
総合評価
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powered by ブクログ「家康江戸を建てる」と同じ感じかなと思って読み始めましたが、さすが北海道、話の幅は期待を超えて広く、知らなかった人物の人生にも多数触れることが出来て大変楽しく読めました。この時代独特の空気も書く話からもよく伝わってきました。で、最後はやっぱり石狩川!綺麗に整いました。 北海道に行きたくなります。
0投稿日: 2025.11.01
powered by ブクログ読む前は「札幌」という都市の誕生を市政史的に淡々と語っていく感じを想定していた。 しかし、その予想は覆された。 北海道開拓使がおかれた明治初頭から始まり、開拓使の首席判官に任命され、現在の碁盤の目状の都市計画の基盤を構築した元佐賀藩士・島義勇、クラーク博士が去った後の札幌農学校二期生として入学した内村鑑三、アイヌの女性でありながらイギリス人の聖公会宣教師ジョン・バチェラーによって受洗し、ジョンや後に出会う金田一京助が作成するアイヌ語辞書の制作に協力したバチラー・八重子、父親から札幌に購入した巨大な農地を引き継ぎ、慣れないながらも農場経営も行うが、後に農地経営を小作人に譲渡する農地開放を日本政府の施策に先立って実施した作家の有島武郎、蛇行しているが故に気候の変化により周囲に繰り返し水害を及ぼした石狩川の治水の計画を立案して、実行した岡崎文吉。 そう言った札幌という都市の創世に関わった人たち、一方でそれは「和人」によって失われて行くアイヌの土地、北海道の歴史を時代小説的に語る作品。 歴史ノンフィクションというのではなく、Based On True Story 的なフィクション。 その読書前とのギャップが新鮮でどんどん引き込まれて読めた。
11投稿日: 2025.11.01
powered by ブクログ史実に基づいた小説。 地図を見ながら読むと面白い。 自分も地図に残る仕事をしたいなぁと思った。 アイヌにとってはロシアも日本も侵略者なんだなぁ。 島義勇さん以降はそんなに札幌誕生に寄与してる感は薄い。でも話としてはとても面白いから読む価値はある。
1投稿日: 2025.10.19
powered by ブクログ北海道が蝦夷地のころ、ロシアの侵略を防ぐために、作られた町、札幌。物語形式になっていて、読みやすい。厚い本だが、サクサクよめる。歴史地図のQ Rコードがついているから、昔を想像しなが、札幌を散策するのもいいかも
1投稿日: 2025.10.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
お恥ずかしながら、私はあまり歴史に詳しくないのでどこまでが史実でありどこからが物語なのか正確に理解はできていません。 ただ、1話の最後にあった「この逸話は、真偽が定かではない。もしも〜〜〜一定数いたことの証拠になるからである。」のひと分を読み、 今史実とされているものも、もしかしたら今後変わる可能性もあり、実は今物語だと思われていることが、事実であるかもしれないという可能性に気づき夢があるな〜!と思いました。(軽くてすみません) なにも起こっていなければ記録に残らないわけで、なにか残っているのであればそれに近しい何かが起きていたという証拠ですものね。 それぞれの人物の生き様が、紹介文ではなく、 物語になることによって読みやすく、感情移入しやすくもっと知りたい!と思わせてくれる小説だなと思いました。
0投稿日: 2025.10.13
