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powered by ブクログ歴史を「つながり」で捉える重要性: 「つながりで知る歴史の物語 大陸・半島・列島を貫く流れを追う」という冒頭の言葉が示すように、本書は3か国の歴史を個別のものとしてではなく、互いに影響を与え合いながら展開してきた連続的な物語として捉えることを重視しています。 グローバル化が進む現代において、「近隣にあって否応なくつきあわねばならない中国・韓国の歴史への理解を深めることは、不可欠になるでしょう。」と述べ、歴史認識の共有が国際関係において重要であることを示唆しています。 日本人にとって、自国の視点だけで歴史を捉えるのではなく、「どうしてどうしても日本人は彼らの歴史が形成した視点に立つことが難」しいのかを理解し、他者の視点を持つことの重要性を指摘しています。 東アジア世界の変遷と各国の国家形成: 中国文明の影響が日本列島と朝鮮半島に及んだ古代から、唐帝国の隆盛、そしてその支配からの脱却を目指した朝鮮半島や、大陸の記録に登場する倭の国など、初期の国家形成における中国の影響力と、それぞれの地域の独自性を解説しています。 「東アジアの規範だった唐帝国」に対し、「支配からの脱却に進んだ朝鮮半島」「大陸の記録に残った倭の国」と、各地域の特色を簡潔に示しています。 中国の王朝交代(漢、魏晋南北朝、隋唐など)が、朝鮮半島や日本に与えた影響についても触れられています。例えば、前漢による衛氏朝鮮の滅亡と楽浪郡の設置、高句麗の台頭などが挙げられています。 文化交流と相互影響: 遣隋使や遣唐使による大陸文化の受容が、日本の国家形成や文化発展に大きな役割を果たしたことが述べられています。「沿附使や遣唐使が持ち帰った大陸文化や先進技術が、のちの日本の発展になった点も見逃せません。」と、具体的な影響力を指摘しています。 仏教の伝来(百済から日本へなど)、律令制度の導入など、具体的な文化交流の事例が示されています。 一方で、日本の国風文化の成立のように、大陸文化を吸収しつつも独自の文化を形成していく過程も解説されています。「唐風文化を日本の社会風土にあわせて発展させた国風文化が登場」し、仮名文字の発達や和歌の隆盛などがその例として挙げられています。 東アジアの国際秩序と対外関係: 冊封体制を中心とした東アジアの国際秩序の中で、各国がどのような位置づけにあったのかが説明されています。倭の五王が中国王朝に朝貢し、王として認められることの意義などが語られています。「『倭』として認識された当時の日本は、中国から王と認めてもらうことが一種のステータスとなっていました。」 高句麗、百済、新羅の三国鼎立と抗争、新羅による朝鮮半島統一、そして高麗の成立といった朝鮮半島の歴史が、周辺諸国との関係の中で描かれています。 宋と遼の澶淵の盟のように、東アジアの国際関係におけるパワーバランスや外交交渉の重要性が示唆されています。「1004 宋と盟約(澶淵の盟)」 元寇とその後: モンゴル帝国(元)の拡大と、日本への侵攻(元寇)が、東アジアの歴史における大きな転換点として扱われています。 高麗が元の支配下に入り、日本遠征に協力させられた経緯なども説明されています。 明朝の成立と東アジアの新たな秩序: 明朝の朝貢貿易体制が、周辺諸国との関係を規定したことが述べられています。 琉球王国が明と朝貢関係を結び、交易を通じて繁栄した様子も紹介されています。「琉球は中山王朝が明から泊に変わ... 朝貢関係を続けますが」 近世の動乱と新たな国際関係: 豊臣秀吉の朝鮮出兵(文禄・慶長の役)が、朝鮮半島に大きな被害を与え、その後の東アジアの国際関係に影響を与えたことが解説されています。 江戸幕府の成立と鎖国政策、清朝の成立と東アジアの新たな国際秩序が描かれています。 朝鮮が明から清へと宗主国を変える中で、日本との関係も変化していく様子が説明されています。「明が滅んだことで... 朝鮮は清を宗主国とし... 従属することが絶対となり」 近代化と植民地支配: 明治維新を経て近代化した日本が、朝鮮半島を植民地化していく過程が、当時の国際情勢や朝鮮国内の動向と合わせて解説されています。「明治維新によって先進国となった日本が朝鮮半島... 日本の植民地となる」 朝鮮における独立運動の高まりや、日本の敗戦による解放、そしてその後の南北分断といった現代史につながる重要な出来事も扱われています。 現代の東アジア: 冷戦後の東アジアにおける各国の関係や、経済発展、歴史認識問題などが示唆されています。「日本の敗戦で植民地時代は終わりますが、朝鮮の苦難の歴史は戦後も続きます」
0投稿日: 2025.04.06
