪になっている。 島から一方的に愛していた人と秘密を共有し、その後島から出た時にあれほどまで愛していた人と関わりを持たなかったのも少し不思議だった。(愛しているからとも考えられなくないが…) 結局、主人公は津波のような大きな力になりたかったんじゃないかと思った。自身が津波となる事で大切な人を守る事ができるそう強く考え、家族を持ったのは自分が津波だと思い込みたいがためではないかと感じた。 何処まで行っても未来の話がないのも純粋に自身を津波=過去や理不尽な力に囚われすぎてるのではと思い少し主人公の気持ちがわかるような気がした。
0投稿日: 2024.05.08 - Goat"powered by"
『舟を編む』のイメージを持って手にとってみましたが… ギャップがあまりにもあり過ぎ‥ 狂気か、いや、日常のある深い部分、普段は表になかなか出てこない部分を飾り気無く表現している様にも思われます。 川崎の街を舞台に、その影と光を演出してます。 『光』の救いを求めているのか、『光』そのものが無い世界なのか、よく分かりません
0投稿日: 2024.04.08 - つむくん"powered by"
タイトルとあらすじだけでは想像をなし得ない、圧倒的な世界があった。 光なのか闇なのかわからない気持ちになった。 しをんさんのエッセイを読んだあとだったので、いろいろ脳内が整理し切れていない。
1投稿日: 2024.04.03 - みけ"powered by"
中学生という年齢では、どこで生きていても世界はそう大きくはないだろうけど、本土から離れた島だと、さらに顕著でしょうね。 島の中だけで生きていると、良くも悪くも人間関係がすべて筒抜け。 ただ、狭い世界だからこそ、絆は強くなるのかもしれない。 島を襲った大災害。 そこで生き残ったとなれば、そのメンバーの結束はさらに強くなりそうなもの。 エピソードだけ聞いていると、勝手に美しい物語を想像したくなります。 そして災害から20年。 島とは関係ない人が主人公となり、何の話だ?と思っちゃいましたが、後からつながってぞわっとしました。 それぞれの時間を生きてはいても、忘れられるわけはない。 みんな何かに依存しているのか。 どう決着するのかと思いましたが、まさかこうなるとは。 人間は怖い生き物。
2投稿日: 2024.04.02 - フジこ"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
いやぁ、参った…すごい、すごすぎる… 物語はずっと不穏な空気に包まれ、 圧倒的な理不尽や現実がドロドロ重くのしかかってくる 救いはないし、ずっと脳天を殴られ続けてるのに 読むのをやめられない、この感じ! 先がもっと知りたい。 作品に呑み込まれいくのを感じました。 もちろん読後のすっきり感もないし 人によっては二度とない読みたくないような 暗くて重い作品かもしれないけど、 私は愛に縋って縋って、それがエゴだと気付かず ひとりよがりに狂っていく信之も輔も愛おしく感じた。 "死ぬことでしか、ひとは秘密から逃れられない。" 最後の最後、 秘密を手に入れた南海子の思惑の恐ろしさと、 なにくわぬ顔をしていつも通り過ごす信之の 静かで暴力的な魂といったら…ゾクゾクしました しをんさんの文章がとても好きです。 終わり方が想像力を掻き立てられて堪りません。 今まで読んだ小説で1番脳汁出た作品かも。
1投稿日: 2024.03.28 - masato"powered by"
救われない物語。 性描写、暴力、一方通行の愛、ネガティブさ満開の暗い展開。 そこに、希望の「光」が灯るのかと思ったら、最後まで現実を照らし出す「光」でした。 今まで読んだ三浦しをん作品とは異色の物語でした。 島で暮らす中学生の信之は、同級生の美花とすでに体の関係。中学生で??っていうのはおいておいて(笑) そんなある日、島が津波に襲われます。生き残ったのは、信之、美花、幼馴染の輔、美花に色目をつかう山中、輔に暴力ばかり振るっていた父親、灯台守のじいさん。 島での最後の夜、山中と美花のある現場を目撃した信之は、美花を守るために罪を犯します。 そして、二十年後... 信之は美花と離れ、妻子とともに暮らしています。 しかし、信之の妻はちょっと変。嫌いなタイプの女です。 輔は一人暮らしで工場で働いていますが、これまた変な暮らし。 美花は芸能界。 そんな輔のもとに現れた父親。再びの暴力。 そして、輔は信之に20年前の事件を仄めかします。 登場人物、全員嫌い(笑) 全く救いのない物語。 あまりお勧めしません(笑)
92投稿日: 2024.03.17 - umineko"powered by"
鬱展開大好き人間なのでこちらは救いようがなくてとても良かった。災害の発生がベースにあるから、こんな感想を抱くのは今の日本だと不謹慎なのかもだけど。 災害がひとつのきっかけではあるものの、登場人物たちの性質や関係性は、潜在的にあるいは顕在的に最初からあったものなように思う。深くはない、かといって決して表面的なものでもない各人の絆がとてもえぐい。 湊かなえ『Nのために』と東野圭吾『白夜行』を足して煮詰めた感じ。 最後はタイトルの通り希望があるのかな、と予想しながら読んだものの、広く冷たい灰色の海に投げ出され放置されたような読後感だった。
2投稿日: 2024.03.13 - ゆみ"powered by"
読み終わったときには、恥ずかしながら‥これは何の話だったのかな、と思ってしまったけれど、解説を読んで少し理解ができた気がする。 確かにこの話には、様々な暴力が出てくる。 どうやって乗り越えるのか、向き合うのか考えることが必要。 という理解であっているのかしら。
1投稿日: 2024.02.13 - かりりん"powered by"
生ぬるくリアルな表現がよりいっそうストーリーを引き立てていた。誰も思うように救われずに終わるもどかしさが好き。輔の生き方が好き。
0投稿日: 2023.12.19 - shige0614"powered by"
もう少し救いのある話になるのかな、と思って読み進めていたんだけど、そうではなくて、、そういった意味では裏切られた感じ。辛い話だった。。
0投稿日: 2023.11.21 - かなえ"powered by"
この話に出てくる人間は、話の中心的存在から脇役までどこまでいっても自己中心的にしか生きられない。でも、彼らはあくまでも自分と周囲の人間を加害者と被害者、正義と悪に分けたがる。側から見れば、冷酷で昏い人間に見える登場人物たちだが、そうした感情は現実を生きる私たちの誰もが、そしてこの世界の万物が持ち合わせるものなのではないか。暴力はどこから生まれ、どこへ向かうのか。答えは永遠に出てこない。目を背けがちでありながら、普遍的という厄介な源を抱えながら、私たちはどうすれば清らかに生きていけるだろうか。
0投稿日: 2023.09.14 - blue"powered by"
島が津波に襲われ、生き残った少年少女3人の、終始暗くてどんよりとした話。 皆んなもれなく性格が悪くて、誰にも感情移入出来ないのに、先が気になって最後まで読んでしまった。 タイトルの「光」の意味が、私には分からなかった。
1投稿日: 2023.08.29 - たゆ"powered by"
島を襲った津波で、家族をはじめ色々な物を奪われてしまった中学生3人のその後が、こんなことになってしまうとは。 もしこの話に続きがあるとしたら、椿がどんな大人になっていくのか、心配になる。
4投稿日: 2023.08.27 - ひよこ"powered by"
ここ最近読んだ本の中で1番いいです。 タイトルとは裏腹に、内容は暗闇続きで全く光を見出せません。たとえ捻くれていて、決して明るいとは言えなくても、読んでいて光を探し求めてしまうのは何故でしょうか(^_^;)
0投稿日: 2023.08.10 - るまーる"powered by"
