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ウクライナ現代史
ウクライナ現代史
アレクサンドラ・グージョン、鳥取絹子/河出書房新社
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総合評価

3件)
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    本書はフランスの本の翻訳である。彼の国では、日本の新書に相当するような、専門的な研究等も踏まえながら、一般読者向けに色々な事柄を説くような本が多く出ている。実際、フランスのその種のシリーズを翻訳したシリーズも見受けられる程なのだ。 本書はウクライナやベラルーシを専門とする政治学者が2021年11月に送り出した本を基礎としている。2022年2月以降の事態を踏まえた序章を含め、若干の加筆が在るという。 本書には「独立後30年とロシア侵攻」という副題も添えられている。正しくその「独立後30年とロシア侵攻」という事象を巡って、考える材料を提供するという形になっている一冊であると思う。 中世から現代までの通史的な事項を概観する中で論点になるような事柄が上る第1章の後、領土空間を巡る事柄、政変が繰り返されたというような事項を巡る事柄、近隣国等との関係を巡る事柄と、幾つかのテーマで様々な話題が取上げられている。 恐らく、2021年に「独立30年」というようなことになって、他方で2014年頃からの摩擦が続いているように見受けられたウクライナに関して、少しでも知りながら考えるという趣旨で本書が著されたのであろうとは思う。2022年2月以降の事態も加わると、「あの事態は如何いう処から惹起?」という材料にもなり得る訳だ。 率直に、2022年2月以降の事態で「ウクライナが大変だ」と伝わっているが、伝えられる報に触れる日本国内の人達は「実は必ずしもよく判っているのでもない?」という面が大きいような気もする。「正直、何故あんなに酷い戦いが起こらなければならないのか解らない…」という声も耳にしないでもない。 そういう様子であるからこそ、大変に複雑な経過で現代に至ったウクライナの社会、文化の経過を説こうという本を読むような営為は必要だと思う。 本書や他の様々なモノに触れた中で思う。「〇〇系」とか「親〇〇派」とか、実はそういうのは余り関係無く、「色々なモノが折り重なって、組み合わさって、一定の範囲を主権を有する“独立国”と見做し、自覚するウクライナ」が在って、その中に各々「〇〇語話者」である「国民」が居て、「各々の人生を平穏に暮らしたい」という以上でも以下でもないという人達が「真のサイレントマジョリティ」なのではないかというようなことを考えないでもない。 本書の通史的事項の概観、領土空間を巡る事柄、政変が繰り返されたというような事項を巡る事柄、近隣国等との関係を巡る事柄というような各々の切り口での論は実に有益だった。「切り口」自体が興味深い。 本書は「少しでもウクライナに関心が在る」という方、「色々伝わっているが何かよく判らない」という方、「もっとウクライナを知り、学びたい」という方等、何方にでも興味深く読んで頂ける一冊だと思った。広く御薦めしたい。

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    投稿日: 2022.09.18
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    第二次大戦後を中心に、ウクライナの政治的な歩みとロシアとの関係がよくわかる。事態をウクライナからの視点で見ることができるようになる貴重な本。本書は「現代史」なので、それ以前の歴史については他書で学んだほうが良い。

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    投稿日: 2023.06.22
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    今ニュースを見ていて避けては通れないウクライナという国について気になって読む。独立はなんと1991年、まだ30年ちょっとしか経っていない。それまではロシアだったりポーランドの一部だったり、駆け引きと戦争に揉まれる苦難の歴史でそれが今も続いていることを知ることができる。 それにつけても島国日本の歴史はわかりやすいこと。それは運がよかったとも言えるような気がする。

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    投稿日: 2022.11.01