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世界で第何位? 日本の絶望 ランキング集
世界で第何位? 日本の絶望 ランキング集
大村大次郎/中央公論新社
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総合評価

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    客観的なデータを示したうえで、著者が分析を加えており、問題のありかを示している点で読みごたえあった。それだけに、タイトルがネガティブなのはもったいないと思う。 日本の公共事業費がGDPに占める割合は3.7%で、主要先進国の中で最も高い。しかし、環状道路の整備率は、海外の主要都市では100%近いのに対して、東京は47%。下水道普及率は地方の県で低く、徳島県は19%、和歌山県は29%。電柱は先進国にはほとんどなく、地中に埋められているが、東京の無電柱化率は8%、大阪でも6%。 政治家は、自分を支持する建設土木業者のために公共事業を誘致しようとするため、その業者が得意な公共事業ばかりが予算化される。不備のあるインフラを整備しようという発想は全く無いため、偏った公共事業ばかりが行われることになる。 竹下登や青木幹雄などの島根県出身の国会議員は、こぞって地元に公共事業を誘致し、自らの政治権力をアピールしてきた。県民一人あたりに使われる公共事業費は、常に全国で5位以内に入り、北海道や沖縄県に匹敵するほどの公共事業を受注してきたため、島根県の経済は公共事業に全く頼り切った体質になった。それほどの税金を使いながら、島根県は数十年の間、人口流出でワースト10に入るほどの過疎県となっている。 1990年、海部首相がアメリカに対する公約として、今後10年間で430兆円の公共事業を行うと明言した。その後、村山内閣の時に、この公約は630兆円に上方修正された。現在の国の借金が1000兆円を超えているは、この公共事業に端を発すると著者は主張する。 ※実際の公共事業関係費は、多くても年20〜30兆円程度で、現在では年5〜6兆円程度。社会保障費は現在36兆円。 医療費はすべて社会保険で賄われているのではなく、税金から補填されており、社会保障費の中で一番大きい。病床の約80%は民間病院にあるが、民間病院では手間がかかる上にリスクが大きい重症患者などは受け入れたがらないため、集中治療室などはあまり設置されていない。そのため、日本の人口当たりの病床数は世界一だが、集中治療室の数はOECDでワースト4位という状況になっている。他の先進国では病床の半分以上が公立病院にある。 開業医には、同じ治療をしても公立病院よりも多くの診療報酬を得られたり、高血圧や糖尿病の健康管理をすれば報酬を得られるなどの特権がたくさんある。開業医の平均年収は国立病院の院長よりも高く、勤務医の2倍にもなる。その理由は、開業医は日本医師会という強力な圧力団体を持っているため。 ※政治団体である日本医師連盟を通して、2021~2023年の3年間で6億5000万円を自民党へ献金しており、その額は業界団体・政治団体で最大(会社四季報オンライン)。国会議員への献金やパーティー券購入もしており、年間総額は5億2000万円に上る(東京新聞)。 人口当たりの医師の数は、OECDでワースト5位。人口当たりの新卒の医師数は、OECDの中で最下位。日本医師会は、自分たちの収入が下がらないようにするために、医学部の新設に強硬に反対してきた。日本で寝たきりの老人数が世界一なのは、延命治療で儲かっている民間病院が多いため。民間病院は、圧力をかけて現状の終末医療を変更させていない。先進国では、自力で生きることができなくなったら、無理な延命治療はしないことがスタンダードになっている。 ※高齢者が病院に長期入院しているのは、公的保険で医療が安価に受けられることや、介護施設の数が不足している点も指摘されている。 日本は国内での設備投資は伸びていないが、海外には盛んに設備投資を行っており、その直接投資残高は外国から日本への投資残高の5倍以上になっている。日本の経常収支の黒字が続いているのは、この対外投資によるものが多く、特に2010年代以降にその割合が拡大した。国内の工場が海外に移転していることも、この数値に表れている。 欧米の企業は国内の工場を簡単に海外に移転することは少なく、工場労働者や下請け企業などとの折衝を行い、なるべくダメージを受けないような方策がとられる。ドイツの法律では、大企業の経営を監査する監査役会の人員の半分は労働者代表が占めることになっているため、安易な人員削減はできない。 現在の税制では、企業が外国の子会社から配当を受け取った場合に、その95%は課税対象から外される(外国子会社配当益金不算入制度)。これは、現地国と日本で二重に課税されるのを防ぐことが建前だが、配当に対する税金は世界的に10%前後であるのに対して、法人税は20~30%のため、結果的に企業が得をしているケースが多い。結果的に、政府は企業のグローバル化を後押ししており、日本経済を蝕んでいる。 日本の官僚たちは、全国に特殊法人や半公的団体を作り、官僚の天下り先にしている。そして、莫大な税金を投入したり、法的な独占特権を与えたりして、日本の財政を悪化させている最大の要因になっている。 ※天下り法人は一般法人と比べて補助金受給額が7倍にも及ぶ(会計検査院調べ) 少子化の原因の一つは非正規雇用である。30~34歳の男性では、正社員の既婚率は約60%だが、非正規社員の既婚率は20%。 現在、日本で働く人の約4割が非正規雇用で、その中で男性が700万人近くを占め、20年前より倍増している。バブル崩壊後、財界は「雇用の流動化」と称して非正規雇用を増やす方針を打ち出した。政府は1999年に労働者派遣法改正し、それまで26業種に限定されていた派遣労働可能業種を一部を除いて全面解禁した。さらに、2004年には除外となっていた製造業でも解禁し、ほとんどの産業で派遣労働が可能になった。その結果、90年代半ばまでは20%程度だった非正規雇用の割合が98年から急激に上昇し、現在では30%を大きく超えている。また、高等教育費の財政負担率はOECDでワースト2位の32%で、家計の負担が大きい。

