
総合評価
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powered by ブクログハンガリー在住の日本人の内視鏡技師の、 失ってしまった左手。 そして新たに、移植された他人の左手。 ウクライナ、ロシア、ハンガリー、ドイツ、 ポーランド、そして島国の日本。 移植の前後の肉体感覚と、昨今の国際情勢、 特にクリミア併合以降のウクライナ情勢が重なる。 読みごたえありました。
24投稿日: 2025.11.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
他人の体と繋がることはどういうことなんだ? 本文にも出てくる、"他人を意のままに動かすことができるのか?"答えはNo。 私が司令塔であり、命令を下す側であり、手を従わせなければならない。 "自分の体"とは、他人を受け入れるということは、自我や受容について、少し医療の倫理的な視点もあって自分と他人の「境界線」についてめちゃくちゃ考えさせられた。 でもまさか、境界線に対して、国境の話が入ってくるとは思いませんでした。国と国の境目の話が出てくるのがとんでもなく説得力がでて、後半泣きながら必死に読んだ。
1投稿日: 2025.09.03
powered by ブクログ朝比奈秋『あなたの燃える左手で』読了。 移植で得た左手と共に生きる青年が、その手の出自や国境をめぐってせめぎあう。 移植と国境という、一見異なる主題が見事に呼応し、身体の内側と国家の外側をめぐる問いへと連なる。境界線とは何か、その線は誰がどこに引くのか、読後も思考が燃え続ける。
1投稿日: 2025.08.28
powered by ブクログあなたの燃える左手で 2025.08.10 怒りを恥じること、他人を想って涙を流すこと、それが弱さでなくて美徳とされるあの列島、そして、そこに住む平和で呑気でシャイで、親切にされると恥ずかしそうに礼義正しくお辞儀をする人たち。 この文章によって日本人の在り方を客観視できて、なるほどなと感じた。どこか愛おしいと感じてしまった。このような日本人であり続けたいと思うのは愛国心の表れなのだろうか。 島国である日本とヨーロッパ大陸のちがいを手の拒絶反応で表しているのが印象的。読みながら自分の神経も痛むような感覚を得た。移植をテーマとして国際関係に繋げるのは新鮮だった。 私もアルバイトをしていて外国人観光客の態度や食べ方、マナーについて体の内なるところから、どこか違和感や隔たりを感じることがある。日本にいて、殻にこもっていては気付けないことだと思う。このような違いを乗り越えていかなければ本当の国際協力は難しいのだなと実感させられる。
2投稿日: 2025.08.10
powered by ブクログヨーロッパで暮らすアサトは、左手を失ってしまうが、他人の手を移植される。 自分ではない異物との戦いを、ヨーロッパの人種や国境問題と絡めて描く。 私たちは、自分を守るため、細胞レベルで、個体レベルで、生まれついた人種として、あるいは国として、他者と戦わなければいけないのか。それとも、受け入れて共存できる道を探さないといけないのか。 理論や科学、理想を超えた我々に染みついている感情をどう落ち着かせていけるのか。 傑作。
0投稿日: 2025.07.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
意外と難しくて、読み終わるのに時間がかかった なんの説明もなく過去の話になったり、話し手が変わったり いつのまにか考え事をしてる時はそんなものが知れない 国語の試験の課題文を読み解くみたいな気持ちで読み進めるのが疲れた 誤診で左手を失った喪失感は直接描写されていないのに、幻肢痛の描写リアル そり、考え事しちゃったり、妄想の世界に入ってしまったりするよなぁ ロシアに攻め込まれたウクライナ市民の描写、隣国ハンガリーの市民の気持ち、シチュエーションによって言語を使い分けることが要求される生活、日本にいたら分からない この本に書かれていることが全てじゃないだろうけど、それなりの真実は含まれているんだろうと思う 一回読んだだけじゃ理解しきれない 何度か読み直そう
0投稿日: 2025.06.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
日本で生まれ育ったら、感覚的に国境を理解するのは難しい。島国ゆえの呑気さがたしかにあるのかもしれないと気付かされた。 厳しい言葉でありながら日本人の本質を突くドクトル・ゾルタンの考えは、日本という国と日本人を客観視する目線を与えてくれた。自らのことや身の回りのこととなると思考の偏りがどうしてもあるものだ。 他者とのコミュニケーションによって思い込みが取り払われることが往々にしてあると思う。それを、一冊を通してゆっくりと浸透させていくように読者に語りかけてくれるので拒絶反応は起きない。 「移植はな、君らみたいな、切り取ったら終わりの治療とは違うのだよ」ゾルタンのこの台詞には、過去も未来も、国や人の在り方も内包していて思わず唸った。 領土を奪い、また奪われていくことの意味や感覚を、移植手術を通して語るという視点が非常に興味深かった。 アサトの体は他人の左手を受け入れる方向で進んでいる。そこに衝突はあっても苦しみながら受け入れる。その過程と結論が重く響く物語だった。
0投稿日: 2025.05.09
powered by ブクログあらすじを読んだ際には、別の人の左手を誤診により移植された主人公が、それを乗り越えるような医療系の割とありがちな話かと思った。国境や民族意識、戦争も一つ大きなテーマになっており、その視点と片腕の移植を絡めていて面白かった。 普段何気なく使う体も、全て自分のものだからこそ違和感なく使えることを実感して、ありがたいなと感じた。 「日本人は謙虚に見えて傲慢」という箇所が印象的だった。国境の意識がなくほとんど同じ民族で構成されている国であり、だからこそ身内には親しいが外の人には排他的になりがちである。普段の自分の価値観、認識の仕方を改めていきたいと思った。
14投稿日: 2025.05.03
powered by ブクログ誤診で失った左手に、代わりの別の人間の左手を移植されたところから、ハンガリーの医師とヤパァナ(日本人)の患者の話により物語が進んでいった。話は移植手術のみに終わらず、ヨーロッパの国際情勢や過去のいざこざの話が広がっていき、西洋人の国や国境意識と日本人のそれは、非常に乖離していることを気づかせてくれる作品だった。島国で国境がないことが、いかにお気楽なものであるか。なんとなく面白かったが、かなり難しい、、、。読解力が低くて、もっと国際情勢に詳しければ、面白く感じたんだろうなぁ〜。
0投稿日: 2025.04.05
powered by ブクログ読み始めは少しきついかな?と思ったけど、読後は、読んでよかった、という感想になりました。 こんな内容の本に出会ったことがありませんでしたが、一度読んでもらいたい本です
6投稿日: 2025.03.10