powered by ブクログ【349冊目】私の故郷を描いたこの作品に、わずかな文字数で感想を書き切れるわけがないのです。札幌は、はぐれ者や敗者の集まる土地であり、彼らが再起と希望を賭けた土地であり、あるいは、思うに任せない人生への思いをしがらみから離れて整理する土地だった、ということがよく分かります。 島義勇は内地(注:北海道の人が「北海道以外の日本」を指すときに使う言葉)ではあまり知られていない人物かもしれませんが、プロの札幌市民であれば市役所にその像があることで、札幌誕生に何がしかの貢献をしたことをほのかに知っているでしょう。内村鑑三や有村武郎は全国区の有名人ですが、バチラー八重子はいまや道民にしか馴染みのない名前かもしれません(道民ですら、どこかで耳にしたことがある程度でしょう。)。 ただ、岡崎文吉は…これは知りませんでした!しばしば石狩平野を水浸しにして開拓の積み上げを無に帰してきた石狩川の治水をした責任者であったそう。札幌の発展に重大な貢献をした方にもかかわらず知らなかった自分を恥じたい(なお、筆者も他の4章の主人公に比べて岡崎の名が知られていないことは認めています。)。 全編を通して描かれるテーマは、厳しい自然環境や冷徹な社会・人間関係の中で生きていくこと。 生きていくことは、悩み、苦しみ、良き友人や家族を得てその声を聞き、やっぱり最後には自分で決めるしかないってこと。 自分の内なる声が正しいとは限らなくて、時に妥協し、時に誤りを認めて、時に周りに流されても良い。最後にそういうことを全部自分で引き受けること。それが人生なんだろうなぁと考えてしまいました。 札幌は新しい街、よそ者ばかりで出来た土地だからこそ、そういう煩悶を抱えた人々をまるっと受け入れる懐の深さみたいなものを感じます。 「札幌誕生」というタイトルもまた、本書をとても魅力的なものとしています。日本にはいくつもの都市が存在します。しかし、その都市が誕生する過程をつぶさに描けるのはいくつあるでしょうか? 私の印象では、17世紀に徳川家康が都市改良を行った江戸、そして札幌ぐらいではないかと思うのです。京都や大阪、名古屋も都市としては有名ですが、それらは歴史が古すぎて「誕生」のプロセスを詳細にストーリー仕立てにすることは難しそうです。 そう考えると、今や人口200万人を誇る巨大都市がまさに生まれた瞬間をとらえることができる、札幌というのはとても貴重な存在なんだと思います。 郷愁や慕情にかられ、溢れ出る思いがうまく言葉にできませんが、この本は少しだけ不器用ながらも頑張る人たちの本です。大泉洋のような器用人は、北海道にはほとんどいません!笑 少し傷付いた人や何かに負けそうな人、絶対両立しないものの間で選択を迫られている人、そして、それでも頑張りたい人にはぜひオススメの本です!
0投稿日: 2025.09.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
はるか原野の奥の闇に、ぽつりぽつり、橙色の点が横に並んでいる。星の列のようにも見える。 目的地の銭函でかがり火を焚いたのである──。 ──まさしく北海道でなければ、しかも民家などの建て込まぬ開拓時代でなければ不可能なやりかた。最長距離の道しるべ。 この物語は、まだ北海道が蝦夷地だった頃。ロシアからの侵略に対して応戦する為、北の障壁となるべく都市の開拓が急務だった。それらの目的の為、世界的にも類を見ない速さで開拓・発展を遂げた近代都市札幌。幕末から昭和にかけて、未知の北海道で生きた5名の男女にフォーカスした、史実に基づいた物語。 島義勇の章では、『北海道開拓の父』と呼ばれ、碁盤目状の街路やインフラ整備など、札幌の基礎を築いた物語を描いた。 内村鑑三の章では、クラークが去った後の北海道開拓の上で切っても切れない、『札幌農学校(現・北海道大学』の学生たちの物語を描いた。 バチラー八重子の章では、アイヌを鼓舞する為に自身の半生を歌集に乗せ、和人と共存していくアイヌとしてのアイデンティティを描いた。 有島武郎の章では、農地解放を行い、小作人による農業組合が日本で初めて立ち上げられるまでを描いた。 岡崎文吉の章では、氾濫の多かった石狩川河川の現代にまで生きている治水事業を描いた。 下手な感想なんてありません。ただただシンプルに、自分の地元をまた一段と好きになりました。
