
総合評価
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powered by ブクログテヘランの女性1人1人に愛着と親しみを感じながら書かれている金井さんの文章が、読んでいて心地よかった。 イランはイスラムの宗教色が強く、女性が頭に巻き物をし、とにかく危険な国‼️というイメージだったけど、本の中には人懐っこくて自分をちゃんと持つ強い女性が沢山登場する。男尊女卑や不平等と感じることが多いけれど、それをパワーにかえて輝いている気がした。 何をするのにも未婚の時は父親の、既婚になったら夫の許可が必要だなんて! 人前で男女がハグしたら鞭打ちの刑になるなんて!と、とにかく驚くことが多いけど、難しい本を読むより文化の違いを市井の場から知ることができ勉強にもなる1冊だった。
2投稿日: 2025.10.27
powered by ブクログ読み終わるのがもったいなくて、ゆっくり読んだ。紹介されている一人一人の語りをじっくり味わいたくて。歴史も宗教も国家のシステムも日本とは異なる事情が多いテヘランで暮らす人たち。ドキュメンタリーって映像の得意分野だとは思うけれど、この状況では映像は撮れないだろうし、イラストも含めて書籍にしかできないことを達成していると思う。本にしてくれた金井さん、素晴らしいサポートをしてくれた通訳ガイドさんたち、インタビューを受けてくださった人たち。みなさんに感謝。 以前読んだイランの少女マルジを描いた「ペルセポリス」の後日譚を読んでいる気分だと思っていたら、この本の終盤で取り上げられていて、繋がってることを実感した。30年を経た繋がりも含めて、あとがきで繰り返されている言葉が最高。 「あぁ、どうかその人らしくいられますように。この人生を味わって進んでいけますように。」
2投稿日: 2025.10.19
powered by ブクログ世界の明るいところ、生きててよかったなあと思える部分をすくいとって見せてくれる人だなあ、金井さんは(しかも全然偉そうにしない)。それはきっと、悲しいことややるせないことも知っているからだと思う。 ゴルロフさんの「イランの女性は楽しそうに話して、楽しそうにふるまっていても、みんな痛みを抱えているの」という言葉が胸に残った。
3投稿日: 2025.10.10
powered by ブクログイランの首都であるテヘランの女性たちにインタビューをしたものをまとめたもの。一言に女性たちと言っても、年齢も職業も背景もみんな違っているし、イラン革命前後の違いも興味深い。読んでいるうちに、イランに行ってこの女性たちに会いたくなるような一冊。この文章の雰囲気によく合っている挿絵も味がある。
1投稿日: 2025.10.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
文筆家・イラストレーターの金井真紀がイランの首都テヘランを訪れて、大勢の女性と交流した記録。 イランというと、1979年のイスラム革命以来、女性たちの権利が奪われ、抑圧されてきたというイメージが強い。 革命前のイランでは、女性たちは好きな服を着て、肌や髪を露出して、自由にふるまっていたと聞いたこともあった。 著者がテヘランを訪れたのは2023年11月だ。 イランではその前年の秋から「反スカーフデモ」が全土に拡大していた。 このデモは2022年9月、スカーフ(へジャブ)の着け方が不適切という理由で風紀警察につかまった女性マフサー・アミーニーさんが拘束中に亡くなったことをきっかけに始まった。 そういうタイミングだ。 著者がテヘラン市民と話したところ、反スカーフデモ以降、風紀警察の基本姿勢は「ただ注意するだけ」に変わってきたようだ。一方、抵抗する市民の側は「聞こえないふり」をするという。 聞こえてしまったら、まじめにスカーフをするか反抗するかの二択しかないが、聞こえないふりをすれば波風は立たない。 P65のイラスト「風紀警察の注意をガン無視して通り過ぎる女性たち」を見て微妙な空気感が伝わってきた。 P28「イラン人の服コロコロ変わりすぎ問題」は面白かった。 1925年に王位に就いたレザー・シャーは「近代化だ! 西洋化だ!」と、男性にパフラヴィー帽とスーツの着用を強要する。そして、女性にはチャドルとスカーフの着用を禁止する。 これには反発も強かった。いままで隠していたのに、いきなり髪を出したりスカートから足を出したりするのは恥ずかしいからだ。 にもかかわらず、当局は厳しく取り締まった。髪を覆って外出している人を見かけたら、そのスカーフを剥ぎ取ったという。 1979年のイスラム革命とは正反対の方向だが、権力者が国民に特定の服装を強要し、厳しく取り締まるという意味では同じだ。なぜひとつの色に染めようとするのか。 この本を読んで感じたのは、当たり前のことだが、イランの女性たちにもグラデーションがあるということだ。 どこまで国が求める生活様式を厳格に守っているのか。個々人で差異があることはある程度想像できるとしても、イランの外にいる自分には、どのへんからどのへんまでの幅なのかがわからない。 その結果、どうしても狭い範囲に押し込めたくなってしまう。服装や教育、労働の機会が極端に制限されているのではないかと。 多くの女性は表の顔と裏の顔を持っている。 普段はおとなしく暮らしていても、山へピクニックへ行ったときは音楽をかけて踊る人。自由な空気を求めて年に数回トルコへ行き、好きな格好で街を闊歩してくる人。肌や髪を露出しないように配慮しつつ、相撲やサッカーを楽しむ人もいる。 弁護士のスィーマーはとてもかっこいい。 女性への性暴力やバハーイー教徒(スンニ派からもシーア派からも異端とされている)の弁護も引き受ける。 最近はレイプ被害者の依頼が増えているという。以前は親や友だちにも言えなかったが、最近は表に出せる時代になったと。 イランはイスラム法とヨーロッパ法の由来の法律が同居している。その結果、レイプ犯は死刑になる。 これは被害者にとってもハードルが高い。 次の被害者を出さないために裁判を起こしたいのだが、加害者の命を奪いたいわけではない。罰を受けて反省してくれればいい。そういう場合は、合意があったことにして、婚前交渉の罪で加害者だけ鞭打ちにする判決が落としどころだという。 