powered by ブクログ読書備忘録899号。 ★★★★。 芥川賞作家朝比奈さんの2023年作品。 サンショウウオ・・・は見かけ上1人の人間でありながら結合双生児という特殊な状況における心の物語でした。 正直、どのように捉えて良いのか難しい作品という印象でした。 この作品はサンショウウオに比べるとテーマが分かりやすい。 ①国境を巡る紛争。侵略行為。一方、国境に縛られない民族という括り。 ②生体移植。失われた人体機能を取り戻すために行われる生体移植。他人の一部を移植する。 国境という境目。生体移植の境目。この2つは実は同じなんだという物語。 そして、領土侵略、生体移植が成功するかどうかは境目を跨る相互意思に掛かっているというお話。 舞台はハンガリーですが、主人公を日本人という島国であることで国境を持たない民族にすることでエンタメスリーリーに仕上げている。 正直・・・、面白かったです! ★この先はネタバレ感満載の解釈をしてしまっているのでご注意★ 物語冒頭。 いきなり、ウクライナ東部ドンバス地方でウクライナ人女性が身体にプラティック爆弾を巻いてロシア軍に対する自爆テロを行うシーンで幕開け! どうやらこのタイミング、ロシアがクリミアを一方的に併合して、東部ドンバス地方に攻め入っている時。 まだ、ロシアが全面的にウクライナ侵攻を開始する前。 この女性、読み進めると、主人公の日本人男性アサトの恋人で、世界の紛争地で医療に従事にしていたことが分かってくる。 シーンは変わってハンガリーの病院。 患者でありながら、この病院の内視鏡センターの技師であるアサトがベッドにいる。 どうやら、左手首から先を移植した模様。 なぜ、左手を失い移植することになったのかは大した意味も無いので割愛! 移植手術を執刀したのはハンガリー人医師、ドクトル・ゾルタン。 移植手術において権威。 移植した左手に対して、アサドの身体はまだそれを認めていない。 左手は拒絶反応に晒されて、浮腫みがはげしい。 左手に感覚はなく、意思で動かすなんて以ての外。 そんな状況に対して、ゾルタンは左手が受け入れられる・動かせるようになるのはアサド次第だ、という。 ゾルタンは移植と国境紛争を絡めて語る。 ウクライナ西部はもともとハンガリーだったと。それをウクライナに奪われた。今でもウクライナ西部にはハンガリー系住民が住んでおり、権利が侵害されているという。 一方クリミア半島は、ロシア系住民も多く、ロシアによる一方的な併合においてもクリミアには歓迎する声が大きかったと。 アサトは日本という島国に生まれて国境というものを意識したことはなかった。 移植というのは領土と同じだ。 移植部分が大きければ、拒絶反応はあまり問題になることはない。 なぜなら移植部分が大きいと、そこは別のものとして交流するだけだから。すなわち自分の一部にはならない。 手首から先というパーツは小さい。手首はアサトという身体に飲み込まれることを拒む。 しかし、それを実現するのはアサトの心次第だと。 ゾルタンは言う。日本人という島国のアイデンティティを持った人種に、他人の人体パーツを移植するのは合わないのかも知れないと。 一旦順調に思われた移植だが、アサトは再び切り落としてくれと言う。この左手は耐えられないと。 順調に行っているのに切り離すなんてありえないとゾルタン。 そんなとき、突然強度の拒絶反応がアサトを襲う。このままでは左手は腐り、アサトの本体にも影響が出る。必然的に切り離さないと命に係る状況に陥るアサト! ウクライナに全面侵攻するロシア! 国と国の問題はどうあれ、生体移植してもらったパーツは大切にしましょう! そうそう。最初に自爆した女性はハンナ。 アサトはその現実を受け入れられずまだハンナは生きていると錯覚する。 その現実を受け入れていく中で、実はこの左手はハンナの左手なのでは?と混乱する。 という感じでハンナエピソードは物語に組み込まれる。
39投稿日: 2025.03.07
powered by ブクログとても重たい話だった。自分の五体満足な体を当たり前と思わずもっと大切にしたいと思った。セカンドオピニオンも大事。
0投稿日: 2025.02.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
少し自分には難しいと感じた 他人の左手がどんな感覚なのだろうと初めて想像してみた、とても受け入れ難いものであると思う。何をするにも手は使うし、視界にも入る、それが自分ではない人の手なのであれば不快な気持ちが常にまとわりつく感覚になるだろう 当たり前に日本にしか住んだことないから考えたこともなかったが、見えるものすべてが自分の国のものって当たり前がじゃないんだと気付かされた
0投稿日: 2025.02.24
powered by ブクログ朝比奈さんの話は2作目。 面白かったです。心が揺さぶられて私の今年ベスト3入りしそうな予感です。 まず、フィンランド語の訛りを日本の方言で表しているところ。フィンランド人が「ごめんやでー」と言っているの最高だった。フィンランド語を聞いて日本人である主人公が脳内変換してると面白い。静かに、この物語を緩くさせるような効果があった気がする。 次に移植のこと。 自分がいかに移植について深く考えた事がなかったことに気づいた。手は生活する上で大事な場所で、そしてよく目に入る。 私は車で信号待ちしているときに手荒れや爪の伸びが気になる。人によっては綺麗にネイルして顔の次におめかしする場所かもしれない。 その手が他人の、しかも人種も違う手になったら…。金髪の指毛が生えていたら… 他人に触られているような気分になるだろうし、常に違和感との戦いだろう。 ふと職場の隣の人の手を見てみた。私と全く違うのだ。色も大きさも厚みも。その人のことはすごく好きだけど、その手が私の手と入れ替わると思ったら拒否感が出てしまう。また、自分の手が誰かについていることにも拒否感が出てしまった。 もう一つ、国境や紛争の問題も扱われている。島国の日本で生まれ育った自分には他国と地続きという事がピンとこない。それが場所によってソ連だったり独立したりウクライナになったりロシアに取られたり… 国民性というのがあるのは当然だと思った。 短い話の中に過不足なく詰まっていた。足りない感じも間延びした感じも全くない。すごい一冊です。
9投稿日: 2025.02.08
powered by ブクログ朝比奈秋さんの初読になります。 もしも自分の左手が他人の左手に移植することになったら。 舞台はハンガリーの病院での移植。 アサトは日本人、移植の手はヨーロッパ人の左手。手の肌の色が違うし、皮膚にあるうっすら生えているうぶ毛はブロンズ。そして右手と左手を見比べると指の長さ、掌の厚みなど部分的に大きさが違う。それだけでも気味悪くなるのに、そんな手術が誤診移植だったようでクラクラしてきます。 今度は移植後の幻肢もなかなか経験出来ない貴重なものでした。馴染んできたり、拒絶反応が出てきたりの繰り返し。 幻肢痛に、もがき続けるアサトの悩みが、経験者じゃないと描けないだろうと思い、ネットで朝比奈秋さんの手はあるのか?と疑って検索してしまうくらい、あまりのリアルさでこっちまで幻覚のような眩暈がおきます。 そんな左手移植をベースにしながら、ヨーロッパの国際情勢がミックス。数年前のハンガリー、ロシア、ウクライナ、クリミアの領土争いの悪化。移植手術のゾルタン医師はアサトの故郷、国境のない日本が羨ましいと言う。 そんな領土争いと移植手術に対する知識や考え方はヨーロッパと島国では、こんなにも違うのかと平和な島国に居るわたしたちも考えさせられます。 地政学的な視点と移植手術をこんなにもスマートにミックス表現しているのも素晴らしいのですが、一番気になっていたウクライナ語にハンガリー訛りのある、アサトの妻ハンナの存在です。 ハンナへ愛する気持ちで左手の幻覚シーンがなんとも生々しかった。 回りくどいところもありましたが、かなりいろんな要素があるので何度も読み返しがしたくなる一冊でした。
6投稿日: 2025.01.07
powered by ブクログ芥川賞受賞作の「サンショウウオ」から遡ること朝比奈秋さん三作目読了。初出が2023年とあるが、大方はウクライナ侵攻前に書かれたとのこと。舞台はそのウクライナに隣接するハンガリー、そこに生きる日本人のアサトが他人の手を移植される。島国である日本と地続きであるヨーロッパとの違い、自分と他者との境界線、様々な要素を絡めつつ、作者特有の感性で物語が描かれる。ウクライナ語訛りのハンガリー語が関西弁に聞こえるという設定がおもしろかった。
0投稿日: 2025.01.05