三浦しをん先生の作品は明るい雰囲気のものしか読んだことがなかったけど、この本は登場人物が色々な闇を抱えて生きている。どうしようもないドス黒い感情が渦巻く、人間味がある物語だった。
3投稿日: 2023.06.22 - 豆大福"powered by"
展開は分かりやすい内容だが、切なく悲しい表現がとても美しい。 嫌ミスな要素ではなく暗くてじめっとした湿度高めの内容。 ただ、最後の展開や途中の山場が欲しかった。 でも読みやすくて引き込まれる内容でした。 星4寄りの星3
1投稿日: 2023.06.12 - 夜ノななし"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
「光」というタイトルから、津波の被害を乗り越え明るい未来に向かっていくストーリーだと思ってたいら、暗くて、心を抉られ潰されるような苦しい話だった 暴力的なシーンがちょこちょこあって胸が苦しくなった 山内さんの存在が救いだった
6投稿日: 2023.05.13 - mikitea"powered by"
「まほろ駅前多田便利軒」シリーズとか「舟を編む」のイメージからするとこの物語はこわかったです。 こんな一面もあるんだな、三浦しをんさん、という感じでした。
0投稿日: 2023.04.30 - 豆助"powered by"
光と影がテーマかな、と思いました。影が濃い分、この物語における光とは何だろうか、随分考えました。最後に希望の光が見えますが。救済か、幻想か。光が当たって明らかになる、とも。んー。
2投稿日: 2023.04.06 - makoto usami"powered by"
最初のうちはリアリティを感じにくくて、感情を誰に入れることも出来ず、つらい設定もあってか読むのがきつかったけど、輔の視点で語られるあたりからは、読み進めるスピードが増して、気づいたら一気に最後まで読んでしまった。タイトルの「光」とは「希望」なのかなと勝手に思っていたけど、そうじゃない。では何なんだろう?圧倒的に悲しい物語!そして圧倒的な三浦しをんさんの文章!間違いなく代表的な作品であると思った。
2投稿日: 2023.03.25 - ねごと"powered by"
とても重く、暗い一冊。 重すぎて一旦本を閉じて、改めて読み始めた。 それでも最後まで読みたいと思えたのは、作者の文章が巧いからだと思う。続きが気になって、結局一気見してしまった。
5投稿日: 2023.02.07 - うらた"powered by"
文庫本を読みました。 解説を少しだけ読み、限りなく神様に肉薄している、、、という評を見て読みたいと思ったので購入しました。 読み終えてからもう一度解説を読むと、この本の複数人の視点から世界が説明されていく形式を神様の視点と例えた上での表現だったのだとわかりました。 暗喩的な表現が非常に多く、僕にはその意味の半分も捉えられなかったように思います。主人公の内面を理解することが難しかったので共感がしづらかったですが、7割くらい読んだあたりで面白くなってきて最後の最後に主人公を少し理解できたような気がしました。
1投稿日: 2023.01.06 - ガナガーナ"powered by"
人の命、暴力、性、について津波で多くを失った3人を中心に描かれる。ただ、津波後、山でカメラマンに襲われたり、子供が変質者に襲われたりと、?と思う点が多かった。先が気になり読み進めたくはなったが、結末は予想を超えなかった。
0投稿日: 2022.12.11 - katsuya"powered by"
これまで読んだ三浦本とは全く異なる内容で、ホラーとまでは言わないが、冷え冷えとした怖さを感じる一冊。圧倒的かつ理不尽な暴力に振り回される人間。自然のちからだけでなく、隣人、親、夫婦の間でも振るわれる。力だけでなく無関心という暴力も。そして、その力とは全く無縁だった人間も、ひとたびその機会を得るとそれを利用しようとする。タイトルの「光」とは全く無縁の、なんとも言えない嫌な感じが残る。ただ、本の力を感じる一冊でもある。
0投稿日: 2022.10.18 - だいち"powered by"
なぜこの本のタイトルが光なんだろう。最後までよくわからなかった。 津波は殺人が人の命を奪うのは一瞬。でもそれによって負った痛みは死ぬまで続く。生き残ったものはそれでも生きていかなきゃいけない。 展開が気になりどんどん読んだけど、読み進めれば進むほど、気が滅入ってしまったのは否定できない。
4投稿日: 2022.10.08 - shunty1981"powered by"
「光」というタイトルに惹かれ読み始めた本作。そこにはきっと希望の光が存在するはず、と思っていたんだけど、あったのは暗く落ちる影と、求めるけど得られない光。描写には目を背けたくなるようなものもあったけど、読後は不思議と落ち着いたような気分だった。家族の今後を想像したくもあったし、自分が主人公の立場であればどうしただろう、と考えたくもなった。そう思わせるのは構成の見事さか。他の作品が読みたくなった。
0投稿日: 2022.08.13 - akodam"powered by"
小さな離島で生まれ育った信之は、同級生の美花と付き合い、幼馴染の輔は信之を慕う。ある日島を大津波が襲い、3人と数人の大人だけが生き残る。救出最終日に美花がある大人に襲われ、信之が助ける際に殺めてしまう。秘密を抱えたまま3人が迎えた20年後、実は当時の真相を知っていた輔が信之と美花の前に現れ脅かす。それぞれの生き方、愛し方がリアルに描かれた物語。 三浦しをん3作品目。 前読【舟を編む】【風が強く吹いている】はどちらもハートフルでエネルギッシュな前向きになれる良書だった。今でも物語は元より、細かな描写まで蘇るほど私にとって名作だ。 本作を読み、まず疑う。本当に同じ著者が書いた作品なのかと。表題名である【光】に抱くポジティブな印象は微塵もない。ただただ陰鬱で、救いを探す方が困難で、生々しい性描写と腹黒い人間愛が滔々と綴られている。また、本作が連載開始となったのは2008年と東日本大震災前に存在していたことに驚く。 本作品のテーマは【暴力】だ。 身体、心理、天災、環境すべてに、暴れる力が付き纏う。暴力によって傷つく者、救われる者、得る者、失う者の姿が、信之、輔、信之の妻・南海子の3人称視点で綴られている。 解説でも綴られている表現が最も相応しいので引用するが、この作品は『素晴らしく容赦がない』 天災という抗えない暴力から始まり、皆が互いを見下し、目には目を歯には歯を、秘密には秘密を、暴力には暴力を重ねる。ある者は先制攻撃を、ある者は報復を、ある子はひたすら痛みに堪える。凌辱、虐待、殺人という暴力、無関心・無責任という暴力が容赦なく描かれている。 私はこの【光】と言う作品に一筋も光を見出せなかったが、3人の独白の中で時折り浴びせる皮肉な心の叫びに共感した自分がいたことは間違いない。私も暴力のすぐ傍にいる人間の1人であることを思い知らされた。 私はこの作品で著者をもっと好きになった。 評判やイメージといった体裁に臆することなく、人間の内面を赤裸々に世へ描き残してくれた三浦しをんをもっともっと好きになった。
208投稿日: 2022.06.27 - miholanta"powered by"
三浦しをん大丈夫かぁと心配になってしまうような、暗く悪意のある、救いのないお話。 歪んだ人物が故郷と家族の全てを津波で失って、その歪みを正せないままに生きていく話。救いのなさがキツかった。 どうでもいいと思っている人に対しては、どんな愛も言葉も届かない。終わりが来るのを喜んで受け入れる準備ができている。とても悲しい人間ばかり。 輔(タスク)にだけは淡いものの、希望が見えたのに。 信之と美花の関係が、少し白夜行を彷彿とさせた。
2投稿日: 2022.06.23 - 1703535番目の読書家"powered by"
津波にのまれた島で生き残った少年少女3人の話。全体的に暗く辛く不幸。タイトルを光にした作者の思いとは?