1投稿日: 2025.09.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
札幌の成立過程を、幕末から昭和にかけての5人の人物のドラマを通じて描いた連作短編、門井先生自身が語った創作意図・作品で最も強調したかったのは、「人が住んで街になるのではなく、人はいないが街をつくる」という、極寒の大地で大規模な都市計画をゼロから推進した先人たちの信念と情熱、そして現代にも通じる「自制心」を持った5人らしい・・・が、小説ならば特定の主人公を通過した5人という書き方の方が馴染みある、つまり札幌誕生というタイトルに相応しい観察者が不在なため、読者はバラならの5人の先人話を読まされただけに終わった(辛口)バチラー八重子や有島武郎の話は札幌誕生ストーリーに何も寄与していないと断ずる
1投稿日: 2025.09.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
江戸末期から明治にかけて、札幌は人工的に作られた街。 函館までは街があったが、ロシアからの国土防衛のために、人が住んでいることにしたくて急ピッチで整備。 佐賀の七賢人の一人、島義勇(しまよしたけ)が佐賀から判官として着任。ワシントンなどを参考に碁盤の目を構築。江戸時代に大友さんが掘った大友堀(創成川)を基準に整えて、木材を小樽から日中夜問わず輸送するなど。アイヌを奴隷の様に使った白浜園松を愚弄して左遷されて、士族反乱の佐賀の乱を起こし刑死。 内村鑑三は札幌農学校の二期生。武士の子供だが刀狩令で武士は食い扶持がほぼ無くなり、親世代は屈辱的ながら子供を札幌農学校に。学費かからず、北海道開拓で仕事はあり、卒業後はしばらく札幌で働く必要がある。クラーク博士はアメリカ人。アメリカは二流で一流はイギリス。新渡戸稲造らと学び、キリスト教に入信。日本人は心が弱い。キリスト教をすべき。 アイヌの子供のフチ(和名は向井八重子、バチェラー八重子)。アイヌの歌人。家(チセ)、サイカノ。有珠生まれで南東の伊達市は当然仙台伊達氏の開拓地(戊辰戦争で負けて来た)父の死後に父と交流のあったバチェラー先生(宣教師、アイヌ語辞典を作る)所に行き、養子になる。実家は和人に騙されて壊される。アイヌの子も和人の小学校に通い、便利な技術や考え方を日本語で学ぶため、どんどんアイヌ語が下手になる。金田一京助と出会い、和歌の雑誌を借りて和歌を書く。アイヌの書く、アイヌに向けた和人の和歌。 有島武郎は札幌農学校で新渡戸稲造に学ぶ。有島武郎、武者小路実篤や志賀直哉と文芸誌白樺を作り、カインの末裔を書いて、軽井沢の別荘で人妻と辞世の句を書いて心中する。北海道はニセコでは父親から受け継いだ土地で小作農を使って農業をしていたが、実際は地主だけ。作家として成功すると農協を作り、小作農に明け渡した。 石狩川を治水した岡崎文吉の話。例に違わず下級士族の子で、家禄廃止に伴い貧しく学費が払えず、タダの札幌農学校に行く。 ーーーー 「国家というものは実体がないだけに、紙の上では、しつこいほどに存在させなければならないのです」
1投稿日: 2025.09.21
powered by ブクログ札幌の成り立ちを5人の人物を通して描く。面白かった。石狩川のこととか、ニセコと有島武郎の関係とか。歴史は好き。
0投稿日: 2025.09.17