服装の取り締まりにしても性暴力にしても、法律の中身を変えずに、運用を変えることで柔軟に対処しているようだ。 近年は世界的に死刑廃止が進んでいる。死刑を廃止していなくても、刑が10年以上執行されていない国もある。 イランでは西洋音楽についても規制がゆるくなったという。 通訳メフディーは、かつて友人宅でパーティーをやっていたら警察が来て逮捕され、ムチ打ちを74回された。当時のイラン政府にとって「西洋音楽は害悪」だった。 いまは音楽に関してはかなり規制が緩くなった。街中で音楽をかけて踊るのはできないが、ホームパーティーや人のいない山では大丈夫らしい。 物語を書く双子の姉妹も登場する。 ネギーンとネガールは、取材の前年に自費出版で小説を出した。イランでは自費出版でも検閲がある。NGが出された箇所を削除すればすぐ許可されるが、それは嫌なので表現を変えて何度も出し直した。しかも、検閲には明確な基準がなく、担当官の性格や気分に左右される。その結果、とても時間がかかった。 最近のイラン女性は美容整形に積極的のようだ。 美容整形会社の経営者アーレズーが言うには、豊胸手術は6割以上で、顔の整形もシワを伸ばす施術だったら、やっていない人を探す方が大変だという。 イランの女性は体の線が出ない服を着て外出するから、その手術は夫のためなのかと著者は聞く。 アーレズーは否定する。「自分の体を好きになるため。男のためなんかじゃない」 この本はもともとイラン女子相撲の体験記として企画されたものだ。 著者は2019年に行われた相撲の世界大会にイランの女子選手が出ていて驚く。長袖シャツとスパッツ、黒いスカーフを着用してまで相撲をやりたいと願う女性はどんな人なのか。 アラフィフで相撲未経験の著者は、日本の道場で稽古に参加してからイランに渡る。 建物の敷地ごと男子禁制。取組中にスカーフが外れたら(=髪が出たら)負けという独自ルール。著者も全身黒づくめになりまわしを巻く。そこにはイラン独自の相撲文化があった。 かつて「ラシュトの鷹」と呼ばれた女子サッカー選手マルヤムの話はマンガのようだった。 兄の影響でサッカーを始めたマルヤムは、短髪にして男子のような格好で少年サッカーチームに潜り込む。男の名前シャーヒーン(鷹の意味)を名乗る。テクニックもリーダーシップもあったのでキャプテンに抜擢される。 校門を出るやいなや、肌を隠す服とスカーフを脱いで練習に向かう二重生活を続けるが、やがて体が成長して男子のふりをできなくなる。「シャーヒーン」はチームメイトに何も告げず、突然姿を消す。 マルヤムが結婚し、出産したあと、ついにイランサッカー連盟が女子サッカーを公認する。2年の現役生活のあと指導経験を積み、イラン女子代表監督になる。そして、メディアに取り上げられるようになったマルヤムに、見知らぬ男性からSNSにメッセージが届く。 「あなたはあのときのシャーヒーンですね。子どものころ、あなたと一緒にプレーしたことを誇りに思っています」 イランには隣国アフガニスタンからの難民・移民が450万人以上住んでいる。彼らの教育も大きな問題だ。 NPO法人が運営する学校の校長シェイダー(クルド人)は、正規の小学校に通えない子どもたちに教育の機会を与えている。その大半はアフガンからの非正規移民の子どもだ。 2021年8月にタリバン政権に戻ってから、アフガンの女子は小学校までしか通えなくなった。 アフガン移民は貧困のまま国を出てくるので、イランの企業から足元を見られる。半分の給与で危険な仕事もやる。貧困の世代間連鎖を断ち切るためにも教育は重要だ。 この本を読んで驚いたのは、イランでは女性の大学進学率が高いということ。 革命後にさまざまな規制がされてきたが、教育機会については向上し続けてきたようだ。 著者の取材・表現のスタイルも、この本には向いていたと思う。 男性のライターだったら、そもそも接触を拒否されていただろう。また、女性による取材だとしても、テレビのような放送メディアでは顔や体、周囲の背景などが映り込んでしまうし、声にも加工をほどこさなければならない。 そういう意味では、女性ライターによる取材で、なおかつ写真ではなくイラストで表現するというスタイルは相性がよかったのではないか。 そして、言葉や文化の違いを気にせずに、とにかく飛び込んでいくという著者の姿勢も魅力だ。 良い通訳さんにも恵まれたようだ。語学力だけでなく、現地での調整力もある。風紀警察に近寄っていって取材する場面はヒヤヒヤしたが。 面白い発言もあった。 通訳メフディー「日本では国民が働いて納税して国が運営されるから国民が減ったら政府は困る。イランは石油が採れるから労働力が減っても困らない」 他にもパワフルな女性が大勢登場するので、イラン女性たちが明るく前向きに生きているのだと勘違いしそうになるが、「おわりに」に書いてある言葉にハッとさせられた。 ゴルロフ「イランの女性は楽しそうに話して、楽しそうにふるまっていても、みんな痛みを抱えているの。そのことは覚えていてほしい」
15投稿日: 2025.10.05
powered by ブクログ一万円選書のニ冊目です。 テヘランについてはイランの首都くらいの知識しかなかったので、この本からたくさんのことを学びました。 テヘランの話を知ると、日本はなんて自由で女性の権利が認められた国だろうと思います。 しかし、登場する女性はみんな心が自由で私なんかよりも生き生きとしていました。 書類上はイスラム教徒でも、見かけと中身が違う人が多いことに驚きました。 イスラム教といえば厳格な宗教というイメージがあったのですが、想像していたよりも柔軟で、感情と同様に信仰心もうつろい揺れていいんですね。 特定の宗教を信仰したことがないからこそ、興味深くおもしろいなと思いました。 イランの6割以上の女性が豊胸手術をしていたり、ヒアルロン酸やボトックスが一般的なこともイメージが変わりました。 もう一つ、家族を亡くした人が木曜日にお菓子やデーツを配る習慣が印象的でした。 死者の救いなるという考え方は少し不思議なようで、でもなんだかいいなと思えました。 Even though the women of Iran look like they talk and behave happily, they have their pains. Please keep it in mind.
