
総合評価
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powered by ブクログ星新一ばりに短いお話しの数々 そのどれもが作者の実体験や生活を元にしたものらしい とても短い話しなのにどれもこれもタフで強い スパイス見本棚みたいな作品集 山椒の様なバニラのようなキャラウェイのようなアンモニアのような生理の生ぐさい臭気さえ… めくるめく色や形が鮮やかに短いはすっぱな言葉で表現されている 短いお話しが著者の人生とゆう塊となって立ち現れるもこざっぱりしているのがとっても不思議… 絶望も夢も毒も愛もなんも重たいことなくトイレにジャーって流しちゃってさっさと次に行く感じがする 軽いとも違うし… 不思議な読書体験だった…
16投稿日: 2025.10.17
powered by ブクログいや、ちょっと。読み始めたのが失敗。一気読み 著者のベルリンは2004年に亡くなっているのだがこの短編集の原書は2015年、没後だ 現地米国ではさほどウケていなかったのにこの本の発行で話題になり2週間後に彼女の全ての本が売り切れたらしい。そう、この本で発見された私小説風の短編集(虚構もけっこうある) 重度のアルコール中毒で息子たちが眠るのを待ち こっそり酒を買いに夜明けの開店に合わせてフラフラと外出し購入 これで酒が飲めると顔をあげた瞬間の街の朝日 この対比がすんばらしい、一発惚れ 壮絶な人生山あり谷あり 短編1つ1つ最後に特徴的なフレーズが来る さすがの訳者、岸本さん いやもうルシア・ベルリンという作者を知りたいと読後すぐさま他も買おうと思い調べると 76の短編を書いて生涯を終えているらしい この本は24編 著作がす、すくない……… なんで今まで積んでたのだろう。はあ、良かった
20投稿日: 2025.10.04
powered by ブクログ正直、読み始めは状況を把握しづらく、入り込めなかった。 でも、読み進めるうちに、一つの人生が立ち上がってきた。 孤独な幼少期、虐待、アルコール依存、妹の病気、3回の離婚と結婚。 これら、すべて彼女の実人生から生まれたもの。 波乱万丈ではあるけれど、悲壮感がなく、カラリとした印象すらある。 ラストの「巣に返る」という話に、「私がここまで生きてきたのは、過去を全部捨ててきたからだ」という一文がある。 ルシアは、書くことで、昇華してきた人なのかもしれないな、って思った。
11投稿日: 2025.07.05
powered by ブクログとあるブログで激賞されていたので読んでみた。読み始めてみて,正直そこまでではないなと思ったが,途中から引き込まれることになった。 著者の波瀾万丈な人生と,観察眼が凄い。ドライな諦念が通底している。文体にも魅力があるようだが,これは原著で読まないと分からないなぁ。。。 短編だけ書いてて評価されるってのが,テッド・チャンと通じるものがある。日本にはあんまりいない気がする。星新一くらいか?
0投稿日: 2025.06.28
powered by ブクログアルバムの写真を引き抜いて、いくらか手を加えてスケッチしたような作品群。 読めば読むほど系だと思うが、何度も直視したら、こちらが耐えられなさそう。
0投稿日: 2025.05.21
powered by ブクログいままで読んだことのないタイプの小説群だ。荒っぽく、むきだしで、パンク。しかも状況の把握がすぐにはできない。何度も行きつ戻りつして、読み進む。最後は、人生の理不尽さが出てくるものの、言いようのないふしぎな感動に襲われる。 鉱山技師の子としてアラスカに生まれ、子どもの頃はアメリカ各地やチリを転々とする。その後3度の結婚、4人の子ども。教師、掃除婦、電話交換手、看護助手、大学教員、そしてアルコール依存と慢性の肺疾患……作品の底流にあるのはこうしたキャリアと体験だ。 この本のラストの作品は「巣に帰る」。冒頭にカラス、終わりもカラスが登場。描かれているのは、人生と反実仮想。ルシア・ベルリンその人が少しわかったような気がする。 岸本佐知子さんの訳のうまさにも脱帽(文庫版では、スペイン語の発音ミスが修正されていた)。
0投稿日: 2025.05.04
powered by ブクログオシャレな雰囲気の表紙とは逆でオシャレ感はなく、只々現実があるのみ。おそらく1人の女性(作者?)の人生が時系列バラバラに短編集としてまとめられているのかなと思うんだけど、幼少期の虐待、学生時代のいじめやアル中の描写などがリアルすぎて未来にいい事があると思えず、子育て真っ只中の自分には読み進めるのがキツかった。人生積み重ねて50代ぐらいに読み返したら感じ方も変わっているかもしれない。
1投稿日: 2025.05.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
目次 ・エンジェル・コインランドリー店 ・ドクターH.A.モイニハン ・星と聖人 ・掃除婦のための手引き書 ・私の騎手(ジョッキ―) ・最初のデトックス ・ファントム・ペイン ・今を楽しめ(カルぺ・ディエム) ・いいと悪い ・どうにもならない ・エルパソの電気自動車 ・セックス・アピール ・ティーンエイジ・パンク ・ステップ ・バラ色の人生(ラ・ヴィ・アン・ローズ) ・マカダム ・喪の仕事 ・苦しみ(ドロレス)の殿堂 ・ソー・ロング ・ママ ・沈黙 ・さあ土曜日だ ・あとちょっとだけ ・巣に帰る ・物語(ストーリー)こそがすべて リディア・デイヴィス 初読みの作家でしたが、思った以上に楽しめました。 ほぼ作者の体験に根ざした作品らしいが、その経歴がまた想像以上。 貧困家庭で家族に顧みられないまま育ち、学校ではいじめに遭い…からの地理の上流階級へと跳ね上がり、女手一つで4人の息子を育てながらアル中になり、刑務所で創作を教え、最終的にはコロラド大学の准教授から、闘病生活へ。 家族を顧みない父、二人の娘を見守ることのないアル中の母、妹だけを可愛がる祖母、作者を可愛がるが性的虐待をも与えるアル中の祖父、家族の中で唯一作者の理解者であったアル中のジョン叔父。 悲惨ともいえる家庭生活以外では、学友たちにいじめられ、先生からは疎まれて、それでも親友ができた。 死期の近い妹の世話をするために仕事をやめてメキシコに立ち、クローゼットのように狭い小部屋に住んで、最後のひと時を家族の思い出話で過ごす。 妹は妹で、彼女のことを羨んでいた、と。 悲惨も絶望も残酷もあるのに、決して湿っぽくはない。 何ならクスッと笑えるところもある。 それは作者が、そうやって生きてきたからだろう。 日本の私小説は、自分の奥深くへ潜っていくような息苦しさがあるが、彼女の書く小説は世の中や時代に即して、ある。 どんなにつらいときでも目を、耳を、閉ざすことなく世の中とつながっている。 だから読者は、作者から拒絶されたと思わないで読み進めることができる。 最近読んだばかりのせいか、こうの史代みたいな読み心地に感じられた。
1投稿日: 2025.05.02
powered by ブクログ孤独と哀しみと軽やかさとユーモアさ。ルシアの世界を御守りのようにいつも手に携えたのは、歳を重ねるごとに密やかに隠してきた自分の弱さを呼び寄せ、光に晒し、自分の過去を真正面から肯定し、痛みと寄り添える時間を過ごせたからかもしれない。 取り繕わず、ありのままに自分の人生をなぞらえた物語を紡いだルシアの人生の波乱とその多彩さに圧倒され胸突かれ、とめどない感情に揺さぶられる。祖父の歯の衝撃度、星と聖人カード、ジョン叔父さんとのこと、小さな矯正具、アル中の苦しみ。とりわけ妹サリーとの絆と尊いメキシコの日々に深く思う。(2022年5月10日読了)
0投稿日: 2025.04.04
powered by ブクログルシア・ベルリンの24の短篇。 私は「すべての月・すべての年」に続いて2作目。 とりわけ変わった設定ではなく、1900年代半ばの普通の生活がベースになっている短篇。 一度に全部読んだらすぐに忘れちゃうかなと思いきや、随分とずっしりとした読後感。 軽くて面白い短編集はたくさんある。 しかしこれはずっしりと面白い短編集。 これは何に因るものなのかなあと考えてみたのだけれども、まずは空気の重さまで感じられるようなリアリティ。 実体験をベースにしているものが多いと聞いてなるほどと思うと同時に、実体験を扱えばすべてこのようなリアリティが出るかと言ったらそうはいかない。 場面、表情、行動の切り取り方が素晴らしいのだ。文章のひとつひとつ、そして文章の組み合わせによって意識的にこの雰囲気を作り出しているのだから、唸らされる。 私もメキシコにいて、当時を生活しているかのような気持ちにさせられる。楽しい。 そしてもう一点は、語り手の現在の行動に説得力を持たせる過去。 ほとんどすべての作品の語り手には、過去がある。そしてその過去が間違いなく現在に影響を与えている。 その過去があっての今なのだなという納得感は、物語を楽しむ上で重要なのだが、これが絶妙である。 短篇のなかで、限られた枠のなかで、端的に、かつ印象的に過去を記述する。 それが台詞だったり、行為だったり、景色だったり。とにかく過去を印象づける。絶妙に。 とにかく高い技術によって、日常の話が大勢の人間に絶賛される物語に昇華されているのは見物。 そしてそんな難しく考えなくても、楽しく読める。 「なんかよくわからないけど、おしゃれっぽいし楽しい」っていうのでも良い。手に取ってみて欲しい。
18投稿日: 2025.02.22
powered by ブクログ最初は読み慣れず休み休み読んでいたが、途中から一気に進み読み終わった。 劇的な展開があったわけではなくて、著者の文体のリズムに自分が合ってきたようだった。 犯罪、依存症と共存して酷く辛い生活なのかと同情を誘うのではなくて、それも含めてユーモアに変えて、すました顔でたばこを吸う著者の姿が浮かぶ。
1投稿日: 2025.02.07
