先日マニラを旅行し、恥ずかしながら初めて知ったフィリピン建国の父、ホセリサールの作品。無血革命を望んでいたという彼の思想が色濃く反映されていて、展開に意外さもあって作者の背景を知らずとも小説として楽しめるだろう。「今日の奴隷が明日の暴君になるのなら、独立に何の意味がありますか?」という終盤の一節が、綺麗事ではなく共感できる。