16投稿日: 2025.09.15
powered by ブクログ「たぶん日本人が思っている以上にイラン人は柔軟ですよ」 「この国ではなにもしなくても危ないでしょ。どうせ危ないんだからデモに参加したほうがいいって」 「わたしが無邪気な少女みたいに見えるとしたら、それはきっとこの歳になってやっと自分のことが好きになれたからよ」 異国の地、それも日本より様々なことが制限されている国で生きる女性たち。皆あたたかくて優しくて、傷を抱えながらもおおらかに笑う本当にすてきな女たち。 イランという国やイスラム教下の国の状況に対して、私の中には無知から来る偏見がたくさんあったことに改めて気がつく。信じられない、というような取り締まりがある一方で、自由を求めて柔軟に生きている人も沢山いる。こうやって一人一人の生活や人生を知ることが世界を繋いでいくんだろうなと本気で思った。だったらもっと知りたいな、本当は行けたらいいんだけど。だからこそこうして本にしてくださることは有り難いこと。 世界はいつも想像の何倍も込み入っていておもしろい。本当にそう。 出てくるイランで暮らす人々は勿論魅力的だけど、著者の金井さんの選ぶ言葉も物事の捉え方もとても素敵だった。
2投稿日: 2025.09.13
powered by ブクログ読書メモに書いた、百戦錬磨の看護師章のことばが胸に詰まる。 が、死んだら全部終わり、死後の世界は信じていない、はさびしいなあ。
0投稿日: 2025.09.11
powered by ブクログイランという国に対して、謎めいた閉鎖的な国という印象を持っていました。 本書を読むと、そこに生まれ、生活を送っている人々の力強さや明るく前向きな姿勢が印象的でした。 その一方で、過去の辛い経験や自国の政府に対する諦めに似た感情が、日々を大切に過ごすという姿勢に繋がっているのではないかなと感じました。
0投稿日: 2025.08.13
powered by ブクログテヘランを中心に、イランの女性からのインタビューをまとめた企画本。 為政者と高官が資源権益と富を独占し、自由を求めてイランを出る人もいれば、アフガンよりましだとイランに来る人もいる。 圧政、宗教的差別、性的マイノリティーなどの課題があっても、自分を認め、制約の中で挑戦し、好きと思える自分を追い求めていく人たちの思いが綴られていた。
1投稿日: 2025.07.20
powered by ブクログ「世界はいつも想像の何倍も込み入っていておもしろい」(238p)まさにそれだ! 登場するのはたくさんの女の人たちなのだけれど、タイトルが「女たち」じゃなくて「女」なのが、なんというか一人ひとりに向き合っていることが感じられていいなと思う。 金井さんの任務は「多様性をおもしろがる」すてきだー。
2投稿日: 2025.07.15
powered by ブクログ日本の何倍も規制のあるイランでもバイタリティに溢れ、未来を向くテヘランの女性達に乾杯! 日本は国民が税金を払ってなりたってるから、国民がいないと政府は困るけど、イランは人がどんどん移住しても石油があるから困らないには、なるほどとは思ったが、別に人がいなくても会社が儲かればいいと思ってるんじゃないかと、失われた20年を振り返り思う。
1投稿日: 2025.07.13
powered by ブクログ著者の「パリのすてきなおじさん」では、さまざまな国のルーツを持つ人たちの歴史と生きざまに触れ、深い感慨を覚えたし「人間てすごいな」と思える体験をしました。 そして本作では、「女」であるという理由で自由を制限され弾圧にあい、ときに戦争に巻き込まれながらも、逞しく自分らしく生きようとする女性たちの姿に背筋が伸びる思いがした。 『世界はいつも想像の何倍も込み入っている』 金井さんの作品は、いつも視野を広げ、新しい世界があることを教えてくれる。 『自分の過去も現在も未来も全部抱きしめて』 まさに、そんな風に今を生きている女性たちに出会える1冊。 イランは世界一性転換手術が多いそうです。その背景は、性的マイノリティは死刑になる危険があるから。 また、この国の美容整形の技術は、イラン・イラク戦争で体の一部を失った人のために発達したと知って、ガツンと衝撃を受けた。 今自分がいる世界とあまりにもかけ離れている。 読みながら、衝撃の連続でした。 またとても印象的だったのが、”ラシュトの鷹”と呼ばれた女子代表監督、正義のために命がけで弁護士としてはたらく女性、子どもの頃、どうしてもサッカーがしたくて男の子のふりをしていたという女性の話。 日本でいう銭湯「ハンマーム」には是非行ってみたいと思いました。お風呂に入って、お茶を飲んで、お菓子を食べて、音楽をかけて、踊って……ずいぶん日本と違う。 それがまた楽しそう! イラストもあって軽い文章で読みやすい。それでいてとても深い内容で心に残る。 こちらは図書館で借りましたが、手元に置きたい1冊。読んで良かったです。 『わたしたちは演技しないで生きたいだけなの、ほかの国の女性たちみたいに』 『悲しいこと、たいへんなことがあっても、そのおかげで世界のいいところが見えるようになるの。世界はもっときれいになる』
8投稿日: 2025.07.11
powered by ブクログしばらく本が読めなかった。 体調が悪い訳でもなく、仕事が忙しい訳でもなく、ただ本を手に取ることができなかった。 でも、2025年6月に起きた、イスラエルとイランの12日間の戦争を機に、本棚にあったこの本を手に取らずにはいられなくなった。 テヘランに住む様々な女性に話を聞く形式。インタビューだけでなく、同行する通訳さんとのやり取りからも、普段のイランの女性の生活がよくわかった。 でも、この本に出てきた人たちは無事なんだろうか、この人たちの家族や知り合いが被害を受けていないだろうか、気になって仕方がなかった。 あとがきで、作者が原稿確認するたびに泣いてしまうという一文に自分ももらい泣き。 「あぁ、どうかそれぞれがその人らしくいられますように。この人生を味わって進んでいけますように。」
14投稿日: 2025.07.05
powered by ブクログ静岡市女性会館図書コーナーの書誌詳細はこちら↓ https://lib-finder.net/aicel21/book_detail_auth?authcode=Y7hNOqQsg6qvk6hWP92ZWg%3D%3D
0投稿日: 2025.06.21
powered by ブクログどんな場所にいても希望や楽しみを見い出せるのって強いなと思う。 日本だって女性が生きていくのにはまだまだ不自由な部分はたくさんあって。でもそこに悲観することなく、楽しみや希望を見つけて生きていく勇気を貰えた。
3投稿日: 2025.05.12