0投稿日: 2022.03.28 - ミステイク承知の助"powered by"
様々な形に姿を変えて出てくる暴力の波。 読み終えてまず考えたのがタイトル「光」 この光とは、希望の光ではない。希望などなかった。いや、本当になかったか?? 愛というものをある風に装って家族を続けていくのもまた、希望ではあるのではないのだろうか。 認められないだけで、家族に対する愛はあったのではないだろうか。 あぁ、愛とはなんだ。 では、闇を照らす光?こっちの方がしっくりくる。 ような気もする。いや、待って、希望の光も闇を照らす光も同じではなかろうか。 あぁ、もぅ、思考が迷走。 椿ちゃんのその後を読みたい。闇を抱えどの様に生きていくのか。大きくなった彼女に暴力は帰ってくるのか。
1投稿日: 2022.03.26 - saga-ref"powered by"
東京都の離島に襲った津波から描き出されるこの物語は、2006年から文芸誌に連載されたものだが、その5年後に東北地方を襲った津波災害のことや小説家の想像力のすごさを思わずにはいられない。中学生で既に美しい容姿を武器に男を翻弄する美花。純粋に美花を想い、妻子があっても彼女を偶像のように崇拝する信之。そして父のDVに晒され続け成長した輔の歪みが引き起こす新たな波乱。しをん嬢の小説には時に泥のように沈殿した世界を描くものがあるが、本書はまさに人間のドロドロした部分をえぐる物語だった。
1投稿日: 2022.03.13 - さちえ"powered by"
だいぶ前に読み終わった本で詳細は覚えていないけど、色々な面で衝撃的な印象が強かった。その為一気に読んでしまったけれど、もう一度本を開く気になれなくて、手放してしまった。 船を編むで三浦しをんに興味を持ち、その次に読んだのがいけなかったのか… でも、印象に残らなければどんどん忘れてしまう中で、今でも強い印象が残っている本の一つである事は事実。あれからしばらく経った今、機会があれば再読してみたい。
1投稿日: 2022.03.13 - くうすけ"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
島で生き残った人達は、災害を境に心が欠損してしまったように、無関心で人間味がなくなってしまい読んでいて暗い気持ちになった。 解説より、東日本大震災が起こる数年前に書かれた本とのことなのに、津波の描写が見てきたかのようでゾッとした
0投稿日: 2022.03.02 - paprika_plus33"powered by"
まじで救いがない、描かれているのは光によって浮き彫りになる「闇」。怨念の臭いがしてくるようなリアルな描写で鬱になるのにさくさく読めて(読んでしまって)そんな自分も嫌になる。「真実の愛」なんてものはこの世に存在しないのかもしれない。
1投稿日: 2022.02.25 - 浩太"powered by"
東日本大地震を受けての作品かと思ったら、その前の2006年とのこと。リアルの津波描写の中で殺人事件が起きるが、犯人となった主人公・信之のその後の行動が怖い。人間としての感情が非常に薄い。自分を慕う子分のような輔との関係もお互い嫌い合いながら不思議な関係を続けている。憧れとして付き合っていた女優となった美花との関係も同様に、惚れあっているようで、そうでもなかった。美花のために殺したのに拒絶されても淡々と受けいれている。3週間近く行方不明になっても、淡々と元の生活に戻ってしまった。ミステリーだったら、犯行が露見して犯人に辿り着くのに、最後もそのまま終わってしまった。数多くの「何故」を残して終わってしまった感が強い。
33投稿日: 2022.02.22 - はんとうめい"powered by"
災害と人間の性に対する狂気と。 装丁が話の内容にぴったり、最初から最後までずっとグレーがかった黄砂みたいな晴れない話。
0投稿日: 2022.01.15 - ぶっ君"powered by"
自分の足元を含め辺り一面真っ暗闇の中に、距離感の掴めないボヤッとした何かを手探りして掴もうとするが、それがただ単なる光なのか、それとも希望なのか。 掴みにくく、残酷な作品というのが率直な感想。
0投稿日: 2021.12.07 - シャンタン"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
災害の日から子供達は完全に壊れてしまったのではないか。信之の壊れっぷりが恐ろしい。2週間でのうのうとよく家族の元に帰れたなと…。南海子の暴力性も誘発させたし。何かを憎む力は強い。
0投稿日: 2021.11.04 - yhyby940"powered by"
2008年初版。著者の作品は「舟を編む」と「君はポラリス」しか読んだことがありません。漠然とした著者の作品のイメージとは、違いました。作品名の「光」とは内容は合っていません。逆に人間の闇のような物を描いている作品です。どの人間にも救いはありません。重い作品です。先々の不安を抱えたままのラストです。感じたのは著者の守備範囲の広さ・力を感じます。本の解説でも、触れられていましたが重要な登場人物の目線で、物語が語られていないことが不思議です。私的には、キーパーソンである女性の心情などを、もっと知りたかったなあと思います。
14投稿日: 2021.10.30 - bmaki"powered by"
フォロワーの皆様の高評価で気になっていた一冊。 とある島で暮らす中学生の信之は、美しい同級生の美花と秘密の付き合いをしていた。 知っている者は幼なじみの輔1人。 閉塞感のある島での暮らしだが、そこに生きる者には当たり前の毎日。 しかしある日島を大災害が襲いかかる。 島で生き延びたのはたった信之ら3名と、碌でもない大人2名の、たった5名だった。 島での最後の夜、美花を助けるために信之は罪を犯す。 この作品は本当に三浦しをんさんなのか!?と思うくらい、暗く切ない話だった。 タイトルは光たが、光を感じることができず、愛を感じられない性描写、暴力、裏切り、そんなネガティブなイメージが頭にこびりついてしまった(^_^;) 暴力は苦手だ。。。(ToT) 自分には合わない小説だったな。。。
32投稿日: 2021.10.28 - anibey"powered by"
純文学を読んだ気がした。しかし、恐ろしい現実を突きつけてくる作品で、気力は削がれた… たしかになぜ美花の視点が、なかったのか…あったら、最後の展開ができないからとも言えなくないけど。ドラマならスピンアウトしてほしいけど、描くのは難しそう。
0投稿日: 2021.09.17 - misa"powered by"
あの三浦しをんさんがこんな作品を書くのはびっくりした、、、 全然光じゃなかったけど、怖かったけど、読む手を止められなかった
0投稿日: 2021.09.02 - たけ"powered by"
光はこの世に美しさを生み出す。 しかし、同時に光は全てを曝け出す。 暗闇に紛れて見えなければいいもの、見たくないものも含めて全て。 タイトルの意味を考えた時、そんな「光」をイメージした。希望としての「光」ではなく、残酷な現実を突きつける「光」。 この作品において、作者(解説で吉田篤弘さんがおっしゃっていた「神様」)は極めて暴力的だ。 その赤裸々な暴力を、読者はどう受け止めればよいのか?心に重苦しいものが残った。 特に美花と信之のホテルでの最後の対峙の場面で、いろいろなものが音を立てて崩れていった。愛とか信頼とか正義とか。 物事には表の面があって裏の面がある。どちらを見るか、どちらを信じられるかだ。相対的なものでしかない。 でも、著者自身が語っていたとおり、美花は信之を利用している自覚なんてないんだろうな。 むしろ信之の自己陶酔を感じながら読み進めていたのだけど… 嫌な予感が悉く的中していって、なんとも心地悪かった。 読後間をおかず、アマゾンプライムで映画版も見た。映画版ははっきり言って難解すぎ。わざと理解させないように作っているのか?と思えるほど。 必ず原作読んでから見るべき映画。 あと、音楽はなぜジェフ・ミルズ御大? 映画の内容に全く合ってないよう…
