
総合評価
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powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
物理学の知識がない人にも分かりやすく、量子コンピュータの理論、課題、取り巻く世界の実情が説明されていた。 理論面は、高校で物理も化学も選択しておらず、数3も履修していない文系出身者には少し難しかった。 量子コンピュータと言うと、「シュレディンガーの猫」のイメージで実現不可能な夢の話のように思っていたが、自分が想像していたよりも現実的な技術であると分かって驚いた。 理論についての説明を読み進めるとともに数学的・論理的に正しいのは理解できるが、感覚としては理解できないという感想をもった。筆者も「自然科学と言うより『宗教の教義』に近い」と書いているが、なんとなくわかる気がする。 テッド・チャン『ゼロで割る』を少し思い出した。 また課題についても意外なことが多かった。 量子重ね合わせなどの量子の扱いが難しいというのは想像できるが、誤り訂正が実現できていないことや量子アルゴリズムという既存のアルゴリズムとは違うものを実装しなければならないというのは驚いた。 今はAIによる社会的な問題や不安が大きく取り上げられているが、技術的なブレイクスルーを迎えたときに暗号解読が可能になるかもしれないという点では私たちの生活に与えるインパクトはAI以上であるように思う。
2投稿日: 2024.12.04
powered by ブクログ量子コンピュータの現在の概況がわかる。基礎研究の域を出ていないが、少しずつできることが増えている感じ。2022年6月発行の本なので、実際はもう少し進んでいるのだろう。これからが楽しみな技術だ。
0投稿日: 2024.08.27
powered by ブクログ量子コンピュータは汎用性のあるものではなく、組み合わせ問題など大量の計算を必要とする課題を解決することに特化している。新薬の開発に活かせるのは、人類全体にとって良い点だ。ただ、リスクを恐れず純粋に興味を持ち続けるマニアが求められる狭い分野なので、人材が集まり開発が加速するかは疑問だ。
0投稿日: 2024.02.15
powered by ブクログ量子コンピュータの歴史から、理論的な仕組み、既存のコンピュータとの違い、ビジネスへの活用まで網羅的に書かれているにも関わらず、かなり詳しく書かれていて、とても良かった。 物理学やコンピュータ科学の知識を持つ人なら、この本を取っ掛かりにできるような本になると思う。 「何らかの計算過程を経ると熱が生じるが、量子コンピュータは可逆計算なので円ルギー効率がすごく良い」 「量子コンピュータでも誤り訂正符号の開発が必須」 などの指摘はすごく本質的。 熱力学、量子力学やコンピュータ科学がわかる人ならこの言葉の意味がわかるはず。 文庫本なのに、シュレディンカー方程式、量子ビット、量子ゲートの数式、行列計算も出てくる。 量子力学やコンピュータ科学がわかる人なら、この数式の意味もわかるはず。
0投稿日: 2023.08.29
powered by ブクログ量子コンピュータの原理が知りたかったが、中途半端な理解に終わった。量子コンピュータの応用例は、イメージできた。 以下備忘録。 量子状態を実現して、量子計算用の量子ゲート(論理回路)を通すと計算できるらしい。量子ゲートは行列で表すことができ、NOT(入力ベクトルを反転),アダマール(一回作用させると量子重ね合わせを表現でき、2回作用させると初期に戻る)、CNOT(量子もつれを表現できる)などが代表的なものである。超電導量子ビットの場合は、マイクロ波で量子ビットを操作することで量子ゲートによるオペレーションを行う。イオントラップ方式ではレンズやミラー、偏光板で光子の状態を変化させることが量子ゲートに該当する。 何となくわかったようで、わからない。量子ビットにアダマール行列を作用させる意味あたりを詳しく説明している参考書を探すしかないか・・・・
0投稿日: 2023.06.22
powered by ブクログ量子コンピュータの開発に取り組む主要国や世界的大企業とベンチャー企業の動向などを幅広く解説。量子コンピュータの研究動向はここ数年で目まぐるしく変わったが、その中でも有名な論文発表などにも触れられ、歴史の動きを振り返ることができる。量子人材の育成が急務と言われているが、それで本当に一生食っていけるのか。。実用までは遠そうだけど、投資し続けなければならない難しい分野だなと思う。