powered by ブクログ初読 坂口文庫。 坂口さん曰くまったく読み進められない本シリーズの2。 これはわたしもかなり難儀しました。なかなか手強い。最初いくつかサラっと読んだとき 全然サラっと行かなくてこれは困ったと思った。 短編集のうち いくつかは まぁまぁ読めるのがあって もうそれでいいかなと思ったケド 別の日にまたちょっと読んだら もういくつかホォと思うのもあり。その時思いついて解説先に読んでみたのがよかったのかも。でも解説のおかげで最初の時には気がつかなかった重いツライ感じもわかってきた。 フィクションとしたら 全然面白くないけど これがノンフィクションに近いとしたら それはちょっと興味あるというか ちょっと惹かれるなと。 多分に怖い物見たさの要素もあるけどね。 なんとかひと通りは読めた。 それにしても坂口さん これよく買ったなぁ。 全く坂口さんチョイスっぽくない。 星1.5 2回目以降 直近で数回読み返す 星4 ハマる 最初は無理だと思ったのに 読み返すつど惹かれていく この本にというより こんな人生を生きた人に惹かれるのかも。 表紙の人が作者みたいだ。すごいキレイな人だ
5投稿日: 2025.01.25
powered by ブクログ短編集とわかってはいても、一見バラバラな気がした。 それがいつしか作者の生い立ちとも重なって、太い束のようなまとまりに感じられてゆく。 若い無邪気さ、苦い経験、切羽詰まった状況、そしてごく日常の風景。 どれも書き手がそこにいて、「これがあたし」といっているよう。 けれどそこに押しつけがましさはなくて、静かに目の前に差し出す。 謙虚で辛辣でちょっとクール、そして皮肉とユーモアを忘れない。 フィクションのようにもノンフィクションのようにも見えたこの作品群。振れ幅の大きな彼女の人生の、ある意味伝記のように思えた。 また読みたい。
0投稿日: 2025.01.19
powered by ブクログ3度の結婚と離婚を繰り返し、4人の子どもを育て、アルコール依存症にも陥った。そんな著者の壮絶な人生をベースにした「オートフィクション(自伝的虚構)」。とても評価の高い本だったけど、ついていけなかった…。いろんなエピソードが時系列でなくつづられていて、登場人物もそのたびに違うし…。楽しめてる人がなぜ楽しめているか知りたくてくらいついてみたのですが。コインランドリーで色とりどりの服がまわる描写など、端々にきらりと輝く表現がある感じはわかったけれど…。いつかもう一度チャレンジしてみたい。
0投稿日: 2024.12.18
powered by ブクログはじめは、フーンこれがなんか色んな人が大絶賛の本か。なるほどなかなか読ませますなという感じで読んでいたのに、一編読み終えるごとに夢中になっていった。 あれ?あの話の彼女はこの人?この体験はあの体験のこと?というか、これ全部繋がってる……? 短編集というよりは自由な章立ての長編のような……作家自身の体験と深く結びついた物語が、ひとつ、またひとつ自分の中で繋がるほどに引き込まれていく。印象的なメロディーを繰り返しながら盛り上がっていく音楽みたいに。 読み終えた時には、一人の女性の人生――痛みと喜び、幸と不幸、激しさと静けさ、深い傷と赦し――が、確かな色と、音と、匂いを持って立ち上がってきた。 その迫力。 それでいて読み心地には常に達観したような軽みがあるのだ。素晴らしい体験だった。
2投稿日: 2024.12.13
powered by ブクログ単行本でもっているけれど、文庫になって『すべての月、すべての年』と書店でならんでいたのが嬉しくて、つい買ってしまった。文庫で再読したい。
1投稿日: 2024.11.19
powered by ブクログハードな人生、タフな登場人物。軽やかに乾いた文章。ユーモアや余裕も絶妙に漂っていて。とてもカッコ良い短編小説たち。 何度目かに読んだときから、これは彼女の人生で体験してきた「あきらめ」の上で物語られているのではないか、というような気がしてきている。 不条理な世界、ままならない人生、過去のやり直せない過ちや消えない傷を受け入れる。「悔いるのをやめる。」一度あきらめる。そのうえで、それでも、ハードな人生をタフに生きていく、生きてきた。その人生から慎重に切り取られ、誇張を加え作り話混ぜ合わせ紡いでいく。そうやって書かれる短編小説は、きっと彼女と同じようにとても強い。そんな印象を受けた。 あきらめることで手に入れられるもの、そうすることでしか手に入れることが出来ない強さやしなやかさ、余裕が、ものにできない短編小説があるのだ。そんな風にも思った。「あきらめ」以外にも相応しい言葉があるかもしれないし、的外れかもしれないけれど、幾つものことをあきらめてしまった後にはそんな風に読んでいた。ああ、まだ大丈夫なのかもしれない、と思えた。わたしもこの強さや余裕を手に入れられるだろうか、手に入れたいと思った。 どの短編小説も素晴らしかったのだけれど、冒頭の初めて読んだ彼女の小説で、すぐに大好きだ、と思えた「エンジェル・コインランドリー店」。 これもJAZZだった。JAZZみたいにロマンチックだ、と思った「ソー・ロング」。オーネット・コールマンのファイブスポットでの初演奏の一文にビックリしつつ嬉しくなった。 刑務所での文章教室を舞台にした大好きな短編小説があるのだけれど、同じように文章教室を舞台にした「さあ土曜日だ」も素晴らしくて、同じように大好きになった。ここでは珍しく作家を思わせる登場人物は語られる側で、文章教室で習ったのか綺麗に哀しいオチもつくのだけれど、それでもやっぱり彼女の人生から物語られた素晴らしい短編小説だと思えた。が、特に好きでした。 「全ての月、全ての年」も近いうちに再読したい。
5投稿日: 2024.11.16
powered by ブクログ人の歴史が駆け巡っていく。そして時々逆戻りして跳ね回る。短編ひとつひとつのエネルギーが凄くって読み終わるたびにどっと疲れる!きっと読んでいる間力が入っているんだと思う。それくらい力を入れないと読みきれない。 バス通り、人々の流れ、コインランドリー、etc 中古の本から時々タバコの匂いがした。本そのものかもしれないが、きっと話しのエネルギーがそうさせたのかもしれないと思わせた。
12投稿日: 2024.08.01
powered by ブクログ著者の小説を書く心意気を強く感じました。フィクションのはずなのに、著者の心がむき出しに感じられます。私は感電して、重傷を負いました。
7投稿日: 2024.07.08
powered by ブクログ表紙の写真の影響もあると思いますが、どの短編もモノクロの映像が思い浮かぶような文だと感じました。 またどの物語もあらゆる形の疵(「傷」ではない字のきず)を描いているような印象を受けました。でも、暗さの中にも不思議な明るさも見え隠れして、独特な文体だと思います。
0投稿日: 2024.04.20
powered by ブクログ母からメルカリで売って欲しいと預かった本の一冊で、ずっと家事のマニュアル本かと思っていた。 なかなか売れないので、読んでみたら、めちゃ面白い。 小説なんだ!と思ったら、ほぼ事実の小説とのこと。 どこでも読んだことがないような刺激的な文章だった。
0投稿日: 2024.04.01
powered by ブクログお嬢様学校に通う女学生と共産党員の先生とで貧民街にボランティアに行く話と、表題にもなっている掃除婦の話が好き♡ 自分が資本主義の奴隷だから共産主義的動きを見ると唾吐きそうになる
0投稿日: 2024.01.19
powered by ブクログアメリカに芥川賞あったら獲れてたのではないかと思ふ。強烈、そして生き生きとした文章であった。 日本にはAAと断酒会、二つの組織があるからAAをいちがいに断酒会と訳すのはもしかしたら微妙かもしれない。でもなんて訳すの?と聞かれたらぶっちゃけAAとしか訳せない(訳せてない笑) 機能不全家族に育ち、アルコール依存となった作者の苦しみはもはや理解できない領域。でも、この文章を読んでしまうと、、、苦しみも悪いことじゃないのかも。さらけ出せる勇気と書くことの魔力に魅せられてしまった。
1投稿日: 2024.01.09
powered by ブクログごく個人的な、自分のためだけに書いた小説という雰囲気がある。それがとてもよい。そして、いい夢かな?と思ってたら悪夢だし、悪夢はやっぱり悪夢のまま。そして、悪夢なのにゲラゲラ声をあげて笑ってしまって、その自分の声に驚いて目覚めるみたいな感じ。あぁ夢でよかった、みたいな悪夢感。 訳者のインタビューを聞いて購入後、何度も開いて、読み始めてみるけど、全然頭に入ってこない。合わないのかな?と思ったけど、ひとつひとつは短いので、順不同に何度も読み返すうちに、物語というか、作者のことが好きになってきて、好きな人の話しは、聞こうとするというか、貴方を知りたい。という気持ちに変わった。そしたら、映像になって、夢みてるみたいになった。またいける。
3投稿日: 2023.12.23
powered by ブクログ2023年11月、図書館で借りた。 86ページまで読了。短編集で読みやすいと思いきや、なかぬか読み進められないので、途中で返却。原文のストーリーに入っていけないのだと思う。翻訳は悪くないような気がする。自分の年代におすすめ、とネットの記事にあったので読んでみたけど、私には共感や得るものがなかった。同名タイトルの短編も読んだけど、特に、だった。 星をつけていないのは、全部読んでいないから。途中まででつけるとしたら、2個。
0投稿日: 2023.11.11
powered by ブクログすごい、すごいと聞いてはいたけど、やっぱりすごかった。歯切れのいいテンポと強烈な映像喚起力。短編それぞれがまるで映画を一本見たように世界にどっぷり浸り切ったような読後感を残す。最初数編読んで、すごいけど長編が無いのが残念だなと思ったけど、全て読み終えるとまるでルシア・ベルリンその人を主人公とした長編を読んだような気分になった。
0投稿日: 2023.10.23