powered by ブクログ北海道生まれの人には、是非読んで欲しい本です。 札幌という都市が出来るのには、名も無き人達が困難にも負けず、苦しみながら、未来を夢見てきた。 アイヌ問題や自然関係(特に動物)など、織り交ぜながら、物語がグッときました。 25/09/07 38冊目
8投稿日: 2025.09.13
powered by ブクログ開拓者たちにとって北海道は人生の逆転のための場所だった。明治維新で地位や名誉、土地などの財産を失った人たちが、必死の思いで何もない土地に文明を築いてきたと思うと、普段目にする建物や道路、河川の堤防にもそういった人たちの息遣いが感じられるような気がした。北海道の急速な発展の歴史を知ると、まだまだ北海道が秘めた可能性は無限大であるような気がして、楽しくなる。
0投稿日: 2025.09.13
powered by ブクログ「開拓判官ー島義勇」「ビー・アンビシャスー内村鑑三」「人の世の星ーバチラー八重子」「流行作家ー有島武郎」「ショートカットー岡崎文吉」の五話。北海道に強く関係した5人の人物を主人公にした5つの中編を、時代に沿って並べる事で、札幌の誕生とその成長を描いた作品です。 『東京、はじまる』の感想には「口に出さない当人の考えをインデントや()で括って差し込んでいく文体は、池波正太郎によく似て非常に軽快です」と書いていましたが、今回は読み始めてしばらく(文章と言うより話の進め方が)「なんか司馬良太郎っぽいナ」と感じました。もっとも読み進めるにつれ、その感触は弱まってきましたが。とは言え、どこか余り逡巡が感じられず、バサバサと大きく切り取って行くような書き方で、軽快です。 気に入ったのは最後の「ショートカット」。同じ技術屋の話という事もあるのですが、主人公の奥さんの可愛らしくて。もうちょっと顔を出して欲しかったな。
4投稿日: 2025.08.31
powered by ブクログ歴史が浅いと捉えられがち(捉えがち)だが、人のつくりたもう町は、一層人の想いの乗り移った街となっているものなのだ。と思わせてくれる一冊。地名の由来などを知ることができ、散策も楽しみになること請け合い。創成川行きてー⭐️
0投稿日: 2025.08.18
powered by ブクログ私は齢70になる道産子であるが、北海道の歴史を体系的に教えてくれる本書は貴重で有益。北海道民の必読書にすべきと考える。兎にも角にも、明治から150年余りで今日の「北海道」を築き上げた国家の意思には敬意を表する。 名作「家康、江戸を建てる」の手法を採用。人気を博し。TV番組にも採用された例にあやかった。ただし北海道は江戸ほどの体系性はなく、リーダーシップも明確ではない。従って、本書を構成する5つの話は関連付けが弱く、北海道という大きなイメージに統合されない。 おすすめ度は低い。
0投稿日: 2025.08.03
powered by ブクログ大河物語とも思いきや、札幌の街作りに携わった複数の人物の短編集でした。 壮大な物語を期待していたので少し物足りなさを感じましたが、 しかし一つ一つのストーリーがうまく纏められていて読みやすく、それぞれに感情移入できました。 その感情移入も、必ずしも主人公にフォーカスするわけではなく多面的に読めたのが面白く感じました。 個人的に土木学者の広井勇さんが好きなので、彼が所々登場するのもよかったです。
0投稿日: 2025.07.21
powered by ブクログ札幌を札幌たらしめるために力を尽くした人々、5人に焦点を合わせて語る。まずは開拓者と言える佐賀藩の島義勇、札幌農学校辺りの事情を述べる内村鑑三、アイヌの女性の視点からバチラー八重子、農地を小作人に譲るという快挙をなした有島武郎、そして石狩川治水の岡崎文吉。北海道そしてさの中心にある札幌の骨太の物語。堪能しました。
0投稿日: 2025.07.11札幌の歴史は勉強になった。