powered by ブクログ2025.5.4市立図書館 「パリのすてきなおじさん」方式で、イランはテヘランの街を中心に、通訳さんたちのつてなどでであって話を聞いた20代から70代までの女性たち30数人の姿と言葉を描写したエッセイ&スケッチ集。予約を入れてしばらくかかったけれど、やっと手元に来た。 当初は女子相撲の取材に行くつもりだったのが、2022年の反スカーフデモでいろいろあった地にそんなのんきな目的だけではいけない感じになって、2023年の秋に取材旅行。敬虔なイスラム教徒の老婦人から風紀警察官の女性、看護師さん、アーティスト、弁護士、アスリート、民族や宗教上のマイノリティなどさまざまな人が登場する。短い時間の取材ではありながら、個性的なそれぞれの人の素顔を引き出すのが金井さんはほんとうにうまい。テレビの映像などでみる黒く重そうなチャドルを被った姿からは想像もつかないような生き生きとした言葉やパワフルな生き方、波乱の人生に何度も何度もおどろかされた。全体としては保守的なお国柄のせいでやはり不自由が多く、自由な未来や海外への移住に希望を託して生きている人がほとんどだが、日本の女性よりずっと自由に前向きに生きていると感じる部分もあり、複雑な気持ちになった。取材を離れて、通訳の人とすごすテヘランの日常をえがいたエッセイもよかった。 何年か前に読んだやまじえびねの連作コミック「女の子がいる場所は (ビームC)」でアフガニスタンやサウジアラビアの女の子の日常を垣間見たことを思い出した。それと「たくさんのふしぎ」シリーズの「ゼーラおばさんメッカにいく」や「ウンム・アーザルのキッチン」でえがかれた女性たちの人生とも重なって見えた。 著者と同じように、どの人の人生にも幸あれ、と祈らずにはいられない。
0投稿日: 2025.05.04
powered by ブクログ金井さんがイラン人通訳のお二人と共に様々なイランの女性と話をする、エッセー?ルポタージュ?全般に人が好き、相手に先入観を持たずに入り込んでいける人柄が現れていて面白い。そこにはスカーフをしない女性とか離婚歴のある女性とかおそらく厳しい状況を生きていきた女性たちの人生があるのだが、厳しい状況下でも明るく生きていて素敵。スカーフデモのあとどんな状況なのか気になっていたが、みな注意するけどスルーする力みたいなのが醸成されていて安心した。そして風紀警察として働く女性にも温かい視線が注がれていて嬉しかった。自由にしたいけどできない家庭や経済状況の女性が警察になるにかもしれない。もしかしたら生まれてからの信仰で本気で信じているのかもしれない。でもそんな女性も阻害しない視線があって本当に良かった。
3投稿日: 2025.04.29
powered by ブクログ読み始めてすぐに「この本好き」ってなった。 インタビューに応じた人は極端に抑圧されたフェミニズムの中でキラキラした人ばかり。 (中には風紀警察の女性警官もいて、キラキラしてないけどそれはそれで興味深い)
1投稿日: 2025.04.14
powered by ブクログ現状と戦う人、受け入れながら支配はされすぎず自由に生きていく人、戦ってきた人、信じてる人、これからを違う国で生きていく人、同じ宗教下同じ国の中で色んな人がいた わかってはいたはずなのに同じ地球で全然違う文化、日本にいたらこんなに真剣に国と宗教と生き方と向き合うことあるかなあと思った。 人を救うはずの宗教に疑念を持つこと、その宗教が根付いてる国で生きていくってどんな感じなんだろう わかりあえなくても、知って共存していくを体現したみたいな1冊でした。 絵も素敵
0投稿日: 2025.04.07
powered by ブクログ優しくて力強くてちょっと泣けて、元気が出る本。イランって、ムスリムって過激で男女差別的、なんて偏見を足元から崩してくれます。そんな偏見を持ってる人はこの本を読まないのかもしれないけど…。意外な日本との繋がりやイランに生きる性的マイノリティの人々、スカーフデモまで勉強になりました。もっと知りたいなあ。
0投稿日: 2025.04.04
powered by ブクログ読書記録25-2 イランイスラム共和国 首都テヘランの素敵な女性たちにインタビューした本作 テヘランのスカーフやチャドルと呼ばれる黒いマントを身に纏う彼女達の日常、生きづらさ、宗教感と文化、習慣等を難しくなく、まるでお友達が旅行に行った話を「うん、うん」と聞いているように興味深く読み進められた 彼の地では美容整形が盛んだそうだが発達の元になったのは? 海外移住する人が多いが人口流出しても困らないのは? 移民として流入してくる人がしない事 など居場所についても優しく軽やかな口調で話しかけるように読ませる 「どんな人もそれぞれがその人らしくいられますように」 作者の温かい想いが伝わってくる
2投稿日: 2025.03.19
powered by ブクログイランという全く馴染みのない国で、普通の女性たちがどんな風に暮らしているのかを教えてくれる。イラストも素敵で、文章も読みやすい。中東とか、イスラム教の国については、戦争とかテロとかそういうニュースばかり目について、実際にその国で普通の人たちはどんなふうに暮らしているのか、今まで殆ど知らなかったので、とても面白かった。
1投稿日: 2025.03.08
powered by ブクログあらすじ(晶文社)謎めいた国・イランで、女たちの人生を拾い集めた 女は髪を出してはいけない、肌を見せてはいけない。詩を愛するが、酒はない。謎めいたイスラム教国家に生きる女性たちに、文筆家・イラストレーターの金井真紀が会いに行く。公衆浴場、美容院、はては女子相撲部まで、男子禁制スポットにどかどか潜入! スカーフのかぶり方を監視する風紀警察、国と闘う弁護士、男のフリをしてサッカーをしていた人、移民の子どもに勉強を教える人、命がけの性的マイノリティetc…。ベストセラー『パリのすてきなおじさん』の著者が、テヘランに生きる女たちと、とことんおしゃべり。(https://www.shobunsha.co.jp/?p=8269) イランについて前提知識がない中でだったけど、読みやすいしとても良かった。(ちゃんと歴史知っておきたいな) さまざまな制約がある中でそれでも日々を強く、たくましく生きる女性たちに元気をもらえる。 特に弁護士の方の思いには泣きそうになった。最近いい本に出会えてるな〜〜 以下、引用 あぁ、規律になびかない反骨の娘ときちんと守る厳格な娘が親友だなんて、すごくいいな。女の子どうしがお互いの服装については触れない。それでも気が合うから一緒に過ごす。きっとイラン100年の変遷のなかで、そういう人間関係がいくつも積み重ねられてきたのだろう。(p.41) 「この闘いは40年以上前からずっと続いているんです。たくさんの人がこの国を変えようと命がけで闘ってきた。自由を求める雄は先輩から後輩に引き継がれて、一歩ずつ、ここまで運ばれてきたんです。途中で命を落とした人、大事なものを奪われた人もいる。その旗をわたしも繋いでいかなければ、と思っています」(p.56) 「この国ではなにもしなくても危ないでしょ。どうせ危ないんだからデモに参加したほうがいいと思って」 一瞬宙をにらんでから、笑顔に戻る。話しているときの表情がめまぐるしく変わるのが愛らしい。 「たくさんの人が国外に移住するのを見てきたけど、わたしは死ぬまでイランにとどまるつもり。この国が変わるのを見届けたいの」(p.270)
1投稿日: 2025.03.02
powered by ブクログイスラム教のことはなにも知らない。 イランがどこにあるかは改めて地図を見ないとわからない。 それほどの知識しかないけれど それでも女性が生きにくい国であることは想像できる。 もちろん随所に厳しい制約があることは書かれているが そんな中でも イスラム教を信じる人 神と喧嘩する人 国と戦う人 国を出ようとする人 どの女性も強いけれどしなやかに生きていて そんな中でもその優しさを持ち続けることに感動を覚える。 アフガニスタンから来た女性は イランは自由な国だそうだ。 そうなんだね。 世界はまだまだこれから!