powered by ブクログ深いどん底のさらに底深くその奥にいても光の方へと顔を向け言葉を綴った人なのだと思う。1番上品なのは自分の過去を笑い話にできる人。ずっと手元に置いていたい一冊。
0投稿日: 2023.09.28
powered by ブクログ短編集の2/3を読み終えるまでは、ひたすら、退屈で読みにくい本だと思った。 最初は、訳が下手くそなのかとも思ったけど、時々、ハッとする美しい表現が出てきて、そうではなさそうと思い直した。 喪の仕事まで来て、少し変わって、沈黙、さあ土曜日だ、巣に帰るの4編は良かった。 簡潔な文章で、特徴としては、周囲の状況を描くことで、主役について物語を紡ぐ。それが、若い頃の数編においては、私が村上春樹に感じる、それいらなくない?関係なくない?という感想。 そこから、どんどん、作者が歳を重ねていき、彼女の人生が酸素ボンベを離せない状態であることまでわかるうまいチョイスをしている短編集の構成になっている。 私は、たまたま、後半生の練れた作品の方が好みなのだろう。前半生は、本人の生活が無茶苦茶なように、アル中の貧乏なシングルマザーの底辺のリアルが描かれているので、好みが分かれると思う。不倫の話なども描かれていて、不快な人もいるだろう。私は、共感ははっきり言ってできない。 喪の仕事では、亡くなった人の遺産整理を手伝う掃除婦をしていた著者の目を通して、遺品を通して悲しむ家族の姿が描かれる静寂な話だ。 沈黙は、祖父から性的虐待(未遂?)を受ける著者を守ってくれる叔父。それを見て見ぬふりする祖母をしかる叔父。彼の留守中に、自分よりもかわいがられる妹が同じ目に遭うのを黙ってやりすごす著者に対して、祖母と同じだと怒る叔父。いじめを見て見ぬふりする罪と同じだ。 さあ土曜日だは、著者が刑務所内で文章の講師をしている時の話だ。何かのきらめきを感じさせる受刑者がいたが、出所前に現実と向き合うこと。もしくは、出所後の運命を知っていたからか、自分の殻に閉じこもってしまう。そして、出所翌日に殺されたニュースで終わり、世間の厳しさというか、どうにもならない感じが漂う作品。 最後の巣に帰るが、一番いい。 酸素ボンベを手放せなくなった作者。それがきっかけで、裏庭ポーチでなく、表のポーチで休むこととなった作者が、初めて木を埋め尽くすカラスに気づく。そこから、色々なことを見逃してきたのではないかと考え出す。もしも、表のポーチで休んでなかったら、酸素ボンベをつけてなかったら、と終盤の予感がする自分の人生のもしもを振り返る。 最後の一文は、「なんと私の人生は今とそっくり同じになっていただろう」と。変わらず、カラスを見ていると。
0投稿日: 2023.09.15
powered by ブクログ僕のような年寄りには、他人の人生の生き様を読まされてもたいした感想も持てない。ふ~ん。そうなの大変だったね。 人生色々だよ。位の薄っぺらい感想しか持てない。 これが、若い時に出会っていたら、とても感動出来たと思う。他人の人生から学ぶ事は有るけど、この年で学べたとしてもね、たいして役に立たない。
0投稿日: 2023.09.14
powered by ブクログ異なる話が収められた短編集かと思ったら、先に読んだ話が主人公を変えてまた現れる。それによって1つの話の背景が次々と明らかになるのが面白かった。根底には、米国のおそらく多数を占めるいろいろな意味で精一杯の暮らしをせざるを得ない人たちのありよう。再読したくなる。
6投稿日: 2023.09.03
powered by ブクログルシア・ベルリン 『掃除婦のための手引き書』 2020年本屋大賞翻訳部門第2位 第10回Twitter文学賞(海外編)第1位 大変申し訳ないが、掃除婦のハウツー本か何かだと思っていた 全く違っていて、著者の波瀾万丈な人生に根ざした、24篇の短編集だった それも死後10年にやっと評価されたものだった 翻訳ものだからなのか、度々出てくる独特な比喩表現や文体になかなか馴染めず、個人的に読みやすいものと読みにくいものに分かれてしまった しかしながら、今なんて言った?!と一瞬聞き逃してしまいそうな程サラッとしたユーモアのある表現が面白かった ルシア・ベルリン、アラスカ生まれ アメリカ西部の鉱山町、エルパソ、チリ、メキシコ、アリゾナ、ニューメキシコ、ニューヨークとたくさんの場所に住み移る 掃除婦、看護師、病院の事務員、シングルマザー、女性教師、電話交換手と様々な顔を持つ 三度の離婚と結婚、息子が4人 アルコール依存症 本人も祖父も母も叔父もみんなである性的虐待、孤独だった幼少時 面白かった話は、 『どうにもならない』 『セックスアピール』 『ドクターH.Aモイニハン』 『エルパソの電気自動車』 まるでコメディ映画を観ているかの様だった 『どうにもならない』 アルコール依存症なので、発作が起こるとそれこそ『どうにもならない』 酒屋が朝開店するのを必死に耐えながら待ち、息子達が起きる前にウォッカを買いに行くその姿は死に物狂いなのだが、何故かおかしい 植え込みや木の幹につかまり、歩道のひび割れを数えながら、よろよろと失神寸前に酒を手に入れる 『エルパソの電気自動車』 スノーデンさんの運転は制限速度すら出せない、しかも道路の真ん中を走る パトカーに停められ注意されると、そんなに出せないと逆に怒る それに左折という行為が出来ない 真っ直ぐか右折しか出来ないので、 目的地になかなか着かない だから乗車していた著者は、尿意を我慢できずにもらしてしまう 他の話は孤独や死別、貧困、確執等といった話が多かったが、悲劇を悲劇として感じさせない著者の強さを感じた 読み終えた今、私もこの人の様に人生の短編集を描くとしたら、何を選ぶだろうかとふと考えてみた
47投稿日: 2023.08.09
powered by ブクログ著者ルシア・ベルリン自身の半世に材を取った短編集である本作は、「わたし」の一人称語りで、自身を取り巻く苛烈で過酷な環境や人物が描かれる。「わたし」視点の世界なのに、「わたし」の居場所はない。語り手は家族から不当な扱いを受け、学校のクラスメイトから無視され、孤独に浮いている。世界から拒絶されて、アウトサイダーとなっている。 その様子が独特の筆致で描かれる。訳がとても良いのだと思うが、原文が孕んでいるであろう特殊な「熱気」を感じる文体だ。荒々しく、ギラギラした勢いある近視的筆致のながれの中に、シニカルで冷徹な一文が時折、紛れ込んでくる。著者の説教くさい思想やじめじめした感想はほとんど出てこない。描かれている内容は悲愴なものだが、文体からはそれにとどまらない、言い様のない熱気を感じる。「わたしはこのどうしようもない世界を生きてるし、生きてきたんだ」という、内から発散するパワーに当てられて、なんだか、いてもたってもいられなくなる。 一発目の「エンジェル・コインランドリー店」のコインランドリーという狭い空間で、「インディアン」「アパッチ」「レッドスキン」という異文化的なワードが頻出する異常な空間(「わたし」は己の手を見て「非インディアンの、落ち着きのない、孤独な手だ」と形容する。コインランドリーという日常的な空間からさえ、「わたし」は弾き出される)を読み、うっすらとワクワク感を覚えて、早くも次の「ドクターH.A.モイニハン」でのめりこんだ。祖父が完璧な入れ歯を完成させたので、幼い「わたし」に歯を全部抜かせるという頭のおかしい展開、祖父の絶叫や暴挙が凄絶に描かれる。 表題作「掃除婦のための手引き書」、「ファントム・ペイン」、「いいと悪い」は「わたし」の孤独と周囲からの断絶を描いた傑作。 「苦しみの殿堂」、「ソー・ロング」、「ママ」は母親や妹との思い出(だいたいよくないことばかり)、確執などがリアルに描かれる。 最後の方の「沈黙」は一つの短編として独立しながらも、それまで近視的に描かれてきた「わたし」の子供時代が、ダイジェスト的に語られ直すという位置付けでもある。「寄り」で見てきた物事を改めて「引き」で客観的にみることで、その異常性がよりリアルに感じられてくる。読み手は、ここにきて、「わたし」そのものの視座へと近づく。
2投稿日: 2023.07.29
powered by ブクログ原作はもちろんのこと、自分が読んだ邦訳が素晴らしいのだろう、リズムがとても心地よい。いつか原文にもチャレンジしてみたい。 知性と環境とユーモアと好奇心‥‥どれだけの幸運が重なったら、作者のような文章を紡げるようになるのだろう? 至福の時間でした。
19投稿日: 2023.07.14
powered by ブクログ彼女のそれまでの人生は毎日毎日退屈なレコードの繰り返しのようだったが、あっと言う間にレコードがひっくりかえされて音楽が始まった。マックスがそれを聞いて、わたしに向かってほほえみかけた。ほらね、愛する人(アモール)、僕らはいまB面なんだ。
2投稿日: 2023.06.14
powered by ブクログ原文はわからないけど、端的でわかりやすい文章なのに、時折びっくりするようなスラング的な表現や思いつかないような(でもなんとなくわかるような)比喩が入って、読むのが面白い。 ストーリーは、ほとんどがアルコール中毒の話(笑) 作者自身も苦しんだらしいが、それ以上に波乱万丈な人生から、その描写は辛辣ながら優しさがある。 スヌーピーに気高いながらホコリを引き寄せてしまうビッグ・ベンというキャラクターがいるけど、一言でいうとそういう印象の作品。 人生の美しさも底辺も見たいなら、ぜひ。
4投稿日: 2023.06.12
powered by ブクログ凄いものを読んでしまった。2015年刊行のベストセラー(邦訳は2019年)らしいのだが、著者はこの大ヒットを知ることなく、2004年 小説の中でも虚実入り混って描かれる波瀾万丈の人生を終えている。死後に Lydia Davis が全作品の中から文字通り珠玉の短編を編み、序文を寄せたものが本作。この序文がまた素晴しく、Lucia Berlin の文章を二倍も三倍も豊かに読ませてくれる、熱い序文だ。これを巻末に置く講談社の編集者は頭がおかしい。
