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貞鏡 講談絵巻本 写真と文で綴る講談師 一龍斎貞鏡半生記
貞鏡 講談絵巻本 写真と文で綴る講談師 一龍斎貞鏡半生記
一龍斎貞鏡、橘蓮二、他/竹書房
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総合評価

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    主要テーマ: 伝統と革新: 古典芸能である講談の世界に身を置きながら、新しい試み(ピアノ講談、毒婦伝など)に挑戦する貞鏡の姿勢。 家族との絆: 父である八代目一龍斎貞山との師弟関係、家族(夫と子供たち)との日常や葛藤、そして亡き父への想い。 女性講談師としての挑戦: 女性が少ない講談界における自身の立ち位置や、周囲からの評価、後輩への想い。 芸道への情熱と苦悩: 講談への深い愛情と、前座時代の苦労、スランプ、そしてそれを乗り越える過程。 御縁: 人生における様々な出会いや出来事を「御縁」として捉え、自身の成長の糧とする考え方。 重要なアイデアや事実: 第一章:貞鏡グラビア絵巻 / 七代目一龍斎貞鏡真打披露 真打披露の様子が写真で紹介されている。 令和五年(2023年)10月17日、東京・金王八幡宮にて真打披露宴が開催され、多くの招待客(落語家など)が訪れた。 柳家市馬(当時落語協会会長)、林家たい平師匠らが祝辞を述べた。 披露宴では『俵星玄蕃』が熱唱された。 国立能楽堂への憧れや、古典芸能への意識が示唆されている。 「室町時代より600年以上の歴史がある能楽の…憧れの檜舞台がある。その中の一つが、(中略)古典芸能を生業とする話芸家であるならば…」 第二章~三章:貞鏡半生記 其ノ一~三 生い立ちと家族:昭和61年(1986年)、渋谷区笹塚生まれ。 父は八代目一龍斎貞山、祖父は七代目貞山(「お化けの貞山」)、義祖父は六代目神田伯龍(世話講談の第一人者)。 家系図と講談師としての系譜が複雑に絡み合っていることが説明されている。 父方の祖母(お千代)と六代目神田伯龍が再婚し、父が伯龍の養子になった経緯。 「講談界に於いて、初の三代続いての講談師でありますことをご説明」 幼少期:アニメ『セーラームーン』に興味がなかった。 「冬は義士、夏はお化けで飯を食い」という講談界の言葉を紹介。 人見知りで人前に出るのが苦手だった。 講談との出会い:父が風呂場で講談を唸るのを聴いた原体験。 初恋の人は宝井琴調先生。 子供の頃、父の講談『寺坂のD上』の真似をしていた。 入門のきっかけ:大学2年生の夏(2006年7月5日)、父が出演する講談会を初めて生で観て衝撃を受け、講談師になることを決意。 父の舞台姿を見て「女性でも講談は出来るんだ。演ってイイんだ」と強く感じた。 琴桜先生が真打披露の口上で「私の御陰で、この子は今、講談界にいるんです。皆さん、私に感謝して下さい」と述べたエピソード。 父とのやり取り:講談師になりたいと父に訴えるも、最初は「なれっこないから、ダメだ、ダメだ」と反対される。 諦めずに何度も頼み続け、父に煙たがられる日々。 初めての講談会:女性講談師だけの会「なでしこくらぶ」を訪れ、女性が講談を演じる姿に感銘を受ける。 両国亭での父の高座を観て、「パパ、カッコいい!」と感じる。 父の意外な一面:普段はだらしなく見える父が、高座では堂々と語る姿にギャップを感じる。 父の読む『牡丹灯記』に美しさを感じる。 入門への道:父に「講談師になりたい」と何度も伝えるが、「出来っこない。無理だ」と一蹴される。 大学3年生の頃から、親友と父の出演する講談会に行くようになる。 父の打ち上げに初めて参加し、姉さんたちの様子を見て驚く。 大学4年生の12月、突然父に「着物に着替えろ」と言われる。 第四章:貞鏡講談演目十八番 演目のリスト(『芝居の喧嘩』、『那須与一 扇の的』、『忠臣蔵義士銘々伝』など)が挙げられている。 それぞれ簡単な紹介がされている可能性がある(本書全体を通して)。 第五章:入門してから真打昇進まで 六代目一龍斎貞水への入門:父に連れられ、六代目一龍斎貞水先生の自宅へ。 2007年末、大学卒業を控える中、諦めずに講談師への道を模索していた。 貞水先生に「貞山君の娘か」と声をかけられ、挨拶をする。 貞水先生は、父の実父である七代目貞山に世話になっていた。 前座生活の始まり:礼儀作法も分からないまま修業が始まる。 ミニスカートにハイヒールで稽古に行くなど、世間知らずな行動が紹介されている。 上野の本牧亭、お江戸両国亭、お江戸上野広小路亭などの寄席で活動。 最初の稽古は、父の『山崎軍記』をひたすら読むことだった。 師匠(貞水)は食べるのが非常に速かった。 師匠との関係:父娘ではなく師匠と弟子の関係になる。 師匠から「ペースを合わせるのよ」と励まされる。 学校公演など、多くの観客の前で話す経験をする。 