全体的には面白かったと思う。 ただ、二話目だけ面白くなかった。 クラーク博士の学校には幻滅した、というより驚いた…。強制的に生徒をキリスト教徒にさせるのは良くない。無言の圧力、生徒同士の圧力と、トラウマ級。内村鑑三のキャラは良いのに、この話は怖い。二話目だけ苦手だった。 他の話は面白かった。
0投稿日: 2025.07.06
powered by ブクログ北海道、札幌を舞台にした5人の人物で構成されている。私はこの本で、初めて島義勇と言う方を知り得た。其々の人物に全方向から光を当てて、丁寧に描き上げていて、逆境にめげずに未知の世界に切り込んで行く生き方や行動力に脱帽しか無かった。このバイタリティーが明治を創り出したのだと感慨深い。
5投稿日: 2025.06.28
powered by ブクログ蝦夷地をあらゆる分野で開拓する5人の物語。札幌市内に碁盤の目を考案した島義勇。石狩川を整備をし、豊かな札幌を不動にした岡崎文吉…我武者に生きる5人を人間臭く描写。簡潔明瞭な筆致も読みやすい。
3投稿日: 2025.06.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
【札幌誕生】 門井 慶喜 著 同じ著者の『家康、江戸を建てる』の札幌版。サッポロはアイヌ語で「広い乾いた土地」の意。函館(江戸時代の箱館を明治に改名)が最も栄えていたものの対ロシア対策上、内陸に首府を置くこととし、当時、野原だった札幌を拓殖(開拓・殖民)することに決定。現在の碁盤の目の形にして札幌を誕生させ、関連する人々や氾濫する石狩川の河川工事などを通じて幕末から昭和までを概観します。 新渡戸稲造、内村鑑三、有島武郎などと北海道との関係や、現在の札幌の基礎をつくった島義勇、アイヌ歌人のバチラー八重子、石狩川の治水に取り組んだ岡崎文吉など、知らない人々の活躍が描かれており、とても興味深く読みました。また、かつての「蝦夷地」を改名する際には、アイヌに配慮して「北海道」(「海」=「加伊」はアイヌ語で「その土地の人」の意味)とアイヌ語を盛り込んだなど、いつもながら門井慶喜氏の著作は面白くてためになります。 QRコードのある栞が挟まっていて、ここから地図に飛ぶことができます。さらに、書籍のあるページの数値を入れると詳しく見ることができるのですが、これからはネットと連動した書籍制作がありそうだとも思わせる一冊です。 「地図サイト」 https://sapporo-tanjo.rekichizu.jp/
0投稿日: 2025.06.09
powered by ブクログhttps://www.nikkei.com/article/DGKKZO89186420W5A600C2MY5000/ https://www.nikkei.com/article/DGKKZO89221570Z00C25A6BE0P00/
0投稿日: 2025.06.08
powered by ブクログ蝦夷地から北海道へ。その中核として設計された都市、札幌。札幌が発展するきっかけを作った5人のあまり知られぬ人たちの苦闘を描いた感動作。 人がその一生でできることは限られているが、後世にタスキを繋ぐことはできる。
2投稿日: 2025.06.03
powered by ブクログ札幌に勤務して40年、このタイトルは読まずにいられない。 ぶ厚い本なので、ワクワクして読んだが、?? これ、長編じゃないのか。 中編が集まってます。しかも皆、北海道に在籍している者なら、一度は名前を聞いたことのある方々のお仕事小説です。どれも皆面白い。 クラーク先生のBoys, be ambitious… その続きは… 気になります。 (like this old manだと思っていたが、違うのか?)