1投稿日: 2023.06.11
powered by ブクログどうすれば誤解されなかったのか、今持ってわからない。ー誤解ではなく、それが相手の見解 机がまだ木だった頃の音がする。 三ページもかかって女の人の着物を脱がせるミシマの小説みたいだ。 喧騒と倦怠の中、階段に腰掛けて飲む夜明けの珈琲 シュガー・レイが出てきた。 『マカダム』の様なのが書いてみたい。 月が恋しい 独りの時間が恋しい 何がどうあろうと自分の味方になってくれる人が一人でもいたら幸い。
1投稿日: 2023.06.07
powered by ブクログ人間が語り得る物語はそれぞれ一つであり、それを様々な角度技法で何度でも語っていくのが作家であるなんて言い方を見かけた覚えがあるが、まさしくルシア・ベルリンの作品群はそういったものであろう。 ある種あけすけなまでに綴られる彼女の人生は、実体験が強固な軸として中心を通り、そこからあふれ出る様々なものが形を変えそれぞれの短編となっているように思える。 ある種、私小説的なその姿は、案外日本ウケするのではないだろうかと読んでいて思った。
0投稿日: 2023.06.07
powered by ブクログ血しぶきや孤独、家族との不和など耳をふさぎたくなるような話の中に独特のユーモアや強さが顔を出す瞬間があって、コワいもの見たさのように最後まで読んだ。
0投稿日: 2023.06.06
powered by ブクログ以前単行本を図書館で読み、最近唐突に再読したくなったので本屋で文庫版を買った。 圧倒的に素晴らしかった。特に好きなのは「さぁ土曜日だ」「あとちょっとだけ」。
0投稿日: 2023.06.06
powered by ブクログ壮絶な人生を語った短編。 悲惨な人生なのに悲惨さを感じさせず、むしろなんだか楽しそうにさえ感じてしまう不思議な物語。 自分も頑張ろうと思える。
0投稿日: 2023.05.31
powered by ブクログすべて実話らしいが脚色も多少あるのではないかな なんと波乱万丈な人生だ しかしアルコールには気をつけよう。(依存症恐ろしい)
0投稿日: 2023.05.30
powered by ブクログ1970年代に出版された作品が元になっており、いわゆるミニマリズム文学という余計な装飾を削った無駄のない形式の先駆けなのだそうだ。ミニマリズムといえば村上春樹が日本に紹介したレイモンドカーヴァーがいるが確かに似ている。それからキャサリンマンスフィールドも想起させる。こっちは意識の流れメインで書かれてるからでしょうか。 文庫の裏面のあらすじは、無駄な装飾語が多い典型だ。「人生から紡いだ鮮やかな言葉」「衝撃を与えた」「奇跡の作家」と大層な言葉を並べるが意味がわからない。編集者もどう書いてよいか困ってしまったのだろうか。 ベルリンはストーリーで読ませるのではなく日常のリアリズムの中から汲み上げる共感性で読ませる作家だ。例えば「さあ土曜日だ」は刑務所で詩を教える先生と受刑者の話だ。詩に煌めく才能を見せるCD、彼の作品に敬意と関心を持つ仲間たち。そしてCDは遂に出所する。しかし皆のイメージ通りにはならない。そして誰もそのことを口にしない。 ベルリンの小説の多くは「やるせなさ」を描いている。日常の中で感じる喜怒哀楽、そしてやるせなさ。そしてユーモアを少し。現代の我々とは時代も環境も違うので若干の想像力は必要。例えば「マカダム」という15行の短編がある。ゴミ溜めみたいな街。土埃が家の中まで入り込み家中に降り積もっていたが、遂に道路がマカダム工法で舗装される。その喜びが語られる。小説にワクワクを求めたがる私には永遠に愉しみづらいタイプの小説ではある。
0投稿日: 2023.05.29
powered by ブクログ初めの2/3は、アメリカ文学特有の「よく分からなさ」と比喩表現で、イマイチ面白味が感じられなかった。 だが、そのピンと来なかった2/3を踏まえて読む、後半数篇(特に『さぁ土曜日だ』、『あとちょっとだけ』、『巣に帰る』)は素晴らしかった。 ルシア・ベルリンは日常の中に埋もれる小さな感性を失わず、どんな境遇に置いても心の豊かさを保ち続けた人だったんだなぁ。 社会的立場や、経済状況、生い立ちが存分に描かれているのに、物事に対する感受性、そこから生まれる真実はそういったもので判断できないと逆説的に気づかされた。彼女と私、それぞれ生きる人生は全く違っても、心の奥にもつ孤独や悔恨は普遍のものなのだなぁ。 生きてる中で感じる捉えようのない心の動きを、私達はどんどん忘れ上書きしていってしまうけど、彼女はそれを絵葉書のように残し、後になって見返し、そして言葉にすることができる。
0投稿日: 2023.05.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
作者の実人生に基づいて書かれた短編集。 ずいぶんといろんなことがあった人生だったようで…。 急に場面がポンポン飛んだり、例えに出てくる元ネタがわからなかったりと、慣れるまでは読みづらさも感じた。 どの話も最後の数行がとても良いと思う。 好きだったのは、『ドクターH.A.モイニハン』と、『いいと悪い』。 『ドクターH.A.モイニハン』は、やばい祖父で、孫に自分の歯を全部抜かせようとするのには狂気を感じたけど、 『まちがってレバーを押してしまい、祖父はぐるぐる回転しながら血をあたりの床にふりまいた。』 『生きたティーポット。』 『祖父は吐いていた。わあ、すごいや、と思ってから笑いだした。こんなときに「わあ、すごいや」なんて考えるのは馬鹿げてる。』 あたりがもうシュールなギャグにしかみえなくて笑った。 オチの『大っきらいよ』も良かった。 『いいと悪い』は、レズビアンの疑惑があり革命的な考え方のドーソン先生との休日の出来事。 ドーソン先生のことを好きになってきていたのに最後にはうんざりして、父親に『共産党員よ』と言ってしまい、ドーソン先生はクビになりもう二度と会うことはなくなる。 これもラストの、『わたしには、話す相手がいなかった。ごめんなさいと言う相手が』が好き。
0投稿日: 2023.05.02
powered by ブクログ良い小説というのは、多かれ少なかれ、作者の実体験が反映されている。例えフィクションを前提としたものだとしても。本作も、解説を読まずしても、ルシア・ベルリンその人の物語なのだろうと、何となく感じさせるものがある。それだけ物語が生きているということだろう。 実体験の物語ゆえか、例えばアル中のことであったり、家族の話であったり、何度も描かれるテーマは短編集であるがどうしても既視感があって、本作を読み進める中盤あたりは中だるみのように感じてしまうところも正直あったが、最後の3作、「さあ土曜日だ」「あとちょっとだけ」「巣に帰る」は個人的に研ぎ澄まされている感じがして、緊張感と余韻の残る締め方だった。 ここに収められている作品群に通底するのは、どこかで死の匂いがすること。これは間違いなくルシア・ベルリンの意図するところだろう。そしてそれを、はっきり見せる、のではなく、匂わせる、にとどまらせるところが、「さあ土曜日だ」にあるように、重要なポイントだと思われる。 時代も境遇も国も文化も違って、共感という意味では私には乏しい。しかし彼女のどこか乾いた死への意識は、私には魅力的に映った。私も、過去を捨てて生きる以外の選択があまりに恐ろしい。恥や後悔や嫌悪で正気でいられそうにないからだ。もしも、の枕詞は、楽しい想像にしか使いたくないものだ。
4投稿日: 2023.04.13
powered by ブクログブクログのレビューをはじめ、各所から絶賛の本作。 しかしながら、びっくりするほどわたしには合わなかったようだ。 それは読み進めても変わらず、久々の断念… わたし自身が年度末で多忙だったせいなのか、前に読んでいた『黄色い家』が素晴らしすぎたせいなのか、受賞作品がこれ程合わない自分の感性を疑う。 また気分が乗ったら読もうかな。 この作品を読む少し前、ダメンズを断ち切って以来初めて、やっとこんな気持ちになれたな~という人に出会ったのですが、どうやら失恋したようです。 それも相まって。 今回は断念。次へいこう。 でもすき。
43投稿日: 2023.03.25
powered by ブクログ最高に良質の海外翻訳物短編集。 1編ずつ大切に読んで、余韻を味わいました。 心の奥底には後悔と悲しみが渦巻いているけれど、ユーモアのある眼差しで世界を見つめ希望を失なわずに生きている。そんな強い人達の物語。
2投稿日: 2023.03.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
どの話も薄暗く、決して幸せな環境ではないのに、なぜか主人公は淡々としていて、そこまでの悲壮感は感じられない。主人公の語り口も自分を俯瞰して見ているようで、とてもユーモラス。各話の登場人物がリンクしていて、「あの時そんなことがあったのか!」とか「あの背景にはこんなことがあったからなのかな?」という気づきも楽しい。 読み始めは少し苦手な物語かと思ったが、最後はとても惹きつけられた。
3投稿日: 2023.03.15
powered by ブクログきったないことも、おもしろく くすっと笑わされるけれど。少しサスペンスのようなどきどき感も。 映画を見てるような気分になれる本
1投稿日: 2023.02.25
powered by ブクログ衝撃的な映画を見ているよう。 都度、映画が脳内再生されるのだ。 衝撃的で奇抜、過酷なのに、ルシアのユーモアな文章がお話を華やかに、軽快にする。 ルシアの人生の壮絶さを読後に悟ってしまうくらい印象的で、何度も読み返したく、クセになる。
15投稿日: 2023.02.21
powered by ブクログ岸本佐和子さんのミランダジュライがとても好きだったので手に取った。 歯医者のストーリーが気持ち悪くて途中でやめてしまった。
0投稿日: 2023.02.16