powered by ブクログ自分の身体に対する意識の描写が凄い。皮膚、肉、感覚それぞれが詳細で読み応えがあった。 あとは、日本と外国の国境に対する考え方が興味深かった。自分のスペースがあればあるほど寛容になれると思う。 「傲慢だったのかもしれない。手を丸ごと移植しながら、手の機能だけを拝借しようとしていた。この灼熱は、手の全てを受け入れようとしなかった自分の、業火に思えた。」
0投稿日: 2025.01.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
今まで読んだことがないような作品で、楽しめました。(文章は少し苦手でしたが) 日本の国境意識と、外国の国境意識。 日本で生まれ育っているからか、あまり考えたことがなかった話を、左手の移植に準えて考えされられるとは。 今でも色々な場所で国境に肖っていたり、苦しめられていたりすることを知りました。 外国語の訛りを日本訛りで表現しているのにも驚きました。
0投稿日: 2024.12.30
powered by ブクログ純文学を読み慣れていないせいか、普段読んでいるような小説に比べると読みづらさはありましたし、深く考えずに淡々と読み進めてしまったところもあるのですが…。それでも読んでいてハッさせられる部分は多くあり、読み終えてみての感想は「読んでよかった」というものでした。 語られる言葉の全部を汲み取れなくとも、自分の中にはない知識や感情、価値観、経験を、主人公の言葉を通して文字で知ったり、想像したりすることが出来る。そういう面白さを、今回の読書で少し体験できたように感じました。 また、作品の主軸である手の移植から話が波及し、国や民族、歴史、社会情勢など多くのことに触れていく構成には非常に驚きました。 頁数は少ないですが、考えさせられることが多々ある、とても読み応えのある一冊だと思います。
1投稿日: 2024.12.28
powered by ブクログ作品としては素晴らしいのかと。 短い中に色々な要素が含まれ、文字数少ない割にヘビーな印象。 ただ、戦争と、切り離された手と、その再生手術後のメンタル面や本人、医師描写がグロすぎて少し苦手。 視点とコロコロ変わる主語に翻弄され、またハンガリーやウクライナが舞台なのに、会話が大阪弁風や、京都弁風と個性的… ハンガリーの医学界に日本他、外国資本が流れるよう授業料があまり高くないような話を聞いたことがある。作者が関係者なのか?ウクライナの侵略に胸を痛めて舞台にしたのか?なぜ東欧なのか?そこら辺を知りたいと思った。 ゾルタンは紙っぺらを一枚差し出した。病理検査結果と書かれた紙の中程に、切断された左手の写真、その横には病理結果:線維性骨異形成と載っていた。 端的にいうとね、肉腫ではなかったのだよ。ただの良性の骨の異常でね、手を切断する必要などなかった。… p.56 つまりは、この移植は失敗かもしれなかった。思えば、常に自我を押しだすことによって保たれる国境線、それを持たない人種にこの移植の適応があるとは到底思えなかった。他人の手が繋がるという意味すら、DNAや民族的な肌で理解できなかったのだ。p.146
9投稿日: 2024.12.14
powered by ブクログ他人の手を移植した人の葛藤の話。 文章に熱が籠もっているようで、読んでいると沸々と伝わってくるものがあった。移植した手と自分の腕の境界の関係を、自国と他国の境界に例えるのが面白かった。 現実と妄想がごっちゃになりよくわからなくなる。
1投稿日: 2024.12.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
朝比奈秋、3冊目。作品としては一番荒削りかもしれないが(構成やテーマ、それに対する回答など)、私は本作が一番好きだ。端正にまとまっていない、言語化しきれていない、繋がりきれていない、かもしれないが、それでも私は最も心を動かされた。 前作2作品は日本での医療を取り扱ったものであり、それはそれで新しい視点を提供されて面白かった。一方で、今回はウクライナ侵攻が起きる中、ウクライナ人を妻にもつハンガリーで働く日本人看護師・アサトを主人公に、誤診により切断された手、その後移植された手を、国境や領土を巡る紛争と同化のプロセスになぞらえると、場所もテーマも大きく転換したというか、拡大した、著者にとっても意欲作なのだと思う。勝手にその意気やよし!と思ったし、こうして実際にウクライナ侵攻が起きている現在に、こういう形でその現実に向き合うこともありうるということをよく示してくれた一作だと思う。 本は一人のウクライナ兵の自決の場面から始まる。なぜこの人は日本のことをここまで詳しく知るんだろうと言ったささやかな疑問や、「隣に座る夫の、透明になった左手を撫でた」という文章などは、その後に続くアサト視点、そして途中から医師ゾルタンの視点の物語を読んでいるうちに忘れていた。全て読み終わった後に、もう一度読み直して、震えた。ああこれはやっぱり紛れもなくハンナだったんだ、と。途中で腹が空洞になった死体を「ハンナ」だという義父とのシーンが入るが、その時点では、アサトに記憶障害が起きていることは、アサトが信頼できない語り手であることはわかっていないので、義父が認知症の症状から言っているだけという言葉を鵜呑みにしていた。 時間軸も、記憶も、うまい具合に胡乱に書かれているので、まさに術後のアサトの混乱状態で読めるのは、うまいなと思った。 それからハンナが大阪弁で喋ったり、リハビリを担当する理学療法士の台湾系フィンランド人の雨桐は"はんなり"と京都弁で(と認識したんですが笑)書かれているのは面白かった。私は他言語を喋るときにスイッチが入って、その言語の自分になり、性格や喋り方も少し変わり、アクセントを日本語に喩えて考えたことがなかった。こういうふうに聞こえる人もいるかもしれない、それは面白いなと純粋に思いました。 身体の境界線を国家の境界線に例えて、手の移植を取り扱ったことについては、アイディアとしては面白いと思った。けどちょっと消化不良、という感じ。 「今、ふと思いついたんだがね。日本が手の移植を行わないのは、日本に国境がないからなんじゃあないかな」 「国境?」 「そうさ。日本は他のどこの国とも繋がってはないだろう?」 … 「妻にも言われたことがあるよ。国境がないというのはどんな感覚なんだと、付き合った当初にかなりしつこく訊かれたっけ」(p.126) 「あのね。免疫とは他者に対する寛容性のことなのだよ。持論になるがね、免疫の寛容性は常に自我の容認性と密接に関連している。人種による自我の違い、特にヤパァナの自我の在り方は我々とは全く違うんだ。移植後の腫れぐあいから、リハビリの進みぐあいから、全く違う。君も彼の経過を見れば、自我と免疫が強く関係しているとわかってもら、」…今までの医療が、肥大化した自我を守るために病気になった身体の部分部分を切り落としてきたのだとすれば、移植は他者の一部を受け入れて自分の自我を削ぎ落とすものであるかもしれなかった。(p.152, 154)
1投稿日: 2024.12.09
powered by ブクログハンガリーの外科医によって、左手を失った日本人患者に他人の手を移植手術する場面を軸に展開される話。 他人の手の移植にあたり、日本人は終始微笑して受け入れているように見えるが、徐々に本人にも耐え難い術後拒否反応が繰り返されることになる。 その反応を比喩として、ハンガリーの外科医は、日本人は健やかに笑っていているように見えても、何も(外国人を)受け入れない国民性に結びつける。 さらに、移植した手と本人の腕の境目を国境に見立て、日本人は四方に他国との国境があるヨーロッパとは異なり、似た者だけで排他的に暮らしながらも、自分たちは心優しい人種と思い込んでいる無知で幼稚な国民との印象を受ける。(移植した手を体が受けつけないことから連想したものと思われる。) 読む人により、かなり賛否が分かれると思いますが、その考えには自分自身にも思い当たる節が所々にあり、痛いところをつかれるような思いでした。
4投稿日: 2024.12.08