    0
    投稿日: 2025.07.18
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    タイトルは少しアピールし過ぎかなと思いますが、内容と全然違うというわけでもありませんでした。 様々なデータを引用して解説をしていくのは分かりやすくて良いのですが、データから推測している著者の主観が事実であるかのような言い方が散見される点は気になりました。

    0
    投稿日: 2025.02.27
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     日本は、土建国家だと言われているが、90年代に何と630兆円公共事業に予算が費やされていたそうだ。これは、財政赤字に苦しむアメリカの、金回りの良い日本政府に公共事業で金をばら撒かせ内需を拡大させて、貿易収支を改善させたいねらいもあったそうだ。しかし、それらは、バブル崩壊後の景気浮揚にも何ら貢献しなかったそうである。  そのお金を当時少子化の改善に使われていたらと思うと、本当に残念だ。

    5
    投稿日: 2024.12.25
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    世界に対する日本の現状が記載されていた。「日本は進んでる」と思ってる日本人が多いと主観的には感じるが、データで見ると意外とネガティブ面があることを学べた。 まずは自分自身がより良くなるように努めたい。

    7
    投稿日: 2024.11.28
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    日本の社会インフラ、医療、経済、貧富の差、少子化問題等について、世界各国とランキング形式で考察した本。 バブル崩壊、2000年代から世界における日本の位置付けが増々低下している。経済的には、未だトップランクを維持しているものの、インフラ、医療、教育等は先進国で最低レベル。アジアでも韓国や台湾よりも下位という状態だ。 原因は、景気が良かった時代にお金の使い方を誤った事、将来に向けての投資をして来なかった事、他国の状況への関心の薄さ(凄い日本と自画自賛)等々。政治が現在の問題にばかり気を取られて、将来を考えてこなかった事も一因なのだろう。 先進国最下位と言われても、そうなのかと思うが、アジア各国よりも下位と言われるとインパクトがある。(アジアでの先進国という優越感が損なわれるせいかも) この傾向が続くと、日本は経済大国に復活することはなく、過去の資産で細々と生きていく国になっていくのかもしれない。