38投稿日: 2021.08.25 - 1589785番目の読書家"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
自分が信じてるものとか感じてることこととか、その人との関係性にどういう意味合いを見出してるかって、相手が信じてたり感じてたりすることと全く違うことがあるんだよね。 それがすごくリアルで、悲しいけどこれが現実なんだよなって思いながら読み進めた。 度合いや程度が違っても、私だって体験したことある。 だから自分を信じて、自分のために生きないといけないんだと思うな。拠り所って、他人に求めたらいけないんだと思う。 輔も信之も多分どこかでそれに気づいてた気がする。 たとえ絶対的な何かを共有していたとしても、誰かを生きがいにしてはいけないし、誰かだけを希望にしてはいけない。 共依存しない美香はある意味の救いだったと思う。 全部信之の思い込みでも、それって美香のせいじゃない。
0投稿日: 2021.08.25 - 雨のち晴れ"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
美浜島と言う小さな島で育った三人が、津波という災害時に殺人事件が起こるところから物語は始まる。 それぞれの視点が切り替わることで、同じ出来事のはずなのに捉え方、思い入れ、解釈が加わり、受け取り方が違うと言う点が物語をより複雑におもしろくしている。 キャラクターの子供から大人への成長と心の奥底で成長しきれないもどかしさのようなものが交錯している。 冷静で無機質な印象さえある信之は、美香を忘れられないが故、他の全てのものが色褪せてしまだていたかのようであるし、輔は兄のように慕っていた信之に仕返しをしているようで、実は大人びて背伸びしたい子供のように、心の底では信之という存在に憧れを抱いていたのではないかとさえ思わされた。 物語のエピローグを知りたい気もするが、どう転んでもハッピーエンドにはならないだろう展開に話の止めどころの妙があると思う。細かな部分も見落とせないほど作り込まれた文章設計が、解説を読んで初めて気づかされるという敗北感も含め。
8投稿日: 2021.08.22 - 文月の十三夜"powered by"
女にとっての"必要"ってなんだろう 愛や、友情という結びつきは上っ面に過ぎないのかな。 読み終えて、題名の「光」について考えた。 読んでいるときは、題名など、気にならないほど、夢中で読んでしまった。 「光」は誰にでも、(公平にとは言わないが)差し込まれるもの。おおよそ、多くの人は欲するものだろうけど、この本の中では、避けるもの、できれば近づきたくないもののように思える。
1投稿日: 2021.08.05 - あおちゃ"powered by"
島を襲った津波によって生き残ったわずかな大人や主人公たち中学生3人が島を出たその後の話。 とにかく重い内容で何度も読むのがためらわれた作品。しかし物語の続きは気になるので、早くこの本を読み終わり次の本が読みたいとなる。 最近神去なあなあ日常を読み著者にハマったクチなので、まるで正反対の物語に面食らった。
0投稿日: 2021.07.18 - jkrabi"powered by"
「暴力」か。著者の本は大好きなものもあるが、そうでないものもままある。映画化されたようだが、私には物足りない。 東京の離島に住む主人公ら、ある日大津波に襲われ、大半の住人が死亡し生き残った主人公ら、それぞれ大きくなり過去の事件のため再度会うことになり。 ラストも「それでいいのか?」と「現実はそういうものなのかも」とモヤモヤ感。光は弱く、薄暗い。
1投稿日: 2021.06.27 - 人生≒読書"powered by"
一言で言うと理不尽さと暴力についての物語だ。ヒリヒリする。最後に比喩としての救いはある。しかし、生活は、生は続いていく。暴力を内包しながら。こんな身も蓋もない真実を開いてしまった。呆然とするしかない。
2投稿日: 2021.06.23 - マッピー"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
怖かった。 これはジャンルで言うとミステリなのかもしれないけれど、私にはホラーのように恐ろしかった。 主要な人物の誰一人として真っ当ではない。 輔が望んだのはただひとつ。 信之に存在を認めてほしい。それだけ。 卵からかえったヒヨコが最初に見た動くものを親と思うように、幼い頃から辛い思いしかしてこなかった輔は、最初に優しい言葉をかけてくれた信之を慕うことでしか生きる希望が見つけられなかった。 信之が望んだのはただひとつ。 美花と自分の幸せな未来。 輔のことなんか、母に言われたから声を掛けただけで何とも思っちゃいなかった。 というよりも嫌いだった。 何よりも美花のことだけを考えて生きてきた。 美花の心情は語られない。 だけど彼女は自分のことしか考えていないと思う。 善意や愛情を理解できない女だ。 信之の妻、南海子(なみこ)は最初真っ当な人かと思ったけれど、彼女もどこか壊れた人間だった。 頭で思う理想の家族の姿しか見えない。 何を考えているのかわからない夫、愚図な娘、充たされない自分。 輔は信之にこだわらなければ、愛してくれている人もいただろう。 父親に立ち向かうことはできなかったかもしれないけれど、もしかして愛する人・守るべき人と家庭を持てば、父親ときっぱり対峙できたかもしれない。 信之は美花にこだわらなければ、表面上何も問題のない家庭が築けたはず。 特に彼の娘は何も悪くないのに次々と災難が降りかかってきて不憫だった。 ああ、何が恐ろしかったのかわかった。 日常生活の中で、すぐ側にいる人が、自分を含む人間関係に何の関心も持たず、ただそこにいるだけっていうのが吉田修一の『パレード』を読んだ時みたいに気持ち悪くて怖かったんだ。 タイトルは『光』だけど、最後のシーンを見ても信之たちに明るい未来の光が差し込んでくるようには思えなかった。 最後に見せられたのは、あり得たかもしれない未来の光だったのかもしれない。
1投稿日: 2021.05.30 - かっしー"powered by"
レビューに後味悪いっていくつも書かれてたの見てから読んだからか、ダメージはそこまで。 でも全体的に生々しくて、じっとりしてて、救いがなくて、読むのがつらかった。 信之のターンは感情移入できなさすぎて全然入ってこなくてこまった。
1投稿日: 2021.05.08 - yoco"powered by"
読後感の悪さといったら、数日どころか数週間も残るもので、いつまでも心がざらざらしてました。 表題は「光」 正直私にとっては闇の深さの強すぎるあまり、彼らが光と信じているものがそんなにも輝かしいものなのか、光を求めているから闇が深くなるのか、一体何がなんだかわからない…とにかく苦しい…という気持ちでいっぱいでした。 読了後しばらく時間が経てば気持ちも落ち着いて、向き合えるかもしれない。そう思って本を寝かせていましたが、感想を残そうと本を開くとまた苦しくなる。 苦しい、というより、怖い、という表現が近いかもしれない。 誰にも感情移入できないような気がして、そのくせ、自分が同じ立場だったら同じことをしてしまうかもしれないという恐れ、何が正しくて何が間違っているのか、その軸すらわからなくなるような、そんな拠り所のなさ。 心をガツンと揺さぶられたい方にはお勧めです。読了感は悪いけれど、傑作だと思う。