powered by ブクログこの本はかなり描写が大人だった。難しくてあんまり覚えてない。 自分の体が自分のものでは無いような感覚になるのは当たり前だし、医療技術が発展すれば近い将来でも有り得るようになるのかなと思う。
1投稿日: 2024.11.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
正直言って内容の3分の1ほどしか理解できていないと思う。 そもそも他人の手をそんな簡単に移植できるのもなのだろうか。 それも赤の他人で国すら違う人間のものを。 途中拒絶反応的なものが起きる場面があったが、 あくまでも精神的なものの影響というか、 自分の中での葛藤がありそこに打ち勝つことと 現実を直視することができるようになったことで収まったのか、 妻の死も自分の腕についても受け入れて生きていく。 …という解釈でいいのだろうか。 「日本人は寛容なようで実はとても閉鎖的」というのは 自分自身納得してしまい思わずフッと声がでてしまった。 ここだけは深く同意。 腕を移植されたことと国境のことや内戦のことがごっちゃになっていて これが理解できないというのはやはり私が島国育ち、 しかも平和な日本人だということが関係しているんだろうなと思った。
1投稿日: 2024.11.16
powered by ブクログ外国人の登場人物の訛りを関西弁など日本の訛りの表現に置き換えているのが面白かった。 現在の話と過去の話がバラバラに出てくるのに意味があったのを終盤で知る。すごい構成。 国境や領土について、日本で生まれ育った自分には思い至れなかった感覚が書いてありハッとさせられた。ウクライナのこともっとよく知りたいと思った。 以前に「植物少女」を読んだ時も感じていたが、この方の感情の描き方がすごく好きだ。登場人物が抱える複雑な感情が読者にストレートに伝わる感じ。文章がうまい……。
1投稿日: 2024.11.13
powered by ブクログ左手の移植をメタファーに、国の併合への苦しみを描いている。国境線のない日本人と常に領土争いに巻き込まれてきた東ヨーロッパの人々の意識の違いを肉体感覚の深い部分で抉ってくる。 最初の意識が朦朧した状態から、徐々に現状が明らかになるストーリー運びもうまい。妻への電話も埋められない喪失感として左手への幻肢痛とともに描かれてて、なんとも言えないもの悲しさを感じた。 読後感は良くないが、戦争や自国が奪われることの理不尽な不気味さを肌で感じることができるすごい作品だと思う。
1投稿日: 2024.11.11
powered by ブクログロシアのクリミア併合、並行してハンガリーによるウクライナ西部の制圧、実際起こり起こり得ることを、日頃からの西ヨーロッパ目線と対比して考えるチャンスとなった。
0投稿日: 2024.11.06
powered by ブクログ«左手の移植»に詰まった著者の平和への願い。島国に住む日本人の国民性や、この世界の現状を«左手»を中心に巡り描いた祈願と受け止めた。受け止めるだけで次への有益な行動に移れぬのがもどかしい。純文学はメッセージ性が強いから弱った現在の身にはキツイけれど、今作は150ページを越えた辺りからのめり込んでしまった。ちょっとしたホラー要素はあるものの移植した左手と会話するファンタジーではない。そこは現実的。とても惹き付ける因子を持った作風。気になるなぁ。
0投稿日: 2024.11.04
powered by ブクログ紹介動画を見ておもしろそう!と思って読み始めたのですが、思ってたのと全然違いました… 恐らく私は戦争とか国際問題が苦手なようで、最後まで読むのは大変でした。
0投稿日: 2024.10.29
powered by ブクログレビューが面白そうで読みましたが、思っていた作品と違い私には少し合わず難しかったです。 個人的にはかなり読みづらく読了にかなり苦戦しました。話も理解したようなしてないような… もう少し大人になってからリベンジしたいです。 他の方のレビューを拝見すると少しだけですが、この本が伝えたかった事が理解できた気がします
0投稿日: 2024.10.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
読んでいる最中から、やばいやばいやばい、と焦燥感が湧きあがった。 「わたしは今、とんでもない本を読んでいる!」 この小説は、喪失と受容の物語だ。 主人公アサト(日本人)は、左手を失い、脳死した人の左手を移植される。 「喪失」も「受容」も、比喩や仮託ではなく、そのものずばり、アサトの失われた左手を示す。それを諦める過程、新しい左手を得たものの、それは激しい拒絶反応を起こす。 そしてこの「左手」は、ウクライナ・ハンガリー・ロシアの「国境線」ときっちり重ね合わせて描かれている。 アサトが最初に失った左手は、80年代・ウクライナが強硬に併呑したハンガリー領土だったクリミアだ。ひじょうに理不尽に、突然に失われた経緯も重ね合わせてある。 アサトは左手が「ない状態」に苦しむ。幻肢痛(ファントムペイン)を起こし、主治医であるゾルタンから心配され、呆れられるほど、「喪失」を受け入れられない。 アサトが長い時間をかけて「受容」した左手のない生活に、新しい左手の移植が決まる。 これは、2014年、クリミア地方をロシアが武力で奪還したことと重ね合わせてある。クリミア人女性・ハンナと結婚したアサトは、妻と一緒に身一つで、まだウクライナ地方である首都キーウへと脱出する。 揺れ動く国境線。今までウクライナのものだった一部がロシアにもぎ取られ、二度と帰れない。が、アサトやハンナの隣人で、元ハンガリー人だった人々は、そのままクリミアに残り、歓喜してロシアを迎える。 この本の感想を、いろいろなアプリで見たとき、「分かりにくかった」「理解できなかった」というものが多かった。 日本人にとっては馴染みのない東欧諸国の歴史がからんでいるせいもあるだろうが、なによりも、物語の時系列が、わざと分かりにくく書かれているからだと思う。 物語そのものは、「現在」=「アサトが新しい左手を得たとき」から始まり、左手を失った経緯とともに、東欧の歴史をさかのぼっていく。 甚大なショックを受けたアサトは、そもそも記憶障害を起こしていて、自分のことさえよく分からない。最初のうちは、左手を移植されたことも理解していない。何人かの人物の名前をつぶやくだけ。 物語の大半は、このアサト目線で進むので、読者は意味不明なまま進むしかない。 しかもアサトには記憶の混乱と妄想があるので、描写が正しいかどうかも判断できない。後半になって、読者だけには、だんだん正解と妄想の見分けがついてくるようになっている。 この物語は「喪失」と「受容」と書いたが、それは背骨に当たるテーマであって、どう読んでもいいと思う。 反戦小説と読むことも正しいだろうし、純粋に医療ものとして読むこともできる。 とにかく医療シーンと戦闘シーンが詳細かつ精確なので、そういう小説が好きな人にも刺さるだろう。 題名が『あなたの燃える左手で』なんだから、アサトとハンナの夫婦の愛の物語としても読める。強烈なインパクトのプロローグは、後半70%くらいまで進まないとまったく意味が分からないが、分かったとき、この2人の夫婦の姿が鮮明に浮き上がってくる。わたしはこの本を読んでいる間、「愛の賛歌」がずっと脳内をリフレインしていて、かなり困った。日本語訳では省略されているけれど、「愛の賛歌」のフランス語の歌詞には「世界がひっくり返っても愛している」という文がある。まさに、国を失い逃げ惑った2人の歌なのだ。 そしてこれは、ひじょうに「中立なナショナリズム小説」でもある。 これほど民族や人種・戦争についてグローバルな目線で、「日本人とはどんな民族か」を問うている小説はあまりない。 主治医ゾルタンは、アサトが失った左手のことを受け入れらないことについて、「日本人(ヤァパン)だから」と見做す。 