1投稿日: 2023.05.24
powered by ブクログ量子コンピュータについての知識が全くなく、しかも文系という立場で本書を手に取りましたが、題名通りゼロから量子コンピュータについて理解できる良書でした。現在主流のコンピュータが用いているデジタルデータが、0か1のいずれかの値を取り、その二進法の組み合わせとAND、ORなどの論理ゲートによって計算を行っているのに対して、量子コンピュータが扱う量子は「0でもあり1でもある」という特徴を持つことから(量子重ね合わせ)、指数関数的に複雑な計算も短時間でこなすことができる、なぜなら・・・ということで丁寧に説明が書かれていました。説明は理論的な側面と(これも文系の人間にも理解できるレベルに抑えてもらっている)、機械的な側面(どういうメカニズムで実現しようとしているのか)の両方がわかりやすく書かれていたと思います。 量子重ね合わせ方式についても、超電導量子ビット方式、イオントラップ量子ビット方式、光量子ビット方式など、いくつかの方式が実際に開発されていて、それぞれ一長一短あることなど、だいぶわかりやすく解説されていた印象でした。 著者が最後の章で述べているように、量子コンピュータについては、メディアも研究当事者も、かなり成果を「盛って」発表しているであろうこと、つまりまだまだ実用化には程遠いのが実情だとは思うのですが、いずれにしても量子コンピュータはポストデジタル時代の象徴になる存在であると本書から感じました。 私は本書を読んで、量子という存在と人間という存在の共通点のようなものに思いを馳せました(科学的に似ているかということではなく、あくまで思索的なものです)。量子は0でもあるし1でもある、それによっていかなる存在にもなりえるのですが(複素数平面上のどこにでも位置できる)、それが様々な干渉などを通じて、徐々に値が定まっていくわけです。これは量子の選択肢が、生まれたての時には最大だったものが、徐々に狭まってくる、という風に見ることもできるわけで、人間との共通点のようなものを感じました。人間の赤ちゃんの可能性は最大ですが(何にでもなれる)、どんな自分になれるかについては徐々に選択肢が狭まっていき、死によってそれが確定するわけです。量子の世界には、量子重ね合わせ(0でもあり1でもある)の状態が維持されている時間を「コヒーレンス時間」と呼ぶようですが、これはまさに人間にとっての人生期間であり、人間にとっての死は、量子コンピュータにとっての計算修了(数値確定)に該当する、というわけです。 量子コンピュータという概念自体が、なにか世界の真理を垣間見させてくれるのかもしれない、ということで、以前読んだ佐治晴夫氏の「宇宙のカケラ 物理学者般若心経を語る」の記憶もよみがえり、仏教哲学書も読んでみたくなってきました。本書、知的好奇心を刺激してくれる本でした。
2投稿日: 2023.05.08
powered by ブクログ2021年の自民党の政策パンフレットに「国産量子コンピュータの開発に取り組む」と書いてあったが、現在はどうなっているのだろう。2023年のパンフレットには「最先端技術への投資を拡大する」とある。是非とも技術をものにしてほしい。 本書は、量子コンピュータとは何か、量子コンピュータの仕組み、量子コンピュータで何ができるのかをテーマに、できるだけ数式を使わず、わかりやすく説明されている。とはいうものの、量子力学は難しい。 勘違いしていたのだが、量子コンピュータはなんでもできるわけではなく、計算のためのアルゴリズムがあるものにだけ使用できるそうだ。量子コンピュータを使うことで、身近なところでは、新薬の開発や渋滞の緩和等が期待されている。 今はまだライト兄弟が作った飛行機と同じ段階だという量子コンピュータ。実用化できるかはまだわからないが、夢のある話だった。
33投稿日: 2023.04.02
powered by ブクログ無知蒙昧な我が身からすると第3章辺りの数式が完全に分かっておらず読了したとはいえない。 量子コンピューターの概要と後半にある活かし方についてはとても興味を持って読めた。日本でも量子コンピューターが開始されたそうなので把握はしておきたい。 0であり1である相反する考え方の理解(解説はしてくれている)からだろうけど…
2投稿日: 2023.03.10
powered by ブクログ職場の同僚からの勧めで読んでみたが(パラパラめくってみたが)、殆ど理解できず。。 サイモン・シンの『暗号解読』を読んで知っていた以上のことは分からず。 悔しいなあ。。