0投稿日: 2025.05.30
powered by ブクログ新聞連載で読んだ。 情熱を燃やした人々が連綿と続いて札幌を作ったという事実も面白いが、それを繋げて書く本書の構成も面白い。 (でもあまり興味が持てない人物もいたが。) バチラー八重子の章が最も面白く、アイヌの人々の生活感や息遣いが感じられた。 会話の前後の、作者特有の独特の語り口が面白かった。
26投稿日: 2025.05.14
powered by ブクログ500頁を越える厚さに少し怯んだが、読み始めると興味深く読めました。 札幌開拓に由来する5人のお話しで、一人あたり100頁程。 時々、知らない単語がでてきたりもしたけど。日本史も世界史もちゃんと勉強して身に付けとけばよかったなぁ。なんて思いながら。
2投稿日: 2025.05.08
powered by ブクログ札幌の開拓に携わった人物の物語。 函館の方が大都市で札幌は後発的に出来た都市だということがよく分かる。 治水工事などの平野をうまく使えるようになったことで都市として発展してきたということがよく分かった。
10投稿日: 2025.05.07
powered by ブクログ碁盤の目のような札幌を設定するなんて、凄い。先人達の苦労やいかほどと思う。ススキノは、やはり色街だったか。厳冬期を考えると、よくもまぁ日本各地から移住したものだ。
0投稿日: 2025.05.04
powered by ブクログ幕末から明治大正にかけての札幌が近代都市になるまでを、5人の主人公たちを通じて追っていく物語。 その5人とは、島義勇、内村鑑三、バチラー八重子、有島武郎、岡崎文吉。 歴史の教科書にもちらほらと登場する人物たちを含め、あまりみたこともない視点の北海道、札幌の近代都市化を描いた物語です。 登場人物として知っている人物は、私は佐賀の乱の島義勇、内村鑑三不敬事件の内村鑑三、小説『或る女』の有島武郎。 ただ、この3名も、歴史のし教科書上でしか知らない私は、札幌どころか北海道?というくらいに北海道に馴染みがない内地の人でございます。 読んでみると、歴史の偏見というか、今ではあまりイメージできてなかった当たり前の情勢が書かれていることに気が付きました。 あの頃、世界のリーダーといえば英国であること、北海道で1番発達していたのは函館だったことなどです。 どうしても、この辺りの歴史って、今の情勢のイメージでみてしまうところがあって、第二次世界大戦の戦勝国アメリカは今と同じだと思うし、国内でも江戸時代から盛んに松前藩と貿易していたのは松前藩で、その貿易の拠点は函館だったということを冷静に思い返せば、札幌は北海道では歴史の浅い都市だったということが推測されるのに、なぜか札幌の都市ができたときから函館よりも札幌の方が発達していたと錯覚してしまう不思議。 そして、ロシアとかなり近い距離にあった北海道。 この土地が日本とロシアにとっていかに大事な土地だったのかを思い知らされました。 そして、札幌という都市を作り上げるために尽力した人たちがいたという当たり前のことも思い知らされます。 作り上げたのは建物だけじゃなくて、札幌に移り住んできたきた人たちやもともと住んでいたアイヌ人との関係、そして北海道の自然との共存。 登場人物たちの北海道での生活が築き上げた札幌、北海道を500ページで綴ってた本作品。 胸が熱くなること間違いなしな物語だなと思いました。 個人的に好きなのはクラーク博士の残したボーイズ・ビー・アンビシャス。 この解釈で、新渡戸稲造の作中の解釈が私は1番現実的でちょっとクスッとなるくらい好きです。
2投稿日: 2025.05.04
powered by ブクログ幕末から昭和にかけて北海道に札幌の町を作りあげていった5人の物語を5章に分けて綴る。 広大な荒地を耕し、札幌の碁盤の目の街の基礎を作った初代開拓判官・島義勇。 札幌農学校で学び、キリスト教への信仰の反強制に抗いながら最後には日本人としてキリスト教思想家として名を馳せた内村鑑三。 アイヌに生まれ、アイヌ語を研究するアメリカ人夫婦の養女となってアイヌの歌集を出したバチラー八重子。 作家を望みながら、農場経営に苦労した有島武郎。 氾濫する石狩川の治水に取り組んだ岡崎文吉。 北海道の、札幌の歴史を学べる一冊でした。
0投稿日: 2025.04.30