国境線を見たことがなく、海に囲まれて、自分の生まれた国を失う恐怖を味わったことがない民族だから、と。 また、ハンナは、一度日本に来たとき、「日本って大きいんだね!」と喜ぶ。 ユーロスター(特急)に乗って4時間も経てば、5つの国を超えるのに、世界で最高峰の新幹線に4時間乗ってもまだハカタ、日本なんだ、日本って広い! と。 実際、ほとんどのヨーロッパ諸国よりも、日本の領土のほうが広い。 ゾルタンは、「日本人は自国を小さいと謙遜するフリをして、小さい国だから何の責任も負いたくないと逃げているだけだ。卑屈なふりをして逃げる小心者だ」と非難する。 そう考えるゾルタン自身はドイツ人で、かなり偏狭なナショナリストで、公平な語り手とはいえないのだけれど、ヨーロッパの知識層は、こういう各種民族で形成されているのが普通だ。 著者は、ヨーロッパ社会に留学か、生活していた経験があるのだろうと思った。 つまり、この小説には、読者が引っかかる「フック」が大量にあるのだ。 個々人が好きなように読めばいいし、何かを学んだり得たりするための本でもない。たぶん、著者はそんなことは求めていない、と思う。 とにかく読んでいる間、重くてしんどかったが、それでも読後感はよかった。 誰もが諦めるほど、アサトの新しい左手の拒絶反応は激しく、アサト本人の命まで危ぶまれたため、再度左手を切り離す直前までいく。 が、誰にも理解できないまま、激しい熱は治まり、アサトの左手は突然定着した。 一から十まで自分の予想を超えたアサトを見て、ゾルタンは何かが切り替わる。 アサト本人も、いろいろなものを失いながらも、元の生活に穏やかに戻っていく。 それは、「異物を受容する日本人の在り方」=「戦争・移民を受け入れることになる将来の日本人」への、著者の希望像ではないか、と思えたのだ。
0投稿日: 2024.09.25
powered by ブクログすごい作品だと思いました。 楽しいかと言われると、楽しくはないけどすごい。 硬質で、ドライで、知的。遠藤周作とか、大江健三郎と似たものを感じました。それってものすごい。雰囲気に圧倒されて、ストーリーがどうこう言いたくならない。 これと『受け手のいない祈り』を読んだら結構違っていた。『受け手のいない祈り』は本作に比べると感情的に思える。作品によって色々変えているのかもしれない(共通しているのはやっぱり医療関係というのと、グロいというかナンセンスというか、ちょっと胸が悪くなるような気持ち悪いシーンが入れてくるということ…)。 デビュー作と芥川賞受賞作も気になる。
0投稿日: 2024.09.12
powered by ブクログなかなか読むのが苦痛な感じのタイプの本でした。すごい力があるなという雰囲気だけは感じつつ。後に芥川賞作家になるけれど、この作品もそこに通じる雰囲気を持っているなと思った。 手の移植か…あまり自分ごととして考えたことがないテーマなだけに考えにふけりたくなるテーマではある。
2投稿日: 2024.08.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
診断ミスで左手を切断された日本人医師の話。 場所がドイツとかでウクライナとロシアの戦争の話とかもあって奥さんはそれに関わって死んでしまって。 手がなくなるってどんな感覚なんだろう怖いな。ピアノ弾けなくなるしペンも持てなくなっちゃう怖いなと思った。 島国って恵まれているのかなぁと初めて思った。
0投稿日: 2024.08.12
powered by ブクログ生々しい。ラスト数ページのところで鳥肌がたって、読了後も数分間、鳥肌がたって、ひいて、を繰り返していた。 島国に生まれ、島国で育ち、島国から出る気のないわたし。 居心地の良いこの国でこの本を日本語で読んで、アキトのことを、ハンナのことを、キーウのことを、ウクライナのことを、考えるということ。 ヤパァナとして、考えるということ。
1投稿日: 2024.08.04
powered by ブクログ時代が行ったり来たりし、一度読んだだけでは、私には理解が追いつかなかった。もし左手に他の人の手が移植されていたら、どんな気分なのだろうか。
4投稿日: 2024.07.21
powered by ブクログ良かった! 誤診で左腕を切断され 白人の腕を移植された日本人男性 この医療的描写はさすが医師である作者だからこそ 凄くリアルでした 時系列が前後したり 視点が代わったりで最初は??でしたが 計算された構成でした 腕への違和感は ロシアのクリミア半島の併合とリンクしていて 読み手の私はこの感覚を引きずってしまいまい ウクライナの状況と重ねて感じてしまいました テレビで映されるウクライナの情報では どうしてもリアルに感じないのですが この物語の感覚を通して ウクライナの人達の感覚を味わえるのかもしれません もちろんこの小説はフィクションです ウクライナの人からしたら そんなもんじゃあない!!だと思います でも 小説の力を 私自身は感じました あと 外からみた 日本 日本人も この小説では強く描いています 芥川賞受賞作品を図書館で予約したついでに この作品を手にしましたが 他の作品もぜひ読みたい作家さんです!
0投稿日: 2024.07.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
左手を切断してまたくっつけた人の話。 他人の手をくっつけるなんて超空想の話のようだが、その描写がめちゃくちゃリアル。 くっついた手(=他人の手)の厚みとか、色とか、指毛まで細かく描かれていて、だからこそその違和感や気持ち悪さが際立っていたような気がする。 個人的にはその気持ち悪さがこの小説のけっこう重要な要素だと思っており、しっかり表現できていて味わい深い小説だなと思った。 他人の手をくっつけて自分のものとして受け入れる(そのプロセスにおいて一定反発が発生するし、場合によっては受け入れられず終わる)という構造が、主人公のアサトだけでなく国と国の関係にまでメタ的に読み解くことができ、すごい視点だなぁと思った。 日本は島国で、日本の人々は他人(他国)を拒む性質を持ち合わせていないという解釈と、日本人である主人公の身体が他人の手を受容する事実を重ねて考えるとか、普通に生きてたら考えつかないよねぇ。 あと、個人的には手をくっつけてくれた医者のゾルタンがこの小説における重要要素だと思った。ナショナリストで医者としてのプライドも高い彼がいることで、人の身体を国と見立てて考える支店が生まれてるし、彼が患者を対等な人間としてみていない様子が、アサトの虚しさや哀れさを強調していると感じた。 一点わからなかったのは、最終的にゾルタンは医者を辞めるのだが、その理由はなんだったのだろうか。アサトの次にやる予定だった接合手術してないからアサトきっかけだと思うが、なんでなんだろう。 いろいろ書いたけど、すごくリアルで面白い本だった。朝比奈さんの他の本も読んでみよう。
0投稿日: 2024.06.09
powered by ブクログ面白かった。確かに手とか足とかの移植ってきかないなあと思ったり。だから最初未来の話かなあと思ったり。モデルとかいたのかなあとか思ったり。
2投稿日: 2024.06.05
powered by ブクログ読み終わった後、著者紹介で現役の医師と書かれているのを見てなるほどと思いました。 手の移植から自我や国民性に話が広がる展開が新鮮でしたが、途中で時系列や語り手が入れ替わるので、理解が難しかったです。
0投稿日: 2024.05.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
もちろん、表現とか、国境・国に関する話とかは素晴らしいと思いますし、なぜか自分も左手がなくなったように感じてしまうほどですが 主人公があまりにも救われなさすぎて読み終わってしんどい本でした。 でも、主人公の手が暗喩するものが国なのであれば、ウクライナ戦争は誤診ってこと…?