23投稿日: 2021.05.05 - 葉月"powered by"
重い雰囲気の漂うお話。 面白いとは思いましたが、好きではない感じでした。 南海子さんが子供に冷たいように思うのは、彼女が恵まれた子供時代を過ごしていなかったせいでしょうか。
2投稿日: 2021.04.24 - himawari-himawari"powered by"
暗かった。序盤の信之と美花の描写がもう、子を持つ親としては読むに耐えられず、一旦は本を閉じてしまった。 でも何かが起こりそうな気配を感じたのでがんばって読んでいると、まさかの津波が。 この話が東日本大震災より前に書かれていることに驚いた。 そしてだんだん読むのが止められなくなっていたけど、暗さや負の連鎖みたいなもの(暴力は暴力で解決するというような)はずっと受け入れることができなかった。 別の光が差してほしかった。
4投稿日: 2021.03.27 - 憎し味噌"powered by"
天才 読み出したら止まらなくてあっという間に読んでしまった。みんなこんな事考えてたりするのかな、確かにこんな考え方もあるな、と人間を嫌いになりそうな内容ではあるし、登場人物に感情移入して苦しくなる描写もあった。 人生にあまり期待を持たないようにと思っている私には、深く入ってくる作品。
0投稿日: 2021.02.15 - 1080magic"powered by"
三浦しをんらしくない暗いストーリーである。「求めたものに求められず、求めてもいないものに求められる」ハッピーエンドを期待して読み進んだが、光はささない。この後、この夫婦はどうなるのだろうか? 人と人、秘密を秘めて、分かり合えないものだろうか。そして南海子の予定通り、いつか別れるのか。読後感が重い。
2投稿日: 2021.02.08 - Yuna Yoshino"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
もともとこの本を手に取ったきっかけといえば、先月、初めて手に取った三浦作品『舟を編む』に私が感化されたことにある。 あまりに感動し、この著者の本をもっと読みたいなと思った訳です。 『舟を編む』の読後に感じた前向きな充実感と『光』という希望チラ見えなタイトルが相まって、晴れやかなラストを想像しながら読み進めた。 あれなんか思ってたのと違くない?みたいな違和感。 三浦さんには裏切られました。超面白かった。 読後いちばんの感想は、参った。これに尽きる。 まさに巻末の解説の通りに、参りました。 登場人物らの腹の中にあるのは陶酔、他責、暴力、逃避、侮蔑、傍観。もう本当に最悪でしょ。 救いようが無さすぎてメンタルやられた。 でも輔だけは何でか憎めなかった。 言わずもがな 彼も最悪の類に値するのに、結子が感じた彼の優しさには何となく共感できる。 暴力に支配された彼の情けなさに庇護欲を刺激されたのかもしれない。 今まで暴力”される”側だった彼が”する”側に立ち代わった時、熱望していたはずの死を戸惑ってしまっていたように感じた。 それは下の階に伝わる床の軋みとか、ひっきりなしに止まない押し入れの開閉音とか、木造ボロアパート故の生活音の混入から読んで取れる。 輔の卑屈さ弱さが痛いくらい伝わってきた。 真下の部屋で寝転んで、音から確信した殺人を静かに笑う元凶の酷薄さたるや。 信之、お前本当に嫌いだわ! いやでも一概に嫌いって言い切るのも変かもしれない。 私は、信之の芯の強さは好きだ。使い所を間違えてしまってはいるけれど、軸のブレなさには感動した。もう本当に最悪!(2回目) ただ 本作の登場人物のみたいな どうしようも無い人間が案外誰かの光になっているということは考えもので、著者である三浦しをんは、そういう人間の禍々しさを光のメタファーに託したんじゃないかと考察。 ここまで長々と書いたけど これは感想と言えるほどの立派なものではなく 読後の勢いに任せた走り書きに過ぎないので、もう少し整理してから改めてまとめたいと思います。 あと、三浦さんの短編恋愛小説集『君はポラリス』のうち二つが本作と似た雰囲気。 三浦さん、こういう設定好きなのかな。
1投稿日: 2021.02.03 - Yurico"powered by"
島で暮らす中学生の信之は、同級生の美花と付き合っている。ある日、島を大災害が襲い、信之と美花、幼なじみの輔、そして数人の大人だけが生き残る。島での最後の夜、信之は美花を守るため、ある罪を犯し、それは二人だけの秘密になった。それから二十年。妻子とともに暮らしている信之の前に輔が現れ、過去の事件の真相を仄めかす。信之は、美花を再び守ろうとするが―。渾身の長編小説。
0投稿日: 2021.01.30 - dejiko1012"powered by"
怖いストーリーだった…子供の頃に辛い経験をした男女のその後。読み終わって思わず「怖…」と呟いてしまった。怖いけど先が知りたくてどんどん読める。三浦しをんの真骨頂。
1投稿日: 2021.01.16 - あ"powered by"
絶望の中に感じる一筋の光。タイトルの由来はこんな感覚だったりするのかな(私の勝手な解釈)。 重たい読後感。だけど読まなきゃ良かったとは思わない。三浦しをんさん、より好きになりました。
2投稿日: 2021.01.08 - marblen"powered by"
重い。 辛い。 輔の環境がつらい。 今年1冊目がこれだったので、ズドンと重いスタートになってしまった。
0投稿日: 2021.01.03 - naonaonao16g"powered by"
田舎町にある閉塞感 その閉塞感の中で渦巻く、暴力性 田舎町を離れても、工場が連なる街並みと劣等感は、暴力と親和する。 先日、amazarashiのオンラインライブを拝見して、 その中でコロナのことが嘆かれているのはもちろん、東日本大震災のことも強く訴えられていた。 こうした理不尽さを想い、選んだ一冊。 大災害という理不尽に、もう一度目を向けようと思った。 大災害の描写、繰り返される暴力、人間が孕む暴力性 その中で人間がコントロールできるものってなんだ。 最近「自分の力ではどうにもならないもの」に触れることが多く、それに関心が向いている。 もっと日常的なレベルのものだけれど、その「理不尽」が人に与える苦痛は、人を暗転させる。 その中で向き合いながら、時に見ないふりをしながら生きることの重み。 輔(たすく)が受ける、繰り返される暴力。周りはみんな知っていて、心配してるよと声をかける。でもそんなもの。輔はこう思ってる。 P205「中途半端な心配も助言もクソだ。いらねえんだよ。死んじまえ。毎日毎日何十年も同じおかずが入った弁当食って、しょぼくれた工場としょぼくれた家族のいる家を往復し続けて、クソして死ね」 いくら心配してたって、物理的に救い出してくれるやつなんて誰もいない。みんな結局自分の安定した生活は変えたくない。だから言葉をかけることしかしない。心配してるなんて言葉は、輔にとっては新たな暴力とおんなじだ。理不尽な暴力が渦巻く世界に、毎日毎日、同じおかずが入った弁当を食べる生活なんて、存在しない。 信之が見た景色。大災害という理不尽が奪い去るものの重さ。それは人の心から何を奪い、何を植え付けていくのか。 P250「おまえみたいにどこにでもいる、退屈な女がえらそうに。美花は昔もいまもほかの女とはちがう。30を過ぎても蠱惑と翳りを暗黒の光のように放っている」 妻子から見れば真面目で誠実な夫の姿は、夫の目線から見るとこんなにも暴力性を孕んでいる。