6投稿日: 2023.02.14
powered by ブクログ量子コンピュータの歴史と理論、課題、将来像等を新書一冊にまとめ、何だか分かったようなわからないような気にさせてくれる。 量子ゲート方式と量子アニーリング方式の違い 量子重ね合わせと量子もつの利用 量子ビットの実現方法3種 超電導量子ビット、イオントラップ量子ビット、光量子ビット 量子誤り訂正の必要性 ショアのアルゴリズムとグローバーのアルゴリズム IBM量子プロセッサ コンドル
1投稿日: 2023.02.01
powered by ブクログ量子コンピュータとは何のか?どのような原理で動き、また人類をどのように発展させうるのかが書かれた一冊。内容は100%理解できなかったが、なんとなく量子コンピュータについて知ることができた一冊。副次的な知識も必要。
1投稿日: 2022.12.01
powered by ブクログ難解な量子コンピュータについて、文系諸氏にもわかりやすく書いた1冊、だとは思うけど、それでも難しかった。現在のキャッシュレス決済も高度な情報技術に裏打ちされていることを知った。 こんなところで素因数分解が使われているなんて…。
1投稿日: 2022.10.30
powered by ブクログ入門書をたくさん読んでいるけれど常に分かったようなわからないような(本書の責任ではない) 理論をしっかりか コード例写経しかないかな
1投稿日: 2022.09.11
powered by ブクログかもなく不可もなくというか、量子コンピュータも普通のコンピュータも、あんまりよく分からないけどちょっと気になる、みたいな自分のニーズには合っていたかも。薄い。全体的にイメージで通っていて、具体的に何かが分かるわけではない。 どんな話題があるか、くらいは把握できる、かな。 220830
1投稿日: 2022.08.31
powered by ブクログビックリするくらい中身のない、専門ではない人が量子コンピューターについて書いた本 なんというか、文体からよく調べずに書いたんだなあということがよくわかる。もう少しお勉強しましょうね。あと美辞麗句使いすぎ。作者の理解不足隠せてないぞ、にじみ出ている
1投稿日: 2022.07.16
powered by ブクログ第1章 巨額の投資対象に変貌した「科学の楽園」 ――量子コンピュータとは何か 「経済安全保障」の最優先課題 これから高まる“量子人材”の必要性 2023年が実用化へのターニングポイント グーグルvs.IBMの激しい応酬 別路線を歩むマイクロソフトの意図 猛追するアマゾンの焦り 第2章 現実離れした「量子コンピュータ」のしくみ ーー謎の超高速計算機はどう動いているのか 量子力学の基本法則 全知全能の神ですらわからない「真の不確実性」 量子ビットの作り方 量子コンピュータ開発の技術的難題 量子コンピュータ=汎用性が高いとは言えない理由 巡回セールスマン問題は解けるのか? 「P≠NP予想」とは 第3章 量子コンピュータは世界をどう変えるのか 【自動車】渋滞を解消しサプライチェーンの最適化 【金融】投資ビジネスの競争優位性を高める 【化学】最適な組み合わせを見つけバッテリー開発に活かす 【製薬】創薬にかかる膨大な時間とコストを圧縮 【物流】配達ルートや輸送手段の効率化 【メタバース】巨大な仮想経済圏を難なく支える超並列コンピューティング 暗号破りコンテストの結果と次世代暗号導入を急ぐ理由 暗号をめぐる中国と米国の駆け引き
1投稿日: 2022.07.12
powered by ブクログゼロからわかりますが、ある程度の事前知識がないと読んでいても理解度は上がりきらないかもしれません。(それでもかなり優しく、噛み砕いて書いてある一冊だとは思います)
1投稿日: 2022.07.03
powered by ブクログ本書の数カ所で言及されているが「量子コンピュータは本当に実現できるのか」の疑問が今の段階では否定し辛いことが読み取れる。 米、英、中、豪などの順で巨額投資がこの分野に注がれている。日本は少々恥ずかしいレベル。国家とは別にGoogle,Microsoft,Amazon,Facebookなどビッグテックもそしてベンチャー企業がいくつも資金を投じて開発を進めている。これらのどこかが突然ブレイクスルーを成すかもしれない。量子コンピュータは基本的には汎用ではない。汎用はスーパーコンピューターに任せると今はいわれている。両方が完全な理想のマシンになるには10年〜30年はかなるのだろう。しかし、その間にもある部分に於いては使える機能を果たすことになる。 本書には無いが人間の脳をモデルとしたコンピュータの実現も各所で研究が進む。2045年のシンギュラリティを無理という学者もありうるという学者も存在する。 一章と三章は読める...二章は(数学の素養が無いので)難しい。しかし、分かる部分もある... 第1章 巨額の投資対象に変貌した「科学の楽園」 ――量子コンピュータとは何か 第3章 量子コンピュータは世界をどう変えるのか