    2
    投稿日: 2024.01.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

     政府債務が多く少子化が進む。日本はダメな国、という論点がある一方、「日本は世界から尊敬される国」という本も多い。一体、どっちが正しいのか。  著者の大村氏は感覚に頼ることなく、統計でその姿を浮き彫りにする。  日本の製造業が弱くなったのは海外に製造拠点を移したから。その上、賃金が上がらず、貧富の差は開いた、という指摘はうなずける。  日本経済の状況はなかなかひどいがこの後どうかじ取りをしていくのか。日本という国が今後立ち上がれなくなるように、少子化という足かせをはめられたのかも、と思うほど厳しい状況だと思う。  アメリカで中流層が搾取され、すっぽり中流層がいなくなった時期、アメリカで自己啓発本がブームになった、と聴いたことがある。苦痛の多い暮らしを送る人々に読む麻薬を与えたのか、と思った。今の「日本はすばらしい」論も同じ構図かもしれない。ひどくなる一方の日本。その絶望を少しでも和らげるために、「日本は世界一」という書籍が売られるのかもしれない。

    1
    投稿日: 2023.11.19
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    若者よ選挙へ行こう!日本社会の閉塞の現況を具体的な数値で示す。景気回復の期待や少子化対策等を具体的な数値で現状を示し今後の方向性を示す一冊。 データつまりエビデンス二基づくところが良い。日本という国の現実を冷静に見るに最良の一冊。特に後半、日本医師会や特殊法人についての記述が新鮮な印象。 結局、民主主義国家ニッポン、今の日本を選んだのは日本国民。投票しない=現体制指示ということに気付かぬ若者に読んでほしい一冊。

    1
    投稿日: 2023.11.10
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    本当は2020年頃からこの本に書かれていることは現実のことになっていたように思いますが、今年5月まで日本はコロナ体制にあったので、全ての不具合はコロナの為と思われてきたように思います。それがコロナ体制の終わる数ヶ月ほど前から勃発したウクライナ危機により、円安となり今では誰もが認識することになってきていると思います。 今年の予算・計画を立てた昨年頃にはまだコロナのために、それらを考慮された計画となっていたのではないでしょうか。日本経済は他の世界と比べて、1年から1年半ばかりコロナ体制を引きずっていた期間が長いので、その影響が来年あたりから顕著に出てくると思います。 そう思っているところに、実際のデータをベースに議論をしてくれるこの本の著者の新作を見つけました。タイトルもその中身もあまり嬉しい内容ではありませんが、これらは紛れもない事実だと思いますので、それらを理解した上で今後数年にわたって起きるであろう大変換に備える必要があると思いました。 以下は気になったポイントです。 ・台風や豪雨のたびに、どこかしらで大規模停電が発生している、2019年9月の台風15号では90万戸が起きて3週間近く復旧しない地域もあった。これらは電源を地中化すればかなり防げた、無電柱化の推進は阪神大震災の頃から言われていたが、30年経過しても全く進んでいない。東京23区の無電柱化率:8%、ロンドン・パリ・シンガポールは100%(p33) ・現在の国の借金1000兆円は、1990年に始まった公共事業(内需拡大)63x10=630兆円に端を発する(p36) ・社会保険関係費というと年金、生活保護を思い浮かべる人が多いようだが、最も大きいのは医療費である、現在の医療費は年金とほぼ同額だが、長い間医療費が年金よりも大きかった(p48) ・人口千人あたりの病床数は世界一だが、新型コロナの初期では医療危機となった、それは集中治療室が最低レベル(10万人あたり5.2vsドイツ:33.9、アメリカ:25.8)(p53)日本の場合は、民間病院が8割(英・仏・独は過半数以下)と異常に多い(p54)開業医が日本では多い、日本医師会という強力な圧力団体を持っている(p59)日本医師会は医学部の新設に強硬に反対してきたので、新卒医師数が少ない(7.1 vs ドイツ等は12人以上@10万人)(p61) ・寝たきり老人の数が300万人以上と世界ワースト1位、理由は医療現場において「とにかく生存させておく」ことが善とされ、点滴・胃ろうなどの延命治療がスタンダードで行われているから(p65) ・日本の医療において開業医が多いことと並んでもう一つ特徴的なのは、精神科病院が多い、しかも入院型である。世界が入院型から通院型へ切り替えている。精神科の病床は32万以上で全病床の21%を超えている、人口千人あたりの精神科ベット数は日本が2.6で2位の1.4に比べてダントツの一位である(p67)結核療養所が精神科に衣替えした経緯がある(p69)精神疾患は自己負担分を自治体が補助しているケースが多いので、患者の負担はゼロになっていることが多い(p70) ・日本の製造業が衰退した最大の原因は、生産設備が日本から海外に移され、国内が空っぽになってしまったこと(p81)中国韓国メーカが台頭したというより日本メーカが凋落したと見る方が正しい(p85)欧米のメーカは、中国・韓国メーカのものと競合分野が異なる(p86)日本は海外で工場を作り、無償で技術提供をしたので中国・韓国メーカが技術力をつけていった(p88) ・日本のデジタル競争力が急速に落ちたのは、1)安易な海外進出による技術流出、2)雇用を大事にしなかったことによる人材難、目先の収益を追い求めた結果である(p91) ・日本国内で90億円の経費をかけて100億円の売り上げ、10億円の収益を得ていたとする。海外に工場移転して20億円の収益を得たとする。これにより10億円の増収、日本へ利益をもたらしているように見えるが実際は異なる。日本国内で活動しているときは10億円の収益しか得られなくても、そのために90億円の経費は日本国内に落ちていて、それが雇用をうみ、国内下請けの収益となる。100億円の経済効果を生んでいたことになる(p95)海外に移転すればその分GDPが減ることになり、労働生産性が伸びていない原因でもある(p96) ・輸出される商品は、国内で製造する段階で材料費などで消費税を払っているので、輸出するときに支払った消費税を還付する=戻し税である(p108)さらに、外国子会社からの受取配当の益金不参入(95%は課税対象から外す)がある(p109)これは国内でものづくりを頑張るより、海外に工場を作って子会社化した方が得をすることになり、確実に日本経済を蝕んでいる(p112)賃金が上がっていないことも一因(p124) ・平成の30年間は失われた30年と呼ばれる苦しい時代のはずであるが、個人金融資産は、1017→2000兆円以上になっている、一部の富裕層に集中している(p119) ・この20年間で国内消費が10%減少している、したがって企業の国内売り上げは下がる(p128) ・生活保護の不正受給者はせいぜい2ー3万人、一方で生活保護のもらい漏れは、800万人近くいると推定されている(p142) 2023年9月9日読了 2023年10月29日作成