1投稿日: 2025.02.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
どこにでも日常があること、それを時々忘れてしまっていることに気づかされる。 イランの首都、テヘラン。 人々がどんな日常を持っているか。ほんの少しだけど覗き見ることができる、想像する機会をくれる本。 テヘラン散歩のコラムもよかった。 ハンマーム、という公衆浴場。全く知らなかった!温泉は日本だけのものではないですね。 古代ローマの流れを組む、イスラム圏で伝統的な施設。パンツをはいたまま入るらしい。 … イランでは、普段公共の場で特に女性の身なりや振る舞いが制限されている。 2022年9月、テヘラン市内でスカーフのかぶり方がふてt季節という理由で逮捕され、警察の取り調べ中に死亡した22歳女性、マフサー・アミーニーさん。 反スカーフデモが全国に拡大。 数か月で政府により制圧され、しかし2023年5月ごろからは警察の取り締まりが緩くなった。 それでも道には風紀警察がいて… そんな状況の中でも維持される、一人ひとりの日常。 美容院、 美容整形、 アーティストのたまり場、 そして、ときどきトルコに飛ぶーそこは、どんな格好で歩いても、誰にも文句を言われない、と。 公共の場以外にも、日常があること。それぞれの自分でいる居場所が作られていること。 そんなことを、様々な女性が紹介されているこの本から知れた。 … イランのアーティストについても、全然考えたことがなくて初めて知ることが多かった。 ペルシア書道の絵師さん。 細密画を虫眼鏡で描く。 作品は、蘆のペンで文字を書く書家とのコラボで制作する。その文字の周りにイラン伝統装飾や中国起源の細密画ミニアチュールを描くのが絵師。まさに2人で完成させる芸術。作品が売れたら取り分も書家と絵師が半々。 経済的には不安定だけれど、絵筆を動かしていると心が鎮まる大好きな仕事だ、と言っているのが印象的だった。 タイル作家さん。 イランの伝統的タイルは7色しか使ってはいけないけれど、ルールを無視して自由に作り始めた。 ルール通りにしないと売れない、と言われたけれど、もともと売れていないから怖くはなかった!と言い切る。 売れる前も後も変わらず、同じものをずっとつくるんじゃなくて、つねに新しいアイデアにワクワクしていたい、という。 スポーツ選手も紹介されていた。 女性が許されないサッカーを、子どものときは男の子に扮してやっていたお話は、ちょっと胸が痛む部分もあった。やりたいこと、自分にあっていること、出会った楽しみを、続けられないのは心苦しい。それでも、大人になって、また少し違う形でも、続けられたりできているところも、すてき。 イラストもかわいい。 イランに行きたくなった。 私もみんなと友達になりたくなった!
1投稿日: 2025.02.13
powered by ブクログイスラム教徒の彼女たちはどんな生活をし、何を思うのか。そこにあるのは自由だった。ときには束縛の中の自由。 イランに飛び、テヘランに一人ずつ、丁寧に取材した傑作な本でした。 たたかう女、はたらく女、スポーツする女、居場所をさがす女、みてきた女、様々な職業の女性の穏やかさ、逞しさをひしひしと感じる。 写真は一枚もないけど、それぞれの女性の顔はイラストで描かれている。それがかわいくて、この本のよいアクセントになっている。 一番印象に残っているのは、サッカーがしたくて男のふりをしてたという女性の話し、漫画のようなスート―リーが好き。 あとは、パラリンピック委員会の女性の、神様とけんかして、これからが本当の人生だという言葉も好き。 そして著者の言葉も。 ”どうかそれぞれがその人らしくいられますように”
0投稿日: 2025.02.06
powered by ブクログ2025.1.23 読了 抑圧された暮らしの中にあってもこの本に出てくるイランの女性たちは好きなことやりたいことを諦めずに闘ってきた人たちで明るくて前向きなパワーを感じる。 それは金井さんの軽やかな文章のおかげもあるかもしれないけれど。 みんな奥底に痛みを抱えながら懸命に生きているだからこそ彼女たちのパワーに元気を貰えました。 読むと明日も頑張ろうって気持ちになれるから寝る前にちびちび読んでました(笑)
0投稿日: 2025.01.24
powered by ブクログイラストが豊富で、1人のインタビューにつき2、3ページずつなので、さらっと読みやすい。 日本とイランは全然違うようで似ているところもある。イランに住む女性だからといって、みんな似たような価値観かと言うと、全然違ってそれもまた面白い。 イランで美容整形や豊胸手術がポピュラーだとは知らなかった。著者の「夫のためにするのか」と言う質問に対して、「手術は自分の体を好きになるためよ。男のためなんかじゃないの」と言う返答、たくましくて大好き。
2投稿日: 2025.01.14