powered by ブクログ著者の鮮烈な人生を元にした短編集。どれも陽気ではなく、場合によってはかなり過酷な話なのに不思議とカラッとしていて、ユーモラスでさえある。あるときはアル中の母親で、チリのお嬢様で、掃除婦で、刑務所で創作を教えていて、なんて人生があるんだろうか。物語の中に魂が気高いって言葉が出てくるのだけど、著者がそれなんじゃないかと思う。周りをを惹きつけずにはいられない人。『喪の仕事』、『ソー・ロング』、『あとちょっとだけ』が好き。
2投稿日: 2023.02.09
powered by ブクログお友達の紹介で読みました。すごい作家がいたのですね。おじいちゃんの歯を抜く話が記憶に残りました。 で、そのお友達の紹介をブログに載せました。読んで見ていただけると嬉しい(笑) https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202301200000/
8投稿日: 2023.02.08
powered by ブクログ短編集。 波乱万丈な作者自身の生活をもとに、濃縮かつ無駄のない文体が面白かった。 読んでいると、一つの短編では語られていない部分、家族構成とか裏の顔が、別の短編で、違った切り口で描かれている。人間に同居していると善悪を、色んな角度で照らし出して飽きずに読めた。 巻末に、リディアデイヴィスが「誇張された真実が、あまりにも鋭く観察され、かつユーモラスであるために、読み手は痛みを感じている時ですら、同時に語りの巧みさが快くて、快感が痛みを上回ってしまう」と書いていて、まさにその通り、これ以上に適切な表現はないなぁと首肯した。 私小説というとどうしても、ねっとりとした愛憎こもった独白を想像するし、まぁそれも面白いのだけど、感情を下敷きにして書くのではなく、ある種自分自身さえも突き放した語りが、新鮮だった。
0投稿日: 2023.01.26
powered by ブクログ文庫版が出ていたことは本棚登録しようとしたいま初めて知ったが、私が読んだのはソフトカバー版。最初はなんとなく個人的な好みとは合わないように思って読み進めていたが、読み終わったとき、しっかりと心に残ってしまっている。読むほどに作者の人生の全体が立体的に浮かび上がってくるのも一因だろうか。アル中の母親のもとに産まれ祖父らの虐待を受けた過去、身体的なハンディキャップ、母との確執、自らもアルコール依存症に苦しむという自らの体験をベースにする小説、というとまるで無頼派の私小説という趣だが、メキシコやチリで過ごした子供時代などを取り扱っているせいか、手触りはずいぶん違うように思った。
0投稿日: 2023.01.21
powered by ブクログ波瀾万丈というには余りに過酷なシチュエーションなのに、自己憐憫やウェットさは微塵もない。 初期レイモンド•カーヴァーとも違ってストーリーとしてよりカラフルだけども、一切無駄のない言葉選びと細部に注がれる視線の鋭さは共通している。 書評だとカーヴァーが影響を受けているみたいですね。 本当に素晴らしい文章だな。
4投稿日: 2023.01.13
powered by ブクログすべてだ。短編集の全てが心に深く突き刺さる何かが待っている。 異国の異世界の話しはSFのように現代の日本では考えられない風景。 人種、言葉、におい、色まで見えてくるように生き生きと、あるいは淡々と描かれている 短歌や俳句のように一遍が無駄なくそぎ落とされていて、研ぎ澄まされたユーモアと鋭い皮肉が顔を出す。 ちょっと1回では消化しきれない何度でも読みたい、一冊。 すごいね。 久しぶりに本を読んで興奮した。
1投稿日: 2022.11.29
powered by ブクログ長い長い映画のなかの、クライマックスでもなければハイライトでもないけれど、見終えたあと妙に心に残っている、そんな鮮烈なシーンを切り取ってきたかのような短篇集。 こうして作品がまとめられ、著者の来歴と一緒に紹介されていると、どうしても作品同士に繋がりを見いだしてこの一冊から一つの人格を頭が作り上げてしまう。カトリック系の学校に通う金持ちの家の少女、二人の子を連れて駆け落ちする不倫女、アルコール中毒の母、死が近い妹を看病する姉、掃除婦。万華鏡のように「わたし」を操るのがルシア・ベルリンの武器だ。もちろん全てを一人の物語に集約させる必要はない。けれど、年齢や環境によって驚くほど異なる「わたし」がいて、全部の姿が嘘のような本当であり得るというのは、ベルリンに限ったことでもないんじゃないだろうか。 本書にでてくる「わたし」以外の人びともそうだ。ブラック・コメディのような「ドクター・H・A・モイニハン」だけを読めば、おじいちゃんはクレイジーだけどコミカルな老人で、「母を子どものころからずっとはずかしめ」という一文の意味を深く考えることはなかったかもしれない。だが、「沈黙」に描かれる祖父母の姿はゾッとするほどおぞましい。ベルリンはどちらも等価に描いていると思う。「ジョン叔父さん」についてもそうだ。自分にとって唯一の光みたいな人に期待を裏切られた経験を、大人になった「わたし」の姿で相対化する。 「ドクター・H・A・モイニハン」で子どもが老人の歯を引っこ抜く強烈な絵面と「生きたティーポット」という喩えのセンスに笑い、表題作「掃除婦のための手引き書」では希死念慮に取り憑かれた語り手の日々に共感し、「最初のデトックス」「どうにもならない」のアルコール中毒の描写が"わかってしまう"ことに震えた。「苦しみの殿堂」は我が家の話かと思った。母と娘、姉と妹の関係が、饒舌な会話文で生々しく描かれていることに痛快さすら感じた。 ベルリンの上手さは俳句みたいだと、俳句に詳しいわけでもないのに思った。一篇のなかには印象的なモチーフがポツポツでてくるけれど、それが脈絡や意味を作りだすわけではない。ただ無造作に置かれたようなそれが実は完璧な構図を描いて、強烈に心に焼きつく絵を形作るのである。 最後まで読み終え、特に印象に残っていたのは「ティーンエイジ・パンク」だった。息子のともだちと二人きりで夜明け前の散歩にでかけるというシチュエーションのほんのりとした官能性と、明け方の空のように薄い水色のエンディング。本書のなかでは珍しく死ぬ間際に幸福な瞬間として思いだしそうな光景なのだが、ナイフで切りだしたかのように余計なものが削ぎ落とされて甘さがない。この乾いたほの明るさが私にとってのベルリンなのかもしれない。
2投稿日: 2022.11.29
powered by ブクログルシア ベルリンの話だと思って読み始めたが、場面が章ごとに飛ぶし、あまりにも色々な経験で始まるのでルシアの話しだけではないと思って読んでいた。 だが、最後にはこれがルシアの話なんだと思い、面白さや興味が私は後でグッと押し寄せて来た。 作者の表現、声、直接語りかけてくるようだとあった。私には表現とか言語とかよく分からないが、場面場面のシーンが脳裏に一コマとして残る本ではあった。それが流れではなく一コマの画像として鮮明に思い出されるのだ。それはもしかすると、ルシアの言語による表現が読者にそのように伝えているからかもしれないと感じた。 もう一度読むつもりだ。その時何をまた感じるだろう。楽しみだ。
0投稿日: 2022.11.24
powered by ブクログルシア・ベルリンの自伝またはエッセイという作品。時代が異なるものあるが、祖父が歯を抜いたところなどはなんとも言えない。書き手として観察眼も鋭く素敵な文章だと思うが、共感するのは難しかった。
0投稿日: 2022.11.13
powered by ブクログ2020年本屋大賞(翻訳小説部門)第2位。 少し前にずっとランキングに入っていたので「読みたい」に入れていたが、ようやく行きつけの中古本屋で見つけた。 姪の結婚式に行って帰る新幹線の中で読み進む。 家庭の事情で色んな土地・国に移り住み、祖父も祖母も父も母も妹も強烈な個性の家族の中で育ち、長じてからは男と一緒になって別れてを繰り返し、様々な職業を経験しながら4人の息子を育てる、といった作者そのものの実人生を題材にしたお話の数々。 私には、面白いと思えたものとそうでもなくやや退屈に感じたものが取り混ぜてあった。 アルコール依存症の生活を描いた3編(「最初のデトックス」「どうにもならない」「ステップ」)、コインランドリーが出てくる2編(エンジェル・コインランドリー店」「今を楽しめ」)、彼女を躍起になっていい子にしようとしたシスターと先生が出てくる2編(「星と聖人」「いいと悪い」)が印象に残る。 「セックス・アピール」と「わたしの騎手」も好き。 おしなべて、悲惨なことでもさらりとした語り口でユーモアやちょっとした笑いを感じさせるところが良かった。 結婚式の中で、姪のこれまでの生い立ちを紹介する写真の中に亡くなった父や幼かった頃の息子の姿を見つけて、何だか胸が一杯になった。 作者に比べるべくもない全く平凡な人生だけれども、それでもこうやって切り取ると自分にも結構色んなことがあったんだなぁと思わされた。
21投稿日: 2022.11.13
powered by ブクログ最初に読んだ「すべての月、すべての年」より表現が過激に感じる。著者の実体験に基づく短編集、赤裸々感さえする。落ちが絶妙と言うか、意外性が読者を惹きつけるのかもしれない。 「ソー・ロング」に書かれていた、「〜どのみちわたしの人生はまちがってばかりだった」、結局これがすべてを物語っているのかもしれない。
1投稿日: 2022.11.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
えー、なぜか前予約したときもどさっといっぺんに来てしまって結局一ページしか読めなかったのですが、今回も同じことが起きてしまい、もう断念しました。ほんとは読み終わっていないけど、冊数稼ぎで虚偽報告。 文体がすごく洗練されていて、機会があればまた読もうと思います。きっと面白いと思います。
0投稿日: 2022.10.29
powered by ブクログもしも1976年になってもにっちもさっちもいかなかったら、波止場の端まで行ってお互いをピストルで撃とう。