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    投稿日: 2023.10.29
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     本書を読んで、日本という国は決して洗練された民主主義国家などではなく、力で幅を利かせる顔役が跋扈する、原始集団だったのだな、ということを妙に納得した。それは諸外国が洗練されている、というのともちがうんだ。たぶんね、そこに至るにはどの国にも歴史があり、うまくいったりいかなかったりを繰り返して今がある。顔役が跋扈する原始社会というのは、べつに揶揄しているわけでもなく、一面ではどの国でもそうなのだと思う。ただ、そこを日本人は、少なくとも俺自身はもう少しあるべきものに沿って、それぞれのポジションにいる人ががんばっていて、支え合っていると思ってたんだけどね。そういうものが全否定されたわけではないものの、あくまで部分的だったのだね。  日本のGNPが下がり、労働生産性が低いのは、起業が工場を海外に移転したから。その結果、技術が海外に流出し、国内の賃金は安く据え置かれた。そのあたりは、90年代以降の経営者、そしてそれを後押しした為政者の間違いだろう。  こうすればこうなる、ということが、数字を使ってわかりやすく説明される。けっこう説得力あったな。役人の天下り先となる特定法人と開業医を病巣の中心としてあげてはいたけども、それだけではないだろう。  自分自身が考え、生きのこる算段をしていかないとね。

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    投稿日: 2023.10.25
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    一所懸命に働いても生活が楽にならない事が出来ない日本人。「どうして!?」をさまざまな統計をもとに科学的に分析!何が失敗だったのか、なるほどと思わせる。

    0
    投稿日: 2023.10.14
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    途上国並みの水洗トイレ事情。精神科ベッド数世界一。韓国より安い賃金、低い生産性。若者の自殺大国。データ分析のプロが読み解く。

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    投稿日: 2023.08.09
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    幸せに過ごすには人と比較しないこと。それなりにできている自覚はある。他国との比較で絶望を与えられる本書を読んで、どれくらい絶望するのか知るために読みたい #日本の絶望 ランキング集 #大村大次郎 23/8/9出版 #読書好きな人と繋がりたい #読書 #本好き #読みたい本 https://amzn.to/440IBew

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    投稿日: 2023.08.09