1投稿日: 2022.07.01
powered by ブクログ小林雅一(1963年~)氏は、東大理学部物理学科卒、同大学院理学研究科修士課程修了、東芝、日経BP勤務、ボストン大学留学、慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所勤務等を経て、KDDI総合研究所リサーチフェロー、情報セキュリティ大学院大学・客員准教授。ITやライフサイエンス等に関する一般向け著書多数。 本書は、近年急速に注目度が高まっている「量子コンピュータ」について、一般向けにわかりやすく解説したものである。 私は文系出身の会社員だが、量子コンピュータについては、これまで新聞等で目にしたレベルで、「シュレディンガーの猫」の呼ばれるパラドックスが象徴する量子力学をベースにしていること、現在のスーパーコンピュータ(スパコン)の数億倍(超)の計算速度があること、近年は米国のIT大手(IBM、マイクロソフト、グーグル等)が巨額の開発資金を投入していること、軍事技術としても用途が幅広いが、開発は米国よりも中国が先んじていること、等の断片的な知識しかなく、一度包括的な知識を得たいと思っていたところ、書店で本書を目にして購入した。 目次は以下である。 第1章 巨額の投資対象に変貌した「科学の楽園」~量子コンピュータとは何か 第2章 現実離れした「量子コンピュータ」のしくみ~謎の超高速計算機はどう動いているのか 第3章 量子コンピュータは世界をどう変えるのか~自動車・金融からメタバース・AIまで 一通り頁をめくってみて、第2章の量子コンピュータの仕組みは、正直なところ消化不良であったが(著者も随所で「おおよそのイメージを掴んで」と書いているので、仕方ないところか)、以下のような知識・情報が得られたり、再確認できた。 ◆研究開発に注目が集まる一方で、現実世界で通用する本格的な量子コンピュータには「誤り訂正(誤り耐性)」と呼ばれる技術が必須だが、その理論は存在するものの、技術的には未確立。これは、量子力学の本質的な特性に関わる、重要かつ困難な課題である。 ◆量子コンピュータがスパコン等の古典コンピュータの性能を圧倒的に凌駕するためには、最低でも数百万個の「量子ビット」が必要とされているが、現在最先端を行くIBMでさえ、2023年にリリース予定のものの量子ビットは1,000を少々上回る程度。それでも、試験機レベルのものを導入する企業・団体は多数あるが、それは今後実用化されたときに備えての人材育成や情報交換が目的である。 ◆量子コンピュータが力を発揮するのは、膨大な計算量を要する「組み合わせ最適化」に関連する分野。例えば、渋滞を解消しサプライチェーンの最適化を図りたい自動車関連、投資ビジネスの競争優位性を高めたい金融関連、創薬にかかる膨大な時間とコストを圧縮したい製薬関連、配達ルートや輸送手段の効率化を図りたい物流関連、また、AI関連、メタバース関連等。 ◆量子コンピュータが実用化されたとしても、その後は、古典コンピュータと、使われる仕事について棲み分けが生じると考えられる。 ◆軍事分野で最も懸念されているのは暗号技術への影響。量子コンピュータにより既存の暗号(公開鍵暗号)が破られる恐れがあり、米国等は、量子コンピュータに破られない「耐量子暗号」の開発を急いでいる。また、中国は2017年に量子技術を使った「量子暗号」の実験に成功したと言われている。 量子コンピュータについて、研究開発の歴史と現状、課題、仕組み、実用化された場合に期待されること等、一通りのことがコンパクトにまとめられた一冊である。 (尚、著者は、技術の実現を急ぐよりも、平和利用のための制度的な枠組みの構築が先決であると結んでおり、主旨はもちろん理解するものの、倫理の観点からは、合成生物学やAI開発、環境・気候問題等、遥かに問題が大きい分野があり、量子コンピュータについてそれを強調するのは少々違和感を覚えた。) (2022年6月了)
1投稿日: 2022.06.29