妻子に対する優しさを体現しながらも、心の中では相手をディスり、嗤っている。けれど、暴力性はそれだけで簡単にコントロールできるものじゃない。 P265「暴力で傷つけられたものは、暴力によってしか恢復しない」 P282「同情や愛情では恢復しない傷がある限り、刑罰はひとを救わない」 闇の中で、暴力が闇を照らす光と化す。 輔P209「俺がすがれるもの、俺を求めるのも、結局この女しかいないのかと思えば、情けないような気も少し満たされるような気もした」 闇の中に注がれる光に、辛うじて希望を見出すことができた輔、 信之P295「求めたものに求められず、求めてもいないものに求められる。よくある、だけど時として取り返しのつかない、不幸だ」 信之の中に残るのは、理不尽への大きな諦観と、希望や幸せと言う名の光へのディス。 闇の中にいながらも光を探そうと足掻く輔と、光の中にいるように振る舞いながらも、闇の中で暴力を光として先を照らす信之。 日常的な暴力にさらされていた輔よりも、非日常的な大きな暴力によってはく奪を受けた信之の方に、暴力性がじっとりとつきまとっていることが、強く心に残っている。 タイトルの「光」の意味 それは読者の経験によって異なる意味合いを与える。 解説で吉田篤弘さんがおっしゃっているように、誰かと感想を共有したくなるような、そんな作品でした。
84投稿日: 2020.12.29 - loststar19"powered by"
この物語のどこに光があるの? それが、読了後の第一印象。 島を襲った大災害の中、生き残った彼ら。災難という絶望を越え、生き抜いた先にも絶望が待っていた。 登場人物を通して人の狂気を感じる。表と裏の二面性が凄い。見事に狂ってる。 光なんてなく、影ばかりのような重くて、暗い話だけど、先が読みたくなる。 三浦しをんさんはこんな作品も書くのかと幅の広さを感じた一冊でした。
1投稿日: 2020.11.28 - ポプラ並木"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
表紙絵のアッシュな背景に「光」。楽しい話しの訳がないのは覚悟した。突然、島を襲った大津波。300人弱の島民で生き残ったのは5人。主人公の信之、付き合ている美花、幼馴染の輔。信之は美花を凌辱した1名の生き残りを殺害する。20年後、それぞれ暮らしていたが、その殺害を巡り「負の連鎖」が起こる。3人がそれぞれの生活に嘱目する。3人に共通するのは「暗い共感」「無情」「ものの哀れ」で、最終的にはお互いを排除する。3人に降り注ぐ「光=神」は存在しなかった。3人の微妙な距離感が、違和感を抱かせた結果が最後の結末だった。
19投稿日: 2020.10.10 - 浮気なスー"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
こ、こんなにも展開が予想できない小説、ひっさびさに読んだぜ、というくらいに。全然、展開、予想できなんだ。いやあもう、ヒリヒリしながら読んだなあ。とにかくヒリヒリでした。うん。 まず、小説のタイトルと、文庫本の写真から、ちょっとエエ話っぽい内容を、想像してたんですよ。で、「美浜島ほどうつくしい場所はほかにない」ってなプロローグやないですか。 ちょっと前に「白いへび眠る島」を読んでいたのもあって。「お。三浦しをん。また、離れ小島ものか。離れ小島が舞台のホッコリ青春モノ系か。おんなじ流れか~」って、思って。読み始めたんですよね。 全然違った。もう完璧に徹頭徹尾に圧倒的に完膚なきまでに、全然違った。いきなりの津波。、、、え?って。、、、え?え?え?、、、津波?津波!?マジで!って。な、なんじゃこら?の開始。ホンマにビックリした。 こんな言いかたして、不謹慎で申し訳ないのですが、「え?ドッキリでしょこれ?ちょっと、これ、コメディーにすら振り切れるんちゃうの?」とまで、思った。が、が、が、しかししかし。 ガチで本気のホンマの大津波。大災害。カタストロフィーだった。ホンマやった。マジで驚いた。 そして、一気に時代は飛んで、大災害を生き延びた数人が、その後に送ることになる、なんとも数奇な、人生。いやもう、全く展開、読めませんでしたね。本当に。「どうなるんだ?どう終わるんだ?」って。こんなにドキドキしたの久しぶりだぞ、ってくらい、先の展開は、読めませんでした。 輔(たすく)かな。彼が、個人的には、一番、気になる登場人物でした。彼には、一番、幸せになって欲しいな、って、思いながら読みましたね。うん。それは、叶わぬ、願いだったが、、、 輔の父、洋一が、一番、唾棄すべき人物でしょうか。本当に唾棄すべき人物でした。あっこまで嫌な野郎を、まあ、書ききりましたねえ三浦しをん。お見事。すげえ糞野郎でしたが、うむ。三浦しをん、書き切ったね、って感じでした。ホンマに糞野郎でした。お見事でした。反面教師とはまさにこの事。絶対に俺は、ああは、ならないように、しなければいけない。これは、絶対だ。と言う思いを抱くことが出来た点では、三浦しをんが、あの洋一を描いたことは、成功だった、と言う事、でしょう。本当に嫌な話ですが。現実だったとしたら、絶対に許してはいけない、ことです。うん。 信之も、まあまあ、ダメ人間、だとは、思う。思うのだが、だが。信之が、どうしても、輔を、好きになれなかった、というのは、個人的には、、、「どうしようもないことだ」と、思うんですよね。思うんですよ。「どうしても、どうしても、好きになれない人間」って、誰しも、絶対に、いる、と、思うんですよ。思うんですよね、、、 そしてこの物語の不幸は、そんな「どうしても好きになれない人間」を、どうしても、かかわりを持たないように離れさすことができる、という展開に、ならなかったこと、だと、思います。もう、しゃあないけど、、、しゃあない、、、よなあ。やれん。やれんことだよなあ、、、 自分は、嫌なヤツとは。「あ、コイツは無理だ俺」って思う人間とは、距離を置くタイプです。そんな人間と、関わりあって、なんとか上手く行くように努力しよう、とは、思わない。思えないタイプです。タイプなのです。ですので、信之の、輔に対する気持ちは、どうしようもなく、しょうがないと、思う。洋一の輔に対する仕打ちは、絶対に許せんけど。 ああ、輔。どうしてもお前は、信之の後を、追いかけてしまったんだな、、、不幸だな。どうしようもない不幸だ、が、どうしようもなかったんだな、、、と。「どうしようもなかった」と思うしかないことがある、ということを感じさせてくれただけでも、読んだ甲斐はあったなあ、この本。っていう、変な感想。 あ、南海子も、まあまあ嫌なキャラですね。うん。嫌な母親であり妻だなあ、って思いながら読んでました。 美花も、勿論、嫌な女だったなあ~。いやもう、嫌な女ですね。どんだけ美少女だろうが、嫌だよこんな女は、ってバンバン感じてお見事でした。信之と美花の関係は、ちょっと、東野圭吾の「白夜行」っぽいな、とか、思った。あ、あと、この本自体の全体的な雰囲気は、吉田修一っぽいかな?みたいに思いながら、読んでましたね。ダークサイドの小説書いている時の吉田修一っぽかった。 総じて、嫌なキャラばっかり出てくるのに、読後、「読んで良かった。うん。そう思う」って思わせた、ってことは、やっぱこの本は凄い。三浦しをん、凄い。と、思うしだいです。でも、、、まあ、、、読み返したい、とは、思わない。正直なところ。そんな本でしたね。お見事でした。
2投稿日: 2020.09.19 - サムぽん"powered by"
ものすごく面白かった!三浦しをんの他の作品はのほほんとした感じがあったけど、この作品はのほほんとした感じはなく、最初から最後までドキドキハラハラさせられた!
