
総合評価
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powered by ブクログ幸福だとか自由だとか、わからなくなってきた 新しめのフランス小説に手を出してみたところ二つ続けてヒットしたということで、安直な発想で歩いていた海外小説コーナーで目を惹かれたSF小説。ドイツ、というだけで無条件にちょっと良いし。 テーマは面白かったものの、淡白な印象に少し読みづらさを感じたからか、入り込み具合も浅かったような。 健やかで幸せに生きたいし自由でありたいと考えてきたし、きっとこれからもそうだろうけれど、やっぱり考えすぎないほうがいいかな
0投稿日: 2025.04.20
powered by ブクログコロナ禍のあの息苦しさ。この本はそれを思いださせる。 舞台は「心身が健康であることが義務」の世界。国家が市民を監視、管理する。街は無菌状態。みなそれを疑問に思わず生きている。 ある事件が起こり、男が投獄、無実を訴えながら自死する。弟の無実を信じる姉が、その判断を下した社会システムに疑問を持ったがゆえ、思わぬ展開に巻き込まれる。 いったん社会からレッテルが貼られると、一挙手一投足すべて悪意ある「ストーリー」に沿って解釈される恐怖。(「誰とも」が「ダレトモ」になる場面はぞっとした!) でも主人公である姉は信じる道を進む。強い。 コロナ禍を彷彿させるが、あとがきによると2009年刊行。コロナ勃発の10年以上前!
0投稿日: 2025.03.20
powered by ブクログ不健康でいることさえ犯罪となった完全管理社会。その中で不可解な事件を追う主人公のサスペンス。社会に属するものは健康であるべきという公の思想と、個人は愚行権を行使する自由を有するという対立の未来を描いたディストピア小説。
0投稿日: 2025.01.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
健康であることが個人の権利ではなく義務となった超健康管理監視社会「メトーデ」で弟の事件をきっかけに転落していく女の物語。 弟の起こした事件の真相がだいぶ早い段階で予想がつく程度のカラクリ、さらにメトーデがどれほど大衆の生活に国家宗教レベルで根付いているのかの描写が少なかったせいで、あまり世界観に没頭できなかった。そのままストレートバッドエンドな展開かと思わせておいてのひねりの効いたバッドエンドは良かった。翻訳小説ならではの読みづらさがある。
1投稿日: 2024.09.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
体にチップを埋め込まれ医療は充実しているが健康であることを強要される社会. 弟モーリッツの追い込まれた自殺によってショックから立ち直れないミーアは当局から目をつけられ,どんどん体制権力によって存在を否定されていく.そのプロレスが怖い.
0投稿日: 2024.09.13
powered by ブクログ2009年ドイツ発刊のSF小説の翻訳本。 コロナ禍で部分的に表面化した問題点として、社会は年々健康至上主義的に変化している。その究極的な仕組みの中で“健康”とは市民の権利ではなく、人間としての義務にすり替わり、健康違反者は犯罪者として扱われる。 医者・医療が時に警察や裁判官のように描かれるのは現実世界でも存在するシーンでもあり、“医療の警察化”作品中では皮肉的に描いているように見えた。 また、宗教を失って、神の地位を健康と科学が占めた世界(現代が益々それに近付いているが)では、健康や科学に反したり、説明できない事項は非理性人として社会から隔離される。 「私の身体」は“私のもの”なのか“国家のもの”なのか。自分に関する様々な情報が国家に管理される管理社会への警鐘。
0投稿日: 2024.08.05
