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標本画家、虫を描く――小さなからだの大宇宙
標本画家、虫を描く――小さなからだの大宇宙
川島逸郎/亜紀書房
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総合評価

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    2024年出版。タイトル通りだが、精緻な標本画がとても多い。神が作った昆虫という微細なプラモを更にパーツに戻すが如く、外骨格の虫はパーツ分解が可能なのだと知った。で、そのパーツ毎に、線と点だけで立体として描く技。単純に「正確に書けば良い」等という認識は吹っ飛んだ。好きでなければ不可能、気が狂うだろう…。出版時で筆者は55歳だが、未だ技術を極める途上であるとの事。いやはや…。 自分は特に昆虫好きという訳では無いが、科学全般は好き。「描く為には科学的視点と分析・知識が必須」という点から、面白かった。 正直、最初の1ページを読んだ時、「うわ、これは読むの辛いかも…」と感じたのが誤りで良かった。「読み物」として面白さを求めると、かなり限定的な手応えになるかと。

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    投稿日: 2024.12.08
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    標本画100点を収録。 小さな昆虫を緻密な線と点で描く標本作家の、 昆虫への思いと作画への経験と技巧についてを綴り、 そしてなお、試行錯誤する日々を描いた、エッセイ。 幼少の頃から昆虫を描き始めて50年。 大学の昆虫研究室で学んだ知識が基盤となる、数々の標本画。 学術論文での標本画も担当している。 顕微鏡での観察と製図ペンと丸ペンを駆使した絵の緻密なこと。 線を引くことの難しさ。いかにシンプルで単純化するか。 点描の繊細さは、点を打つのではなく、置くこと。 修正はペンナイフや白絵具で。失敗したときの対処も。 標本画は絵画ではない。形態的にも解剖学的にも正確さを追求。 無理難題の依頼はヒアリ。更に「完訳ファーブル昆虫記」の話も。 先人の仕事を超えたいと描いてきた人生の奥深さに感嘆しました そして何と言ってもモノクロの標本画が素晴らしかったです。 カブトムシ、トンボ、ハチ、ナナホシテントウムシの 精巧なこと。全体像だけでなく、学術的にも必要な部分さえも 詳細に描いています。クロゴキブリすら美しく感じてしまう。 この本には掲載されていませんが、カラーの標本画もステキです。

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    投稿日: 2024.10.01