powered by ブクログイランでは異教徒だろうと外国人だろうと女性はスカーフをかぶらないといけない。スカーフのかぶり方が悪いだけで警察に連行され、女性が命を落とす国。 黒い全身を覆うチャドルも、風が吹いたときに中が肌が見えないよう気温40度の中二重にかぶらないといけない。そしてチャドルをかぶっていると手が使えないし、トイレに行くたび脱いがないといけないが、置くところがなく、床に落ちて汚くなる。イランでは女性は手を自由に使うこともできないんだ。 イスラム法ではレイプ犯は死刑。しかし婚前交渉が犯罪のイランでは、合意がなかったことを証明できなかった場合、性被害を受けた女性も鞭打ち100回の刑に処される。つまり女性が訴えることは限りなく難しい。 女性が髪を出していないか、未婚の男女が一緒にあるいていないかなど監視する風紀警察は2006年に設立された。見つかったら署に連行され勾留、鞭打ちと恐ろしい展開が待っている。 また同性愛もボトムの人は必ず死刑のため、イランは世界一性転換手術の多い国。 何もしてなくても危険な国だから、むしろ自分を生きようとしている人たちがいるのかなと思った。 イランの女は悲しいときに高い買い物をするらしい。 イランの女性は大きな傷を抱えながら明るく振る舞っていてすごいなと思った。自分は日本人特有のネチネチした性犯罪にあっただけで女性らしく生きることは辞めたけど、レイプされたって鞭打ちの刑に処されたって笑いながら強く生きるイランの女性を見習いたいなと思った。
14投稿日: 2025.01.04
powered by ブクログ10年以上前にイランに行ったときを思い出す。 イランの人々はとても親切。イスラム教の国もいくつも行ってたし、欧米も行ってたけれど、イランで出会った人々の親切さは次元が違った。 1979年、2022年。 国民に、特に女性の命・権利・自由に望んでもいない大きな変革があり、その前後から、女性が何を考え行動してきたか。 限りある選択肢・権利の中で、何を選んできたのか、様々な年齢、職業の女性たちの声を知ることができる。 日本にもある性差間差別、社会的差別。諦めたこと、伝えること自体諦めたことがどれだけあっただろうかと、思い起こした。 イランにまた行きたいな。行く前に、イラン女性に胸張れるよう、自分の志もきちんと掴んでおかないと。
2投稿日: 2024.12.29
powered by ブクログイランでは女性に自由がないというイメージはあったが、詳しくはよく知らなかったのでこの本に興味を持った。びっくりするぐらい理不尽な縛りがある中で、生き生きとしている女性たちはとても魅力的で、逆に元気づけられた。
0投稿日: 2024.12.07
powered by ブクログテヘランでのたくさんの女性へのインタビュー。素敵なイラストと単なるインタビューではなく何かを共有して時を共に過ごした距離感の持つ内容が素晴らしかった。
0投稿日: 2024.12.06
powered by ブクログ多様性ってなんだろう。 文章だけでなく、イラストもインタビューを受けた方の個性がしっかり描写されています。 読み終わるとしゃっきり背筋が伸びた気がします。
1投稿日: 2024.11.23
powered by ブクログタイトル通り本当に「テヘランのすてきな女」たちだった。そして、イランはとても不思議な国だった。 反対運動の激化で一時ほどスカーフの着用は厳密ではなくなったとはいえ、風紀警察はいまだに街で監視を続けているし、異性と握手しただけで鞭打ち99回。女性は父親や夫の許可を得ないと旅行にも行けないなど、信じられないくらい女性の人権が無視されているのだが、女性の大学進学率は高いし、理系の女性も多い。美容整形はかなりの人がおこなっているなど、日本人からすると進んでいるのか、遅れているのかわからない。筆者が会った女性たちも、とても明るくて魅力的な人が多かった。 著者の、ユーモラスであり、感情的にならない筆致に好感を持った。何度も読み返したくなる本だった。 そして、イランにはぜひ行ってみたくなった。スカーフをかぶって。
9投稿日: 2024.11.18
powered by ブクログあぁ、どうかそれぞれがその人らしくいられますように。この人生を味わって進んでいけますように〜 読後はこの言葉がすべて。自分がちっぽけで恵まれていることを 改めて認識してしまう。地球上の全ての女たちは 力強く美しく信念を持って しなやかに生きている。勇気とか元気とかじゃない もっと崇高な 思いをもらったような気がする。政治的なこと宗教的なこと 難しすぎてわからないけど 女たちは すてきに生きている!ちゃんと生きている。明日もがんばろ!良い本だった。
14投稿日: 2024.11.08
powered by ブクログ素敵な本だったな〜って思った。今話題のクルド人の方のことも少し載ってた。 たくさんの情報は誰かがそれを発信したい、聞いて欲しい、見てほしいの連続からなっててそれを少しずつ少しづつ自分の頭の中で自分なりに積み重ねていくことの大切を学んだ。 当事者の方たちがいて、著者が足を運んでみて聞いてしたものもを、自分は家にいてコーヒーを飲みながらや、電車に揺られながら、ながら読みで2000円足らずでまた世界の一部を知れることがどれだけ幸せなのかがすごく身に染みた。 ただそこに在るということを認識する、自分なりの住所をその存在に振り分けてみること、それが誰にでもできる一歩めだと思う。
3投稿日: 2024.11.06
powered by ブクログ作者さんのことば 「どうかそれぞれがその人らしくいられますように。この人生を味わって進んでいけますように。」 …それに尽きます。 本の途中で、「夢はなんですか?と聞ける世界ばかりじゃない」的なことが書かれているところがありましたが、ホント、ハッとさせられました。 イランですら難しい人生を送ってる方もいる中で、そのイランに移住して「幸せだ!」と言ってる人すらいる… 別に上目線とかではないが、なんと自分は恵まれていることかと、怖くさえ思う。 この感覚を知ると知らないでは大きなこと。 そういう意味でもよい読書経験となりました!