0投稿日: 2024.05.16
powered by ブクログ肢痛や拒絶反応などの左手をめぐる術後の肉体的・精神的描写に圧倒されながら、転がるように何とか最後まで読み切る。勉強不足な日本人である故に到底理解が及んでいない場面もありますが、この小説内で何か凄まじいことが行われているのは解る。まさに必読。
0投稿日: 2024.04.21
powered by ブクログ手の移植から、こんなに色々なことを考えさせられるとは! 他人の手を、自分の腕に、移植する。 他人と自分。 その違いを知り 受け入れることについて、考えさせられた。 描写についてはちょっとややこしくて…どこまでがアサトの現実で、どごまでが妄想?!みたいな部分もあったので、集中して読まないと置いていかれそうになる(笑) 島国育ちだからこそ、国境についてそこまで日常の中で深く考えない。その部分を突いてくる本でした。
53投稿日: 2024.04.20
powered by ブクログ某本紹介インフルエンサーの方の紹介で気になって手に取った本です。 自分の勉強不足で、途中まで読むのが少しキツかったのですが、読み切れたことで、自分の狭い世界が一回り広がったような感覚を覚えています。 キツかった理由、それは自分が日本で生まれ育った生粋の日本人であるからに違いありません。 隣接する国を奪うこと、奪われること、奪われる痛み、取り返したいという渇望、不可逆な現実への絶望。領土を奪い合う複雑な歴史を紡いできたヨーロッパ諸国のような土地で生きる人々の意識に当然のようにあるナショナリズムの強靭さ。これらの感覚を心の底から理解できる日本人がどれほどいるでしょうか?恥ずかしながら、自分自身、北方領土問題や竹島問題などのニュースも全く危機感なく眺める程度のものです。でも、同じような人は多いのではないかなと思います。 この本ときちんと向き合うために、中ほどまで読み進めた段階で一度読書から離れ、ウクライナ、ハンガリー、ロシア、クリミアの歴史をざっと学びました。これが大正解で、登場人物たちの抱える葛藤や、アサトの手が理不尽に奪われたことに込められた物語的なメッセージを深く理解することが出来たと思います。 序盤で読むのがしんどくなって来た方、軽く歴史の勉強をしてみるのをオススメします。
1投稿日: 2024.04.08
powered by ブクログ「国」に対する意識、その境界を侵されるということ。おそらく現代日本では想像しがたい事象を、そんなふうに喩え表現するのかという衝撃。出会えてよかった一冊。
0投稿日: 2024.04.06
powered by ブクログハンガリーの病院で内視鏡技師として働くアサトは、とんでもない誤診の結果、左手を手首から失ってしまう。何年もの間、幻肢痛に苦しめられた彼は、他人の左手を移植する手術を受けるが……。 現役医師である朝比奈さんならではの作品である。理不尽に体の一部を奪われ、さらに他人のパーツにすげ替えられた主人公の苦しみが全篇を覆う。 そして、ロシアによるウクライナ侵攻直前という時代設定、地続きであるハンガリーとの歴史や国民感情、冒頭に置かれた自爆する女性の謎などが重層的に絡む。
4投稿日: 2024.03.30
powered by ブクログクソほど読みにくい文 最初、読んで合わないと思ったら 離脱したほうがいい 人体と国家は同じだとでも言いたいのかね 興味が持てない体の描写も多く とても、つまらなかった
3投稿日: 2024.03.20
powered by ブクログとてもとてもわかりにくくてしんどかった作品でした。 難しいわけではなく、とにかくよくわからなかった。
2投稿日: 2024.03.14
powered by ブクログ圧倒されちゃった! 左手を移植したことによって、肉体的、精神的にも境界が曖昧になっていくような話。 手術後の他人の手との接合部をウクライナ国境に例えているところ、意識の視野が広げられていくようで面白かったです。 でも、ちょっと難しいね。
2投稿日: 2024.02.27
powered by ブクログ苦手なんだよなこの類の本… なんて読み始め15分くらいで思ってしまったので、せめてざっくりでも読み終えようなんて思ったら、読み進めるうちにいや面白いなと思って読んでました笑 国境と手の移植による境目の比喩っていうのかな?これがすごく面白かった。改めて日本という島国に生きる人間として考えたけど、確かにどの国よりも何も受け入れてこなかった国と言われればそうかもしれないし、一見謙虚なようで、つまり、ひどく傲慢なのだ。という表現は腑に落ちるとこがあるなと感じた。 読んだ後には国外での手の移植について調べて、面白いな〜と色々ネットの記事を読み漁りました笑
0投稿日: 2024.02.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
誤診によって左手を切断されたアサト。幻肢痛が一向に改善されないため、異国の男性の手を移植する。しかしその手はアサトになかなか順応しなかった。 本作のキーワードは「境界」である。 上記のあらすじを見るとその「境界」は日本人の体と移植されたハンガリー人の体を指すと思うだろうが、本質は国にある。 目が覚めたらいつも通りにあるものである身体、そして国。それがある日、突然奪われる。 島国である日本に住むわたしには少し想像しにくい事柄だった。だからこそ朝比奈さんは身体の境界を国の境界のように見立てた本作を執筆したのだと思う。 そうすれば少しだけでも、その恐ろしさや痛みが理解できるような気がするから。 アサトはウクライナ人の妻・ハンナを持つ。そして彼女はロシアとの戦争の中で亡くなった。現実とリンクしているのである。 ハンナは自分の住んでる場所を他国の奴に取られたと怒る。そして元々住んでた人も別国の人間になったと嘆く。誰彼が可哀想だとかなんだとか大義名分を掲げるが、ゾルタンが「怒れ怒れ。それが国境を押し返す力だ」と言うように結局怒りが行動の源であり、戦争の核心なのだろう。 終始、題名の意味を考えていた。 「体の全ての細胞が左手を拒絶して燃えていた」と本文にある。 題名の『あなたの燃える左手で』って誰目線なのか、そして燃える左手で何をするのだろうか。拒絶するのか。受け入れるのか。もしくは他の答えか。
2投稿日: 2024.01.23
powered by ブクログ無意味な切断による幻肢痛から始まって、臓器移植と違い肉眼で確認できる左手の移植。異物に対する違和感と不快感と拒絶感と、そこからの受容までの葛藤と苦悩の顛末がとても新鮮で生々しくてワクワクしながら読んだ。
2投稿日: 2024.01.17
powered by ブクログヨーロッパの映画にありそうな感じ。と思っていたらばどうやら著者は"頭に浮かんだ映像やイメージを書く"タイプらしい(クロワッサンオンラインのインタビューより)。女性人物の視点の短い冒頭に警戒してハラハラしていると、あっさり、手を移植され目覚めるアサトのお話が始まる。映画みたいなシーンの切り替え。 専門的なことが書かれているけれど(手オタク医師・ゾルタンが関わると特に)、読みにくさはなかった。 個人的には、アサトが「どこも島国であったなら」と思う、そのささやかな数行で涙してしまった。妻がいて、手がなくなって、仕事が変わって、手を移植して、リハビリをして、苦しんで、でも生きていること。ラストも私は好き。 仕事場の方におすすめされて、読んでみて良かった。 20240109
2投稿日: 2024.01.13