0投稿日: 2020.09.12 - gaaco"powered by"
『シンセミア』と並行して読んだので、ノワール小説と思って読んだ。 けれど、どちらかというと、読み終わった時に切なさとか、乾いた悲しさが残るような小説だった。 求めるものからは求められず、求めないものから求められる。 愛の不条理というか、愛の非対称性というか。 信之と、実花、輔、そして信之の妻の南海子や、輔の女である結子の関係は、非対称。 現実には、それは当たり前のことなのだが。 そして、登場人物たちも、どこかでそれを認識している節があるのだが。 本書のテーマは、日常の中の暴力。 愛の非対称性は、人の心から生まれ出る暴力を駆動するもののようだ。
0投稿日: 2020.08.29 - ゆうき"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
輔が、一体何をしたんだ?美花を信奉するサイコパス信之を信じた結果がこれか、と、胸抉られました。信之は妻子がいて、世間的に堅実なお仕事で、2人も殺しておいて温かなラストだな!美花は解説での読書会で悪人100%が95%くらいに減りましたが、善人では決してないし。めっちゃ理不尽。唯一の救いは読書会でのしをんさんの「輔、大好きなんですよ、わたし」ということば。その一言で輔は救われないでしょうが、私は救われました。しをんさんの重い系をもっと読みたいけれど、難しいのでしょうか。とっても良い、好きな作品でした。 [追記] 輔は信之のストーキングしてましたね。まぁ、ほら、信之の悪事に比べればね、かわいいものじゃないか。
1投稿日: 2020.08.13 - さてさて"powered by"
『暴力で傷つけられたものは、暴力によってしか恢復(かいふく)しない』 この世に溢れる『暴力』。『光がすべての暴力を露わにした』、と誰の目にも容易に明らかになる『暴力』がある一方で、『「親」という存在が暴力を振るう事実を、ひとはなかなか受け入れない』、と当事者以外には理解されづらい『暴力』もあります。この後者の場合『暴力も愛の一種なんじゃないかと、なんとか理屈をこねて納得しよう』としてしまい、それは闇に潜りがちです。また、そんな『暴力』はさまざま形をとります。身体的、性的、そして精神的に相手を追い詰めていくものも立派な『暴力』です。そして、そんな『暴力』がエスカレートすると『殺すのなんて、やってみればたいしたことじゃない。なにも殺さず生を全うする動物なんかいない』、とある種開き直ったかのような立ち位置も生まれてしまいかねません。そんな『暴力』というものに『光』を当てるこの作品。そんな作品の登場人物には果たしてどんな『光』が見えるのでしょうか。 『海へ至る道は白く輝いている。美浜島ほどうつくしい場所はほかにない』という美浜島に暮らす中学生の信之。『昼も夜も、夏も冬も、島は完全な調和のただなかで海に浮かぶ』島、そして『島の調和を乱すものがいるとしたら、それは輔(たすく)だ』と感じています。灯台へと向かう信之の後を勝手についてきた輔は『手の甲の赤黒いかさぶたを剥いて』いました。『それ、おじさんにやられたのか』と聞く信之に『こんなの全然平気だよ』と答える輔。『父親の躾が厳しいことは、島のだれもが知っている。卑屈と卑怯を、島の子どもはみんな知っている』という輔。そんな二人は『灯台守のじいさんはお手製の丸太のベンチに座り、今日も仕事をするでもなく煙草をふかしていた』、という目的地に到着します。『はいよ、お待たせ』、と灯台から出てきたじいさん。『差し出されたコンドームの包みを、信之は小銭と引き替えに受け取った』という展開。『だれかに言ったら、ぶんなぐるからな』と輔に凄む信之。『灯台守のじいさんが、子どもを相手に煙草やエロ本やコンドームで小遣い稼ぎをしていることは、島の住民ならたいがいが気づいている』という島の暗部。そんな二人が元来た道を戻ると『山一商店の軒先では、美花と琴実がペンキの剥げかかった青いベンチに腰かけ、スナック菓子を食べているところだった』という偶然。そして、信之に『買えた?』と聞くのは島で唯一の同級生・美花。頷く信之に『でも今夜は、お客さんがいるからだめ。明日の便で帰ると思うから』と答える美花。『一月まえには芸能プロダクションの社員が、わざわざ島までスカウトに来た』という『とてもきれい』な美花。信之は『なんとなく山へ椿を見に行った』時のことを思い出します。『信之は美花を誘い、だれもいない冬のバンガローにもぐりこんだ』、そして『自分がなにをしたいのか、なにをするべきなのか、皮膚の裏を這う熱が教えてくれた』という初めての時間。それ以来『森のなかの無人のバンガローで美花とセックスすることしか考えていない』信之。そんな信之に『ねえ、信之。六時ごろ、うちに来てくれない』とお願いする美花。『バンガローに泊まっている客に夕飯を運んでるんだけど、なんだかいやな感じだから。一緒に来て』と言う頼みを聞き入れてバンガローに赴く二人。そんな二人の未来に影を落とすことになる人物との出会い、そして運命の天災が全てを変えることになる夜がやってきます。 五つの章ごとに登場人物の視点を変えながら描かれていくこの作品。作品冒頭『暗い海から届く潮騒や、夜の森で降り積む椿の花。色とりどりの大漁旗をひるがえす漁船と、港に集うひとのざわめき。陽光にきらめく幾重もの澄んだ波頭』という島の美しい情景を信之は『完全な調和』と表現します。そして、この調和を乱す存在として毛嫌いする輔。そんな輔は、父親からの激しい暴力を受け、本来であれば、いわば哀れむ対照であるはずの存在であり『生まれてからずっと、それこそ本当の弟のように思い、気をつけて面倒を見てきた』という近い関係にありました。しかし、『小心なくせにずうずうしい性格を垣間見せる輔に、しょっちゅう苛つかされる』、と『視界に入れるのさえいや』な存在になっていきます。そんな思いは当然相手にも伝わるもの。そんな二人の関係の不安定さは、読者の心の内まで伝わってきます。そして、『お互いオムツをしているときからの友だち』という美花。『美花に微笑まれると、信之はなんだか頬が熱くなる』、という美少女として描かれる中学生の美花。でもそんな美花の初登場シーンのセリフは、信之にコンドームを入手できたかを確認するものでした。ここから暗示される『男に媚び、男の魂を吸って生きてる』という美花から感じる嫌悪感。さらには、見栄と自尊心、そして自身にはとことん甘く、娘を見下す南海子という存在。登場人物の誰にも感情移入できない寄る辺のなさが一貫するこの作品。そんな読者を拒絶するかのような作品像は、ストーリー展開というよりは、これら登場人物の性格づけによるものだと思いました。でも一方で、特に南海子のような人間は、どこにでも普通にいそうに感じる、そのリアルさが、余計にこの作品世界を認めたくないと思わせる原動力なのかもしれない、そのようにも感じました。 この作品の書名は「光」です。でも、作品ではさまざまな『暴力』、性描写、そして人の心の闇がじっとりと描かれており、明確に『光』を感じられるような場面は出てきません。そんな我々が『光』というものに抱くのは希望や光明、未来といったこの作品からは最も遠い前向きな感情です。さまざまな『暴力』が描かれ、結末に向かってどんどん暗く沈鬱な空気に包まれていくこの作品。そんな作品の中で、一見、感情移入を拒むような存在の彼ら、登場人物にとって『光』はどう見えたのでしょうか。『ひとつだけある窓から朝日が射しこんでいる。わずかな時間だけこの部屋を照らす光』という輔の部屋に差し込む『光』。『早朝の透明な光に満ちて、薄青く晴れわたっている』という信之と美花が二人で目にした『光』。そして、『輪郭の定かでない黄緑色の光が、二つ三つ水辺に漂っている』という信之たち親子三人が見たはかない蛍の『光』。