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いちばんうつくしい王冠
いちばんうつくしい王冠
荻堂顕、中島梨絵/ポプラ社
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総合評価

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    このレビューはネタバレを含みます。

    いままでのハードな世界観から一転したような青春物語。 これまでのものとはテンションがぜんぜん違う!(笑) これはほとんどの人が読んでも楽しめると思う。 はじめはどうして集められ、閉じ込められたのかも分からなくて、そこから徐々にお互いのことを知り、演劇をすることの理由が分かっていく過程が面白い。 自分がしていたことに気づき、しかもそれに向き合うなんて誰もが出来ることではないはず。 劇の結末はどうするかを自分たちで考えて、こうするしかないって答えを劇中劇で指し示すなんてまじスマート!カッコイイ。シンシンって映画の演劇練習とかに近い感じなのもよかったですね。 今作に出てくる子供たちの家族は決定的に壊れる1歩手前にいるよう、一家離散までいってないんだけど彼らの行いが誰かを傷つけたことは間違いなくて。自分に罪の意識もなくやっていることなんて山のようにあるんだろうな、良かれと思ってしていたことだと信じていたのに、相手にはそれが何よりも辛いことになってる。 荻堂作品はやっぱり会話が最高ですね!コタロウの無邪気な振る舞いを追及する場面と主人公が良いことをしてるだけだと主張し、それはあなたが言える人だからだよって諭される場面はほんとに良いですね。その行いで本当に助かるひともいたり、いじられキャラになって笑える人なら気にもしないでしょうけど、そうじゃない人がいることを考えろってことですよね。

    53
    投稿日: 2025.11.08
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    読み進めるのが辛い話だった。夏休みを全て閉じ込められた場所で劇を完成させることに費やすという突拍子もない設定。それに関わる大人も気味が悪い出で立ち。???ハテナが一杯で始まり、読み進めるのがかなり辛い。8人の中学生の罪が一人ずつ明らかになり、それに向き合っていく。きっと最後に救いがあると信じて読み進めるうちに、自然と皆を応援していた。大円満で終わらないけれど、それでよかった。それぞれのこの先の人生に幸あれと祈った。

    7
    投稿日: 2025.11.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    かがみの孤城を思いだすはじまりだと感じました。 なにか罪があるからそこに送られた。 自分を送った相手は誰なのか、罪とはなにか。 本当にここを抜け出せるのか、なぜ演技をするのか。読者も登場人物も考えることは同じだったはず。この台本もなぜこの内容なのか、この配役なのか。なぜ?がたくさん出てくる物語。 終盤に近づくにつれ、それぞれの罪が明かされていく。すると台本の意味がわかっていき 考えて行動する、ということを知るホノカたち。劇を終えた彼女たちは、成長し、相手のことも考えて行動できるように変わったのだなと思いました。 子供も大人も相手のことをもう一歩思いやる、ということが出来ないことがある。 老若男女問わず考えてみて欲しいなとおもう作品でした。

    0
    投稿日: 2025.11.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    中学二年生の夏休み初日。目覚めたら見知らぬ7人の少年少女と共に体育館にいた。 そして妖精の着ぐるみを着た男から告げられた「キミたちにはこれから、一本の劇を演じてもらいます」という言葉から疑問だらけの日々が始まる…ってどんな設定よ! なぜここにいるのか。なんのために集められたのか。どうしたら帰れるのか。 不安しかないだろう。家族や友だちが心配してるはず、助けに来てくれるに違いない。そう思いながらも妖精の指示のもとでなぜか劇の練習に明け暮れる。 何が起こっているのか、何をさせたいのか、読み手も疑問符だらけの頭でページをめくる。 そして徐々に見えてくる彼女たちの抱える秘密。けれど、その秘密たち真実のほんのひとかけらだったと気付いたときに物語が抱える深さにおののく。 彼女たちの秘密は、私の秘密でもある。忘れていた、あるいは忘れた気になっていたあの頃のこと。 誰かのため、や、誰かのせい、が自分に向けられた刃となる。 この物語にカタルシスはない。多分いつまでも幕は降ろされないままなのだ。

    2
    投稿日: 2025.11.01