0投稿日: 2022.10.23
powered by ブクログ作者の人生をもとにした短編集。瀕死の妹とのやりとりを描いたいくつかの短編がよかった。 アル中と、側湾症と、虐待と、離婚と、困難に思われることがたくさんあるのに、変に暗くもなく淡々としていてたくましい。
0投稿日: 2022.10.09
powered by ブクログ今朝、久しぶりに意味のある夢を見た。 南米のどっかの国の深い穴の中で、5人くらいの電話工事夫が死んでいるのが見つかった。 その国では、工事が終わったら仕事のスキルを磨くまじないして、穴を掘って自分の使った工具を埋める習慣があるらしい。しかも人より深く埋めるほどに効果が高くなる。 その5人の工夫は工具を埋める場所の深さを競い合った結果穴の中で力尽きるまで5人で穴を掘り進んだ結果、地底で酸欠になって死んだらしい。 この夢を見たのは、この短編集を読んだせいだと思う。そんな軽いトラウマを感じることのできる小説だった。文章の中に出てくる詩的な比喩も面白い。普段からこんな比喩の使える人間になりたいものた。
0投稿日: 2022.10.02
powered by ブクログルシア・ベルリン 「掃除婦のための手引き書」読了。 24編からなる彼女の実体験に近しいと言われるその物語はどれもアル中や背骨矯正の少女など世の中から外れてしまっている人々のリアルを切り取ったものとなっている。どれも特異で美しく詩情的な文体で編まれていて、訳者の岸本佐知子さんの名訳からも充分伝わってくるが、これが原文で理解出来たらもっと素敵だったろうなと思う。 ルシアは「小説はリアルでなければならない」と言ったと後書きでも書かれているけれど、その、時に寂しい境遇を味わい、かつアイロニカルにもならなかった彼女の人生観が、どの短編の読後感にも通底していて「嘘でない」ことの静清しさが心地よかった。
0投稿日: 2022.09.17
powered by ブクログこんな小説初めて読みました。 いろんな場所、いろんな種類の人物が時間を超えて登場し、独特のみずみずしい、時に優しく時に鋭い描写で書かれていて、不思議な感覚をもたらしてくれる作品でした。
0投稿日: 2022.09.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
『掃除婦のための手引き書』 ルシア・ベルリン 岸本佐知子 訳 (講談社文庫) 濃いわー。 いろんなものがぎゅっと詰まってるわー。 しかも、岸本佐知子さんの翻訳がとてもいいのだ。 ガンガン繰り出される短いセンテンスの文。 時には単語のみがものすごい勢いでバン、バン、と置かれる。 そうかと思えば、会話と地の文がごちゃまぜの勢いのある文章に横っ面をはたかれる。 面白い。 清々しい。 毒々しい。 目をそむけたくなるような汚さと夢のような美しさが、同じレベルで扱われている。 この本は、作者ルシア・ベルリンの実体験をもとに書かれているそうだ。 最初はそれと知らずに読み始め、いくつかのエピソードを辿るうち、一人の女性の姿が見えてくる。 それがルシア本人だと分かった時の動揺。 震えた。 一気に心を掴まれた。 ルシア・ベルリンの生涯は波瀾万丈だ。 鉱山技師の父親の仕事の関係で住まいを転々とし、貧困と富裕の両方を経験する。 脊椎湾曲症を患い、アル中の祖父や母から虐待を受けていた悲惨な子供時代。 三度の結婚と離婚。 本人もアルコール依存症に苦しみ、シングルマザーとして四人の子供を育てながら、学校教師、掃除婦、電話交換手、ER看護助手など、職を転々とする。 アルコール依存症を克服した後は、刑務所で創作を教えたり、大学の教授もしていた。 六十八歳の誕生日に癌で死去。 私はエッセイが苦手で、それは他人の“本当のこと”をあまり見たくないからなのだが、この本は、実体験に基づいているもののきちんとフィクションで、客観的なところがあり、物語として読み応えがある。 地べたを這いつくばっているような内容なのに、想像力のバネで遠くにぽーんと飛ばしてくれるような浮遊感がある。 “悪”をユーモアで包み込み、違うものにしてしまう。 一編一編はとても短い。 辛く、切なく、楽しく、どれも心に刺さってくるが、その中でも私がいちばん印象に残っているのは「どうにもならない」だ。 アルコール依存症の“彼女”が、早朝、子供が起きてくる前にお酒を買いに行く。 体が震えて立てないくらいなのに行く。 そして泣きながら飲む。 アル中の人の気持ちなんて分からないはずなのに、なぜか彼女に感情移入してしまう。 バスルームでウォッカを飲み干すと、彼女は何事もなかったかのように洗濯をし、子供たちに朝食を食べさせて、学校へ送り出す。 ……で、ラストがすごい。 子供たちが家を出てバス停からバスに乗り、バスが走り去るのを見届けて、彼女は再び酒屋へ向かうのだ。 もう、「どうにもならない」というタイトルにどつかれた気分で、いっそ爽やかですらある。 こんなに悲惨なのに。 それがルシア・ベルリンの魅力なのだ。 最後に収録されている「巣に帰る」は、ルシアの晩年の話だろうか。 自分はいろんなことを見逃してきたんじゃないかと、彼女が思うシーンがある。 「わたしに向かって発せられたのに聞きそこねた、どんな言葉があっただろう?気づかずに過ぎてしまった、どんな愛があっただろう?」 「無意味な問いだ。わたしがここまで長生きできたのは、過去をぜんぶ捨ててきたからだ。悲しみも後悔も罪悪感も締め出して、ぴったりドアを閉ざす。もしもちょっとでも甘い気持ちで細く開けたが最後、バン!たちまちドアは押し破られ、苦悩の嵐が胸の中に吹きこみ恥で目がつぶれコップや瓶が割れジャーは倒れ窓は割れこぼれた砂糖とガラスの破片でしたたかすっ転んでおびえ取り乱し、そうしてやっとぶるぶるふるえて泣きながら重いドアを閉ざす。散らばった破片を一から拾いなおす。」 ルシア・ベルリンは、没後十年以上たってから見出された作家なのだそうだ。 この「巣に帰る」を読んで、晩年彼女はどんな気持ちで暮らしていたのかなと思いを致す。 ものすごいものを読んでしまったなぁ。 小説なのに、絵画でも見たような余韻に押し流されそうな読後感だった。
0投稿日: 2022.09.02
powered by ブクログ最初はこの良さがわからなかったけど、読み進めていくうちに、文章にはまっていきました。じわじわと良さが染み込んでいく感じがしました。
1投稿日: 2022.08.31
powered by ブクログカバーの写真の女性。これは著者自身。吸いかけの煙草を掲げたまま、彼女の視線は遠くを見つめる。いくつもの言葉が彼女の口や胸の内からあふれ出したあの瞬間を。何度目かの結婚生活の頃、ごく幼い子供の季節、息子たちが独立した後のひとりの朝から、見送った母や妹との別れを予感した夜へ。また子供に佇んだ庭の風景へと。そのうつろな眼差しはまるで、とりとめない記憶の海を漂うようだ。 ――他人の苦しみがよくわかるなどという人間はみんな阿保だからだ。 原則、友だちの家では働かないこと。遅かれ早かれ、知りすぎたせいで憎まれる。でなければいろいろ知りすぎて、こっちが向こうを嫌になる。 待って。これにはわけがあるんです。今までの人生で、そういいたくなる場面は何度となくあった。 わたしには話す相手がいなかった。ごめんなさいという相手が。 死には手引書がない。どうすればいいのか、何が起こるのか、誰も教えてくれない―― 彼女の物語を読んでいる間は、心がざわざわと波打って仕方なかった。どうして私は、あんなに彼女の言葉に動揺していたのだろう。こんなふうに、彼女のように、言いたかった場面が、今までの人生のなかで何度もあったから? まるで誰かに自分の人生の、見られたくない場面を見られているみたいで落ち着かない。 この作家さんが、アメリカ本国においても発見されたのはごく最近のことだという。それも死後10年を経て。 この『掃除婦のための手引書』はもっとたくさんの読者に届いてほしい。そうしてもっとたくさんのレビューを書かれるようになってほしい。他の読者のひとたちは、この物語に触れた際の心の動揺をどう表現し、どう分析するだろう。 かつて、波乱万丈の人生を送ったひとりの女性が生み出し残した数々の言葉は、その死後もなお、彼女の物語に触れる人の心を揺さぶり、そこに新たな引っかき傷を作り続けている。その生々しさに、ひとりでも多くの読者に気付いてほしいし揺さぶられてみてほしい。
0投稿日: 2022.08.28
powered by ブクログ本当に良かった。 ほぼ全ての話が彼女の実体験を元にしているという不思議な物語達。ルシア・ベルリンの乾いていながら豊かという不思議な感性を通して見える、彼女の鮮やかな人生がものすごく刺さる。 どれも本当に良かったけど、個人的には「掃除婦のための手引き書」「喪の仕事」「ソーロング」「ママ」「あとちょっとだけ」......いや全部良かったな。 最後の一文まで読むと、話の印象ががらりと変わったりして、びっくりします。読み手の感情を、そうと分からせない微細なニュアンスで操作するのが本当に上手い。最後の一文まで読んだ時、ルシアはこれが言いたかったのか、ここに連れてきたかったのかと思って総毛立つ。久々の体験でした。楽しかったです。
0投稿日: 2022.08.15
powered by ブクログ言葉の種類が豊富 イメージと雰囲気が伝わる だからこそ、しんどい時に見たら疲れる アル中の話が自分もなったかのような 臨場感が得られる
0投稿日: 2022.08.10
powered by ブクログ「エンジェル・コインランドリー店」4 「ドクターH.A.モイニハン」5 「星と聖人」5 「掃除婦のための手引き書」5 「私の騎手ジョッキー」5 「最初のデトックス」5 「ファントム・ペイン」4 「今を楽しめ(カルペ・ディエム)」5 「いいと悪い」5 「どうにもならない」4 「エルパソの電気自動車」4 「セックス・アピール」4 「ティーンエイジ・パンク」4 「ステップ」4 「バラ色の人生(ウ・ヴィ・アン・ローズ)」4 「マカダム」3 「喪の仕事」5 「苦しみ(ドロレス)の殿堂」5 「ソー・ロング」5 「ママ」5 「沈黙」5 「さあ土曜日だ」5 「あとちょっとだけ」5 「巣に帰る」5 「物語こそがすべて/リディア・ディヴィス」4