そんな『光』が導く未来は、我々が一般的に抱く希望へと続くものではありませんでした。それは、人を闇へと導く『光』。しかし、それも『光』には違いありません。『「光があるから闇がある」といったような二分法が、いまいちピンと来ない』とおっしゃる三浦さん。光と闇は単純に対極に考えるようなものではなく、ある意味相対的なものとも言える世界なのかもしれません。そして、人によっては闇に導く『光』もある。そんな風に考えると、この作品の書名が発する『光』が全く異なる輝きを帯びて見えてくるようにも感じられました。 この作品はミステリーではないので、”イヤミス”という言葉は当てはまらないのかもしれません。でも読後に読者を襲う不快感はまさしく”イヤミス”と言っても過言ではありません。『私はふだんなるべく、人の善良な部分、希望や明るい面について、小説にしたいと心がけている』という三浦さん。でも一方で『人の心って、そんなにいい面ばかりではない』とおっしゃる三浦さんが問うのは、人の心の闇を照らし、闇に導く『光』の物語でした。『美花を暴力から救ったのは、信之の暴力だ。信之の振るった暴力が、そのあとの信之を救いつづけ、行く道を示しつづける』という『暴力』を導く『光』。 嫌な感情を突き動かされ続ける読書。持って行き場のない感情が襲うその結末。間違いなく賛否両論さもありなんという三浦しをんさん渾身の問題作。 湊かなえさん、もしくは辻村深月さんの”黒辻村”の作品群を想起させる人間のドロドロとした闇を彷徨う物語。そして、そんな闇に『光』差す結末に蠢くもの。人間の本質にぐりぐりと迫る三浦しをんさんのあまりの凄みに、読後しばらく放心してしまった、そんな強烈な印象が残った異色な作品でした。
54投稿日: 2020.07.16 - るゐ"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
主要人物4人とも穴の中から外の光を見上げてたのかなあ。井の中の蛙なくせにわかったようなつもりになっててそれぞれが自己満足のために自分だけの光に手を伸ばした結果があの結末なのかなと。
0投稿日: 2020.06.13 - したこ"powered by"
「月魚」が好きなので三浦しをんさんの美しい作品が読みたくて、「光」という美しい題名に惹かれて購入し読了。 めちゃくちゃ暗いじゃん…。「光」っぽい「光」は見当たらない。自力で探すしかない。暗くて救いようがないから「光」を求めてどんどん読み進めた。光はなかった。 大人になってからの黒川輔に対する三浦しをんの描写がとても良かった。色気も気怠さも全て伝わってきて心底惚れてしまったので終始泣きそうだった。ぼろアパートに住んでるからこそ溢れる色気よ。自分なり他人なりの死を嘱望してるところも推せた。 将来愛した人が信之みたいに平坦な人だったらショックだな。輔みたいに垣根がある人だったらショックだな。自分だけ相手を知った気になって、相手はそんな自分を嘲笑してるような、リアルな感じがすごく怖かった。 みんな悪い人だったよ。ミカについてはよく知らないけど、悪意が本当になさそうで不気味。
1投稿日: 2020.05.15 - きりこ"powered by"
幻想と暴力。 一人暮らしし始めの時、夜に読んで、どくどくした。 シーンと感情の表現がすごい。三浦しをんさんにしかできないものがたくさん。 幅の広さに衝撃を受けた作品。
0投稿日: 2020.05.05 - アリス"powered by"
このレビューはネタバレを含みます。
すごい重い気持ちになるし、ラストも救いなさすぎて読んだ後憂鬱になるような本やけど好きな感じの本やった
0投稿日: 2020.04.26 - cinejazz0906"powered by"
月刊誌『小説すばる』に連載のため、東日本大震災大津波襲来の5年前に書き起こしたという【三浦しをん】の圧倒的衝撃で迫る長編小説。小笠原の“美浜島”が、突然の津波の襲われ、島民271名のうち266名が死亡もしくは行方不明になる。この物語は、被災した島の生存者五人の驚くべき生き様と、関りをもつことになった人間の悲哀が語られていく。島の緑を輝せる太陽、夜の波間に漂う月の〝光〟の煌びやかさは、一瞬にして闇の世界に変貌する。生き残った者の消え去らぬ心の闇は、虚ろな眼に宿る狂気の〝光〟となって彷徨うアウトロ-の物語。
7投稿日: 2020.03.06 - トミー"powered by"
暴力や支配、他人への独占と拒絶。 日常に潜んだ闇や暗部をテーマにした、かなり重い内容の小説だった。 登場人物だれもが救いようもない闇を抱えており、それぞれの不気味さが入り乱れながら物語が展開していく。 「光」というタイトルの意味が分からなかったが、闇を表現することで、光を際立たせているのかと考えさせられた。
0投稿日: 2020.03.05 救いはあるのか?
三浦しをんは、ここ数年で好きになった作家のうちの一人なんだけど、読んでいてこれが本当に三浦しをんの作品かと確認してしまったほど。 逆に言えば、こういう小説も書けるということで、著者の力量を再認識はしたけど。 第1章と第2章を読んで、救いようのない話だなぁと思っていたら、第3章で既述の2章がリンクして一気に話に惹き込まれた。 でも、最後まで救いのある話とは思えなかったけど、タイトルに込めた著者の意図があるような気もする。
0投稿日: 2020.02.24- せにやん"powered by"
とにかく重たい。 人間味を失った登場人物が ひとりひとり考え方がすごくて、引き込まれる。 幸せに暮らすって 当たり前じゃないんだな。
4投稿日: 2020.02.20 - おんあす"powered by"
誰がいちばんかわいそうなんだろう いちばんが決められないくらい、 みんなかわいそうで、みんなクソ野郎だった だれにも同情ができないし、だれにも感情移入ができないけど、共感できないことに安心してしまった
1投稿日: 2020.02.11 - integsmox2"powered by"
光というタイトルなのに光がなかった。もちろん人によってはこの小説から光を見出すのだろう。しかし、主題は明らかに暴力だ。あるいは虚無。語られる感情は憎しみ、恐れ等負の感情ばかり。むしろある種感情が欠落しているような人ばかり。読んでいて楽しいものではない。正直、湊かなえなら分かるし、こちらもそれを期待して読む。しかし、舟を編むの作者の惹かれるタイトルだったから読んだのに期待していたものと違った。事前に内容を知ってから手に取るべきだったと反省。もし、このような内容と知っていたら感想も違うだろう。内容を知らなくても引き込まれる文章はさすがです。
2投稿日: 2020.02.02 - akizm1215"powered by"
重かった。 読んでいてつらかったんだけど、読む手を休められずに一気に読んでしまった。 島の津波で生き残った子供3人、大人2人。 主人公の信之は恋人の美花を襲ったカメラマンを殺す。 それを弟分の輔(たすく)が見ていた。 それぞれが秘密を心にしまいながら、津波で壊滅した島をすて、都会へ。 25年後、公務員となった信之の前に輔が現れる。 あの時のことをネタに強請をかけてきて…。 一方、美花は芸能人として一定の地位にいた。 しかし、体力のいる小説を書いたものである。 今度はどんなバディもので、どんな職業なのかしら? と思って読んでいたんだけど、1行目から、いつもと違うぞ! というのは感じたし、読み進めるたびにどんどん心が辛くなっていく。 けど、手が止まらない。 ただただぐったり疲れた。 かといって、嫌悪感があるわけではなく、非日常なんだけど、起こり得るかも? と思う、心をえぐった一冊でした。 これが3.11の東北地震より前に書かれていたっていうから、すごいよな。
2投稿日: 2020.02.02