powered by ブクログ道民なら教科書に出てきた大友亀太郎や小説家としてしか知らなかった有島武郎、さらには三日月湖として現代に残る石狩川治水など。幕末から続く壮大な開拓物語に一気読みした。
7投稿日: 2025.04.24
powered by ブクログ「御出身は?」とでも問われれば、自身は「札幌」というように応えるであろう。既に閉校してしまった、御厄介になった小中学校は札幌市立であった。その後、高校も札幌市内で、卒業後も暫く札幌に在った。その後は他の地域へ出ているが、それでも札幌へは年に何度も足を運ぶ、または立寄るという様子だ。札幌は自身にとって所縁が深い地域ということになる。 そういうことなので、本作の題名を見て、凄く興味が沸いた。加えてその作品を愉しく読んだ経過が在る作者による新作だ。新聞連載として発表されたモノを整理して本としたということのようだが、非常に興味深く、また勢い良く読み進めて読了に至った。 本作は5篇から成る。各篇は札幌に所縁の5人の人物を主要視点人物としている。5人の各々の物語を連結して、札幌という街が産れて育つ様を描こうという訳である。幕末期から大正期位の様子ということになる。 5人の人物達だが、事績等を或る程度承知している人物が1名、名前は聞いているという人物が2名、初めて聞いた人物が2名という様子だった。が、何れにしても本作を通じて5人の札幌に所縁の先人達に出逢えたということになる。 5人の人物達とは島義勇(1822-1874)、内村鑑三(1861-1930)、バチラー八重子(1884-1962)、有島武郎(1878-1923)、岡崎文吉(1872-1945)である。この5人が、5つの篇の各々の主要視点人物ということになる。 島義勇は佐賀鍋島家中の士であった人物で、北海道開拓に取組み始めた明治時代初めに、札幌の建設に着手した人物だ。内村鑑三、有島武郎、岡崎文吉は札幌農学校で学んだ経過が在る。バチラー八重子は有珠の村のアイヌであるが、アイヌの中に分け入って活動していた英国人宣教師の養子ということになって「バチラー」という姓を名乗った。「バチュラー」というように書く場合も在る。本作ではこれらの5人の人生、事績、生きた時代が描かれることになる。 島義勇については、札幌の小学校に在った頃に「札幌の街の建設を始めた人物」として聞いていたのだが、「佐賀の七賢人」としても名が挙がる人物で、色々と紹介されているのに触れたことも在った。(因みに「佐賀の七賢人」というのは鍋島直正、島義勇、佐野常民、副島種臣、大木喬任、江藤新平、大隈重信の7人だという。更に、大隈重信、江藤新平、大木喬任、島義勇に影響を与え、副島種臣の実兄であった枝吉神陽を加えて「八賢人」とする場合も在るようだ。)島義勇については、幕末期に箱館奉行に従って蝦夷地、現在の北海道やサハリンを訪ねたという経過が在り、本作でもそういう様子が出て来る。 本作の3つの篇に札幌農学校で学んだ人達が登場する。往時の札幌農学校は、卒業後に北海道の官署等で勤務するということで、学費を払わずとも学ぶことが可能であったようだ。内村鑑三、有島武郎、岡崎文吉はその恩恵に与っている。内村鑑三や岡崎文吉は、出身家庭の経済状況が必ずしも好くなかった中、学費が要らないようだということで札幌農学校に進んだようだ。 5人の中、「初めて聞いた」はバチラー八重子と岡崎文吉であった。バチラー八重子はアイヌ語も交じる短歌を発表し、歌集も出版されて注目されたという女性だ。岡崎文吉は土木技師で、石狩川の治水工事等に取組んだ業績が知られるという。 本作は「誕生」と言っても「事の始め」にばかり目を向けているのでもない。豊かな精神文化が育まれるようになって行く様、「事の始め」とされている事の更に以前から在る色々なモノと折り合いをつけるようなこと、大自然と向き合って暮し易いようにして行くということ等を経て、札幌が建設開始当初に意図されたとおりに「北海道を代表する街」への道筋を付ける様が描かれているように思う。 飽く迄も個人的な感想だが、最近は札幌が何やら「散らかっている?」というような気もしている。そういう中で在ったので、躍進へ向かって行く、幕末期から大正期位の様子を描いた本作が一層興味深いというように思えた。広く御薦めしたい作品だ。
8投稿日: 2025.04.13