powered by ブクログ受け入れがたい喪失、受け入れがたい存在。それと自分が地続きであること。それに人は向き合えるのか。耐えられるのか。特に地続きの国境を持たない私たちは。そんなことがテーマなのかなと思うが、何せ読みにくい。主人公の妄想が混ざるので致し方ない部分はあるが、せめて単なる場面描写や時系列だけでもすんなり入ってくる書き方をしてほしい。
1投稿日: 2024.01.10
powered by ブクログ※ 誤診で手を失い、その後、移植によって 手を得る主人公の深い深い内省が続く物語。 移植によって体内で起こる反応と戦争という 名の国同士の奪い合いを喩えにして、 比較しているのは奇妙に感じられたけれど、 その癖妙にピッタリしているのが不思議だった。 何かを失うことや何かを受け入れることを とても大きな規模で捉えて描かれていて、 難解で斬新な感じでした。 終始、息苦しさと胸苦しさで胸が重くなりました。
7投稿日: 2024.01.05
powered by ブクログこんな小説は初めて読んだ。 誤診で切断された左手。つなぎ合わされた白人の手が、自分を侵食していく。自分の体はそれを受け入れ、また拒否する。 移植の話だったのに、それはいつしか文化や民族の受容の変容とは何かという話へと移っていく。 舞台はハンガリー。執刀医はハンガリアンのナショナリストのゾルタン医師。ゾルタンには日本人であるアサトが左手を受容できないのは、ヤワな島国独特のものに映る。 「宗教でも、文字でもなんでも受け入れるのが島国文化、などとほざいてはいても、陸続きの国境を持たない彼らにとって、他国の宗教や文化を受け入れることと、他国を受け入れることは常に別個なのだ。移民も頑なに受け入れていないところをみると、日本というのは実のところ、どの国より何も受け入れてこなかった国なのかもしれない。」 「大陸よりもはるかに矮小で、しかし、島国というには長大な、日本列島。小さな領土のふりをして、西ヨーロッパのほとんどの国よりも大きく人口も多い。ぼんやりとした領海に囲まれて国境を知らず、似た者だけで排他的に暮らしながらも、自分たちは心優しい人種と思い込んでいる無知で幼稚な国民…。」 しかしそのようにアサトを断罪するゾルタンもまた、偏狭なナショナリストなのだった。 アサトの手の受容への変化がゾルタンをも変えていく。 文化も歴史も習慣も民族も違う手を繋ぎ合わすという医師ならではの驚くべきモチーフで、分断された世界を表現する著者の発想と、完成度の高さに感嘆。 この人の他の著作も読みたいと思った。この人すごい。 この本も、賛否あるみたいだったが、豊崎由美のオススメだったので読んでみたが、やはり、豊崎の読書眼は流石。
20投稿日: 2024.01.01
powered by ブクログ久しぶりに読後引きずる本だー。 重く、考えさせられる、内容だった。 「手の移植」と聞いて、ただ手術的なコトしかとらえていなかったけど、自我であったり、国民性(島国とかの)であったり、支配したりされたり、その辺の綴りが興味深かった。 ハンガリー、ウクライナ、ドイツ、ロシア、今起こっているコトなのも、リアルな感じ。 読み初めはちょっと苦戦したけど、読むにつれ色々考えながらずっしり読めた。 最後の章がよかったー。
1投稿日: 2023.12.19
powered by ブクログ自分の体の一部の喪失と ウクライナ、クリミア、ロシア周辺で起こっていること どこまでがほんとでどこまでが幻想なのか読んでて混沌として不思議な世界に迷い込んだ感じだった。 島国と大陸の国民性の違い、そういう見方したことなかったので新鮮。 異国の友人がいればそういう会話をする機会があるのかなとか…妄想してる。
1投稿日: 2023.12.17
powered by ブクログ大陸ヨーロッパと島国日本の風土が造る人間の性質の違いについての記述が興味深い。 ウクライナ紛争も絡んでいて、全体的に重く暗い空気に、読んでいる間中囚われる。が、おもしろく、やめられない。 私自身、後遺症で右腕に麻痺が残ったこともあり、身体の苦痛の表現に共感できる。 最後がよくわからなかった。本当は、私が今、理解していることはカケラで、もっともっと深い意味が表現されている、と思う。もう一度読み直してみたい。
1投稿日: 2023.12.02
powered by ブクログ[こんな人におすすめ] *調べ物が好きな人、社会派小説が好きな人 この本を読んでいると多くのことが知りたくなります。日本、海外、歴史、医療、そして人間のことを知りたくてたまらなくなり、スマホで検索したり図書館で専門書を借りたくなります。社会派小説や新聞を読むことが好きな人でも新しく得られることはあるはずです。現在の国際情勢にも関連する話なので、興味のある人はできるだけ早い時期に読むことをお勧めします。 [こんな人は次の機会に] *現実逃避したい人 日々の生活に疲れ、読書中に現実のことを考えたくない時にこの本を読むとしんどくなるので気をつけてください。
1投稿日: 2023.11.18
powered by ブクログ現役医師が書いているので、情景が細か過ぎる程細かい ハンガリーに住んでいて、ウクライナ(クリミア半島)出身の妻がいる日本人男性が主役 現代のある日、医師の誤診で主人公の左手が切断される 看護師の妻がウクライナ東部での戦闘に巻き込まれ、亡くなる 主人公にポーランド人の左手が移植され、その左手の意思があり、馴染めない 担当医のドイツ人医師のドクトル視点が時々、混ざる すごく面白くはないのだけれど、最後まで読ませる
0投稿日: 2023.11.09
powered by ブクログ国境、民族、言語、歴史的背景、争う事なく穏やかに過ごせる世界でありたい。おもわず自分の左手手首を握りしめてしまいました。
0投稿日: 2023.10.18
powered by ブクログ移植された他人の手と自分の手の境界が国境のよう。クリミアの問題、ロシアとウクライナの闘い、地続きのヨーロッパ諸国と島国である日本に生まれたことによる意識の違いなど。少し難しかったけどウクライナとロシアの問題が身に迫って感じられた。 『植物少女』と同じ作者だと読み終わってから気がつき驚いた。かなり雰囲気が異なるけど医療に関する記述の確かさは医師ならでは。
7投稿日: 2023.10.17
powered by ブクログ2回読んで やっと 読んだ気になった。国境や民族とか文化の考え方、わかっているようで わかっていないんだなぁと認識した。この小説が全ての答えを示しているとは思わないけど、世界は広くて深いんだなぁと思った。ページをめくる手はかろうじて自分の手で安心した。
7投稿日: 2023.10.16
powered by ブクログ島国である日本と、繋がっている大陸の国々では国境の捉え方は確かに違うのだろうと思う。 移植された左手の繋ぎ目がまさに国境のように描かれていて、そこに日本人としてのアイデンティティが感じられた。 臓器移植でも拒絶反応はあるけど、「左手」という自分で見える部分の移植は、精神的な拒絶反応も出てしまうと思う。 ハンガリー、ウクライナ、ロシア…との政治的な問題も絡んで、なかなか重たいテーマ。 難しかった。
18投稿日: 2023.10.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
国境や領土問題をドナーとレシピエントの臓器に例えたのが秀逸 ハンガリー人医師の日本人観には妙に納得させられた 日本人が色んな文化を受け入れられるのは侵略される心配がなかったことの裏返しでもある、と。
