
総合評価
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powered by ブクログ「ガザの光⋯⋯炎の中から届く声」 巻末の早尾貴紀の解説から ・この本は2023.10.7のガザ蜂起前に書かれたものである。 ・1993年のオスロ体制の欺瞞後、2006年に反オスロ合意を掲げるハマースがパレスチナ評議会選挙で過半数を獲得して勝利し単独与党に。 ・2007年、イスラエル、米国は選挙結果を無視し西岸地区では武力でハマース政権を一掃し、ハマースの議員・閣僚・主要活動家をガザに追放。 ・西岸地区でファタハを傀儡化し「ガザを有効支配するハマース」というイスラエル側の作った意図的な分裂状況をもたらした。 ・オスロ体制は「パレスチナ国家」と「イスラエル」が併存するニ国家解決ではないし、以降現在までもイスラエルは入植活動を凍結したことはない。土地の収奪、細分化、域内封鎖は強まる一方だ。 ・イスラエルは「占領の終結」を演出し、反対者を「和平の敵=テロリスト」とレッテル貼りする。 ・ガザの封鎖は強化され電流フェンスまで使った包囲がなされている。 「現在進行中のナクバ」(長期的な封鎖) 「環境ナクバ」(オリーブから松へ) 「パレスチナの民族浄化」 ・アラブ社会、イスラーム社会が本質的に保守的で家父長的だと攻撃することで、イスラエルが先進国水準にあるとし、占領政策の暴力性の隠蔽、占領の正当化に使われる。 ・ガザを脱しヨーロッパに亡命したパレスチナ人たちも多くいるが、受け入れ国の動乱でさらなる追放の波に直面している。 ・サラ・ロイはガザ地区での基本的な経済社会は徹底的に阻害、破壊されており「生存不可能」な状態になったと指摘する。 このガザで生きる者の生活の現実が胸を打つ。テレビや新聞では知り得ない生のガザの様子が描かれている。 とりわけ最後の「2050年のガザ⋯⋯三つのシナリオ」が心に食い込んでくる。今のままか、二国家解決の欺瞞か、基本的人権を完全に与えられる一国家解決か。私たちはどのシナリオを選択すべきだろうか。 ・パレスチナでは解決策は「一国家解決」だけだと単一国家を求める動きが再び高まっている。 ・サイードら著名なパレスチナの思想家、詩人などを羅針盤としつつ、人文主義の可能性に最後に賭けているように思われる。 この本を読むことは日本でパレスチナ解放に関わるものたちの義務であろうと思う。 「知識こそ、イスラエルの最大の敵である。啓蒙こそ、イスラエルが最も憎み、最も恐れる脅威である。彼らが殺したいのは、開かれた心と、不正義と人種差別の下で生きることを拒否する決意自体なのだ」(2023.12に殺害されたリフアト・アルアライール) やっと読み終えた。苦しい時間ではあったが目指す光は見えてきた気がする。 次には、購入済みのジョー・サッコの漫画大作「ガザ 欄外の声を求めて」が待っているが、次々と連絡の入る図書館予約準備完了本でしばらく骨休みすることにさせてもらう。 ふと思い立って、岩波ブックレットという比較的簡単に読める本のパレスチナ関連をどう検索すればいいか、図書館に電話で尋ね方法を知った。8冊あるとわかったので手を伸ばしてみようとも思っている。
10投稿日: 2025.11.06
powered by ブクログ配架場所・貸出状況はこちらからご確認ください。 https://www.cku.ac.jp/CARIN/CARINOPACLINK.HTM?AL=10294601
0投稿日: 2025.10.18
powered by ブクログ302.279 アルア パレスチナ人の作家たちが未来に向けて遺したメッセージ。 「ガザ」は貧しさや、破壊に満ちた場として伝えられている。それは事実であるがそれだけの場ではないことを知ることができる1さつ。パレスチナ人の直面する厳しい現実を知りつつ、彼らの抱える夢や希望を感じ取れることでしょう。
1投稿日: 2025.07.03
powered by ブクログ無意識のうちにガザに暮らす人々に単一の被害者というテンプレートを当てはめ、苦しむ被害者、救うべき弱者であることを求めていた部分が自分自身のうちにあったと、そう気付かされた。 人が生き暮らすということは、単純では無い。それはここ日本においても、遠い海の彼方の国であっても。 正義と悪に分類しなければ乗り越えられない局面は確かに存在する。様々なものを切り捨て一つの答えを選ぶしか無いこともある。 けれど、そこに多様な人がいて多様な考え方があり、社会は複層的に幾つもの分断を抱えているのだという事を忘れないようにしたい。
0投稿日: 2025.04.13
powered by ブクログ「パレスチナ人に基本的人権を完全に与えることができるのは、この解決策だけだ。一国家解決とは何か。それはパレスチナ人とイスラエル人が、双方平等な権利を持ち、自分の信仰を自由に実践できる民主的な世俗国家に暮らすことである」 本文(338P) 上記の実現はかなり厳しいかと。まずは復興が出来ますことを願うばかりです。
0投稿日: 2025.03.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ガザについて語られるとき、その多くは、イギリスの三枚舌外交に始まる不平等な歴史の物語か、あるいは現在の人道状況の悲惨さを示すルポルタージュである。 無論、それらを知ることは重要なことである。しかし一歩踏み込んで、ガザに住む人々がどのような状況に置かれているのか、包括的に知ることができる本は、これまでなかなか見たことがなかった。 本書は、ガザ出身の当事者らが農業、電力事情、建築、AIなど、文字どおり様々な側面でガザに光を当てる。悲しいことにどの現状も、自分に置き換かえる想像すらできないほどに厳しい状況であることがわかる。 この書によって、国連機関やNGOがガザの状況について発表する簡潔なレポートに関し、より立体的に状況を想像することができる。
2投稿日: 2025.02.18
powered by ブクログ実に重厚な1冊と唸る。ガザについて無知なぼくはその無知を棚に上げてついつい「ディアスポラ」「ポストコロニアリズム」「オリエンタリズム」といった威勢の良いタームでガザを俯瞰しそうになるが、ここに収められている文章群はむしろそうした勝手なレッテルをいましめガザ(ひいては世界それ自体)のリアルを細部まで見つめることをこちらに誘う。そして、ここにおいてできることはあるかと問いかけている。そのためにはなんでも知りすぎて冷笑主義や虚無主義に浸る現実逃避をやめて、あらためて自らに内在する可能性を信じ抜く覚悟が必要だろう
0投稿日: 2025.02.03
