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「透明」になんかされるものか 鷲田清一 エッセイ集
「透明」になんかされるものか 鷲田清一 エッセイ集
鷲田清一/朝日出版社
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総合評価

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    【心に残ったフレーズ】 「透明」=マイノリティということ? 誰からも関心を寄せられないこと 見えているのに誰も見ていないものを見えるようにするのが詩 透明な存在=社会の力によって見えなくさせられていること 「恵まれ」の不平等を正すのが政治 本屋に行く(学問を学ぶこと)は知らないことに気付くこと ------------ 【感想】 鷲田先生の著書は難しいイメージだったけど、この本を書店で手にしたとき、これはわかりやすそうと思って手に取った 最初は、独特の詩的な言い回しに、想像力が追いつかず読み難かったけれど、慣れてきたとき、一つ一つのエッセイで向き合う物事への姿勢のあたたかさに涙が出た 優しい。とにかく優しいエッセイだった。 この社会は、富や資本で語られることばかりだが、本当の人間の素晴らしさは思考の深さや教養によって生まれるのかなと思った。 改めて富よりも教養を追い求めたい。 富の再分配ができる人でありたい

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    投稿日: 2025.10.31
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     いつも利用している図書館の新着本リストで目につきました。  本書は鷲田さんの6年ぶりのエッセイ集とのことで、最近の鷲田さんの関心ごとをフォローする意味でも手に取ってみました。  書かれていることが “哲学的” で、難渋したところが多々ありましたが、期待どおりの興味深い指摘やコメントもいくつかありました。

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    投稿日: 2025.09.20
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    鷲田さんの著作は「読むとは、読書とはこういう営みだった」ということをいつも思い出させてくれる。スラスラと、流れるようにページを捲ることなどまあできない。何度も同じ文章を行ったり来たりして、一度顔を上げて頭を休めて、また戻ってくる。そうすると、さっきよりもほんの少しだけ言葉が宙を舞わなくなる。「読む」ということ「分かる」ということ、その手触りを思い出させてくれる。 コロナ禍や戦争があったこの時代、社会が何も変わっていない訳などなく、「変わっているのに何にも気づけない」人、日々の瞬間瞬間のスピードに飲み込まれ、考えることを放棄せざるを得ない人が、自分を含め本当に増えているのだと思う。 そのことに自覚的でありながら、今を生きる1人の人間としての責任と誇りを持ち、読むこと、言葉にすること、伝えることを諦めてはならないのだと、そう思った。

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    投稿日: 2025.07.03
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    「サンデー毎日」(2025.7.12号)で 武田砂鉄が書評で取り上げていた。 「若者に、『消える』『場所を変える』との選択肢しか 用意させない社会を作ってしまったのは大人の責任」 (P61)

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    投稿日: 2025.07.02
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    あちこちに書かれたエッセイを編み直したもの。 老いてままならない身体を得ることで、ますます、弱さや疚しさへの感度は高まるのだろうか。 巻末のブックガイドがよい。 エッセイもまた、開かれた場所であろうとする矜持がある。 コミュニティと免疫(immunity)の関連について引いている部分があり、関心を持ったが、原著の邦訳は絶版のようだった。

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    投稿日: 2025.06.28
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    タイトルはプロローグから。 この社会でマイナーとみなされてきた人びとの存在。 迷惑な存在だと嫌がられるのはまだ耐えられる。 だが、初めから視野から外されているというのは、じぶんが砂漠の砂の一粒に成り果てたということだ。 「透明」になんかされてたまるか。 こんな力強い書き出しで始まる以下59編。 私淑、というかファンなんだけど、いちどに読むのはなかなか…内容が濃いもので。 印象的だったのは「政治を壊す政治」 第二次安倍政権発足以来、言葉という政治の地盤そのものが平然とないがしろにされる場面を見てきた。 怖いのは、政治家が言葉を損ねたことが世に蔓延して、私たち自身が言葉を信じなくなってきていること。 それは「あれでいいんだ」と子どもたちに思わせる。 図書館で借りたけど、手元に置いて時折開いてみたくなる一冊。

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    投稿日: 2025.06.19