2投稿日: 2023.10.02
powered by ブクログ左手を医療過誤で失い、他人の手を移植した男・アサト。自分の腕と移植された他人の手との境目を国境に喩え、腕と手の攻防を国境をめぐる国と国との紛争になぞらえて描かれる作品。 国土に国境を持たない日本で生まれたアサトと、国土の一部を奪われ、常に国境を意識せざるを得ないハンガリー人の医師の思考の違いが面白い。 「陸つづきの国境を持たない彼らにとって、他国の宗教や文化を受け入れることと、他国を受け入れることは常に別個なのだ。 日本というのは実のところ、どの国よりも何も受け入れてこなかった国なのかもしれない」 このくだりには納得。 あまりにも文学的すぎてウクライナ周辺で起きている悲惨な現状にもあまり目がいかず、深く心を動かされることもなかったのが残念。
2投稿日: 2023.09.05
powered by ブクログ左手を誤診で切断、他人の手を移植だなんて考えられない。最初の切断の時点で衝撃が大き過ぎるのだが。 切断が決まったときの周りの反応があまりにもあっさりとしていて驚いた。所詮、他人のことだからなのか。 国の侵攻と人の手を移植すること。少しだけ似ている。 主人公の左手のドナーがまだ生きていることが、侵攻されて相手国に従属する形になっても、国民は生きていくのだと叫ばれているような気持ちになった。
6投稿日: 2023.09.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ハンガリーの病院で手の移植を受けた日本人のおはなし 奥様はウクライナ人 舞台はまさしく今現在で、ウクライナの状況ヨーロッパの状況が一個人の身体と重ねて論じられている 一度切り落とされた手はもう戻らない 移植され繋がれる手は、同じ手であっても元の手とは別の誰かの者 それを、どう受け止めるかということを問われている話なのかなと 思ったけれどどうなんだろう。主人公の悩みや困惑が夢現のようで少し複雑な印象。 土地を奪い奪われの陸続きの大陸のひとと島国日本の人間には考え方や受け止め方に違いがある、というのはわからなくもないと読みながら思ってしまったけれど、それでも失っている島はいくつかあるのだよな。そこに痛みがない訳はないし、でも我が事と捉えられているかといえば微妙なところで、勉強して知らなければなぁと、作品とは直接関係のないところかもしれないれどそう思った。
1投稿日: 2023.08.10
powered by ブクログ誤診により切断された左手。そして移植され見た目は左手も回復したように見える。自分の左腕と、他人の掌、指。その境界と国の境界の話へと広がっていく構成が自然で上手い。確かに繋がった手に振り回されるような、感情が追いつかない日々と、ロシアとウクライナの問題がリンクしていくように語られる。そこを隔てているものは何か。国や国境とはなにかまで問いかけてくる。前作の『植物少女』同様に今作もすごい。
1投稿日: 2023.07.19
powered by ブクログラジオ「高橋源一郎の飛ぶ教室」で出演されていて、プロフィールや小説を書くきっかけ、スタイルに興味を持って。 本の帯にある3人の識者によるコメントがしっくりくるのだろうが、なかなかに難しい本であった。 遡って、著者作品を染み始めよう。 読み解くことで、少しずつもやもやしている部分が理解できるかもしれない。
6投稿日: 2023.07.17
powered by ブクログ久々の休みの日に読みたかったものから選んだ本です。 今読むべきではではないと、読み始めに感じた 読後、痛み、苦しさ、衝撃ばかりで後悔しました。 多少時系列に救われたかな、 つらい現実を乗り越えなきゃいけない事が起こるのが怖い。重い休日でした。
1投稿日: 2023.07.14
powered by ブクログ植物少女がとても良かったので、朝比奈さんのこの本も読んでみたかった。 他人の手を移植することは、どんな感じなのか? とてもよく書いてあって怖いくらいだった。 日本では手の移植が行われたことはない。 幻肢痛に立ち向かう様子が細かくて、痛みが伝わってくるようだった。 左手でトンカチを持って釘を打つリハビリは、 利き手ではないし、普通の人でもやりにくいと思う。 むすんでひらいて 日本の手遊び。これもリハビリ。 激しい拒絶反応で真っ赤に腫れる左手。 この本は、初めから最後まで、なんというか左手がじんじんする感じがすごい。 現役医師だからこそ知り得る情報があちこちにあり、描写が生々しい。 すごかった。
15投稿日: 2023.07.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
この作品は私には何がいいたいのかよくわかりませんでした。 ストーリーも実はちんぷんかんぷんでした。 自分の読書の記録としてわかったことのみを書きます。 ハンガリーの内視鏡センターで働く看護師で日本人のアサトは左手を切断する必要のなかった手術で癌と間違えて切断されてしまいます。 ハンガリー人のドクトル、ゾルダンは誤診をしましたが、アサトに別人の手を移植します。 アサトには元ジャーナリストで、看護師のハンナというウクライナ人の妻がいます。 ハンナは関西弁のような言葉で話します。 P105ページのハンナの言葉にはっとしました。 「日本は大きな国やわ。ハカタには新幹線で四時間以上かかったし。ヨーロッパなんてユーロスターに四時間乗ったら三か国は跨ぐで。ロンドンから、リール、ブリュッセル、アムステルダム。ああ。四つか。列車がな、国境を超えるたび、空気がふわっとかわるねんで。外気じゃなくて、ユーロスターの中の空気がやで」 「いいなあ、島国。大きな列島、どこまで行っても自分の領土」 「自分だけの山、自分だけの河。陸から他の国は見えるん?」 そして、ハンナは身に危険が降りかかった時、自爆テロで亡くなります。 アサトはハンナの手が自分の左手に移植されたと思い込みます。 ハンガリーでは温泉は混浴で水着を着て入るというのは初めて知りました。 ドクトルたちは、日本が手の移植手術を行わないのは日本に国境がないからではないかと言い出します。 一体何の話なのかやっぱりわかったようで全然わかりませんでした。
94投稿日: 2023.07.09
powered by ブクログ麻酔から覚めると、見知らぬ他人の手が移植されていた。 ハンガリーの病院で、内視鏡センターで技師をしている日本人のアサトは、ある時、自分の左腕に 腫瘍が見つかりすぐに切断しなければならなかった。そして左腕は切断されたのだが、まさかの 医療ミスで本当は切断しなくても大丈夫な症状だったのだ。なんとも言えない気持ちに陥ったアサトだったが、そこに現れたのが、新しい主治医の ゾルダンだった。ウクライナにいる最愛のハンナを思いながら、現在起きているウクライナとロシアの問題をリアルに届けていると思います。 少し歴史を知った方が楽しめると思います。
32投稿日: 2023.07.05
powered by ブクログききみみ、ききひだりてにて、なやむひといるよ!なにか、けさくちゃいとか、けさらんだだんだだんくちゃししゆうる、なにわたのどんでぶうなど、てぐせさきくさらんだらんらむうあとか、なに、かぬくさまにあっくさとか、げえむはらみはらんでたんじゆんには、すうしのはんだんがだめでどうしたのかな、つとむじようたいはんざいに、なっちやう、なちまちるどはんにんはんていぬるからねえ
2投稿日: 2023.06.30