28投稿日: 2024.11.02
powered by ブクログイランで生きる女性たちの姿に励まされる。日本で安穏のうちに生きている私にはきっと想像もつかない苦しみや悲しみ、不条理があると思うが、そのなかでも力強く生きる姿がとても素敵。今はそれどころじゃない情勢だけど、いつか訪れてみたい国になった。
2投稿日: 2024.10.27
powered by ブクログ金井さんのフムフムがテヘランに向かっていた。とっかかりは女子相撲に興味を持ったところから始まったようですが、思い立ったら即行動に移してしまうバイタリティが凄いですね。親しみある文章でサクサク読めるので2度読み3度読みしてしまいました。 反スカーフデモから2年、軟化政策に切り替えたイラン政府の意図はわからないままだけど、監視社会は続いてるようでスカーフ外してる女子が車に乗って監視カメラに撮られても、スマホに「あなたは⚪︎月⚪︎日スカーフしてませんでした。注意してください」とメッセージが届くだけで14日間の車の押収はなくなったとか。えっ、それってディストピア にいるようで、気が抜けないのですけど、この国の普通からすると穏やかになったのか。 突撃インタビューを繰り広げる金井さん、相手を慮りながらもズバズバ聴いちゃうんです。コミュ症には真似のできない神技で人脈を拓いていきます。 同胞の前では言えないことも金井さんには話せるようで世界に向けて訴えかけてるような内容でした。 レジスタンスで能力的にはヒエアルキー上位の女性たちの話が中心になってるとは思うのですが無茶興味を惹きました。 それぞれの人生が、どれも素晴らしく、ひとつひとつをさらにクローズアップすれば小説や映画にしてもいいくらいのエピソードなんです。 才能ある女性が沢山いらっしゃって素敵すぎました。 私としてはイランの最高峰がダマーヴァンド山で5610mもあるとかクルド人のことにも少し触れてましたが、山岳地帯に暮らす民族って高地順応できてるから憧れなんですけどねw
86投稿日: 2024.10.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
分類変かな。話を聞いて、書いて、確認取って。そうか、その気になればグーグル翻訳で大体のものは読めるんだ。相撲で髪が見えたら負けと不浄負けの話が出てきてそういうものかと妙に納得したり。ともかくみんな素敵。かっこいい。絵がいい。おばあちゃんやたらくれるあるあるとか。スカーフ大事なのね。締め付けのきつさは時期で変わるのは言われたら当然なんだけど気がついてなかった。 ともかく、おすすめ。
2投稿日: 2024.10.06
powered by ブクログ何度も読み返したい素敵な本だった。 日本に比べて、女性だとぼんやり生きていたら大きな仕事やスポーツなどはできないような環境。 その中でどうやってやりたいことを実現するのか、はたまた国外に行くのか… 自己実現の方法は日本とは大きく違うなと思った。 身内が亡くなった時の慣習など(ケーキを毎週木曜に道ゆく人に配るらしい!)自分の知らない文化も満載で、知的好奇心もとっても刺激された。
130投稿日: 2024.10.03
powered by ブクログとっても良い本だった。何度も読めるように本棚に置いておきたい一冊!金井さんの絵や似顔絵も素敵!*この国ではなにもしなくても危ないでしょ。どうせ危ないんだからデモに参加した方がいいと思って。[中略]私は死ぬまでイランにとどまるつもり。この国が変わるのを見届けたいの。*「どうかそれぞれがその人らしくいられますように。この人生を味わって進んでいけますように」。
24投稿日: 2024.09.19
powered by ブクログ初めて読んだ金井真紀さんの著作。 著者がイランで出会った市井の女性たちのたくましい生き様が、丸くてあたたかい文章で綴られます。 ビックリするような理不尽も多いのですが、読み終えて、最終的には何だか勇気がわいてきました。 著者が現地の人たちとサウナやピクニックに行ったり、踊ったりするコラムもとても楽しい。 素敵な本に出会えて嬉しいです。
2投稿日: 2024.08.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
テヘランのすてきな女 著者:金井真紀 発行:2024年6月30日 晶文社 随分と評価されている本。著者はイラストレーターでもあるため、イランの女性達の〝素顔〟が絵と文とで表現されている。イランに女子相撲があると知った著者が、テヘラン留学経験のある編集担当者に話をすると、著者がイランで相撲を取るという企画でいきましょうということになり、イランへ行くことに。2023年11月に取材したものを、半年あまりで本にして出版している。 イランでは、2022年秋から「反スカーフデモ」が行われ、日本でも報道された。この年の9月にテヘランを歩いていた22歳の女性が逮捕された。スカーフのかぶり方が不適切だという理由。彼女は取調中に意識を失い、病院で死亡、反スカーフデモが繰り広げられた。女性に義務づけられているスカーフ着用。髪をすべて隠さないといけない。以前はのばすと4メートルほどになるチャドルという黒いシーツみたいなもので肩から下も覆わないといけなかった。 そんなイランを訪れた著者が現地で見たもの。それはすなわち読者である我々が接する事実なのでもあるが、イランの女性たちは、スカーフやチャドルの下で、ある面で日本よりずっと自由な生活を送っていたのだった。例えば、イランの女性の6割以上が豊胸手術をしているという驚きの事実を知る。体の線が出ない服を着ているのに、なんのため?聞けば年齢は10代から40代までと幅広い。夫のためにするのかと思ったら、きっぱり否定された。「手術は自分の体を好きになるためよ」。日本には「身体髪膚(はっぷ)これを父母に受く、あえて毀傷せざるは孝の始めなり」という考えがあるが、イラン女性の自由さが分かるとうものである。 なお、その話を聞いたのは、美容整形医と希望者をコーディネートする仕事の女性。イランでの美容整形技術は、イラン・イラク戦争で体の一部を失った人のために発達したとのこと。納得できる話だった。 イランでは、テヘランを中心にさまざまな女性達に会い、話を聞いている。一人だけ男性がいたが、それは26年前にタリバンが支配しはじめたアフガニスタンから脱出し、イランで果物屋をしている男性だった。パスポートが切れるたびに申請し、何か月もかかり、その間は銀行でお金が下ろせないという不自由さがありながらも、アフガニスタンよりはずっといいからイランで暮らしている。弟たちも呼び寄せた。そして、妻も10歳の時にアフガニスタンから家族で移住してきた女性。その女性に聞くと、イランは豊かで自由だわ、という。日本人には不自由なイメージのあるイランだが、その言葉からタリバンが支配するアフガニスタンの不自由さと貧しさが知れようというものである。 