0投稿日: 2022.08.06
powered by ブクログこれをもう一度読んだ時に、星が四つになるでしょう。 こう言うのを読みつけていないことと、背景があまりにもわからないことで、なかなか距離を縮めることが出来なかった。 これを良いと認めて、出版しようとした人たちの思いにまでまだ辿り着けていない。 でもお手上げというのではなく、つまらないというのでもなく、隠された魅力がわたしのどこかを引っ掻いているというのは確か。 そして、とても好きなものもあるわけだし。 ずいぶんと長いこと、読みたいリストに入っていて、ようやく文庫になり、手を出しやすい価格となり(それでも1000円近い)手元に来たのだから、これからじっくりお付き合い願おう。
0投稿日: 2022.08.03
powered by ブクログ期待値が高すぎたためか、それほどでもなかった。おっ、と思うものと、まったく響かないものが半々くらい。
1投稿日: 2022.07.11
powered by ブクログこの本を手にとった人は、まず、2つのことに強く興味を惹かれる。1つは、表紙写真のルシア・ベルリンの美貌に。もう1つは、帯に書かれた彼女の人生の波乱万丈ぶりに。 1936年アラスカ生まれ。父の仕事の関係で、北米の鉱山町やチリで育つ。3度の結婚と離婚を経て、シングルマザーとして4人の息子を育てる。学校教師、掃除婦、電話交換手、看護助手として働く一方、アルコール依存症に苦しむ。2004年逝去。 2015年、彼女の全作品の中から43編を選んだ作品集”A Manual for Cleaning Women”が米国で発売され、評判となった。本書はその中から24編を選んで翻訳されたものである。小説は、ほぼすべてが彼女の経験をベースにしている。 本書を実際に読んだ人は、更に2つのことに驚く。1つは、彼女の人生が想像以上に波乱万丈であったことに。さらには、それを客観的な、時にユーモラスな語り口で物語に仕立てる彼女の作家としての腕前に。 アルコール依存症時代、夜中にどうしてもお酒を飲まずにいられなくなり、夜明けを待って、4ドルを握りしめて酒屋に45分かけて歩いて行く。お酒を飲み落ち着きを取り戻し、帰宅し洗濯を始めたところに2人の息子が起き出してくる。学校に出かける2人を送り出したあと、彼女は自宅近くの角の酒屋に向かう。「どうにもならない」という題名の短編に書かれたこのような強烈なエピソードが続く。彼女の人生は、想像を超える波乱万丈ぶりなのだ。 そういった物語を語る語り口にも強い印象を受ける。貧困や死やアルコール依存症といった悲惨な話を題材にしている短編が多いが、そこに愚痴っぽさや、後悔が全く感じられない。「楽しい思い出を語っているかのように」とは言い過ぎになるが、そのような独特な語り口は、彼女の物語にリアリティと活気を与えている。 「まるで小説のような人生」ではなく、人生を語っていたら自然に小説になっていた。そんな印象の短編集だった。
15投稿日: 2022.07.08
powered by ブクログ文庫本で読みました。 実は半信半疑で読み始めましたが、良かったし面白かった。 最初は丁寧に書き始めて、途中からテンポ速くなり、急に終わるところが面白いです。 最初は、素人の私が言うのも失礼ですが、女性版ブコウスキーだと感じましたが、 ブコウスキーよりはちゃんとしてます。 思いがあります。言いたい事があります。
0投稿日: 2022.07.04
powered by ブクログカラフルで不恰好な磨かれていない石が無秩序に組み合わさった結果できた、唯一無二の輝きを放つ宝石。 想像を超えるさまざまな経験のひとつひとつは、 辛かったり苦しかったりするかもしれないけど、 その人が生きることと対峙し、自分の人生を広義で謳歌し、そして自信と人生に魅力的な味を持たせる。 本屋さんでこの本を見かけた時、彩りと奥行きのある人生にする秘訣を少しばかり期待して手に取ったのだけれど、実際は期待値をはるかに上回った。 秘伝のスパイスはそんなにないのに、めちゃめちゃ美味しいスパイスカレーを食べさせられたような感覚。 人生に疲れた人やよりよく変えたいけどなぁとか、その類いの悩みを多少なりとも抱えている人におススメ
0投稿日: 2022.06.24
powered by ブクログ想像を超える展開と言葉に満ちていて、すごく新鮮な読書体験だった。好きか嫌いかは分かれそうだと思ったけど。
0投稿日: 2022.06.21
powered by ブクログ育し、生活歴、病歴、職歴とカラフルかつ多様な匂いと温度を持った人生を生き抜けた。 同じ経験をしたからと言って、称される「アメリカ文学界最後の秘密」の名を冠されるとは言えない稀有な才能の女性、ルシア。 見開きで終わる超短編から、数頁迄多岐。 エッセー風のもあれば吐露する痛みを伴っているもの 回想に愉しさすら漂うもの、種々。 文学界の常として、一時はもてはやされつつも、ディープなフアンの中で生きていく形になる感はある。 もっとも、さほどにボリュームのある本を他作していないわけで仕方ないかもしれない。 アラスカで生まれて転々と土地を渡ってきている彼女、全体からするとインディアン、南米の体臭が強く伝わって来た。 アルコール依存症にも苦しんだとあるせいか そういった方々独特の「魂をぐぃっと掴む」センテンスが散りばめられている感じ。 題名からして「家政婦は見た」的な先見を持ったことは大間違い・・・50歳過ぎから サンフランシスコ郡刑務所で創作を指導開始し コロラド大学准教授になった経歴から、光る「文才」は客観的に認識されていたと思う・・この作品を読んでも随所で感じられた。 残念乍ら、大ファンというR/ディヴィスや岸本さんほどは入れ込めなかった。
0投稿日: 2022.06.18
powered by ブクログ講談社文庫の新刊で、書店で平積みされているのを見て、まず表紙に惹かれ、裏表紙の解説をを読んだが、講談社文庫は最近新刊にビニール袋をかけてしまって、中身の拾い読みが出来ないので、暫く購入しなかった。 僕は購入した本には、必ずカバーをかけてもらう。 一度、講談社文庫がビニール掛けになってから新刊を買い、レジでカバーをかけてもらったが、ラップのように本体に密着しているので、華奢な文庫本が粗雑に扱われているようで、嫌な気分になったので、それ以来、ビニールが外れて、棚に並ぶまで待つことにしたのだ。 多岐にわたる短編集で、もちろん全てが好みというわけではない。 おじいさんの歯を全部入れ歯にする話が、一番好みだろうか。 人生の経験値が、高過ぎて本当に一人の人生なのかと感じてしまうが、それは時折僕の陥る悪い癖。 作者と作品の語り手を、同一視してしまう。 フィクションなのに、全て作者の人生だと感じてしまう。 この多くを経験しているとしたら、苦しみは多いが、豊かな人生だったと思う。 多くを創作したのだとしたら、それは素晴らしい想像力だと思う。 どちらにしても、凄いのだ。 こちらの読む状況や状態によって、印象に残る作品はその都度変わるだろう。 たまに、読み返すのが良いかもしれない。
0投稿日: 2022.06.11
powered by ブクログこれは…各界で話題を呼ぶわけだよ。 炭坑夫と娘としての極貧、父の成功に伴う海外での裕福な生活、幾度かの結婚、アルコール依存症、国語教師としての体験、子育て…人生のさまざまな時期をランダムにきりとって仕立てられた小品は、痛みと痛みと痛みと、思わぬところに潜む美しさに満ちている。そして著者のこの美貌。 伝記映画が企画されたら、女優たちは彼女の役を熱望するだろう。 ルシアを見つけ、神経を張りめぐせた訳で日本に知らしめた岸本佐知子さんの偉大さよ。 「まだ濡れてるときはキャビアそっくりで、踏むとガラスのかけらみたいな、だれかが氷をかじってるみたいな音がする」 『マカダム』の冒頭。うっとり。
0投稿日: 2022.06.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
どうすればこの気持ちを言い表せるのか、言葉を探してしまう。とにかく凄かった。この表現、この文章でしか味わえないものがある。これはきっと何度も読み返すことになる本だ。 特に囚人たちの物語『さあ土曜日だ』は内面をぐわんぐわんと揺さぶってくる。 こういう学びや、人間らしく扱われることの方が更生に繋がる気がした。文章のクラスで文章を学んでいるのではなくて、人の心と自分の心を学んでいると思った。言葉が与える力は大きい。 その一方でひとたび教室を出れば人間以下のような扱いを受ける。この落差はかえって苦しいだろうと思う。 授業での課題とこの物語を結びつけるラストは見事だった。 そのほか、妹サリーとの日々を書いた物語も静かに涙を誘った。 自分の人生を振り返り、もしもの空想につなげていく話の締めくくりが恐ろしかった。どこでどう進んだって、私は私にしかなれないだろうと、私も思う。最後にクールな現実を見せてくるところが好みだ。
0投稿日: 2022.05.25
powered by ブクログほとんどが作家自身の人生の経験をもとにして書かれているから、ほとんどが同じ舞台や同じような状況下での話であるんだけど、飽きずに全ての話に引き込まれるのは作家の書き方に魅力が溢れるからこそ。訳者あとがきで指摘がある通り、そもそも作家自身の人生に起伏がありすぎて、どこを切り取るかでかなり味わいが違うっていうのもあるだろうけど。 邦訳第2弾読むのも楽しみ。
0投稿日: 2022.05.23