父が「貞水兄さん」と親しみを込めて貞水先生を呼んでいた。 張扇供授:講談師にとって大切な行事である張扇供授について触れられている。 入門後間もない頃に経験したと思われる。 高座名「一龍斎貞鏡」:入門を許され、高座名を授かる。 見習いや前座の心構えなどを教わる間もなく、いきなり講談界に入る。 周囲の支え:他の講談の先生方から指導を受け、根多を増やしていく。 神保町「らくごカフェ」での勉強会や、父との「親子会」を開催。 抜擢人事:前座でありながら、独演会のような番組でトリを務めることもあった。 師匠・貞山から重めの読み物を教わるようになる。 真打昇進への意識:「怨みの原因になるので抜擢は行わない。全員、年功序列で昇進」という講談界の慣習が紹介されている。 毒婦伝への挑戦:「お利口さんでいなければならない」というプレッシャーを感じていた。 毒婦伝に新境地を見出す。 二つ目になると、自分の高座以外の講談会にも足を運ぶようになる。 貞水先生や親しい姉さんの高座を勉強する。 「笑点 特大号」への出演:BS日テレの「笑点 特大号」の女流大喜利にレギュラー出演するようになる。 最初は戸惑うも、周囲の助けもあり、姐御キャラが定着していく。 ピアノ講談の誕生:高校時代に感銘を受けた映画『連合艦隊』の主題歌から着想を得て、「ピアノ講談」を始める。 ベートーヴェンの「月光」を題材にした新作などを創作。 高座からピアノへ移動しながら演奏するスタイル。 女性客を中心に人気を集める。 落語家との交流:落語家との合同勉強会や実験的な演芸会を開催し、多くのことを学ぶ。 打ち上げでは明け方まで飲み明かすことも。 落語家から「媚びずに真直ぐ演っていれば良い」というアドバイスを受ける。 四谷怪談への挑戦:怪談に三味線や照明などの演出を取り入れることを考える。 四谷怪談の現地(於岩稲荷)でテレビ収録の初演を行う。 師匠・貞水の教え:打ち上げで酔っ払っていても、年下や後輩には絡まないという信念を持っていた。 目上の人によく絡む傾向があった。 ホラードキュメンタリー番組への出演:「北野誠のおまえら行くな。」という番組から、四谷怪談を読む仕事依頼を受ける。 於岩稲荷を訪れ、そこで『四谷怪談 お岩様誕生』を語る。 第六章:貞鏡七変化コラム 様々な衣装(芸者、女博徒など)に扮した写真とコメントが掲載されている。 梶芽衣子、江波杏子、富司純子、岩下志麻らの「装いの麗人」への憧憬が語られている。 入門前の内気な少女からスーパーヒロインへの変化を自認している。 第七章:貞鏡半生記 其ノ三 - これからのわたし 育児と仕事の両立:多忙な日々の中で、子供たちの世話と講談師としての活動を両立させる苦労や工夫が描かれている。 朝の慌ただしい様子や、家事の分担などが具体的に語られている。 子供たちの迎えがあるため、夜の会を珍しくスケジュールに入れたこと。 「普段は17時には子供たちのお迎えに行きたいので、昼間の高座を中心に務めさせて頂いているのですが、今日は珍しく夜の会をスケジュールに入れました。」 高座への向き合い方:お客様の反応を見て、日々試行錯誤している。 先輩や後輩、観客、専門家との交流を大切にし、学びを得ている。 「高座に出て、お客様の反応を見て、『ああ、今日は演り損なったなぁ』と反省したり…」 打ち上げでお酒を飲むのが好きで、芸論を交わしたり、時には喧嘩もしていた過去。 時間の使い方:限られた時間を有効活用するため、様々なことを同時進行している様子。 移動中にメールを返信したり、家事をしながら講談の音源を聴いたり。 決断力:自分で納得して決めたことには、迷いがない。 「悩んで先々の心配をしている時間は一秒たりともありません。」 写真撮影のエピソード:自然な形で撮ってもらうことをカメラマンに依頼する。 「決め顔というよりは自然な形で撮って頂けたら…」 人生観:「人生はすべて御縁」という考え方。 去っていく人は追わない。 大切なもの:今の人生で大切なものは高座と子供たちであり、どちらにも変わらない愛情がある。 後輩への想い:後輩の会にゲストとして呼ばれることを嬉しく思っている。 自分の失敗談を語ったり、「一生が修行で長い道のり」といった話を枕で振る。 睡眠の重要性:子供たちとの時間を大切にするため、少しでも長く睡眠を取りたいと考えている。 「睡眠不足は諸悪の根源、明日の朝の子供たちとの時間のために、一秒でも長く睡眠をとりたいと思って。」 他者からの学び:自分にない意見を取り入れ、自身の成長に繋げている。 家族との日常:朝の忙しい様子(子供たちの世話、猫の世話、家事など)が具体的に描かれている。 夫婦で協力して家事を分担している。 公演後の過ごし方:終演後も最後まで会場にいて挨拶を済ませ、すぐに帰宅する。 末っ子の夜泣きに備える。

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    投稿日: 2025.04.10