イスラム法で、レイプは死刑。また、イランでは婚前交渉が犯罪であり、レイプの裁判でレイプではなく合意だったと認定されると、男女ともに有罪となる。鞭打ち100回。ただ、レイプの死刑をかろうじて免れた裁判で、女性には鞭打ちなしというケースもあるようだ。最近は、死刑をさける裁判官が多いという。 右から左へ綴るペルシア語の本は、縦組みの日本の本と同じで右とじ。 美容院の取材に行く。髪を切る前に眉毛の手入れをしていた。余分な眉毛を抜く。痛くないからやってみるか?の誘い。聞けば、眉毛にも流行があり、最近は太いのが人気だという。少ない人は、髪の毛を植毛するという。なんと、植毛して整えてから余分な眉毛を抜いて整える。非常にお洒落。 髪は、サイドにそり込み2本を入れている女性。スカーフの下は自由。 通訳の女性は、鹿児島から北海道まで夫と3ヶ月かけて自転車で縦断したという。「わたしたちは日本を自転車で縦断した最初のイラン人だと思う」。 性的マイノリティにも取材した。3人。一人は女性として生まれたが、男性を自認している。男性になる手術を申請して2年になる。「イランは世界で一番性転換手術が多い」という。理由は、同性愛は死刑だから。好きな人と一緒にいたい場合は手術するしかない。ゲイの場合は、バレると1回で死刑になる。レズビアンの場合は3回までは鞭打ち、4回目に死刑。 あとの2人は、レズビアンの女性、バイの女性。最後にオチがあり、実は最初のトランスジェンダーで男性自認の人と、バイの女性は、つきあっている。 1979年1月、パーレビ国王が逃亡し、2月に亡命中のホメイニが帰国してイスラム革命が達成された。取材した女性の姉は革命支持、父親は反対だった。それまで、アメリカ政府のもとで強権をふりかざし、SAVAKとい恐ろしい秘密警察が反対する人々を逮捕しまくり、拷問しまくっていた。革命後、そのSAVAKはなくなったが革命防衛隊、情報省、風紀警察などが誕生した。服装や生活はイスラム教のルールで厳しく管理、蜜月だったアメリカからは経済制裁を受ける。権力者による富の独占は酷くなった。わびる姉。 アメリカによる経済制裁を受けている現在、イランの人は誰もクレジットカードをつかっていない。ビザもマスターズもアメックスもない。ネットでのサービスも支払いはクレジットカードではない。 一方で、アメリカのシステムに代わる独自システムもある。イラン版ウーバーイーツ「エスナップ」のバイクが走る。アマゾンはないがディジカラーがある。Kindleの代わりにフィディボとタクチェ、YouTubeの代わりにアーパーラー、Netflixの代わりにもたくさんの動画サービス。 1925年、パフラヴィー朝を興して王位に就いたレザー・シャーは服装改革を行った。男子はパフラヴィー帽とスーツを着用。しかし、真の狙いは女性で、1936年にチャドルとスカーフを禁止した。王族の女性たちは率先して髪を露わにし、洋装で外出した。しかし、これに大きな反発が起きた。だが、権力側はチャドルやスカーフを着用している女性を見かけると無理矢理剥ぎ取っていった。今とはまるで逆。 1941年にレザー・シャーが退位して国を去ると、チャドルとスカーフ禁止は撤回され、自由に。男性のスーツとネクタイは定着した。 1979年、革命後はスカーフで髪をすべて隠すことが義務づけられ、男性は役所にジーンズやネクタイを着用していくことが禁止された。
1投稿日: 2024.08.14
powered by ブクログ金井真紀さん 前に日本に住んでる世界の人 という本を読みました。 本屋さんで見つけた時 あ、あの金井さんだ! と 手に取りました。 今回はテヘラン 日本よりはるかに 女の人への制約が多い 服装だけじゃなく 教育も生き方も こんな制約の多い国に生まれ育っても この本に出てくる女の人は バイタリティーがありますね。 心があたたかい。 いろんな人にインタビューしていますが 相手の人の似顔絵を描いてるのは 金井さんなんでしょう。 絵を見ただけで あたたかい人柄が伝わってきます。 日本でもLGBTの人たちは生きにくいんだろうけど よくイランで お話し聞けましたねえ! 通訳の方も金井さんの人柄がわかってるから セッティングできたんでしょうね。 この本読んで イランていい人がいっぱいいる国なんだなあ!と思いました。
2投稿日: 2024.08.06
powered by ブクログ私の推し、金井真紀さんの新著。 帯に「世界で一番かっこいい。」とあり、私は心の中で「金井さん、それはちょっとおおげさしぎないかい?」と呼びかけていた。しかし、いらん心配だった。 と、いらん親父ギャグをついつい言ってしまう私のような親父の心にも、じわじわと染み入り、心揺さぶられ、笑いと涙をもたらし、「うん、たしかに世界で一番かっこいい。」って思わせてくれた。とても愛おしい一冊。 そして、希望の一冊でもある。 イランについては、新聞やテレビのニュース映像などで見聞きする、「ヒゲのいかめしい最高指導者が君臨し、宗教の戒律にしばられた、不自由で息苦しい社会」を思い描いていた。地理的にも自分の意識の中でも遠い国だった。 ところが、その不自由な政治・社会体制のなかでも、苦しみながらも、しなやかに自由な精神で今を生きる素敵な女性たちの姿を、著者がやさしい言葉と絵で伝えてくれている。 登場したすべての人々が愛おしく感じられ、一気にイランが身近になった。 時代が逆行するかのような世界の状況だけれど、遠く離れたイランにも、こんな素敵な人たちがいると思うと、まだまだ人間捨てたもんじゃない、と思わせてくれる。希望を抱かせてくれる。 そうした意味で、希望を感じ、心強く思える一冊である。 「あぁ、どうかそれぞれがその人らしくいられますように。この人生を味わって進んでいけますように。」 と、いう著者の思いに、深く深く共感し、同じ思いを抱きながら、この時代を生きてゆきたいと思う。
5投稿日: 2024.07.20
powered by ブクログ描写の名手、金井真紀さんが送る現代イランのスケッチ。 かの国で、悩みながらもしなやかに強く生きる女性たちの軽くて重いエッセイである。 私もイラン滞在経験があるが、男性ということもありなかなかここまで女の人生をえぐるような話を聞く機会には恵まれなかった。 彼女たちが思いっきり息を吸える社会に、いつの日かなるのだろうか。
3投稿日: 2024.07.08
powered by ブクログ・イランの市民の女性がどんなことを考えているのかうかがい知ることができてよかった。 ・先人の民主化運動を引き継ぐという覚悟のある人。すごいと思った。 ・女性に対する性犯罪の問題。これはアメリカ、日本と変わらないが、警察と裁判所が問題を複雑にしている。 ・イランの(一部の)人々はよりイスラム教から離れてきているように読めた。 ・トランスジェンダーの立場は日本よりも弱い。
0投稿日: 2024.06.26