powered by ブクログ著者の実体験を基にしたフィクション。母親や母方の親戚に問題があって(モイハニンの血)、それが自分の人生にも影響し大変な人生を送る女性。父親はちゃんとした人のようだが影は薄い。悲惨と言っていい人生だが、悲壮感や他人への批判は感じない。常に孤独で、たまに築けたよい関係もすぐ終わる。しかし、束の間の時を共に過ごした人への愛や感謝が感じられる。不幸のアピールになっていないから優れた小説として評価されているのだろう。彼女が生活の中で接する人種的マイノリティやアル中の人たちから、アメリカの底辺が垣間見える。文体が独特。語る内容と文体が適合していることが優れたヴォイスなのかな。特に印象に残ったのは、アル中の主人公の心理を描いた「どうにもならない」と、母親と母方の親戚や幼少時代の友人関係を描いた「沈黙」。
0投稿日: 2022.05.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
様々な年齢、様々な境遇、様々な性格。 カラフルな色彩から色味の全く感じられない灰色まで。次に現れる文章は果たしてどんな色味を放つものなのか。浮き沈みの激しい荒波に、読み手ものみ込まれそうになる。 けれどそれら全てが、同じ一人の女性の人生。 貧乏暮らしから一転して裕福な上流階級へと転身。 性的虐待、依存症、病気などに強いられる苦難の連続。 結婚・離婚を3回繰り返し4人の息子のシングルマザーとなり、教師、掃除婦、電話交換手、看護助手と様々な職業につく。 そんな波乱万丈な継ぎ接ぎだらけの彼女の人生を、一つ一つ丁寧に重ね合わせていった中身の濃い一冊。様々な色合いの文章の端々に覗かせる明るさと知性、潔さに目が離せなくなる。 「後悔はないと言ったけれど、あれは嘘だ。でもあのときはこれっぽっちも後悔しなかった」 どこか他人事のように客観的に綴られた彼女の一度きりの人生。時として一人でストレスを抱え眠れぬ夜を過ごす我々を救う手引き書となり得る。
37投稿日: 2022.05.05
powered by ブクログリズムとかテンポがわたしの知ってるそれとは違くて、最初やや面食らうんだけど慣れてきたら刺激的で心地よい。 結末でズバッと急転換して終わるのとかも好みでした。
1投稿日: 2022.05.01
powered by ブクログ2004年亡くなったアメリカ文学界最後の秘密ルシアベルリン短編小説集。祖父、母、叔父、そして本人もアルコール依存症。鉱山技師の父の仕事により全米鉱山とチリで育ち3度の結婚4人の息子をNY、メキシコ、カリフォルニアで教師、掃除婦、電話交換手、ER看護助手などの仕事。救いのない話が淡々と綴られる
2投稿日: 2022.04.29
powered by ブクログ力のある密度の濃い文章の数々。人生や人間関係を飾らずにありのままに描ききる写実的な描写。 著者の波乱万丈な人生から紡がれ生み出された言葉だからこその説得力、あるいは迫力のようなものが文章や描写、そして物語から感じられたように思います。 この本の著者であるルシア・ベルリン。著者紹介によると、父の仕事の関係で北米の鉱山町やチリで育ち、三度の結婚や離婚を経てシングルマザーとして4人の息子を育てる。 教師や掃除婦など職を転々とし、アルコール依存症に苦しみながら自身の体験に根ざした小説を書いていた、とのこと。 自身の体験に根ざしたということもあってか、収録されている小説のほとんどは「わたし」の一人称で、この「わたし」というのも多くは著者自身が投影されているのかと思います。 著者紹介にもあったとおり、掃除婦が語り手だったり、アルコール依存症のことが出てきたり、父親の鉱山の話が出てきたりと著者を思わせるエピソードや、短編ごとにつながっているように描かれる点もちらほら見受けられます。 前評判のかなり高い作品だったので期待して読み始めたものの、序盤はなかなか入り込めなかった。文章の硬質さや詳細な描写の一方で短編ごとのドラマ性が薄く感じられ、ストーリーを期待していた自分としては、イメージと違う作風でとっつきにくかったのがあると思います。 しかし話を読み進めていくごとにこの文章や語り口が、自分のなかになじんでくるのを感じます。すると徐々に著者の人間に対する独特の観察眼や、ユーモアとシリアスが同居し、美しいものと醜いものが突然に反転する物語の数々に引き込まれていきます。 突然の反転は読む者を最後になんとも言えない感覚に引き落とす。それは人生の無常さや人間心理の不条理さを、突然目の前に突き付けられたような感覚を覚えました。 読み進めるごとに硬質な文章の芯に宿った力強さと繊細さに気づかされます。そして単純に一言で語れるような読後感を残さない物語たちに、自分の中の何かが共鳴します。 波乱万丈の人生を送ったルシア・ベルリン。そんな彼女だからこそ人生も人間も一筋縄ではいかないということを、物語にのせたのかもしれない。 読みやすい小説でもないし、面白い、面白くないと単純に語れる小説でもない。それでもこの小説には人を魅了する魔力を感じます。
6投稿日: 2022.04.25
powered by ブクログアルコール依存症一家に生まれ、アメリカ合衆国、チリ、メキシコと居住地を転々としながら、2度の離婚、3人の夫、4人の子ども達と駆け抜けてきた著者ルシア・ベルリンの起伏に富んだ人生を下地にした短編集。 正直、何を読み取るべきかは暗黙的で、単純なエンターテイメントというよりはいささか文学的。 巻末で熱烈な賛辞を贈るリディア・デイヴィス氏、訳者あとがきで同様に褒め称える岸本佐知子氏ほどの感性をもっていない自分には、それほどまでの一編一編、一文一文の熱量を感じとることはできなかった。 ただ、物語ひとつひとつが著者の人生に基づくものという背景を踏まえつつ、順不同で現れる年代をつなぎ合わせながら読んでいくと、”これが1人の人生!?なんて人生なんだ”という興味深い想いを得るし、ざらついた剥き出しの表現の中のそこここに散らばる感情のかけらに出会うと何とも言えない胸の詰まる思いがするのは確か。 全体としての読書体験が味わい深い系の一冊。
34投稿日: 2022.04.23
powered by ブクログ「小説のような人生、ではなく人生は小説」なのかなと思った。 入り込むまでに時間がかかったけど、途中で↑に気づいて没頭して読めた。目まぐるしく変わる生活と荒々しい感情の揺れに眩暈がした。比喩表現の鬼だな、と(とてもいい意味で)。 タイトルにもなった「掃除婦のための手引き書」もよかったけど、「ソー・ロング」「ママ」「沈黙」「さあ土曜日だ」の流れがとても好きだった。中毒性が高く、まんまと他の本も読みたくなった。
8投稿日: 2022.04.08
powered by ブクログ本邦初訳の短編集。記憶、思い出がふっとよみがえるようなそんな感覚がするような短編集だった。とはいえ思ったより、読解が難しい短編もあった。
2投稿日: 2022.04.07
powered by ブクログ図書館の期限きちゃったのでつんどく扱い。 洋物だけど確かに言い回しが粋なのか、読みやすかった気が。 といっても3篇目くらいまでしか読んでない。
1投稿日: 2022.04.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
最初はなんか不思議な感じで「?」となってたんだけど、読み進めるうちになんか引き込まれてった… 作者の体験がもとになってる話がほとんどみたいだけど、その中でも、変わり者の主人公が(刑務所とか、病院?のような最果てっぽいところで)また同じような弱くて優しい仲間たちに囲まれて、いっときの安らぎを感じるような話が好き… 「さあ土曜日だ」も悲しいけど、刹那的な幸福感のある話だと思った
1投稿日: 2022.04.02
powered by ブクログアメリカ文学界最後の秘密といわれ、 ずっと気になっていた作家でした。 文庫本になったのをきっかけに やっと読むことができました。 本書は作家自身のことや、 彼女の身の回りで起こった出来事を描いた短編集です。 アルコール依存症の家系に生まれ、 自身も一時期そうなったようです。 幼少のころからアメリカやチリの各地を転々とし、 貧民街に暮らしたかと思うと、 一時期は召使付きのお屋敷暮らし。 幼いころ虐待を受けていたような記述もあります。 学生のときから結婚と離婚を3度繰り返し、 4人の子を持つシングルマザー。 生涯のほとんどを労働者階級に身を置き、 そうかと思えば 刑務所で囚人相手に書くことを教えたり、 大学で教鞭をとった時期もあったようで、 優秀な教育に対する賞を受賞したりもしています。 晩年は持病に苦しみ、 68歳の誕生日に亡くなりましたが、 彼女が評価されたのは、 没後11年たってからのことでした。 生前は一部熱狂的なファンの支持を得ていたようですが、 世間にはあまり知られていない存在だったようです。 短編小説を書くという行為は、 無駄な言葉をそぎ落とす作業だと思います。 本作も人生の一場面を切り取って、 必要最低限の言葉で簡潔に綴られています。 簡潔な文章ではありますが、 その行間から彼女の波乱に満ちた人生を 垣間見ることができます。 もちろん小説ですから 創作の部分もあるのでしょうが。 岸本佐知子さんの翻訳も期待通りでした。 べそかきアルルカンの詩的日常 http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/ べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え” http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ” http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2
2投稿日: 2022.03.31
powered by ブクログこの短編集の作品が一つ一つ、単純に悲しい楽しい話ではなく、悲しみと楽しさの同居した、読者の心をあちこちに振り回す。こんな風に自分を俯瞰的に見ると、人生はどう見えるのかな。
1投稿日: 2022.03.20
